以下添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明し、本発明の理解に供する。尚、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
ここに、図1は本発明の実施の形態に係る電気掃除機Xの外観図、図2及び図3は本発明の実施の形態に係るサイクロン集塵装置Yの内部構造を説明するための断面図、図4は本発明の実施の形態に係るサイクロン集塵装置Yに設けられた塵埃回転部123を説明するための図、図5は本発明の実施の形態に係るサイクロン集塵装置Yに設けられた上部フィルタユニット13を説明するための図、図6はフィルタ除塵部材132における二つの接触部132aの配置例を示す図、図7は本発明の実施の形態に係る電気掃除機Xに設けられた赤外線センサ20を説明するための図、図8は本発明の実施の形態に係る電気掃除機Xにおいて実行される集塵動作制御処理の手順の一例を説明するためのフローチャートである。
まず、図1を用いて、本発明の実施の形態に係る電気掃除機Xの概略構成について説明する。
図1に示すように、前記電気掃除機Xは、掃除機本体部1、吸込口部2、接続管3、接続ホース4、操作ハンドル5などを備えて概略構成されている。前記掃除機本体部1には、不図示の電動送風機V、サイクロン集塵装置Y、制御装置Zなどが内蔵されている。なお、前記サイクロン集塵装置Yについては後段で詳述する。
前記電動送風機Vは、吸気を行うための送風ファン及び該送風ファンを回転駆動する送風駆動モータを有している。前記制御装置Zは、CPUやRAM、ROMなどの制御機器を有してなり、前記電気掃除機Xを統括的に制御する。具体的に、前記制御装置Zでは、前記CPUが前記ROMに記憶された制御プログラムに従って各種の処理を実行する。
なお、前記操作ハンドル5には、ユーザが前記電気掃除機Xの稼働の有無や運転モードの選択操作などを行うための操作スイッチ(不図示)が設けられている。また、その操作スイッチの近傍には、前記電気掃除機Xの現在の状態を表示するLEDなどの表示部(不図示)も設けられている。
前記掃除機本体部1は、該掃除機本体部1の前端に接続された前記接続ホース4と、該接続ホース4に接続された前記接続管3とを介して前記吸込口部2に接続されている。前記電気掃除機Xでは、前記掃除機本体部1に内蔵された前記電動送風機V(不図示)が作動されることにより、前記吸込口部2からの吸気が行われる。そして、前記吸込口部2から吸気された空気は、前記接続管3及び前記接続ホース4を通じて前記サイクロン集塵装置Yに流入する。前記サイクロン集塵装置Yでは、吸い込まれた空気から塵埃が遠心分離される。なお、前記サイクロン集塵装置Yで塵埃が分離された後の空気は、前記掃除機本体部1の後端に設けられた不図示の排気口から排気される。
以下、図2〜6を参照しつつ、前記サイクロン集塵装置Yについて詳説する。
図2及び図3に示すように、前記サイクロン集塵装置Yは、筐体10、集塵容器11、内筒12、上部フィルタユニット13、塵埃受部14及び除塵駆動機構15などを備えて概略構成されている。前記サイクロン集塵装置Yでは、前記集塵容器11、前記内筒12、前記上部フィルタユニット13、及び前記塵埃受部14が、中心軸Pを中心に同軸上に配置されている。また、前記サイクロン集塵装置Yは、前記掃除機本体部1に着脱可能に構成されている。
前記集塵容器11は、吸い込まれた空気から分離された塵埃を収容するための円筒状の容器である。前記集塵容器11は、前記サイクロン集塵装置Yの筐体10に着脱可能に構成されている。ユーザは、前記掃除機本体部1から前記サイクロン集塵装置Yを取り出した後、該サイクロン集塵装置Yから前記集塵容器11を取り外して、該集塵容器11内の塵埃を廃棄する。なお、前記サイクロン集塵装置Yの筐体10と前記集塵容器11との間には、環状のシール部材161が設けられている。このシール部材161により、前記筐体10及び前記集塵容器11の間の空気の漏れが防止される。
また、前記集塵容器11の底部には、前記内筒12に設けられた後述の底筒123cに嵌合する嵌合部11aが設けられている。前記嵌合部11aの外周部には、前記内筒12の底筒123cとの隙間を埋めるための環状のシール部材11bが設けられている。このシール部材11bにより、前記底筒123c及び前記集塵容器11の間の空気の漏れが防止される。
さらに、前記集塵容器11には、前記接続ホース4(図1参照)が接続される接続部111が設けられている。前記吸込口部2から前記接続管3及び前記接続ホース4を通じて吸い込まれた空気は、前記接続部111から前記集塵容器11内に流入する。
ここで、前記接続部111の前記集塵容器11への空気流入口(不図示)は、前記接続ホース4からの空気が前記集塵容器11内で旋回するように形成されている。具体的に、前記空気流入口(不図示)は、前記集塵容器11側の出口が該集塵容器11の円周の接線方向(略接線方向)に向くように形成されている。従って、前記集塵容器11では、吸い込まれた空気を旋回させることで該空気に含まれた塵埃が遠心力によって分離(遠心分離)される。そして、前記集塵容器11で遠心分離された塵埃は、該集塵容器11の底部に収容される(図2、3の塵埃D1)。
一方、塵埃が分離された後の空気は、前記集塵容器11から排気経路112に沿って前記掃除機本体部1に設けられた不図示の排気口から外部に排気される。ここで、前記集塵容器11から前記排気口(不図示)までの前記排気経路112上には、前記内筒12、前記塵埃受部14、及び前記上部フィルタユニット13が順に配置されている。
前記内筒12は、前記集塵容器11内に配置された円筒状の部材である。ここで、前記内筒12は、前記塵埃受部14によって回転可能に支持されている。具体的に、前記内筒12は、該内筒12の上端に設けられた環状の凹部12aが、前記塵埃受部14の下端に設けられた環状の支持部14cに支持されることにより回転可能な状態で吊り下げられている。ここに、前記塵埃受部14が回転支持手段の一例である。なお、前記内筒12を回転可能に支持する構成は、これに限られるものではない。例えば、前記内筒12の上下の端部を軸支することが一例として考えられる。
さらに、前記内筒12の上端には、後述の傾斜除塵部材134に設けられた係合部134cに係合する複数の連結部12bが設けられている。前記連結部12bは、前記内筒12の上端の開口縁部に上方に突出して設けられたリブである。前記内筒12は、前記連結部12b及び前記係合部134cの係合によって、前記傾斜除塵部材134に一体回転可能に連結されている。これにより、前記内筒12は、前記傾斜除塵部材134に連動して回転することになる。なお、前記内筒12及び前記傾斜除塵部材134の連結構造はこれに限られない。例えば、前記内筒12及び前記傾斜除塵部材134各々に設けられた嵌合部を嵌合させることにより一体回転可能に連結する構成が考えられる。
また、前記内筒12の上部には、前記集塵容器11で塵埃が分離された後の空気を、前記上部フィルタユニット13に向けて排気するための内筒排気口121が形成されている。そして、前記内筒排気口121には、該内筒排気口121全体を覆う円筒状を成す内筒フィルタ122(内筒濾過部材の一例)が設けられている。前記内筒フィルタ122は、前記内筒排気口121を通過する空気を濾過する。
例えば、前記内筒フィルタ122は、メッシュ状のエアフィルタ等である。なお、前記内筒フィルタ122は、前記内筒排気口121の内側又は外側のいずれに設けられていてもよい。また、前記排気口121及び前記内筒フィルタ122に換えて、前記内筒12にメッシュ状の孔を形成する構成も考えられる。その場合は、そのメッシュ状の孔が前記内筒排気口121及び前記内筒フィルタ122として機能する。
一方、前記内筒12の下部には、前記集塵容器11内の塵埃を回転させるための塵埃回転部123が設けられている。
ここで、図2及び図3に加えて図4を参照しつつ、前記塵埃回転部123について説明する。ここに、図4(a)は、前記塵埃回転部123の斜視図、図4(b)は図2におけるA−A矢視断面図である。図2〜4に示されているように、前記塵埃回転部123には、回転羽根123a、塵埃圧縮部123b、底筒123c及び仕切板123dが設けられている。
前記底筒123cは、前記集塵容器11の底部に設けられた前記嵌合部11aに嵌合される中空円筒である。前述したように、前記底筒123c及び前記嵌合部11aの間には前記シール部材11b(図2、3参照)が介在する。
また、前記底筒123cには、該底筒123cの外周面から突出する4つの回転羽根123aが設けられている。前記回転羽根123a各々は、後述するように前記内筒12が回転されるとき、前記集塵容器11内に集積された塵埃に接触する。これにより、前記集塵容器11内の塵埃は該集塵容器11内で回転移動することになる。
さらに、前記内筒12が回転されるとき前記回転羽根123aは、前記集塵容器11との間で塵埃を圧縮しながら回転することになる。また、前記サイクロン集塵装置Yでは、前記内筒12が回転されるとき、前記塵埃圧縮部123bも前記集塵容器11との間で塵埃を圧縮する。これにより、前記集塵容器11に集積された塵埃は凝縮される。このような構成によれば、前記集塵容器11の塵埃の集積可能量を増加させることができる。従って、例えば前記集塵容器11の小型化を実現することが可能である。
前記仕切板123dは、前記内筒12及び前記底筒123c各々の中空部を上下に仕切るものである。但し、前記仕切板123dには、開口123e及びスロープ123fが設けられている。従って、前記内筒12及び前記底筒123c各々の中空部は、前記開口123eで連通している。
前記スロープ123fは、前記集塵容器11における空気の旋回方向と同方向に、徐々に下方に傾斜するように形成された傾斜面である。そして、前記開口123eは、前記スロープ123fの下方の終端に形成されている。
このような構成により、前記集塵容器11で空気が旋回され、前記内筒12内で同様に空気の旋回が生じると、前記仕切板123d上の塵埃(図2、3の塵埃D5)は、前記スロープ123fに沿って前記底筒123c内に滑落する(図2、3の塵埃D6)。これにより、前記内筒12内の下部に落下した塵埃が再度、上方へ舞い上がることが防止される。
一方、前記内筒12の内筒フィルタ122で濾過された後の空気は、該内筒12内を通じて前記上部フィルタユニット13に導かれる。
ここで、図2及び図3に加えて図5を参照しつつ、前記上部フィルタユニット13について説明する。ここに、図5(a)は、前記上部フィルタユニット13を上方から見た斜視図、図5(b)は、前記上部フィルタユニット13を下方から見た斜視図である。前記上部フィルタユニット13は、HEPAフィルタ(High Efficiency Particulate Air Filter)131、フィルタ除塵部材132及び傾斜除塵部材134などを有している。
前記HEPAフィルタ131は、前記内筒12から排気されて前記排気経路112上を流れる空気を更に濾過するエアフィルタの一種である。ここに、前記HEPAフィルタ131が上方濾過部材の一例である。前記HEPAフィルタ131は、前記中心軸P周りに環状に配置固定された複数枚のフィルタの集合で構成されている。なお、複数枚のフィルタ各々は、例えば図5(b)に示すような骨組みに固定される。また、前記HEPAフィルタ131に含まれた複数枚のフィルタは、略水平方向に凹凸を繰り返すプリーツ状に配置されている。これにより、前記HEPAフィルタ131におけるフィルタ面積が十分に確保されている。なお、前記HEPAフィルタ131の下端と前記筐体10との間には、環状のシール部材162が設けられている。これにより、前記HEPAフィルタ131と前記筐体10との間の空気の漏れが防止される。
また、図2及び図3に示すように、前記HEPAフィルタ131の中央には、後述のフィルタ除塵部材132に設けられた連結部133が嵌挿される中空部131aが形成されている。また、前記中空部131aには、前記連結部133を回転可能に支持する支持部131bが設けられている。
前述したように、前記サイクロン集塵装置Yでは、前記内筒フィルタ122及び前記HEPAフィルタ131の二段階で空気を濾過することにより塵埃の捕集力が高められている。但し、前記HEPAフィルタ131に塵埃が堆積して目詰まりが生じると、空気の通過抵抗が大きくなる。そのため、前記電動送風機V(不図示)の負荷が大きくなり吸塵力が低下するおそれがある。そこで、前記上部フィルタユニット13には、前記HEPAフィルタ131に付着した塵埃を除去する前記フィルタ除塵部材132が設けられている。
前記フィルタ除塵部材132は、前記HEPAフィルタ131の中央部に設けられた前記支持部131aによって回転可能に支持されている。具体的に、前記フィルタ除塵部材132には、前記支持部131aに回転可能に支持される連結部133が設けられている。
また、前記連結部133には、該連結部133に設けられたネジ穴133aに前記傾斜除塵部材134がネジ133bで螺着される。これにより、前記フィルタ除塵部材132及び前記傾斜除塵部材134が一体回転可能に連結される。なお、前記傾斜除塵部材134及び前記HEPAフィルタ131の間には、隙間を埋める環状のシール部材163が設けられている。これにより、前記傾斜除塵部材134及び前記HEPAフィルタ131の間の空気の漏れが防止される。
前記フィルタ除塵部材132は、図2及び図5(a)に示すように、前記HEPAフィルタ131の上端部に接触するように該HEPAフィルタ131に沿って所定間隔で配置された二つの接触部132aを有している。前記接触部132aは板バネ状の弾性部材である。なお、前記接触部132aは、板バネ状の弾性部材に限られるものではない。また、前記接触部132aは、一つであっても或いは更に複数であってもよい。
そして、前記フィルタ除塵部材132には、その外周部にギア132bが形成されている。このギア132bは、図2及び図3に示すように、前記サイクロン集塵装置Yに設けられた除塵駆動機構15に設けられたギア15aに噛合される。
ここに、前記除塵駆動機構15は、前記掃除機本体部1側に設けられた不図示の駆動モータ(以下、「除塵駆動モータ」という)に連結される減速器及び該減速器に連結されたギア15aを有している。前記除塵駆動機構15では、前記除塵駆動モータの回転力が前記減速器を介して前記ギア15aに伝達される。そして、前記除塵駆動機構15のギア15aの回転力は、前記ギア132bに伝達される。これにより、前記フィルタ除塵部材132が回転される。ここに、前記除塵駆動モータ及び前記除塵駆動機構15が除塵部材回転駆動手段の一例である。
なお、本実施の形態では、前記除塵駆動モータによって前記フィルタ除塵部材132が回転される場合を例に挙げて説明するが、前記除塵駆動モータに換えて、前記フィルタ除塵部材132を手動で回転させることのできる機構を設けることも他の実施例として考えられる。
前記フィルタ除塵部材132が回転されると、該フィルタ除塵部材132に設けられた二つの前記接触部132a各々は、プリーツ状に形成された前記HEPAフィルタ131に断続的に衝突して振動を与える。従って、前記HEPAフィルタ131に付着した塵埃は、前記フィルタ除塵部材132から与えられる振動によって叩き落とされる。なお、前記除塵駆動モータ(不図示)が作動されるタイミングは、例えば前記電気掃除機Xにおける集塵動作の開始前や終了後であることが望ましい。これにより、前記電動送風機Vによる吸気によって前記HEPAフィルタ131に下流側への気流がない状態で、前記HEPAフィルタ131の除塵を効果的に行うことができる。
ここで、図6を用いて、前記フィルタ除塵部材132における二つの接触部132aの配置例について説明する。ここに、図6は、前記上部フィルタユニット13を上方から見た模式図である。
図6(a)に示す例では、前記フィルタ除塵部材132の二つの接触部132aが、前記HEPAフィルタ131に同じタイミングで接触するように配置されている。このような構成では、二つの接触部132aが同時に前記HEPAフィルタ131に衝突する。
一方、図6(b)に示す例では、前記フィルタ除塵部材132の二つの接触部132aが、前記HEPAフィルタ131に異なるタイミングで接触するように配置されている。このような構成では、図6(a)に示したように同時に接触する場合に比べて、前記HEPAフィルタ131に与えられる振動の数を倍増させることができる。これにより、前記HEPAフィルタ131の高い除塵効果を得ることができる。また、前記フィルタ除塵部材132を回転させるために必要な瞬間最大トルクも小さくすることができ、前記除塵駆動モータ(不図示)に小型モータを採用することができる。
その他、より多くの接触部132aを有する場合には、同じタイミングで接触する接触部132aと、異なるタイミングで接触する接触部132aとが混在するように構成してもよい。
ところで、前記フィルタ除塵部材132によって前記HEPAフィルタ131から除去された塵埃(図2、3の塵埃D2)は、該HEPAフィルタ131の下方に設けられた前記塵埃受部14に落下して受けられる(図2、3の塵埃D3)。
前記塵埃受部14は、前記フィルタ除塵部材132及び前記内筒12の間に配置されており、その中心に設けられた開口14aから上方に向けて拡開する傾斜面14bを有するすり鉢状の部材である。前記開口14aは、その下方に配置された前記内筒12の内部に接続されている。
また、前述したように、前記塵埃受部14は、前記内筒12を回転可能に支持している。具体的に、前記塵埃受部14の開口14a縁部の下端には、前記内筒12の上端に設けられた環状の凹部12aに嵌合される環状の支持部14cが設けられている。これにより、前記内筒12は、前記塵埃受部14によって回転可能な状態で吊り下げられている。
前記HEPAフィルタ131から前記塵埃受部14に落下した塵埃(図2、3の塵埃D3)は、前記傾斜面14bから前記開口14aを通じて前記内筒12内に滑落する。しかし、前記傾斜面14bに付着した塵埃が滑落せずに残存していると、前記電動送風機V(不図示)が作動されたときに、その吸気によって前記斜面部14bの塵埃が再び前記HEPAフィルタ131に付着することになる。
そこで、前記サイクロン集塵装置Yには、前記塵埃受部14の傾斜面14bに付着した塵埃をより確実に前記内筒12内に導くべく、前記傾斜除塵部材134(塵埃除去部材の一例)が設けられている。
ここで、図2、図3及び図5(b)を参照して、前記傾斜除塵部材134について説明する。
前記傾斜除塵部材134には、先端にブラシ134aを有する二つの除塵ブレード134bが設けられている。前記ブラシ134a各々は、前記塵埃受部14の傾斜面14bに当接している(図3参照)。
また、前述したように、前記傾斜除塵部材134は、前記フィルタ除塵部材132に一体回転可能に連結されている。そのため、前記フィルタ除塵部材132が回転されると、それに連動して前記傾斜除塵部材134も同時に回転する。
前記傾斜除塵部材134が回転されると、前記除塵ブレード134bのブラシ134a各々が、前記傾斜面14bに接触しながら回転することになる。これにより、前記傾斜面14bに付着した塵埃を、前記ブラシ134a各々によって除去し、前記内筒12内に導くことができる。
ところが、前記傾斜面14bから前記内筒12内に落下した塵埃は、前記内筒フィルタ122の内面に付着するおそれがある(図2、3の塵埃D4)。
前記内筒フィルタ122の内面に塵埃が付着したまま、前記電動送風機V(不図示)による吸気が行われると、その塵埃が、前記HEPAフィルタ131に再度付着することになる。そのため、前記サイクロン集塵装置Yでは、さらに、前記内筒フィルタ122に付着した塵埃の除去を図る構成が採られている。
具体的には、図2、3及び図5(b)に示すように、前記除塵ブレード134bの下端に、前記内筒12に設けられた前記連結部12bに係合する係合部134cが設けられている。そして、前述したように、前記傾斜除塵部材134及び前記内筒12は、前記連結部12b及び前記係合部134cの係合によって一体回転可能に連結される。そのため、前記除塵駆動モータ(不図示)によって前記フィルタ除塵部材132が回転され、前記傾斜除塵部材134が回転すると、前記内筒12も同時に回転する。即ち、前記内筒12は、前記フィルタ除塵部材132にも一体回転可能に連結されている。
このように構成された前記サイクロン集塵装置Yでは、前記フィルタ除塵部材132の接触部132a各々が前記HEPAフィルタ131に断続的に衝突するときに生じる振動が、前記傾斜除塵部材134を介して前記内筒12にも伝達される。従って、その断続的な振動によって、前記内筒12の内筒フィルタ122に付着した塵埃(図2、3の塵埃D4)を剥離させて前記仕切板123d上に落下させることができる(図2、3の塵埃D5)。また、これと同時に、前記内筒フィルタ122の外面に付着した塵埃の除去も期待される。
その後、前記仕切板123d上に落下した塵埃は、前述したように、前記電動送風機V(不図示)が作動されたときに、空気の旋回によって前記スロープ123fを滑落して、該仕切板123dの下部に集積される。これにより、前記内筒12内の塵埃が前記HEPAフィルタ131に再度付着することが防止される。特に、前記スロープ123fが、前記内筒12内で生じる空気の旋回方向と同方向に形成されているため、前記仕切板123dの下部の塵埃が、前記スロープ123fを通じて上部に吹き上がることはない。
ところで、前記電気掃除機Xでは、前記サイクロン集塵装置Yの集塵容器11の塵埃が飽和すると吸塵力が低下するため、その塵埃を適時廃棄する必要がある。そこで、従来の電気掃除機でも、前記集塵容器11内の塵埃が、予め設定された上限位置に達したことを光学センサ等で検知して、ユーザに報知する構成が採られている。
以下では、前記電気掃除機Xにおいて、前記集塵容器11に集積された塵埃の量を検知するための構成について説明する。ここに、図7(a)は、前記掃除機本体部1の前記サイクロン集塵装置Yを側方から見た模式図、図7(b)は、図7(a)におけるB−B矢視断面図である。
図7(a)、(b)に示すように、前記掃除機本体部1の筐体1aには、前記集塵容器11を挟んで対向配置された発光素子21及び受光素子22を有する赤外線センサ20が設けられている。
前記赤外線センサ20は、前記集塵容器11の予め設定された上限位置Hに位置するように前記掃除機本体部1の筐体1aに固定されている。この上限位置Hは、前記集塵容器11が塵埃で満杯(飽和状態)であることを検知するために予め設定された位置である。
前記発光素子21は、外部から前記集塵容器11の前記上限位置Hに赤外線光(以下、単に「光」と略称する)を照射する。一方、前記受光素子22は、前記発光素子21から照射されて前記集塵容器11を透過した光を受光する。なお、赤外線光を利用する前記赤外線センサ20に換えて、可視光を利用する光学センサを用いてもよい。
また、前記受光素子22は、受光した光の強度を該強度に対応する周波数のデジタル信号(以下「周波数信号」という)に変換して出力する光−周波数コンバータを含んでいる。例えば、前記光−周波数コンバータは、光の強度を0〜1000kHzの周波数信号に変換して出力する。具体的に、前記光−周波数コンバータを有する受光素子としては、TAOS(Texas Advanced Optoelectronic Solutions Inc.)製のもの(型番TSL245R)が知られている。
この光−周波数コンバータでは、光の強度に対応する周波数の値が直線的に変化する。例えば、前記受光素子22で受光される光の強度が高いほど、出力される周波数信号の周波数も高くなる。
このように、前記電気掃除機Xでは、前記光−周波数コンバータを有する受光素子22を用いているため、前記集塵容器11を透過する光の強度を、従来の光学センサより高い分解能で検出することが可能である。
そして、前記受光素子22の光−周波数コンバータ(不図示)から出力された前記周波数信号は、前記掃除機本体部1に設けられた前記制御装置Z(不図示)に入力される。
前記制御装置Zは、前記赤外線センサ20から入力された前記周波数信号の周波数に基づいて、前記集塵容器11に集積された塵埃の量が前記上限位置Hに達しているか否かを判断するための処理を実行する。
具体的に、前記制御装置Zは、前記赤外線センサ20から入力された前記周波数信号の周波数が、予め設定された塵埃検知周波数F1以下であるか否かを判断する。ここで、前記塵埃検知周波数F1の設定手法の一例について説明する。
まず、前記電気掃除機Xの製造工程などにおいて、前記制御装置Zは、塵埃が集積されていない前記集塵容器11を検出対象としたときに前記赤外線センサ20で検出された光の強度に対応する前記周波数信号の周波数を初期周波数F0として設定する。なお、このとき前記制御装置Zは、前記初期周波数F0が予め設定された一定範囲内でない場合に、そのことをもって製品不良(組み立て不良、回路不良、接続不良など)をエラーとして検知することが可能である。
ここでは、前記上限位置Hに塵埃がある場合に前記赤外線センサ20から出力される前記周波数信号の周波数は、前記初期周波数F0の7%程度であることが予め実験で得られているものとする。そこで、前記制御装置Zは、事前に測定された値よりも少し大きい前記初期周波数F0の10%の値を、前記塵埃検知周波数F1として設定する。例えば、前記初期周波数F0が20kHzである場合、前記塵埃検知周波数F1は2kHzに設定される。なお、この10%という数値は一例に過ぎない。また、前記初期周波数F0や前記塵埃検知周波数F1などは前記RAMやROMに記憶される。
このように、前記電気掃除機Xにおける前記塵埃検知周波数F1は、該電気掃除機Xで検出された前記初期周波数F0に応じて設定することが望ましい。これにより、前記電気掃除機X各々に搭載された前記集塵容器11各々の光の透過特性の違いを考慮し、該電気掃除機Xごとに適切な前記塵埃検知周波数F1を設定することができる。なお、このような設定は、前記制御装置Zによる処理に限られず、事前の実験によって得られた前記初期周波数F0及び前記塵埃検知周波数F1が記憶された記憶手段を前記電気掃除機Xに搭載することで実現してもよい。
そして、前記電気掃除機Xでは、前記制御装置Zによって実行される後述の集塵動作制御処理(図8のフローチャート)において、集塵動作の終了後に、前記塵埃検知周波数F1に基づく前記集塵容器11内の塵埃量の検知が行われる。
このとき、従来装置のように前記集塵容器11の一部を透過する光の強度だけに基づいて、前記集塵容器11の塵埃が前記上限位置Hに達しているか否かを判断すると、図7に破線で示すように塵埃D11が偏って集積されている場合に、適切な時期に前記集塵容器11の塵埃が前記上限位置Hに達していることを検知することができない。しかしながら、前記電気掃除機Xで実行される後述の集塵動作制御処理によれば、このような課題は解消される。
以下、図8のフローチャートを参照しつつ、前記電気掃除機Xにおいて前記制御装置Zによって実行される集塵動作制御処理の手順の一例について説明する。なお、図中のS1、S2、…は処理手順(ステップ)の番号を表している。
(ステップS1〜S2)
まず、ステップS1で、前記制御装置Zは、前記電気掃除機Xの集塵動作の開始が要求されたか否かを判断する。具体的に、前記制御装置Zは、集塵動作を開始するためのユーザ操作がなされたか否かを判断する。例えば、前記操作ハンドル5に設けられた不図示のスタート釦が押下されたか否かを判断する。
ここで、前記制御装置Zによって、集塵動作の開始が要求されたと判断されると(S1のYes側)、処理はステップS2に移行して集塵動作が開始される。前記集塵動作では、前記電動送風機V(不図示)が作動されることにより、前記吸込口部2からの吸気が行われる。なお、前記制御装置Zによって、集塵動作の開始が要求されていないと判断されている間は、処理は前記ステップS1で待機される(S1のNo側)。
(ステップS3〜S4)
次に、ステップS3では、前記制御装置Zは、前記電気掃除機Xの集塵動作の終了が要求されたか否かを判断する。具体的に、前記制御装置Zは、集塵動作を終了するためのユーザ操作がなされたか否かを判断する。例えば、前記操作ハンドル5に設けられた不図示のストップ釦(例えば、前記スタート釦と兼用)が押下されたか否かを判断する。
ここで、前記制御装置Zによって、集塵動作の終了が要求されたと判断されると(S3のYes側)、処理はステップS4に移行して集塵動作が終了される。具体的には、前記電動送風機V(不図示)が停止されることにより集塵動作は終了される。なお、前記制御装置Zによって、集塵動作の終了が要求されていないと判断されている間は、処理が当該ステップS3で待機され、集塵動作が継続される(S3のNo側)。
そして、集塵動作が終了すると、続くステップS5〜S16では、前記制御装置Zによって、前記赤外線センサ20による検出結果に基づいて、前記集塵容器11に集積された塵埃が前記上限位置Hに達しているか否かを検知するための処理が実行される。
なお、本実施の形態では、後述のステップS5〜S16の処理を、集塵動作の終了後に実行することを例に挙げて説明している。しかし、これに限られず、集塵動作の開始前や、集塵動作の実行中に当該検知処理を実行することも他の実施例として考えられる。また、集塵動作の前後の両方で当該塵埃量検知処理を実行してもかまわない。なお、集塵動作の実行中や集塵動作の開始前に、前記集塵容器11の塵埃が前記上限位置Hに達していることが検知された場合には、集塵動作を停止させることや前記電動送風機V(不図示)のモータ回転数を低下させることが好ましい。
さらに、前記電気掃除機Xの待機時に、ユーザによって前記操作ハンドル5の操作スイッチ(不図示)などに対してなされた要求操作に応じて実行することも考えられる。このとき、前記集塵動作制御処理において自動的に行われる場合よりも長い時間(例えば8秒程度)をかけて実行することも考えられる。この場合には、前記除塵駆動モータ(不図示)が長い時間作動されるため、前記HEPAフィルタ131や前記内筒フィルタ122などを十分に除塵することができる。また、前記集塵容器11の塵埃量の検知精度も高まる。
(ステップS5〜S6)
ステップS5で、前記制御装置Zは、検知時間t1の計時を開始する。この検知時間t1は、下記のステップS6で開始される前記赤外線センサ20の検出動作の継続時間を示している。下記のステップS6以降の処理は、前記検知時間t1が予め設定された検知終了時間t2に達するまで実行される(S12のNo側)。
そして、前記制御装置Zは、0.2秒ごとに前記赤外線センサ20による検出を行うための処理を開始する(ステップS6)。具体的に、前記制御装置Zは、0.2秒ごとに断続的に前記発光素子21から光を照射させ、前記受光素子22から前記周波数信号を取得する。以下、ここで取得される周波数信号の周波数を実測周波数F2という。
(ステップS7、S71)
次に、前記制御装置Zは、前記実測周波数F2に基づいて、前記電気掃除機Xに前記集塵容器11が装着されているか否かを判断する(ステップS7)。
具体的に、前記制御装置Zは、前記実測周波数F2が、予め設定された上限周波数F3以上であることを条件に、前記集塵容器11が取り外されていることを検知する。前記上限周波数F3は、例えば前記初期周波数F0の2倍の周波数に設定される。なお、前記上限周波数F3は、前記初期周波数F0の2倍に限られるものではない。もちろん、前記上限周波数F3は、前記初期周波数F0に関係のない任意の値であってもよい。
そして、前記制御装置Zは、前記実測周波数F2が前記上限周波数F3未満であり、前記集塵容器11が装着されていると判断した場合には(S7のNo側)、処理をステップS8に移行させる。
一方、前記制御装置Zは、前記実測周波数F2が前記上限周波数F3以上であり、前記集塵容器11が取り外されていると判断した場合には(S7のYes側)、処理をステップS71に移行させる。ステップS71では、前記制御装置Zによって、ユーザに対して前記集塵容器11が装着されていない旨のエラー通知が行われる。なお、後述のステップS8で既に前記除塵駆動モータ(不図示)が作動されている場合には、該除塵駆動モータは前記ステップS71で前記制御装置Zによって停止される。
(ステップS8)
次に、前記制御装置Zは、前記除塵駆動モータ(不図示)を制御することにより該除塵駆動モータの作動を開始させる(ステップS8)。ここに、前記フィルタ除塵部材132を回転させるための処理を実行するときの前記制御装置Zが回転制御手段の一例である。なお、既に前記除塵駆動モータが作動している場合には、該除塵駆動モータの作動が継続される(二度目以降の処理)。
前記ステップS8において前記除塵駆動モータが作動され、前記フィルタ除塵部材132の回転が開始されると、該フィルタ除塵部材132に前記傾斜除塵部材134を介して一体回転可能に連結された前記内筒12が回転を開始する。従って、前記内筒12に設けられた前記回転羽根123aも回転することになる。
これにより、例えば図7(b)に示すように、前記内筒12が矢印R1方向に回転されると、前記集塵容器11に集積された塵埃D11a〜D11dが、前記回転羽根123a各々に押されて前記矢印R1方向に回転移動する。
従って、前記電気掃除機Xでは、前記集塵容器11の塵埃が回転されている状態で、0.2秒ごとに断続的に前記赤外線センサ20による検出が実行されることになる。即ち、前記集塵容器11の全周に亘って集積された塵埃全体が前記赤外線センサ20の検出対象とされている。なお、前記赤外線センサ20による検出は、断続的なものに限られず、連続的であってもかまわない。
ところで、前述したように、前記除塵駆動モータによって前記フィルタ除塵部材132が回転されると、前記HEPAフィルタ131及び前記内筒フィルタ122に断続的な振動が与えられる。これにより、前記電気掃除機Xで実行された集塵動作によって前記HEPAフィルタ131に付着した塵埃は除去される。また、前記HEPAフィルタ131から落下して前記内筒フィルタ122に付着した塵埃も、前記フィルタ除塵部材132の前記HEPAフィルタ131への衝突による断続的な振動によって除去される。
このように、前記電気掃除機Xでは、前記HEPAフィルタ131及び前記内筒フィルタ122を除塵するための動作と、前記集塵容器11の塵埃量を検知するための動作が同時に行われることになる。また、前記回転羽根123aや前記塵埃圧縮部123bによる前記集塵容器11内の塵埃の圧縮も同時に行われる。
(ステップS9〜S10)
次に、前記制御装置Zは、前記実測周波数F2が、前記塵埃検知周波数F1以下であるか否かを判断する(ステップS9)。ここで、前記実測周波数F2が、前記塵埃検知周波数F1以下であると判断された場合には(S9のYes側)、処理はステップS10に移行する。
ステップS10では、前記制御装置Zは、前記集塵容器11の塵埃が前記上限位置Hに達していると判断し、塵埃検知回数Nをカウントアップする。その後、前記制御装置Zは、処理をステップS11に進める。
ここに、前記塵埃検知回数Nは、初期値が0から開始される数値である。前記塵埃検知回数Nは、前記赤外線センサ20により断続的に検出された光の強度に対応する前記実測周波数F2が前記塵埃検知周波数F1以下であることが検知された回数を示す。即ち、前記塵埃検知回数Nは、前記集塵容器11の塵埃が前記上限位置Hに達していることが検知された回数を示すものである。なお、前記塵埃検知回数Nは、前記制御装置ZのRAMなどに記憶される。
一方、前記制御装置Zによって、前記実測周波数F2が前記塵埃検知周波数F1より大きいと判断された場合には(S9のNo側)、前記集塵容器11の塵埃が前記上限位置Hに達していないと判断され、処理はステップS11に移行される。
(ステップS11〜S13)
ステップS11では、前記制御装置Zは、合計検知回数Mをカウントアップする。ここに、前記合計検知回数Mは、初期値が1から開始される数値であって、前記赤外線センサ20による検出が行われた回数を示すものである。なお、前記合計検知回数Mは、前記制御装置ZのRAMなどに記憶される。
その後、ステップS12では、前記検知時間t1が予め設定された検知終了時間t2に達したか否かが、前記制御装置Zによって判断される。ここで、前記検知終了時間t2は、前記集塵容器11の塵埃が該集塵容器内を少なくとも一周するまでに要する時間以上であることが望ましい。これにより、前記集塵容器11の全周に集積された塵埃を検出対象として前記赤外線センサ20による検出結果を得ることができる。
具体的に、前記電気掃除機Xでは、前記検知終了時間t2は4秒に設定されていると仮定する。また、本実施の形態では、前記赤外線センサ20による検出が、0.2秒ごとに実行される(ステップS6)。
従って、前記制御装置Zは、前記検知終了時間t2までの4秒間に20回分の前記実測周波数F2を取得する。そして、前記制御装置Zでは、その20回分の前記実測周波数F2が前記塵埃検知周波数F1以下である塵埃検知回数Nがカウントされる(ステップS10)。
前記ステップS12において、前記制御装置Zによって、前記検知時間t1が前記検知終了時間t2に達したと判断されると、処理はステップS13に移行する。なお、前記制御装置Zによって、前記検知時間t1が前記検知終了時間t2に達していないと判断された場合には、処理は前記ステップ6に戻る。 ステップS13では、前記制御装置Zは、前記除塵駆動モータ(不図示)を停止させる。その後、前記制御装置Zは、ステップS14〜S15において、前記ステップS6〜S12までの間に前記赤外線センサ20によって検出された光の強度の統計量に基づいて、前記集塵容器11に集積された塵埃が前記上限位置Hに達しているか否かを検知する。
(ステップS14〜S16)
まず、前記制御装置Zは、前記赤外線センサ20によって検出された光の強度の統計量として、4秒間に前記赤外線センサ20によって前記上限位置Hに塵埃が達していると検出された割合(以下「検知割合」という)を算出する(ステップS14)。具体的に、前記制御装置Zは、前記合計検知回数Mにおける前記塵埃検知回数Nの割合を算出する(検知割合=(塵埃検知回数N)/(合計検知回数M))。
そして、続くステップ15では、前記制御装置Zによって、前記検知割合が予め設定された上限割合K以上であるか否かを判断する。例えば、前記上限割合Kは90%に設定されているものとする。この場合には、前記合計検知回数Mが20回であるとすると、前記塵埃検知回数Nが18回以上であるとき、前記制御装置Zは、前記集塵容器11に集積された塵埃が前記上限位置Hに達していると判断する。
なお、ここでは、前記集塵容器11内の塵埃が回転されているときに前記赤外線センサ20によって検出された光の強度の統計量の一例として前記検知割合を挙げているが、その他に、前記検知周波数F3の平均値や分散値など、各種の統計量を採用することが可能である。また、前記赤外線センサ20による検知を連続的に実行する場合には、前記実測周波数F2が前記塵埃検知周波数F1以下であった時間が予め設定された上限時間以上であるか否かに応じて判断することも他の実施例として考えられる。
そして、前記ステップS15において、前記集塵容器11の塵埃が前記上限位置Hに達していると判断されると(ステップS15のYes側)、処理はステップS16に移行する。ステップS16では、前記制御装置Zによって、前記集塵容器11の塵埃を廃棄すべきことをユーザに報知するための処理が実行され、当該集塵動作制御処理は終了される。例えば、ユーザに対する報知は、前記操作ハンドル5に設けられたLEDの点灯や不図示のスピーカからのメッセージやブザーの鳴動によって行われる。
なお、前記ステップS15において、前記集塵容器11の塵埃が前記上限位置Hに達していないと判断された場合には(ステップS15のNo側)、そのまま当該集塵動作制御処理は終了される。例えば、前記集塵容器11に集積された塵埃の一部だけが前記上限位置にHに達しているような場合である。
このように、前記電気掃除機Xでは、前記集塵容器11に集積された塵埃が回転されている状態で前記赤外線センサ20によって0.2秒ごとに断続的に光の強度を検出している。そして、その検出された光の強度が、既定強度以上に達した割合を、前記集塵容器11の塵埃量が飽和状態であるか否かを判断する指標としている。即ち、前記電気掃除機Xでは、前記集塵容器11の全体に集積された塵埃の量を総合的に判断している。従って、例えば図7(a)に破線で示すように、前記集塵容器11に偏って塵埃D11が集積しているような場合でも、そのことを考慮して適切な検知を行うことが可能である。
また、前記集塵容器11内では、前記内筒12に設けられた前記回転羽根123aが塵埃に接触しながら回転するため、該集塵容器11内の塵埃が均されることや、塵埃が圧縮されて凝縮されること等も期待できる。
なお、本実施の形態では、前記内筒12が前記フィルタ除塵部材132に一体回転可能に連結される構成を説明した。しかし、前記HEPAフィルタ131が回転可能に設けられる構成では、前記内筒12が前記HEPAフィルタ131に一体回転可能に連結されていてもよい。この場合にも、前記HEPAフィルタ131及び前記フィルタ除塵部材132の断続的な衝突の振動を、前記内筒12の内筒フィルタ122に伝達することができる。
但し、この場合には、前記HEPAフィルタ131の周囲に設けられたシール部材162が大きな回転抵抗となるため、前記除塵駆動モータに要求される回転トルクの観点からすれば、前記したように前記フィルタ除塵部材132を回転させる構成が望ましい。前記フィルタ除塵部材132を回転させる構成では、前記シール部材163が回転抵抗になるが、該シール部材163の径は前記シール部材162に比べて小さい。従って、前記除塵駆動モータに要求される回転トルクが小さくなる。
(実施の形態1)
ところで、前記電気掃除機Xを使用していると、前記集塵容器11に傷や汚れが付くことがある。この場合、前記集塵容器11の光の透過率が低下する。そのため、前記赤外線センサ20の受光素子22によって検出される光の強度が初期に比べて低下することになる。
その後、前記集塵容器11の傷や汚れが更に悪化すると、前記上限位置Hに塵埃が達していなくても、前記実測周波数F2が前記塵埃検知周波数F1以下になり、該上限位置Hに塵埃が達していると誤検知されてしまうおそれがある。
そこで、前記電気掃除機Xでは、前記塵埃検知周波数F1の変更が可能である構成が望ましい。例えば、前記電気掃除機Xに設けられた不図示の設定スイッチの操作により、前記塵埃検知周波数F1を手動で変更することができる構成が考えられる。なお、実際には前記制御装置Zが、前記設定スイッチに入力された内容に基づいて前記塵埃検知周波数F1を更新する。なお、前記設定スイッチは、サービスマン等による特殊操作を必要とすることが望ましい。例えば、所定のパスワードや物理的な設定キーを必要とすることが考えられる。このような構成によれば、ユーザによって誤って前記塵埃検知周波数F1が変更されることが防止される。
また、前記電気掃除機Xにおいて、塵埃が集積されていない前記集塵容器11を検出対象としたときに、前記受光素子22から出力された周波数信号の周波数に応じて、前記塵埃検知周波数F1を変更することが考えられる。以下、このように変更を行う場合の前記制御装置Zによる処理例を説明する。
この場合、前記制御装置Zは、まず、ユーザに対して、前記集塵容器11を塵埃が集積されていない状態で前記掃除機本体部1に装着するように通知する。これにより、ユーザは、前記集塵容器11の塵埃を廃棄し、該集塵容器11を前記掃除機本体部1にセットする。
そして、前記集塵容器11がセットされ、ユーザによる所定の確認操作が行われたことを検知すると、前記制御装置Zは、前記赤外線センサ20による光の強度の検出を実行する。これにより、前記制御装置Zでは、塵埃が集積されていない現状の前記集塵容器11の光の透過特性を取得することができる。
その後、前記制御装置Zは、取得された前記集塵容器11の現状の光の透過特性に応じて前記塵埃検知周波数F1を変更する。例えば、前記赤外線センサ20から入力された周波数信号の周波数の10%を、新たな前記塵埃検知周波数F1として設定することが考えられる。
このように、前記塵埃検知周波数F1が変更可能な構成によれば、前記集塵容器11に傷や汚れが付いて光の透過率が変化した場合における誤検知を防止することができる。しかも、前記赤外線センサ20は光の強度を周波数で出力するものであり、従来の光学センサに比べて高い分解能で光の強度を検出する。そのため、前記電気掃除機Xでは、前記塵埃検知周波数F1を細かい単位で最適値に設定することができる。
ところで、前記したように、前記電気掃除機Xでは、前記光−周波数コンバータを有する前記赤外線センサ20を用いており、高い分解能で光の強度を検出することができる。そこで、前記赤外線センサ20から出力される周波数信号の周波数に応じて、前記集塵容器11の状態を判別することが考えられる。
例えば、前記集塵容器11の初期周波数F0が20kHzであるとき、20kHZ未満10kHz以上を砂こすれなどによる傷で曇りが発生している状態、10kHz未満7kHz以上を汚れが付着している状態、7kHz未満4kHz以上を汚れが著しくひどい状態として、それらの対応関係を予め設定しておくことが考えられる。なお、これらの設定周波数は、予め行われた実験結果に基づいて設定すればよい。また、これらに限られず、前記赤外線センサ20により検出される光の強度の変化で判断し得る前記集塵容器11のその他の状態が設定可能である。
そして、前記制御装置Zは、前記赤外線センサ20から入力される周波数信号の周波数に応じて、前記集塵容器11の状態を上記の対応関係から判断する。なお、前記制御装置Zによる判断結果は例えばユーザに通知される。
ここで、前述したように、前記電気掃除機Xでは、前記集塵容器11の前記上限位置Hに塵埃が達していることを検知するための塵埃検知周波数F1が2kHz程度に設定される。そのため、前記集塵容器11が前記のいずれかの状態であることは、前記上限位置Hに塵埃が達したことと区別して検知することができる。なお、従来の光学センサでは、光の強度の分解能が低いため前記集塵容器11の状態を細分化して判別することはできなかった。
(実施の形態2)
前記実施の1形態では、前記内筒12に前記回転羽根123a及び前記塵埃圧縮部123bが設けられていることにより、該内筒12が回転されると、前記集塵容器11に集積された塵埃が圧縮され、該集塵容器11に集積可能な塵埃量を増加させることができることについて説明した。
以下、実施の形態2及び後述の実施の形態2では、前記集塵容器11の塵埃を、より効果的に圧縮することのできる構成について説明する。なお、前記第1の実施形態で説明したサイクロン集塵装置Yと同様の構成要素には、同じ符号を付してその説明を省略する。
また、前記集塵容器11内で塵埃を圧縮することだけに着目すれば、前記内筒12は、前記フィルタ除塵部材132や前記傾斜除塵部材134等を一体回転可能なものではなく、該内筒12だけを手動で回転させることができる構成であってもよい。
ここに、図9は本発明の実施例2に係るサイクロン集塵装置Y1の側断面図、図10は図9におけるC−C矢視断面図、図11は前記サイクロン集塵装置Y1の変形例を示す側断面図、図12は図11におけるE−E矢視断面図である。
図9及び図10に示すように、本実施例2に係るサイクロン集塵装置Y1に設けられた集塵容器11の側面には、内部に突出する複数の凸部201が設けられている。例えば、前記凸部201は、前記集塵容器11の樹脂成型時に該集塵容器11の側面に形成されたものである。
これにより、前記サイクロン集塵装置Y1において、前記内筒12が回転されると、前記集塵容器11内の塵埃は、前記回転羽根123aによって回転移動される際に、該回転羽根123a及び前記凸部201の間に挟まれて圧縮されることになる。また、前記回転羽根123a及び前記凸部201の間では、塵埃自体がその場で回転して攪拌されることになるため、塵埃間の隙間が埋められる。
このように、前記サイクロン集塵装置Y1では、前記回転羽根123a及び前記凸部201による塵埃の圧縮、攪拌などにより、前記集塵容器11内の塵埃は集結されて小さくなる。従って、前記集塵容器11に集積可能な塵埃量を増加させることができる。例えば、前記集塵容器11内の塵埃が綿ゴミである場合には、その綿ゴミが前記回転羽根123a及び前記凸部201によって30%程度に圧縮されるという効果が得られた。
ところで、前記集塵容器11内に、例えば大きな塊のゴミが収容されている場合には、そのゴミが前記回転羽根123a及び前記凸部201の間に挟まる際に、前記内筒12の大きな回転負荷が作用するおそれがある。
そこで、図11及び図12に示すように、前記サイクロン集塵装置Y1では、前記回転羽根123aの側端に、ゴムやスポンジなどの軟質部材202を設けることが望ましい。これにより、前記集塵容器11内に大きな塊のゴミが存在しても、前記回転羽根123aは、その側端の前記軟質部材202が柔軟に変形しながら回転する。従って、前記内筒12に大きな回転負荷をかけることなく、該内筒12をスムーズに回転させることができる。
(実施の形態3)
ここに、図13は本発明の実施の形態3に係るサイクロン集塵装置Y2の側断面図、図14は図13におけるF−F矢視断面図、図15は、前記サイクロン集塵装置Y2の変形例を示す側断面図、図16は、図15における塵埃回転部123を側面から見た図である。
図13及び図14に示すように、本第3の実施形態に係るサイクロン集塵装置Y2に設けられた集塵容器11の底部に、上方に向けて突出する複数の凸部203が設けられている。例えば、前記凸部203は、前記集塵容器11の樹脂成型時に該集塵容器11の底部に形成されたものである。
これにより、前記サイクロン集塵装置Y2において、前記内筒12が回転されると、前記集塵容器11内の塵埃は、前記回転羽根123aによって回転移動される際に、該回転羽根123a及び前記凸部203の間に挟まれて圧縮されることになる。また、前記回転羽根123a及び前記凸部203の間では、塵埃自体がその場で回転して攪拌されることになるため、塵埃間の隙間が埋められる。
このように、前記サイクロン集塵装置Y2では、前記回転羽根123a及び前記凸部203による塵埃の圧縮、攪拌などにより、前記集塵容器11内の塵埃は集結されて小さくなる。従って、前記実施の形態2と同様に、前記集塵容器11に集積可能な塵埃量を増加させることができる。
また、前述したように、前記集塵容器11内に大きな塊のゴミなどが収容されている場合には、そのゴミが前記回転羽根123a及び前記凸部203の間に挟まる際に、前記内筒12の大きな回転負荷が作用するおそれがある。
そこで、図15及び図16に示すように、前記サイクロン集塵装置Y2では、前記回転羽根123aの下端に、ゴムやスポンジなどの軟質部材204を設けることが望ましい。これにより、前記集塵容器11内に大きな塊のゴミが存在しても、前記回転羽根123aは、その下端の前記軟質部材204が柔軟に変形しながら回転する。従って、前記内筒12に大きな回転負荷をかけることなく、該内筒12をスムーズに回転させることができる。
また、前記実施の形態2及び本実の形態3の構成を組み合わせた構成も他の実施の形態として考えられる。例えば、前記凸部201、前記軟質部材202、前記凸部203、前記軟質部材204を全て有する構成が考えられる。