JP4814789B2 - 6−ヒドロキシベンズブロマロン又はその塩からなる医薬組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、6−ヒドロキシベンズブロマロン又はその塩、及び製薬上許容される担体を含有してなる医薬組成物、より詳細には、6−ヒドロキシベンズブロマロン又はその塩、及び製薬上許容される担体を含有してなる高尿酸血症又は高尿酸血症に起因する疾患の治療・予防のための医薬組成物、並びに6−ヒドロキシベンズブロマロン又はその塩を含有してなる、尿酸排泄促進剤、キサンチンオキシダーゼ阻害剤、及び腎臓における尿酸の取り込み抑制剤に関する。また、本発明は、2−エチル−6−ヒドロキシ−3−(p−ヒドロキシ−ベンゾイル)−ベンゾフラン(これらの水酸基は必要により保護されていてもよい。)を、ブロム化剤を用いてブロム化し、次いで水酸基の保護基を脱保護することからなる6−ヒドロキシ−ベンズブロマロンを製造する方法に関する。
痛風は、関節炎(痛風発作)、痛風結節、尿路結石などの各種の症状を伴う重篤な病気である。痛風は生活習慣と深く関わっており、1960年以前では我が国では希な病気であったが、経済の高度成長と共に増加し、現在では約60万人以上の患者が居るといわれている。また、痛風発症年齢も従来は50才代であったものが、現在では30才代がピークになってきており、発症年齢も若年化の傾向にある。さらに、痛風の基礎病体である高尿酸血症も増加してきている。血清尿酸値が高くなると、痛風の危険性だけでなく、虚血性心疾患の危険性も高くなることも報告されている。
高尿酸血症の病態には尿酸産生促進型と尿酸排泄抑制型の二種類があり、高尿酸血症患者全体におけるそれぞれの比率は、尿酸産生促進型が約2割、尿酸排泄抑制型が約6割、両者の混合型が約2割と言われている。現在、前者に対してはキサンチンオキシダーゼ阻害剤であるアロプリノール、後者に対しては尿酸排泄促進剤であるベンズブロマロンの使用が推奨されている。両薬剤とも発売から20年以上を経過しており、これまでにアロプリノールでは肝障害(劇症肝炎を含む)、骨髄抑制、重篤な皮膚炎等の副作用や、アロプリノールの代謝物であるオキシプリノールは透析患者において、体内に高濃度に蓄積することから血液障害、肝障害をきたすことが報告されている。ベンズブロマロンでは肝障害(劇症肝炎を含む)が報告されており、それぞれ副作用の少ない新たな薬剤の開発が求められている。
尿酸排泄促進剤としては、ベンズブロマロンのベンゾフラン骨格を残して側鎖部分を各種の化学修飾したものが報告されている(特許文献1〜4参照)。また、尿酸排泄促進剤として、非ペプチド系アンジオテンシンII受容体拮抗作用を有する化合物を用いるもの(特許文献5参照)、ジヒドロピリジン誘導体を用いるもの(特許文献6参照)、ヒダントイン誘導体を用いるもの(特許文献7参照)、ビアリール化合物又はジアリールエーテル化合物を用いるもの(特許文献8参照)などが報告されている。
また、尿酸産生を抑制するためのキサンチンオキシダーゼ阻害剤としては、ピラゾロトリアジン誘導体を用いるもの(特許文献9参照)、3−フェニルピラゾール化合物を用いるもの(特許文献10参照)、1−フェニルピラゾール化合物を用いるもの(特許文献11参照)、バラ科の多年草植物のセイヨウナツユキソウ(一般名:シモツケソウ、Filipendula ulmaria)や、それから単離されたケルセチン−4’−配糖体及びケルセチン−3−配糖体を用いるもの(特許文献12及び13参照)、2−フェニルチアゾール誘導体を用いるもの(特許文献14参照)、ドコウジュ、セキコウジュ、ナギナタコウジュ、レモンバーム、ローズマリー、スペアミント、ペパーミント、ウインターサボリ、キンマ及びフクマンギから選ばれた植物体及び/又は該植物体の抽出物を用いるもの(特許文献15参照)などが報告されている。
さらに、新しいタイプの高尿酸血症の治療剤として、チアゾリジンジオン化合物などのインスリン抵抗性改善物質を用いるもの(特許文献16参照)、炭素数20のモノエン酸及び/又はその誘導体、並びに炭素数22のモノエン酸及び/又はその誘導体を有効成分として含有する高尿酸性疾患予防治療剤に関するもの(特許文献17参照)、イチョウ葉抽出物を有効成分とする尿酸値低下剤に関するもの(特許文献18参照)、コンドロイチン硫酸タンパク複合体を有効成分として含有する、高尿酸血症治療又は予防用組成物に関するもの(特許文献19参照)なども報告されている。
これらの中で、新規のキサンチンオキシダーゼ阻害剤に関しては、国内および国外において既にいくつかが開発段階に入っているが、尿酸排他促進剤に関しては世界的にみても開発される動きは見られず、高尿酸血症患者のQOL向上のために、副作用の少ない新たな尿酸排泄促進剤の開発が求められている。
一方、次式で示されるベンズブロマロンは、
Figure 0004814789
ベンゾフラン誘導体の1種であり、その強い尿酸排泄促進作用により長年にわたって広く使用されてきている。ベンズブロマロンの薬物代謝に関しては、1972年のヒトにおける報告(非特許文献1参照)において、ベンズブロマロンは肝臓において脱臭素代謝され、臭素が1つ取られたブロモベンザロン、あるいは臭素が2つとも取られたベンザロンに代謝されると考えられていた。しかし、その後の研究によりベンズブロマロンの代謝産物は脱臭素体ではなく、主にベンゾフラン環の1’位あるいは6位が水酸化された水酸化物であると報告された(非特許文献2〜6参照)。そして、ベンズブロマンの尿酸排泄促進作用の持続性に関しては、血中の代謝産物が関与しているのではないかとの示唆も示されてきた(非特許文献5参照)。
また、ベンズブロマロン、ベンザロン、ベンズイオダロンなどのベンゾフラン誘導体を服用中の患者において、重篤な肝障害が報告されるようになり、これらに共通の代謝産物が肝障害発現に関与している可能性が指摘されてきた。特にベンザロンはベンズイオダロン及びベンズブロマロンの脱ハロゲン体であることから、ベンザロン自体が肝障害を引き起こす可能性も未だ完全に否定されていない。
このように、ベンズブロマロン、ベンザロン、ベンズイオダロンなどのベンゾフラン誘導体の代謝産物や、その副作用について多くの研究がなされてきたが、重篤な肝障害を引き起こすことなく、安全性が高く、かつ尿酸排泄促進作用の強い高尿酸血症の治療、予防剤の開発は未だなされていないのが現状である。
特開昭59−73579号 特開平01−216984号 特開平03−261778号 特開平06−184132号 特開平05−25043号 特開平05−279255号 WO 97/02033号 特開2000−1431号 特開平06−316578号 特開平10−310578号 WO 98/18765号 特開2002−121145号 特開2003−171283号 特開2002−105067号 特開2003−252776号 特開平11−255669号 特開2001−278786号 特開2002−212085号 特開2003−335698号 Broekhuysen, J., et al., Eur. J. Clin. Pharmacol., 4, 125-130 (1972) Walter-Sack, I., et al., Eur. J. Clin. Pharmacol., 39, 577-581 (1990) De Vries, J. X., et al., Clin. Investig., 71, 947-952 (1993) De Vries, J. X., et al., Xenobiotica, 23, 1435-1450 (1993) Walter-Sack, I., et al., Eur. J. Med. Res., 1, 16-20 (1995) Walter-Sack, I., et al., Eur. J. Med. Res., 3, 45-49 (1998)
本発明は、尿酸排泄促進作用が強く、かつ重篤な肝障害を引き起こすことなく、安全性の高い高尿酸血症の治療又は予防剤、より詳細には、尿酸排泄促進剤を提供することを目的としている。
ベンズブロマロンは肝臓において酸化および抱合の2段階の代謝を受けることが報告されている。第一層の代謝は、薬物代謝酵素であるP450による酸化反応であり、これにより、ベンズブロマロンは主に6‐ヒドロキシベンズブロマロンに変換される。第二層の代謝は、抱合酵素による抱合反応であり、6‐ヒドロキシベンズブロマロンは、この反応により抱合体を形成し胆汁あるいは尿中に排泄される。ベンズブロマロンによる副作用は、この第一層の反応において未知の毒性代謝物が産生されることが原因であると推察した。
そこで、本発明者らは、ベンズブロマロンの第一層の代謝産物である6−ヒドロキシベンズブロマロンに着目した。仮にこの物質が尿酸排泄促進活性を有しているならば、ベンズブロマロンの第一層の反応における未知の毒性代謝物の産生を抑制することができ、副作用の少ない安全性の高い尿酸排泄促進剤を開発することが可能となると考え、6−ヒドロキシベンズブロマロンの生理活性を検討したところ、従来注目されていなかった6−ヒドロキシベンズブロマロンに腎臓における尿酸の取り込みの強い抑制作用があること、及びアロプリノールの代謝産物であるオキシプリノールと同様なキサンチンオキシダーゼ阻害作用があることを見出し、本発明に至った。
本発明は、6−ヒドロキシベンズブロマロン又はその塩、及び製薬上許容される担体を含有してなる医薬組成物、より詳細には、高尿酸血症又は高尿酸血症に起因する疾患の治療・予防剤である医薬組成物に関する。
本発明は、6−ヒドロキシベンズブロマロン又はその塩を含有してなる尿酸排泄促進剤に関する。また、本発明は、6−ヒドロキシベンズブロマロン又はその塩を含有してなるキサンチンオキシダーゼ阻害剤に関する。さらに、本発明は、6−ヒドロキシベンズブロマロン又はその塩を含有してなる、腎臓における尿酸の取り込み抑制剤に関する。
本発明は、高尿酸血症又は高尿酸血症に起因する疾患の治療・予防のための医薬組成物の製造のための、6−ヒドロキシベンズブロマロン又はその塩の使用に関する。
また、本発明は、高尿酸血症又は高尿酸血症に起因する疾患の患者に、有効量の6−ヒドロキシベンズブロマロン又はその塩、及び製薬上許容される担体を含有してなる医薬組成物を投与することからなる高尿酸血症又は高尿酸血症に起因する疾患の治療又は予防方法に関する。
さらに、本発明は、2−エチル−6−ヒドロキシ−3−(p−ヒドロキシ−ベンゾイル)−ベンゾフラン(これらの水酸基は必要により保護されていてもよい。)を、ブロム化剤を用いてブロム化し、次いで水酸基の保護基を脱保護することからなる6−ヒドロキシ−ベンズブロマロンを製造する方法に関する。
本発明の6−ヒドロキシベンズブロマロンは、次式、
Figure 0004814789
で示される2−エチル−6−ヒドロキシ−3−(3’,5’−ジブロモ−4’−ヒドロキシ−ベンゾイル)−ベンゾフランである。本発明の6−ヒドロキシベンズブロマロンの塩としては、製薬上許容される塩が好ましく、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩などが挙げられる。
本発明の6−ヒドロキシベンズブロマロンは、各種の方法により化学合成することができ、例えば、必要により水酸基が保護されている2−エチル−6−ヒドロキシ−3−(p−ヒドロキシ−ベンゾイル)−ベンゾフランを、N−ブロモサクシンイミドなどのブロム化剤を用いてブロム化し、次いで水酸基の保護基を脱保護することにより製造することができる。水酸基の保護基としては、ペプチド化学における各種の公知の保護基を使用することができ、例えば、メチル基、エチル基、t−ブチル基などの低級アルキルでエーテル化する方法、メチルカルボニル基、エチルカルボニル基、t−ブチルカルボニル基などの低級アシル基でエステル化する方法などが挙げられる。
原料となる2−エチル−6−ヒドロキシ−3−(p−ヒドロキシ−ベンゾイル)−ベンゾフランは、必要により水酸基が保護されている2−エチル−6−ヒドロキシ−ベンゾフランと、p−ヒドロキシ−安息香酸の酸ハロゲン化物などの反応性誘導体とを反応させて製造することができる。この際の原料となる2−エチル−6−ヒドロキシ−ベンゾフランは、必要により水酸基が保護されている2−アセチル−6−ヒドロキシ−ベンゾフランのカルボニル基を還元して製造することができる。
本発明の6−ヒドロキシベンズブロマロンの好ましい製造例としては、例えば、2−アセチル−6−メトキシ−ベンゾフランをヒドラジンを用いて還元して、2−エチル−6−メトキシ−ベンゾフランとし、これに4−メトキシ−安息香酸の酸塩化物を四塩化スズの存在下に反応させて、2−エチル−6−メトキシ−3−(p−メトキシ−ベンゾイル)−ベンゾフランとし、次いでエタンチオールナトリウム塩の存在下でベンゾイル基のメトキシ基を選択的に脱保護して2−エチル−6−メトキシ−3−(p−ヒドロキシ−ベンゾイル)−ベンゾフランとし、これをジメチルスルフィドの存在下でナトリウム−N−ブロモサクシンイミドによりブロム化して、2−エチル−6−メトキシ−3−(3’,5’−ジブロモ−4’−ヒドロキシ−ベンゾイル)−ベンゾフランとし、次いで塩化アルミニウムの存在下で6位のメトキシ基を脱保護して製造することができる。
本発明の6−ヒドロキシベンズブロマロン又はその塩は、通常の製薬上許容される各種の担体と共に、医薬組成物とすることができる。製薬上許容される担体としては、製剤化のために通常使用される賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、稀釈剤などが挙げられる。本発明の医薬組成物は治療目的に応じて各種の投与形態を選択でき、例えば、経口投与、経粘膜投与、非経口投与などにより投与することができる。これらの投与形態に応じて、錠剤、顆粒剤、カプセル剤、散剤、液剤、懸濁剤、乳剤、坐剤、注射剤(液剤、懸濁剤等)などに製剤化することができる。錠剤、顆粒剤などの経口投与製剤とする際には、担体としては、例えば、乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、尿素、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロース、ケイ酸等の賦形剤、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン溶液、カルボキシメチルセルロース、セラック、メチルセルロース、リン酸カリウム、ポリビニルピロリドンなどの結合剤、デンプン、アルギン酸ナトリウム、カンテン未、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、乳糖などの崩壊剤、精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ酸末、ポリエチレングリコールなどの滑沢剤などが挙げられる。これらの担体を用いて公知の手法により各種の剤型に製剤化することができる。
本発明の医薬組成物中に含有される6−ヒドロキシベンズブロマロン又はその塩の量は、広範囲に選択されるが、通常は組成物全体の1〜80重量%、10〜70重量%程度とすることができる。
本発明の医薬組成物の投与量としては、患者の年齢、性別、症状、疾患の程度などにより適宜選択することができるが、通常は一日当り、体重1kg当り0.01〜500mg、好ましくは0.1〜100mg、0.1〜50mg程度とするのがよく、1日に2〜4回に分けて投与するのが好ましい。
本発明の6−ヒドロキシベンズブロマロン又はその塩は、尿酸排泄促進作用及びキサンチンオキシダーゼ阻害作用を有し、高尿酸血症又は高尿酸血症に起因する疾患の治療や予防に有効である。高尿酸血症に起因する疾患としては、痛風、尿酸(塩)結晶沈着症、関節炎(痛風発作)、尿路結石、虚血性心疾患などが挙げられる。また、これらの疾患に伴う肥満症、高血圧、高脂血症などの各種の合併症の治療や予防も包含される。
本発明の尿酸排泄促進剤、キサンチンオキシダーゼ阻害剤、及び腎臓における尿酸の取り込み抑制剤は、それぞれ医薬組成物として使用されるのが好ましいが、これに限定されるものではなく、各種の試験に使用される試薬としての使用や、食品に添加される食品添加剤としての使用なども包含される。
本発明の腎臓における尿酸の取り込み抑制剤は、より詳細には、腎臓における尿酸の取り込みに関与している尿酸特異的トランスポーターであるURAT1(Atsushi, E., et al., Nature, 417(6887), 447-452 (2002))による取り込みの抑制が挙げられる。
次に本発明の6−ヒドロキシベンズブロマロン又はその塩の作用について説明する。
本発明者らは、6−ヒドロキシベンズブロマロン、及び従来から高尿酸血症の治療剤として使用されているベンズブロマロンの、腎臓における尿酸の取り込みに関与している尿酸特異的トランスポーターであるURAT1(Atsushi, E., et al., Nature, 417(6887), 447-452 (2002))に対する作用を検討した。
MDCK細胞にURAT1のcDNAを導入し、安定発現細胞(MDCK−URAT1)を作出した。この細胞を用いて、100μMの[14C]尿酸を含有するダルベッコ修飾PBS液に種々の濃度の6−ヒドロキシベンズブロマロン又はベンズブロマロンを含む溶液を加えて後、液体シンチレーションカウンターで細胞内に取り込まれた[14C]尿酸のdpmをカウントした。それぞれ3回実験を行い、IC50の値をプロフィット(profit)で解析した。
6−ヒドロキシベンズブロマロン、及びベンズブロマロンの結果をそれぞれ図1及び図2にグラフで示す。図1及び図2の縦軸は尿酸の取り込み量(pmol/mgタンパク質/分)を示し、横軸はそれぞれの濃度(μM)を示す。図1の場合のIC50の値は0.13μMであり、図2に場合のIC50の値は0.031μMであった。
3回の実験の結果、6−ヒドロキシベンズブロマロン及びベンズブロマロンはいずれも濃度依存的に尿酸の取り込みを抑制し、3回の実験の結果、6−ヒドロキシベンズブロマロンのIC50の値は0.20±0.06μMであり、ベンズブロマロンのIC50の値は0.0345±0.003μMであった。このことは、6−ヒドロキシベンズブロマロンは、ベンズブロマロンと同様に濃度依存的に尿酸の取り込みを抑制し、尿酸排泄促進作用を有していることを明らかにするものである。そして、その強さはベンズブロマロンの約1/6であるが、かなり強い尿酸排泄促進作用を有していることがわかった。
次に、6−ヒドロキシベンズブロマロンのキサンチンオキシダーゼ阻害活性を検討した。 ウシミルク由来のキサンチンオキシダーゼの活性を、100μMのキサンチンを基質にして、0.1Mリン酸緩衝液を半分の量の水で希釈した1/15Mリン酸緩衝液(pH7.4)中で、37℃で生成する尿素の吸光度(292nm)を経時的に測定する系を用いて、6−ヒドロキシベンズブロマロン、又はアロプリノールの代謝産物であるオキシプリノールの阻害活性を測定し、IC50を解析した。この結果、6−ヒドロキシベンズブロマロンのIC50の値は68μM、オキシプリノールのIC50の値は13μMであった。この結果、本発明の6−ヒドロキシベンズブロマロンは、オキシプリノールの約1/5のキサンチンオキシダーゼの阻害活性を有していることがわかった。
次に、ベンズブロマロンの健康成人男性における単回経口投与した場合の臨床薬物動態試験を行った。投与後の6−ヒドロキシベンズブロマロン又はベンズブロマロンの血漿及び尿中の濃度をLC/MS/MSを用いて測定した。
血漿についての結果を図3に、尿についての6−ヒドロキシベンズブロマロンの結果を図4にそれぞれ示す。図3の縦軸は血漿中の濃度(ng/mL)を示し、横軸は時間(時間)を示す。図3中の点線でのバツ印(×)は6−ヒドロキシベンズブロマロンの場合を示し、白三角印(△)はベンズブロマロンの場合を示す。図4の縦軸は尿中の濃度(ng/mL)を示し、横軸は時間(時間)を示す。
この結果、血漿中のベンズブロマロンの濃度は、投与後速やかに上昇した後、徐々に減少して投与48時間後には消失した。一方、6−ヒドロキシベンズブロマロンはより長く血漿中に存在し、投与72時間後においても平均約110ng/mLが検出され、AUCもベンズブロマロンに比べて2倍以上高い値を示した。尿中にはベンズブロマロンはほとんど検出されなかったのに対して、6−ヒドロキシベンズブロマロンは投与72時間後においても平均約170ng/mLが認められた。
以上のことから、6‐ヒドロキシベンズブロマロンは、トランスポーターURAT1による尿酸の取り込みを、ベンズブロマロンとほぼ同程度に阻害する事が明らかになり、ベンズブロマロンと同様に尿酸排泄促進効果を示すことが示された。URAT1は腎尿細管上皮細胞の管腔側に存在していることから、尿中の6−ヒドロキシベンズブロマロンがURAT1による尿酸の再吸収の阻害に寄与していることが示された。
また、ベンズブロマロンのヒト臨床薬物動態試験の結果、ベンズブロマロンを単回経口投与した健康成人男性において、尿中にはベンズブロマロンはほとんど認められず、一方、投与72時間後まで、尿中に高い濃度の6‐ヒドロキシベンズブロマロンが検出された。
さらに、6−ヒドロキシベンズブロマロンがキサンチンオキシダーゼを阻害することが明らかとなったことから、6‐ヒドロキシベンズブロマロンは尿酸産生促進型の病態に対しても有効であることが示された。
本発明の6−ヒドロキシベンズブロマロン又はその塩は、強い尿酸排泄促進作用と共に、キサンチンオキシダーゼ阻害作用も有しており、高尿酸血症及び高尿酸血症に起因する疾患に治療や予防のための有効成分として有用であるだけでなく、本発明の6−ヒドロキシベンズブロマロン又はその塩は、肝臓での代謝を受けにくく従来の尿酸排泄促進剤のような重篤な肝障害などの副作用が無く、長時間にわたって血中濃度を高く維持することができ、さらに、毒性が低く、安全係数が大きいことから、極めて安全性の高いものである。本発明の医薬組成物は、尿酸排泄促進作用が強く、かつ重篤な肝障害を引き起こすことなく、安全性の高い高尿酸血症の治療又は予防剤、より詳細には、尿酸排泄促進剤を提供するものである。
図1は、URAT1による尿酸の取り込みにおける、本発明の6−ヒドロキシベンズブロマロンの取り込み抑制作用の実験結果を示すグラフである。 図2は、URAT1による尿酸の取り込みにおける、ベンズブロマロンの取り込み抑制作用の実験結果を示すグラフである。 図3は、健常人男性におけるベンズブロマロンの臨床薬物動態試験の結果における血漿中の6−ヒドロキシベンズブロマロン(点線×印)及びベンズブロマロン(△印)の濃度(ng/mL)を示すグラフである。 図4は、健常人男性におけるベンズブロマロンの臨床薬物動態試験の結果における尿中の6−ヒドロキシベンズブロマロンの濃度(ng/mL)を示すグラフである。 図5は、本発明の6−ヒドロキシベンズブロマロンのH−NMR(300MHz、重クロロホルム)のチャートである。 図6は、S2細胞における、ヒトOAT4(ヒト有機アニオントランスポーター4)による、ベンズブロマロン及び6−ヒドロキシベンズブロマロンの存在下における基質H−硫酸エステロン(estrone sulfate)の取り込み阻害作用を測定した結果を示すものである。 図7は、S2細胞における、ヒトOAT3(ヒト有機アニオントランスポーター3)による、ベンズブロマロン及び6−ヒドロキシベンズブロマロンの存在下における基質H−硫酸エステロン(estrone sulfate)の取り込み阻害作用を測定した結果を示すものである。 図8は、ヒトOAT3(ヒト有機アニオントランスポーター3)における、6−ヒドロキシベンズブロマロンの基質H−硫酸エステロン(estrone sulfate)の取り込み阻害作用の定数(Ki値)を分析した結果を示すものである。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
6−ヒドロキシベンズブロマロンの製造
(1)2−エチル−6−メトキシベンゾフランの調製
2−アセチル−6−メトキシベンゾフラン(3.30g、17.3mmol)のジエチレングリコール溶液にヒドラジン(4.11g、69.4mmol、〜55%、オルドリッチ)を添加した。この混合物を190℃まで加熱し、10分間撹拌した。常温まで冷却後、水酸化カリウム(2.92g、52.1mmol)を添加し、120℃〜130℃にて6時間撹拌した。その後、その反応液を水に投入し、ジクロロメタンで抽出し、MgSOで乾燥し、減圧下で濃縮した。残留した油分をHPLC(シリカゲル、CHCl)にて精製し、目的の生成物(2.98g、16.9mmol、97%)を得た。
(2)3−(p−アニソイル)−2−エチル−6−メトキシベンゾフランの調製
2−エチル−6−メトキシベンゾフラン(2.76g、15.6mmol)及びp−アニソイルクロライド(3.48g、20.3mmol)の乾燥二硫化炭素(20ml)溶液を氷冷し、これに、塩化スズ(IV)(5.25g、20.3mmol)を撹拌下に滴下した。この混合物を5〜10℃で3時間撹拌し、水に投入した。有機層を希塩酸と水とで洗浄し、MgSOで乾燥し、減圧下で濃縮した。この粗製生成物をHPLC(シリカゲル、酢酸エチル:ヘキサン=2:8)にて精製し、淡黄色油状の目的の生成物(2.98g、9.60mmol、58%)を得た。
(3)2−エチル−3−(p−ヒドロキシベンゾイル)−6−メトキシベンゾフランの調製
3−(p−アニソイル)−2−エチル−6−メトキシベンゾフラン(2.39g、7.7mmol)及びエタンチオールナトリウム塩(971mg、11.5mmol)のジメチルホルムアミド溶液を80℃にて4時間撹拌した。この反応をNHCl溶液を用いて終了させ、クロロホルムで抽出した。抽出物を水と食塩水で洗浄し、MaSOで乾燥し、減圧下で濃縮した。その残留物をHPLC(シリカゲル、酢酸エチル:ヘキサン=2:8)にて精製し、目的の生成物(2.28g、7.70mmol、100%)を得た。
(4)6−メトキシベンズブロマロンの調製
N−ブロモサクシンイミド(12.0g、67.5mmol)のジクロルメタン溶液にジメチルフィド(5.0ml、68mmol)を氷と食塩の浴の冷却下に、添加した。10分間撹拌後、2−エチル−3−(p−ヒドロキシベンゾイル)−6−メトキシベンゾフラン(2.00g、6.75mmol)のジクロルメタン溶液を同温度で添加した。この混合物を常温で15時間撹拌した。この反応液に水を添加し、有機層を単離し、水と食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、減圧下で濃縮した。その残留物をHPLC(クロロホルム)にて精製し、目的の生成物(1.70g、3.74mmol、55%)を得た。
(5)6−ヒドロキシベンズブロマロンの調製
AlCl(2.346mg、17.6mmol)にエタンチオール7mlを氷浴下に滴下した。この溶液を6−メトキシベンズブロマロン(1.70g、3.74mmol)のジクロルメタン溶液(35ml)に添加した。同温度で10分間撹拌後、水を添加し、1N HCl溶液を添加した。その有機層を単離し、水層を酢酸エチルで2回抽出した。合わせた有機層を食塩水にて洗浄し、MgSOで乾燥し、減圧下で濃縮した。残留物をHPLC(シリカゲル、CHCl:MeOH=30:1)にて精製し、イソプロピルエーテルから再結晶し、目的の生成物1.00g(2.35mmol、63%)を得た。
得られた6−ヒドロキシベンズブロマロンの純度は、HPLCにより99.8%であった。このもののH−NMR(300MHz、重クロロホルム)のチャートを図5に添付する。
MDCK細胞に哺乳類発現ベクターpcDNA3.1にURAT1のcDNAを組み込んだもの、あるいはpcDNA3.1を遺伝子導入して、安定発現細胞(MDCK−URAT1)及びmock細胞を作出した。
このMDCK−URAT1を5%仔牛胎児血清及び400μg/mLのゲネチシン(geneticin)を含む最小必須培地(minimal essential medium)で培養し、24穴のディッシュの1穴当たり10個の細胞を植え込んで2日培養した。その後、ダルベッコ修飾PBS(Dulbecco modified PBS)液で洗い、その後ダルベッコ修飾PBS液中で10分間プレインキュベートした。
その後、100μMの[14C]尿酸を含有するダルベッコ修飾PBS液に種々の濃度の6−ヒドロキシベンズブロマロン又はベンズブロマロンを含む溶液を加えて、37℃で2分間インキュベートした。その後、ダルベッコ修飾PBS液で3回洗浄後、0.1NのNaOHで細胞を回収した。そして、シンチレーションカクテル(scintillation cocktail)を加えて、液体シンチレーションカウンターで細胞内に取り込まれた[14C]尿酸のdpmをカウントした。IC50の値はプロフィット(profit)で解析した。
結果を図1及び図2に示す。3回の実験の結果、6−ヒドロキシベンズブロマロン及びベンズブロマロンはいずれも濃度依存的に尿酸の取り込みを抑制し、3回の実験の結果、6−ヒドロキシベンズブロマロンのIC50の値は0.20±0.06μMであり、ベンズブロマロンのIC50の値は0.0345±0.003μMであった。
ウシミルク由来のキサンチンオキシダーゼの活性を、100μMのキサンチンを基質にして、0.1Mリン酸緩衝液を半分の量の水で希釈した1/15Mリン酸緩衝液(pH7.4)中で、37℃で生成する尿素の吸光度(292nm)を経時的に測定する系を用いて、6−ヒドロキシベンズブロマロン、又はオキシプリノールのそれぞれ0.0μM、0.1μM、0.3μM、1.0μM、3.0μM、10.0μM、30.0μM、100μM、及び300μMの濃度での阻害活性を測定し、IC50を解析した。
この結果、6−ヒドロキシベンズブロマロンのIC50の値は68μM、オキシプリノールのIC50の値は13μMであった。
年齢20〜27歳の健常人男性6名を対象に、ユリノーム2錠(登録商標)(ベンズブロマロンとして100mg)を空腹時に水180mLと共に単回経口投与し、以後、72時間後まで、経時的に採血および蓄尿を行った。得られた血漿及び尿について、LC/MS/MSを用いてベンズブロマロン、6−ヒドロキシベンズブロマロン、ブロモベンザロン及びベンザロンを測定した。なお、6名の被験者については、事前にベンズブロマロンの代謝に関与するCYP2C9に遺伝子変異(CYP2C93)がないことを確認した。
結果を図3及び図4に示す。
ベンズブロマロン及び6−ヒドロキシベンズブロマロンの単回投与薬物動態試験
ベンズブロマロン及び6−ヒドロキシベンズブロマロンを、それぞれ100mg/kgの用量でラットに単回投与した結果、ベンズブロマロンのCmax、及びAUC0−24hrは、それぞれ90.19μg/mL、886.56μg・hr/mLであったのに対して、6−ヒドロキシベンズブロマロンのCmax、及びAUC0−24hrは、それぞれ34.55μg/mL、290.80μg・hr/mLであった。
この結果、6−ヒドロキシベンズブロマロンは、ベンズブロマロンと同様に経口投与により良好に消化管から血中に吸収されることがわかった。したがって、6−ヒドロキシベンズブロマロンは経口投与後、血中に吸収された後、尿中に排泄され、近位尿細管上皮細胞の管腔側膜に存在するURAT1を阻害し、尿酸の再吸収を阻害すると考えられる。
ベンズブロマロン及び6−ヒドロキシベンズブロマロンの2週間反復投与毒性試験
ベンズブロマロン及び6−ヒドロキシベンズブロマロンをそれぞれ100mg/kg/dayの用量でラットに14日間投与した結果、ベンズブロマロン投与群では肝臓重量の増加(13.59g)が認められ、一方、6−ヒドロキシベンズブロマロン投与群では薬物投与による肝臓重量の増加は認められなかった(9.90g)。なお、正常対照群の肝重量は、9.43gであった。
上記の結果から、6−ヒドロキシベンズブロマロンは、ベンズブロマロンよりも肝臓に対する影響が少ないものであることがわかった。
OAT4(有機アニオントランスポータ)による作用機序の試験結果
OAT4(有機アニオントランスポータ)は近位尿細管管腔側膜に存在し、尿酸などの有機アニオンを細胞内に取り込む有機アニオントランスポーターであり、その代表的な基質として硫酸エステロン(estrone sulfate)が知られている。そこで、OAT4を発現しているS2細胞を用いて、ベンズブロマロン及び6−ヒドロキシベンズブロマロンの、OAT4による硫酸エステロン(estrone sulfate)の取り込みの阻害作用を実験した。ベンズブロマロン及び6−ヒドロキシベンズブロマロンが、それぞれ0.01μmol/L、0.1μmol/L、1μmol/L、及び30μmol/L存在下におけるH−硫酸エステロン(estrone sulfate)(50nmol/L)の取り込み量を測定した。この結果を図6に、なにも存在しないときのH−硫酸エステロン(estrone sulfate)の取り込み量(control)を、100%としたときの相対値として示した。
この結果、OAT4における、H−硫酸エステロン(estrone sulfate)の取り込みを6−ヒドロキシベンズブロマロンは用量に相関して阻害し、そのIC50は3.2μmol/Lであった。また、ベンズブロマロンのそれは、5.4μmol/Lであった。
この様に6−ヒドロキシベンズブロマロンはOAT4における基質の取り込みに対して阻害作用を有していることから、生体中の6−ヒドロキシベンズブロマロンはOAT4による尿酸の再吸収を阻害し、尿酸の排泄を促進するものと考えられる。
OAT3(有機アニオントランスポータ)による作用機序の試験結果
OAT3(有機アニオントランスポータ)は近位尿細管基底側(血管側)膜に存在し、尿酸などの有機アニオンを細胞内に取り込む有機アニオントランスポーターであり、その代表的な基質として硫酸エステロン(estrone sulfate)が知られている。そこで、実施例7と同様にして、OAT3を発現しているS2細胞を用いて、ベンズブロマロン及び6−ヒドロキシベンズブロマロンの、OAT3による硫酸エステロン(estrone sulfate)の取り込みの阻害作用を実験した。ベンズブロマロン及び6−ヒドロキシベンズブロマロンが、それぞれ0.01μmol/L、0.1μmol/L、1μmol/L、及び30μmol/L存在下におけるH−硫酸エステロン(estrone sulfate)(50nmol/L)の取り込み量を測定した。この結果を図7に、なにも存在しないときのH−硫酸エステロン(estrone sulfate)の取り込み量(control)を、100%としたときの相対値として示した。
この結果、OAT3によるH−硫酸エステロン(estrone sulfate)の取り込みを6−ヒドロキシベンズブロマロンは用量に相関して阻害し、そのIC50値は0.3μmol/Lであった。また、ベンズブロマロンのそれは、0.7μmol/Lであった。
この様に6−ヒドロキシベンズブロマロンはOAT3における基質の取り込みに対して阻害作用を有している。
また、OAT3によるH−硫酸エステロン(estrone sulfate)の取り込みにおける6−ヒドロキシベンズブロマロンの阻害作用を分析(Ki値)した。結果を図8に示す。図8の横軸は1/S(L/mmol)であり、縦軸は1/V(mg蛋白/μM・分)であり、黒四角印(■)は6−ヒドロキシベンズブロマロン(0.3μM)の場合を示し、白四角印(□)は対照(control)を示す。その結果、その阻害様式は競合阻害と非競合阻害の混合型であった。それぞれのKi値は、1.0μM(競合阻害)、0.7μM(非競合阻害)であった。
したがって、血中の6−ヒドロキシベンズブロマロンの一部は、OAT3によってOAT3の基質と競合して、近位尿細管上皮細胞内に取り込まれ、細胞内部からURATを阻害し、尿酸の再吸収を阻害すると考えられる。
本発明は、尿酸排泄促進作用が強く、かつ重篤な肝障害を引き起こすことなく、安全性の高い高尿酸血症の治療又は予防剤、より詳細には、尿酸排泄促進剤を提供するものであり、医薬産業において極めて有用である。


Claims (6)

  1. 6−ヒドロキシベンズブロマロン又はその塩、及び製薬上許容される担体を含有してなる、高尿酸血症又は高尿酸血症に起因する疾患の治療・予防のための医薬組成物。
  2. 医薬組成物が、痛風の治療・予防剤である請求項1に記載の医薬組成物。
  3. 医薬組成物が、尿酸排泄促進剤である請求項1に記載の医薬組成物。
  4. 医薬組成物が、キサンチンオキシダーゼ阻害剤である請求項1に記載の医薬組成物。
  5. 6−ヒドロキシベンズブロマロン又はその塩を含有してなる、腎臓における尿酸の取り込み抑制剤。
  6. 腎臓における尿酸の取り込みが、尿酸特異的トランスポーターであるURAT1による取り込みである請求項5に記載の抑制剤。
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