JP4806116B2 - ボードドレーンの打止め管理法及びボードドレーン施工機 - Google Patents
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Description
【発明の属する分野】
本発明は、軟弱地盤の改良のために該地盤にボードドレーンを打ち込む際の、打込み深さ及び打止め抵抗値を適正に決めるボードドレーンの打止め管理法及びボードドレン施工機に関する。
【0002】
【従来の技術及び解決しようとする課題】
軟弱地盤に所定間隔毎にボードドレーンを打設して、地盤改良が行われている。
従来のボードドレーンの打込み深度を決定する打込め管理法には次の3つが実施されている。
▲1▼ 図6、図7に示す如く、ボーリングによって排水層(通常は砂層)までの深度を測定し、これを1箇所のボーリグがカバーする範囲でのボードドレーンの打込み目標深さとする(実施例では24.5m)。
▲2▼ 図8、図9に示す如く、ボーリング地点近傍及び該地点から所定距離(実施例では100m)離れた位置に、先端抵抗値、周面摩擦力及び間隙水圧を同時に且つ連続して測定できる公知の電気式静的コーン貫入試験を行い、該貫入試験によって得た砂層までの推定下端深度を仮想面で繋ぎ、該仮想面までをボードドレーンの打込み目標深さとする。
▲3▼ 図10に示す如く、ボーリング地点の近傍でボードドレーンを油圧モータによって試験打設し、このときの打込み油圧抵抗の変化とボーリングで得た地層データの変化から、打込み下端層(通常は砂層)に達する際の打込み油圧抵抗値の変化を把握し、試験打設地点から離れた地点でボードドレーンを探り打設して、打込み抵抗値の変化が前記砂層に達する際の油圧抵抗値の変化に対応する深さを探る。
試験打設及び各探り打設での砂層までの推定下端深度を仮想面で繋ぎ、該仮想面までをボードドレーンの打込み設計深さとする。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
▲1▼の方法では、1箇所のボーリングでは砂層の不陸が判らず、ボードドレーンは一定深度に打設されるため、砂層を越えて余分に打ち込んだり、或いは砂層に達しない場合が生じる。
ボードドレーンを必要以上の深度に打ち込むと、ボードドレーンを無駄に消費し、又、打込み深さが足りないと、地盤に未改良部を残してしまう。
▲2▼の方法では、電気式静的コーンの打設は、キャリアダンプ等の軽量機械で施工するため反力が小さく、貫入力が小さい。このため、大きな貫入力が必要な地盤では必要深度まで貫入できない。
電気式静的コーンでは、地層確認はボーリングよりも詳細に行うことができるが、施工単価が高いため、通常は1〜4ha当たり1カ所施工する程度となり、これだけでは、実際の砂層に対応する様な精度の高いボードドレーンの打込み深度を設計することは出来ない。
▲3▼の方法では、ボーリングデータはN値であり、試験打設での打込み抵抗の変化との相関性の傾向は把握できるが、精度は低く実際の砂層の不陸と地点毎のボードドレーン推定打ち込み深さの差が大きくなる可能性がある。
【0004】
本発明は、電気式静的コーン打設、該コーン打設近傍でのボードドレーンの試験打設、試験打設地点から離れた地点でのボードドレーンの探り打設を行い、夫々のデータをコンピュータにより、解析、対比することにより、精度が高く、施工コストの高騰も抑えることができるボードドレーンの打止め管理法及びボードドレン施工機を明らかにするものである。
【0005】
【課題を解決する手段】
本発明のボードドレーンの打止め管理法は、土質調査用電気式静的コーン(7)を地盤に打ち込みつつ、該電気式静的コーンから得られる調査データと、電気式静的コーン(7)の打込み抵抗の変化を示すデータとの相関性を示す第1相関データを得、電気式静的コーンの打込み地点近傍にボードドレーンを前記土質調査用電気式静的コーン(7)の打ち込み条件とほぼ同様の条件で試験打ちし、該試験打ち時の打込み抵抗の変化を示すデータと前記第1相関データとの相関性示す第2相関データを得、試験打ち地点から離れた複数の地点でボードドレーンを探り打設し、該探り打設時の打込み抵抗の変化と前記第2相関データの対比から探り打設地点での打止め層の深さ又は排水層の深さを推定し、この推定深度及び打込み抵抗を基にボードドレンの本施工時の打設目標深さ及び管理抵抗値を決めることを特徴とする。
広範囲な地盤改良であれば、電気式静的コーンの打設地点を増やし、該各電気式静的コーンの打設地点毎で上記対応するボードドレーンの試験打設及び探り打設を行えば可い。
【0006】
【作用及び効果】
ボードドレーン打設用のケーシング(2)の先端部を、電気式静的コーン(7)を具えた土質調査用爪(22)に交換可能となすことにより、同一施工機で電気式静的コーン(7)の打込みとボードドレーン(4)の打込みができる。又、従来の様に電気式静的コーンをキャリアダンプ等の軽量機械で打ち込む場合の貫入力が小さい問題は生じない。又、電気式静的コーンを打ち込む際に得られる打込み抵抗の変化と、ボードドレーンを試験打設する際の打込み抵抗の変化の相関性は、同一施工機を使用すれば、一層信頼性が高まる。
【0007】
電気式静的コーンから得られる信頼性の高いデータと、その近傍で試験打ちしたデータとの対比で、試験打ちでの打込み抵抗値の変化と電気式静的コーンからのデータに相関性があることを確認した上で、探り打ちでの打込み抵抗値と比較するため、結果的には探り打設地点に電気式静的コーンを打設した場合と同様の精度の高いボードドレーンの打止め管理を行うことができる。
電気式静的コーンの打込み単価に較べて、探り打ちの打設単価は低いので、高精度で施工単価を低く抑えることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1は、ケーシング(2)にボードドレン(4)を挿入し、これを地盤に打込む施工機(1)の制御系統を示している。
実施例の施工機(1)の基本構成は、無限軌条(図示せず)によって走行可能であり、一対のフリクションローラ(3)(3)によってケーシング(2)を地中に打ち込む公知の構成であり、詳細説明は省略する。
【0009】
図2Aに示す如く、ケーシング(2)は断面略正方形の筒体であって、下端に打込み抵抗を軽減するために中空楔状の先端爪(21)を有し、先端爪(21)は先端面にボードドレン(4)を引き出すためのスリット状開口(23)を有している。
【0010】
施工機(1)上のボードドレン巻回ロール(4a)から帯状ボードドレン(4)を引き出してケーシング(2)上端から挿通し、下端のスリット状開口(23)から引き出して先端シュー(24)に係止する。
先端シュー(24)は、ケーシング(2)を引き上げる際に、ボードドレン(4)の共上りを防止する抵抗となるものである。
ボードドレン巻回ロール(4a)にはエンコーダによる測長器(図示せず)が連繋され、ボードドレンの繰出し長さ、即ち、ボードドレンの打ち込み深さを計測でき、後記する管理部(5)に入力される。
【0011】
上記施工機の特徴は、図2Aに示す如く、楔状先端爪(21)は取り外し出来、代わりに図2Bに示す如く、電気式静的コーン(7)を具えた土質調査用爪(22)と付け替えできる点である。
電気式静的コーン(7)は、先端抵抗値、周面摩擦力及び間隙水圧を連続的に検出して電気信号に変換する公知のものであり、実施例では施工機上のコンピュータ内蔵の管理部(5)に調査データをデジタル信号として入力する。
ケーシング(2)に電気式静的コーン(7)を付け替える際、ケーシング(2)内に配設した通信コード(51)によって、管理部(5)に電気式に接続する。
【0012】
上記管理部(5)には、ケーシング打込み用フリクションローラ(3)(3)を回転させる動力部の負荷の変化、実施例では油圧モータ(6)の打込み抵抗の変化に応じてた油圧値の変化もデジタル信号として送られる。
駆動油圧モータ(6)は、該モータに流れる作動油の正圧から、リリーフ弁(図示せず)を通じて逃げる作動油の背圧を減算した差引き油圧で管理される。
【0013】
上記管理部(5)では、後記するボーリングデータの入力と、該データと電気式静的コーン(7)で得られたデータの対比、解析ができ、それらの相関性を探って記録ができる。又、後記のボードドレンの試験打ち、及び探り打ちの際の打込み油圧抵抗値の変化を監視及び記録できる。
【0014】
然して、既存のボーリング調査が行われた地盤についての本発明のボードドレーンの打止め管理法の一例を図3に基づいて説明する。
改良地盤の面積に対して、既存のボーリング調査箇所が少ない場合、既存のボーリング地点間に、新規にボーリングを行う。
既存のボーリング調査が、サンプリングの採取による土質調査、圧入試験、一軸強度試験等を含むのに対して、新規のボーリング調査はサンプリングによる地層の確認だけで可い。
【0015】
次に、ボードドレーン施工機の、ケーシング(2)の先端を土質調査用爪(22)に付け替えて、既存ボーリング地点及び新設ボーリング地点の夫々近傍で、該ケーシングを一定の速度で打ち込む。ボーリングによって把握していた排水層(砂層)を確認できる深さまで土質調査用爪(22)、即ち、電気式静的コーン(7)を打設する。
このときの打込み抵抗の変化による油圧値の変化及び電気式静的コーン(7)によって刻々と得られるデータは管理部(5)に自動入力される。
管理部(5)は、電気式静的コーン(7)のデータによって高い精度で深さ方向の地層の変化を把握でき、前記ボーリングによるサンプルと対比、解析できる。
又、電気式静的コーン(7)から得られる調査データと、電気式静的コーン(7)の打込み油圧抵抗の変化を示すデータとの相関性を示す第1相関データを得ることができる。
【0016】
図4、図5に示す如く、所定面積当たり、実施例では1ha当たり1カ所の割合で前記同様にして電気式静的コーン(7)を打設し、前記同様にして電気式静的コーンから得られる調査データと、電気式静的コーン(7)の打込み油圧抵抗の変化を示すデータとの相関性を示す第1相関データを得る。
【0017】
該ケーシング(2)の先端を楔状先端爪(21)に付け代え、該ケーシングにボードドレーンをセットして、各電気式静的コーン(7)の打込み地点近傍にボードドレーン(4)を試験打ちする。
この試験打ちは、ボードドレーン(4)を地盤に打ち込むのが目的ではなく、ボードドレーンの打込み深さによる打込み油圧抵抗の変化を把握するためのものである。
これらのデータは前記管理部(5)に送られて、前記第1相関データとの相関性を示す第2相関データが得られる。
【0018】
次に、試験打設地点間に、所定間隔毎、実施例では50m毎に上記施工機と同じ施工機或いは同種の施工機を用いてボードドレーンを探り打ちする。この探り打ちも、ボードドレーンを地盤に打ち込むのが目的ではなく、ボードドレーンの打込み深さによる打込み油圧抵抗の変化を管理部(5)で把握するためのものである。
【0019】
探り打ちによって得られた油圧値が、前記第2相関データでの排水層での変化に近い変化を示した深度を各探り打ち地点毎で記録し、各記録深度を仮想面で繋いで該仮想面をボードドレーンの打込み目標深度とし、コンター図を作成する。
コンター図に基づいてボードドレーンを所定間隔毎に打設する。
実際のドレーンボードの打設に際しては、コンター図に基づいて目標深度まで打ち込むが、目標深度まで達しても油圧値が、管理油圧値まで上がっていない場合、管理油圧値に達するまで打ち込む。
管理油圧値に達した深さを打止め層とする。打止め層に達したことをブザー等で知らせる様にすることができる。
【0020】
上記の如く、電気式静的コーン(7)から得られる信頼性の高いデータと、その近傍で試験打ちしたデータとの対比で、試験打ちでの打込み油圧抵抗値の変化と電気式静的コーン(7)からのデータに相関性があることを確認した上で、探り打ちでの打込み油圧抵抗値と比較するため、結果的には探り打設地点に電気式静的コーンを打設した場合に得られるデータに基づくのと同様の精度の高いボードドレーンの打止め管理を行うことができる。
電気式静的コーン(7)の打設単価に較べて、探り打ちの打設単価は低いので、高い精度で施工単価を低く抑えることができる。
【0021】
電気的静的コーン(7)の打設と、試験打設及び探り打設は同じ施工機を使用できるため、打込み抵抗値の対比、解析の信頼性は高い。又、打込み油圧は正圧から背圧を減算した差し引き油圧で管理しているため、試験打設と探り打設の施工機が異なっても、油圧値の変化のデータも信頼するに足りる。
【0022】
本発明の実施に際し、電気的静的コーン(7)の打設、試験打設、探り打設は、油圧力に依ることに限定されることはなく、電気モータを駆動力とすることもできる。
【0023】
本発明は、上記実施例の構成に限定されることはなく、特許請求の範囲に記載の範囲で種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】ボードドレーン施工機の概略説明図である。
【図2】A図はケーシングから楔状先端爪を外した斜面図、B図はケーシングから土質調査用爪を外した斜面図である。
【図3】本発明の管理法の一例のフロー図である。
【図4】本発明でのボードドレーン打止め下端深度を示す断面図である。
【図5】ボーリング、電気式静的コーン打設、試験打設、探り打設の地点を示す説明図である。
【図6】ボーリンク調査のみでのボードドレーン打止め下端深度を示す断面図である。
【図7】同上のボーリング調査地点を示す説明図である。
【図8】ボーリングと電気式静的コーンを併用した場合のボードドレーン打止め下端深度を示す断面図である。
【図9】同上のボーリング調査地点、電気式静的コーン調査地点を示す説明図である。
【図10】ボーリングと試験打設、探り打設を併用した場合のボードドレーン打止め下端深度を示す断面図である。
【符号の説明】
(1) 施工機
(2) ケーシング
(21) 楔状先端爪
(22) 土質調査用爪
(7) 電気式静的コーン
Claims (4)
- ボードドレーン打設用ケーシング(2)の先端部に土質調査用電気式静的コーン(7)を取り付け、該ケーシングを動力によって地盤に打ち込みつつ、電気式静的コーン(7)から得られる調査データとケーシング打込み抵抗の変化を示すデータとの相関性を示す第1相関データを得、電気式静的コーンの打込み地点近傍に該電気式静的コーンを打ち込んだケーシングと同様のケーシングによってボードドレーンを試験打ちし、該試験打ち時の打込み抵抗の変化を示すデータと前記第1相関データの相関性を示す第2相関データを得、試験打ち地点から離れた複数の地点でボードドレーンを探り打設し、該探り打設時の打込み抵抗の変化と前記第2相関データの対比から各探り打設地点での打止め層の深さ又は排水層の深さを推定し、この推定深度及び打込み抵抗を基にボードドレンの本施工時の打設目標深さ及び打込み抵抗値を決めることを特徴とするボードドレーンの打止め管理法。
- ボーリングを行った後、先端部に土質調査用電気式静的コーン(7)を取り付けたボードドレーン打設用ケーシング(2)を、ボーリング地点の近傍にて動力によって地盤に打ち込みつつ、電気式静的コーン(7)から得られる調査データとボーリングからの調査データとを対比してその地点での地層を確認すると共に、ケーシング打込み抵抗の変化を示すデータと地層の変化との相関性を示す第1相関データを得、又、ボーリング地点を中心とする改良地盤に所定の間隔を存して複数箇所に前記同様にしてボードドレーン打設用ケーシングによって電気式静的コーンを打設し、該電気式静的コーンから得られるデータとケーシング打込み抵抗の変化との相関性を示す第1相関データを得、各電気式静的コーンの打込み地点近傍に該電気式静的コーンを打ち込んだケーシングと同様のケーシングによってボードドレーンを試験打ちし、該試験打ち時の打込み抵抗の変化を示すデータと前記第1相関データとの相関性を示す第2相関データを得、試験打ち地点から離れた複数の地点でボードドレーンを探り打設し、該探り打設時の打込み抵抗の変化と前記第2相関データの対比から各探り打設地点での打止め層の深さ又は排水層の深さを推定し、この推定深度及び打込み抵抗を基にボードドレンの本施工時の打設目標深さ及び打込み抵抗値を決めることを特徴とするボードドレーンの打止め管理法。
- 電気式静的コーン(7)から得られるデータと打設機の打込み抵抗値はコンピュータ内蔵の管理部に自動入力されて、対比、解析される請求項1又は請求項2に記載のボードドレーンの打止め管理法。
- ボードドレーン打設用のケーシング(2)の先端部を、電気式静的コーン(7)を具えた土質調査用爪(22)に交換可能となしたボードドレーン施工機。
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