JPH10321046A - 複合素線とその製造方法、および複合素線を用いた軽量低弛度架空電線 - Google Patents

複合素線とその製造方法、および複合素線を用いた軽量低弛度架空電線

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JPH10321046A
JPH10321046A JP12737897A JP12737897A JPH10321046A JP H10321046 A JPH10321046 A JP H10321046A JP 12737897 A JP12737897 A JP 12737897A JP 12737897 A JP12737897 A JP 12737897A JP H10321046 A JPH10321046 A JP H10321046A
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fiber
wire
composite
polyimide resin
lightweight
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Takeo Munakata
武男 宗像
Hideo Tomose
秀夫 伴瀬
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 軽量で等価線膨張係数が小さい複合素線とそ
の製造方法、電線温度が上昇しても弛度増加を起こさな
い軽量低弛度架空電線を提供する。 【解決手段】 複合素線は、長尺なポリパラフェニレン
ベンゾビスオキサゾール繊維1と、このポリパラフェニ
レンベンゾビスオキサゾール繊維1を埋設するポリイミ
ド樹脂2と、ポリイミド樹脂2の外側を被覆するアルミ
ニウム合金層3とから成り、前記ポリパラフェニレンベ
ンゾビスオキサゾール繊維の体積占有率が30〜70%
であり、軽量低弛度架空電線は、上記した複合電線の複
数本を撚り合わせて成る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は軽量でかつ高温下に
おける弛度抑制効果に優れている複合素線とその製造方
法、およびその複合素線を用いた軽量低弛度架空電線、
更に詳しくは、送電線、とくに架空送電線に使用して有
用な複合素線とそれを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から多用されている架空送電線は、
鋼線を撚り合わせた鋼心をテンションメンバとし、その
外周に例えばAlやAl合金から成る送電線を撚り合わ
せて配置した構造になっている。そして全体を鉄塔間に
高張力で張り渡して送電線路が形成される。ところで、
架空送電線の場合、負荷電流を増大させることにより送
電容量を増加させることができる。
【0003】しかしながら、上記した鋼心Al撚線の場
合、負荷電流の増大に伴う温度上昇により、テンション
メンバである鋼心の分担張力が増大し、また温度変化に
伴って弛度張力も変動する。そのため、鋼心をテンショ
ンメンバにした架空送電線では送電容量を増加させたと
きの弛度抑制効果は期待できないという問題がある。ま
た、鋼心は単位長さ当りの重量も大きいので、鋼心アル
ミニウム撚線は自重で垂れ下がりやすく、そのため、そ
れに耐え得る付帯設備が必要になってくる。
【0004】このようなことから、鋼心に代えて、軽量
でかつ線膨張係数が小さい材料をテンションメンバにし
た各種の軽量低弛度架空電線の研究が進められている。
このような軽量低弛度架空電線の1つとして、例えば、
炭素繊維を強化材とし、各種の樹脂をマトリックスとし
て成るFRP線材をテンションメンバに使用したものが
知られている。
【0005】一般に、上記したようなFRP線材は、軽
量で、線膨張係数は小さく、高張力特性を備えた素材で
ある。しかしながら、このようなFRP線材をテンショ
ンメンバにしても、得られた架空送電線全体の線膨張係
数(以下、等価線膨張係数という)は18×10-6/℃
程度の値を示し、電線温度が上昇するにつれて弛度は大
きくなってくる。
【0006】また、分担張力がテンションメンバに10
0%移行する遷移点温度以上に温度上昇したときであっ
ても、FRP線材(テンションメンバ)の伸びが生ずる
ので、温度上昇に伴って架空送電線の弛度は大きくなっ
ている。したがって、この架空送電線を鉄塔間に張り渡
す場合、電線温度の上昇に伴う弛度増加により、当該架
空送電線と線下との間隔が適正に確保されなくなるとい
う事態が起こる。このような事態が発生することを防止
するために、架線時に、温度上昇に伴う弛度増加分を予
め見込んで高張力架線作業を行うか、または鉄塔の高さ
を高くするなどの処置を施さなければならない。すなわ
ち、上記した架空送電線を実使用する場合には、その架
線・建設コストは不可避的に上昇してしまう。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前記したFR
P線材をテンションメンバとする従来の軽量低弛度架空
電線に比べて、高温下における弛度増加は少なく、した
がって、既設の鉄塔にもそのまま架線することができる
新規な軽量低弛度架空電線と、その製造に用いる新規な
複合素線とその製造方法との提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ために、本発明においては、長尺なポリパラフェニレン
ベンゾビスオキサゾール繊維(Poly(p-phenylene-2,6-b
enzobisazole)fiber、以下、PBO繊維という)と、前
記PBO繊維を埋設するポリイミド樹脂と、前記ポリイ
ミド樹脂の外側を被覆するアルミニウム合金層とから成
り、前記PBO繊維の体積含有率が30〜70%である
ことを特徴とする複合素線(以下、複合素線Aという)
と、この複合素線Aの複数本を撚り合わせて成る軽量低
弛度架空電線(以下、電線C1という)が提供され、ま
た、長尺なPBO繊維を集束する工程;得られた繊維集
束体にポリイミド樹脂を含浸したのち余着樹脂を除去し
て長尺線材にする工程;前記ポリイミド樹脂がBステー
ジ状態にある時点で前記長尺線材の外側をアルミニウム
合金層で被覆して金属被覆線材にしたのち前記金属被覆
線材を成形する工程;および、前記金属被覆線材を加熱
して、前記PBO繊維と前記マトリックス樹脂と前記ア
ルミニウム合金層の内壁とを互いに焼付け一体化する工
程;を備えていることを特徴とする複合素線Aの製造方
法が提供される。
【0009】更に、本発明においては、前記PBO繊維
とともに無機質繊維が混合され、その混合量は、前記P
BO繊維の体積占有率に対し50%以下の量である複合
素線(以下、複合素線Bという)が提供され、また、複
数本の複合素線Bを撚り合わせて内層部とし、前記内層
部の外側に複合素線Aを配置して外層部としたことを特
徴とする軽量低弛度架空電線(以下、電線C2という)
が提供される。
【0010】
【発明の実施の形態】まず、複合素線Aについて説明す
る。この複合素線Aは、図1で示したように、PBO繊
維1を強化材とし、それを埋設するポリイミド樹脂2か
ら成るFRPと、その外側を被覆するアルミニウム合金
層3で構成されている。
【0011】強化材であるPBO繊維は、次式:
【0012】
【化1】
【0013】を基本構造とするポリパラフェニレンベン
ゾビスオキサゾールを液晶紡糸した繊維である。このP
BO繊維は、引張強度(Ts)が5.50GPa、弾性率
(E)が280.0GPa、融点が600〜650℃、酸
素指数が50〜55、密度(ρ)が1.56g/cm3
線膨張係数(α)が−6×10-6/℃程度であって、高
強度、高弾性であり、耐熱性と難燃性が優れ、しかも軽
量である。そして、線膨張係数は負の値であるため、温
度上昇に伴い熱収縮するという性質を備えているものが
使用される。
【0014】このPBO繊維1を埋設するポリイミド樹
脂2としては、その硬化物が適正な強度特性を有し、ま
た、複合素線Aを用いて製造した架空送電線の実動時に
生起する温度上昇を受けても熱分解しないような耐熱性
を備えている。そして、このポリイミド樹脂2の外側を
被覆するアルミニウム合金層3は、導電性が優れてい
る。
【0015】そして、PBO繊維1とポリイミド樹脂2
の接触界面、およびポリイミド樹脂2とアルミニウム合
金層3の内壁3aとの接触界面は、いずれも、焼付け一
体化していて、互いに遊動することがない状態で密着し
ている。ところで、この複合素線Aにおいては、PBO
繊維1は温度上昇に伴って繊維長方向に熱収縮する。し
かしながら、ポリイミド樹脂2やアルミニウム合金層3
はいずれも線膨張係数が正の値であるため温度上昇に伴
って熱膨張する。
【0016】例えば、ポリイミド樹脂は、その線膨張係
数が、概ね、1.5×10-6/℃程度の値であり、Al合
金の線膨張係数は23×10-6/℃程度の値である。し
たがって、この複合素線Aの熱伸縮問題を考えた場合、
温度上昇が起こると、PBO繊維1の熱収縮挙動が進行
し、逆にポリイミド樹脂2とアルミニウム合金層3では
熱膨張挙動が進行することになる。そのため、複合素線
Aは、全体として、各構成要素の存在割合で規定される
ある値の線膨張係数(等価線膨張係数)を示すことにな
り、その値に対応した量の熱伸縮が起こる。
【0017】本発明の複合素線Aの場合、それを用いて
製造した架空送電線に負荷がかかっても、温度上昇に伴
う弛度増加が抑制されるためには、上記した等価線膨張
係数を可能な限り小さくすることが好ましい。具体的に
は、PBO繊維の体積占有率(Vf)を30〜70%に
設定する。このとき、その複合素線Aは、等価線膨張係
数(α)が3.9×10-6〜−3.5×10-6/℃の範囲内
に、密度(ρ)が1.9〜2.36g/cm3の範囲内に、
引張強度(Ts)が1.76〜3.89GPaの範囲内に、
弾性係数(E)が127〜215GPaの範囲内に、導
電率(εc)が18.3〜42.7の範囲内にそれぞれあ
り、強度的にも、導電性の面でもバランスがとれ、しか
も高温下における弛度抑制効果も良好な架空送電線を提
供することができる。
【0018】とくに、Vf値が40〜50%である場合
には、その複合素線Aは高温下における弛度抑制効果を
充分に発揮することができるので好適である。ところ
で、前記したPBO繊維は紫外線が照射されると劣化す
る。したがって、複合素線Aにおいては、ポリイミド樹
脂の中にカーボン粉末、鉛ガラス粉末、HALS(ヒン
ダードアミン系安定剤)のような紫外線遮断材を混入し
ておくと耐候性が向上し、長期に亘る安定使用を実現す
ることができて好適である。
【0019】とくにカーボン粉末は有用である。用いる
カーボン粉末としては格別限定されるものではない。混
入に際しては、それらカーボン粉末の混入量を調整する
ことにより、PBO繊維を埋設するポリイミド樹脂を導
電性また半導電性にすることが好ましい。このような複
合素線Aの場合、それを用いて製造した架空送電線が直
撃雷をうけると、PBO繊維の耐熱温度は300℃程度
であるため、雷電流の大きさによっては溶断することも
想定される。
【0020】このような危惧を解消するために、本発明
においては、PBO繊維の外に炭素繊維、炭化ケイ素繊
維、アルミナ繊維、Si−Ti−C−O繊維などの無機
質繊維を混合した複合素線Bが提供される。上記した無
機質繊維は、いずれも、耐熱温度が500℃以上であ
り、しかも線膨張係数は5.0×10-6/℃以下と小さ
い。そのため、複合素線Bでは、弛度抑制効果を発揮し
つつも、全体としての耐熱性が向上して、前記したよう
なPBO繊維の溶断現象はおこりづらくなる。
【0021】これら無機質繊維はそれぞれ単独で混合し
てもよく、また2種以上を混合してもよい。また、長尺
な繊維としてPBO繊維と撚り合わせた状態で混合して
もよく、チョップ形態でポリイミド樹脂の中に混合して
もよい。しかし、この混合量が多すぎると、弛度抑制効
果を発揮するPBO繊維の相対的な体積占有率(Vf)
の低下を招くことになるので、前記無機質繊維の混合量
は、PBO繊維のVf値の50%以下となるような量に
規制することが好ましい。
【0022】上記した複合素線A,Bは次のようにして
製造することができる。その1例を、複合素線Aの製造
ラインを示す図2に基づいて説明する。まず、この製造
ラインでは、液状のポリイミド樹脂2aを収容する樹脂
槽5、ダイス6、コンフォーム7、成形装置8、加熱装
置9、および巻取り装置10がこの順序で直列配置され
ている。
【0023】アンコイラ4a,4bからPBO繊維1,
1が送り出され、これら繊維は撚り合わされて所定太さ
の繊維集束体a1になる。このとき、例えば同時に、炭
素繊維などの無機質繊維を一緒に撚り合わせれば、複合
素線Bを製造するときの強化繊維の集束体にすることが
できる。ついで、繊維集束体a1は樹脂槽5の中を走行
し、その過程で、繊維集束体a1に液状のポリイミド樹
脂2aが含浸される。このとき、ポリイミド樹脂2aに
所定量の例えばカーボンブラックのような紫外線遮断材
を配合しておけば、耐候性に優れた複合素線にすること
ができる。
【0024】樹脂槽5を通過した繊維集束体には、余剰
のポリイミド樹脂2aが付着しているので、所定口径の
ダイス6を通過させることにより、余着樹脂を除去して
所定径の長尺線材a2にする。ついで、この長尺線材a
2をコンフォーム7に導入して長尺線材a2の外側を所
定内径、肉厚のAl合金管で被覆して金属被覆線材a3
にしたのち、その金属被覆線材a3を成形装置8に導入
して、所定の外径、断面形状に成形する。そして、最後
に、成形された金属被覆線材a3は加熱装置9に導入さ
れ、そこでポリイミド樹脂が熱硬化されたのち、巻き取
り装置10で巻き取られる。
【0025】なお、上記した成形工程では、圧延、スエ
ージングなどの方法を採用できるが、その場合、断面形
状をセグメント状に成形すると、得られた複合素線は、
その複数本を用いて後述する架空送電線を製造する際に
素線間のデッドスペースは少なくなって占積率が向上
し、小型でコンパクトな架空送電線にすることができる
ので好適である。
【0026】ダイス6による余着樹脂の除去から加熱装
置9への導入までの間、繊維集束体に含浸されたマトリ
ックス樹脂はBステージ状態、すなわち、半乾燥状態の
軟らかい状態に維持される。液状のまま(Cステージ状
態)では成形装置8を通過するときに樹脂の逆流現象が
起こり、また、固く硬化した状態(Aステージ状態)で
は、成形装置で所定の断面形状にすることが困難とな
り、成形圧を高めると硬化しているポリイミド樹脂の破
損現象などが起こるからである。
【0027】この過程でポリイミド樹脂のBステージ状
態が維持されていることにより、成形時には、金属被覆
線材a3を容易に所定の断面形状に成形することができ
ると同時に、繊維集束体とポリイミド樹脂とアルミニウ
ム合金管との相互密着状態を高めることができる。そし
て、この相互密着状態を維持したまま加熱装置9でポリ
イミド樹脂の熱硬化が進行するので、PBO繊維と硬化
ポリイミド樹脂との間、硬化ポリイミド樹脂とアルミニ
ウム合金管の内壁との間はそれぞれ強固に焼付いて一体
化する。
【0028】なお、上記した製造ラインにおいて、提供
するPBO繊維1,1の本数、ポリイミド樹脂2aの粘
度、ダイス6の口径、コンフォーム7で使用するアルミ
ニウム合金管の肉厚などを適宜に調節することにより、
得られた複合素線のVf,Vp,Vmなどの値を目的と
する値にすることができる。次に、本発明の軽量低弛度
架空電線について説明する。
【0029】図3に、本発明の軽量低弛度架空電線C1
の1例を示す。この電線C1は、図1で示した複合素線
Aの複数本(図では37本)を撚り合わせたものであ
る。この電線C1は各複合素線Aの強化材であるPBO
繊維が軽量であるため、架線張力と弛度を小さくするこ
とができ、また、複合素線Aの等価線膨張係数はゼロ値
近傍にまで制御されているので、負荷電流の増大に伴う
電線の温度上昇が起こっても弛度増加を起こすことがな
い。
【0030】また、図4に本発明の別の軽量低弛度電線
C2の例を示す。この電線C2は、前記した複合素線B
の複数本(図では19本)を撚り合わせて内層部c1を
形成し、その内層部c1の外側に複合素線Aの複数本
(図では18本)を撚り合わせて外層部c2を配置した
ものである。この電線C2の場合、全体が軽量で弛度増
加の抑制効果は電線C1と同様であるが、そのことに加
えて、内層部c1はPBO繊維の外に耐熱温度が高い無
機質繊維を含む複合素線Bで構成されているので、例え
ば外層部c2の複合素線AにおけるPBO繊維が直撃雷
などによって溶断しても、全体としては断線事故を起こ
しづらいという効果を発揮する。また、製造コストも安
価になる。
【0031】
【実施例】東洋紡(株)製のPBO繊維を用い、またコ
ンフォームではアルミニウム合金管を用い、図2で示し
た製造ラインによって線径3.0mmの複合素線Aを製造
した。このとき、製造条件を変化させることにより、複
合素線Aにおいて、PBO繊維の体積占有率(Vf)を
表1で示したように変化させた。
【0032】得られた各複合素線Aにつき、引張強度
(Ts)、密度(ρ)、弾性係数(Ε)、導電率(ε
c)、および等価線膨張係数(α)を測定した。その結
果を表1に示した。
【0033】
【表1】
【0034】表1から明らかなように、Vf値が30〜
70%である複合素線Aは、そのα値が−3.5×10-6
〜3.9×10-6/℃の範囲内にあり、素線温度が上昇し
てもその線膨張量は少なく、弛度増加を抑制することが
できる。また、Ε値やTs値も適正な値であり、ρ/T
s値も0.5〜1.3と単位重量当りのTs値が大きく、軽
量であっても充分に架線張力に耐えうることがわかる。
【0035】そこで、試料No. 4の複合素線37本を撚
り合わせて、図3で示した断面構造の架空電線C1を製
造した。その架空電線C1の断面積は262mm2であ
り、その質量は0.587kg/mと非常に軽量であっ
た。また、電線C1の最大使用張力を25.5kNとし長
さ300mに亘って張設して弛度を測定した。温度20
℃のときには弛度は8.59mであった。そして、温度2
00℃にしたときの弛度は8.98mであり、この電線C
1は温度上昇に対する弛度抑制効果に優れる電線である
ことが判明した。
【0036】
【発明の効果】請求項1の複合素線は、高強度でかつ線
膨張係数が負の値を示すPBO繊維とポリイミド樹脂と
でテンションメンバを構成し、その外側がアルミニウム
合金層で被覆されているので、全体として軽量で、高張
力で、しかも等価線膨張係数も小さくなる。
【0037】請求項2の複合素線は、ポリイミド樹脂に
紫外線遮断材であるカーボン粉末が分散しているので耐
候性に優れている。請求項3の複合素線は、請求項4に
記載の無機質繊維を混合しているので、全体の耐熱温度
が高くなる。請求項5,6の製造方法では、PBO繊維
束に含浸されたポリイミド樹脂がBステージ状態にある
ときに、全体の断面形状を成形するので、ポリイミド樹
脂を破損することなく任意の形状に成形して寸法精度を
高めることができるとともに、PBO繊維とポリイミド
樹脂とアルミニウム合金層の内壁とを一体化することが
できる。
【0038】請求項7の架空電線は、請求項1〜4の複
合素線の複数本を撚り合わせて製造されるので、軽量で
あり、負荷電流の増大に伴う電線温度の上昇があっても
弛度は小さくなる。したがって、この電線は鉄塔への負
担を軽減することができる。請求項8の架空電線の場合
は、外層部を構成する複合電線が請求項3の耐熱性に優
れた複合電線であるため、軽量で、弛度抑制効果を備え
るとともに、例えば直撃雷を受けても電線全体が溶断す
るという事態を防止することができる。
【0039】このように、本発明の複合素線は、軽量で
あり、等価線膨張係数は小さい。これは、高強度で線膨
張係数が負の値を示すPBO繊維を強化材として用いた
ことがもたらす効果である。したがって、この複合素線
を用いて製造した架空送電線は、軽量であるとともに、
負荷電流の増大による電線温度の上昇があっても弛度は
少なくしかも弛度変動はほとんど起こらない。
【0040】そのため、その架空送電線は鉄塔への負担
を軽減することができ、しかも鉄塔を低く建設すること
もできる。すなわち、逆にいえば、既設の鉄塔に本発明
の軽量低弛度架空電線を架線しても、当該電線に従来よ
りも大きな負荷電流を流して送電容量を高めることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の複合素線Aを示す断面図である。
【図2】複合素線Aの製造ラインを示す概略図である。
【図3】本発明の軽量低弛度電線C1を示す断面図であ
る。
【図4】本発明の別の軽量低弛度電線C2を示す断面図
である。
【符号の説明】
1 PBO繊維 2 ポリイミド樹脂 2a 液状のポリイミド樹脂 3 アルミニウム合金層 3a アルミニウム合金層3の内壁 4a,4b アンコイラ 5 樹脂槽 6 ダイス 7 コンフォーム 8 成形装置 9 加熱装置 10 巻き取り装置

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 長尺なポリパラフェニレンベンゾビスオ
    キサゾール繊維と、前記ポリパラフェニレンベンゾビス
    オキサゾール繊維を埋設するポリイミド樹脂と、前記ポ
    リイミド樹脂の外側を被覆するアルミニウム合金層とか
    ら成り、前記ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾー
    ル繊維の体積含有率が30〜70%であることを特徴と
    する複合素線。
  2. 【請求項2】 前記ポリイミド樹脂には、カーボン粉末
    が分散している請求項1の複合素線。
  3. 【請求項3】 前記ポリパラフェニレンベンゾビスオキ
    サゾール繊維とともに無機質繊維が混合され、その混合
    量は、前記ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール
    繊維の体積占有率に対し50%以下の量である請求項1
    または2の複合素線。
  4. 【請求項4】 前記無機質繊維が、炭素繊維、炭化ケイ
    素繊維、アルミナ繊維の群から選ばれる少なくとも1種
    である請求項3の複合素線。
  5. 【請求項5】 長尺なポリパラフェニレンベンゾビスオ
    キサゾール繊維を集束する工程;得られた繊維集束体に
    ポリイミド繊維を含浸したのち余着樹脂を除去して長尺
    線材にする工程;前記ポリイミド樹脂がBステージ状態
    にある時点で前記長尺線材の外側をアルミニウム合金層
    で被覆して金属被覆線材にしたのち前記金属被覆線材を
    成形する工程;および、前記金属被覆線材を加熱して、
    前記ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維と
    前記ポリイミド樹脂と前記アルミニウム合金層の内壁と
    を互いに焼付け一体化する工程;を備えていることを特
    徴とする複合素線の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記金属被覆線材の断面形状を所望形状
    に成形する工程を含む請求項5の複合素線の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜4の複合素線を複数本撚り合
    わせて成ることを特徴とする軽量低弛度架空電線。
  8. 【請求項8】 請求項3の複数本の複合素線を撚り合わ
    せて内層部とし、前記内層部の外側に請求項1の複合素
    線を配置して外層部としたことを特徴とする軽量低弛度
    架空電線。
JP12737897A 1997-05-16 1997-05-16 複合素線とその製造方法、および複合素線を用いた軽量低弛度架空電線 Pending JPH10321046A (ja)

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JP12737897A Pending JPH10321046A (ja) 1997-05-16 1997-05-16 複合素線とその製造方法、および複合素線を用いた軽量低弛度架空電線

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JP (1) JPH10321046A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007299932A (ja) * 2006-04-28 2007-11-15 Koa Corp 抵抗体

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