JP4813414B2 - 水槽内対流惹起装置 - Google Patents
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そこで、本出願人は水槽の中位層から汚水を吸い込み、これを上層の水面層と下層の底層部から吐出して槽内に対流惹起を起こさせる対流惹起装置を提案した。
なお、この水槽内対流惹起装置は、上部パイプ内を上昇してきた汚水を上端の吐出口から、整流マウンドを下面に取り付けた消波板に沿って放射方向に噴出するようにし、下部パイプ内を流下してきた汚水を下端の吐出口から、下方へ吐出して槽底に沿って流れるように構成することができる。
本発明の水槽内対流惹起装置Aは、下水処理場等に設置された下水処理槽又は水槽内の所定位置に垂設するもので、これを槽内に自立させるか或いは架台にて支持するようにするもので、特に限定されるものではない。
また、この水槽内対流惹起装置Aは、図1〜4に示すように、下端部に上部インペラ2を取り付けたパイプ形の上部インペラ駆動軸1内に、下端部に下部インペラ4を取り付けた下部インペラ駆動軸3を挿通するようにした2本の駆動軸を同心的に配設し、これら2本の上下両インペラ駆動軸1、3をモータMにて駆動されるようにするとともに、この上部インペラ2と下部インペラ4との間には予め定めた距離をあけて、それぞれその外周を覆うようにして上部パイプ5、下部パイプ6を外嵌するようにして構成する。
また、ケーシング7内には下部インペラ駆動軸3を支持する軸受31と吸込口51、61より吸い込まれた汚水をそれぞれ上部パイプ5内と下部パイプ6内へ円滑に導かれるようにする整流マウンド8を配設する。
なお、この消波板9の下面には、必要に応じて逆円錐形の整流マウンド10を取り付け、これにより上部パイプ5内を上昇してきた汚水を吐出口52より整流マウンド10に沿って、放射方向にほぼ均一になって噴出されるようにする。
このインペラの回転による上下両吐出口52、62から吐出する流量比の決定は、種々の条件などを勘案することができる。
例えば、大きな上下噴き出し流量を小さな投入動力で得るためには、総流量に対して上下の各噴き出し流量が比較的小さくなる1:1の流量比とすることができ、また一方、最も小さな下噴き出し流量で高い底部流速を得るためには上噴き出しを限りなく0に近づけ、すなわち、上下噴き出し比が1:無限大とすることができる。
この双方をあわせて考え、小さな投入動力で高い底部流速を得るためには、上記上下流量比が1:1から1:無限大の中間となる。
ここで、もし下噴き出しのみの流れで底部流速を増加させるために流量を増加させる場合を考える。
例えば、1という流量を2という流量にするためには、約8倍の動力が必要となる。
一方、1という下向きの流量に上向きの流量1を追加して総流量2を得るためには、約2倍の動力ですむ。しかし、このとき下向き流量が増加しないため底部流速はほとんど増加しない。よって、増加させた動力は底部流速の増加にはあまり有効に作用しない。
したがって、流量1を2に増加させる過程において、それぞれの動力が等しい条件で、底部流速を比較すると上下流量比0.6:1.3の場合に最も高くなる。
このことから、上端の吐出口52から吐出する流量1に対して、下端の吐出口62から吐出する流量を1.5〜3となるように定めるようにする。これにより、ランニングコストを低減できるとともに、槽底部に汚泥などの固形物が沈殿することなく槽内全体を効率的に攪拌することができるものとなる。
これにより、上下両インペラを同径とすることができ、これを内装するパイプなどのケーシングの製作が簡単となり、かつ上部インペラと下部インペラとを等速で駆動しても上下両インペラによるそれぞれの発生噴き出し流量比を、予め設定した比とすることができるので、インペラの駆動を簡易にすることができる。
それぞれのインペラの回転速度を変えて駆動する場合は、1台のモータで2軸を駆動することも、或いは2軸をそれぞれのモータで駆動することもできる。
このように、上下両インペラの回転速度を変えるだけで簡易に任意の発生噴き出し流量比を得ることができ、駆動機構及びメンテナンスも簡易に行うことができる。特に1台の原動機にて駆動する場合、駆動機構がより簡易にすることができる。
なお、いずれの方法においても上部インペラと下部インペラの回転方向を同方向とする場合には、上部インペラと下部インペラのブレードの捻り方向を相反するように構成する。これにより、両インペラを同方向に回転させてもパイプ内を相反方向へ流下してそれぞれの吐出口から吐出するようになる。
また、2軸を駆動する場合においては、軸の回転方向については、同じ方向、反対方向のいずれでもよい。反対方向に回転させた場合、両軸のトルクが相殺され、装置全体に作用するねじりモーメントを低減することができる。
モータの駆動にてそれぞれインペラ駆動軸を介して上部インペラ及び下部インペラをパイプ内にて回転させると、回転速度に応じてケーシング7の外周面に形成された吸込口51、61より吸い込まれた汚水は、それぞれ上部パイプ5内と下部パイプ6内へ円滑に導かれ、上部パイプ5内を上昇した汚水は上端の吐出口52から吐出され槽水面を放射方向に流れ、また下部パイプ6内を流下した汚水は下端の吐出口62から下方へ吐出され、槽底に沿って流れる。
この場合、上部パイプ5内を流通する水量と下部パイプ6内を流下する水量との比が、1:1.5〜3となるように設定されているので、槽底における流速は、槽底部に汚泥などの固形物が沈殿しない流速0.1m/secを確保することができ、水槽の単位容積当たりの投入動力を抑えることができ、槽内全体を効率的に攪拌することができる。
M モータ
1 上部インペラ駆動軸
2 上部インペラ
3 下部インペラ駆動軸
31 軸受
4 下部インペラ
5 上部パイプ
51 吸込口
52 吐出口
6 下部パイプ
61 吸込口
62 吐出口
7 ケーシング
71 仕切板
8 整流マウンド
9 消波板
10 整流マウンド
11 フレーム
Claims (8)
- 上端に吐出口を形成した上部パイプと下端に吐出口を形成した下部パイプとを、外周に吸込口を形成したケーシングを挟むようにして一体に形成するとともに、前記ケーシング内にケーシング径より大きな径とした仕切板を配設し、前記吸込口を上下に分けるようにし、かつ上下部両パイプ内にそれぞれ吐出口から水槽内の液体を吐出するようにした上下部両インペラを回転可能に配設し、上部パイプ内を上昇してきた汚水を上端の吐出口から噴出するようにし、下部パイプ内を流下してきた汚水を下端の吐出口から吐出するようにした水槽内対流惹起装置であって、上下部両インペラの回転による上端の吐出口から吐出する流量と下端の吐出口から吐出する流量との流量比を、1:1.5〜3となるように構成したことを特徴とする水槽内対流惹起装置。
- 上部インペラのピッチと下部インペラのピッチを、1:1.5〜3となるように形成することによって、上下部両インペラの回転による上端の吐出口から吐出する流量と下端の吐出口から吐出する流量との流量比が1:1.5〜3となるようにしたことを特徴とする請求項1記載の水槽内対流惹起装置。
- 上部インペラと相似形状に下部インペラを形成し、かつ上部インペラ径に対して下部インペラの径を、その吐出流量が1.5〜3倍になるように構成したことを特徴とする請求項1記載の水槽内対流惹起装置。
- 上部インペラ駆動軸内に下部インペラ駆動軸を貫通して垂直同心軸とし、上部インペラの回転速度に対して下部インペラの回転速度が1.5〜3倍になるように構成することによって、上下部両インペラの回転による上端の吐出口から吐出する流量と下端の吐出口から吐出する流量との流量比が1:1.5〜3となるようにしたことを特徴とする請求項1記載の水槽内対流惹起装置。
- 上部インペラと下部インペラのブレードの捻り方向を相反するように構成したことを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の水槽内対流惹起装置。
- 上部インペラ駆動軸と下部インペラ駆動軸とをそれぞれ個別の原動機にて駆動するように構成したことを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の水槽内対流惹起装置。
- 1台の原動機にて上部インペラと下部インペラを変速駆動するように構成したことを特徴とする請求項4記載の水槽内対流惹起装置。
- 上部パイプ内を上昇してきた汚水を上端の吐出口から、整流マウンドを下面に取り付けた消波板に沿って放射方向に噴出するようにし、下部パイプ内を流下してきた汚水を下端の吐出口から、下方へ吐出して槽底に沿って流れるように構成したことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の水槽内対流惹起装置。
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