JP4813779B2 - セラミックペースト、導電ペースト及び誘電ペースト - Google Patents

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Description

本発明は、ポリビニルアセタール系樹脂に対し可塑化効果が高く、かつ、適度な揮発性を持つ可塑剤を用いるセラミックペースト、導電ペースト、誘電ペーストに関する。
ポリビニルアセタール系樹脂は、強靱性、製膜性、顔料等の無機・有機粉体等の分散性、塗布面への接着性等に優れていることから、例えば、インク、塗料、プライマー、分散剤、接着剤、セラミックグリーンシート、熱現像性感光材料、水性インク受容層等のバインダ樹脂等の様々な用途で使用されている。例えば、積層セラミックコンデンサのセラミックグリーンシート用バインダ樹脂として用いられる場合は、ポリビニルブチラール系樹脂を有機溶剤に溶解し、可塑剤や分散剤等を添加した後、チタン酸バリウム等のセラミックス原料粉末を加え、ボールミル等により均一に混合し、セラミックスラリー組成物を得る。このセラミックスラリー組成物をドクターブレード、リバースロールコーター等を用いて、離型処理したポリエチレンテレフタレートフィルム、またはステンレスプレート(SUSプレート)等の支持体面に流延成形する。これを加熱等により、溶剤等の揮発分を溜去させた後、支持体から剥離してセラミックグリーンシートを得ていた。
また、導電ペースト用バインダ樹脂として用いられる場合には、Ni等の金属粉末とチタン酸バリウム等のセラミック粉末をポリビニルアセタール系樹脂を溶解した溶液に添加し、分散し、ボールミルや三本ロール等で混練して導電ペーストを得る。これをセラミックグリーンシート上にスクリーン印刷等によって導電体を形成し電極層とする。
このような用途に用いられるポリビニルアセタール系樹脂に対しては、シートに柔軟性を付与したり、積層する際の接着力を高める目的で可塑剤が添加されている。用いられる可塑剤は、一般に、ジオクチルフタレート(DOP)やジブチルフタレート(DBP)等のフタル酸系の可塑剤や、ジオクチルアジペート(DOA)のようなアジピン酸系のものが使用されていた。
しかしながら、DOPやDBPは可塑化効果は、非常に高いが、揮発性が高く、可塑剤が揮発して可塑化効果が低下するといった問題があり、また、DOAは、揮発性は低いが、可塑化効果は、それほど高くないといった問題点あった。特に、セラミックグリーンシートは、積層セラミック素子の配線密度の高密度化に伴って、薄膜化が進展しており、薄膜化したセラミックグリーンシートからも揮発せず、可塑剤添加によってシート強度が低下して破れたり、焼成したときにクラックが生じたりしない高性能の新規可塑剤が望まれていた。
また、DOP、DBP等のフタル酸系の可塑剤は内分泌攪乱物質の疑いがあるなど、環境面でも問題があった。このような観点からも、DOP、DBP等のフタル酸系の可塑剤に代わるポリビニルアセタール系樹脂に好適に使用できる可塑化効果が高く、かつ、適度の揮発性を有する新規可塑剤が望まれていた。
本発明は、上記問題を解決し、ポリビニルアセタール系樹脂に対して好適な可塑化効果を示し、かつ、適度の揮発性を有するポリビニルアセタール樹脂用可塑剤を用いるセラミックペースト、導電ペースト、誘電ペーストを提供することを目的とする。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で用いるポリビニルアセタール樹脂可塑剤は、一般式(1)で表される分子構造である。
Figure 0004813779
[式中、R1は、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を表し、nは1〜5の自然数を表す。R2、R3は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、環状のアルキル基を表し、それぞれ同一であっても異なっていても良い。]
一般式(1)中、R1は炭素数1〜6のアルキレン基を表し直鎖状であっても良いし分岐を含んでいても良い。R1の炭素数が7以上になるとポリビニルアセタール系樹脂に対する相溶性や可塑化効果が低下する。さらに、好適には炭素数が2〜4である。
一般式(1)中のR1としては、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、へキシレン、1−メチルメチレン、1−メチルエチレン、1−メチルプロピレン、2−メチルプロピレン、1−メチルブチレン、2−メチルブチレン、1−メチルペンチレン、2−メチルペンチレン、3−メチルペンチレン、1−エチルメチレン、1−エチルメチレン、1−エチルエチレン、1−エチルプロピレン、2−エチルプロピレン、1−エチルブチレン、2−エチルブチレン、1,1−ジメチルメチレン、1,1−ジメチルエチレン、1,2−ジメチルエチレン、1,1−ジメチルプロピレン、1,2−ジメチルプロピレン、2,2−ジメチルプロピレン、1,3−ジメチルプロピレン、1,1−ジメチルブチレン、1,2−ジメチルブチレン、1,3−ジメチルブチレン、1,4−ジメチルブチレン、2,2−ジメチルブチレン、2,3−ジメチルブチレン等が挙げられる。
一般式(1)中のnは、1〜5の自然数を表す。nが6以上になると揮発性が低下する。R2、R3は炭素数1〜20のアルキル基を表し、直鎖状であっても分岐状であっても環状であっても良く、これらが複合されていても良い。また、R2とR3はそれぞれ同一であっても異なっていても良い。
一般式(1)中のR2、R3としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、1−メチルエチル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、1−メチルヘキシル、2−メチルヘキシル、3−メチルヘキシル、4−メチルヘキシル、5−メチルヘキシル、1−メチルヘプチル、2−メチルヘプチル、3−メチルヘプチル、4−メチルヘプチル、5−メチルヘプチル、6−メチルヘプチル、1−エチルエチル、1−エチルプロピル、2−エチルプロピル、1−エチルブチル、2−エチルブチル、3−エチルブチル、1−エチルペンチル、2−エチルペンチル、3−エチルペンチル、4−エチルペンチル、1−エチルヘキシル、2−エチルヘキシル、3−エチルヘキシル、4−エチルヘキシル、5−エチルヘキシル、1−エチルヘプチル、2−エチルヘプチル、3−エチルヘプチル、4−エチルヘプチル、5−エチルヘプチル、6−エチルヘプチル、1−プロピルエチル、1−プロピルプロピル、2−プロピルプロピル、1−プロピルブチル、2−プロピルブチル、3−プロピルブチル、1−プロピルペンチル、2−プロピルペンチル、3−プロピルペンチル、4−プロピルペンチル、1−プロピルヘキシル、2−プロピルヘキシル、3−プロピルヘキシル、4−プロピルヘキシル、5−プロピルヘキシル、1−プロピルヘプチル、2−プロピルヘプチル、3−プロピルヘプチル、4−プロピルヘプチル、5−プロピルヘプチル、6−プロピルヘプチル、シクロヘキシル、2−メチルシクロヘキシル、3−メチルシクロヘキシル、2,2−ジメチルシクロヘキシル、2,3−ジメチルシクロヘキシル、2,4−ジメチルシクロヘキシル、2,5−ジメチルシクロヘキシル、3,3−ジメチルシクロヘキシル、2−エチルシクロヘキシル、3−エチルシクロヘキシル、4−エチルシクロヘキシル、5−エチルシクロヘキシル等が挙げられる。
本発明で用いられるポリビニルアセタール系樹脂には、変性ポリビニルアセタール系樹脂も含まれる。変性ポリビニルアセタール系樹脂とは、α−オレフィン単位を20モル%まで含有するポリビニルアセタール系樹脂である。
上記α−オレフィン単位が含有されることによって得られる変性ポリビニルアセタール系樹脂は、溶液にしたときのチキソ性を有するようになる。α−オレフィン単位が20モル%を超えると溶解性が低下するために、アセタール化反応が十分に進行しなかったり、得られる変性ポリビニルアセタール系樹脂の溶剤に対する溶解性が低下したりする。
上記ポリビニルアセタール系樹脂としては、ケン化度80mol%以上のポリビニルアルコール樹脂や変性ポリビニルアルコール系樹脂をアセタール化することで得られるものであって、重合度が200〜4000、アセタール化度が40〜80mol%であることが好ましい。
上記ポリビニルアルコール樹脂や変性ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度が低すぎると溶解性が低下し、アセタール化が十分に進行しなかったり、得られるポリビニルアセタール系樹脂の溶剤に対する溶解性が低下する。
上記α‐オレフィン単位としては、炭素数1〜20のアルキレンが好ましく、直鎖状、分岐状、環状であっても良い、更に、好ましくは、炭素数1〜10の直鎖状又は環状であり、更に、好ましくは炭素数2〜6の直鎖状である。
上記α‐オレフィン単位としては、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、ブチレン、イソブチレン、ペンチレン、へキシレン、シクロヘキシレン、シクロヘキシルエチレン、シクロヘキシルプロピレン等が挙げられる。
上記ポリビニルアセタール系樹脂は、ポリビニルアルコール樹脂や変性ポリビニルアルコール系樹脂を温水で溶解した後、酸触媒の存在下で所定のアセタール化度となるようにアルデヒドを添加し、反応させた後、水洗、中和、乾燥することで得ることができる。中でも、変性ポリビニルアセタール系樹脂は、チキソ性に優れるため、セラミックペースト、導電ペースト、誘電ペースト等のスクリーン印刷工程に使用されるペーストに好適に使用することができる。
上記反応に用いられるアルデヒドは特に限定されないが、例えば、ホルムアルデヒド(パラホルムアルデヒドを含む)、アセトアルデヒド(パラアセトアルデヒドを含む)、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、アミルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、ヘプチルアルデヒド、2−エチルヘキシルアルデヒド、シクロヘキシルアルデヒド、フルフラール、グリオキザール、グルタルアルデヒド、ベンズアルデヒド、2−メチルベンズアルデヒド、3−メチルベンズアルデヒド、4−メチルベンズアルデヒド、p−ヒドロキシアルデヒド、m−ヒドロキシアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、フェニルプロピオンアルデヒド等が挙げられる。これらのアルデヒドは単独で用いても2種以上併用しても良く、アセトアルデヒド及び/又はブチルアルデヒドが好適に用いられる。
上記酸触媒としては、特に規定されず、有機酸、無機酸いずれも用いることができるが、例えば、酢酸、パラトルエンスルホン酸、硝酸、硫酸、塩酸等が挙げられる。また、中和に用いられるアルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられる。
本発明のセラミックペーストは、セラミックス粉末を溶剤を除く固形分に対して5体積%以上含有し、一般式(1)で表される可塑剤及びポリビニルアセタール系樹脂及び溶剤を主たる構成成分として含有するが、分散剤などを適宜配合しても良い。
上記セラミックペーストは、ドクターブレード法などの公知の方法によってシート状に製膜して、セラミックグリーンシートを製造することができる。
上記セラミックス粉末としては、セラミックス粉末単独のもの、ガラス−セラミックス複合系、結晶化ガラス系のもの等が挙げられ、具体的には、例えば、チタン酸バリウム、アルミナ(Al23 )、ジルコニア(ZrO2 )、マグネシア(MgO)、窒化アルミニウム(AlN)等が挙げられる。
上記セラミックス粉末の粒子径および比表面積は作製しようとするセラミックグリーンシートの厚みや焼成後の厚みを考慮して選ばれるが、粒子径0.2〜10μm、比表面積0.2〜15m2 /gであることが好ましく、より好ましい範囲は粒子径0.5〜5.0μm、比表面積0.5〜10m2 /gである。
上記セラミックス粉末の占める割合は、セラミックペーストの溶剤等を除く固形分に対して5体積%以上であり、好ましくは5〜50体積%である。
上記溶剤としては、有機溶剤であれば、400℃以下でほぼすべての溶剤がセラミックスペースト焼成の際に、揮発するので特に限定されず、セラミックス粉末、導電性粉末、誘電性粉末、金属微粒子、金属超微粒子や金属有機化合物を混合した樹脂を溶解できるペースト調製用の公知の有機溶剤が利用でき、例えば、脂肪族アルコール、アルコールエステル、カルビトール系溶媒、セロソルブ系溶媒、ケトン系溶媒、炭化水素系溶媒等が挙げられ、具体的には、アルコール、アルコールエステル、アルコールエーテル、アセトン、ヘキサン、ペンタン等の液状炭化水素、トルエン、キシレンなどの液状芳香族炭化水素などが挙げられる。
上記溶剤の割合は、得られるセラミックペーストを塗布する方法によって適宜決められるもので特に限定されるものではない。
請求項2記載の導電ペーストは、導電性粉末を溶剤を除く固形分に対して5体積%含有し、且つ請求項1記載の一般式(1)で表される可塑剤及、ポリビニルアセタール系樹脂及び溶剤とを主たる構成成分として含有するが、必要に応じて、分散剤、導電性粉末以外の無機粉末などを適宜配合しても良い。
請求項2記載導電ペーストをドクターブレード法などの公知の方法によってシート状に製膜し、焼成し、導電性粉末や無機粉末以外の構成成分を脱脂して導電体層が得られる。
上記導電性粉末としては、特に限定されず、焼結できる公知の金属微粒子が用いられ、例えば、金微粒子、銀微粒子、銅微粒子等が挙げられる。なお、金属微粒子は超微粒子と呼ばれるナノサイズからサブミクロンサイズになると活性が高まるため、超微粒子サイズの金属超微粒子であることが好ましい。金属微粒子は、凝集しやすいため金属表面が脂肪酸、脂肪酸塩や脂肪酸エステルで被覆処理された表面処理金属微粒子であることがより好ましい。その一例として、脂肪酸に被覆された銀微粒子、特に直鎖脂肪酸により被覆された銀微粒子等が挙げられる。
上記金属超微粒子には、内部に金属核があり、周囲にその母材としての金属有機化合物が取り巻き、有機成分が外方に向いて配置しているので、有機溶剤の中で金属超微粒子の凝集が少なく安定した分散状態となっている。
上記金属超微粒子の金属核としては、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pd、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、V、Cr、Mn、Y、Zr、Nb、Mo、Ca、Sr、Ba、Sb等があり、金属核の直径は1〜100nmである。
上記金属有機化合物には、有機金属錯体や有機金属化合物、金属アルコキシド等が上げられる。具体的には、ナフテン酸、オクチル酸、ステアリン酸、安息香酸、パラトルイル酸、n−デカン酸等の脂肪酸の金属塩;イソプロポキシド、エトキシド等の金属アルコキシド;アセチルアセトンの金属錯塩等が挙げられる。ナフテン酸金属塩としては、例えば、ナフテン酸銀、ナフテン酸ビスマス、ナフテン酸バナジウム等が挙げられ、貴金属に限らず各種金属のナフテン酸塩が用いられる。
上記導電性粉末は、粒径は大きくなると形成される導電体に凸凹の欠陥等が発生するので、50μm以下であることが好ましく、より好ましくは20μm以下である。
上記導電性粉末の占める割合は、導電ペーストの溶剤等を除く固形分に対して5体積%以上であるが、好ましくは5〜50体積%である。
上記溶剤としては、上記セラミックペーストで使用されるものと同様のものが挙げられる。
上記溶剤の割合は、得られる導電ペーストを塗布する方法によって適宜決められるもので特に限定されるものではない。
請求項3記載の誘電ペーストは、誘電粉末を溶剤を除く固形分に対して5体積%以上含有し、且つ請求項目1記載の一般式(1)で表される可塑剤、ポリビニルアセタール樹脂及び溶剤とを主たる構成成分として含有するが、分散剤等を適宜配合しても良い。
上記誘電ペーストをドクターブレード法等の公知の方法によってシート状に製膜し、焼成し、誘電粉末以外の構成成分を脱脂して誘電体層が得られる。
上記誘電粉末としては、セラミックス粉末と同様のものが用いられる他、ガラス粉末、ガラスフリット等の無機物の粉末、SiO、Al、CaO、B、MgOおよびTiOなどを含むガラス粉末とアルミナ、ジルコニア、マグネシア、ベリリア、ムライト、シリカ等の無機物の粉末との混合物等があげられる。
上記誘電性粉末粒径としては、上記セラミックス粉末と同程度のものが好ましい。
上記セラミックス粉末の占める割合は、誘電ペーストの溶剤等を除く固形分に対して5体積%以上であり、好ましくは5〜50体積%である。
上記溶剤としては、セラミックペーストで使用されるものと同様のものが挙げられる。
上記溶剤の割合は、得られる誘電ペーストを塗布する方法によって適宜決められるもので特に限定されるものではない。
本発明のセラミックペースト、導電ペースト、誘電ペーストの粘度は、塗布方法に適するように溶剤の割合により調整することが可能である。ペーストをキャスト製膜すれば、例えば、セラミックグリーンシート等を得ることができる。
本発明のセラミックペースト、導電ペースト、誘電ペーストは、積層セラミック素子の製造方法に用いることができる。導電ペースト、誘電ペーストは、スクリーン印刷等によりセラミックグリーンシートに塗布して所定のパターンに塗布する導電回路又は誘電回路を形成するために用いられる。導電ペーストや誘電ペーストにより得られた表面に回路が形成されたセラミックグリーンシートを積層し、例えば、焼成温度350〜650℃で焼成することにより積層セラミック素子等を得ることができる。
一般式(1)で表される可塑剤は、ポリビニルアセタール系樹脂に対する可塑化効果が優れているため、セラミック粉末、導電性粉末、誘電性粉末の含有量が溶剤を除く固形分に対して5体積%以上であるセラミックペースト、導電ペースト、誘電ペースト等のポリビニルアセタール系樹脂をバインダ樹脂として用いる用途に好適に使用することができる。このときの一般式(1)で表される可塑剤の添加量は、上記ポリビニルアセタール系樹脂100重量部に対して10重量部〜50重量部の範囲で配合することが好ましい。可塑剤の量が少なすぎると可塑化効果が十分に得られず、多すぎると塗工後に得られたシートが柔軟になりすぎて伸びたり、破れたり、可塑剤がブリードアウトしたりしてシートを形成する際や積層する際に取り扱い難しくなる。
上述したように、本発明で用いられる一般式(1)で表される可塑剤は、可塑化効果が高く、少量の添加でも十分な可塑化効果を発揮することができ、高温で乾燥したとき揮発性が適度であるため柔軟性、接着性が低下することを防ぐことができるので、本発明のセラミックペースト、導電ペースト、誘電ペーストに用いることができる。また、ポリビニルアセタール系樹脂をバインダ樹脂とする無機物を多量に含む樹脂組成物の可塑剤としても好適に使用できる。
特に、セラミックグリーンシート等の無機粉末に僅かに添加されるバインダ樹脂量は、50〜95体積%であるため、使用する可塑剤の絶対量も少なく、また、厚みも薄いため非常に揮発しやすくなるが、既存可塑剤に代わる高性能の可塑剤として利用でき、離型表面に塗布して、シートに形成した時、クラックの発生も無く、離型表面から剥離するときも破れることのない、保存安定性に優れたシートが得られるセラミックペースト、導電ペースト及び誘電ペーストが得られる。
また、本発明で用いられる一般式(1)で表される可塑剤は、可塑剤の残留による積層セラミックコンデンサ製造における焼成時のボイドの発生などを防ぐ効果も期待できること、フタル酸系の物質を含んでいないため、環境に対する影響を低減することができることが特徴であり、セラミックペースト、導電ペースト、誘電ペーストに好適に用いられる。
以下、本発明を実施例において、更に詳細に説明する。
(一般式(1)の可塑剤を含むポリビニルアセタール系樹脂の作成)
(実施例1)
ポリビニルアセタール系樹脂として、BM−SZ(積水化学工業製)を15重量%含むエタノール溶液に、ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対して30重量部となるように表1に示す一般式(1)でR1がエチレン、R2がオクチル、R3がオクチル、nが2の可塑剤を添加した。得られた溶液をキャスト法により製膜し、60℃及び140℃で20分乾燥させた後の得られたポリビニルアセタール系樹脂シートの熱流動性を評価した。熱流動性は、シートが10×10−4(cm3/s)の速度で流動する温度を指標として評価した。熱流動温度が低いほど可塑化効果が高い。
(実施例2〜6)
可塑剤として、一般式(1)でR12、R3、nを表1に示すものにかえた以外は実施例1と同様にして、ポリビニルアセタール系樹脂シートを作成し、熱流動性を評価した。
(比較例1〜4)
可塑剤として、いずれも新日本理化社製のジオクチルフタレート(DOP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルアジペート(DOA)を用い、実施例1と同様にして調製したシートについて熱流動性を評価した。また、可塑剤を添加していない比較例1も調製し同様に評価した。
表1から分かるように、DOP、DBPと比べると実施例1の一般式(1)で表される可塑剤は、60℃で乾燥した後の熱流動温度が低く、可塑化効果が高くなる。また、120℃で乾燥した後の熱流動温度もDBPでは、可塑剤を添加していないときとほぼ同じ150℃程度となるのに対して、100℃程度と依然高い可塑化効果を示していることが分かる。
また、DOAと比較すると、60℃で乾燥した後の熱流動性は、やや劣るものが見られものの120℃で乾燥した後の熱流動性はDOAを使用したものより低く、揮発性が低いことが分かる。一般式(1)で表される可塑剤は、上述のように比較例2から比較例4の可塑剤比べて可塑化効果が高く、かつ、適度の揮発性を有することを示している。また、フタル酸系の物質を含有していないため、環境への負荷が懸念されるフタル酸系物質の代替可塑剤として有望であることを示している。
Figure 0004813779
1、R2、R3、nは、一般式(1)に示すものである
Figure 0004813779
(セラミックペースト及びセラミックグリーンシートの作成)
(実施例7〜12、比較例5〜8)
また、実施例7〜12では実施例1〜6の可塑剤を比較例6〜8では、比較例2〜4の可塑剤を使用し、下記のようにしてセラミックグリーンシートを作製した。また比較例5として可塑剤を用いないものも作成した。
ポリビニルアセタール系樹脂8重量部をトルエン30重量部とエタノール30重量部の混合溶剤に加え、溶解した。これに表2に示す可塑剤3重量部とセラミック粉末として粒径0.3μmのチタン酸バリウム粉末100重量部を加え、ボールミルで36時間混合し、セラミックスペーストを作成し、得られたセラミックスペーストを離形処理したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに約5μmの厚さで塗布し、常温で30分乾燥した後、60℃の熱風乾燥機で10時間乾燥した。乾燥後のセラミックグリーンシートの厚さは2μmであった。このようにして得られたセラミックグリーンシートは乾燥直後は柔軟性を持っており、PETフィルムから剥離することができた。
その後、可塑剤の揮発性評価として40℃の乾燥機中で保存し、その状態を見たところ、3日後に比較例6ではセラミックグリーンシートにはクラックが見られ、PETから剥離するときに破れが生じた。同様の現象が比較例5では8日後に、比較例7では5日後に見られた。一方、実施例7〜12では12日後にこのような現象が見られた。このことから、実施例の可塑剤を使用した適度の揮発性を有するセラミックペーストから得られるセラミックグリーンシートは、保存安定性(クラックの発生が無く、剥離ができる)が向上することがわかる。
(可塑剤の揮発性評価)
40℃で保存し可塑剤の揮発評価を下記のクラック発生、PETフィルムから剥離の可否によって、下記基準で評価した。結果を表2に示す。
1)クラック
○:無
×:有
2)PETフィルムから剥離
○:剥離の際シートが破れない。
×:剥離の際シートが破れる。
Figure 0004813779
一般式(1)で表される可塑剤は、ポリビニルアセタール系樹脂の可塑剤として、セラミックペースト、導電ペースト、誘電ペーストのバインダ樹脂と共に利用される。

Claims (3)

  1. セラミックス粉末を有機溶剤を除く固形分に対して5体積%以上含有し、且つ、下記一般式(1)で表される可塑剤、ポリビニルアセタール系樹脂及び有機溶剤を含有し、前記可塑剤の含有量が前記ポリビニルアセタール系樹脂100重量部に対して10〜37.5重量部であることを特徴とするセラミックペースト。
    Figure 0004813779
    [式中、R1は炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を表し、nは1〜5の自然数を表す。R2、R3は炭素数1〜20の直鎖状のアルキル基を表し、それぞれ同一であっても異なっていても良い。]
  2. 導電性粉末を有機溶剤を除く固形分に対して5体積%以上含有し、且つ、請求項1記載の一般式(1)で表される可塑剤、ポリビニルアセタール系樹脂及び有機溶剤を含有し、前記可塑剤の含有量が前記ポリビニルアセタール系樹脂100重量部に対して10〜37.5重量部であることを特徴とする導電ペースト。
  3. 誘電性粉末を有機溶剤を除く固形分に対して5体積%以上含有し、且つ、請求項1記載の一般式(1)で表される可塑剤、ポリビニルアセタール系樹脂及び有機溶剤を含有し、前記可塑剤の含有量が前記ポリビニルアセタール系樹脂100重量部に対して10〜37.5重量部であることを特徴とする誘電ペースト。
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