JP4798211B2 - 窒化物系半導体積層構造の製造方法 - Google Patents

窒化物系半導体積層構造の製造方法 Download PDF

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この発明は、窒化物系半導体積層構造の製造方法に係り、特にアンモニアとヒドラジン誘導体とを含むV族原料と有機金属化合物のIII族原料とを用いて形成された窒化物系半導体積層構造の製造方法に関する。
近年、光ディスクの高密度化のために、青色領域から紫外線領域におよぶ発光が可能な半導体レーザの研究開発が盛んに行われている。このような青紫色レーザダイオード(以下レーザダイオードをLDと記載する)に使用されるGaN系化合物半導体としては、例えば、GaN,GaPN、GaNAs、InGaN,AlGaN、AlGaInNなどがある。AlGaInNなどの窒化物系半導体を用いたGaN系半導体レーザは既に実用化している。
窒化物系半導体の成長方法としては、一般的にV族原料としてNHを用いるが、p型半導体層を成長させる場合NHから分解した水素原子(H)とp型ドーパント、例えばMgが結合して成長後のp型半導体層は高抵抗を示す。この解決方法としては例えば結晶成長後熱処理を行ってMgを活性化させることにより、低抵抗化を図ることができる。
しかし熱処理を行うことにより、p型半導体層の表面から窒素(N)が脱離し、結晶が劣化する場合がある。また水素を放出しない窒素材料例えば、ヒドラジン系材料やアミン系材料を使うことも行われる。
公知の窒化物系化合物半導体の製造方法として、窒素原料としてアンモニアとヒドラジンとをともに用い、ヒドラジンの濃度が1×10−3体積%以上20体積%以下で、アンモニアの供給量とヒドラジンの供給量との和に対するヒドラジンの供給量の割合が1×10−3体積%以上10体積%以下にすることが開示されている。さらにキャリアガスとして水素、窒素、アルゴン、ヘリウム等のガスが単独または混合で使用することが可能であるが、好ましいキャリアガス中の水素濃度は10体積%以下であることが開示されている(例えば、特許文献1、段落番号[0008]、[0012]参照)。
また公知のAlGaInN薄膜形成法として、基板温度を1000℃に昇温し、V族原料としてヒドラジンに加えてアンモニアを導入し、1分後にIII族原料としてトリメチルガリウムを導入し膜厚3μmのGaN層を成長した後、トリメチルガリウムの導入を停止し、基板温度を800℃に降温し、トリメチルガリウム、トリメチルアルミニウムとトリメチルインジウムを同時に導入し、膜厚0.5μmのAl0.45GaO.5In0.05N層を成長し、トリメチルガリウム、トリメチルアルミニウムとトリメチルインジウムの導入を停止した後、基板温度を降温し300℃以下の温度になった処で、ヒドラジンとアンモニアの導入を停止することが開示されている(例えば、特許文献2、段落番号[0031]参照)。
また公知の窒化物系半導体発光素子の製造方法として次の方法が開示されている。
窒化物系半導体発光素子の高品質化を図るために、GaN層の成長温度を従来より低くし、GaN層とGaInN活性層との成長温度差を150℃以内に制御することを指向する。MOCVD法を例とすると、ヒドラジン、その置換体、及びアミン系窒素化合物のいずれか、特に700℃以下の低い温度でも分解効率の高い窒素化合物を選択する。これらを混合したものでもよく、アンモニアを含んでも良い。またGa源としてTMG(トリメチルガリウム)、またはTEG(トリエチルガリウム)、In源としてTMI(トリメチルインジウム)、及びAl源としてTMA(トリメチルアルミニウム)を使用する。n型ドーパントにはSiHを、p型ドーパントにはビスメチルシクロペンタジエニルマグネシウムを使用する。
まずc面サファイア基板上にGaN第1バッファ層(低温成長層)を低い温度で成長させ、次いで700℃という一定の成長温度で、GaN第2バッファ層、n−GaNコンタクト層、n−AlGaNクラッド層、n−GaN光ガイド層、GaInN活性層を成長させ、次いで従来と同じ成長温度で従来と同様に、GaInN活性層の上にp−GaN光ガイド層、AlGaN障壁層、p−AlGaNクラッド層、p−GaNコンタクト層を順次形成する。(例えば、特許文献3、段落番号[0013]、[0023]〜[0025]、及び図2参照)。
また公知のp型III族窒化物半導体の製造方法として、モノメチルヒドラジンとNMの混合ガスを雰囲気にし、温度を810℃に下げ、水素をキャリアガスとしてTMG、TMI,TMA,(EtCp)Mgを供給し、各層の厚みがそれぞれ6nmのIn0.05Al0.24Ga0.71N層とIn0.2Ga0.80N層とをそれぞれ50周期成長させた超格子からなるpクラッド層を0.6μmの厚さ成長し、温度を1050℃に上げ、p型GaNコンタクト層を0.2μmの厚さに積層することが開示されている(例えば、特許文献4、段落番号[0085]参照)。
また公知のp型III族窒化物半導体の製造方法として、アンドープのGaNバッファ層を形成させたc面サファイア基板をMOCVD装置の反応炉内に入れ、反応炉内にキャリアガスとしてNガスのみ導入した後、基板温度を上昇させ500℃を超えたところでN原料としてトリメチルアミンを2m−mol/分導入し、基板温度を850℃の保持し、次いで反応炉内にGa原料としてTMGを10μ−mol/分、p型ドーパントとしてシクロペンタジエニルマグネシウム(CPMg)を25μ−mol/分供給して、2時間成長を行いp型不純物としてMgがドープされたp型GaN層を成長させることが開示されている。
加えてアンドープのGaNバッファ層を形成させたc面サファイア基板をMOCVD装置の反応炉内に入れ、反応炉内にキャリアガスとしてNガスのみ導入した後、基板温度を上昇させ500℃を超えたところでN原料として1,1ジメチルヒドラジンを2m−mol/分導入し、基板温度を850℃の保持し、次いで反応炉内にGa原料としてTMGを10μ−mol/分、p型ドーパントとしてDMZを25μ−mol/分供給して、2時間成長を行いp型不純物としてZnがドープされたp型GaN層を成長させることが開示されている。(例えば、特許文献5、段落番号[0027]−[0028]、[0032]参照)。
また公知のp型III族窒化物半導体の製造方法として、MOCVD法により、トリメチルガリウム(TMGa)、トリメチルインジウム(TMIn)がそれぞれGaとInの原料に使用され、ビスシクロペンタジエニルマグネシウム(CPMg)がp型ドーパントとして使用され、p−GaN層がジメチルヒドラジン(DMHy)とNHとの混合ガス雰囲気中で、成長させ、U−GaN、N−GaN、およびMQWはNH雰囲気中で形成されたことが開示されている。またDMHyやタアシャリブチルヒドラジン(TBHy)等のヒドラジン原料は比較的低温のGaNやInGaNの層形成に使用されるが、この実験では結果を直ちに比較するために、従来のNHによるp−GaNと同様の条件で1000℃を超える温度でp−GaNが成長されたことが開示されている。(非特許文献1,427頁 2.Experiments 参照)
特開平9−251957号公報 特開平8−56015号公報 特開2004−47867号公報 特開2002−319743号公報 特許第3711635号公報 Eun-Hyun Park et al., "As-grown p-type GaN growth by dimethylhydrazine nitrogen precursor," Journal of Crystal Growth 272(2004) 426-431
窒化物系半導体の成長方法において、V族原料としてアンモニア(NH)を用いた場合、NHから生成されるHラジカルが結晶中に取り込まれ、Hパッシベーションを発生させ、すなわちp型ドーパントの活性化率が低下し、p型半導体層は高抵抗を示す。このためにNHを用いた場合にはp型ドーパントの活性化率を高めるためにアニールが必要になり、製造工程が複雑になるとともに、p型半導体層の表面から窒素(N)が脱離し、結晶が劣化する場合があった。
一方V族原料としてNHに替えてHラジカルを発生させない材料、例えばジメチルヒドラジン(UDMHy)を使用し、有機金属化合物のIII族原料を使用した場合、炭素(C)が結晶中に取り込まれ、p型半導体層が高抵抗を示す場合があるという問題点があった。
この発明は上記の問題点を解決するためになされたもので、第1の目的は有機金属化合物のIII族原料とヒドラジン誘導体を含むV族原料とを用いて形成された低抵抗なp型窒化物系半導体層を含む窒化物系半導体積層構造を提供することで、第2の目的は有機金属化合物のIII族原料とヒドラジン誘導体を含むV族原料とを用いて形成された低抵抗なp型窒化物系半導体層を含む半導体発光素子を提供することで、第3の目的は有機金属化合物のIII族原料とヒドラジン誘導体を含むV族原料とを用いた低抵抗なp型窒化物系半導体層を含む窒化物系半導体積層構造を簡単な工程により製造する製造方法を提供することで、第4の目的は有機金属化合物のIII族原料とヒドラジン誘導体を含むV族原料とを用いた低抵抗なp型窒化物系半導体層を含む半導体発光素子を簡単な工程により製造する製造方法を提供することである。
この発明に係る窒化物系半導体積層構造の製造方法は、有機金属化合物のIII族原料と、ヒドラジン誘導体のV族原料と、p型不純物原料とを用いて窒化物半導体を成長させる工程を有する窒化物系半導体積層構造の製造方法であって、この工程において、成長温度を800℃を越え1200℃未満とし、III族原料とヒドラジン誘導体から遊離されたアルキル基を炭化水素として排出するためにIII族原料に対するヒドラジン誘導体の供給モル比を1以上25未満、ヒドラジン誘導体に対するアンモニアの供給モル比を10以上500以下として、III族原料とヒドラジン誘導体とNHとを供給するものである。


この発明に係る窒化物系半導体積層構造の製造方法は、ヒドラジン誘導体とを含むV族原料と有機金属化合物のIII族原料とを用いて形成し、その製造工程において水素化合物が同時に添加されるので、半導体層中にCとHの取り込みが実質的に防止され、低抵抗なp型層を得ることができる。
以下の実施の形態においては、半導体光素子のp型層について説明するが、必ずしも半導体光素子に限らず、一般の半導体装置、例えばトランジスタなどのp型層においても適用できる。また半導体光素子として、例えばリッジ導波路型の青紫色LDを例にして説明するが、リッジ導波路型の青紫色LDに限らず、青紫色LD全般に適用して同様の効果を奏する。
実施の形態1.
図1は、この発明の一実施の形態に係るGaN積層構造の断面を示す模式図である。なお各図において同じ符号は同じものかまたは相当のものを示す。
図1において、GaN積層構造10は、例えば青紫色LDの積層構造の一部の構成である。
基板としてのGaN基板12は(0001)面を主面として用い、この主面の上にp型窒化物系半導体層としてのp−GaN層14が配設されている。
このGaN積層構造10の製造工程を説明する。
一般に窒化物系半導体積層構造を形成するための結晶成長は、有機金属気相成長法(MOCVD)、分子線エピタキシー(MBE)、ハイドライド気相成長法(HVPE)等により行われるが、ここでは例えば、MOCVD法により行われている。
III族原料には有機金属化合物のトリメチルガリウム(TMGa)を使用する。
V族原料にはアンモニアガスとヒドラジン誘導体、例えば1,2ジメチルヒドラジンを使用する。p型不純物原料としては例えばシクロペンタジエニルマグネシウム(CPMg)を使用する。
これら原料ガスのキャリアガスには窒素(N)ガスを使用する。
基板には、例えばGaNを使用し、結晶成長の主面として(0001)面を使用する。
なおこの実施の形態では、有機金属化合物としてトリメチルガリウム(TMGa)を使用したが、トリエチルガリウム(TEGa)を用いてもかまわない。
またヒドラジン誘導体として1,2ジメチルヒドラジンを使用しているが、1,1ジメチルヒドラジンを使用してもかまわない。
さらに、基板としてのGaN基板を使用しているが、これに限らずサファイア、SiC、Siウエハなどでもかまわない。
まず、GaN基板12をMOCVD装置の反応炉内に載置した後、アンモニアガスを1.3×10−1 mol/minと窒素ガス20 l/minとを供給しながら、GaN基板12の温度を例えば1000℃に上昇させる。
GaN基板12の温度を1000℃に昇温した後、キャリアガスの窒素ガスとともにTMGを1.2×10−4 mol/min、CPMgを9.0×10−7 mol/min、V族原料として供給しているアンモニアガスに加えてV族原料としての1,2ジメチルヒドラジンを1.1×10−3 mol/minの流量でそれぞれ供給を開始し、GaN基板12の主面上に層厚が1μmのp型GaN層14(以下、“n型”を“n−”と、また“p型”を“p−”、特に不純物がドーピングされていないアンドープの場合は“i−”と表記する)を成長させる。
この場合、III族材料に対する1,2ジメチルヒドラジンの供給モル比は9.4であり、1,2ジメチルヒドラジンに対するアンモニアの供給モル比は120である。
その後、III族材料であるTMGとp型不純物原料であるCPMgの供給を停止し、V族原料の供給の下で300℃程度まで冷却し、V族原料の供給をも停止して室温まで冷却する。
なお、III族材料であるTMGaとp型不純物原料であるCPMgの供給を停止する時に、アンモニアガスも停止しV族原料として1,2ジメチルヒドラジンを残して300℃程度まで冷却してもかまわない。アンモニアガスに比べて1,2ジメチルヒドラジンはより低い温度で分解されるので、結晶面からのNの再離脱が少なくなり、表面のモフォロジが良くなる。
このように成長させたp−GaN層14をVan der Pauw法によりホール測定を行い、p−GaN層14のキャリア(正孔)濃度を求めた。この結果、p−GaN層14は室温において正孔濃度が7×1017cm−3であり、抵抗率が0.7Ωcmの値を有することが分かった。
この実施の形態に基づくp−GaN層14を従来の方法により形成されたp−GaN層と比較を行った。
従来の製造方法によるp−GaN層は、V族原料にはアンモニアガスのみとし、その他の製造方法はp−GaN層14と同様の方法により成長させ、as−grownのままでは高抵抗であるので、更に熱処理を施した。
すなわち、GaN基板をMOCVD装置の反応炉内に載置した後、アンモニアを4.0×10−1 mol/minと窒素ガス20 l/minとを供給しながら、GaN基板の温度を例えば1000℃に上昇させる。
GaN基板の温度を1000℃に昇温した後、キャリアガスを流量10 l/minの窒素ガスと流量10 l/minの水素(H)ガスとの混合ガスとし、TMGaを1.2×10−4 mol/min、CPMgを9.0×10−7 mol/minとして供給を開始し、GaN基板12の主面上に層厚が1μmのp−GaN層を成長させる。
その後、III族材料であるTMGaとp型不純物原料であるCPMgの供給を停止し、V族原料の供給の下で300℃程度まで冷却し、V族原料の供給をも停止して室温まで冷却する。
このようにして成長させたp−GaN層はas−grownのままでは非常に高抵抗で電気伝導は得られないので、窒素(N)ガス雰囲気中で900℃の熱処理を行い、p型化させた。
このように熱処理の終わったp−GaN層をVan der Pauw法によりホール測定を行ったところ、熱処理後のp−GaN層の正孔濃度は室温において7×1017cm−3であり、抵抗率が1.0Ωcmの値となった。
この実施の形態1のp−GaN層14は、成長後にp型不純物を活性化させるための熱処理が不要であり、工程が簡単になるとともに、従来の製造方法で形成し熱処理を施したp−GaN層と比較して抵抗率の値が約30%程度低減されていることが分かる。
次にこの実施の形態1に基づくp−GaN層14の形成に際して、有機金属化合物のIII族原料とV族原料としてヒドラジン誘導体、例えば1,2ジメチルヒドラジンのみを使用せずにさらにアンモニアを添加する理由について説明する。
p−GaN層を形成する時にV族原料としてアンモニア(NH)ガスのみを使用すると、NHから生成されるHラジカルがp−GaNの結晶中に取り込まれ、Hラジカルとp型不純物とが反応し、Hパッシベーション(p型不純物の活性化率低下)が発生する。
Figure 0004798211
そこでV族原料としてアンモニアガスに替えて、ジメチルヒドラジン(UDMHy)に変更すると、UDMHyから生成されるCHラジカルが同時に生成するHラジカルと反応し、UDMHyから生成されるHラジカルがp−GaNの結晶中に取り込まれない。
Figure 0004798211
しかしながらIII族原料として有機金属化合物のトリメチルガリウム(TMGa)を使用しているので、TMGaからCHラジカル遊離され、このCHラジカルをCHとして排出しないとCHラジカルが結晶中に取り込まれ、結晶中の炭素濃度を高め、p−GaNの抵抗率を高めてしまうことになる。
Figure 0004798211
従って、V族原料としてアンモニアガスから、ジメチルヒドラジン(UDMHy)に完全に置き換えた場合には、CHラジカルからCHを生成するために必要となるHラジカルが不足するので、この実施の形態ではCHを生成するために必要な量だけHラジカルを供給することができる所定のNHを添加することにしたものである。
すなわち、まずはジメチルヒドラジン(UDMHy)によりp−GaN層を形成する際に、結晶中に取り込まれる炭素の濃度を少なくするために、いいかえればアクセプタが補償される炭素の取り込みを抑制するために、ジメチルヒドラジン(UDMHy)から遊離されるCHラジカルをCHとして排出するために必要となるHラジカルをNHから供給する。
そして同時にNHから生成されるHラジカルが多すぎるとHパッシベーションを発生させるので、Hラジカルの供給源であるNHの供給量をできるだけ必要最小限にする。
このように、III族原料としてトリメチルガリウムを、そしてV族原料としてアンモニアとジメチルヒドラジンとを使用し、p型不純物原料としてシクロペンタジエニルマグネシウム(CPMg)を使用することにより、含有する炭素濃度が1×1018cm―3以下であるp型窒化物系半導体層を備えた窒化物系半導体積層構造を構成することができる。
またトリメチルガリウムとアンモニアとジメチルヒドラジンとを所定の比率で供給するとともにp型不純物としてシクロペンタジエニルマグネシウム(CPMg)を使用することにより、含有炭素濃度が低く電気抵抗率の低いp−GaN層有する窒化物系半導体積層構造を簡単な工程により製造することができる。
変形例1
以上の製造工程では、原料ガスのキャリアガスとして窒素(N)ガス単独を使用した場合を説明したが、キャリアガスとして窒素(N)ガスと水素(H)ガスとの混合ガス、或いはキャリアガスとして水素(H)ガス単独としても良い。
すなわち、水素ガスの体積組成比をx、窒素ガスの体積組成比を1−xとした場合に、1≧x≧0の範囲で、水素ガスと窒素ガスの混合ガスを用いて製造を行ってもよい。
先の製造方法では窒素ガス単独とし、供給流量を窒素ガス20 l/minとしていたが、例えば水素ガスと窒素ガスとを1:1の混合ガスとした場合、窒素ガスを10 l/minの供給流量、水素ガスを10 l/minの供給流量とする混合ガスにすればよい。
他の製造条件は先のキャリアガスを窒素(N)ガス単独とした製造条件と全く同じである。
このようにしてキャリアガスを窒素(N)ガスと水素(H)ガスとの混合ガスにして製造された変形例1のp−GaN層14は先の製造条件つまりキャリアガスを窒素(N)ガス単独として製造されたp−GaN層14に比較して、表面のモフォロジが良好であった。
またこのように成長させたこの変形例1のp−GaN層14をVan der Pauw法によりホール測定を行い、p−GaN層14のキャリア(正孔)濃度を求めた。この結果、変形例1のp−GaN層14は室温において正孔濃度が5×1017cm−3であり、抵抗率が0.9Ωcmの値を有することが分かった。
この変形例1のp−GaN層14はp型伝導を示すため、熱処理は不要であるが、試みに、窒素(N)ガス雰囲気中で、700℃の熱処理を行うと、正孔濃度は7×1017cm−3に増大し、抵抗率は0.6Ωcmと非常に良好な電気特性を有するp−GaN層が得られることが分かった。
変形例1のp−GaN層14は追加の熱処理を行うと、キャリアガスを窒素(N)ガス単独として製造されたp−GaN層14と比較しても熱処理後の抵抗率は低かった。これはキャリアガスとして窒素(N)ガスと水素(H)ガスとの混合ガスを用いることにより、表面の平坦性が向上していることから結晶性が改善されたためと考えられる。
図2はこの発明の一実施の形態に係るp−GaN層の抵抗率のNH/ヒドラジン供給モル比依存性を示すグラフである。
図2の横軸はNH/ヒドラジン供給モル比、すなわちヒドラジンの供給モル流量に対するNHの供給モル流量であり、縦軸はp−GaN層の抵抗率(Ωcm)である。
図2のグラフは成長温度が1000℃、III族材料供給モル流量に対するヒドラジンの供給モル流量は9.4,キャリアガスは窒素(N)ガスと水素(H)ガスとの混合ガスを用い、比率は1:1の場合である。
図2において、NH/ヒドラジン供給モル比が10以下になると、Hラジカルの供給が不足し結晶中の炭素濃度が増加するため高抵抗となる。一方、NH/ヒドラジン供給モル比が500から1000の間で急峻に上昇しており、これはNHの過剰供給により結晶中にHが取り込まれることでHパッシベーションが発生したためである。このことから、NH/ヒドラジン供給モル比の範囲は10以上1000未満、更に望ましくは20以上500以下である。
図3はこの発明の一実施の形態に係るp−GaN層の抵抗率のヒドラジン/III族材料供給モル比依存性を示すグラフである。
図3の横軸は、ヒドラジン/III族材料供給モル比、すなわちIII族材料供給モル流量に対するヒドラジンの供給モル流量であり、縦軸はp−GaN層の抵抗率(Ωcm)である。図3のグラフは成長温度が1000℃、NH/ヒドラジン供給モル比が120、キャリアガスは窒素(N)ガスと水素(H)ガスとの混合ガスを用い、比率は1:1、の場合である。
図3において、ヒドラジン/III族材料供給モル比は20と25との間で急激に上昇しており、これは結晶中に含まれる炭素濃度が増加したことに起因しているため、ヒドラジン/III族材料供給モル比は25未満であることが必要である。またヒドラジン/III族材料供給モル比が1未満では、結晶中にV族の空孔が発生し結晶劣化を引き起こすため、ヒドラジン/III族材料供給モル比は望ましくは1以上20未満、更に望ましくは3以上15以下となる。
図4はこの発明の一実施の形態に係るp−GaN層の炭素濃度の成長温度依存性を示すグラフである。
図4の横軸は、成長温度で基板の温度と同等である。縦軸は結晶中の炭素濃度である。図4のグラフは、ヒドラジン/III族材料供給モル比は9.4、NH/ヒドラジン供給モル比は120、キャリアガスは窒素(N)ガスと水素(H)ガスとの混合ガスを用い、比率は1:1、の場合である。
図4において、800℃から900℃にかけて結晶中の炭素濃度が急激に減少しているので、成長温度は800℃を越えることが必要となる。成長温度が低くなるとアンモニアの分解が減少し、CHラジカルがCHとなって放出されなくなり、結晶中に取り込まれることになると考えられる。またp−GaNの結晶成長が可能な温度は1200℃である。従って、製造工程における成長温度は800℃を越え1200℃未満の範囲で、更に望ましくは900℃以上1200℃未満の間である。
図5はこの発明の一実施の形態に係るp−GaN層の抵抗率の炭素濃度依存性を示すグラフである。
図5の横軸はp−GaN層の炭素濃度、縦軸は抵抗率である。
図5において、1×1016cm−3は炭素の検出限界であり、デバイスとして使用できる最大の抵抗値を考慮すると炭素濃度は1×1018cm−3以下であることが必要と考えられる。
p−GaNの結晶中には炭素が含まれない方がよいが、ヒドラジンを使用した場合には、幾分なりともp−GaNの結晶中に炭素が取り込まれるので、この実施の形態に係る製造条件を選定することにより、p−GaN層の炭素濃度は1×1018cm−3以下にすることができる。
なおキャリアガスを水素ガスのみにしても、低抵抗のp−GaN層が形成される。1000℃程度の成長温度では水素ガスは解離しないので、水素分子の状態のままで存在し、結晶中に取り込まれることはなく、結晶中に取り込まれる水素ラジカルはアンモニアから分解されたHラジカルが主体であると考えられるので、キャリアガスを水素ガス単独にしても低抵抗のp−GaN層が形成される。
従って水素ガスの体積組成比をx、窒素ガスの体積組成比を1−xとした場合に、x=1を含む1≧x≧0の範囲で、水素ガスと窒素ガスの混合ガスを用いて製造を行っても、低抵抗のp−GaN層が形成される。
以上のようにこの発明の一実施の形態に係る窒化物系半導体積層構造は、基板と、この基板上に配設され、有機金属化合物のIII族原料、アンモニアとヒドラジン誘導体とを含むV族原料、及びp型不純物原料を用いて形成され、含有する炭素濃度が1×1018cm―3以下であるp型窒化物系半導体層と、を備えたもので、この構成により有機金属化合物のIII族原料とアンモニアとヒドラジン誘導体とを含むV族原料とを用いて形成され、炭素濃度が1×1018cm―3以下で、抵抗値が低いp型窒化物系半導体層を含む動作効率の良い窒化物系半導体積層構造を構成することができる。
またこの発明の一実施の形態に係る窒化物系半導体積層構造の製造方法は、反応炉内に基板を装着し、所定のV族原料を供給し、800℃を越え1200℃未満に基板の温度を上昇させる行程と、この上昇された基板温度の下で、キャリアガスとして窒素ガスと水素ガスとを使用し水素ガスの体積組成比をx、窒素ガスの体積組成比を1−xとした時、1≧x≧0とするとともに、有機金属化合物のIII族原料、アンモニアとヒドラジン誘導体とを含むV族原料、及びp型不純物原料を、III族原料に対するヒドラジン誘導体の供給モル比を25未満、ヒドラジン誘導体に対するアンモニアの供給モル比を10以上1000未満として、それぞれ所定のモル流量により供給し、p型窒化物系半導体層を形成する工程と、有機金属化合物のIII族原料とp型不純物原料との供給を停止し、基板温度を室温まで冷却する工程とを含むもので、この構成により有機金属化合物のIII族原料とアンモニアとヒドラジン誘導体とを含むV族原料とを所定の供給流量比で供給するとともに、p型不純物原料を供給して形成され、ヒドラジン誘導体に起因する炭素(C)がp型窒化物系半導体層に取り込まれることを防ぐとともに、有機金属化合物のIII族原料から生成されるCもp型窒化物系半導体層への取り込みが防止され、抵抗値の低いp型窒化物系半導体層を含む動作効率の良い窒化物系半導体積層構造を簡単な工程により製造することができる。
実施の形態2.
図6は、この発明の一実施の形態に係るLDの斜視図である。
図6において、このLD20は導波路リッジ型の青紫色LDで、基板としてのn-GaN基板22の一主面である(0001)面上にn−GaNで形成された層厚1μmのバッファ層24、このバッファ層24の上にn−Al0.07Ga0.93Nで形成された層厚1.0μmのnクラッド層26,このnクラッド層26の上にn−GaNで形成された層厚0.1μmのn側光ガイド層28および活性層30が順次積層されている。
活性層30はIn0.12Ga0.88Nからなる層厚3.5nmの井戸層とGaNからなる層厚7.0nmの障壁層とを交互に積層して3対備えた多重量子井戸構造である。
この活性層30の上に、p−Al0.2Ga0.8Nで形成された層厚0.02μmのp型電子障壁層32、p−GaNで形成された層厚0.1μmのp側光ガイド層34が順次積層される。次いでp側光ガイド層34の上にメサ状部の一部をなしp−Al0.07Ga0.93Nで形成された層厚0.4μmのpクラッド層36、このpクラッド層36の上に配設されメサ状部の一部をなすp−GaNで形成された層厚0.1μmのp型コンタクト層38が配設されている。
pクラッド層36とpコンタクト層38とは導波路リッジ40を形成している。導波路リッジ40はLD20の共振器端面となる劈開面の幅方向の中央部分に配設され、共振器端面となる両劈開面の間に延在している。
導波路リッジ40の側壁および露呈しているp側光ガイド層34の表面上に例えばSiOからなるシリコン酸化膜42が配設されている。導波路リッジ40の上表面にシリコン酸化膜42の開口部44が設けられ、pコンタクト層38の表面が露呈され、この露呈されたpコンタクト層と接して電気的に接続されたPtおよびAu膜からなるp側電極46が配設されている。さらにn−GaN基板22の裏面には、真空蒸着法によりTiおよびAl膜を順次積層することにより形成されたn側電極48が配設されている。
次にLD20の製造方法について説明する。
半導体積層構造の結晶成長方法には、例えばMOCVD法が使用される。
III族原料にはトリメチルガリウム(TMGa)、トリメチルアルミニウム(TMA)、トリメチルインジウム(TMI)を使用する。
またV族原料にはアンモニア(NH)ガスとヒドラジン誘導体、例えば1,2ジメチルヒドラジンを使用する。n型不純物原料には、例えばモノシラン(SiH)を用い、p型不純物原料としては、例えばシクロペンタジエニルマグネシウム(CPMg)を使用する。
まずn-GaN基板22をキャリアガスを窒素ガスと水素ガスとの混合ガスとし、アンモニア(NH)ガスを供給しながら、n-GaN基板22の温度を例えば1000℃に上昇させる。その後、トリメチルガリウム(TMGa)ガスとモノシラン(SiH)ガスの供給を開始し、n-GaN基板22の主面上にn−GaNで形成された層厚が1μmのバッファ層24を成長させる。
次にトリメチルアルミニウム(TMA)の供給を開始しn−Al0.07Ga0.93Nで形成された層厚1.0μmのnクラッド層26を成長させる。
次にトリメチルアルミニウム(TMA)の供給を停止し、n−GaNで形成された層厚0.1μmのn側光ガイド層28を成長させる。
次いでトリメチルガリウム(TMGa)ガスとモノシラン(SiH)ガスの供給を停止し、基板温度を700℃まで降温する。
この後キャリアガスを窒素ガス単独にし、トリメチルガリウム(TMGa)ガスとトリメチルインジウム(TMI)とアンモニア(NH)ガスとを供給することでIn0.12Ga0.88Nからなる層厚3.5nmの井戸層を成長させ、トリメチルインジウム(TMI)を停止し、トリメチルガリウム(TMGa)ガスとアンモニア(NH)ガスとを供給することでGaNからなる層厚7.0nmの障壁層を形成しこれを交互に積層して3対形成することによりMQW構造の活性層30を成長させる。
ここからp型層の形成を行うことになるが、p型層の形成には、実施の形態1に記載した製造方法と同様の製造方法により実施する。
p型層を形成する場合のキャリアガスは、窒素ガス単独、窒素ガスと水素ガスとの混合ガス、水素ガス単独のいずれでも良く、実施の形態1で説明したように水素ガスの体積組成比をx、窒素ガスの体積組成比を1−xとした場合に、1≧x≧0の範囲で、水素ガスと窒素ガスの混合ガスを用いて製造を行ってもよい。従って此処では一例として水素ガスを10 l/minの供給流量、窒素ガスを10 l/minの供給流量とし、水素ガスと窒素ガスとを1:1の混合ガスとする。
まず、アンモニアガスを1.3×10−1 mol/minと窒素ガス20 l/minとを供給しながら、基板温度を700℃から1000℃まで再び昇温した後、水素ガスと窒素ガスとを1:1とした混合ガスをキャリアガスとして、III族原料としてトリメチルガリウム(TMGa)ガスを2.4×10−4 mol/min、トリメチルアルミニウム(TMA)ガスを4.4×10−5 mol/min、シクロペンタジエニルマグネシウム(CPMg)を3.0×10−7 mol/min、V族原料としてアンモニアガスに加えて1,2ジメチルヒドラジンを1.1×10−3 mol/minの流量でそれぞれ供給を開始し、p−Al0.2Ga0.8Nで形成された層厚0.02μmのp型電子障壁層32を成長させる。この場合、III族原料に対する1,2ジメチルヒドラジンの供給モル比は3.9であり、1,2ジメチルヒドラジンに対するアンモニアの供給比は120である。
次にトリメチルアルミニウム(TMA)の供給を停止し、キャリアガスとともにTMGを1.2×10−4 mol/min、CPMgを1.0×10−7 mol/min、V族原料として供給しているアンモニアガスに加えてV族原料としての1,2ジメチルヒドラジンを1.1×10−3 mol/minの流量でそれぞれ供給し、層厚0.1μmのp−GaNからなるp側光ガイド層34を成長させる。
次にトリメチルアルミニウム(TMA)の供給を再度開始し、トリメチルガリウム(TMGa)ガスを2.4×10−4 mol/min、トリメチルアルミニウム(TMA)ガスを1.4×10−5 mol/min、シクロペンタジエニルマグネシウム(CPMg)を3.0×10−7 mol/minでそれぞれ供給し、p−Al0.07Ga0.93Nで形成された層厚0.4μmのpクラッド層36を成長させる。この場合III族原料に対する1,2ジメチルヒドラジンの供給モル比は4.3であり、1,2ジメチルヒドラジンに対するアンモニアの供給比は120である。このpクラッド層36の炭素濃度は1×1018cm−3以下である。
次にトリメチルアルミニウム(TMA)の供給を停止し、キャリアガスとともにTMGを1.2×10−4 mol/min、CPMgを9.0×10−7 mol/min、V族原料として供給しているアンモニアガスに加えてV族原料としての1,2ジメチルヒドラジンを1.1×10−3 mol/minの流量でそれぞれ供給し、層厚0.1μmのp−GaNで形成されたp型コンタクト層38を成長させる。
なお、p型層の形成には、実施の形態1と同様にIII族材料に対する1,2ジメチルヒドラジンの供給モル比は9.4であり、1,2ジメチルヒドラジンに対するアンモニアの供給モル比は120である。
また、実施の形態2のp型層を形成する場合、実施の形態1における場合と同様に次の製造条件で行われる。
すなわちヒドラジン/III族材料供給モル比は25未満であることが必要であり、望ましくは1以上20未満、更に望ましくは3以上15以下となる。
さらにまたNH/ヒドラジン供給モル比の範囲は10以上1000未満、更に望ましくは20以上500以下である。
さらにまた、製造工程における成長温度は800℃を越え1200℃未満の範囲で、更に望ましくは900℃以上1200℃未満の間である。
さらにまた、実施の形態1と同様に、実施の形態2の場合でも、例えばp−GaNの場合、ヒドラジンを使用すると、幾分なりともp−GaNの結晶中に炭素が取り込まれるので、この実施の形態に係る製造方法を選定することにより、p−GaN層の炭素濃度は1×1018cm−3以下にすることができる。
その後、III族材料であるTMGとp型不純物原料であるCPMgの供給を停止し、V族原料の供給の下で300℃程度まで冷却し、V族原料の供給をも停止して室温まで冷却する。
なお、III族材料であるTMGとp型不純物原料であるCPMgの供給を停止しする時に、アンモニアガスも停止しV族原料として1,2ジメチルヒドラジンを残して300℃程度まで冷却してもかまわない。
次に導波路リッジ40を形成する。
結晶成長が終了したウエハの全面にレジストを塗布し、リソグラフィーによりメサ状部の形状に対応したレジストパターンを形成する。このレジストパターンをマスクとして、例えば反応性イオンエッチング(RIE)法により、pクラッド層36を除去するかあるいはpクラッド層36を少し残す程度までエッチングを行う。このエッチングにより光導波構造となる導波路リッジ40を形成する。このRIEのエッチングガスとしては、例えば塩素系ガスを用いる。
次にマスクとして使用したレジストパターンを残したまま、再びn-GaN基板22上全面に例えばCVD法、真空蒸着法、スパッタリング法などにより、例えば厚さが0.2μmのSiOからなるシリコン酸化膜42を形成し、レジストの除去と同時に、いわゆるリフトオフ法によりリッジ導波路リッジ40上にあるシリコン酸化膜42を除去する。これにより、導波路リッジ40上のシリコン酸化膜42に開口部44が形成される。
次に、n-GaN基板22上全面に例えば真空蒸着法によりPtおよびAu膜を順次形成した後、レジスト塗布を塗布し、リソグラフィー及びウエットエッチング或いはドライエッチングにより、開口部44により露呈されたpコンタクト層38の表面と接して電気的に接続されたp側電極46が形成する。
次いでn-GaN基板22の裏面全面に真空蒸着法によりTi及びAl膜を順次形成し、n側電極48をオーミック接触させるためのアロイ処理を行う。
次いで、n-GaN基板22を劈開などによりバー上に加工して共振器の両端面を形成し、さらにこれらの共振器の端面にコーテイングを施した後このバーを劈開などにより、チップ形状にし、LD20として完成する。
この実施の形態2におけるLD20においては、p型層を形成する場合に、ヒドラジン/III族材料供給モル比は25未満で、望ましくは1以上20未満、更に望ましくは3以上15以下であり、さらにまたNH/ヒドラジン供給モル比の範囲は10以上1000未満、更に望ましくは20以上500以下であり、さらにまた、製造工程における成長温度は800℃を越え1200℃未満の範囲で、更に望ましくは900℃以上1200℃未満の間である。
従って、V族原料としてアンモニアガスから、ジメチルヒドラジン(UDMHy)に完全に置き換えた場合には、CHラジカルからCHを生成するために必要となるHラジカルが不足するので、この実施の形態ではCHを生成するために必要な量だけHラジカルを供給することができる所定のNHを添加することにしたものである。
すなわち、まずはジメチルヒドラジン(UDMHy)によりp−GaN層を形成する際に、結晶中に取り込まれる炭素の濃度を少なくするために、いいかえればアクセプタが補償される炭素の取り込みを抑制するために、ジメチルヒドラジン(UDMHy)から遊離されるCHラジカルをCHとして排出するために必要となるHラジカルをNHから供給する。
そして同時にNHから生成されるHラジカルが多すぎるとHパッシベーションを発生させるので、Hラジカルの供給源であるNHの供給量をできるだけ必要最小限にする。
このように、III族原料としてトリメチルガリウムを、そしてV族原料としてアンモニアとジメチルヒドラジンとを使用し、p型不純物原料としてシクロペンタジエニルマグネシウム(CPMg)を使用することにより、含有する炭素濃度が1×1018cm―3以下であるp型窒化物系半導体層を備えた半導体発光素子を構成することができる。
またトリメチルガリウムとアンモニアとジメチルヒドラジンとを所定の比率で供給するとともにp型不純物としてシクロペンタジエニルマグネシウム(CPMg)を使用することにより、含有炭素濃度が低く電気抵抗率の低いp型窒化物系半導体層を有する半導体発光素子を簡単な工程により製造することができる。
以上のように、この発明の一実施の形態に係る半導体発光素子は、基板と、この基板上に配設された窒化物系半導体のn型クラッド層と、このn型クラッド層の上に配設された活性層と、この活性層の上に配設され、有機金属化合物のIII族原料、アンモニアとヒドラジン誘導体とを含むV族原料、及びp型不純物原料を用いて形成され、含有する炭素濃度が1×1018cm―3以下であるp型窒化物系半導体のp型クラッド層と、を備えたもので、この構成により有機金属化合物のIII族原料とアンモニアとヒドラジン誘導体とを含むV族原料とを用いて形成され、炭素濃度が1×1018cm―3以下で、抵抗値が低いp型窒化物系半導体のp型クラッド層を含む動作効率の良い半導体光素子を構成することができる。
また、この発明の一実施の形態に係る半導体発光素子の製造方法は、反応炉内に基板を装着し、所定のV族原料を供給し、800℃を越え1200℃未満に基板の温度を上昇させる行程と、この上昇された基板温度においてIII族原料、V族原料およびn型不純物原料を所定の供給モル比で供給し、n型窒化物系半導体層を形成する工程と、基板を所定の成長温度に設定し、所定のIII族原料とV族原料とを所定の供給モル比で供給し、量子井戸構造を有する窒化物系半導体の活性層を形成する工程と、アンモニアと窒素ガスとを所定のモル比で供給し、800℃を越え1200℃未満に基板の温度を設定し、キャリアガスとして窒素ガスと水素ガスとを使用し水素ガスの体積組成比をx、窒素ガスの体積組成比を1−xとした時、1≧x≧0とするとともに、有機金属化合物のIII族原料、アンモニアとヒドラジン誘導体とを含むV族原料、及びp型不純物原料を、有機金属化合物のIII族原料に対するヒドラジン誘導体の供給モル比を25未満、ヒドラジン誘導体に対するアンモニアの供給モル比を10以上1000未満として、それぞれ所定のモル流量により供給し、p型窒化物系半導体層を形成する工程と、有機金属化合物のIII族原料とp型不純物原料との供給を停止し、基板温度を室温まで冷却する工程とを含むもので、この構成により有機金属化合物のIII族原料とアンモニアとヒドラジン誘導体とを含むV族原料とを所定の供給流量比で供給するとともに、p型不純物原料を供給して形成され、ヒドラジン誘導体に起因する炭素(C)がp型窒化物系半導体層に取り込まれることを防ぐとともに、有機金属化合物のIII族原料から生成されるCもp型窒化物系半導体層への取り込みが防止され、抵抗値が低いp型窒化物系半導体層を含む動作効率の良い半導体光素子を簡単に製造することができる。
以上のように、この発明に係る窒化物系半導体積層構造および半導体光素子ならびにその製造方法は、有機金属化合物のIII族原料とアンモニアとヒドラジン誘導体とを含むV族原料を用いて形成された窒化物系半導体積層構造および半導体光素子の性能向上ならびにその製造方法の簡易化に適している。
この発明の一実施の形態に係るGaN積層構造の断面模式図である。 この発明の一実施の形態に係るp−GaN層の抵抗率のNH/ヒドラジン供給モル比依存性を示すグラフである。 この発明の一実施の形態に係るp−GaN層の抵抗率のヒドラジン/III族材料供給モル比依存性を示すグラフである。 この発明の一実施の形態に係るp−GaN層の炭素濃度の成長温度依存性を示すグラフである。 この発明の一実施の形態に係るp−GaN層の抵抗率の炭素濃度依存性を示すグラフである。 この発明の一実施の形態に係るLDの斜視図である。
符号の説明
12 GaN基板、 14 p−GaN層、 22 n-GaN基板、 26 nクラッド層、 30 活性層、 36 pクラッド層。

Claims (1)

  1. 有機金属化合物のIII族原料と、ヒドラジン誘導体のV族原料と、p型不純物原料とを用いて窒化物半導体を成長させる工程を有する窒化物系半導体積層構造の製造方法であって、前記工程において、III族原料とヒドラジン誘導体から遊離されたアルキル基を炭化水素として排出するために、成長温度を800℃を越え1200℃未満とし、III族原料に対するヒドラジン誘導体の供給モル比を1以上25未満、ヒドラジン誘導体に対するアンモニアの供給モル比を10以上500以下として、III族原料とヒドラジン誘導体とNHとを供給することを特徴とする窒化物系半導体積層構造の製造方法。
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