図1にカラースキャナーやカラーコピー機等に望ましいカラーフィルターの光透過率特性を示す。本発明により達成可能となったものである。緑色用のフィルターにおいては400〜450nmおよび610〜700nmの透過率が低く、赤色用のフィルターにおいては400〜530nmの透過率が低く、青色用のフィルターにおいては550〜700nmの透過率が低い。
つまり、各々の色の主感度(例えば青色は450nm、緑色は530nm、赤色は620nm)で混色しないような分光特性である。このために、青色と緑色、緑色と赤色の分光特性が交差する波長における透過率を特に低く抑えていることが特徴である。なお、上記のように色分離に優れる分光特性は、カラースキャナーやカラーコピー機等に使用されるラインイメージセンサーだけでなく、例えば一眼レフデジタルカメラのような色特性を重視する媒体、即ち二次元メージセンサにおいても必要とされる特性である。
ところで、前述したようなカラーフィルターを形成する方法としては、特に下記の方法に限定されるわけではないが、顔料などの着色料を透明樹脂中に分散させこれらと、i線などの紫外線に吸収を持つ開始剤やモノマー等から構成されたカラーレジストをリソグラフィによりパターン化させる方法が一般的であると考えられる。
しかしながら、カラーフィルターを図1に示すような色の濃い分光特性にとした場合には、露光に使用される短波長、例えばi線(365nm)、における透過率がゼロに近くなるためパターン化が極めて困難となる。あるいは、パターン化できたとしても、カラーレジストへの光照射量が不足して必要な硬化が行われない部分が生ずる。このため、パターン化後のカラーレジスト部すなわちカラーフィルターに汚点を形成するシミの発生や、例えば色の濃淡や膜厚の不揃いなムラが生じ、またレジスト下部の硬化が十分でない場合には後の工程における現像液の浸み込みにより先の工程でパターン化した部分の端部の剥がれが生じるという不具合が生ずる。
特に、緑色用の着色料においては、微細化されたリソグラフィに使用されるような短波長における透過率が著しく低い。このため緑色については、色分離の良いカラーフィルターを提供するのが極めて困難であるという問題があった。
例えば着色料として顔料使用のカラーフィルターは、透明樹脂中に平均粒径がサブミクロンオーダーの顔料を分散させた感光性樹脂組成物を半導体基板の表面の平坦化層上に、1〜2μmの厚さで塗布形成し、プレベーク、露光、現像、熱硬化からなる工程を順次処理することにより形成さる。この場合、図1に示すような色分離に優れるカラーフィルターを形成するためには顔料濃度を高くする必要がある。すなわち十分な顔料濃度が得られない場合には膜厚を厚くする必要がある。例えば一事例では3μm程度まで膜厚を厚くする必要があることがわかった。
また顔料濃度を高くした場合には、現像後に顔料粒子が残さとして残り易い。この残さがノイズの原因となるという問題がある。このため、例えば顔料分散型カラーフィルターの顔料濃度は重量%で50%以下が望ましく、さらに好ましくは40%以下が望ましい。
一方、膜厚を厚くした場合には、例えば露光を通常のステッパーを使用して実施する場合に、デフォーカスとなりやすく、解像性が悪くなるという問題が生ずる。例えば、数ミクロン幅のカラーフィルターを製造するような場合に、そのエッジ形状が悪くなるという不具合が生じる。従って、通常の製造工程においては、カラーフィルターの膜厚は2.5μm以下、より好ましくは2μmを超えないことが望ましい。
なお、赤色の着色料については一般に色着色力が弱い。このため、例えば400〜550nm波長領域の透過率を3%以下とするためには、着色料として顔料を用いた場合、約50%の顔料濃度が必要であり、その時の膜厚が約2μmと厚く、現像時における残さの発生と解像性能の低下という2つの問題が生じていた。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものである。その課題は、高濃度であっても露光に使用できる短波長でパターニング可能な、色分離の良い分光特性を有するカラーフィルターを具備する固体撮像素子を提供することにある。そして、解像性に優れ、現像時における着色料の残さが極めて少ない、且つ量産性に優れたカラー固体撮像素子及び撮像素子用のカラーフィルターを提供することにある。
本発明における具体的手段について以下説明する。さらに、かかる手段を採用した理由について説明する。
本発明の実施例に記載されているカラー固体撮像素子は、複数の光電変換素子上に少なくとも緑色および赤色用のカラーフィルターを形成したカラー固体撮像素子において、緑色および赤色用のカラーフィルターはそれぞれ2層構成であり、各2層うちの1層は、黄色の着色料を含む共通のカラーフィルター層であるカラー固体撮像素子である。
かかる構成を採用することにより、解像性および量産性に優れるとともに、色分離の良い分光特性を有するカラーフィルターを提供することができる。
また本発明の実施例に記載されているカラー固体撮像素子は、複数の光電変換素子上にそれぞれ対応する赤色、緑色、および青色用の複数のカラーフィルターを形成したカラー固体撮像素子において、赤色用のカラーフィルターが2層構成であるカラー固体撮像素子である。
さらに、上記固体撮像素子において、2層のうち少なくとも1層に黄色の着色料が含まれているカラー固体撮像素子である。
また本発明の実施例に記載されているカラー固体撮像素子は、複数の光電変換素子上にそれぞれ対応する赤色、緑色、および青色用の複数のカラーフィルターを形成したカラー固体撮像素子において、緑色用のカラーフィルターが2層構成であるカラー固体撮像素子である。
さらに、上記固体撮像素子において、2層のうち少なくとも1層に黄色の着色料が含まれているカラー固体撮像素子である。
また上記各カラー固体撮像素子において、上記黄色の着色料における主成分がC.I.ピグメントイエロー139、150、または185のいずれかであるカラー固体撮像素子である。
本発明の実施例に記載されているカラーフィルターは、2層構成からなる緑色用のカラーフィルターであって、そのトータル分光特性が、波長400〜450nmの光に対する透過率が5%以下であり、波長620〜670nmの光に対する透過率が5%以下であり、30%透過率の波長が短波長側で490nm〜520nm、長波長側で570〜600nmの範囲にあり、そしてピーク波長が500〜550nmの範囲にあり、その透過率が60〜80%であるカラーフィルターである。
また本発明の実施例に記載されているカラーフィルターは、2層構成からなる赤色用のカラーフィルターであって、そのトータル分光特性が、波長400〜550nmの光に対し透過率が5%以下であり、50%透過率の波長が570nm〜605nmの範囲にあり、そして波長600〜650nmの光に対する透過率が80%以上であるカラーフィルターである。
また本発明の実施例に記載されている他のカラー固体撮像素子は、複数の光電変換素子を有し、この複数の光電変換素子に対応してこれら複数の光電変換素子上に少なくともその一部が2層構成からなるカラーフィルターが形成されたカラー固体撮像素子であって、上記カラーフィルターは、互いに直交する複数の帯状領域からなる第1のカラーフィルター層と、ここで第1のカラーフィルター層は、直交する帯状領域が交差する部分である交差領域と交差しない部分である非交差領域とを有し、そして帯状領域の間には直行する帯状領域によって区画された窓部が形成されており、交差領域上に形成された第2のカラーフィルター層と、非交差領域上に形成された第3のカラーフィルター層と、窓部において光電変換素子のうちの所定の光電変換素子上に形成された第4のカラーフィルター層とを有する。
さらに、上記カラー固体撮像素子の上記第1のカラーフィルター層は黄色の着色料を含むカラー固体撮像素子である。
緑色用のカラーフィルター(以下、緑色フィルターと書く場合がある)を形成する場合、少なくとも波長400〜450nmの光の透過率を5%以下とすると、露光波長(365nm)における光の透過率は400nmにおける透過率以下となる。このため、カラーレジスト層に対する露光不足が生じ、特にレジスト層下部の硬化が不十分となる。このため、パターン化されたレジストの剥がれが生じやすくなる。
例えば、緑色フィルターにおいて、400nmにおける透過率が5%の場合には、露光波長(365nm)における透過率は約3%と低下する。
一方、緑色フィルターは、数種の緑色の着色料と黄色の着色料で構成されており、特に400〜480nm波長透過率は、黄色の着色料で調整している。同様に赤色用のカラーフィルター(以下、赤色フィルターと書く場合がある。)は、数種の赤色の着色料と黄色の着色料で構成されており、特に400〜450nm波長領域は黄色の着色料で調整している。
赤色フィルターについては、400〜450nmの透過率を5%以下にしても、黄色および赤色の着色料(顔料)の特性上、露光波長(365nm)での透過率はむしろ上がる。このため、レジスト下部においても硬化に十分な光量が得られるので密着性の問題は生じない。むしろ、特に赤色の着色料(顔料)については、400〜420nmにおいて透過率が上がるという特性がある。このため単独では十分な色分離が行えない。
もし、単層で形成した場合、着色料(顔料)濃度との関係で厚膜が厚くなる。この場合、残さが生ずる問題、および解像度が低下し、形状が悪化するという問題がある。このため、波長400〜480nmにおける透過率の低い黄色の着色料(顔料)のカラーフィルターとの2層構成とすることでこの問題を解決できる。即ち、色分離に優れた赤色フィルターとすることができる。
例えば、着色料として黄色顔料C.I.ピグメントイエロー139を用いたカラーフィルターにおいて、例えば400nmにおける透過率が2%の時、露光波長領域(i線使用の場合は365nm)における透過率は15%である。このため、黄色カラーフィルター層においては、透過光量不足による密着性の問題は生じない。
従って、上記発明に係るカラー固体撮像素においては、緑色および赤色着色料を主成分とするカラーフィルターに共通する黄色の着色料を主成分とするフィルター層を、緑色または赤色のカラーフィルター層とは別に形成する。2層のカラーフィルター層を形成することにより、各層における露光波長の透過率を高めることができる。このため、色分離に優れる分光特性を有する色素濃度の高いカラーフィルターであっても、解像度が優れパターン剥がれのない、緑色および赤色用のカラーフィルターを備えたカラー固体撮像素子を得ることができる。なお、本明細書中では共通する着色料として黄色顔料で説明するが、共通する着色料であれば黄色以外の着色料(顔料/染料)を含ませることができ、また他方の緑色または赤色カラーフィルター層には共通するカラーフィルター層には足りない(共通しない)あるいは共通しても一方に過分に含まれる着色料(顔料/染料)を加えて分光特性を調節することができる。
ところで、3原色からなるカラーフィルターを配設したカラー固体撮像素子の主感度は、青色が450nm、緑色が530nm、赤色が620nm付近にある。各カラーフィルターにおいて色分離が悪いと、所望の波長領域以外の不要な光が透過することによる色ノイズが発生し、相対的に固体撮像素子の光感度は劣化してしまうことになる。例えば相対感度に関しては、緑色のカラーフィルターにおいて、緑色の透過率が80%の場合に、青色である波長450nmの透過率が10%とすると、緑色の青色に対する相対感度は70%となる。
本発明における緑色用のカラーフィルターは、解像性を向上させると共に残さが低減するように2層構成とした緑色用のカラーフィルターである。そのためには、2層構成のトータル分光特性は、例えば400〜450nmの透過率が5%以下、620〜670nmの透過率が5%以下、30%透過率の波長が短波長側で490nm〜520nm、長波長側で570〜600nmの範囲にあり、ピーク波長が500〜550nmの範囲でその透過率が60〜80%とするのが特に望ましいことがわかった。
そして、500〜550nmの範囲における透過率が60〜80%であるのに対して、青色の主感度である450nmおよび赤色の主感度である620nmにおける透過率は5%以下と低くするのが良いことがわかった。このように構成することにより、緑色用のカラーフィルターの青色および赤色の色ノイズを低く抑えることができる。
また、本発明における赤色用のカラーフィルターは、上記緑色用のカラーフィルターと同様に、解像性を向上させると共に残さが低減するように2層構成とした赤色用のカラーフィルターである。そのためには、2層構成のトータル分光特性は、波長400〜550nmの光の透過率が5%以下、50%透過率の波長が570nm〜605nmの範囲にあり、600〜650nmの透過率が80%以上とするのが特に望ましいことがわかった。
そして、赤色の主感度である波長600〜650nmの光に対する透過率が80%以上であるのに対し、緑色の主感度である530nmと青色の主感度である450nmの光に対しては透過率が5%以下とするのが良いことがわかった。このように構成することにより、赤色用のカラーフィルターの緑色および青色の色ノイズを低く抑えることができる。
本発明によれば、色分離に優れる分光特性を有するように十分な着色料濃度を有するカラーフィルターであって、露光工程におけるカラーレジストパターンの解像度が優れ、色ノイズを低く抑え、且つレジストの硬化に必要な十分な光量を供給可能にするようにしてカラーレジストパターンの剥がれやシミやムラの生成を防いだカラーフィルターを具備するカラー固体撮像素子を得ることができる。
以下、添付の図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の説明において同一の要素については同一の符号を付する。
図2および図3に本発明の第1の実施例によるカラー固体撮像素子を示す。図1は本発明によるカラーフィルターの分光特性を示す図である。図4は、本発によるカラーフィルターの分光特性との比較のために示すもので、特に感度が優れるように形成された従来のカラーフィルターの分光特性の一例を示すものである。
図1は特に色分離が優れるように構成された本発明によるカラーフィルターの分光特性を示す図である。1、2、および3はそれぞれ赤色、緑色、および青色用のカラーフィルターの分光特性を示す。横軸は波長(nm)、縦軸は各カラー波長に対する透過率を示す。
図2は本発明の第1の実施例によるカラー固体撮像素子14のカラーフィルター10の平面図である。カラーフィルター10は、所謂リニア配列によって、赤色(R)、緑色(G)、および青色(B)の3色用のカラーフィルター11、12、13がストライプ状に配列されている。なお、本発明のカラーフィルターの配列はかかるリニア配列に限定されるものではない。
図3は本発明の第1の実施例によるカラー固体撮像素子14の断面図であり、図2のA−A’部分に対応するものである。
図4に示すように、光感度を重視する従来のカラーフィルターは、図1の本発明による場合と比較し、赤色用のカラーフィルターの分光特性4、緑色用のカラーフィルターの分光特性5、青色用のカラーフィルターの分光特性6とも、各色における主感度の波長(450nm、530nm、620nm)における透過率は高い。しかし、各分光特性が交差する波長(500nm、580nm)における透過率が高く、例えばカラースキャナーや、カラーコピー機に使用するには色分離が十分でない。
本発明第1の実施例によるカラー固体撮像素子14は、図3にその断面を示すように、受光部である複数の光電変換素子15を形成した基板16上に、受光部の凹凸を埋めるように形成された第1の平坦化層17、入射光を色分解するカラーフィルター10、そして第2の平坦化層18を順次形成することより構成されている。そしてカラーフィルター10はその一部が2層構成となっている。
なお、光電変換素子15の受光面の寸法が数μmと非常に小さく、十分な光感度が得られにくい場合には、第2の平坦化層18上にマイクロレンズ(図示せず。図10(d)ご参照)を形成することもできる。
図2に示す緑色フィルター12は、図3の断面図に示すように、第1層として形成される黄色カラーフィルター層21と第2層として形成される緑色カラーフィルター層22との重ね合わせによって形成される。黄色カラーフィルター層21は少なくとも黄色の着色料を含む層である。着色料としては顔料または染料あるいはそれらの中間体が使用可能である。
緑色カラーフィルター層22は少なくとも緑色の着色料を含む層である。緑色の顔料としては、これらに限定されるわけではないが、例えばC.I.ピグメントグリーン7、36、37を使用することができる。緑色の染料としては、これらに限定されるわけではないが、例えばC.I.Acidグリーン25、41を使用することができる。この緑色フィルター12の分光特性が図1において2として示されているものである。
図5に黄色カラーフィルター層21の分光特性31、緑色カラーフィルター層22の分光特性32、および黄色カラーフィルター層21と緑色カラーフィルター層22との重ね合わせによって形成される緑色フィルター12の分光特性33を示す。
同様に図2に示す赤色フィルター11は、図3の断面図に示すように、第1層として形成される黄色カラーフィルター層23と第2層として形成される赤色カラーフィルター層24の重ね合わせによって形成される。黄色カラーフィルター層23は少なくとも黄色の着色料を含む層である。赤色カラーフィルター層24は少なくとも赤色の着色料を含む層である。赤色の顔料としては、これらに限定されるわけではないが、例えばC.I.ピグメントレッド123、155、168、177、180、217、220のいずれかを使用することができる。赤色の染料としては、これらに限定されるわけではないが、例えばC.I.Acidレッド37、50、111、114、257、266のいずれかを使用することができる。この赤色フィルター11の分光特性が図1において1として示されているものである。
図5に赤色カラーフィルター層24の分光特性34、および黄色カラーフィルター層23と赤色カラーフィルター層24との重ね合わせによって形成される赤色フィルター11の分光特性35を示す。
第1の実施例においては、黄色カラーフィルター層21および23は、同一工程によって形成される。このため、同じ種類および濃度の着色料を含むことができる。図5の分光特性は黄色カラーフィルター層21および23が同一工程によって形成された場合である。同一工程による製造が望ましいが、着色料の濃度が異なるような場合には黄色カラーフィルター層21および23は別工程で順次形成することも可能である。
図2に示す青色フィルター13は、図3の断面図に示すように、青色カラーフィルター層25の1層のみによって形成される。青色カラーフィルター層25は少なくとも青色の着色料を含む層である。青色の顔料としては、これらに限定されるわけではないが、例えばC.I.ピグメントブルー15、15:3、15:4、15:6、6、22、60のいずれかを使用することができる。青色の染料としては、これらに限定されるわけではないが、例えばC.I.Acidブルー41、83、90、113、129のいずれかを使用することができる。この青色フィルター13の分光特性は図1において3として示されているものである。
各カラーフィルター層21、22、23、24、25は、透明樹脂中に平均粒径がサブミクロンオーダーの顔料を分散させた感光性樹脂組成物を光電変換素子15が形成された基板16の表面の第1の平坦化層17上に、塗布、プレベーク、露光、現像、熱硬化からなる各工程を処理することにより形成される。例えば黄色カラーフィルター層21(および23)、緑色カラーフィルター層22、赤色カラーフィルター層24、青色カラーフィルター層25のように、色の数に対応して、一連の工程を同数回繰り返すことにより図3に示す構造が得られる。
なお、カラー固体撮像素子14を例えばカラーコピー機等に用いる場合に、本発明におけるカラーフィルター層21〜25の着色方法としては特に耐熱性や耐光性に優れる顔料分散法を用いるのが望ましい。しかし、本発明は顔料分散法に限定されるわけではない。用途によっては、例えば、PVAやカゼインなどの透明樹脂をパターン化し、その透明パターンに染料を固着させてカラーフィルターとする所謂染色法を使用することもできる。また、分子内に少なくとも1つ以上の重合可能な官能基を有する染料をそのままモノマーとして、あるいは重合して染色重合物として用い、感光剤(光開始剤等)を混ぜてカラーレジスト化し、そのカラーレジストをリソグラフィでパターン化させてカラーフィルターとする所謂染料分散法を使用することもできる。
分子内に少なくとも1つ以上の重合可能な官能基を有する染料として、例えばアントラキノン系染料、ニトロソ系染料、ニトロ系染料、アゾ系染料(即ち、モノアゾ系染料、ジアゾ系染料、トリアゾ系染料、ポリアゾ系染料等)、アゾイック系染料、スチルベン系染料、カロテノイド系染料、ジフェニルメタン系染料、トリアリルメタン系染料、キサンテン系染料、アクリジン系染料、キノリン系染料、メチン系染料、ポリメチン系染料、チアゾール系染料、インダミン系染料、インドフェノール系染料、アジン系染料、オキサジン系染料、チアジン系染料、サルファー系染料、ラクトン系染料、アミノケトン系染料、ヒドロキシケトン系染料、インジゴイド系染料、フタロシアニン系染料、天然有機色素物、酸化物系、無機色素物系等から適宜選択して使用することができる。また重合可能な官能基を持たない染料には官能基を導入して使用することができる。
本発明のカラー固体撮像素子14では、例えば図3に示す断面図のように、緑色フィルター12は、第1層として形成される黄色カラーフィルター層21と第2層として形成される緑色カラーフィルター層22の重ね合わせによって形成される。このため、図1に示すように緑色用のカラーフィルターの透過率曲線2が、赤色用のカラーフィルターの透過率曲線1および青色用のカラーフィルター層の透過率曲線3と低い透過率で交差するように色分離に優れる分光特性を有するように形成した場合であっても、カラーフィルター層の剥がれや、現像液がカラーレジストパターンの底部に染み込むことにより生ずるシミや、パターン変形が部分的に生じ、画素形状が部分的に変化して観察される外観不良であるムラ等が生じることがない。
また、緑色カラーフィルター層22の620〜670nmの透過率を低く抑えることにより、620nmに主感度を持つ赤色との色分離が増し、色ノイズを低減できる。
また、400〜450nmに吸収を持つC.I.ピグメントイエロー139を主顔料とした黄色カラーフィルター23を第1層として形成し、その上に赤色カラーフィルター層24を形成して赤色フィルター11とするので、赤色フィルター11の400〜450nmにおける透過率を、従来の赤色カラーフィルター以上に抑えることができる(図4参照)ので色分離に優れたカラーフィルターとすることができる。
第1の実施例に係る本発明のカラー固体撮像素子14の製造方法を以下に示す。図3に示すような複数の光電変換素子15を形成した基板16上に、基盤表面の凹凸を埋め平坦化するため第1の平坦化層17を形成する。
第1の平坦化層17としては例えば熱硬化性のアクリル樹脂を用いることができる。アクリル樹脂をスピンコート法により約1μmの厚さにて基板16の表面に塗布形成し、180℃のホットプレート上にて約10分間過熱し、熱硬化させる。
次いで、第1の平坦化層17上に黄色カラーフィルター層21、23を形成する。黄色カラーフィルター層21、23を形成するためには、着色材料として例えばC.I.ピグメントイエロー139を用いることができる。本実施例においては、C.I.ピグメントイエロー139を主顔料とする黄色の顔料を含むカラーレジスト層をスピンコート法により約0.7μmの厚さで塗布形成する。続いて、例えば80℃のホットプレートにて約1分の仮乾燥を行う。
なお、黄色の顔料としては、これらに限定されるわけではないが、例えばC.I.ピグメントイエロー139の他、C.I.ピグメントイエロー150やC.I.ピグメントイエロー185などを単独でまたは混合して使用することができる。図6にC.I.ピグメントイエロー139、150、および185を使用した黄色フィルター層の波長に対する透過率を示す。37がC.I.ピグメントイエロー139、38がC.I.ピグメントイエロー150、39がC.I.ピグメントイエロー185をそれぞれ単独で使用した場合の分光特性である。黄色の染料としては、これらに限定されるわけではないが、例えばC.I.Acidイエロー17、49、67、72、127、110等を使用することができる。
仮乾燥の後、フォトリソグラフ法により黄色カラーフィルター層21、23のパターン形成を行う。パターン形成には、例えばニコン社製i線ステッパーを用いることができる。例えば、レジストパターンの形状に対応する光透過領域を有するマスクを介して、i線を300mJ/cm2の露光量で照射する。
なお露光機としてはi線ステッパーの使用が一般的であるが、遠紫外線を含む光を照射するアライナーの使用が可能であり、例えばg線(405nm)ステッパーを使用することもできる。
次いで、例えばTMAH(テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド)を主成分とする有機アルカリ水溶液の現像液によって1分スプレー現像した後、純水リンス、スピン乾燥させる。
次いで、180℃のホットプレート上にて約10分間加熱し、パターン化したカラーレジスト層を熱硬化することにより、黄色カラーフィルター層21、23を形成することができる。
本実施例において、黄色カラーフィルター層21、23は、最終的には緑色と赤色を主感度とする光電変換素子15(G)、15(R)上に選択的に形成する。本実施例における黄色カラーフィルター層21、23の膜厚は例えば0.7μmとすることができる。
次に、黄色カラーフィルター層21、23と同様の工程により、緑色の着色料を主着色材料として含む、緑色カラーフィルター層22のためのレジスト層を形成する。黄色カラーフィルター層と同様にフォトリソグラフ法によりパターン化される。
緑色カラーフィルター層22は、最終的に緑色を主感度とする光電変換素子15(G)上に先に形成された黄色カラーフィルター層21の上に選択的に形成される。この時の露光量は1000mJ/cm2であり、緑色カラーフィルター層22の膜厚は1.8μmとすることができる。
次に、黄色及び緑色カラーフィルター層21、23、22と同様の方法により、赤色の着色料を主着色材料として含む、赤色カラーレジストにより赤色カラーフィルター層24のためのレジスト層をフォトリソグラフ法により形成する。赤色カラーフィルター層24は、最終的に赤色を主感度とする光電変換素子15(R)上に先に形成された黄色カラーフィルター層23上に選択的に形成する。この時の露光量は400mJ/cm2であり、赤色カラーフィルター層24の膜厚は1.5μmとすることができる。
次に、黄色、緑色、および赤色カラーフィルター層21、23、22、24と同様の方法により、青色の着色料を主着色材料として含む、青色カラーフィルター層25をフォトリソグラフ法により形成する。青色カラーフィルター層25は、最終的に青色を主感度とする光電変換素子15(B)上の第1の平坦化層上に選択的に形成する。この時の露光量は900mJ/cm2であり、青色カラーフィルター層25の膜厚は2μmとすることができる。
最後に、カラーフィルター10の表面平坦化のため、第1の平坦化層17と同様に、第2の平坦化層18を形成する。熱硬化性のアクリル樹脂を緑色、青色および赤色カラーフィルター層22、25、24の表面に1μmの膜厚で塗布形成する。続いて、180℃のホットプレート上にて約10分間加熱し、熱硬化させる。
このようにして形成された図2に示すカラーフィルターの線幅は、緑色、赤色、青色ともに例えば10μmとすることができる。
以上の工程により、フィルター層の底部の剥がれを防止でき、またフィルター層におけるシミやムラの発生を防止することができる。また、フォトリソグラフ法による現像後に残さが生じないようにすることができる。このため、シャープで良形状のカラーフィルターが得られた。
黄色カラーフィルター層21と緑色カラーフィルター層22とからなる緑色フィルター12の分光特性は、図1の透過率曲線2に示すように、波長400〜450nm及び620〜680nmにおいて透過率2%以下、波長530nm付近のピーク透過率が68%と、色分離に優れた分光特性が得られた。
また、緑色フィルター12においては、黄色および緑色カラーフィルタ層21、22の膜厚および上記各層の着色剤の調整により、トータル分光特性が、波長400〜450nmの光に対する透過率が5%以下であり、波長620〜670nmの光に対する透過率が5%以下であり、30%透過率の波長が短波長側で490nm〜520nm、長波長側で570〜600nmの範囲にあり、そして、ピーク波長が500〜550nmの範囲にあり、その透過率が60〜80%であるように調整することができることがわかった。かかる分光特性は、カラースキャナーやカラーコピー機に使用される固体撮像素子用の緑色用のカラーフィルターとして好適である。
また、黄色カラーフィルター層23と赤色カラーフィルター層23とからなる赤色フィルター11の分光特性は、図1の透過率曲線1に示すように、波長400〜550nmの領域で透過率が1%以下、波長620nmの透過率が90%と、色分離に優れた分光特性が得られた。
また、赤色フィルター11に関しては、黄色および赤色カラーフィルター層23、24の膜厚および上記各層の着色剤の種類および濃度の調整により、トータル分光特性が、波長400〜550nmの光に対し透過率が5%以下であり、50%透過率の波長が570nm〜605nmの範囲にあり、そして波長600〜650nmの光に対する透過率が80%以上であるように調整することができることがわかった。かかる分光特性を有するカラーフィルターは、例えばカラースキャナーやカラーコピー機に使用される固体撮像素子に使用される赤色用のカラーフィルターとして好適である。
上記本発明による第1の実施例と、他の類似のカラーフィルター形成方法とを比較した例を以下に示す。
<比較例1>
比較例1においては、本発明のように2層構成のカラーフィルターを採用せず、1層のカラーフィルターのみを用いて、本発明の上記第1の実施例と同様の分光特性を得ようとした場合である。
第1の平坦化層を形成する工程までは、上記第1の実施例と同様である。第1の平坦化層上に、緑色フィルターを形成するために、本発明の第1の実施例の黄色カラーフィルター層に含まれる黄色顔料と緑色カラーフィルター層に含まれる緑色顔料を混合した緑色のカラーレジストをスピンコート法により約2.5μmの厚さで塗布形成した。続いて、80℃のホットプレート上で1分間仮乾燥をした後、ニコン社製i線ステッパーを使用して、上記第1の実施例と同様のマスクを介し2000mJ/cm2の露光量を照射した。
次いで、TMAHを主成分とする有機アルカリ水溶液の現像液によって1分スプレー現像した後、純水リンス、スピン乾燥させた。
この比較例の場合、現像後の緑色フィルターのほとんどは、現像により第1の平坦化層から剥離した。カラーレジスト層の厚さが2.5μmと厚くなると、2000mJ/cm2の露光量の照射によっても、硬化が不十分なためと考えられる。
<比較例2>
比較例1の露光量を2000mJ/cm2以上の通常のステッパ装置の限界まで上げて照射し、現像後の緑色フィルターを観察したが、緑色フィルターは部分的に形成されているだけで、そのほとんどは剥離していた。2000mJ/cm2を超える露光量の照射によっても硬化が不十分な部分が発生するためと考えられる。
<比較例3>
比較例1の現像時間を比較例1における1分から30秒に短縮し、現像後の緑色フィルターを観察した。緑色フィルターはパターニングできているものの、目視で平坦化層が着色しているのが観察できる程残さが多く、また、緑色フィルターのエッジ底部にシミが発生していた。現像時間が短いため緑色のカラーレジストの除去が十分に行われないためと考えられる。
図7に光電変換素子を含む基板40の表面に形成された本発明の第2の実施例に係るカラーフィルター41の各層のパターンおよび製造手順、そしてカラー固体撮像素子14の断面を示す。
図7(a)に示すように基板40に先ず互いに直交する複数の帯状領域42からなる黄色カラーフィルター層43を形成する。レジスト層の形成およびパターン化は第1の実施例と同様の方法により行うことができる。複数の帯状領域42は互いに直交するため、各帯状領域42は、複数の四角形の交差部44および複数の四角形の非交差部45により形成される。また帯状領域の間には帯状領域によって区画された黄色カラーフィルター層43に対する貫通孔である四角形の窓部46が形成される。
この実施例においては、交差部44は赤色の光電変換素子(図示せず)上に位置し、非交差部45は緑色の光電変換素子(図示せず)上に位置し、窓部46は青色の光電変換素子(図示せず)の位置に対応する。なお本発明はかかる組み合わせに限定されるわけではない。
次に図7(b)に示すように、非交差部45上に非交差部と同一形状の四角形の緑色カラーフィルター層47を形成する。レジスト層の形成およびパターン化は第1の実施例と同様の方法により行うことができる。
次に図7(c)に示すように、交差部44上に交差部と同一形状の四角形の赤色のカラーフィルター層48を形成する。レジスト層の形成およびパターン化は第1の実施例と同様の方法により行うことができる。
次に図7(d)に示すように、窓部46により露出した基板40上に窓部と同一形状の四角形の青色カラーフィルター層49を形成する。フィルター膜の形成およびパターン化は第1の実施例と同様の方法により行うことができる。
このようにして、黄色カラーフィルター層43と緑色カラーフィルター層47の2層構成からなる緑色のカラーフィルター、黄色カラーフィルター層43と赤色カラーフィルター層48の2層構成からなる赤色のカラーフィルター、および単層の青色カラーフィルター層49からなる青色のカラーフィルターを有するカラーフィルター41を有するカラー固体撮像素子14を形成することができる。第2の実施例においては緑色のカラーフィルター、赤色のカラーフィルター、および青色のカラーフィルターの各領域の比率は2:1:1である。
図7(e)に上記第2の実施例によるカラー固体撮像素子の断面図を示す。図7(d)のA−A’部に対応する。
図8に光電変換素子を含む基板40の表面に形成された本発明の第3の実施例に係るカラーフィルター41の各層のパターンおよび製造手順、そしてカラー固体撮像素子の断面図を示す。
図8(a)に示すように基板40に先ず互いに直交する複数のほぼ帯状の領域50からなる黄色カラーフィルター層43を形成する。フィルター膜の形成およびパターン化は第1の実施例と同様の方法により行うことができる。ほぼ帯状の領域50は図8においては縦方向および横方向に互いに直交するように形成される。このため、ほぼ帯状の領域50は複数のほぼ四角形の交差部51および複数のほぼ四角形の非交差部52により形成される。またほぼ帯状の部分の間には帯状領域によって区画された四隅が丸い四角形の貫通孔である第1の窓部53が形成される。
交差部51は赤色の光電変換素子(図示せず)上に位置し、非交差部52は緑色の光電変換素子(図示せず)上に位置し、第1の窓部53は青色の光電変換素子(図示せず)の位置に対応する。
次に図8(b)に示すように、ほぼ帯状の領域50の形状に対応する緑色カラーフィルター層54を形成する。この場合、交差部51には四隅を丸くした四角形の貫通孔である第2の窓部55が形成されるようにする。フィルター膜の形成およびパターン化は第1の実施例と同様の方法により行うことができる。
次に図8(c)に示すように、第2の窓部55を埋める形状の四隅を丸くした四角形の赤色カラーフィルター層56を形成する。レジスト層の形成およびパターン化は第1の実施例と同様の方法により行うことができる。
次に図8(d)に示すように、第1の窓部53により露出した基板40上に第1の窓部と同一形状の四角形の青色カラーフィルター層57を形成する。レジスト層の形成およびパターン化は第1の実施例と同様の方法により行うことができる。
このようにして、黄色カラーフィルター層43と緑色カラーフィルター層54の2層構成からなる緑色フィルター、黄色カラーフィルター層43と赤色カラーフィルター層56の2層構成からなる赤色フィルター、および単層の青色カラーフィルター層57からなる青色フィルターを有するカラーフィルター41を有するカラー固体撮像素子14を形成することができる。
図8(e)に上記第3の実施例によるカラー固体撮像素子の断面図を示す。図8(d)のA−A’部に対応する。
第1および第2の窓部53、55は四隅が丸くなっている。このため、後から形成される赤色カラーフィルター層56および青色カラーフィルター層57の形状は適正に形成される。且つ、四隅において盛り上がることがなくなり、しかも剥がれ難くなる。
図9に光電変換素子(図示せず)を含む基板40の表面に形成された本発明の第4の実施例に係るカラーフィルター41の各層のパターンおよび製造手順、そしてカラー固体撮像素子の断面図を示す。
図9(a)に示すように基板40に先ず互いに直交する複数のほぼ帯状の領域50からなる黄色カラーフィルター層43を形成する。第3の実施例と同様に、ほぼ帯状の領域50は図9において縦方向および横方向に互いに直交するように形成される。このため、ほぼ帯状の領域50は複数のほぼ四角形の交差部51および複数のほぼ四角形の非交差部52により形成される。またほぼ帯状の部分の間には帯状領域によって区画された四隅が丸い四角形の貫通孔である第1の窓部53が形成される。
交差部51は赤色の光電変換素子(図示せず)上に位置し、非交差部52は緑色の光電変換素子(図示せず)上に位置し、第1の窓部53は青色の光電変換素子(図示せず)の位置に対応する。
次に図9(b)に示すように、非交差部52上に四隅を丸くした四角形の緑色カラーフィルター層60を形成する。このため、交差部51には四隅に放射状の小さい拡張部62を有する貫通孔である第2の窓部61が形成される。
次に図9(c)に示すように、第2の窓部61内に四隅を丸くした四角形の赤色カラーフィルター層63を形成する。
次に図9(d)に示すように、第1の窓部53により露出した基板40上に第1の窓部と同一形状の四角形の青色カラーフィルター層64を形成する。
このようにして、黄色カラーフィルター層43と緑色カラーフィルター層60の2層構成からなる緑色フィルター、黄色カラーフィルター層43と赤色カラーフィルター層63の2層構成からなる赤色フィルター、および単層の青色カラーフィルター層64からなる青色フィルターを有するカラーフィルター41を有するカラー固体撮像素子14を形成することができる。
図9(e)〜(g)に上記第4の実施例によるカラー固体撮像素子14の断面図を示す。図9(e)は図9(d)のA−A’部に対応し、(f)はB−B’部に対応し、(g)はC−C’部に対応する。
後から形成される緑色カラーフィルター層60、赤色カラーフィルター層63、および青色カラーフィルター層64は四隅が丸くなるように形成されている。このため、これらの形状は適正に形成される。且つ、四隅において盛り上がることがなくなり、しかも剥がれ難くなる。
図10に、カラーフィルター73上に、各光電変換素子79への入射光を集光する複数のマイクロレンズ78を設けた第5の実施例を示す。第5の実施例においても、例えば上記第2〜第4の実施例で説明したように、複数の光電変換素子のそれぞれに対応して2層および1層からなるカラーフィルターが形成されている。
第5の実施例に係るカラー固体撮像素子は、例えば図10(d)に示すように、その表面に光電変換素子79の形成された基板40上に、1層からなるカラーフィルター層70、および下層71および上層72の2層を有するカラーフィルター73が形成された構造を有することができる。そして、各光電変換素子79に対応する位置に複数のマイクロレンズ78が配置される。この方法に限定されるものではないが、以下図10(d)に示すようなマイクロレンズ78の形成方法を説明する。
図10(a)に示すように、先ず、カラーフィルター73上に例えばアクリル樹脂の塗布液を用いて、約1.1μm膜厚の透明樹脂層75を塗布形成する。次に図10(b)に示すように、例えばアルカリ可溶性・感光性・熱フロー性をもつ例えばフェノール樹脂からなるレンズ母型材料76を、上記透明樹脂層75上に0.6μmの厚さで塗布する。
次に公知のフォトリソグラフィーブロセスを使用し、レンズ母型77となる領域を残して、レンズ母型材料76をパターニングする。図10(c)に示すようなレンズ母型77は、上記領域のフェノール樹脂からなり、パターニング後残されたレンズ母型材料76を200℃の熱処理にてフローさせて丸く半球状に形成したものである。このレンズ母型77は、片側0.1μmのほぼ適正なフロー量により、レンズ母型間のギャップが例えば0.24μmのスムースな半球状のレンズ母型として形成できる。
次に、ドライエッチング装置にて、フロン系ガスCF4、C4F8の混合ガスを用い、上記レンズ母型77をマスクとして使用し、先に形成した透明樹脂層75に対して転写処理を行い、転写レンズ即ちマイクロレンズ78を形成する。レンズ母型77および透明樹脂層75を上方から均一にエッチングすると、レンズ母型77の形状を保ったまま下方にエッチングが進むため、透明樹脂層75の形状をレンズ母型77の形状と同じ形状にエッチングすることができる。マイクロレンズ78の高さは.例えば1μmである。マイクロレンズ78間のギャッブは例えば0.04μmと狭いギャッブに加工できる。
なお、レンズ母型77を用いた転写の際に、エッチング部分が下層のカラーフィルター73の表面に到達しても透明樹脂層75のドライエッチングを進め、カラーフィルター73の一部をマイクロレンズの一部として利用できるようにすると、マイクロレンズ78と光電変換素子79の間の距離がより短くなるため、開口率が上がり、広範囲の光を取り込むことができる。
図10に示すように、上層のカラーフィルター層72を形成する際に下層のカラーフィルター層71よりも小さめに形成すると、カラーフィルター層の上層表面の延長線(図10(d)のL)を超えてエッチングを進めても、マイクロレンズ78の下部端部80がカラーフィルター層ではなく透明樹脂層75を掘り進むことになる。
カラーフィルター層はドライエッチングによって荒れやすく、またエッチングレートが小さくてエッチングが進みにくいが、アクリル樹脂層75についてはそのような問題がない。このため、マイクロレンズ78の下部端部80がカラーフィルター層の間に入り込むようになってもマイクロレンズ78の表面は滑らかに形成され、かつ深くエッチングができるので、大きなマイクロレンズを形成することができる。
以上のように本発明によれば、色分離及び解像に優れ、またパターン剥がれや残さがない量産性に優れた緑色と赤色用のカラーフィルターを備えたカラー固体撮像素子及びそのカラーフィルターを提供できる。
以上、本発明の原理を特定の実施の形態により説明したが、上記説明は単なる例示に過ぎず、本発明の技術的範囲を制限するものではないことが明らである。当業者は、本発明の要旨の範囲内において、上記実施の形態に記載の内容を自由に変更して実施することが可能である。
1…赤色用カラーフィルターの透過率曲線、 2…緑色用カラーフィルターの透過率曲線、 3…青色用カラーフィルターの透過率曲線、 4…赤色用カラーフィルターの透過率曲線、 5…緑色用カラーフィルターの透過率曲線、 6…青色用カラーフィルターの透過率曲線、 10…カラーフィルター、 11…赤色フィルター、 12…緑色フィルター、 13…青色フィルター、 14…カラー固体撮像素子、 15…光電変換素子、 16…基板、 17…第1の平坦化層、 18…第2の平坦化層、 21…黄色カラーフィルター層、 22…緑色カラーフィルター層、 23…黄色カラーフィルター層、 24…赤色カラーフィルター層、 25…青色カラーフィルター層、 31…分光特性、 32…分光特性、 33…分光特性、 34…分光特性、 35…分光特性、 40…基板、 41…カラーフィルター、 42…帯状領域、 43…黄色カラーフィルター層、 44…交差部、 45…非交差部、 46…窓部、 47…緑色カラーフィルター層、 48…赤色カラーフィルター層、 49…青色カラーフィルター層、 51…交差部、 52…非交差部、 53…第1の窓部、 54…緑色カラーフィルター層、 55…第2の窓部、 56…赤色カラーフィルター層、 57…カラーフィルター層、 60…緑色カラーフィルター層、 61…第2の窓部、 62…拡張部、 63…赤色カラーフィルター層、 64…青色カラーフィルター層、 70…1層からなるカラーフィルター、 71…下層のカラーフィルター層、 72…上層のカラーフィルター層、 73…カラーフィルター、 75…透明アクリル樹脂層、 76…レンズ母型材料、 78…マイクロレンズ、 79…光電変換素子 80…マイクロレンズの下部端部