JP4805544B2 - アルミニウム合金鋳物の製造方法 - Google Patents

アルミニウム合金鋳物の製造方法 Download PDF

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本発明は、機械的強度及び熱疲労強度が共に要求されるアルミニウム合金鋳物の製造方法に関するものである。
機械的強度及び耐熱性を高めた鋳造用アルミニウム合金として、Al-Si-Cu-Mg4元系又はAl-Si-Cu-Ni-Mg5元系の鋳造合金がある(例えば、AC4D,AC8A,AC8B,AC8C(JIS規格))。また、本発明者らは以前、Al-Si-Cu-Mg4元系の鋳造合金に安定化処理を施すことで、高温環境下で疲労強度及び熱疲労強度がほとんど劣化しない鋳造用アルミニウム合金を提案した(特許文献1参照)。具体的には、この特許文献1記載の鋳造用アルミニウム合金(以下、前発明合金と表す)は、320MPa以上の引張強度と、5%以上の破断伸びを有している。
これらの合金は、MgとCuを同時に含んでおり、これらの合金からなる鋳造体にT6熱処理を施すと、金属組織中のほとんどの析出物が高密度化及び微細化してAl-Si-Cu-Mg4元系のQ'相となり、高い機械的強度を示す。
一方、熱疲労強度を高めた鋳造用アルミニウム合金として、Cuを含まないAl-Si-Mg3元系の鋳造合金がある(例えば、AC4C,AC4CH(JIS規格))。
これらの合金からなる鋳造体にも、同様にT6熱処理を施すことで、金属組織中の析出物が高密度化及び微細化してAl-Si-Mg3元系のβ'相又はβ"相となり、高い機械的強度を示す。
また、前述した前発明合金以外にも、熱疲労強度又は疲労強度(靭性)を高めた鋳造用アルミニウム合金が提案されている(特許文献2,3参照)。
特開2001−262262号公報 特開平10−158772号公報 特開平10−251790号公報
ここで、Al-Si-Cu-Mg4元系又はAl-Si-Cu-Ni-Mg5元系の鋳造合金におけるQ'相は高温で安定であるため、高温強度を高く保つことができるが(高温環境下で使用しても強度低下は生じにくいが)、その反面、熱疲労強度を低下させてしまう(熱疲労寿命が短くなってしまう)。
一方、Al-Si-Mg3元系の鋳造合金におけるβ'相は高温で不安定であるため、高温雰囲気下での使用中において、β'相がすぐに粗大化又は消滅して無害化される。よって、熱疲労強度が低下することはないが、その反面、強度低下が生じてしまう。また、Al-Si-Mg3元系の鋳造合金は、析出物の絶対量が少ないため、Al-Si-Cu-Mg4元系又はAl-Si-Cu-Ni-Mg5元系の鋳造合金ほどの機械的強度(常温強度)は得られない。
また、Al-Si-Mg3元系の鋳造合金であっても、A357合金(AA規格)のようにMg含有量を増大させることで、中間相(Mg2Si)の析出により常温での機械的強度を高めることも可能である。しかし、A357合金は、熱間では大きく軟化してしまう。このため、A357合金を、シリンダヘッドの下面部分のように高温に晒される場所に適用した場合、常温で得られていた高い強度を長時間維持することは困難である。
近年、鋳造用アルミニウム合金においては、機械的強度及び熱疲労強度の更なる向上が望まれている。特に、AC4Cとほぼ同等の熱疲労強度を有し、かつ、AC4Dに匹敵する高温強度を有する鋳造用アルミニウム合金が望まれている。
以上の事情を考慮して創案された本発明の目的は、機械的強度及び熱疲労強度が共に良好なアルミニウム合金鋳物の製造方法を提供することにある。
上記目的を達成すべく本発明は、機械的強度及び熱疲労強度が共に要求される鋳造用アルミニウム合金において、アルミ母材に、
Siを4.0〜7.0wt%、
Mgを1.15wt%以下、
Cuを0.10〜2.0wt%(0.10wt%は除く)、
Feを0.3wt%以下、
の割合で含有させてなり、かつMgとCuの重量比Mg/Cuを0.57以上とし、残部がアルミニウムとなるよう上記各元素の添加量を調整したアルミニウム合金溶湯を溶製し、そのアルミニウム合金溶湯をアルミニウム合金鋳物体とする際に、上記MgとCuの重量比0.57以上の範囲において決定される元素の組成比に応じて、アルミニウム合金鋳物体を高温環境下で使用した際に析出するβ’相及びQ’相の析出量比を、引張強度を向上させるにはMg/Cuを小さくし、熱疲労寿命を向上させるにはMg/Cuを大きくして制御するものである。ここで、Si、Mg、Cu、Feの他に、更にSrを0.005〜0.030wt%の割合で添加してなるものでもよい。
また、鋳造体に、T6処理を施してもよい。
本発明によれば、引張強度及び熱疲労強度を高いレベルで兼ね備えたアルミニウム合金鋳物を得ることができるという優れた効果を発揮する。
以下、本発明の好適一実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
本発明者らが鋭意研究した結果、Al-Si-Cu-Mg4元系(又はAl-Si-Cu-Ni-Mg5元系)の鋳造合金において析出するQ'相は、析出物自体のMg/Cuは0.57〜1.52であることがわかった。よって、鋳造用アルミニウム合金自体のMg/Cuが0.57以上となるように、MgとCuの含有量を調整することで、高温環境下で使用した際に、β'相及びQ'相の両者を析出させることができると共に、それらの析出量の比を組成比に応じて制御できることを見出した。
本発明の好適一実施の形態に係るアルミニウム合金鋳物の製造方法は、アルミ母材に、 Siを4.0〜7.0wt%、
Mgを1.15wt%以下、
Cuを0.10〜2.0wt%(0.10wt%は除く)、
Feを0.3wt%以下、
の割合で含有させてなり、かつMgとCuの重量比Mg/Cuを0.57以上とし、残部がアルミニウムとなるよう上記各元素の添加量を調整したアルミニウム合金溶湯を溶製し、そのアルミニウム合金溶湯をアルミニウム合金鋳物体とする際に、上記MgとCuの重量比0.57以上の範囲において決定される元素の組成比に応じて、アルミニウム合金鋳物体を高温環境下で使用した際に析出するβ’相及びQ’相の析出量比を、引張強度を向上させるにはMg/Cuを小さくし、熱疲労寿命を向上させるにはMg/Cuを大きくして制御するものである。ここで、Si、Mg、Cu、Feの他に、更にSrを0.005〜0.030wt%の割合で添加してなるものでもよい。
ここで言う「アルミ母材」とは、Al及び不可避不純物で構成されるほぼ純粋なアルミニウム材のことである。
このように本発明の好適一実施の形態に係るアルミニウム合金鋳物の製造方法は、前述した鋳造用アルミニウム合金と同じ化学組成となるように各元素の添加量を調整してアルミニウム合金溶湯を溶製し、そのアルミニウム合金溶湯を用いて鋳造を行って得られた鋳造体で構成されるものでありアルミニウム合金鋳物は、320MPa以上、好ましくは340MPa以上の引張強度と、1000サイクル以上、好ましくは1200サイクル以上の熱疲労寿命とを具有するようにしたものである。また、得られた鋳造体にT6熱処理を施して、本実施の形態に係るアルミニウム合金鋳物としてもよい。
得られたアルミニウム合金鋳物に対して、適宜、仕上げ加工等の各種処理を施すことで、目的とする最終製品が得られる。
尚、ここで言う「熱疲労寿命」は、アルミニウム合金鋳物に対して低温→高温→低温(例えば、100℃→250℃→100℃)を1サイクルとする熱サイクルを与える熱疲労試験を行い、全歪み振幅値が所定値(例えば、約±0.5%)である試験において材料が破断に到るまでの繰り返し回数(サイクル)を表している。
次に、本実施の形態の作用を説明する。
Si含有量が4.0〜7.0wt%の範囲のアルミニウム合金鋳物において、Si含有量が多くなるのに伴って引張強度が向上し、Si含有量が少なくなるのに伴って熱疲労寿命が向上する。Si含有量が4.0〜7.0wt%の範囲において、アルミニウム合金鋳物の引張強度を重視する場合はSi含有量を高くし、アルミニウム合金鋳物の熱疲労強度を重視する場合はSi含有量を低くする。
また、Mg含有量が1.15wt%以下の範囲のアルミニウム合金鋳物において、Mg含有量が多くなるのに伴って引張強度が向上し、Mg含有量が少なくなるのに伴って熱疲労寿命が向上する。好ましいMg含有量は0.4〜1.15wt%、より好ましくは0.4〜0.7wt%とされる。Mg含有量が1.15wt%以下の範囲において、アルミニウム合金鋳物の引張強度を重視する場合はMg含有量を高くし、アルミニウム合金鋳物の熱疲労強度を重視する場合はMg含有量を低くする。
さらに、Cu含有量が0.10〜2.0wt%(0.10wt%は除く)の範囲のアルミニウム合金鋳物において、Cu含有量が多くなるのに伴って引張強度が向上し、Cu含有量が少なくなるのに伴って熱疲労寿命が向上する。好ましいCu含有量は0.20〜1.20wt%とされる。Cu含有量が0.10〜2.0wt%(0.10wt%は除く)の範囲において、アルミニウム合金鋳物の引張強度を重視する場合はCu含有量を高くし、アルミニウム合金鋳物の熱疲労強度を重視する場合はCu含有量を低くする。
また、MgとCuの重量比Mg/Cuが0.57以上の範囲のアルミニウム合金鋳物において、Mg又はCuのいずれか一方の含有量が同じ場合、Mg/Cuが小さいほど引張強度が向上し、Mg/Cuが大きいほど熱疲労寿命が向上する。好ましいMg/Cuは1.40〜6.40とされる。Mg/Cuが0.57以上の範囲において、アルミニウム合金鋳物の引張強度を重視する場合はMg/Cuを小さくし、アルミニウム合金鋳物の熱疲労強度を重視する場合はMg/Cuを大きくする。
さらに、鋳造用アルミニウム合金におけるFeの含有量を0.3wt%以下としたのは、不純物であるFeを0.3wt%を超えて含有させると、アルミニウム合金鋳物の靭性が著しく低下し、延いては熱疲労強度が低下するためである。Fe含有量が少ない程、熱疲労寿命がより良好となるため、Feの含有量は0.2wt%以下が好ましい。
本実施の形態に係る鋳造用アルミニウム合金(以下、本発明合金と表す)、AC4C合金、及びAC4D合金を、200℃の温度環境下で使用した際の時効曲線、つまり使用時間と硬さとの関係を図1に示す。図1中の曲線11はAC4C合金、曲線12はAC4D合金、曲線13は本発明合金である。
図1に、曲線11で示すように、AC4C合金は、使用開始後比較的短い時間t1(およそ数十h〜100h以内)で、硬さが臨界硬さを下回る。よって、AC4C合金は、高温強度は低いものの、熱疲労寿命は長くなる。また、図1に、曲線12で示すように、AC4D合金は、使用開始後比較的長い時間t2(およそ数百h〜1000h以内)に亘って、硬さが臨界硬さを上回っている(臨界硬さ以上を保持している)。よって、AC4D合金は、高温強度は高いものの、熱疲労寿命が著しく低下する。ここで言う「臨界硬さ」とは、その硬さ以上であると熱疲労寿命が大きく低下する硬さであり、図1中では、100HVを例として挙げている。
これに対して、図1に、曲線13で示すように、本発明合金は、使用開始後すぐに大きく硬さが低下し、使用開始後比較的短い時間t3(t1<t3<100h)で、硬さが臨界硬さを下回る。しかしながら、時間t3以降は、硬さの低下度合いが緩やかとなる。つまり、本発明合金は、使用開始後、早い段階で硬さが臨界硬さを下回るので、図2に示すように、AC4D合金の約2倍以上で、AC4C合金とほぼ同等の熱疲労寿命(1000サイクル以上)が得られ、かつ、時間t3以降はAC4C合金よりも高硬度であり、AC4C合金よりも高温強度に優れる。
また、時間t3以降における硬さの低下度合いは、すなわち高温強度の低下度合いは、MgとCuの重量比Mg/Cuを0.57以上に調整することで、図1中の斜線領域Aの範囲で自在に制御可能である。ここで、Mg/Cuが0.57以上の範囲において、Mg/Cuが大きくなる程、時間t3以降の硬さの低下度合いは大きくなり、曲線13aのようにAC4C合金側に近付く。反対に、Mg/Cuが0.57以上の範囲において、Mg/Cuが小さくなる程、時間t3以降の硬さの低下度合いは緩やかになり、曲線13bのようにAC4D合金側に近付く。
さらに、本発明合金は、MgとCuの重量比Mg/Cuを0.57以上に調整することで、本発明合金を高温環境下で使用した際に、β'相及びQ'相の両者を析出させることができると共に、それらの析出量の比を組成比に応じて制御することができる。このようにβ'相及びQ'相の析出量比を制御することで、高温環境下で使用した際の本発明合金の硬さを、Q'相だけが析出しているAC4D合金の硬さと、β'相だけが析出しているAC4C合金の硬さとの間に制御することができる。よって、図1中の斜線領域Aにおいて、アルミニウム合金鋳物の硬さ(引張強度)を重視する場合は、本発明合金のMg/Cuを小さくし、アルミニウム合金鋳物の熱疲労強度を重視する場合は、本発明合金のMg/Cuを大きくする。
また、臨界硬さは、実際には部品を使用する温度条件や負荷条件によって変わるが、Mg/Cuを0.57以上に適宜調整することで、本発明合金の硬さをある一定の範囲で最適化することができる。このため、本発明合金は、温度条件や負荷条件の変動がある一定の範囲において、それぞれの条件に対応させることができる。
さらに、図1に示したように、本発明合金の初期硬度(高温環境で使用する前の硬度)H3は、AC4C合金の初期硬度H1とAC4D合金の初期硬度H2との中間であった(H1<H3<H2)。よって、本発明合金は、AC4D合金と比較すると常温での引張強度はやや劣るものの、AC4C合金よりは引張強度を高くすることができる。
以上より、本実施の形態に係る鋳造用アルミニウム合金を用いてアルミニウム合金鋳物を作製することで、引張強度及び熱疲労強度を高いレベルで兼ね備えること、具体的には、320MPa以上、好ましくは340MPa以上の引張強度及び1000サイクル以上、好ましくは1200サイクル以上の熱疲労寿命を得ることができる。このため、本実施の形態に係るアルミニウム合金鋳物を用いて、内燃機関用のシリンダヘッドを作製することで、AC4D合金の約2倍以上で、AC4Cとほぼ同等の熱疲労強度と、AC4D及び前発明合金に匹敵する引張強度とを有するシリンダヘッドが得られる。よって、エンジンの運転/停止という熱サイクル条件を繰り返し付与しても、機械的特性が低下するおそれがなく、安定なシリンダヘッドでありながら、引張強度にも優れている。
また、本実施の形態に係る鋳造用アルミニウム合金において、Si、Mg、Cu、Feの他に、Srを0.005〜0.030wt%の割合で更に含有させることで、共晶Siが微細化し、球状化するため、熱疲労強度を更に良好とすることができる。
さらに、本実施の形態に係るアルミニウム合金鋳物は、T6熱処理を施しても熱疲労強度がほとんど劣化しないため、その高い熱疲労強度をほとんど損なうことなく、引張強度を更に高めることができる。よって、前発明合金のように安定化処理を施さなくても、高温環境下で熱疲労強度がほとんど劣化しないアルミニウム合金鋳物を得ることができる。
また、本実施の形態に係るアルミニウム合金鋳物は、シリンダヘッドのみにその用途が限定されるものではなく、例えば、内燃機関用のシリンダブロック(又はピストン)、タービン、油圧シリンダボディ等にも適用することができる。
以上、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、他にも種々のものが想定されることは言うまでもない。
次に、本発明について、実施例に基づいて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
アルミ母材に、
Siを7.0wt%、
Mgを0.7wt%、
Cuを1.2wt%、
Feを0.2wt%、
の割合で含有させ、かつ、Mg/Cu(wt%比)が0.57の鋳造用アルミニウム合金溶湯を溶製する。その合金溶湯を用いて鋳造を行い、アルミニウム合金鋳物を作製する。
(実施例2)
Cu含有量を0.6wt%、Mg/Cu(wt%比)を1.15とする以外は、実施例1と同様にして、アルミニウム合金鋳物を作製する。
(実施例3)
Mg含有量を0.4wt%、Cu含有量を0.25wt%、Mg/Cu(wt%比)を1.60とする以外は、実施例1と同様にして、アルミニウム合金鋳物を作製する。
(実施例4)
Cu含有量を0.3wt%、Mg/Cu(wt%比)を2.29とする以外は、実施例1と同様にして、アルミニウム合金鋳物を作製する。
(実施例5)
Cu含有量を0.2wt%、Mg/Cu(wt%比)を3.42とする以外は、実施例1と同様にして、アルミニウム合金鋳物を作製する。
(実施例6)
Mg含有量を1.15wt%、Cu含有量を2.0wt%、Mg/Cu(wt%比)を0.57とする以外は、実施例1と同様にして、アルミニウム合金鋳物を作製する。
(実施例7)
Mg含有量を0.4wt%、Cu含有量を0.7wt%、Mg/Cu(wt%比)を0.57とする以外は、実施例1と同様にして、アルミニウム合金鋳物を作製する。
(実施例8)
Si含有量を0.4wt%、Mg含有量を1.0wt%、Mg/Cu(wt%比)を5.00とする以外は、実施例5と同様にして、アルミニウム合金鋳物を作製する。
(比較例1)
Cu含有量を1.8wt%、Mg/Cu(wt%比)を0.38とする以外は、実施例1と同様にして、アルミニウム合金鋳物を作製する。
実施例1〜8及び比較例1の各アルミニウム合金鋳物の引張強度(MPa)、熱疲労寿命(サイクル)を表1に示す。ここで、熱疲労寿命は、各合金鋳物に対して低温→高温→低温を1サイクルとする熱サイクルを与える熱疲労試験を行い、歪み値が所定値に達した時の繰り返し回数(サイクル)とした。また、表1のデータを基にして、熱疲労寿命と引張強度との関係を図3に示す。
Figure 0004805544
表1及び図3に示すように、実施例1〜8の各アルミニウム合金鋳物は、引張強度が325〜405MPa(中央値は329〜394MPa)、熱疲労寿命が1001〜1633サイクルであり、いずれも目標値(320MPa以上の引張強度、1000サイクル以上の熱疲労寿命)を満足していた。これらのアルミニウム合金鋳物の中で、特に、実施例4,5のアルミニウム合金鋳物は、引張強度が345〜350MPa(中央値は348MPa)、熱疲労寿命が1250〜1520サイクルであり、両者を高いレベルで満足していた。
これに対して、比較例1のアルミニウム合金鋳物は、引張強度は353〜385MPa(中央値は369MPa)であり、目標値を超えていた。しかし、Mg/Cuが0.38と規定範囲(0.57以上)よりも小さいため、熱疲労寿命が563サイクルと、目標値を大きく下回った。
実施例1〜8の各アルミニウム合金鋳物は、AC4C製鋳物と比較して引張強度が約15〜38%以上向上し、また、AC4D製鋳物と比較して熱疲労寿命が約2.0〜3.2倍になっていた。
よって、機械的強度が必要なため、AC4Dでしか製造できなかった部品(鋳造製品)を、実施例1〜8の各アルミニウム合金鋳物で製造した場合、部品の寿命を約2.0〜3.2倍に長くすることができる。また、熱疲労強度が必要なため、AC4Cでしか製造できなかった部品を、実施例1〜8の各アルミニウム合金鋳物で製造した場合、同じ強度を得るのであれば部品断面積を約15〜38%減少させることができる。このため、断面積減少の分だけ、部品を薄肉化でき、部品の軽量化を図ることができる。
その結果、部品の重量を、従来の部品と同程度とした場合、実施例1〜8の各アルミニウム合金鋳物で内燃機関用エンジンを製造することで、エンジンに対して負荷可能な熱的負荷及び機械的負荷を増加させることができる。よって、エンジン出力を向上させることができる。また、部品に対する熱的負荷及び機械的負荷を、従来の部品と同程度とした場合、実施例1〜8の各アルミニウム合金鋳物で内燃機関用エンジンを製造することで、エンジンを軽量化することができる。よって、エンジンの燃費向上を図ることができる。
本発明の好適一実施の形態に係る鋳造用アルミニウム合金の、使用時間と硬さとの関係を示す図である。 本発明の好適一実施の形態に係る鋳造用アルミニウム合金の、熱疲労寿命を示す図である。 実施例における各アルミニウム合金鋳物の熱疲労寿命と引張強度との関係を示す図である。

Claims (3)

  1. 機械的強度及び熱疲労強度が共に要求される鋳造用アルミニウム合金において、アルミ母材に、
    Siを4.0〜7.0wt%、
    Mgを1.15wt%以下、
    Cuを0.10〜2.0wt%(0.10wt%は除く)、
    Feを0.3wt%以下、
    の割合で含有させてなり、かつMgとCuの重量比Mg/Cuを0.57以上とし、残部がアルミニウムとなるよう上記各元素の添加量を調整したアルミニウム合金溶湯を溶製し、そのアルミニウム合金溶湯をアルミニウム合金鋳物体とする際に、上記MgとCuの重量比0.57以上の範囲において決定される元素の組成比に応じて、アルミニウム合金鋳物体を高温環境下で使用した際に析出するβ’相及びQ’相の析出量比を、引張強度を向上させるにはMg/Cuを小さくし、熱疲労寿命を向上させるにはMg/Cuを大きくして制御することを特徴とするアルミニウム合金鋳物の製造方法。
  2. 上記Si、Mg、Cu、Feの他に、更にSrを0.005〜0.030wt%の割合で添加してなる請求項1記載のアルミニウム合金鋳物の製造方法。
  3. 上記鋳造体にT6熱処理を施してなる請求項1又は2記載のアルミニウム合金鋳物の製造方法。
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