JP4808334B2 - スペックル・サイズ推定を用いた超音波ベースの定量的運動測定 - Google Patents

スペックル・サイズ推定を用いた超音波ベースの定量的運動測定 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、超音波に関し、さらに詳細には、フロー速度などの定量的運動に対する超音波を用いた決定に関する。
【0002】
【発明の背景】
現在、超音波で実施される定量的フロー測定の大多数は走査軸に沿って、すなわちトランスジューサ面に対して直角方向で実施されている。測定するフローをトランスジューサ面に平行にするような方法が考案できれば、この両者を組み合わせて、その走査平面で2次元速度ベクトルを分解することができる。この考え方は、既存の横方向フロー(すなわち、トランスジューサ面に平行な運動の)測定方法と比べて相違することになる。
【0003】
Newhouse及びReidにより述べられた一方法(「Invariance of Doppler bandwidth with flow axis displacement」IEEE Ultrasonics Symposium Proceedings,1990,1533頁)では、横方向フローから戻されるドップラ信号の分散を測定している。M Andersonにより開発された技法(「Multi-dimensional velocity estimation with ultrasound using spatial quadrature」IEEE Transactions on Ultrasonics, Ferroelectrics, and Frequency Control,vol.45,no.3,852〜861頁)では、トランスジューサの開口の修正を実施し、ビームを横切るように横方向に散乱が移動する際に被変調信号を発生させるような超音波ビームを生成している。これらの方法はいずれも、複数の超音波ビーム位置または走査からの情報は使用していない、したがって、本出願に記載した技法とは異なる。局所的な血液スペックル・パターンの変位の方向及び大きさを連続するBモード(すなわち、グレイスケール)画像を使用して測定している別の横方向フロー方法が、Trahey,Allison及びVon Rammにより述べられている(IEEE Transactions on Biomedical Engineering,vol.BME-34,No.12,965〜967頁)。この技法では複数の画像が必要となり、スペックルの位置変化を測定している。本明細書に記載した好ましい実施形態ではこれと異なり、こうした一時的な測定を必要とせずにスペックル・サイズを推定できる。
【0004】
【発明の概要】
好ましい実施形態は、第1の物質及び第2の物質を含む検査対象を、第1の物質が第2の物質に対して第1の方向に運動している状態で画像化するための超音波システムにおいて使用する際に有用である。こうした環境では、検査対象内に、所定のサイズを有しており、第1の方向に平行な1つまたは複数の走査方向成分を有する1つまたは複数の走査方向に移動する複数のビーム位置及びビーム軸を規定している超音波のビームを送信することにより、好ましい実施形態により、第2の物質に対する第1の物質の定量的運動の決定が可能となる。1つまたは複数の走査方向でのビーム位置に対応して、第1の反射超音波が第1の物質から受け取られ、また第2の超音波が第2の物質から受け取られる。この送信及び受信は、トランスジューサ・アセンブリにより達成させることが好ましい。第1のデータ・ブロックは、第2の物質に対する第1の物質の走査方向の1つに沿った運動の少なくとも1つの成分を表している第1の反射超音波に応答して生成させる。第2のデータ・ブロックは、第2の物質の一部分を表している第2の反射超音波に応答して生成させる。第1のデータ・ブロックに対して第1の分析を実施して第1の結果を求め、第2のデータ・ブロックに対して第2の分析を実施して第2の結果を求め、さらに第1の結果及び第2の結果に対して第3の分析を実施して第1の物質の1つまたは複数の運動特性を決定する。データ・ブロックの生成、並びにこれらの分析の実施は、プロセッサにより達成させることが好ましい。1つまたは複数の運動特性は、好ましくは表示ユニットにより表示させる。
【0005】
上述の技法を使用することにより、これまでは利用できなかったような精度及び便利さでの超音波による運動の検出が可能となる。
【0006】
【発明の実施の形態】
好ましい実施形態では、超音波スペックル・サイズを測定し、これを組織の動きと関連付けている。スペックルは、コヒーレントな音波がイメージング・システムの分解能セル内で多重散乱を受けることにより発生しており、その横方向のサイズは、組織の動き、並びに超音波ビームを検査対象内に走査させる速度に従って異なる。
【0007】
図1について説明すると、本発明に従って製作される超音波システム1の好ましい一形態は、別々に駆動される複数のトランスジューサ素子12を含むトランスジューサ・アレイ10を備え、トランスジューサ素子12の各々は送信器14が発生させたパルス状波形または符号化された波形によって付勢されたときに超音波エネルギーのバーストを発生させる。検査中の物体からトランスジューサ・アレイ10へ反射された超音波エネルギーは各受信トランスジューサ素子12によって電気信号に変換され、1組の送受信切換え(T/R)スイッチ18を介して受信器16へ別々に印加される。T/Rスイッチ18は典型的には、送信用電子回路が発生させる高電圧から受信用電子回路を保護するダイオードである。送信信号によりこれらのダイオードをオフにする、すなわち受信器への信号を制限する。送信器14及び受信器16は、オペレータ(人間)による命令に応答する主制御装置またはプロセッサ20の制御の下で動作する。プロセッサ20は、マイクロプロセッサ、ディジタル信号プロセッサ、または論理演算及び算術演算の能力をもったACICなどの様々なプロセッサを含むことができる。送信器14を一時的にオンにゲート制御して各トランスジューサ素子12を付勢し、各トランスジューサ素子12が発生させる後続のエコー信号を受信器16に印加して一連のエコー信号を取得することにより、完全な1回の走査(スキャン)が実行される。あるチャンネルは、別のチャンネルが未だ送信を行っている間に受信を開始することがある。受信器16は各トランスジューサ素子からの別々のエコー信号を合成して単一のエコー信号を作成し、この単一のエコー信号を使用して表示モニタ22上の画像内に1本の線を生成させる。
【0008】
主制御装置20の指令の下に、送信器14は、超音波エネルギーが方向付けされ焦点合わせされたビームとして送出されるようにトランスジューサ・アレイ10を駆動する。これを達成するためには、送信ビーム形成器26により、複数のパルス発生器24にそれぞれの時間遅延が与えられる。主制御装置20により音響パルスを送信する条件が決定される。この情報により、送信ビーム形成器26は、パルス発生器24が発生すべき各送信パルス波形または符号化された波形に対するタイミング及び振幅を決定する。各送信信号の振幅はアポダイゼーション(apodization) 発生回路36により作成する。この発生回路36は、各パルス発生器に合った電源電圧を設定する高電圧制御装置とすることがある。パルス発生器24は、次いで、T/Rスイッチ18を介してトランスジューサ・アレイ10の各素子12に送信パルスを送る。T/Rスイッチ18は、トランスジューサ・アレイに生じる恐れのある高電圧から時間利得制御(TGC)増幅器28を保護している。重みは、アポダイゼーション発生回路36内で発生させており、このアポダイゼーション発生回路36は、送信ビーム形成器26から重み付けデータを取り込み、これをパルス発生器24に与えている1組のディジタル対アナログ変換器を含むことがある。送信焦点合わせ時間遅延を従来の方式により適切に調節し、さらに送信アポダイゼーション重みを調節することによって、超音波ビームを方向付けし焦点合わせして、送信ビームを形成させることができる。
【0009】
超音波エネルギーの各バーストにより発生するエコー信号は、各送信ビームに沿った相次ぐ距離に位置する物体から反射される。このエコー信号は各トランスジューサ素子12によって別々に検知され、特定の時点におけるエコー信号の大きさのサンプル値により特定の距離において生じる反射の量が表される。反射点と各トランスジューサ素子12との間の伝搬経路の差により、エコー信号は同時に検出されることがなく、またこれらの大きさは等しくならない。受信器16は、各受信チャンネル内のそれぞれのTGC増幅器28によってエコー信号を別々に増幅する。TGC増幅器により提供される増幅量は、TGC回路(図示せず)により駆動される制御経路(図示せず)を通じて制御されており、このTGC回路は、主制御装置及びポテンショメータの手動操作により設定される。増幅されたエコー信号は、次いで、受信ビーム形成器30に供給される。受信ビーム形成器の各受信器チャネルは、それぞれのTGC増幅器28によって、トランスジューサ素子12のそれぞれの1つと結合させている。
【0010】
主制御装置20の指令の下に、受信ビーム形成器30は送信ビームの方向を追跡する。受信ビーム形成器30は、増幅された各エコー信号に適正な時間遅延及び受信アポダイゼーション重みを与え、これらの信号を加算して、1つの超音波ビームに沿った特定の距離に位置する点から反射された全超音波エネルギーを正確に示す1つのエコー信号を作成する。受信焦点合わせ時間遅延は、専用ハードウェアを使用してリアルタイムで計算されるか、あるいはルックアップ・テーブルから読み出される。受信チャンネルはまた、受信したパルスをフィルタ処理するための回路を有している。次いで、時間遅延された受信信号は加算され、信号処理装置31及びメモリ33に供給される。信号処理装置31は主制御装置20により制御されることがあり、加算したエコー信号をフィルタ処理してノイズ及び不要な信号成分を除去している。さらに、符号化された波形の復号化を信号処理装置31により実行することもある。どちらの機能に関しても、メモリ33に格納したエコー信号を用いることができる。処理した信号は、画像フレームの各セグメントまたは画像フレーム全体に対応するエコー線を格納しているメモリ・バッファ37に供給される。検出器32は、データを表示させるためにこの受信信号を変換している。Bモード(グレイスケール)の場合には、これは、エッジ強調や対数圧縮などの何らかの追加的な処理を受けた信号の包絡線となる。走査変換装置34は検出器32から表示データを受け取り、このデータを所望の画像に変換して表示させる。詳細には、走査変換装置34は音響画像データを極座標(R−θ)セクター形式またはデカルト座標の線形アレイから、適切なスケールとしたデカルト座標の表示ピクセル・データに、ビデオ速度で変換する。走査変換されたこの音響データは、次いで表示モニタ22上で表示するために出力され、表示モニタ22は信号の包絡線の時間変化する振幅をグレイスケールとして画像化する。各送信ビームに対してそれぞれの1本の走査線が表示される。
【0011】
一般に、この好ましい実施形態では検査対象内の物質の相対的運動(血流や組織の動きなど)に対応するスペックルの横方向サイズを測定している。走査シーケンス方向に従って、運動するターゲットや物質に対応するスペックルは、運動の方向に拡大するか縮小するかのいずれかとなる。この拡大または縮小するサイズを、静止したターゲットに対応するスペックルと比較することにより、伝達関数を介して定量的横方向フローの測定が可能となる。この伝達関数は超音波に関する当業者であれば実験により得ることができる。
【0012】
この好ましい実施形態に従って作成されたアルゴリズムによれば、上述すると共に、Richard Chiao らの名で1998年4月23日に出願された米国出願第09/065212号(1998年3月31日に出願されて、放棄された米国出願第09/052789号の一部継続出願)にさらに詳細に記載されている「Bフロー」技法を用いることにより、先ずフローに対応するスペックルが強調される。米国出願第09/065212号は、ゼネラル・エレクトリック社に譲渡されており、参照により本出願に組み込むものとする。図1の装置は、米国出願第09/065212号に教示されるように修正することができ、また、修正した装置を用いて求めたスペックル・データを、米国出願第09/065212号に教示されたBフロー技法を使用してさらに強調することができる。別法として、スペックル・データを強調する同様の方法を使用することもある。
【0013】
図2は、超音波ビームを表面9を有する検査対象S内に導くためのトランスジューサ・アセンブリ10の手動操作を図示したものである。トランスジューサは、表面9上に置いた位置P1で開始し、ビーム軸A1及びビーム位置BP1を規定する超音波のビームB1を発生させることができる。ビームB1のサイズ、形状及び周波数は、よく知られる技法に従って主制御装置20及びパルス発生器24により様々な値とすることができる。ビームB1は軸A1に沿ってD1の方向に導かれる。
【0014】
さらに図2について説明すると、トランスジューサ10は表面9に沿って走査方向SD1に手動で移動させ、ビーム位置BP1及びBP2をそれぞれ規定している位置P1と別の位置P2の間の複数の位置に沿ってビームが検査対象S内に送信されるようにする。これらの中間位置で送信されるビームは、サイズ、形状、周波数及び方向を、よく知られる技法に従った主制御装置20及びパルス発生器24による設定により様々な値とすることができる。位置P2において、トランスジューサはビーム位置BP2におけるビーム軸A2を規定しているビームB2を発生させる。ビームB2のサイズ、形状及び周波数は、主制御装置20及びパルス発生器24により様々な値とすることができる。ビームB2は軸A2に沿ってD2の方向に導かれる。ビームB1及びB2(並びに、位置P1とP2の間の中間で発生させたビーム)は、運動したりフローの方向F1に流れている血液などの物質に対応することがある領域R1〜R3など検査対象S内の幾つかの領域に送信される。領域R1〜R3はまた、検査対象S内の運動する物質の横列に対応することがある。このフローは、図1に断面で示す壁8などの動脈の壁に閉じこめられていることがある。走査方向SD1は方向F1に平行な成分を有する。
【0015】
図3は、トランスジューサ10と連携した電子的ビーム形成によるビームB1及びB2の発生を図示したものである。このビーム形成は、例えば、1995年3月14日にAnne L.Hall らの名により交付された米国特許第5,398,216号(ゼネラルエレクトリック社に譲渡されており、参照により本出願に組み込む)に記載された方式により実施することができる。図3の実施形態によれば、トランスジューサ10は位置P1のままにあり、方向D1及びD2に広がった端点B1及びB2をもつビームが、図のような円弧を形成しておりビーム端部位置BP1及びBP2並びに中間ビーム位置をもつ走査方向SD2の範囲を移動している。走査方向SD2は方向F1に平行な成分を有する。
【0016】
トランスジューサ10は、領域R1〜R3から反射した第1の超音波を受け取り、対応する第1のトランスジューサ信号をよく知られた方式によって発生させる。さらに、トランスジューサ10は、壁8から反射した第2の超音波を受け取り、対応する第2のトランスジューサ信号を発生させる。第1及び第2のトランスジューサ信号を用いて、米国出願第09/065212号に記載の方式により強調された対応する第1及び第2のBフロー・データが作成される。強調されたデータは、走査変換装置34の一部とすることがあるメモリ35内に格納される。このデータは、Bモード・タイプ表示により表示モニタ22上に表示される。
【0017】
表示モニタ22上の画像を用いて、トランスジューサ10のユーザは運動する物質、組織または血液に対応する関心領域(ROI)を選択する。この関心領域は、領域R1〜R3を含むことがある。ROIに対応するデータは転送され、メモリ35内に強度画像として格納したり、メモリ39内に検出前エコー・データとして格納することがある。運動推定手順を示すために、ここで強度画像データについて考察することにする、ただし、検出前エコー信号の分析においても同様の処理を使用することができる。この画像内の各横列(例えば、横列R1〜R3)は、1つの1次元横方向スペックル信号に対応したデータ・パケットにより表現されている。各横列ごとに、その横列(またはその横列のセグメント)に対応するデータの自己共分散関数(ACVF)の半値全幅(FWHM)を対応するデータ・パケットから測定する。画像横列または画像横列セグメントに対する各FWHM−ACVFは、用途により異なる様々な方法(例えば、平均化)により合成し、そのROI内のスペックル・サイズを表しているFWHM−ACVFの1次元マップまたは2次元マップを得ることができる。
【0018】
FWHM−ACVFの各値は、その出力が推定後の速度である伝達関数に対する入力である。この伝達関数は、速度に対して単に線形関係とすることがあり、またより複雑な非線形関数とすることもある。壁8から得られるデータなど静止したターゲットに対応したスペックルのFWHM−ACVFをこの伝達関数に対する別のパラメータとすることがある。
【0019】
さらに、フローの方向(例えば、F1)に対する走査シーケンス方向(例えば、SD1またはSD2)により、スペックルが拡大するのか縮小するのかを決定する。走査シーケンス方向が横方向フローの方向と同じである場合、ビームにより検査対象をスウィープする速さとして定義される走査速度にその速度が近づくほどスペックルは拡大する、すなわちスメアー(smear)が増える。この理由により、走査速度は測定しようとする所望の速度範囲に基づいて制御されることになる。例えば、図2を参照すると、平均走査速度は、ビーム位置BP1とビーム位置BP2の差をすべてのビームを収集する時間で除したものとなる。走査方向がフローと反対方向の場合にはスペックルの拡大は生じない、したがって、適正なデータの収集が保証される(すなわち、スペックルの拡大により速度推定が得られる)。FWHM−ACVFはそのROIにおいて、各走査シーケンス方向あたり1回として2度測定することも可能である。3つのパラメータ(すべてFWHM−ACVFであって、フローと一致した走査シーケンス方向、フローと逆の走査シーケンス方向、並びに静止したスペックルの場合の各値1つずつ)を非線形伝達関数(または、ルックアップ・テーブル)に供給し、速度の大きさ及び方向を決定することができる。
【0020】
図4は、図2または図3の横列R1から得られる例示的データを示すグラフである。垂直軸すなわちY軸は、スペックル信号の強度を表し、また水平軸すなわちX軸は図2または図3に示す横列R1に沿った強度の位置を表している。x(t)の自己共分散関数は、次式のようにして推定することができる。
【0021】
【数1】
Figure 0004808334
【0022】
上式において、x〜(t)はその平均値を除去したx(t)である。さらに、検出前エコー・データにおいて生じることがあるようなx(t)が複素数である(すなわち、実数部と虚数部をもつ)場合には、この自己共分散は次式のように記述することができる。
【0023】
【数2】
Figure 0004808334
【0024】
上式において、*は共役複素数を表す。図4でx(t)として示す上記横方向スペックル信号を用いて、自己共分散関数の中央部分を図5に示すようにプロットすることができる。
【0025】
この関数は、その各々が図4でプロットしたデータに対応している2つのマスクを配置させ、この2つのマスクを図5のX軸上に表すピクセル位置に従って互いに対して水平方向にスライドさせ、得られた値を乗算し、さらにその積をプロットするという処理に近似させることができる。もちろん、この好ましい実施形態のための相関関数を表現するためには、この積を実際にプロットする必要はない。しかし、この関数は図5に示す方式によりプロット可能である。当業者であれば、相関関数を実際にプロットせずに、相関関数から有用な結果を得る方法を理解するであろう。
【0026】
図5に関して対象となるパラメータは、この相関関数のFWHMである。実際には、最大値の別の端数値の位置における値や、相関関数に関する別の特性(例えば、導関数、分散、積分)を用いることもある。図5のグラフでは、そのFWHMは10.4単位であり、この値はある空間的測度(例えば、スペックル・サイズ)に対応している。これがこのアルゴリズムにより得られる第1の結果となる。同じ画像の静止したターゲット(例えば、壁8)に対応するスペックル信号のFWHM−ACVFを同様の方式で計算することにより第2の結果が得られ、5.0単位というパラメータが得られる。この第2の結果により、そのスペックルがフローF1の方向に「延伸している(stretched) 」ことが分かる。
【0027】
超音波スペックル・データに対する上述の相関処理から相対速度推定値を生成させる伝達関数は、超音波ビームの特性(例えば、そのサイズ、形状及び周波数)により異なる。これらにより静止したスペックルの特徴が決定される。さらに、ビーム走査速度により、運動する組織または血液に対するスペックル延伸挙動が設定される。実際の伝達関数を把握するには、これらのファクターに関する実験やモデル化が必要である。当業者であれば、超音波システムのイメージング特性に従ってよく知られた実験を実施することにより実際の伝達関数を得る方法を理解するであろう。例えば、図5にプロットしたデータの結果が静止した物質(例えば、壁8)から得たデータの分析結果と比較され、さらに、この2つの結果が独立の発生源で測定した周知の速度値と比較される。伝達関数を得るためには、周知の様々な速度における測定結果からルックアップ・テーブルを作成することも可能である。
【0028】
当業者であれば、添付の特許請求の範囲で規定する本発明の真の精神及び範囲を逸脱することなく、この好ましい実施形態を変更や修正することができることを理解するであろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好ましい実施の一形態のブロック概要図である。
【図2】関心領域においてデータの横列を規定させるための、本発明の好ましい実施の一形態によるトランスジューサの手動操作の好ましい一形態を表した、図1に示す超音波トランスジューサのブロック概要図である。
【図3】関心領域においてデータの横列を規定させるための、本発明の好ましい実施の一形態による電子的ビーム形成の好ましい一形態を表した、図2に示すトランスジューサのブロック概要図である。
【図4】図2または図3に示す横列のうちの1つに対する強度対ピクセル位置を表したグラフである。
【図5】図4に示すデータに対する強度パワー対マスク・ピクセル位置を表したグラフである。
【符号の説明】
1 超音波システム
8 壁
9 表面
10 トランスジューサ・アセンブリ
12 トランスジューサ素子
14 送信器
16 受信器
35 メモリ
39 メモリ
A1 ビームB1の軸
A2 ビームB2の軸
B1 超音波ビーム
B2 超音波ビーム
BP1 ビーム位置
BP2 ビーム位置
R1〜R3 関心領域(ROI)
SD1 走査方向
SD2 走査方向
S 検査対象

Claims (10)

  1. 第1の物質(R1)と該第1の物質に対して第1の方向(F1)に運動している第2の物質(8)とを含む検査対象(S)を画像化するための超音波システムにおいて、第2の物質に対する第1の物質の定量的運動を決定するための装置であって、所定のサイズを有しており、かつ前記第1の方向に平行な1つまたは複数の走査方向成分を有する1つまたは複数の走査方向(SD1)に移動させる複数のビーム位置(BP1,BP2)及びビーム軸(A1)を規定している超音波のビーム(B1)を、前記検査対象内に送信するように動作可能であるトランスジューサ・アセンブリ(10)であって、前記1つまたは複数の走査方向での前記ビーム位置に対応して、前記第1の物質から第1の反射超音波を受け取ると共に、前記第2の物質から第2の反射超音波を受け取るトランスジューサ・アセンブリと、第1の反射超音波に応答して、前記第2の物質に対する前記第1の物質の前記走査方向の1つに沿った運動の少なくとも1つの成分を表している第1のデータ・ブロックを生成し、前記第2の反射超音波に応答して前記第2の物質の一部分を表している第2のデータ・ブロックを生成し、前記第1のデータ・ブロックに対して第1の分析を実施してスペックル・サイズを表す自己共分散関数の半値全幅(FWHM−ACVF)の第1の結果を求め、前記第2のデータ・ブロックに対して第2の分析を実施してスペックル・サイズを表す自己共分散関数の半値全幅(FWHM−ACVF)の第2の結果を求め、前記第1の結果及び前記第2の結果に対して第3の分析を実施して前記第1の物質に対する1つまたは複数の運動特性を決定するためのプロセッサ(20)と、前記第1の物質に対する前記1つまたは複数の運動特性を表示するためのディスプレイ(22)と、を備える装置。
  2. 前記トランスジューサ・アセンブリが、前記ビームを前記1つまたは複数の走査方向に移動させるために手動で移動可能である、請求項1に記載の装置。
  3. 前記トランスジューサ・アセンブリが、前記ビームを前記1つまたは複数の走査方向に移動させるための時間遅延した超音波パルスを発生させる電子的ビーム形成を用いて超音波を送信及び受信できるトランスジューサ素子のアレイである、請求項1に記載の装置。
  4. 前記第1のデータ・ブロックが第1の反射超音波の信号強度マップを表している、請求項1に記載の装置。
  5. 前記第1の物質が前記検査対象内の複数の場所に位置する領域(R1〜R3)を含んでおり、かつ前記第1のデータ・ブロックが前記の各領域を表している別々のデータ・パケットを含んでおり、
    前記第1のデータ・ブロックに対する前記分析が前記データ・パケットの各々に関する別々の分析を含んでいる、請求項1に記載の装置。
  6. 前記第1の分析が、反射超音波を表している信号に対する、グラフとしてプロット可能な結果を有する相関分析を含む、請求項1に記載の装置。
  7. 前記相関分析が前記走査方向に沿って実施される、請求項6に記載の装置。
  8. 相関分析が反射超音波を表している信号に対する自己相関関数の計算であり、
    前記第1の分析がさらに、グラフとしてプロット可能な前記結果の所定の一部分の幅に関して実施可能な分析を含み、
    前記所定の一部分が前記グラフの最大の半値であり、
    前記第2の分析が、第2のグラフとしてプロット可能な結果を有する相関分析を含むと共に、さらに前記第2のグラフの最大の半値の幅の分析を含んでいる、請求項1に記載の装置。
  9. 前記1つまたは複数の走査方向成分が前記第1の方向に延びる成分と前記第1の方向と反対方向に延びる成分とを含んでいる、請求項1に記載の装置。
  10. 前記第3の分析が、前記第2の物質に対する前記第1の物質の少なくとも一部分の速度を決定するために伝達関数を実行させることを含み、
    前記1つの運動成分が前記第1の物質に関する前記検査対象内の複数の場所に位置する領域(R1〜R3)を表しており、かつ前記第1のデータ・ブロックが前記各領域を表している別々のデータ・パケットを含んでおり、かつ前記伝達関数が前記各領域内の第1の物質の速度を別々に決定している、請求項1に記載の装置。
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