JP4798614B2 - 抵抗体 - Google Patents

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本発明は、可撓性を有する、糸状の抵抗体に関するものである。
従来から、抵抗器としては、炭素皮膜固定抵抗器、ソリッド固定抵抗器、巻線固定抵抗器、金属皮膜固定抵抗器、酸化金属皮膜固定抵抗器、厚膜チップ固定抵抗器、薄膜チップ固定抵抗器などが知られている。これらの抵抗器は、固定した寸法・形状を有しており、プリント基板等の回路基板上に配置される場合に、寸法が規定されているという問題がある。
また、線材状の抵抗体としては、抵抗性を有する導電性の糸を織り込んだ導電性織物からなる発熱シートも知られている(特許文献1)が、有機繊維の糸の表面から導電性塗料を塗布または含浸させたものであり、曲げ等が繰り返して加えられた場合に、抵抗値が変化しやすいという問題がある。
特開平2001−52902号公報
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、耐熱性が高く、抵抗材の層の厚さを薄くして可撓性をもたせても、全体として抵抗材の断面積を大きくすることができ、抵抗器としても、あるいは、発熱用の抵抗性の繊維としても適用できる抵抗体を提供することを目的とするものである。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、可撓性を有する糸状の抵抗体を提供することを目的とする。
本発明の抵抗体は、非導電性の無機材料系繊維の表面に抵抗材が膜状に形成された導電性繊維のみを撚り合わせて可撓性を有する糸状に形成したことを特徴とするものである。非導電性の無機材料系繊維としては、アルミナ繊維またはガラス繊維等を用いることができる。抵抗材の被覆は、無電解メッキによって形成されたもの、厚膜抵抗体ペーストの塗布によって形成されたもの、スパッタリングによって形成されたものとすることができる。繊維は、フィラメントでも、ステープルでもよい。
本発明によれば、細くて可撓性を有する糸状の抵抗体が提供され、この抵抗体を、適宜の長さに切断して抵抗器として用いることができる。この抵抗器は、可撓性を有することから、自由に曲げることができるので、従来の形状が決まっている固定抵抗体に比べて、配置の自由度が大きいという効果がある。また、この抵抗体によって織物の経糸または緯糸の一方、あるいは、経糸または緯糸の一方の一部に用いて電流の端子を形成し、通電ができるようにして、発熱シートとして用いることができる。
以下、本発明の実施例について、添付図面を参照して説明する。なお、各図中、同一の機能を有する部分には同じ符号を付して、重複した説明を省略する。
図1は、本発明の一実施例の糸状の抵抗体を説明するためのものであり、図1(A)は抵抗膜を形成した導電性繊維の断面図、図1(B)は抵抗体の斜視図である。図中、1は導電性繊維、2は絶縁性繊維、3は抵抗材、4は抵抗体である。
導電性繊維1は、絶縁性繊維2の表面に抵抗材3を膜状に形成することによって得られたものである(図1(A))。この導電性繊維1のみの多数本を撚り合わせて抵抗体4が形成される(図1(B))。撚り合わせる導電性繊維は、フィラメントでも、ステープルでもよい。隣り合う導電性繊維1同士の抵抗材は相互に接触している。したがって、抵抗体4の途中で導電性繊維1が切れていても電気的な接続には影響がなく、ステープルを用いてもよいのである。
絶縁性繊維1としては、無機材料系繊維、例えば、アルミナ繊維やガラス繊維等が用いられる。アルミナ繊維は、結晶構造がγアルミナ(γ−Al2 3 )であるが、組成としては、SiO2 を含有するものも、この明細書ではアルミナの繊維と呼んでおり、一例としては、Al2 3 とSiO2 の組成比が、85:15,72:28などのものがある。もちろん、組成比がこの値のものに限られるものではない。線径としては、7〜50μmのものが容易に得られる。ガラス繊維としては、石英ガラス,ソーダ石灰ガラス,ホウケイ酸ガラス,鉛ガラスなどのガラスから製造された繊維を用いることができる。これらの繊維は、フィラメントでも、ステープルであってもよく、高強度,高弾性率であり、耐熱性,耐食性に優れた材料であるといえる。
抵抗材料としては、Cr,Ni,Cu,Ru,Fe,Be,Mo,Sn,Zn,Pd,C、および、これらの化合物、酸化物、混合物等の抵抗材料を用いる。この抵抗材料を、無機材料繊維に被覆する方法として、無電解メッキによって形成することができる。ニッケルの無電解メッキは、無機材料繊維系繊維としてアルミナ繊維を選択した場合の密着性が良好である。また、抵抗材料の粉末をバインダーによってペーストとし、無機材料系繊維の表面に塗布し、乾燥,硬化させて被覆するようにしてもよい。酸化ルテニウムの硬化抵抗層は、無機材料系繊維としてアルミナ繊維を選択した場合の密着性が良好である。また、スパッタリングによって被覆するようにしてもよい。酸化ルテニウムの硬化抵抗層は、比較的高い抵抗値が得られる。無電解ニッケルメッキ層は、比較的低い抵抗値が得られる。他の材料を用いた場合も材料の固有抵抗と厚みと直径に応じた抵抗値を得ることができる。
本発明の導電性繊維を撚り合わせて抵抗体を形成する場合、導電性繊維の種類は、絶縁性繊維の材料が同じものである必要はなく、異なる無機材料の絶縁性繊維からなる複数種類の導電性繊維を撚り合わせて抵抗体としたものでもよい。
導電性繊維を撚り合わせた抵抗体4の直径は、例えば、10〜1000μm程度とすることができ、極めて細い糸状の抵抗体である。この抵抗体4は、織物等の発熱シートに適用する場合は、1〜100m以上の長さのものとして製作される。抵抗体として、例えば、数mm〜数十cmとする場合は、適当な長さに制作した抵抗体を切断して抵抗器の抵抗素子として適用できる。したがって、撚り合わされる導電性繊維は、断面において、例えば、10〜100本、あるいは、それ以上の本数とすることができる。抵抗体4の表面を熱可塑性樹脂などの絶縁材で被覆することで、抵抗体4を絶縁保護することができる。抵抗層が薄い場合には、導電性繊維を撚り合わせて抵抗体を形成しても可撓性を殆ど損なうことはない。
図2は、抵抗体の両端に電極を形成した実施例の斜視図を示すものである。導電性繊維1を撚り合わせた抵抗材4の周囲を絶縁材5で被覆する。絶縁材5は、可撓性の確保のため、熱可塑性樹脂であることが好ましい。例えば、ポリビニルブチラールなどの熱可塑性樹脂に、フタル酸系可塑剤を添加した絶縁材5で被覆することで、抵抗体の可撓性を比較的損なうことなく、抵抗体の表面を絶縁保護することができる。織物に適用した場合は、短絡やリーク等の問題を生じることなく、使用することができる。
図3は、導電性繊維を撚り合わせて切断して適宜の長さとした抵抗体4の両端に電極6を設けた場合を示す。抵抗材4の両端部に、導電性塗料を塗布後、加熱硬化した電極6が形成されている。電極6が設けられたことにより、抵抗体4の端部電極6を接続端子として用いることができる。電極間の抵抗体の表面に絶縁被覆を施してもよいことはもちろんである。
本発明の抵抗体は、適宜の長さの抵抗体とすることができるだけでなく、可撓性を有することから、織物等の発熱シートに適用できる、また、抵抗器として用いた場合、可撓性により配置の自由度が大きく、多様な用途に用いることができる。
本発明の一実施例の抵抗体の説明図である。 絶縁被覆を施した抵抗体の斜視図である。 抵抗体の端部に電極を設けた場合を示す斜視図である。
符号の説明
1 導電性繊維
2 絶縁性繊維
3 抵抗材
4 抵抗体
5 絶縁材
6 電極

Claims (10)

  1. 非導電性の無機材料系繊維の表面に抵抗材が膜状に形成された導電性繊維のみを撚り合わせて可撓性を有する糸状に形成したことを特徴とする抵抗体。
  2. 前記繊維が糸状に撚り合わされた周面を被覆する絶縁材を有することを特徴とする請求項1に記載の抵抗体。
  3. 前記抵抗体の両端部に電極材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の抵抗体。
  4. 前記電極材が導電性塗料によって形成されたものであることを特徴とする請求項3に記載の抵抗体。
  5. 前記両端部の電極材の間の前記繊維が糸状に撚り合わされた部分の周面を被覆する絶縁材を有することを特徴とする請求項3または4に記載の抵抗体。
  6. 前記絶縁材は、熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項2または5に記載の糸状の抵抗体。
  7. 前記非導電性の無機材料系繊維が、アルミナ繊維またはガラス繊維であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の抵抗体。
  8. 前記抵抗材が、無電解メッキによって形成されたものであることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の抵抗体。
  9. 前記抵抗材が、厚膜抵抗体ペーストの塗布によって形成されたものであることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の抵抗体。
  10. 前記抵抗材が、スパッタリングによって形成されたものであることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の抵抗体。
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