JP4798867B2 - 医療器具およびその製造方法ならびに遠心式血液ポンプ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は医療器具およびその製造方法ならびに遠心式血液ポンプに関する。
【0002】
【従来の技術】
人工心臓に用いられる遠心ポンプやペースメーカーなど長期間体内に埋め込む医療器具においては、機器内部の機械部品、電子回路、それらと接続されるケーブル等を湿気や水分から保護し、また、機器内部の気体もしくは液体が外部へ漏出することを防止する必要がある。そこで、機器の接合面等を吸水性あるいはガス透過性の低いプラスチック材料を用いてシールして密封することが行われている。また、機器を密封するため、埋込型医療器具を、ハウジングごとシリコン樹脂等でモールドするなどの方法が採られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、プラスチック材料は、生体内のような多湿環境下において、わずかながらガス透過性、吸湿性を有しているため、長期間機器内部の部品等を湿気から守り、また、ハウジング内の気体等の生体への漏出を防止することは困難である。さらに、プラスチック材料は、長期間体内に埋め込んでおくと劣化して、上記漏出等を生ずるおそれがある。
このため、長期的使用を目的とする医療器具のハウジングは金属に形成されたものが多い。しかし、ハウジングを金属により形成すると、ハウジングを組み立てるときに溶接を行うことが必要となる。この溶接時の加熱によりハウジングに歪みが生じることがある。また、接着剤による組み立ても可能であるが、接着剤の溶出ならびに劣化の問題がある。
【0004】
そこで、本発明は、上記問題点を解決して、2つの金属製のハウジング組立部材を組み立てることによりハウジングを形成する医療器具において、溶接ならびに接着剤を利用することなく組み立て部を確実に液密かつ気密にシールした医療器具およびその製造方法ならびに遠心式血液ポンプを提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するものは、
(1)金属製の第1のハウジング形成部材と該第1のハウジング形成部材と組み合わされる金属製の第2のハウジング形成部材とからなるハウジングを有し、長期間体内に埋め込まれる医療器具であって、前記ハウジングは、前記第1のハウジング形成部材に前記第2のハウジング形成部材を組み合わせることにより形成される環状の突合線を備え、前記医療器具は、前記突合線の全周を被覆するように設けられた熱膨張可能な金属製環状シール部材を備え、かつ、該金属製環状シール部材は加熱膨張時に前記ハウジングの前記突合線部分に配置され冷却後の収縮により前記ハウジングの前記突合線部分を液密かつ気密にシールしている医療器具である。
【0006】
(2) 上記(1)において、前記第1のハウジング形成部材は、前記環状シール部材の上方部分を収納可能な第1のハウジング形成部材側環状シール部材収納溝を備え、前記第2のハウジング形成部材は、前記環状シール部材の下方部分を収納可能な第2のハウジング形成部材側環状シール部材収納溝を備えるとともに、前記第1のハウジング形成部材と前記第2のハウジング形成部材を組み合わせることにより第1のハウジング形成部材側環状シール部材収納溝と前記第2のハウジング形成部材側環状シール部材収納溝により環状シール部材収納部を形成していることが好ましい。
【0007】
また、上記目的を達成するものは、
(3)金属製の第1のハウジング形成部材と該第1のハウジング形成部材と組み合わされる金属製の第2のハウジング形成部材とからなるハウジングを有し、長期間体内に埋め込まれる医療器具の製造方法であって、前記第1のハウジング形成部材と第2のハウジング形成部材との組合工程と、前記第1のハウジング形成部材と前記第2のハウジング形成部材を組み合わせたときに形成される環状の突合線部分となる位置を被覆するように加熱により膨張した金属製環状シール部材を配置する工程と、前記ハウジング形成部材組合工程および前記シール部材配置工程を行った後、前記金属製環状シール部材の冷却を行うことにより該シール部材を前記ハウジングの前記突合線部分外面に液密かつ気密に密着させるシール工程を備えている医療器具の製造方法である。
【0008】
また、上記目的を達成するものは、
(4)金属製の第1のハウジング形成部材と該第1のハウジング形成部材と組み合わされる金属製の第2のハウジング形成部材とからなるハウジングを有し、長期間体内に埋め込まれる医療器具の製造方法であって、前記第1のハウジング形成部材は、金属製環状シール部材の上方部分を収納可能な第1のハウジング形成部材側環状シール部材収納溝を備え、前記第2のハウジング形成部材は、前記金属製環状シール部材の下方部分を収納可能な第2のハウジング形成部材側環状シール部材収納溝を備えるとともに、前記第1のハウジング形成部材と前記第2のハウジング形成部材を組み合わせることにより、環状の突合線と、第1のハウジング形成部材側環状シール部材収納溝と前記第2のハウジング形成部材側環状シール部材収納溝により環状シール部材収納部とが形成されるものであり、かつ、前記医療器具の製造方法は、前記第1のハウジング形成部材側環状シール部材収納溝および前記第2のハウジング形成部材側環状シール部材収納溝の内径より小さい非加熱時の内径を備える金属製環状シール部材を準備し、該金属製環状シール部材を加熱し、該シール部材の内径を前記収納溝の前記内径より大きいものとする金属製環状シール部材加熱工程と、該加熱された金属製環状シール部材を前記第1のハウジング形成部材側環状シール部材収納溝もしくは前記第2のハウジング形成部材側環状シール部材収納溝に配置するシール部材配置工程と、該シール部材配置工程によりシール部材が配置された第1のハウジング形成部材もしくは第2のハウジング形成部材に他方のハウジング形成部材を組み合わせるハウジング形成部材組合工程と、該ハウジング組合工程により組み合わされた状態を維持して前記シール部材を冷却し、前記第1のハウジング形成部材と前記第2のハウジング形成部材との前記環状の突合線部分の外面に、前記シール部材を液密かつ気密に密着させるシール部材冷却工程とを行うものであることを特徴とする医療器具の製造方法である。
【0009】
(5) 上記(3)または(4)において、前記医療器具の製造方法は、前記シール部材配置工程の前に、前記第1のハウジング形成部材および前記第2のハウジング形成部材を冷却して収縮させるハウジング形成部材冷却工程を備えていることが好ましい。
【0010】
また、上記目的を達成するものは、
(6)血液流入ポートを備える金属製の第1のハウジング形成部材と、血液流出ポートを有する金属製の第2のハウジング形成部材とを組み合わせることにより形成されるハウジングと、該ハウジング内部にて回転し、回転時の遠心力によって血液を送液するインペラを備え、長期間体内に埋め込まれる遠心式血液ポンプであって、前記ハウジングは、前記第1のハウジング形成部材に前記第2のハウジング形成部材を組み合わせることにより形成される環状の突合線を備え、前記遠心式血液ポンプは、前記突合線の全周を被覆するように設けられた熱膨張可能な金属製環状シール部材を備え、かつ、該金属製環状シール部材は加熱膨張時に前記ハウジングの前記突合線部分に配置され冷却後の収縮により前記ハウジングの前記突合線部分を液密かつ気密にシールしている遠心式血液ポンプである。
【0011】
(7) 上記(6)において、前記第1のハウジング形成部材は、前記環状シール部材の上方部分を収納可能な第1のハウジング形成部材側環状シール部材収納溝を備え、前記第2のハウジング形成部材は、前記環状シール部材の下方部分を収納可能な第2のハウジング形成部材側環状シール部材収納溝を備えるとともに、前記第1のハウジング形成部材と前記第2のハウジング形成部材を組み合わせることにより第1のハウジング形成部材側環状シール部材収納溝と前記第2のハウジング形成部材側環状シール部材収納溝により環状シール部材収納部を形成していることが好ましい。
【0012】
(8) 上記(6)または(7)において、前記インペラは、内部に磁性体を備え、前記遠心式液体ポンプは、前記インペラの磁性体を吸引するための磁石を備えるロータと、ロータを回転させるモータを備えるインペラ回転トルク発生部と、インペラを吸引するための電磁石を備えるインペラ位置制御部を備えていることが好ましい。
【0013】
(9) 上記(6)ないし(8)のいずれかにおいて、前記金属製環状シール部材は、シール部材の内面上部側より内方に延びる第1のハウジング部材用リブとシール部材の内面下部側より内方に延びる第2のハウジング部材用リブとを備え、前記第1のハウジング部材は、前記シール部材の第1のハウジング部材用リブを収容するために第1ハウジング側凹部を備え、前記第2のハウジング部材は、前記シール部材の第2のハウジング部材用リブを収容するために第2ハウジング側凹部を備えており、前記金属製環状シール部材は加熱膨張時に前記ハウジングの前記突合線部分に配置され冷却後の収縮により前記ハウジングの前記突合線部分を液密かつ気密にシールするとともに、前記シール部材の前記第1のハウジング部材用リブは前記第1ハウジング側凹部に収納され、前記シール部材の第2のハウジング部材用リブは前記第2ハウジング側凹部に収納されていることが好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。特に、本発明の医療器具を遠心式液体ポンプに応用した実施例を用いて説明する。
本発明の医療器具1は、第1のハウジング形成部材20aと第1のハウジング形成部材20aと組み合わされる第2のハウジング形成部材20bとからなるハウジング20を有する医療器具1であって、ハウジング20は、第1のハウジング形成部材20aに第2のハウジング形成部材20bを組み合わせることにより形成される環状の突合線51を備え、医療器具1は、突合線51の全周を被覆するように設けられた熱膨張可能な金属製環状シール部材52を備え、かつ、金属製環状シール部材52は加熱膨張時にハウジングの突合線51部分に配置され冷却後の収縮によりハウジングの突合線51部分を液密かつ気密にシールしている。
【0015】
図1は、本発明の医療器具を遠心式液体ポンプ、特に遠心式血液ポンプに応用した実施例の正面図である。図2は、図1に示す遠心式液体ポンプの平面図である。図3は、図1の遠心式液体ポンプに使用される第1のハウジング形成部材の底面図である。図4は、遠心式液体ポンプから第1のハウジング形成部材を取り外したときの遠心式液体ポンプの平面図である。図5は、図1に示す遠心式液体ポンプのA−A線断面図である。図6は、図1の遠心式液体ポンプの縦断面図である。なお、図6におけるインペラのみ図5のB−B線断面で示してある。
【0016】
また、本発明の遠心式液体ポンプ(具体的には遠心式血液ポンプ)1は、血液流入ポート22を備える第1のハウジング形成部材20aと、血液流出ポート23を有する第2のハウジング形成部材20bとを組み合わせることにより形成されるハウジング20と、ハウジング20内部にて回転し、回転時の遠心力によって血液を送液するインペラ21を備える遠心式液体ポンプ1であって、ハウジング20は、第1のハウジング形成部材20aに第2のハウジング形成部材20bを組み合わせることにより形成される環状の突合線51を備え、遠心式液体ポンプ1は、突合線51の全周を被覆するように設けられた熱膨張可能な金属製環状シール部材52を備え、かつ、金属製環状シール部材52は加熱膨張時にハウジング20の突合線51部分に配置され冷却後の収縮によりハウジング20の環状の突合線51部分を液密かつ気密にシールしている。
【0017】
この実施例の遠心式液体ポンプ1は、遠心式液体ポンプ装置に使用されるものであり、図1および図6に示すように、液体流入ポート22と液体流出ポート23を有するハウジング20、内部に磁性体25を備え、ハウジング20内で回転し、回転時の遠心力によって液体を送液するインペラ21を有する遠心式液体ポンプ部2と、遠心式液体ポンプ部2のインペラ21の磁性体25を吸引するための磁石33を備えるロータ31と、ロータ31を回転させるモータ34を備えるインペラ回転トルク発生部3と、インペラ21を吸引するための電磁石41を備えるインペラ位置制御部4を備えている。なお、モータ34の回転数、インペラ21の位置等は、図示しない制御装置により制御される。
【0018】
ハウジング20は、図1、図6に示すように、内部に空間を有する円盤状に形成されており、第1のハウジング形成部材20aと第2のハウジング形成部材20bとからなる。第1のハウジング形成部材20aの上部には、液体流入ポート22がほぼ中央より垂直方向上方に突出するように設けられている。第2のハウジング形成部材20bの側面には、図2、図4に示すように、血液流出ポート23が側面の接線方向に突出するように設けられている。また、第1のハウジング形成部材20aと第2のハウジング形成部材20bを組み合わせることにより形成されたハウジング20内には、血液流入ポート22と血液流出ポート23とを連通する血液室24が形成されている。そして、血液室24内には、インペラ21が収容されている。また、第1のハウジング形成部材20aと第2のハウジング形成部材20bを組み合わせることにより、突合線51が形成される。
【0019】
第1のハウジング形成部材20aは、第2のハウジング形成部材20bと組み合わされる部分に、図3、図6に示すように、突合線形成部材である突合部81aと、突合部81aを取り囲むように形成された固定部材取付部82aと、突合部81aと固定部材取付部82aの間に形成され、後述するシール部材52の上方部分を収納するシール部材収容溝83aを備える。
同様に、第2のハウジング形成部材20bは、第1のハウジング形成部材20aと組み合わされる部分は、図4、図6に示すように、突合部81bと、突合部81bとを取り囲むように形成された固定部材取付部82bと、突合部81bと固定部材取付部82bと、突合部81bと固定部材取付部82bの間に形成されたシール部材収容溝83bを備える。
【0020】
そして、両者を組み合わせることにより、突合部81a,81bと固定部材取付部82a,82b間にシール部材収納部83が形成される。また、シール部材収納部83は、シール部材収容溝83aとシール部材収容溝83bにより構成されている。また、突合部81aと突合部81bの当接面外側により環状突合線51が形成されている。そして、環状シール部材収納部83に環状シール部材52が収納されるとともに、突合線51を被覆するようにシール部材52は内面が第1のハウジング形成部材の突合部81aの外側面および第2のハウジング形成部材の突合部81bの外側面にシール部材52の内側面が密着しており、これにより、環状突合線51は全体が液密かつ気密にシールされている。
【0021】
第1のハウジング形成部材20aの突合部81aは、図3、図6および図9に示すように、第1のハウジング形成部材20aの開口部に沿って下方に環状(言い換えれば、短い筒状)に突出するように形成されている。突合部81aの突合部81bとの接触面91aは、平坦面となっている。また、接触面91aは、ハウジング20の中心軸に対して垂直に形成されている。
第2のハウジング形成部材20bの突合部81bも、図4、図6に示すように、第2のハウジング形成部材20bの開口部に沿って上方に環状(言い換えれば、短い円筒状)に突出するように形成されている。突合部81bと突合部81aとは、少なくとも外径が等しくなるように形成されており、内径も等しいことが好ましい。また、突合部81bの突合部81aとの接触面91bは、平坦に形成されている。また、接触面91bは、ハウジング20の中心軸に対して垂直に形成されている。
【0022】
第1のハウジング形成部材20aの固定部材取付部82aは、図3、図6および図9に示すように、環状(言い換えれば短い筒状)に形成され、かつ突合部82aを取り囲むように環状(言い換えれば、短い円筒状)に形成されている。固定部材取付部82aの固定部材取付部82bとの接触面92aは、平坦面となっている。また、固定部材取付部82aの接触面92aは、ハウジング20の中心軸に対して垂直に形成されている。また、第1のハウジング形成部材20aの固定部材取付部92aには、第2のハウジング形成部材20bへの第1のハウジング形成部材20aの固定を確実にするための固定部材53を取り付けるための貫通孔54が形成されている。貫通孔54は、複数設けられることが好ましい。特に、貫通孔54は、ハウジングの中心軸を基準に等角度に複数設けられることが好ましい。
【0023】
第2のハウジング20bの固定部材取付部82bは、図4、図6および図9に示すように、環状(言い換えれば短い円筒状)に形成された突合部81bを取り囲むように同様に環状(言い換えれば、短い円筒状)に形成されている。また、固定部材取付部82bの固定部材取付部82aとの接触面92bは、接触面92aと同様に平坦面に形成されている。また、接触面92bは、ハウジング20の中心軸に対してほぼ垂直に形成されている。また、第2のハウジング形成部材20bの固定部材取付部92aには、上記第1のハウジング形成部材20aの固定部材取付部81bに対応する位置に形成された固定部材取付孔55を備えている。取付部材取付孔55の内面には、取付部材53の外面に形成されたねじ山と螺合するためのねじ溝が形成されている。固定部材取付孔55は、複数設けられることが好ましい。特に、固定部材取付孔55は、ハウジングの中心軸を基準に等角度に複数設けられることが好ましい。
なお、この実施例では、第1のハウジング形成部材側に固定部材のための貫通孔54を設け、第2のハウジング形成部材側に固定部材との固定のための取付孔55を設けたが、これに限定されるものではない。第2のハウジング形成部材側に固定部材のための貫通孔を設け、第1のハウジング形成部材側に固定部材との固定のための取付孔を設け、第2のハウジング形成部材側より固定部材を挿入し固定するものであってもよい。
【0024】
第1のハウジング20aのシール部材収容溝83aは、図3、図6および図9に示すように、環状の突合部81aと環状の固定部材取付部82aとの間に形成された環状凹部である。同様に、第2のハウジング20bのシール部材収容溝83bは、図4、図6および図9に示すように、環状の突合部81bと環状の固定部材取付部82bとの間に形成された環状凹部である。
そして、第1のハウジング形成部材20aと第2のハウジング形成部材20bとは、突合部81aと突合部81bが密着するように突合させることにより、ハウジング内部に血液室24を形成する。なお、突合部の接触面の形状としては上述したような平坦面に限られず第1のハウジング側の接触面と第2のハウジング形成部材の接触面とが互いに面接触可能な形状に形成されていてもよい。
突合部81aおよび突合部81bの外径は、液体ポンプの大きさにより相違し一律なものではないが、30〜70mm程度が一般的である。
また、固定部材取付部82aと固定部材取付部82bは、第1のハウジング形成部材20aと第2のハウジング形成部材20bを組み合わせたとき、互いに隙間無く接触することが好ましい。なお、固定部材取付部の接触面の形状としては上述したような平坦面に限られず第1のハウジング側の接触面と第2のハウジング形成部材の接触面とが互いに実質的に面接触可能な形状に形成されていてもよい。
【0025】
シール部材収容溝83aと、シール部材収容溝83bは、第1のハウジング形成部材20aと第2のハウジング形成部材20bが組み合わされたとき、内部にシール部材52を収容する空間83を形成する。実施例ではシール部材収容溝83aとシール部材収容溝83bはほぼ同じ深さに作製されている。
シール部材収容溝83a、83bの個々の深さは、常温におけるシール部材52の軸方向の厚さより短く、かつ、シール部材収容溝83aとシール部材収容溝83bとにより形成された空間83の軸方向の長さが、加熱して膨張したシール部材52の軸方向の厚さより長くなるように作製されている。このように作製することにより、密封工程および体内埋込時において、シール部材52の内周面が突合部81aと突合部81bが突合することにより形成される突合線51を含む外側面に確実に接触する。
【0026】
第1のハウジング形成部材20aおよび第2のハウジング形成部材20bの構成材料としては、金属が用いられる。特に、生体適合性を有する金属が好適である。生体適合性金属としては、例えば、チタン、チタン合金、ステンレス等が好ましい。
金属製環状シール部材52は熱膨張可能な金属により形成される。特に、生体適合性を有する金属により作製されていることが好ましい。生体適合性金属としては、チタン、チタン合金、ステンレス鋼、金、金合金等が好ましい。また、シール部材52は、シール状態での密封性を高めるためハウジング20と同一の材料により作製されていることが好ましい。
【0027】
また、シール部材52の表面には、展性の高い金属をコーティングしてもよい。このように金属をコーティングすることにより、ハウジングとの気密性を高めることができる。金属としては、展性および延性に富む貴金属が好適である。具体的には、シール部材52がチタン合金製である場合、パラジウムの無電解メッキ、あるいは白金などによりメッキされたものが好ましく、また、シール部材52がステンレス鋼の場合は、金、白金などによりメッキされたものが好ましい。これにより、環状シール部材52とハウジングの接触部分との密着性が高まり液密性が向上する。
【0028】
金属製環状シール部材52の内径は、シール部材52の内周面が突合部81aと突合部81bの突合により形成される突合線51を含む外側面を確実に密封するように、突合部81a、81bの外径より若干小さく作製されている。具体的には、シール部材52がチタン合金で作製されている場合、常温状態におけるシール部材52の内径は、突合部(言い換えれば、突合部81aと突合部81b)の外径より0.02〜0.08mm小さく作製されていることが好ましい(突合部の外径と許容引張強さと加温条件等に依存するが、実用的な値としてはこの程度である)。シール部材52の内径と突合部(突合部81aと突合部81b)の外径との差(焼きばめ代=シール部材の内径の増加分+突合部の外径の減少分)が上記のような範囲であれば、シール部材52と突合部との間に十分な接触応力が生じシール部材52が突合部の外周に確実に固定され、組立も容易である。具体的に、シール部材52の内径は、40〜60mmであることが好ましい。また、シール部材52がハウジングの突合部に焼きばめされたときの接触応力は、2.5〜10kg/mm2であることが好ましい。接触応力がこのような範囲のものであれば、体内埋込時において、シール部材52が突合部の突合線部分を確実に密封する。なお、本発明においてはシール部材を回転体のシールに使用するものでないので、シール部材52と突合部との間の接触応力は比較的小さいものであってよい。
【0029】
また、シール部材52は、ハウジング形成部材20a,20bの突合部81a,81bの外周面に確実に液密状態にて密着させるために、この実施例では、少なくとも内周面が環状平坦面となっている。
また、シール部材52の軸方向の厚さは、シール部材収容溝の深さと上述したような関係となるように作製することが好ましい。具体的にシール部材52の軸方向の厚さは、1〜6mmであることが好ましい。また、具体的にシール部材52の軸方向の厚さは、第1のハウジング形成部材および第2のハウジング形成部材を組み合わせたときに形成されるシール部材収納部83の深さ(軸方向の長さ)より、1〜4mm小さいことが好ましい。
シール部材52の半径方向の幅、言い換えれば外径と内径の差の半分は、加熱して膨張したシール部材52の半径方向の厚みがシール部材収容溝の半径方向の長さより短くなるように作製されており、具体的に、1〜6mmであることが好ましい(厚みに依存する)。また、具体的にシール部材52の半径方向の幅は、第1のハウジング形成部材および第2のハウジング形成部材を組み合わせたときに形成されるシール部材収納部83の幅より、1〜2mm小さいことが好ましい。
【0030】
また、第1のハウジング形成部材と第2のハウジング形成部材との接合部の形態は、上述したものに限定されるものではない。例えば、図10および図11に示すような形態のものであってもよい。
この実施例の遠心式液体ポンプ(具体的には遠心式血液ポンプ)10では、第1のハウジング形成部材20aの突合部81aはさらに下方に突出する環状リブ81cを備えている。そして、第2のハウジング形成部材20bの突合部81bには、上記環状リブ81cを収納するための凹部81dが形成されている。この実施例の遠心式液体ポンプ10では、第1のハウジング形成部材20aと第2のハウジング形成部材20bを組み合わせることにより、突合部81aと突合部81bとが面接触するとともに、第1のハウジング形成部材20aの環状リブ81cは第2のハウジング形成部材20bの凹部81dに収納され、両者の組み合わせを容易に行うことができる。なお、この実施例においても突合部81aと突合部81bとを面接触させることが好ましく、このため、図11に示すように、環状リブ81cの下面は凹部81dに接触しないように形成されている。また、環状リブを第2のハウジング形成部材に設け、凹部を第1のハウジング形成部材に設けてもよい。なお、この実施例の遠心式液体ポンプ10と上述した遠心式液体ポンプ1との相違は、突合部81aと突合部81bの形状のみでありその他の部分については、上述した遠心式液体ポンプ10と同じである。
【0031】
さらに、この実施例において、第1のハウジング形成部材20aの環状リブ81cの外面に第1の螺合部(具体的には、ねじ山)を設け、第2のハウジング形成部材20bの凹部81dの内面に上記第1の螺合部と螺合する第2の螺合部(具体的には、ねじ溝)を設け、1のハウジング形成部材への第2のハウジング形成部材の組み合わせは、両者に設けられた螺合部の螺合によるものとしてもよい。また、上述したように、環状リブを第2のハウジング形成部材に設け、凹部を第1のハウジング形成部材に設けてもよい。この場合には、第1のハウジング形成部材20aの凹部の内面に第1の螺合部(具体的には、ねじ溝)が設けられ、第2のハウジング形成部材20bの環状リブの外面に上記第1の螺合部と螺合する第2の螺合部(具体的には、ねじ山)が設けられる。
【0032】
また、第1のハウジング形成部材と第2のハウジング形成部材との接合部の形態は、図12および図13に示すような形態のものであってもよい。
この実施例の遠心式液体ポンプ(具体的には遠心式血液ポンプ)30では、金属製環状シール部材52は、シール部材52の内面の上部側より内方に延びる第1のハウジング部材用リブ52aとシール部材52の内面の下部側より内方に延びる第2のハウジング部材用リブ52bとを備える。リブ52a,52bは、環状リブでも、点在するリブでもよい。そして、第1のハウジング部材20aは、シール部材52の第1のハウジング部材用リブ52aを収容するための第1ハウジング側凹部85aを備える。第2のハウジング形成部材20bは、シール部材52の第2のハウジング部材用リブ52bを収容するための第2ハウジング側凹部85bを備える。第1ハウジング側凹部85aおよび第2ハウジング側凹部85bは、環状凹部であることが好ましい。そして、金属製環状シール部材52は、加熱膨張時にハウジング20の突合線51部分に配置され冷却後の収縮によりハウジング20の突合線51部分を液密かつ気密にシールするとともに、シール部材52の第1のハウジング部材用リブ52aは第1ハウジング側凹部85aに収納され、シール部材52の第2のハウジング部材用リブ52bは第2ハウジング側凹部85bに収納されている。
【0033】
また、この実施例においても突合部81aと突合部81bとを面接触させることが好ましく、このため、図13に示すように、リブ52a,52bの内面は凹部85a、85bに接触しないように形成されており、さらに、シール部材52のリブ52aの下面(内面)とリブ52bの上面(内面)間の距離は、ハウジング20の凹部85aの下面と凹部85bの上面間の距離より大きいものとなっている。
【0034】
そして、液体ポンプ1のハウジング20内に形成された血液室24内には、中央に貫通口を有する円板状のインペラ21が収納されている。インペラ21は、下面を形成するドーナツ板状部材(下部シュラウド)27と、上面を形成する中央が開口したドーナツ板状部材(上部シュラウド)28と、両者間に形成された複数(例えば、7つ)のベーン18を有する。そして、下部シュラウドと上部シュラウドの間には、隣り合うベーン18で仕切られた複数(例えば、7つ)の血液通路26が形成されている。
【0035】
そして、インペラ21には、複数の磁性体25(永久磁石、従動マグネット)が埋設されている。埋設された磁性体25(永久磁石)は、後述するインペラ回転トルク発生部3のロータ31に設けられた永久磁石33によりインペラ21を血液流入ポート22と反対側に吸引し、かつ回転トルクをインペラ回転トルク発生部より伝達可能にするために設けられている。また、インペラ21は、上部シュラウドそのものもしくは上部シュラウド内に設けられた磁性部材28を備える。この実施例では、上部シュラウドの全体が、磁性部材28により形成されている。磁性部材28は、後述するインペラ位置制御部の電磁石41によりインペラ21を血液流入ポート22側に吸引するために設けられている。
【0036】
インペラ回転トルク発生部3は、ハウジング20内に収納されたロータ31とロータ31を回転させるためのモータ34(内部構造を省略する)からなる。ロータ31は、回転板32と回転板32の第1の面(液体ポンプ側の面)に設けられた複数の永久磁石33からなる。
インペラ位置制御部4は、インペラの磁性部材28を吸引するための固定された複数の電磁石41と、インペラの磁性部材28の位置を検出するための位置センサ42を備えている。位置センサ42は、電磁石41と磁性部材28との隙間の間隔を検知し、この検知出力は、電磁石41のコイルに与えられる電流もしくは電圧を制御する制御部にフィードバックされる。
以上のように構成することにより、インペラ位置制御部4およびインペラ回転トルク発生部3により、非接触式磁気軸受が構成され、インペラ21は、相反する方向より引っ張られることにより、ハウジング20内において、ハウジング20の内面と接触しない適宜位置にて安定し、非接触状態にてハウジング20内を回転する。
【0037】
次に、本発明の医療器具の製造方法を上述した遠心式液体ポンプを用いて説明する。図7は、図1の遠心式液体ポンプの製造に使用される金属製環状シール部材の正面図、図8は、図1の遠心式液体ポンプの製造に使用されるシール部材の平面図、図9は、本発明の遠心式液体ポンプの製造方法を説明するための説明図である。
本発明の医療器具の製造方法は、金属製の第1のハウジング形成部材20aと第1のハウジング形成部材20aと組み合わされる金属製の第2のハウジング形成部材20bとからなるハウジング20を有する医療器具の製造方法である。そして、本発明の医療器具の製造方法は、第1のハウジング形成部材20aと第2のハウジング形成部材20bとの組合工程と、第1のハウジング形成部材20aと第2のハウジング形成部材20bを組み合わせたときに形成される環状の突合線51部分となる位置を被覆するように加熱により膨張した金属製環状シール部材52を配置する工程と、上記のハウジング形成部材組合工程および上記のシール部材配置工程を行った後、金属製環状シール部材の冷却を行うことによりシール部材52をハウジング20の突合線51部分の外面に液密かつ気密に密着させるシール工程を備えている。
【0038】
また、本発明の医療器具の製造方法は、金属製の第1のハウジング形成部材20aと第1のハウジング形成部材20aと組み合わされる金属製の第2のハウジング形成部材20bとからなるハウジング20を有する医療器具の製造方法であって、第1のハウジング形成部材20aは、金属製環状シール部材52の上方部分を収納可能な第1のハウジング形成部材側環状シール部材収納溝83aを備え、第2のハウジング形成部材20bは、金属製環状シール部材52の下方部分を収納可能な第2のハウジング形成部材側環状シール部材収納溝83bを備えるとともに、第1のハウジング形成部材20aと第2のハウジング形成部材20bを組み合わせることにより第1のハウジング形成部材側環状シール部材収納溝83aと第2のハウジング形成部材側環状シール部材収納溝83bにより環状シール部材収納部83が形成されるものである。そして、本発明の医療器具の製造方法は、第1のハウジング形成部材側環状シール部材収納溝83aおよび第2のハウジング形成部材側環状シール部材収納溝83bの内径より小さい非加熱時の内径を備える金属製環状シール部材52を準備し、金属製環状シール部材52を加熱し、シール部材52の内径を収納溝83の前記内径より大きいものとする金属製環状シール部材加熱工程と、加熱された金属製環状シール部材52を第1のハウジング形成部材側環状シール部材収納溝83aもしくは第2のハウジング形成部材側環状シール部材収納溝83bに配置するシール部材配置工程と、シール部材配置工程によりシール部材52が配置された第1のハウジング形成部材20aもしくは第2のハウジング形成部材20bに他方のハウジング形成部材を組み合わせるハウジング形成部材組合工程と、ハウジング組合工程により組み合わされた状態を維持してシール部材52を冷却し、シール部材52を第1のハウジング形成部材と第2のハウジング形成部材の突合線51部分の外面に液密かつ気密に密着させるシール部材冷却工程とを行うものでもある。
最初に、金属製環状シール部材52の準備およびその加熱工程について説明する。
【0039】
金属製環状シール部材52は、図7、図8に示すように金属製リング状部材である。金属製シール部材52は、突合部81の外周に焼きばめされたとき、内周面にて突合部81の突合線51部分を液密かつ気密に密封するためのものである。また、この実施例では、シール部材52は中実の金属製であるが、これに限られるものではなく、中空の金属製リングであってもよい。また、実施例では、シール部材52の断面形状は矩形に作製されているが、これに限られず、突合部の外周面と密接する形状であれば、いかなる形状であってもよい。なお、シール部材52は、ハウジング形成部材20a,20bの突合部81a,81bの外周面に確実に液密かつ気密状態にて密着させるために、この実施例では、少なくとも内周面が環状平坦面となっている。
【0040】
本発明の医療器具で使用される第1のハウジング形成部材20aおよび第2のハウジング形成部材20bは、金属により形成されている。特に、生体適合性を有する金属が好適である。生体適合性金属としては、例えば、チタン、チタン合金、ステンレス等が好ましい。
金属製環状シール部材52は熱膨張可能な金属により形成される。特に、生体適合性を有する金属により作製されていることが好ましい。生体適合性金属としては、チタン、チタン合金、ステンレス鋼、金、金合金等が好ましい。また、シール部材52は、シール状態での密封性を高めるためハウジング20と同一の材料により作製されていることが好ましい。
また、シール部材52の表面には、展性の高い金属をコーティングしてもよい。このように金属をコーティングすることにより、ハウジングとの気密性を高めることができる。金属としては、展性および延性に富む貴金属が好適である。具体的には、シール部材52がチタン合金製である場合、パラジウムの無電解メッキあるいは白金などによりメッキされたものが好ましく、また、シール部材52がステンレス鋼の場合は、金、白金などによりメッキされたものが好ましい。これにより、環状シール部材52とハウジングの接触部分との密着性が高まり液密性が向上する。
【0041】
シール部材52の内径は、シール部材52の内周面が第1のハウジング形成部材20aの突合部81aと第2のハウジング形成部材20bの突合部81bの突合により形成される突合線51部分を含む外側面を確実に密封するように、突合部の外径より若干小さく作製されている。具体的には、シール部材52がチタン合金で作製されている場合、常温状態におけるシール部材52の内径は、突合部(言い換えれば、突合部81aと突合部81b)の外径より0.02〜0.08mm小さく作製されていることが好ましい(突合部の外径と許容引張強さと加温条件に依存するが、実用的な値としてはこの程度である)。シール部材52の内径と突合部(突合部81aと突合部81b)の外径との差(焼きばめ代=シール部材の内径の増加分+突合部の外径の減少分)が上記のような範囲であれば、シール部材52と突合部との間に十分な接触応力が生じシール部材52が突合部の外周に確実に固定され、組立も容易である。具体的に、シール部材52の内径は、40〜60mmであることが好ましい。また、シール部材52がハウジングの突合部に焼きばめされたときの接触応力は、2.5〜10kg/mm2であることが好ましい。接触応力がこのような範囲のものであれば、体内埋込時において、シール部材52が突合部の接合線部分を確実に密封する。なお、本発明においてはシール部材52を回転体のシールに使用するものでないので、シール部材52と突合部との間の接触応力は比較的小さいものであってよい。
【0042】
また、シール部材52の軸方向の厚さは、シール部材収容溝の深さと上述したような関係となるような大きさに作製される。具体的にシール部材52の軸方向の厚さは、1〜6mmであることが好ましい。また、具体的にシール部材52の軸方向の厚さは、第1のハウジング形成部材および第2のハウジング形成部材を組み合わせたときに形成されるシール部材収納部83の深さより、1〜4mm小さいことが好ましい。
シール部材52の半径方向の幅、言い換えれば、外径と内径の差の半分は、加熱して膨張したシール部材52の半径方向の厚みがシール部材収容溝の半径方向の長さより短くなるように作製されており、具体的に、1〜6mmであることが好ましい(厚みに依存する)。また、具体的にシール部材52の半径方向の幅は、第1のハウジング形成部材および第2のハウジング形成部材を組み合わせたときに形成されるシール部材収納部83の幅より、1〜2mm小さいことが好ましい。
【0043】
上述のように作製したシール部材52をオートクレーブを用いて、シール部材52の内径が突合部81の外径より若干大きくなるまで加熱する。シール部材52と突合部81の必要な温度差は、下記式(1)に適合するものであることが好ましい。
ΔT=δ/(αd)・・・・・(1)
(δは焼きばめ代、αはシール部材の線膨張係数、dはシール部材と突合部との接触円の直径)
【0044】
また、シール部材及びハウジングの構成材料が同じものであり、かつシール部材及び突合部の半径方向の厚みが同じ場合、シール部材及びハウジングの必要な温度差は、下記式(2)に適合するものであることが好ましい。
ΔT=2σ/(αE)・・・・・(2)
(σはシール部材及びハウジングの引張強さ、αはシール部材の線膨張係数、Eはシール部材及びハウジングの構成材料の縦弾性係数)
【0045】
式(2)は、式(1)、式(3)、式(4)、式(5)、式(6)及び式(7)により以下のように求められる。
σp=(δ/d)(1/hp)[1/(hpEp)+1/(hcEc)]・・(3)
σc=(δ/d)(1/hc)[1/(hpEp)+1/(hcEc)]・・(4)
(σpはシール部材の引張強さ、σcは突合部の引張強さ、hpはシール部材の半径方向の厚み、hcは突合部の半径方向の厚み、Epはシール部材の縦弾性係数、Ecは突合部の縦弾性係数)
【0046】
また、シール部材及び突合部の半径方向の厚みが同じであり、シール部材及びハウジングの構成材料が同じであれば、下記の式(5)、式(6)、式(7)が成り立つ。
hp=hc・・・(5)
Ep=Ec=E・・・(6)
σp=σc=σ・・・(7)
【0047】
そこで、式(3)、式(4)に式(5)、式(6)、式(7)を代入すると、それぞれ、δ=2dσ/Eとなるので、これを、式(1)に代入すると、上記式(2)が導き出される。
この場合必要な温度差は、シール部材及びハウジングの構成材料の定数である縦弾性係数と、シール部材の線膨張係数と、シール部材とハウジングとの間の接触応力によって決まる。また、加熱温度は、医療器具、この実施例では遠心式液体ポンプ1の内部部品への影響を軽減するためできるだけ低い温度で行うことが好ましい(チタンは熱伝導率が小さいので、比較的内部部品への影響は小さい)。具体的にシール部材及びハウジングの構成材料がともにチタン合金の場合、200℃以下、特に、150℃以下であることが好ましい。
【0048】
次に、加熱されたシール部材52の配置およびハウジングの組合工程を行う。
まず、図9に示すように第2のハウジング形成部材20bを開口部を上にした状態にて固定し、第2のハウジング形成部材20b内に、インペラ21をその中央開口が第2のハウジングの底面から突出して形成されている突出部上となるように収容する。なお、本発明の実施例では、インペラ回転トルク発生部3は、配置工程前に第2のハウジング形成部材20bの下側に取り付けられているが、これにかぎられず、密封工程後に取り付けられてもよい。
【0049】
次に、加熱膨張工程にて加熱膨張されたシール部材52を常温状態(25℃)における第2のハウジング形成部材20bのシール部材収容溝83b(円筒状の突合部81bの外周)に配置する。このとき、シール部材52の上方部分は、突合部81bの上端面より上側に突出している。なお、シール部材収容溝83bの深さは、常温におけるシール部材52の高さより低くなっているため、シール部材52をシール部材収容溝83bに配置する際、特別な位置決めをする必要がない。
そして、突合部81aの接触面91aが、突合部81bの接触面と突合するように、第1のハウジング形成部材20aを第2のハウジング形成部材20bに被せる。この状態において、突合部81aと突合部81b、固定部材取付部82aと固定部材取付部82bとは半径方向にずれることなく互いに接触している。また、シール部材52は、シール部材収容溝83aと収容溝83bとの間に形成された空間83に収容されており、突合線51は、シール部材52の内周面のほぼ中央付近に位置し、突合線部分の突合部81の外周を被包している。
なお、配置工程は、上述したものに限られない。例えば、インペラ21を第1のハウジング形成部材20aに収容した後、第1のハウジング形成部材20aの突合部81aの外周にシール部材52を配置した後、第2のハウジング形成部材20bを第1のハウジング形成部材20aに被せることによって配置してもよい。
【0050】
次に、シール部材52の収縮により突合部81の突合線部分を液密かつ気密に密封する工程について説明する。
配置工程により組み立てられた遠心式液体ポンプ1を常温下に放置することにより、加熱膨張したシール部材52は自然冷却され、収縮しこれによりシール部材52の内径も減少しやがて突合部81の突合線部分の外周に焼きばめされ最終的にこの突合線51部分を液密かつ気密に密封する。つまり、加熱して膨張したシール部材52は、温度が下がるにつれ収縮しこれに従って内径も減少する。収縮完了前に突合部81の突合線部分の外面に密着するため、それ以降の収縮(変形)が抑制される。このため、シール部材52の内周面と突合部外周面との間には接触応力が働いた状態で、シール部材52が突合部の外周に固定、すなわち焼きばめされる。これにより、突合部81aと突合部81bとの接触面は、隙間無く密封した形で固定され密封される。これにより、ハウジング20(血液室24)は液密かつ気密に密封されているため、長期間遠心式液体ポンプを体内に埋め込んでも、ハウジング20内を循環する血液が生体内に漏出することがなく、また、生体内の血液等がハウジング内に侵入することもない。
【0051】
そして、密封工程後、第1のハウジング形成部材20aと第2のハウジング形成部材20bとの固定工程を行う。上記のハウジング形成部材組合工程では、第1のハウジングの固定部材取付部の貫通孔54と第2のハウジング形成部材の固定部材取付孔55とが合致するように組み合わせられる。そして、固定部材53を第1のハウジングの固定部材取付部の貫通孔54に挿入し、貫通させて第2のハウジング形成部材の固定部材取付孔55に到達させたのち、固定部材53を取付孔55に螺合させることにより第1のハウジング形成部材20aと第2のハウジング形成部材20bは完全に固定される。
【0052】
また、上述したように組み立てられた遠心式液体ポンプは、体内埋込時よりも約10℃も低い常温状態にあるため、シール部材52と突合部との間に生じる接触応力は体内埋込時の接触応力より大きくなり、シール部材52と突合部の間に負担がかかる。そこで、遠心式液体ポンプを組み立てた後、体内埋込温度下に置くことによりシール部材52と突合部との間に生じる接触応力を適切なものとしてもよい。なお、シール部材52及びハウジングの構成材料が、チタン合金、ステンレスの場合は、降伏点(耐力)が十分に大きいため常温状態で保管しておいても問題とはならない。
【0053】
また、実施例では、配置工程においては、常温状態におけるハウジングに加熱して膨張したシール部材52を配置しているがこれに限られるものではない。例えば、配置工程前に、第1のハウジング形成部材20aと第2のハウジング形成部材20bを冷却して突合部81aと突合部81bの外径を収縮させる工程を備えていてもよい。これにより、シール部材52は上記必要な温度差となるように加熱すればよいので、第1のハウジング形成部材20aと第2のハウジング形成部材20bが常温下にある場合と比較して、シール部材52を高温とする必要がない。このため、遠心式液体ポンプの常温に対する温度変化が小さくなるため、内部部品への影響を軽減することができる。
以上、本発明の医療器具のシール方法を説明したが、医療器具は遠心式液体ポンプに限られるものではなく、また、シール方法も上記方法に限られるものではない。
【0054】
【発明の効果】
本発明の医療器具は、第1のハウジング形成部材と該第1のハウジング形成部材と組み合わされる第2のハウジング形成部材とからなるハウジングを有する医療器具であって、前記ハウジングは、前記第1のハウジング形成部材に前記第2のハウジング形成部材を組み合わせることにより形成される環状の突合線を備え、前記医療器具は、前記突合線の全周を被覆するように設けられた熱膨張可能な金属製環状シール部材を備え、かつ、該金属製環状シール部材は加熱膨張時に前記ハウジングの前記突合線部分に配置され冷却後の収縮により前記ハウジングの前記突合線部分を液密かつ気密にシールしているものである。
このため、第1のハウジング形成部材と第2のハウジング形成部材を溶接することなく液密かつ気密にしているため溶接に起因するハウジング形成部材の歪みもなく、また、接着剤を用いることなく液密かつ気密にしているため接着剤の溶出もなく安全に使用できる。
【0055】
本発明の医療器具の製造方法は、金属製の第1のハウジング形成部材と該第1のハウジング形成部材と組み合わされる金属製の第2のハウジング形成部材とからなるハウジングを有する医療器具の製造方法であって、前記第1のハウジング形成部材と第2のハウジング形成部材との組合工程と、前記第1のハウジング形成部材と前記第2のハウジング形成部材を組み合わせたときに形成される環状の突合線部分となる位置を被覆するように加熱により膨張した金属製環状シール部材を配置する工程と、前記ハウジング形成部材組合工程および前記シール部材配置工程を行った後、前記金属製環状シール部材の冷却を行うことにより該シール部材を前記ハウジングの前記突合線部分外面に液密かつ気密に密着させるシール工程を備えている。
このため、医療器具を溶接および接着剤を用いることなく、容易かつ確実に第1のハウジング形成部材と第2のハウジング形成部材間を液密かつ気密に組み合わせることができる。
【0056】
また、本発明の医療器具の製造方法は、金属製の第1のハウジング形成部材と該第1のハウジング形成部材と組み合わされる金属製の第2のハウジング形成部材とからなるハウジングを有する医療器具の製造方法であって、前記第1のハウジング形成部材は、金属製環状シール部材の上方部分を収納可能な第1のハウジング形成部材側環状シール部材収納溝を備え、前記第2のハウジング形成部材は、前記金属製環状シール部材の下方部分を収納可能な第2のハウジング形成部材側環状シール部材収納溝を備えるとともに、前記第1のハウジング形成部材と前記第2のハウジング形成部材を組み合わせることにより第1のハウジング形成部材側環状シール部材収納溝と前記第2のハウジング形成部材側環状シール部材収納溝により環状シール部材収納部が形成されるものであり、かつ、前記医療器具の製造方法は、前記第1のハウジング形成部材側環状シール部材収納溝および前記第2のハウジング形成部材側環状シール部材収納溝の内径より小さい非加熱時の内径を備える金属製環状シール部材を準備し、該金属製環状シール部材を加熱し、該シール部材の内径を前記収納溝の前記内径より大きいものとする金属製環状シール部材加熱工程と、該加熱された金属製環状シール部材を前記第1のハウジング形成部材側環状シール部材収納溝もしくは前記第2のハウジング形成部材側環状シール部材収納溝に配置するシール部材配置工程と、該シール部材配置工程によりシール部材が配置された第1のハウジング形成部材もしくは第2のハウジング形成部材に他方のハウジング形成部材を組み合わせるハウジング形成部材組合工程と、該ハウジング組合工程により組み合わされた状態を維持して前記シール部材を冷却するシール部材冷却工程とを行うものである。
このため、医療器具を溶接および接着剤を用いることなく、容易かつ確実に第1のハウジング形成部材と第2のハウジング形成部材間を液密かつ気密に組み合わせることができる。
【0057】
本発明の遠心式液体ポンプは、血液流入ポートを備える第1のハウジング形成部材と、血液流出ポートを有する第2のハウジング形成部材とを組み合わせることにより形成されるハウジングと、該ハウジング内部にて回転し、回転時の遠心力によって血液を送液するインペラを備える遠心式液体ポンプであって、前記ハウジングは、前記第1のハウジング形成部材に前記第2のハウジング形成部材を組み合わせることにより形成される環状の突合線を備え、前記遠心式液体ポンプは、前記突合線の全周を被覆するように設けられた熱膨張可能な金属製環状シール部材を備え、かつ、該金属製環状シール部材は加熱膨張時に前記ハウジングの前記突合線部分に配置され冷却後の収縮により前記ハウジングの前記突合線部分を液密かつ気密にシールしているものである。
このため、第1のハウジング形成部材と第2のハウジング形成部材を溶接することなく液密かつ気密にしているため溶接に起因するハウジング形成部材の歪みもなく、また、接着剤を用いることなく液密かつ気密にしているため接着剤の溶出もなく安全に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の医療器具を遠心式液体ポンプに応用した実施例の正面図である。
【図2】図2は、図1に示す遠心式液体ポンプの平面図である。
【図3】図3は、図1の遠心式液体ポンプに使用される第1のハウジング形成部材の底面図である。
【図4】図4は、遠心式液体ポンプから第1のハウジング形成部材を取り外したときの遠心式液体ポンプの平面図である。
【図5】図5は、図1に示す遠心式液体ポンプのA−A線断面図である。
【図6】図6は、図1の遠心式液体ポンプの縦断面図である。
【図7】図7は、図1の遠心式液体ポンプに使用される金属製環状シール部材の正面図である。
【図8】図8は、図7に示した金属製環状シール部材の平面図である。
【図9】図9は、本発明の遠心式液体ポンプを説明するための説明図である。
【図10】図10は、本発明の医療器具を遠心式液体ポンプに応用した他の実施例の縦断面図である。
【図11】図11は、図10に示した遠心式液体ポンプのシール機構部分を説明するための説明図である。
【図12】図12は、本発明の医療器具を遠心式液体ポンプに応用した他の実施例の縦断面図である。
【図13】図13は、図12に示した遠心式液体ポンプのシール機構部分を説明するための説明図である。
【符号の説明】
1 遠心式液体ポンプ
2 遠心式液体ポンプ部
4 インペラ位置制御部
3 インペラ回転トルク発生部
20 ハウジング
20a 第1のハウジング形成部材
20b 第2のハウジング形成部材
51 突合線
52 金属製環状シール部材
Claims (9)
- 金属製の第1のハウジング形成部材と該第1のハウジング形成部材と組み合わされる金属製の第2のハウジング形成部材とからなるハウジングを有し、長期間体内に埋め込まれる医療器具であって、前記ハウジングは、前記第1のハウジング形成部材に前記第2のハウジング形成部材を組み合わせることにより形成される環状の突合線を備え、前記医療器具は、前記突合線の全周を被覆するように設けられた熱膨張可能な金属製環状シール部材を備え、かつ、該金属製環状シール部材は加熱膨張時に前記ハウジングの前記突合線部分に配置され冷却後の収縮により前記ハウジングの前記突合線部分を液密かつ気密にシールしていることを特徴とする医療器具。
- 前記第1のハウジング形成部材は、前記環状シール部材の上方部分を収納可能な第1のハウジング形成部材側環状シール部材収納溝を備え、前記第2のハウジング形成部材は、前記環状シール部材の下方部分を収納可能な第2のハウジング形成部材側環状シール部材収納溝を備えるとともに、前記第1のハウジング形成部材と前記第2のハウジング形成部材を組み合わせることにより第1のハウジング形成部材側環状シール部材収納溝と前記第2のハウジング形成部材側環状シール部材収納溝により環状シール部材収納部を形成しているものである請求項1に記載の医療器具。
- 金属製の第1のハウジング形成部材と該第1のハウジング形成部材と組み合わされる金属製の第2のハウジング形成部材とからなるハウジングを有し、長期間体内に埋め込まれる医療器具の製造方法であって、前記第1のハウジング形成部材と第2のハウジング形成部材との組合工程と、前記第1のハウジング形成部材と前記第2のハウジング形成部材を組み合わせたときに形成される環状の突合線部分となる位置を被覆するように加熱により膨張した金属製環状シール部材を配置する工程と、前記ハウジング形成部材組合工程および前記シール部材配置工程を行った後、前記金属製環状シール部材の冷却を行うことにより該シール部材を前記ハウジングの前記突合線部分外面に液密かつ気密に密着させるシール工程を備えていることを特徴とする医療器具の製造方法。
- 金属製の第1のハウジング形成部材と該第1のハウジング形成部材と組み合わされる金属製の第2のハウジング形成部材とからなるハウジングを有し、長期間体内に埋め込まれる医療器具の製造方法であって、前記第1のハウジング形成部材は、金属製環状シール部材の上方部分を収納可能な第1のハウジング形成部材側環状シール部材収納溝を備え、前記第2のハウジング形成部材は、前記金属製環状シール部材の下方部分を収納可能な第2のハウジング形成部材側環状シール部材収納溝を備えるとともに、前記第1のハウジング形成部材と前記第2のハウジング形成部材を組み合わせることにより、環状の突合線と、第1のハウジング形成部材側環状シール部材収納溝と前記第2のハウジング形成部材側環状シール部材収納溝により環状シール部材収納部とが形成されるものであり、かつ、前記医療器具の製造方法は、前記第1のハウジング形成部材側環状シール部材収納溝および前記第2のハウジング形成部材側環状シール部材収納溝の内径より小さい非加熱時の内径を備える金属製環状シール部材を準備し、該金属製環状シール部材を加熱し、該シール部材の内径を前記収納溝の前記内径より大きいものとする金属製環状シール部材加熱工程と、該加熱された金属製環状シール部材を前記第1のハウジング形成部材側環状シール部材収納溝もしくは前記第2のハウジング形成部材側環状シール部材収納溝に配置するシール部材配置工程と、該シール部材配置工程によりシール部材が配置された第1のハウジング形成部材もしくは第2のハウジング形成部材に他方のハウジング形成部材を組み合わせるハウジング形成部材組合工程と、該ハウジング組合工程により組み合わされた状態を維持して前記シール部材を冷却し、前記第1のハウジング形成部材と前記第2のハウジング形成部材との前記環状の突合線部分の外面に、前記シール部材を液密かつ気密に密着させるシール部材冷却工程とを行うものであることを特徴とする医療器具の製造方法。
- 前記医療器具の製造方法は、前記シール部材配置工程の前に、前記第1のハウジング形成部材および前記第2のハウジング形成部材を冷却して収縮させるハウジング形成部材冷却工程を備えている請求項3または4に記載の医療器具の製造方法。
- 血液流入ポートを備える金属製の第1のハウジング形成部材と、血液流出ポートを有する金属製の第2のハウジング形成部材とを組み合わせることにより形成されるハウジングと、該ハウジング内部にて回転し、回転時の遠心力によって血液を送液するインペラを備え、長期間体内に埋め込まれる遠心式血液ポンプであって、前記ハウジングは、前記第1のハウジング形成部材に前記第2のハウジング形成部材を組み合わせることにより形成される環状の突合線を備え、前記遠心式血液ポンプは、前記突合線の全周を被覆するように設けられた熱膨張可能な金属製環状シール部材を備え、かつ、該金属製環状シール部材は加熱膨張時に前記ハウジングの前記突合線部分に配置され冷却後の収縮により前記ハウジングの前記突合線部分を液密かつ気密にシールしていることを特徴とする遠心式血液ポンプ。
- 前記第1のハウジング形成部材は、前記環状シール部材の上方部分を収納可能な第1のハウジング形成部材側環状シール部材収納溝を備え、前記第2のハウジング形成部材は、前記環状シール部材の下方部分を収納可能な第2のハウジング形成部材側環状シール部材収納溝を備えるとともに、前記第1のハウジング形成部材と前記第2のハウジング形成部材を組み合わせることにより第1のハウジング形成部材側環状シール部材収納溝と前記第2のハウジング形成部材側環状シール部材収納溝により環状シール部材収納部を形成しているものである請求項6に記載の遠心式血液ポンプ。
- 前記インペラは、内部に磁性体を備え、前記遠心式血液ポンプは、前記インペラの磁性体を吸引するための磁石を備えるロータと、ロータを回転させるモータを備えるインペラ回転トルク発生部と、インペラを吸引するための電磁石を備えるインペラ位置制御部を備えている請求項6または7に記載の遠心式血液ポンプ。
- 前記金属製環状シール部材は、シール部材の内面上部側より内方に延びる第1のハウジング部材用リブとシール部材の内面下部側より内方に延びる第2のハウジング部材用リブとを備え、前記第1のハウジング部材は、前記シール部材の第1のハウジング部材用リブを収容するために第1ハウジング側凹部を備え、前記第2のハウジング部材は、前記シール部材の第2のハウジング部材用リブを収容するために第2ハウジング側凹部を備えており、前記金属製環状シール部材は加熱膨張時に前記ハウジングの前記突合線部分に配置され冷却後の収縮により前記ハウジングの前記突合線部分を液密かつ気密にシールするとともに、前記シール部材の前記第1のハウジング部材用リブは前記第1ハウジング側凹部に収納され、前記シール部材の第2のハウジング部材用リブは前記第2ハウジング側凹部に収納されている請求項6ないし8のいずれかに記載の遠心式血液ポンプ。
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