JP4798035B2 - 内燃機関の圧縮比変更装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ピストンの移動に伴って変化する燃焼室の容積の最小値に対する最大値の比である圧縮比を変更する内燃機関の圧縮比変更装置に関する。
従来から、内燃機関に適用され、シリンダブロックをシリンダボアの軸線(中心軸線)方向(以下、単に「上下方向」ともいう。)においてクランクケースに対して移動させることにより、圧縮比を変更する内燃機関の圧縮比変更装置が提案されている。例えば、そのような圧縮比変更装置の一つは、装置の作動を説明するための概念図である図12の(A)、(B)及び(C)に示したように、シリンダボアCBが形成されたシリンダブロック910と、シリンダブロック910の下方に配置され且つ車体に固定されたクランクケース920と、を備える内燃機関に適用される内燃機関の圧縮比変更装置930である。
圧縮比変更装置930は、ブロック側受力部931と、ケース側受力部932と、を含んでいる。ブロック側受力部931は、シリンダブロック910の外壁面(側壁面)911に固定されている。ブロック側受力部931に形成された貫通孔には、円柱状のブロック側回転部材933が配置されている。ブロック側回転部材933は、その中心軸線(ブロック側受力軸線)MCを回転の中心として回転可能に支持されている。
ケース側受力部932は、シリンダブロック910の外壁面911と対向するようにクランクケース920の上部に形成されている。ケース側受力部932に形成された貫通孔には、円柱状のケース側回転部材934が配置されている。ケース側回転部材934は、その中心軸線(ケース側受力軸線)FCを回転の中心として回転可能に支持されている。ケース側回転部材934には、円柱状のリンク軸部934aが固定されている。これにより、リンク軸部934aの中心軸線(リンク軸線)LCは、ケース側回転部材934の回転に伴ってケース側受力軸線FCとの間の距離を一定に維持しながらケース側受力軸線FC回りに回転移動する。
ブロック側回転部材933及びケース側回転部材934は、ブロック側受力軸線MCと、リンク軸線LCと、の間の距離が一定に維持されるように、連結されている。ケース側回転部材934は、図示しない駆動装置により、回転させられるようになっている。
以下、圧縮比変更装置930の作動について説明する。
図12の(A)に示したように、リンク軸線LCがケース側受力軸線FCの真下の位置にある場合、即ち、リンク軸線LCがケース側受力軸線FCに対して最も下方に位置している場合、リンク軸線LC、ケース側受力軸線FC及びブロック側受力軸線MCがこの順に同一直線上に並び、ケース側受力軸線FCとブロック側受力軸線MCとの間の上下方向における距離Yは最短となっている。従って、クランクケース920とシリンダブロック910との間の上下方向における距離も最短となるので、圧縮比は最高の比(最高比)となる。
この状態において、圧縮比変更装置930は、圧縮比を減少させるために、図12の(A)における右側のケース側回転部材934を反時計方向(矢印Aの方向)に、且つ、左側のケース側回転部材934を時計方向(矢印Bの方向)に回転駆動する。
これにより、右側のリンク軸線LCがケース側受力軸線FC回りに反時計方向に回転移動するとともに、左側のリンク軸線LCがケース側受力軸線FC回りに時計方向に回転移動する。このとき、シリンダブロック910の剛性によりブロック側回転部材933は、左右方向に移動できない。
従って、右側のブロック側回転部材933は、ブロック側受力部931の軸受孔を形成する壁面に当接しながら軸受孔内を反時計方向に回転して、ブロック側受力部931を押し上げる。同様に、左側のブロック側回転部材933も、ブロック側受力部931の軸受孔内を時計方向に回転してブロック側受力部931を押し上げる。そして、ケース側回転部材934の回転駆動が継続させられることにより、圧縮比変更装置930の状態は、図12の(B)に示したように、リンク軸線LCがケース側受力軸線FCよりもクランクケース920に対する外方側の位置にてケース側受力軸線FCと左右方向に並んだ状態に至る。
図12の(B)に示した状態においては、ケース側受力軸線FCとブロック側受力軸線MCとの間の上下方向における距離Yは、(A)に示した場合よりも長くなる。従って、内燃機関の圧縮比は(A)に示した場合よりも低くなる。
更に、ケース側回転部材934の回転駆動を継続することにより、右側のリンク軸線LCがケース側受力軸線FC回りに反時計方向に回転移動するとともに、左側のリンク軸線LCがケース側受力軸線FC回りに時計方向に回転移動する。これにより、右側のブロック側回転部材933は、ブロック側受力部931の軸受孔内を時計方向に回転してブロック側受力部931を押し上げる。同様に、左側のブロック側回転部材933も、ブロック側受力部931の軸受孔内を反時計方向に回転してブロック側受力部931を押し上げる。そして、圧縮比変更装置930の状態は、図12の(C)に示した状態に至る。
図12の(C)に示した状態においては、ケース側受力軸線FC、リンク軸線LC及びブロック側受力軸線MCがこの順に同一直線上に並び、ケース側受力軸線FCとブロック側受力軸線MCとの間の上下方向における距離Yは、最長となる(即ち、図12の(A)に示した状態及び図12の(B)に示した状態よりも長くなる。)。従って、クランクケース920とシリンダブロック910との間の上下方向における距離も最長となるので、内燃機関の圧縮比は最低の比(最低比)となる。
このように、右側のケース側回転部材934が反時計方向に回転するとともに左側のケース側回転部材934が時計方向に回転するにつれて(圧縮比変更装置930の状態が図12の(A)に示した状態から(C)に示した状態へ向かうにつれて)、内燃機関の圧縮比は低くなる。
一方、圧縮比変更装置930は、内燃機関の圧縮比を増加させる際に、図12の(C)における右側のケース側回転部材934を時計方向に、且つ、左側のケース側回転部材934を反時計方向に回転駆動する。これにより、右側のリンク軸線LCがケース側受力軸線FC回りに時計方向に回転移動するとともに、左側のリンク軸線LCがケース側受力軸線FC回りに反時計方向に回転移動する。
従って、右側のブロック側回転部材933は、ブロック側受力部931の軸受孔内を反時計方向に回転してブロック側受力部931を押し下げる。同様に、左側のブロック側回転部材933も、ブロック側受力部931の軸受孔内を時計方向に回転してブロック側受力部931を押し下げる。従って、ケース側回転部材934の回転駆動を継続することにより、圧縮比変更装置930の状態は、図12の(B)に示した状態に至り、更に継続すると、(A)に示した状態に至る。
このように、右側のケース側回転部材934が時計方向に回転するとともに左側のケース側回転部材934が反時計方向に回転するにつれて(圧縮比変更装置930の状態が図12の(C)に示した状態から(A)に示した状態へ向かうにつれて)、クランクケース920とシリンダブロック910との間の上下方向における距離が短くなるので、圧縮比は高くなる。
以上のように、従来の圧縮比変更装置930は、リンク軸線LCがクランクケース920に対してケース側受力軸線FCよりも内方側を通過することなく外方側のみを通過するようにケース側回転部材934を駆動することにより、内燃機関の圧縮比を変更するようになっている(例えば、特許文献1を参照。)。
特開2003−206771号公報
ところで、燃焼室にて混合ガスが燃焼すると、燃焼室にて極めて高い圧力が発生する。この圧力により、シリンダブロック910の上部に固定された図示しないシリンダヘッドが上方に押される。一方、クランクケース920は車体に固定されている。
従って、ブロック側回転部材933には、上方へ向かう力が加えられる。この力により、ケース側回転部材934は、ケース側受力部932に力を加える。ところで、ケース側受力部932に対して、クランクケース920の内方へ向かう向きに過大な力が加えられると、ケース側受力部932がシリンダブロック910の外壁面911を押圧するので、内燃機関の圧縮比を変更するためにシリンダブロック910をクランクケース920に対して移動させる際に、クランクケース920とシリンダブロック910との間に過大な摩擦力が発生する虞がある。従って、クランクケース920の内方へ向かう向きの過大な力(過大な圧縮方向力)が発生することを回避することが望ましい。
一方、ケース側回転部材934によりケース側受力部932に加えられる力のうちの外壁面911に直交する方向における分力であってクランクケース920の内方へ向かう向きの力を正の値とする分力Fsと、リンク軸線LCがケース側受力軸線FC回りに回転移動した回転角度θと、の関係は、以下のように求められる。
いま、図12の(A)、(B)及び(C)に示した右側のブロック側受力軸線MC、右側のリンク軸線LC及び右側のケース側受力軸線FCの位置関係を模式的に示した図13に示したように、燃焼室における混合ガスの燃焼により発生した圧力(燃焼圧)により、上方に向かう力F0がブロック側受力軸線MCに加えられている状態を想定する。更に、せん断応力が発生しない仮想的な部材によりブロック側受力軸線MCとリンク軸線LCとが連結されているとともに、同様の部材によりケース側受力軸線FCとリンク軸線LCとが連結されていると仮定する。
この状態においては、リンク軸線LCに加えられる力F1aは、力F0のうちのブロック側受力軸線MC及びリンク軸線LCを結ぶ線分L1に沿った方向における分力である。従って、力F1aは、下記(1)式により求められる。
F1a=F0・1/cosψ …(1)
ここで、ψは、ブロック側受力軸線MCを回転の中心とした回転角度であって上記線分L1からブロック側受力軸線MCとケース側受力軸線FCとを結ぶ線分L2までの時計方向における回転角度である。また、上記リンク軸線LCの回転角度(即ち、ケース側回転部材934の回転角度)θは、ケース側受力軸線FCを回転の中心とした回転角度であって上記線分L2からケース側受力軸線FCとリンク軸線LCとを結ぶ線分L3までの時計方向における回転角度である。
従って、回転角度θと回転角度ψとの関係は、ケース側受力軸線FCとリンク軸線LCとの間の距離(線分L3の長さ)をD1と置くとともにブロック側受力軸線MCとリンク軸線LCとの間の距離(線分L1の長さ)をD2と置けば、下記(2)式のように表される。
ψ=sin−1(D1/D2・sinθ) …(2)
更に、この状態において、ケース側受力軸線FCに加えられる力F2aは、上記力F1aのうちの上記線分L3に沿った方向における分力である。従って、力F2aは、下記(3)式により求められる。
F2a=F1a・sinγ …(3)
ここで、γは、リンク軸線LCを回転の中心とした回転角度であって上記線分L1から線分L4までの時計方向における回転角度である。なお、線分L4は、リンク軸線LCを回転の中心として上記線分L3を時計方向に90°だけ回転させた線分である。この回転角度γは、上記回転角度θ及び上記回転角度ψと、下記(4)式に示した関係を有している。従って、上記(3)式に下記(4)式を代入することにより、力F2aは下記(5)式のように表される。
γ=θ+ψ−π/2 …(4)
F2a=−F1a・cos(θ+ψ) …(5)
更に、この力F2aの外壁面911に直交する方向(即ち、上記線分L2に直交する方向)における分力Fsは、下記(6)式により求められる。
Fs=F2a・sinθ=−F1a・cos(θ+ψ)・sinθ …(6)
従って、上記(2)式と上記(6)式とにより、力Fsと回転角度θとの関係を求めることができる。例えば、上記距離D1に対する上記距離D2の比を5/3とした場合の力Fsと回転角度θとの関係は、図14の曲線C1に示したように求められる。
この場合、力Fsは、回転角度θが0°〜略60°の範囲Aにて負の値となり(即ち、力Fsがクランクケース920の外方へ向かう向きの力(引張方向力)となり)、略60°〜180°の範囲Bにて正の値となり(即ち、力Fsがクランクケース920の内方へ向かう向きの力(圧縮方向力)となり)、180°〜略300°の範囲Cにて再び負の値となり、略300°〜360°の範囲Dにて再び正の値となる。
また、回転角度θが0°〜180°の範囲(範囲A及び範囲Bからなる範囲)においては、力Fsの最小値Fsa(範囲Aにおいて力Fsの大きさが最大であるときの力Fs)の大きさ|Fsa|は、力Fsの最大値Fsb(範囲Bにおいて力Fsの大きさが最大であるときの力Fs)の大きさ|Fsb|よりも小さい。一方、回転角度θが180°〜360°の範囲(範囲C及び範囲Dからなる範囲)においては、力Fsの最小値Fsc(範囲Cにおいて力Fsの大きさが最大であるときの力Fs)の大きさ|Fsc|は、力Fsの最大値Fsd(範囲Dにおいて力Fsの大きさが最大であるときの力Fs)の大きさ|Fsd|よりも大きい。
ところで、上述したように、従来の圧縮比変更装置は、リンク軸線LCがクランクケース920に対してケース側受力軸線FCよりも内方側を通過することなく外方側のみを通過するようにケース側回転部材934を駆動する。即ち、従来の圧縮比変更装置においては、回転角度θは、0°〜180°の範囲においてのみ変化する。従って、従来の圧縮比変更装置においては、圧縮方向力の最大値(即ち、|Fsb|)が引張方向力の最大値(即ち、|Fsa|)よりも大きかった。従って、過大な圧縮方向力がケース側受力部932に加えられ、その結果、圧縮比を変更する際にクランクケース920とシリンダブロック910との間に過大な摩擦力が発生する虞があった。
本発明は上述した課題に対処するためになされたものであって、その目的は、内燃機関の圧縮比を変更する際に無駄なエネルギーが消費されることを回避することが可能な内燃機関の圧縮比変更装置を提供することにある。
かかる目的を達成するため本発明による内燃機関の圧縮比変更装置は、ピストン往復動型の内燃機関であって、クランク軸を回転可能に支持するクランクケースとピストンを移動可能に収容するシリンダブロックとがシリンダボア方向に互いに相対移動し得るように構成された内燃機関に適用される。
即ち、本発明による内燃機関の圧縮比変更装置は、
所定のボア中心軸方向に貫通する円柱状の穴であるシリンダボアが形成されるとともに同シリンダボア内にピストンを収容するシリンダブロックと、前記シリンダボアの開口部分の一方を覆うように同シリンダブロックに固定されたシリンダヘッドと、前記シリンダブロックに対して前記シリンダヘッドと反対側に配置され且つ同シリンダブロックに対して前記ボア中心軸方向に相対移動可能であるとともに前記ピストンに連結されたクランク軸を回転可能に支持するクランクケースと、を備える内燃機関に適用される。
本発明による内燃機関の圧縮比変更装置は、
前記シリンダブロックに設けられたブロック側受力部と、
前記シリンダブロックの外壁面と対向するように前記クランクケースに設けられたケース側受力部と、
前記ケース側受力部内の所定のケース側受力軸線を回転の中心として所定のリンク軸線が所定の角度範囲にて回転移動するように駆動されるリンク機構であって、同リンク軸線と前記ブロック側受力部内の所定のブロック側受力軸線との間の距離が一定に維持されるように同ブロック側受力部と同ケース側受力部とを連結するリンク機構と、を含み、
前記リンク軸線が前記ケース側受力軸線回りに回転移動することにより前記クランクケースと前記シリンダブロックとの間の前記ボア中心軸方向における距離を変更して圧縮比を変更するように構成される。
更に、前記角度範囲は、前記シリンダボアを形成するボア壁面と前記シリンダヘッドの下面と前記ピストンの頂面とにより形成される燃焼室にて混合ガスが燃焼することにより発生する圧力によって生じる力であって前記リンク機構が前記ケース側受力部に加える力のうちの前記外壁面に直交する方向における分力が前記クランクケースの内方へ向かう圧縮方向力となる角度と同分力が同クランクケースの外方へ向かう引張方向力となる角度との両方を含み、且つ、同角度範囲内の前記圧縮方向力の最大値が同角度範囲内の前記引張方向力の最大値よりも小さくなる範囲に設定される。
これによれば、圧縮方向力の最大値が引張方向力の最大値よりも小さくなる範囲に角度範囲が設定される。図14に示した例においては、角度範囲は、例えば、180°〜360°に設定される。これにより、角度範囲が0°〜180°に設定された場合と比較して、圧縮方向力の最大値を小さくすることができる。この結果、ケース側受力部がクランクケースの内方へ向けて変形させられる程度を小さくすることができる。従って、シリンダブロックの外壁面とケース側受力部との間に発生する摩擦力が過大となることを回避することができ、内燃機関の圧縮比を変更する際に無駄なエネルギーが消費されることを回避することができる。
この場合、前記角度範囲は、前記圧縮方向力が極大値となる角度を含まないように設定されることが好適である。
これによれば、圧縮方向力が極大値となる角度を角度範囲が含む場合と比較して、前記角度範囲内の圧縮方向力の最大値を小さくすることができる。これにより、圧縮方向力が過大となることを回避することができる。この結果、ケース側受力部がクランクケースの内方へ向けて変形させられる程度を小さくすることができるので、シリンダブロックの外壁面とケース側受力部との間に発生する摩擦力が過大となることを回避することができる。
また、本発明による他の内燃機関の圧縮比変更装置は、上述した内燃機関に適用され、上述したブロック側受力部、ケース側受力部及びリンク機構を含むとともに、前記リンク軸線が前記ケース側受力軸線回りに回転移動することにより前記クランクケースと前記シリンダブロックとの間の前記ボア中心軸方向における距離を変更して圧縮比を変更するように構成される。
更に、前記角度範囲は、前記燃焼室にて混合ガスが燃焼することにより発生する圧力によって生じる力であって前記リンク機構が前記ケース側受力部に加える力のうちの前記外壁面に直交する方向における分力が前記クランクケースの内方へ向かう圧縮方向力となる角度を含まない範囲に設定される。
これによれば、圧縮方向力が発生しない範囲に角度範囲が設定される。図14に示した例においては、角度範囲は、例えば、180°〜略300°に設定される。従って、ケース側受力部がクランクケースの内方へ向けて変形させられることを防止することができるので、シリンダブロックの外壁面とケース側受力部との間に摩擦力が発生することを防止することができる。
<構成>
以下、本発明による内燃機関の圧縮比変更装置が適用された内燃機関の実施形態について図面を参照しながら説明する。図1に示したように、この内燃機関10は、シリンダブロック20と、クランクケース30と、を備えている。
<<シリンダブロック>>
シリンダブロック20は、図1乃至図3に示したように、短辺及び長辺を有する略長方形状の上面20a及び下面20bと短辺方向と直交する側面(本明細書においては、「外壁面」とも称呼される。)20cとを有する略直方体状である。以下、本明細書においては、シリンダブロック20の上面20aから下面20bへ向かう方向を下方向と称呼し、シリンダブロック20の下面20bから上面20aへ向かう方向を上方向と称呼する。
シリンダブロック20には、上面20a及び下面20bと直交する方向(即ち、上下方向、なお、ボア中心軸方向とも呼ぶ。)に貫通した円柱状の貫通穴が4つ形成されている。これらの貫通穴は、シリンダブロック20の長辺方向(シリンダ配列方向)にて直線状に配置されている。この貫通穴は、シリンダボア21と称呼される。
図1に示したシリンダボア21の中心軸線(ボア中心軸)BCを通る4−4線を含むとともにシリンダ配列方向に直交する平面にて内燃機関10を切断した断面図である図4に示したように、各シリンダボア21内には、円柱状のピストン22が1つずつ収容されている。
<<クランクケース>>
クランクケース30は、車体に固定されている。図1に示したように、クランクケース30は、クランク軸31を回転可能に支持するとともにクランク軸31を収容している。クランクケース30は、クランク軸31の軸線方向がシリンダ配列方向と一致するようにシリンダブロック20の下方に配置されている。クランク軸31には、図4に示したコンロッド32を介して各ピストン22が連結されている。このような構成により、各ピストン22の往復動がクランク軸31の回転運動に変換される。
<<シリンダヘッド>>
更に、内燃機関10は、図4及び図1に示した互いに隣接する2つのシリンダボア21,21の間を通る5−5線を含むとともにシリンダ配列方向に直交する平面にて内燃機関10を切断した断面図である図5に示したように、シリンダヘッド40を備えている。シリンダヘッド40は、シリンダブロック20に対して移動しないようにシリンダブロック20の上面20a(即ち、シリンダブロック20に対してクランクケース30と反対側)に固定されている。即ち、シリンダヘッド40は、シリンダボア21の開口部分の一方(上側)を覆うようにシリンダブロック20に固定されている。
図4に示したように、シリンダヘッド40には、シリンダヘッド40のシリンダブロック20側の面(シリンダヘッド40の下面)40aに開口するとともにシリンダボア21のそれぞれに1つずつ対応する複数の凹部40a1が形成されている。各凹部40a1は、シリンダヘッド40がシリンダブロック20に固定された状態において、同各凹部40a1に対応する1つのシリンダボア21を形成する壁面(ボア壁面)に連接するようになっている。シリンダヘッド40の下面40aの凹部40a1と、ボア壁面と、ピストン22のシリンダヘッド40側の面(ピストン22の頂面)と、はシリンダボア21毎(気筒毎)に燃焼室41を形成している。
シリンダヘッド40には、図4に示したように、燃焼室41に連通する吸気ポート42と、燃焼室41に連通する排気ポート43と、が気筒毎に形成されている。シリンダヘッド40には、吸気ポート42を開閉する吸気弁42aと、排気ポート43を開閉する排気弁43aと、燃焼室41にて火花を発生する点火プラグ44と、が気筒毎に配設されている。
加えて、内燃機関10は、図示しない燃料噴射手段を備えていて、燃料噴射手段により燃料を噴射させることにより、燃料と空気とが含まれる混合ガスを吸気ポート42を経由して燃焼室41に供給するようになっている。
<<圧縮比変更装置>>
更に、内燃機関10は、図1乃至図5に示したように、圧縮比変更装置50を含む。圧縮比変更装置50は、シリンダブロック20の両側面(外壁面)20cのそれぞれの近傍に1つずつ設けられた装置である。一方の側面(外壁面)20cの圧縮比変更装置50と、他方の側面20cの圧縮比変更装置50と、はすべての気筒のボア中心軸BCを含むボア中心軸配列平面に関して対称となっている。従って、一方の側面20cの圧縮比変更装置50についてのみ説明する。
圧縮比変更装置50は、図1に示したように、ケース側受力部51と、ブロック側受力部52と、軸状駆動部53と、を含む。なお、軸状駆動部53は、リンク機構を構成している。
<ケース側受力部>
ケース側受力部51は、平板状の縦壁部51aと、複数のキャップ部51bと、からなる。
縦壁部51aは、クランクケース30の上部側壁を構成している。縦壁部51aは、シリンダブロック20がクランクケース30の上に配設された状態において、シリンダブロック20の側面(外壁面)20cと対向して外壁面20cの一部を覆うようになっている。
縦壁部51aには、厚さ方向に貫通するとともに、シリンダブロック20がクランクケース30の上に配設された状態においてシリンダボア21のそれぞれに1つずつ対応する複数(本例では、4つ)の貫通孔51a1が形成されている。縦壁部51aに形成された互いに隣接する2つの貫通孔51a1,51a1の間の位置には、外方に向けて開口した凹部であってシリンダ配列方向に直交する平面により縦壁部51aを切断した断面において半円形状を有する凹部51a2が形成されている。各凹部51a2の半円形の中心は、同軸に配置されている。
キャップ部51bは、縦壁部51aの凹部51a2のそれぞれに1つずつ対応している。各キャップ部51bは、縦壁部51aに固定されることにより、縦壁部51aの対応する1つの凹部51a2を覆うようになっている。各キャップ部51bには、キャップ部51bが縦壁部51aに固定された状態において、縦壁部51aに向けて開口する凹部であってシリンダ配列方向に直交する平面により同キャップ部51bを切断した断面において半円形状を有する凹部51b1が形成されている。凹部51b1の半円形の径は、凹部51a2の半円形の径と同径である。
このような構成により、ケース側受力部51は、キャップ部51bが縦壁部51aに固定された状態において、縦壁部51aの凹部51a2とキャップ部51bの凹部51b1とにより、シリンダ配列方向に貫通するとともに同軸に配列された複数の円柱状の軸受孔51cを形成している(図4を参照。)。なお、軸受孔51cの中心軸線FCは、本明細書において、ケース側受力軸線FCとも呼ばれる。
<ブロック側受力部>
ブロック側受力部52は、縦壁部51aの貫通孔51a1のそれぞれに1つずつ対応する複数(本例では、4つ)の部材からなる。ブロック側受力部52の各部材は、その部材に対応する縦壁部51aの貫通孔51a1に挿入された状態にてシリンダブロック20の外壁面20cの下端部に固定されている。即ち、ブロック側受力部52は、シリンダブロック20の外壁面20cから外方に延出するように、シリンダブロック20に設けられている。
ブロック側受力部52の上下方向の長さは、縦壁部51aの貫通孔51a1の上下方向の長さよりも短い。このような構成により、ブロック側受力部52は、縦壁部51aの貫通孔51a1内を上下方向に移動可能になっている。即ち、シリンダブロック20は、クランクケース30に対して上下方向(ボア中心軸方向)に相対移動可能になっている。
ブロック側受力部52の各部材には、シリンダ配列方向に貫通した円柱状の軸受孔52aが形成されている。各軸受孔52aは、同軸に配置されている。各軸受孔52aの径は、軸受孔51cの径よりも大きい径である。なお、軸受孔52aの中心軸線MCは、本明細書において、ブロック側受力軸線MCとも呼ばれる。
<軸状駆動部>
軸状駆動部53は、図1、図4及び図5に示したように、棒状の偏心軸部53aと、ケース側受力部51の軸受孔51cのそれぞれに1つずつ対応する複数の固定カム部53bと、ブロック側受力部52の軸受孔52aのそれぞれに1つずつ対応する複数の可動カム部53cと、ウォームギヤ53dと、を備える。なお、偏心軸部53aの中心軸線LCは、本明細書において、リンク軸線LCとも呼ばれる。
各固定カム部53bは、ケース側受力部51の軸受孔51cと略同径の円柱状の部材である。各固定カム部53bの軸線方向の長さは、ケース側受力部51の対応する1つの軸受孔51cの軸線方向の長さと略同じ長さである。各固定カム部53bには、固定カム部53bの正面図である図6の(A)に示したように、その中心軸線FCから偏った(偏心した)位置にて軸線方向に貫通した貫通孔であって偏心軸部53aと略同径の円柱状の貫通孔HFが形成されている。
各可動カム部53cは、ブロック側受力部52の軸受孔52aと略同径の円柱状の部材である。各可動カム部53cの軸線方向の長さは、ブロック側受力部52の対応する1つの軸受孔52aの軸線方向の長さと略同じ長さである。各可動カム部53cには、可動カム部53cの正面図である図6の(B)に示したように、その中心軸線MCから偏った(偏心した)位置にて軸線方向に貫通した貫通孔であって偏心軸部53aと略同径の円柱状の貫通孔HMが形成されている。
本例では、固定カム部53bの貫通孔HFと可動カム部53cの貫通孔HMとは、図6の(A)及び(B)に示したように、固定カム部53bの中心軸線FCと貫通孔HFの中心軸線LCとの間の距離D1に対する可動カム部53cの中心軸線MCと貫通孔HMの中心軸線LCとの間の距離D2の比が5/3となるようにそれぞれ配置されている。
固定カム部53b及び可動カム部53cは、固定カム部53bと可動カム部53cとを一つずつ交互に配置するとともに固定カム部53bの貫通孔HFと可動カム部53cの貫通孔HMとを同軸に配置し、且つ、それぞれの貫通孔HF,HMに偏心軸部53aを通した状態にて、偏心軸部53aに取り付けられている。固定カム部53b及び偏心軸部53aには、図示しないネジ孔が形成されている。固定カム部53b及び偏心軸部53aは、各固定カム部53bが偏心軸部53aに対して回転しないように、且つ、すべての固定カム部53bが同軸に配置されるように、前述のネジ孔を挿通する図示しないネジにより固定されている。一方、可動カム部53cは、偏心軸部53aに対して回転可能になっている。
ウォームギヤ53dは、偏心軸部53aに対して回転しないように、且つ、固定カム部53bと同軸となるように、固定カム部53bに固定されている。ウォームギヤ53dは、図示しないモータの出力部と噛み合うことにより、回転駆動されるようになっている。
軸状駆動部53は、各固定カム部53bがケース側受力部51の対応する1つの軸受孔51cに収容されるとともに同軸受孔51cを形成する壁面と当接しながら同軸受孔51c内にて回転可能となるように、且つ、各可動カム部53cがブロック側受力部52の対応する1つの軸受孔52aに収容されるとともに同軸受孔52aを形成する壁面と当接しながら同軸受孔52a内にて回転可能となるように、ケース側受力部51及びブロック側受力部52により支持されている。
このような構成により、軸状駆動部53は、ケース側受力部51とブロック側受力部52とを連結している。また、偏心軸部53aの中心軸線(リンク軸線)LCと固定カム部53bの中心軸線(ケース側受力軸線)FCとの間の距離D1、及び、偏心軸部53aの中心軸線(リンク軸線)LCと可動カム部53cの中心軸線(ブロック側受力軸線)MCとの間の距離D2は、軸状駆動部53が駆動されてもそれぞれ一定に維持される。即ち、距離D1に対する距離D2の比も一定(本例では、5/3)に維持される。
<圧縮比変更装置の作動>
次に、上記のように構成された圧縮比変更装置50の作動について説明する。
この圧縮比変更装置50は、リンク軸線LCがケース側受力軸線FCよりもクランクケース30に対する内方側を通過してケース側受力軸線FC回りに回転移動するようにウォームギヤ53dを回転駆動することにより、クランクケース30とシリンダブロック20との間の上下方向における距離を変更して内燃機関10の圧縮比を変更する。
先ず、圧縮比変更装置50が内燃機関10の圧縮比を最高の比(最高比)から最低の比(最低比)へ変化させる場合から説明する。
内燃機関10の圧縮比が最高比である状態においては、図7に示したように、リンク軸線LCがケース側受力軸線FCの真下の位置にある。即ち、リンク軸線LCがケース側受力軸線FCに対して最も下方に位置している。従って、リンク軸線LC、ケース側受力軸線FC及びブロック側受力軸線MCがこの順に同一直線上に並び、ケース側受力軸線FCとブロック側受力軸線MCとの間の上下方向における距離は最短となる。従って、クランクケース30とシリンダブロック20との間の上下方向における距離Yも最短となるので、内燃機関10の圧縮比は最高比となる。
この状態において、圧縮比変更装置50は、図7における右側の軸状駆動部53を構成するウォームギヤ53dを時計方向(矢印Aの方向)に、且つ、左側の軸状駆動部53を構成するウォームギヤ53dを反時計方向(矢印Bの方向)に回転駆動する。これにより、右側のリンク軸線LCがケース側受力軸線FCを回転の中心として(ケース側受力軸線FC回りに)時計方向に回転移動するとともに、左側のリンク軸線LCがケース側受力軸線FC回りに反時計方向に回転移動する。このとき、シリンダブロック20の剛性によりすべての可動カム部53cは、左右方向に移動できない。
従って、右側の可動カム部53cは、ブロック側受力部52の軸受孔52aを形成する壁面に当接しながら軸受孔52a内を時計方向に回転して、ブロック側受力部52を押し上げる。更に、左側の可動カム部53cは、ブロック側受力部52の軸受孔52aを形成する壁面に当接しながら軸受孔52a内を反時計方向に回転して、ブロック側受力部52を押し上げる。そして、ウォームギヤ53dの回転駆動が継続されることにより、圧縮比変更装置50の状態は、図8に示したように、リンク軸線LCがケース側受力軸線FCよりもクランクケース30に対する内方側の位置にてケース側受力軸線FCと左右方向に並んだ状態に至る。
図8に示した状態においては、ケース側受力軸線FCとブロック側受力軸線MCとの間の上下方向における距離は、図7に示した場合よりも長くなる。従って、クランクケース30とシリンダブロック20との間の上下方向における距離Yも長くなる。即ち、内燃機関10の圧縮比は図7に示した場合よりも低くなる。
更に、ウォームギヤ53dの回転駆動を継続することにより、右側のリンク軸線LCがケース側受力軸線FC回りに時計方向に移動するとともに、左側のリンク軸線LCがケース側受力軸線FC回りに反時計方向に移動する。これにより、右側の可動カム部53cは、ブロック側受力部52の軸受孔52aを形成する壁面に当接しながら軸受孔52a内を反時計方向に回転して、ブロック側受力部52を押し上げる。更に、左側の可動カム部53cは、ブロック側受力部52の軸受孔52aを形成する壁面に当接しながら軸受孔52a内を時計方向に回転して、ブロック側受力部52を押し上げる。そして、圧縮比変更装置50の状態は、図9に示した状態に至る。
図9に示した状態においては、ケース側受力軸線FC、リンク軸線LC及びブロック側受力軸線MCがこの順に同一直線上に並び、ケース側受力軸線FCとブロック側受力軸線MCとの間の上下方向における距離は、最長となる(即ち、図7に示した状態及び図8に示した状態よりも長くなる。)。従って、クランクケース30とシリンダブロック20との間の上下方向における距離Yも最長となるので、内燃機関10の圧縮比は最低比となる。
図10の(A)は、以上の作動における図7〜9の右側のケース側受力軸線FCに対するリンク軸線LCの位置の変化を概念的に表す図である。この図10の(A)からも理解されるように、圧縮比変更装置50は、図7〜図9の右側のリンク軸線LCのケース側受力軸線FC回りの回転角度であってリンク軸線LCがケース側受力軸線FCの真上に位置する状態からの時計方向における回転角度θrが180°から360°へ変化するように、右側のウォームギヤ53dを時計方向に回転駆動する。換言すると、右側のリンク軸線LCは、回転角度θrが180°と360°との間の角度となる角度範囲ARにてケース側受力軸線FCを回転の中心として(ケース側受力軸線FC回りに)時計方向に回転移動させられる。
同様に、図10の(B)は、以上の作動における図7〜9の左側のケース側受力軸線FCに対するリンク軸線LCの位置の変化を概念的に表す図である。この図10の(B)からも理解されるように、圧縮比変更装置50は、図7〜9の左側のリンク軸線LCのケース側受力軸線FC回りの回転角度であってリンク軸線LCがケース側受力軸線FCの真上に位置する状態からの反時計方向における回転角度θlが180°から360°へ変化するように、左側のウォームギヤ53dを反時計方向に回転駆動する。換言すると、左側のリンク軸線LCは、回転角度θlが180°と360°との間の角度となる角度範囲ARにてケース側受力軸線FCを回転の中心として(ケース側受力軸線FC回りに)反時計方向に回転移動させられる。
これにより、上下方向(ボア中心軸方向)におけるクランクケース30とシリンダブロック20との間の距離Yが長くされる。その結果、内燃機関10の圧縮比は最高比から最低比へ変化する。
次に、圧縮比変更装置50が内燃機関10の圧縮比を最低比から最高比へ変化させる場合について説明する。
この場合、圧縮比変更装置50は、図9に示した状態において、右側の軸状駆動部53を構成するウォームギヤ53dを反時計方向に、且つ、左側の軸状駆動部53を構成するウォームギヤ53dを時計方向に回転駆動する。これにより、右側のリンク軸線LCがケース側受力軸線FC回りに反時計方向に移動するとともに、左側のリンク軸線LCがケース側受力軸線FC回りに時計方向に移動する。
従って、右側の可動カム部53cは、ブロック側受力部52の軸受孔52aを形成する壁面に当接しながら軸受孔52a内を時計方向に回転して、ブロック側受力部52を押し下げる。更に、左側の可動カム部53cは、ブロック側受力部52の軸受孔52aを形成する壁面に当接しながら軸受孔52a内を反時計方向に回転して、ブロック側受力部52を押し下げる。
従って、ウォームギヤ53dの回転駆動を継続することにより、圧縮比変更装置50の状態は、図8に示した状態に至り、更に継続すると、図7に示した状態に至る。
このように、圧縮比変更装置50は、図10の(A)に示したように、上記回転角度θrが360°から180°へ変化するように、図7〜9の右側の軸状駆動部53を構成するウォームギヤ53dを反時計方向に回転駆動する。換言すると、右側のリンク軸線LCは、回転角度θrが180°と360°との間の角度となる角度範囲ARにてケース側受力軸線FCを回転の中心として反時計方向に回転移動させられる。
更に、圧縮比変更装置50は、図10の(B)に示したように、上記回転角度θlが360°から180°へ変化するように、図7〜9の左側の軸状駆動部53を構成するウォームギヤ53dを時計方向に回転駆動する。換言すると、左側のリンク軸線LCは、回転角度θlが180°と360°との間の角度となる角度範囲ARにてケース側受力軸線FCを回転の中心として時計方向に回転移動させられる。
これにより、上下方向(ボア中心軸方向)におけるクランクケース30とシリンダブロック20との間の距離Yが短くされる。その結果、内燃機関10の圧縮比は最高比から最低比へ変化する。
上記のように構成された実施形態に係る内燃機関10においては、燃焼室41内に形成された混合ガスが燃焼すると、燃焼室41内のガスの圧力は極めて高くなる。この圧力により、図11に示したように、ヘッド下面40aは力Fx0にて上方向に押される。これにより、シリンダヘッド40が固定されたシリンダブロック20には上方向に向かう力Fx1が加えられる。一方、クランクケース30は車体に固定されている。
従って、可動カム部53cには、上方向に向かう力F0が加えられる。この力F0は偏心軸部53aを介して固定カム部53bに伝達される。これにより、固定カム部53bはケース側受力部51に力を加える。この力(固定カム部53bがケース側受力部51に加える力)のうちのシリンダブロック20の外壁面20cに直交する方向における分力Fsは、上記図13及び上記図14を用いて説明したように、リンク軸線LCの回転角度θr(=θ),θl(=θ)に応じて変化する。
本実施形態においては、上述したように、回転角度θが180°と360°との間の角度となる角度範囲(図14の範囲C及び範囲D)にて、リンク軸線LCをケース側受力軸線FC回りに回転移動させている。即ち、上記分力Fsがクランクケース30の内方へ向かう向きの力(圧縮方向力)となる範囲における分力Fsの大きさの最大値(即ち、圧縮方向力の最大値)が、上記分力Fsがクランクケース30の外方へ向かう向きの力(引張方向力)となる範囲における分力Fsの大きさの最大値(即ち、引張方向力の最大値)よりも小さくなる範囲に角度範囲が設定されている。
これにより、角度範囲が0°〜180°に設定された場合と比較して、圧縮方向力の最大値を小さくすることができる。即ち、圧縮方向力の最大値を値|Fsb|から値|Fsd|へと低減できる。この結果、ケース側受力部51がクランクケース30の内方へ向けて変形させられる程度を小さくすることができる。従って、シリンダブロック20の外壁面20cとケース側受力部51との間に発生する摩擦力が過大となることを回避することができ、内燃機関10の圧縮比を変更する際に無駄なエネルギーが消費されることを回避することができる。
(第1変形例)
次に、上記実施形態の第1変形例について説明する。この第1変形例は、回転角度θが180°と315°との間の角度となる角度範囲にて、リンク軸線LCをケース側受力軸線FC回りに回転移動させることにより内燃機関10の圧縮比を変更するように構成されている点のみにおいて上記実施形態と相違している。
この第1変形例によれば、角度範囲は、圧縮方向力が極大値となる角度(略330°)を含まない。従って、圧縮方向力が極大値となる角度を角度範囲が含む場合(例えば、上記実施形態)と比較して、角度範囲内の圧縮方向力の最大値を小さくすることができる。即ち、圧縮方向力の最大値を値|Fsd|から値|Fsd1|へと低減できる。これにより、圧縮方向力が過大となることを回避することができる。この結果、ケース側受力部51がクランクケース30の内方へ向けて変形させられる程度を小さくすることができるので、シリンダブロック20の外壁面20cとケース側受力部51との間に発生する摩擦力が過大となることを回避することができる。
(第2変形例)
更に、上記実施形態の第2変形例について説明する。この第2変形例は、回転角度θが180°と略300°との間の角度となる角度範囲にて、リンク軸線LCをケース側受力軸線FC回りに回転移動させるように構成されている点のみにおいて上記実施形態と相違している。
この第2変形例によれば、角度範囲は、上記分力Fsが圧縮方向力となる角度(略300°〜360°)を含まない。従って、ケース側受力部51がクランクケース30の内方へ向けて変形させられることを防止することができるので、シリンダブロック20の外壁面20cとケース側受力部51との間に摩擦力が発生することを防止することができる。
(第3変形例)
加えて、上記実施形態の第3変形例について説明する。この第3変形例は、回転角度θが0°と略70°との間の角度となる角度範囲にて、リンク軸線LCをケース側受力軸線FC回りに回転移動させるように構成されている点のみにおいて上記実施形態と相違している。
この第3変形例によれば、圧縮方向力の最大値は、引張方向力の最大値|Fsa|よりも小さい値|Fsd1|となる。従って、角度範囲が0°〜180°に設定された場合と比較して、ケース側受力部51がクランクケース30の内方へ向けて変形させられる程度を小さくすることができる。この結果、シリンダブロック20の外壁面20cとケース側受力部51との間に発生する摩擦力が過大となることを回避することができ、内燃機関10の圧縮比を変更する際に無駄なエネルギーが消費されることを回避することができる。なお、この第3変形例においては、リンク軸線LCは、ケース側受力軸線FCよりもクランクケース30に対する外方側を通過してケース側受力軸線FC回りに回転移動させられる。
また、本発明は上記実施形態及び上記各変形例に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、上記実施形態は、「固定カム部53bに形成された貫通孔HFの中心軸線と固定カム部53bの中心軸線FCとの間の距離D1」に対する「可動カム部53cに形成された貫通孔HMの中心軸線と可動カム部53cの中心軸線MCとの間の距離D2」の比が5/3以外の比となるように構成されていてもよい。
本発明の実施形態に係る圧縮比変更装置を備える内燃機関の概略斜視図である。 図1に示したシリンダブロックの上方からの斜視図である。 図1に示したシリンダブロックの下方からの斜視図である。 図1の4−4線に沿った平面にて内燃機関を切断した断面図である。 図1の5−5線に沿った平面にて内燃機関を切断した断面図である。 図1に示した固定カム部及び可動カム部の正面図である。 内燃機関の圧縮比が最高の圧縮比に設定された図1の内燃機関の断面図である。 内燃機関の圧縮比が最高の圧縮比と最低の圧縮比との間の圧縮比に設定された図1の内燃機関の断面図である。 内燃機関の圧縮比が最低の圧縮比に設定された図1の内燃機関の断面図である。 本発明の実施形態に係る圧縮比変更装置による内燃機関の圧縮比の変更に伴うケース側受力軸線に対するリンク軸線の位置の変化を模式的に示した図である。 図1に示した燃焼室にて燃焼が発生した際に圧縮比変更装置に加えられる力を模式的に示した図である。 従来の圧縮比変更装置が駆動されることによる圧縮比の変化を模式的に示した図である。 図12に示した燃焼室にて燃焼が発生した際に圧縮比変更装置に加えられる力を模式的に示した図である。 軸状駆動部がケース側受力部に加える力のうちのシリンダブロックの外壁面に直交する方向における分力とリンク軸線の回転角度との関係を示したグラフである。
符号の説明
10…内燃機関、20…シリンダブロック、20b…下面、20c…外壁面、21…シリンダボア、22…ピストン、30…クランクケース、31…クランク軸、40…シリンダヘッド、41…燃焼室、50…圧縮比変更装置、51…ケース側受力部、51c…軸受孔、52…ブロック側受力部、52a…軸受孔、53…軸状駆動部、53a…偏心軸部、53b…固定カム部、53c…可動カム部、53d…ウォームギヤ、BC…ボア中心軸、FC…ケース側受力軸線、MC…ブロック側受力軸線、LC…リンク軸線。

Claims (3)

  1. 所定のボア中心軸方向に貫通する円柱状の穴であるシリンダボアが形成されるとともに同シリンダボア内にピストンを収容するシリンダブロックと、前記シリンダボアの開口部分の一方を覆うように同シリンダブロックに固定されたシリンダヘッドと、前記シリンダブロックに対して前記シリンダヘッドと反対側に配置され且つ同シリンダブロックに対して前記ボア中心軸方向に相対移動可能であるとともに前記ピストンに連結されたクランク軸を回転可能に支持するクランクケースと、を備える内燃機関に適用され、
    前記シリンダブロックに設けられたブロック側受力部と、
    前記シリンダブロックの外壁面と対向するように前記クランクケースに設けられたケース側受力部と、
    前記ケース側受力部内の所定のケース側受力軸線を回転の中心として所定のリンク軸線が所定の角度範囲にて回転移動するように駆動されるリンク機構であって、同リンク軸線と前記ブロック側受力部内の所定のブロック側受力軸線との間の距離が一定に維持されるように同ブロック側受力部と同ケース側受力部とを連結するリンク機構と、を含み、
    前記リンク軸線が前記ケース側受力軸線回りに回転移動することにより前記クランクケースと前記シリンダブロックとの間の前記ボア中心軸方向における距離を変更して圧縮比を変更するように構成された内燃機関の圧縮比変更装置において、
    前記角度範囲は、前記シリンダボアを形成するボア壁面と前記シリンダヘッドの下面と前記ピストンの頂面とにより形成される燃焼室にて混合ガスが燃焼することにより発生する圧力によって生じる力であって前記リンク機構が前記ケース側受力部に加える力のうちの前記外壁面に直交する方向における分力が前記クランクケースの内方へ向かう圧縮方向力となる角度と同分力が同クランクケースの外方へ向かう引張方向力となる角度との両方を含み、且つ、同角度範囲内の前記圧縮方向力の最大値が同角度範囲内の前記引張方向力の最大値よりも小さくなる範囲に設定された内燃機関の圧縮比変更装置。
  2. 請求項1に記載の内燃機関の圧縮比変更装置において、
    前記角度範囲は、前記圧縮方向力が極大値となる角度を含まないように設定された内燃機関の圧縮比変更装置。
  3. 所定のボア中心軸方向に貫通する円柱状の穴であるシリンダボアが形成されるとともに同シリンダボア内にピストンを収容するシリンダブロックと、前記シリンダボアの開口部分の一方を覆うように同シリンダブロックに固定されたシリンダヘッドと、前記シリンダブロックに対して前記シリンダヘッドと反対側に配置され且つ同シリンダブロックに対して前記ボア中心軸方向に相対移動可能であるとともに前記ピストンに連結されたクランク軸を回転可能に支持するクランクケースと、を備える内燃機関に適用され、
    前記シリンダブロックに設けられたブロック側受力部と、
    前記シリンダブロックの外壁面と対向するように前記クランクケースに設けられたケース側受力部と、
    前記ケース側受力部内の所定のケース側受力軸線を回転の中心として所定のリンク軸線が所定の角度範囲にて回転移動するように駆動されるリンク機構であって、同リンク軸線と前記ブロック側受力部内の所定のブロック側受力軸線との間の距離が一定に維持されるように同ブロック側受力部と同ケース側受力部とを連結するリンク機構と、を含み、
    前記リンク軸線が前記ケース側受力軸線回りに回転移動することにより前記クランクケースと前記シリンダブロックとの間の前記ボア中心軸方向における距離を変更して圧縮比を変更するように構成された内燃機関の圧縮比変更装置において、
    前記角度範囲は、前記シリンダボアを形成するボア壁面と前記シリンダヘッドの下面と前記ピストンの頂面とにより形成される燃焼室にて混合ガスが燃焼することにより発生する圧力によって生じる力であって前記リンク機構が前記ケース側受力部に加える力のうちの前記外壁面に直交する方向における分力が前記クランクケースの内方へ向かう圧縮方向力となる角度を含まない範囲に設定された内燃機関の圧縮比変更装置。
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