JP4806456B2 - 能動型防振支持装置 - Google Patents
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Description
前記特許文献1によれば、クランクパルス信号及びTDC(Top Dead Center)パルス信号に基づいてエンジンの燃料噴射弁(インジェクタ)の作動を制御するとともに、エンジンのバルブ休止機構の油圧アクチュエータの作動を制御することで全筒運転状態、気筒休止運転状態を切替えるエンジン制御ECU(Electric Control Unit)と、エンジンの振動が全筒運転状態と気筒休止運転状態とでは、エンジンの振動が異なるため、エンジン制御ECUから、クランクパルス信号、TDCパルス信号及び休止気筒を示す気筒休止信号を受信して、エンジン振動の1次振動や1.5次振動、2次振動の振動モードなどのエンジン振動周期の判定やエンジン振動の振幅の大きさや位相を演算し、エンジンの振動状態に応じた最適なアクティブ・コントロール・マウントの制御を行うACM(Active Control Mount)制御ECU(本発明の「制御手段」に対応)と、アクティブ・コントロール・マウントとから構成された能動型防振支持装置の技術が開示されている。
前記特許文献2によれば、ジェネレータ・モータに供給されるモータ制振制御信号の有無に応じて、エンジンマウント制振制御用の波形を生成するための位相補正制御マップを持ち替えるようにする制御マップ持替器を備えているので、ジェネレータ・モータによる制振制御の状態に応じた最適なアクティブ・マウントの制御を行うことができる。
そこで、本発明は、バッテリ電圧より昇圧してアクチュエータに電力を供給するACM制御ECUにおける、エンジンのアイドリング運転状態の放熱の問題を解決する能動型防振支持装置を提供することを目的とする。
休筒運転状態は、走行中にしか発生しないエンジンの運転状態であり、つまり、車両に乗員が登場した状態である。これに対し、アイドリング運転状態は、無人で放置され、車室の空調装置が必ずしも運転状態になっているとは限らないので、ACM制御ECUの構成部品の温度仕様としては、より厳しい高温状態を想定する必要がある。その場合に、バッテリ電圧より昇圧して給電制御することがないので、その分、ACM制御ECUの構成部品に対する温度仕様を低下でき、ACM制御ECUを小型化、軽量化できる。
(能動型防振支持装置の全体構成)
図1は、本実施形態に係わる能動型防振支持装置のアクティブ・マウントの構造を示す縦断面図であり、図2は図1のA部拡大図である。
なお、以下ではアクティブ・マウントMF,MRを特に区別する必要がない場合は、単にアクティブ・マウントMと記載する。
ACMECU200はエンジン回転速度Neや出力トルク等を制御するエンジン制御ECU(以下、「エンジンECU」と称する)100から、専用の信号線、クランクパルス信号線101、TDCパルス信号線102、CAN通信線103、気筒休止信号線104で接続されている。
図1に示すように、アクティブ・マウントMは、軸線Lに関して実質的に軸対称な構造を有するもので、略円筒状の上部ハウジング11と、その下側に配置された略円筒状の下部ハウジング12と、下部ハウジング12内に収容されて上面が開放した略カップ状のアクチュエータケース13と、上部ハウジング11の上側に接続したダイヤフラム22と、上部ハウジング11内に格納された環状の第1弾性体支持リング14と、第1弾性体支持リング14の上側に接続した第1弾性体19と、アクチュエータケース13に収容された環状の第2弾性体支持リング15と、第2弾性体支持リング15の内周側に接続した第2弾性体27と、アクチュエータケース13に収容され第2弾性体支持リング15及び第2弾性体27の下方に配置された駆動部(アクチュエータ)41等から構成されている。
ダイヤフラム支持ボス20の上面にはエンジン取付部20aが一体に形成され、エンジンに固定される(詳細な固定方法は、図示省略してある)。また、下部ハウジング12の下端の車体取付部12bが図示しない車体フレームに固定される。
このような構造によって、アクティブ・マウントMにエンジンから大きな荷重が入力したとき、エンジン取付部20aがストッパラバー26に当接することで、エンジンの過大な変位が抑制される。
また、第1弾性体支持リング14と上部ハウジング11との間に環状の連通路32が形成されている。連通路32は連通孔33を介して第1液室30に連通するとともに、環状の連通間隙34を介して、第1弾性体19とダイヤフラム22により区画された第3液室35に連通する。
下部フランジ51bとヨーク44の円筒部44aの下端との間には、セットばね52が圧縮状態で配置されており、このセットばね52の弾性力で軸受け部材51の下部フランジ51bを下方に付勢して、下部フランジ51bの下面と固定コア42との間に配された弾性体53を介して、固定コア42の上面に押し付けることで、軸受け部材51がヨーク44にて支持される。
ロッド55に対し、ナット56は固定コア42の中心に形成された開口42a内で上下位置を調整されて締結されており、この開口42aは、ゴム製のキャップ60で閉塞される。
駆動部41のコイル46は、ACMECU200からの給電制御により励磁され、可動コア54を吸引して可動部材28を下方側に移動させる。この可動部材28の移動に伴い、第2液室31を区画する第2弾性体27が下方に変形して第2液室31の容積が増加する。逆に、コイル46を消磁すると、第2弾性体27が自己の弾性により上方に変形し、可動部材28及び可動コア54が上昇し、第2液室31の容積が減少する。
なお、前記エンジンシェイク振動の周波数領域では、エンジンが定常回転の場合は、駆動部41は駆動しない非作動状態に保たれる。
以下に、エンジンECU100とACMECU200の機能構成を詳細に説明する。
次に、図3を参照し、適宜図1、図2を参照しながらエンジンECUの構成を説明する。
図3は、能動型防振支持装置の構成を示す機能ブロック図である。
エンジンECU100は、ECU電源回路100a、マイクロコンピュータ100b、ROM(図示せず)、各種センサからの信号接続用のインタフェース回路や、気筒休止ソレノイド111A,111B,111Cを駆動する駆動回路(図示せず)や、ACM電源スイッチ112を通電させるリレースイッチ100c、CAN通信部100d等の各種インタフェース回路を含んで構成されている。
そして、エンジンECU100は、ACMECU200との専用信号線である、クランクパルス信号線101、TDCパルス信号線102、気筒休止信号線104で接続され、更に、ACMECU200及び他のECU、例えば、操舵トルクを電動機の補助力でアシスト制御する電動パワステアリングECU等と、バス型のCAN通信線103で接続されている。
要求出力演算部211は、主に、アクセルペダルの踏み込み量を検出するアクセルポジション・センサS8からの信号や車速を検出する車速センサS1からの信号、エンジン回転速度演算部210で算出されたエンジン回転速度Ne等に基づいて、減速段を推定し、現在のエンジン出力トルクを推定し、要求トルクを算出したり、それに応じた吸気量を算出し、スロットルバルブ・アクチュエータAC1を制御したりする。
また、エンジン回転速度演算部210は、アクセルポジション・センサS8からの信号とエンジン回転速度Neに基づいて、アイドリング運転状態か否かを判定し、アイドリング運転状態との判定をしている期間、後記するエンジン制御パラメータ送受信部214に、アイドリング状態信号IFLId(以下、「エンジンアイドル中信号IFLId」と称する)CAN通信部100d、CAN通信線103を介してACMECU200に送信させる。
ちなみに、気筒休止ソレノイド111Aが通電したとき、#1、#2、#3気筒が気筒休止状態となり、気筒休止ソレノイド111Bが通電したとき、#3気筒が気筒休止状態となり、気筒休止ソレノイド111Cが通電したとき、#4気筒が気筒休止状態となる。従って、4気筒運転の場合は、気筒休止ソレノイド111B,111Cを通電状態とし、3気筒運転の場合は、気筒休止ソレノイド111Aのみを通電状態とする。
また、気筒数切替判定部212は、気筒休止状態にしたとき、気筒休止対象の気筒を示す信号である気筒休止信号を、気筒休止信号線104を介してACMECU200の後記するエンジン回転モード判定部233に出力する。
燃料噴射制御部213は、O2センサS2からの排気ガス中の酸素濃度の信号に基づいて、燃料噴射量を調節し、排気ガス規制に適合するような燃焼状態に調節する。
図3に示すようにIG−SW113がイグニッション・オンの位置にターンされると、エンジンECU100、ACMECU200にも通電され、ACM電源リレー信号出力部215がリレースイッチ100cをオン状態にし、ACM電源スイッチ112が通電状態となる。その結果、後記する昇圧回路120を介して駆動回路(給電制御手段)121A,121BにバッテリBからの直流電源が接続される。
次に、図3を参照しながらACMECUの構成について説明する。ACMECU(制御手段)200は、ECU電源回路200a(図3中、「ECU電源200a」と表示)、マイクロコンピュータ200b、ROM(図示せず)、エンジンECU(エンジン制御装置)100からの信号接続用のインタフェース回路や、CAN通信部200c等の各種インタフェース回路、昇圧回路120、駆動回路121A,121B、電流センサ123A,123Bを含んで構成されている。そして、ACMECU200は、車両の車室内に配置され、昇圧回路120、駆動回路121A,121Bからの放熱を車室内の温度を制御する空調装置により処理するようになっている。
エンジン回転モード判定部233には、エンジンECU100からのエンジン回転速度Neを示す信号、休筒している気筒を示す休筒信号、アクセルポジション信号SAC、クランクパルス間隔演算部232で算出されたクランクパルス間隔が入力される。
エンジン回転モード判定部233は、これらの信号に基づいて、エンジンの回転モードをエンジン始動時のエンジン発動を検出してエンジン起動状態と判定したり、その後、エンジン回転速度Neの上昇を監視して所定のエンジン回転速度以上に達したときアイドリング運転状態と判定したり、休筒信号に基づいてエンジンの運転状態が全筒運転状態か2筒休筒運転状態か、3筒休筒運転状態かを判定したり、アクセルポジション・センサ信号に基づいてアイドリング運転状態と判定したりする。
前記PWM制御部に昇圧回路制御部237からの昇圧許可信号がONの信号が入力されているとき、PWM制御部は、所定の電圧、例えば、24Vに昇圧させて、駆動制御部238A、238Bから出力されるAMC駆動目標電流値の合計値の電流を供給するように前記した電圧制御部、電流制御部に制御され、駆動回路121A,121Bに昇圧された直流電力を供給する。
前記PWM制御部に昇圧回路制御部237からの昇圧許可信号がONの信号が入力されていないとき(OFF)、昇圧回路120は、バッテリ電圧をそのまま駆動回路121A,121Bに供給する。
なお、図3中、駆動制御部238A,238Bから昇圧回路120への要求電流値の入力信号線は、省略されている。
このように、駆動制御部238A、238Bは、ACM駆動目標電流値に対するPWMデューティ指令をフィードバックして出力することにより、アクティブ・マウントMF,MRの駆動部41に給電する。
図4は、ACMECUにおける昇圧回路の昇圧許可、昇圧禁止の制御の流れを示すフローチャートである。
図4に示すように、ステップS01において、昇圧回路制御部237は、CAN通信制御部231を介して、IG−SW113が操作されて電源投入後、エンジンECU100からACMECU200へのCAN通信によるデータ受信が開始されたか否かをチェックする。電源投入後、CAN通信によるデータ受信が開始された場合(Yes)は、ステップS02へ進み、CAN通信によるデータ受信が開始されていない(No)場合は、ステップS05へ進む。
ステップS02では、昇圧回路制御部237は、CAN通信制御部231を介して、CAN通信エラーのフラッグが立っているか否か、つまり、CANエラー有りか否かをチェックし、CANエラー無し場合(No)は、ステップS03へ進み、CANエラー有りの場合(Yes)は、ステップS05へ進む。
ステップS04では、昇圧禁止とする、つまり、昇圧回路120へ出力する昇圧許可信号をOFFの状態とする。そして、一連の制御の処理を終了し、ステップS01からの制御を繰り返す。
ステップS05では、昇圧許可とする、つまり、昇圧回路120へ出力する昇圧許可信号をONの状態とする。そして、一連の制御の処理を終了し、ステップS01からの制御を繰り返す。
ここで、ステップS03,04における制御が、特許請求の範囲に記載の「前記制御手段は、前記エンジンを制御するエンジン制御装置からの前記エンジンのアイドリング運転状態を通知するエンジンアイドル中信号を受信したとき、前記推定されたエンジンの振動状態が、所定周波数以下と判定する」に対応する。
また、アイドリング運転状態のエンジンの振動周波数が、特許請求の範囲に記載の「所定周波数以下」に対応する。
また、エンジンの振動状態が、所定周波数以下であると判定するために、エンジンの振動状態の周波数の変化状態を振動状態推定部234で求めて判定する必要がなく、例えば、エンジンのアイドリング運転状態におけるエンジンの振動周波数であることを、エンジンECU100がエンジンアイドル中信号IFLIdを送信し、ACMECU200がそれを受信することで、簡単に判定でき、制御が簡単になる。
本実施形態では、エンジンECU100からCAN通信線103を介してエンジンアイドル中信号IFLIdをACMECU200に送信し、CAN通信制御部231で受信して、昇圧回路制御部237においてエンジンアイドル中信号IFLIdを受信しているか否かを判定して、昇圧回路120に昇圧許可信号をON/OFF制御していたがそれに限定されるものではない。以下に、本実施形態の変形例について説明する。
本実施形態の第1の変形例では、前記した振動状態推定部234において、求められたエンジン振動の周期からエンジンの振動状態が、所定周波数以下、つまり、アイドリング運転状態におけるエンジンの振動周波数か否かを判定し、所定周波数以下のとき、昇圧回路制御部237を介して、昇圧回路120へ出力する昇圧許可信号をOFFの状態とさせても良い。
本実施形態の第2の変形例では、CAN通信制御部231が、エンジン制御ECU100から、アクセル踏み込み量の信号であるアクセルポジション信号SACと、エンジン回転速度Neを示す信号とを受信し、エンジン回転モード判定部(アイドリング状態検出手段)233に出力し、エンジン回転モード判定部233において、アクセルポジション信号SACからアクセルペダルが運転者によって踏み込まれていないことを判定して、エンジンのアイドリング運転状態と判定して、昇圧回路制御部237にエンジンアイドル中信号IFLIdを出力するようにしても良い。
更に、前記第2の変形例の代わりに、本実施形態の第3の変形例では、CAN通信制御部231が、エンジン制御ECU100から、エンジン回転速度Neを示す信号を受信し、エンジン回転モード判定部(アイドリング状態検出手段)233に出力し、エンジン回転モード判定部233において、エンジン回転速度Neの値が、予め設定されたエンジンのアイドリング運転状態時のエンジン回転速度範囲に入っているとき、エンジンのアイドリング運転状態と判定して、昇圧回路制御部237にエンジンアイドル中信号IFLIdを出力するようにしても良い。
100 エンジンECU(エンジン制御装置)
100b マイクロコンピュータ
120 昇圧回路
121A,121B 駆動回路(給電制御手段)
200 ACMECU(制御手段)
200b マイクロコンピュータ
232 クランクパルス間隔演算部
233 エンジン回転モード判定部(アイドリング状態検出手段)
234 振動状態推定部
235 位相検出部
236 駆動電流演算部
237 昇圧回路制御部(昇圧回路制御手段)
238A,238B 駆動制御部(給電制御手段)
301 能動型防振支持装置
M,MF,MR アクティブ・コントロール・マウント
Sa クランクパルスセンサ
Sb TDCセンサ
Claims (3)
- エンジンを車体に支承するとともに、前記エンジンの回転変動を検出するセンサからの出力に基づいて前記エンジンの振動状態を推定する制御手段がアクチュエータを伸縮駆動して、振動の伝達を抑制する能動型防振支持装置において、
前記制御手段は、
バッテリ電圧を昇圧する昇圧回路と、
前記昇圧回路で昇圧された電圧で、前記アクチュエータへ給電制御することが可能な給電制御手段と、
前記昇圧回路に昇圧停止信号を出力する昇圧回路制御手段と、を有し、
前記制御手段は、前記エンジンを制御するエンジン制御装置からの前記エンジンのアイドリング運転状態を通知するエンジンアイドル中信号を受信したとき、前記昇圧回路制御手段に昇圧停止信号を出力させ、前記昇圧回路による前記バッテリ電圧からの昇圧を停止して、前記給電制御手段に前記バッテリ電圧のまま給電制御を行わせることを特徴とする能動型防振支持装置。 - エンジンを車体に支承するとともに、前記エンジンの回転変動を検出するセンサからの出力に基づいて前記エンジンの振動状態を推定する制御手段がアクチュエータを伸縮駆動して、振動の伝達を抑制する能動型防振支持装置において、
前記制御手段は、
バッテリ電圧を昇圧する昇圧回路と、
前記昇圧回路で昇圧された電圧で、前記アクチュエータへ給電制御することが可能な給電制御手段と、
前記エンジンを制御するエンジン制御装置から、前記エンジンに入力されるアクセル踏み込み量の信号及びエンジン回転速度の信号のうちの少なくとも1つを受信して、前記エンジンのアイドリング運転状態を判定するアイドリング状態検出手段と、
前記アイドリング状態検出手段が前記エンジンのアイドリング運転状態を検出したのを受けて、前記昇圧回路に昇圧停止信号を出力する昇圧回路制御手段と、を有し、
前記制御手段は、前記アイドリング状態検出手段が前記エンジンのアイドリング運転状態を検出したとき、前記昇圧回路による前記バッテリ電圧からの昇圧を停止して、前記給電制御手段に前記バッテリ電圧のまま給電制御を行わせることを特徴とする能動型防振支持装置。 - 前記制御手段は、車両の車室内に配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の能動型防振支持装置。
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