JP4805469B2 - 成膜装置および成膜装置用プログラム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はスパッタリングによる成膜装置および成膜装置用プログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
ディジタル情報記録媒体として大容量記録が可能なCDやDVDは透明な円板状基板の片面に多数のピットをらせん状に配列しこれに反射膜を被覆して記録面を構成している。さらに高密度記録を行うために、複数の基板を貼り合わせた多層記録が実用化され、貼り合わせにより内層となるピット記録面の反射膜を半透明層に形成することによって読み取り用レーザビームが後方の記録面に達するようにし、基板の片方の面側から複数層の記録面を読み取ることができるようになっている。
【0003】
反射膜や半透明膜に金属スパッタ膜が用いられ、反射膜はアルミニウム(Al)が広く利用されている。半透明膜を得るには膜厚が関係し、図14に示すように光反射率は膜厚に対して非線形に変化する。代表的なDVDでは半透明膜の反射率を25%乃至30%とすることが規定され、この範囲の反射率は膜厚のわずかな変化で大きく変動する。
【0004】
アルミニウムのスパッタによる半透明膜は黒色化するため実用にならず、金(Au)や銀(Ag)の半透明膜が使用されている。これらの金属では放電電力量を一定することにより膜厚が制御できることが解っており、例えば28%を中心にして±0.5%の膜厚制御が可能である。しかしこれらの金属が高価であることから安価なシリコン(Si)の利用が注目されている。スパッタリング装置のターゲット材料は電流が流れるため、高電導率であることが条件であることから、シリコンターゲットはシリコン粉末に不純物としてボロンを加えて焼結した板状焼結体を用いる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、シリコンターゲットで半透明膜を形成しようとすると、スパッタ放電中に不所望なアーク放電が多発して必要な膜厚を得るための積算電力量を乱すばかりでなく、積算電力量を各被処理基板に対して同一にしても、ターゲット使用寿命の終了までの間に連続的にスパッタ形成すると被処理基板の膜厚が変動してしまい、規定の範囲内の膜厚制御ができないことが判明した。
【0006】
本発明は上記に鑑みてなされたもので、反射率制御の難しいターゲット材料を用いても、一定の反射率の半透明膜を得ることができる成膜装置および成膜装置用プログラムを得るものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1は、被処理基板が連続して搬入設置され、これらの基板に薄膜を形成するための減圧成膜室と、
この減圧成膜室内に前記被処理基板に対峙して設けられ放電によりスパッタする薄膜形成材料からなるターゲットと、
前記減圧成膜室に放電ガスを供給しこの成膜室内の放電圧力を調節可能にするガス供給手段と、
前記被処理基板と前記ターゲット間に放電電圧を印加する電源手段と、
前記放電電圧を制御する制御手段とからなり、
この制御手段は、
前記被処理基板ごとに印加する積算電力量を設定する手段と、
前記被処理基板の処理回数に対応する基準放電電圧を設定し、この電圧は前記ターゲットのエロージョンに対応し前記薄膜が所定反射率を得られる放電電圧プロファイルとして設定する手段と、
1回前の放電電圧を次の回に適用する前記基準放電電圧と対比しこの基準放電電圧またはこの電圧を基準にした電圧になるように前記放電ガス圧力を調節し次の回の放電電圧を得る放電圧力調節手段とを具備してなることを特徴とする成膜装置にある。
【0008】
本発明の第2は、被処理基板が連続して搬入設置され、これらの基板に薄膜を形成するための減圧成膜室と、
この減圧成膜室内に前記被処理基板に対峙して設けられ放電によりスパッタする薄膜形成材料からなるターゲットと、
前記減圧成膜室に放電ガスを供給しこの成膜室内の放電圧力を調節可能にするガス供給手段と、
前記被処理基板と前記ターゲット間に放電電圧を印加する電源手段と、
前記放電電圧を制御する制御手段とからなり、
この制御手段は、
前記被処理基板ごとに印加する積算電力量を設定する手段と、
前記被処理基板の処理回数に対応する基準放電電圧を設定し、この電圧は前記ターゲットのエロージョンに対応し前記薄膜が所定反射率を得られる放電電圧プロファイルとして設定する手段と、
すでに処理された複数回の放電電圧の平均電圧を次の回に適用する前記基準放電電圧と対比しこの基準放電電圧またはこの電圧を基準にした電圧になるように前記放電ガス圧力を調節し次の回の放電電圧とする放電圧力調節手段とを具備してなることを特徴とする成膜装置にある。
【0009】
上記において、電源手段が放電電圧の変化に対して定電力を供給することが望ましい。
【0010】
本発明の第3は、ターゲットを配置し放電ガスが導入され放電電圧を供給する電源が接続された減圧成膜室に被処理基板を順次搬入し1回のスパッタ処理ごとに前記被処理基板に被膜を形成し1ターゲットの使用可能容量の範囲で複数枚の被処理基板を処理する成膜装置を制御するコンピュータを、
ターゲットの使用可能容量を全積算電力量として記憶する手段と、
ターゲットの使用開始から使用終了までの変化し、ターゲットのエロージョンに対応し前記薄膜が所定反射率を得られる放電電圧である基準放電電圧プロファイルを記憶する手段と、
被処理基板1枚あたりの積算電力量を設定する手段と、
被処理基板1枚あたりに投入した積算電力量を監視し前記設定された積算電力量と対比する手段と、
スパッタ処理回数と前記基準放電電圧プロファイルの基準放電電圧を対応させて放電ガスの放電圧力を調節し所要の放電電圧で放電させる手段として機能させる成膜用プログラムにある。
【0011】
この場合、定電力で放電するように放電電圧をターゲットと基板(基板近傍に配置したアノード)間に供給するように電源を制御する手段を有することが望ましい。これにより膜厚制御が容易になる。
【0012】
さらに、スパッタ1回ごとに投入する積算電力量をスパッタ中、監視し、スパッタ終了を1回のスパッタの所定積算電力量に達したときとする手段を具備することが望ましい。膜厚の一定化をはかることができる。
【0013】
さらに、1回ごとのスパッタの最大処理時間を設定し、その範囲内でスパッタを終了する手段を具備することが望ましい。
【0014】
さらに、スパッタ1回ごとに投入する積算電力量に対し不良薄膜判定レベルを設定し、1回のスパッタ終了時の積算電力量と比較し、この積算電力量が不良薄膜判定レベルの範囲外の場合にスパッタ不良判定情報を出力する手段を具備することが望ましい。
【0015】
一般に、CDやDVD基板の反射膜にAl材が用いられており、この膜はスパッタで形成される。Alの場合、1基板にスパッタで形成する膜厚は放電エネルギーすなわち連続的に処理される基板一枚あたりに投入する積算電力量を一定にすることによって均一な膜厚を得ており、この設計技術はAuやAgのスパッタ膜にも当てはまる。したがってAuやAgでは半透明膜の膜厚制御で膜の反射率を制御することは容易である。
【0016】
しかし、Si材をスパッタに適用すると、反射率にばらつきが発生する。図6はSiターゲットのエロージョンによる寿命すなわち使用可能期間(スパッタに要する総積算電力量で表し、図では300,000WH)にわたって電源を定電力モードで動作させ放電電圧と放電電流を一定に維持した特性であり、図7の曲線(b)は被処理基板1枚あたりの投入積算電力量を2.4kW×2.8秒としたときの各薄膜の膜厚の変動を表している。半透明膜の反射率を28%として許容値を±0.5%としたときに反射率は26.4%から28.3%まで変化し、許容の範囲から外れている。
【0017】
本発明者等は膜厚制御のみでなく、反射率の一定化をはかることは難しく、さらに放電電圧を変化させることで各薄膜を所定の反射率内で得ることが出来ることを見出した。本発明は、ターゲットエロージョンによって制限される使用可能期間の全期間または所要期間にわたって基準放電電圧プロファイルを設定し、このプロファイルに基づいて各連続的に処理される被処理基板に対して処理回数に該当する放電電圧を印加することによって反射率のばらつきを抑える。図8の曲線(a)は基準放電電圧プロファイルを示し、図7の曲線(a)はそのときの反射率を示しており、28±0.5%内に収まっていることがわかる。
【0018】
【発明の実施の形態】
図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明の成膜装置を含む第1の実施の形態の構成図であり、貼り合せ型のDVDディスクの製造工程を示している。貼り合せ基板は図11に示すようにそれぞれ片面にビット列によって情報記録されて記録面100、101とされたポリカーボネートのような透明合成樹脂基板10a、10bの2枚を、一方の基板10aの記録面100が他方の基板10bの記録面に接着剤104で貼り合わされて形成される。外層の記録面101に全反射膜103が、また内層の記録面100に半透明膜102が形成される。
【0019】
図1において本発明に係る半透明膜をもつ被処理基板10aは、まず成型機11のスタンパにより、片面に情報を荷ったピット列を記録面として形成した基板として次々に連続して作り出される。得られた基板はハンドリングマシンである第1搬送機12により成膜装置13に搬入される。後述するように被処理基板10は成膜装置13で記録面に半透明膜が被着された後、第2搬送機14により搬出され、貼り合せ機15に送られる。一方、全反射膜を記録面に形成した他方の基板10bが貼り合せ機15に搬入され、これらの2種類の基板が接着剤で貼り合わされる。貼り合された基板は第3搬送機16により検査機17に送られ良否判別の後、良品がDVDディスクとなる。
【0020】
図2で成膜装置13および制御装置50を説明する。成膜装置13は枚葉式で基板にスパッタ膜を形成するもので、上面支持台21aに減圧成膜室22とロードロック室23を備えた真空気密室21を備える。真空気密室21は排気管24を介して真空ポンプ25に連結されている。
【0021】
成膜室22にはスパッタ中、基板10aを保持する保持部26と、基板に放電空間を介して対峙するターゲット20が配置され、ターゲット20と基板10a間に、基板中央と周縁部をスパッタリングからマスクするマスク27a、27bが配置される。室壁には真空気密室21と連通する排気通路28と、成膜室22の放電空間にアルゴンなどの放電ガスを流入するガス導入口29が設けられている。このガス導入口29にガス調節弁30が接続され、放電ガス源31と連通している。
【0022】
ターゲット20の放電空間と反対側の上面に磁石回転機構32が設置されスパッタによるターゲットの侵食すなわちエロージョンがターゲット全面になるようにターゲット面に回転磁界を与える。
【0023】
すなわちスパッタリングでは放電中のターゲットのイオン衝撃スポットの分散をはかるために、ターゲットの裏側に磁石回転機構を取付けてスポットを分散させる。しかし図12に示すように、ターゲット面20aは均等に消耗せず、エロージョン20bという環状の溝状に削られる。ターゲットの寿命はターゲットの厚みと環状溝の深さによって規制される。なお20cはターゲットを一体的に支持するバッキングプレートである。
【0024】
ロードロック室23は成型機11から搬送された基板10aを真空気密室20内に搬入し、さらに成膜室22でスパッタ膜が形成された被処理基板を大気中に取出すもので、2個の気密蓋体23a、23bで大気と減圧された気密室間の基板の搬出入を行う。23cは蓋体23bを上下駆動するアクチュエータを示す。気密室21内にモータ33により回転する腕状の搬送機34が配置され、その両端に基板を受ける受け部34a、34bが形成されている。ロードロック室23から導入された基板は腕状搬送機34の回転により成膜室22直下に運搬され、アクチュエータ26bによる上下駆動により押し上げ部26aで成膜室22のマスク位置に保持される。
【0025】
成膜室壁22aはアノード電極を兼ねており、ターゲット20をカソードとするようにDC電源40が接続されて、ターゲット20と基板10a間に放電電界が形成されるように直流放電電圧が印加される。
【0026】
成膜室内に放電ガスが導入され、所定時間の間、グロー放電が発生し、ターゲット20からターゲット材がスパッタして基板のマスクされていない表面にスパッタ膜が被着される。所定の膜が形成されると、基板10aは押し上げ部26aにより、腕状搬送機34の受け部34bに戻され、搬送機の回転によりロードロック室23側に運ばれ、蓋体23bの押し上げによりロードロック室23に運ばれて、大気中に運び出される。この運び出しは第2の搬送機14によって行われ、続いて貼り合せ機15に搬送される。
【0027】
DC電源40は定電力で放電電力を供給する。図3に示すように、電源40は三相交流電源41を入力とし、AC/DCコンバータ42により高電圧直流電力を出力して成膜装置13に入力する。AC/DCコンバータ42は制御基板43からの信号により成膜処理時の出力タイミングが制御される。変換出力である直流電力値Pwおよび放電電圧値Pvは直流抵抗44および電圧検出回路45、電流検出回路46などの回路の組合わせにより検出される。これらの検出値は制御部50の制御装置51に供給される。制御装置51は電源40を定電力モードで動作させるために、制御基板43を調整する。
【0028】
制御装置(CPU)51はガス流量調節器55を制御してガス調節弁30を動作させて放電ガス源31から成膜室22への放電ガスの供給流量を調整する。
図10はアルゴン流量を増やすと、成膜室22内の放電圧力Paが高まり、それとともに放電電圧Pvが相反的に減少することを示したもので、この関係から、検出される直流電力値Pw、放電電圧値Pvおよび放電ガス圧力Paに基づいて制御装置51によって放電電圧、放電電力を調整制御することができる。定電力動作では放電電圧値を所定値に定めると、放電電流が定電力を維持するように変化する。放電圧力は、真空気密室21に取付けた真空ゲージ21aで検出することができる。
【0029】
図2に示すように、制御装置51はキーボートや外部機器とのインターフェースからなる入力装置52、記憶装置53およびスパッタ条件、スパッタ状況を表示可能な表示装置54を備えている。入力装置52から記憶装置53に基準放電電圧プロファイルが格納される。基準放電電圧プロファイルは成膜スパッタに用いられるターゲットの材料、形状、寸法、成膜装置の放電条件によりきめられる。
【0030】
図8で示すプロファイルは、ターゲットの消耗すなわちエロージョンによる寿命を使用可能容量とし、これを総放電電力量で表し、使用開始から終了に至る枚葉式で供給される各被処理基板のn番目(n:自然数)の成膜をn番目までの総積算電力量で表してx軸とし、そのときの最適放電電圧を求めy軸で表したものである。
【0031】
図8はSiターゲットに、径200mmφ、厚さ6.8mmの円板を用い、使用可能容量が350,000WH(ワット時)であるときの、成膜の反射率が所定範囲内のばらつきで得られる各処理に適用される放電電圧Pvの変化曲線(a)を示している。放電電圧Pvは処理の初期から徐々に低下して再び上昇する傾向が有る。なお、曲線(b)は定電力放電を得るための放電電流を示す。被処理基板をDVD用の120mmφの樹脂製のディスクとしたときに28%の反射率の成膜が得られる標準積算電力量を2,400W×2.8秒として、上記容量で150,000枚の被処理基板を成膜処理することができる。例えば第10,000番目処理のときの総積算電力量WHは18,667WHとなる。
【0032】
図8に示す基準放電電圧プロファイル(a)を用いると、図7の曲線(a)ように27.5%乃至28.5%反射率のばらつきの範囲で全被処理基板を処理できたことを示している。
【0033】
基準放電電圧プロファイルはこのような反射率を所要の範囲内でしかも膜厚一定で得ることができるような、各処理回数ごとに変化する放電電圧の曲線である。一方、図7の曲線(b)は図6に示す従来技術の定電圧放電処理の結果を示しており、放電電圧以外の条件を同じにして成膜したものである。図7における比較から、本発明では従来に比べ反射率のばらつきを小さく抑えることができることがわかる。なお図9は図8の基準放電電圧プロファイルを得るときのアルゴンガスの流量を示している。
【0034】
成膜プロセスは図4に示すプログラムの手順にしたがって実行される。
(A) 電源40を定電力動作モードに設定する。
(B) 基準放電電圧プロファイルを設定する。
(C) 被処理基板1枚あたりの投入積算電力量と最大放電処理時間を設定する。
(D) 処理回数と基準放電電圧プロファイルと対比し該当回数の所要基準放電電圧を設定する。
(E) 前回処理の放電電圧(または前複数回処理の各放電電圧の平均値)と次回の所要の基準放電電圧を比較し差分を求める。
(F) 差分に対し所要基準放電電圧になるようにガス流量ΔF(図13(b))を調整する。
(G) 成膜スパッタを実行する。
【0035】
図5はさらにステップ(D)〜(G)の具体的な実行プログラムを示したものである。
S1 スタートONすると、成膜室22は減圧状態になりロードロック室23から被処理基板10aが搬入され成膜室22の所定位置に配置される。
S2 現在の生産枚数が確認され、最初はまず枚数1とされる。
S3 生産継続か確認し、YESであれば、生産を続行、NOであれば生産を終了する。
S4 現在の処理回数が確認され第1回とされると、基準放電電圧プロファイルから第1回の基準放電電圧が決められる。
【0036】
この基準放電電圧になる放電ガス圧力を調節弁30によってアルゴン流量を調節する。
S5 スパッタを開始する。
S6 スパッタ中に放電電圧関連以外の不良(NG)が検出されたかチェックし、検出された場合はスパッタを中止する。
【0037】
最大処理時間内でスパッタが所要の積算電力量に達した場合にスパッタを終了する。最大処理時間になっても所要積算電力に達しない場合はスパッタを中止する。スパッタを中止した場合は、不良薄膜判定レベルの積算電力量を一定範囲で設定し、中止した処理の積算電力量と比較して、この範囲に外れる場合にスパッタ不良判定情報Qを出力し、第2搬送機14を動作させ不良品として工程から外す。
S7 スパッタ処理中にNGが検出されない場合はその処理回の放電電圧サンプルデータを格納する。
S8 前回の処理までの最近の放電電圧6回分をサンプリングしたか確認する。
S9 サンプルデータが6回分ある場合は最も古いデータを削除し5回の放電電圧の平均値を算出する。6回に満たない場合は、サンプル数に応じた放電電圧の平均値を算出する。
【0038】
なお、S8、S9の手順を省略して手順S5で得られたサンプル値を用いることもできる。
S10 手順S7またはS8で得られた放電電圧平均値がプロファイルから得られた次回の基準放電電圧と一致するか所定電圧値内例えば±5v以内に入っているか確認する。入っていれば(YES)、次回の放電電圧として設定する。
S11 手順S9で範囲外(NO)の場合に、放電電圧の平均値が基準放電電圧の−5v以下か確認する。
S12−1 平均値が基準放電電圧の−5v以下の場合、基準放電電圧との差分の例えば80%を補正するガス流量として設定流量から補正流量分だけガス流量を下げる。
S12−2 平均値が基準放電電圧の+5v以上の場合、基準放電電圧との差分の例えば80%を補正するガス流量として設定流量から補正流量分だけガス流量を上げる。
【0039】
例えばガス流量設定20SCCM、基準放電電圧650Vに対して、前回の放電電圧が660Vであった場合、電圧差分−10Vの80%をガス流量補正の比率(10×0.8%)としガス流量設定20SCCMの8%のガス流量(1.6SCCM)を足し、補正後のガス流量を21.6SCCMとする。
S13 サンプルデータをクリアし手順S2に戻る。
【0040】
以上のS7からS12の手順で、次回の放電電圧をプロファイルから求められる基準放電電圧によって決めずに、前回処理の放電電圧を第2の基準にしている。
【0041】
これはSiターゲットの使用に有効である。Siターゲットはスパッタし難い金属であるため、RF電源に比べて高電圧がかけられるDC電源が使用されると、これによりスパッタの効率を高め短時間処理を可能にするが、異常放電を起こしやすい。しかも、スパッタ膜自体が活性で酸化しやすく成膜室壁に付着した膜が剥離してちり等になって浮遊するために異常放電を起こしやすい。
【0042】
したがって前回処理の放電条件が次の放電処理に反映され易いので、基準放電電圧と前回放電電圧から次回の放電電圧を決定する。
【0043】
図13は基準放電電圧と放電電圧(a)、アルゴン流量(b)、実際の放電電力(c)との関係を模式的に示す。Sは各回のスパッタ開始、Eは各回のスパッタ終了を示す。第1回から第4回までのスパッタ処理に対して各回の基準放電電圧が徐々にΔv値づつ上昇していくときに、アルゴン流量をΔFづつ減少させて放電電圧Pvを上げる様子を示す。(b)のようにガス流量を階段的に変更しても、(c)のようにガス圧力Paは緩慢に変化する。
【0044】
図では、ガス圧力が一定に安定したところで各回のスパッタを開始している例を示しているが、一定にならない状態でスパッタを開始することもできる。また、ガス流量は段階的に変化させず、リニアに変化させてもよい。
【0045】
以上、実施の形態では、所定の膜厚を確保するために1枚の被処理基板ごとのスパッタ膜に要する積算電力量を同一に設定し、その上で一定の反射率を得るために放電電圧を最適化した。本発明での変形例では、さらに付加的に定電力値を調節しスパッタ膜の反射率の一層の微細調整を可能にすることができる。
【0046】
また、本発明は、上記実施の形態で説明したSiターゲットばかりでなく、AuやAgターゲットによる成膜に対してより精密な反射率の制御を可能とし、さらにZnその他の金属のターゲットにも適用することができるものである。
【0047】
【発明の効果】
本発明は基板処理回数(ターゲットエロージョンの積算電力量)に対して反射率を最適化する基準放電電圧プロファイルを各処理基板に適用することによって、膜厚制御だけでは半透明薄膜の反射率の制御の難しいSi材のようなターゲットに対してもその反射率のばらつきを抑えることができる。したがって半透明膜に使用できるターゲット材料の範囲を拡大し、低価格で高信頼性の特性をもつ被処理基板を製造できる成膜装置およびそのプログラムを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態の構成を示す概略図。
【図2】図1の成膜装置を説明する概略図。
【図3】図1の電源を説明する回路略図。
【図4】成膜装置の動作手順を説明するフロー図。
【図5】成膜装置の動作手順を説明するフロー図。
【図6】従来技術を説明する曲線図。
【図7】本発明の実施の形態と従来技術の比較を説明する曲線図。
【図8】本発明の実施の形態の基準放電電圧プロファイルを説明する曲線図。
【図9】本発明の実施の形態のガス流量を説明する曲線図。
【図10】アルゴン流量に対する放電ガス圧力(Pa)と放電電圧の関係を説明する図。
【図11】貼り合わせ基板の概略断面図。
【図12】ターゲットのエロージョンを説明する概略断面図。
【図13】基板の処理回数(スパッタ回数)に対する(a)放電電圧、(b)アルゴン流量設定、および(C)成膜室内のガス放電圧力の関係を説明する略図。
【図14】膜厚と反射率の関係を示す曲線図。
【符号の説明】
10a、10b:被処理基板
12:第1搬送機
13:成膜装置
14:第2搬送機
20:ターゲット
22:減圧成膜室
23:ロードロック室
25:真空ポンプ
30:ガス調節弁
31:放電ガス源
40:DC電源
50:制御部
51:制御装置
52:入力装置
53:記憶装置
Claims (8)
- 被処理基板が連続して搬入設置され、これらの基板に薄膜を形成するための減圧成膜室と、
この減圧成膜室内に前記被処理基板に対峙して設けられ放電によりスパッタする薄膜形成材料からなるターゲットと、
前記減圧成膜室に放電ガスを供給しこの成膜室内の放電圧力を調節可能にするガス供給手段と、
前記被処理基板と前記ターゲット間に放電電圧を印加する電源手段と、
前記放電電圧を制御する制御手段とからなり、
この制御手段は、
前記被処理基板ごとに印加する積算電力量を設定する手段と、
前記被処理基板の処理回数に対応する基準放電電圧を設定し、この電圧は前記ターゲットのエロージョンに対応し前記薄膜が所定反射率を得られる放電電圧プロファイルとして設定する手段と、
1回前の放電電圧を次の回に適用する前記基準放電電圧と対比しこの基準放電電圧またはこの電圧を基準にした電圧になるように前記放電ガス圧力を調節し次の回の放電電圧を得る放電圧力調節手段とを具備してなることを特徴とする成膜装置。 - 被処理基板が連続して搬入設置され、これらの基板に薄膜を形成するための減圧成膜室と、
この減圧成膜室内に前記被処理基板に対峙して設けられ放電によりスパッタする薄膜形成材料からなるターゲットと、
前記減圧成膜室に放電ガスを供給しこの成膜室内の放電圧力を調節可能にするガス供給手段と、
前記被処理基板と前記ターゲット間に放電電圧を印加する電源手段と、
前記放電電圧を制御する制御手段とからなり、
この制御手段は、
前記被処理基板ごとに印加する積算電力量を設定する手段と、
前記被処理基板の処理回数に対応する基準放電電圧を設定し、この電圧は前記ターゲットのエロージョンに対応し前記薄膜が所定反射率を得られる放電電圧プロファイルとして設定する手段と、
すでに処理された複数回の放電電圧の平均電圧を次の回に適用する前記基準放電電圧と対比しこの基準放電電圧またはこの電圧を基準にした電圧になるように前記放電ガス圧力を調節し次の回の放電電圧とする放電圧力調節手段とを具備してなることを特徴とする成膜装置。 - 電源手段が放電電圧の変化に対して定電力を供給することを特徴とする請求項1または2に記載の成膜装置。
- ターゲットを配置し放電ガスが導入され放電電圧を供給する電源が接続された減圧成膜室に被処理基板を順次搬入し1回のスパッタ処理ごとに前記被処理基板に被膜を形成し1ターゲットの使用可能容量の範囲で複数枚の被処理基板を処理する成膜装置を制御するコンピュータを、
ターゲットの使用可能容量を全積算電力量として記憶する手段と、
ターゲットの使用開始から使用終了までのターゲットのエロージョンに対応し前記薄膜が所定反射率を得られる放電電圧である基準放電電圧プロファイルを記憶する手段と、
被処理基板1枚あたりの積算電力量を設定する手段と、
被処理基板1枚あたりに投入した積算電力量を監視し前記設定された積算電力量と対比する手段と、
スパッタ処理回数と前記基準放電電圧プロファイルの基準放電電圧を対応させて前記放電ガスの放電圧力を調節し所要の放電電圧で放電させる手段として機能させる成膜用プログラム。 - 定電力で放電するように放電電圧をターゲットと基板間に供給するように電源を制御する手段を有する請求項4に記載の成膜用プログラム。
- スパッタ1回ごとに投入する積算電力量をスパッタ中、監視し、スパッタ終了を1回のスパッタの所定積算電力量に達したときとする手段を具備することを特徴とする請求項4に記載の成膜用プログラム。
- 1回ごとのスパッタの最大処理時間を設定し、その範囲内でスパッタを終了する手段を具備することを特徴とする請求項6に記載の成膜用プログラム。
- スパッタ1回ごとに投入する積算電力量に対し不良薄膜判定レベルを設定し、1回のスパッタ終了時の積算電力量と比較し、この積算電力量が不良薄膜判定レベルの範囲外の場合にスパッタ不良判定情報を出力する手段を具備することを特徴とする請求項6または7に記載の成膜用プログラム。
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