JP2012184653A - 可変圧縮比機構を備える内燃機関 - Google Patents

可変圧縮比機構を備える内燃機関 Download PDF

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Abstract

【課題】シリンダブロックをクランクケースに対して相対移動させる可変圧縮比機構を備える内燃機関において、可変圧縮比機構が、偏心部57を有するカムシャフト54,55と、カムシャフトの偏心部により偏心孔を介して回動させられる円形カム56とを利用するものである場合に、可変圧縮比機構の寿命を延長する。
【解決手段】シリンダブロックをクランクケースへ接近させる際にはカムシャフトを第一方向に回動させると共にシリンダブロックをクランクケースから離間させる際にはカムシャフトを第一方向とは反対の第二方向に回動させる第一制御(A)と、シリンダブロックをクランクケースへ接近させる際にはカムシャフトを第二方向に回動させる共にシリンダブロックをクランクケースから離間させる際にはカムシャフトを第一方向に回動させる第二制御(B)とが切り換えて実施される。
【選択図】図10

Description

本発明は、可変圧縮比機構を備える内燃機関に関する。
シリンダブロックをクランクケースに対して相対移動させる可変圧縮比機構を備える内燃機関が公知である。このような可変圧縮比機構として、シリンダブロックとクランクケースとをカムシャフトを介して連結するものが提案されている(特許文献1参照)。
例えば、クランクケース側サポートの挿入孔にはカムシャフトを嵌合させ、シリンダブロック側サポートの挿入孔には円形カムを嵌合させ、カムシャフトを回動させることにより、円形カムの偏心孔に嵌合させたカムシャフトの偏心部がカムシャフトの中心回りに揺動し、その際の偏心部の左右方向の変位は円形カムが回動して吸収し、偏心部の上下方向の変位によってシリンダブロックをクランクケースに対して垂直に上下動させることができる。ここで、上下方向は気筒軸線方向であり、前後方向は気筒配列方向であり、左右方向は上下方向と前後方向とに直角な方向である。
このような可変圧縮比機構において、シリンダブロックをクランクケースに対して相対移動させる際には、前述したように、カムシャフトの中心回りに揺動する偏心部が、円形カムの偏心孔を介して円形カムを回動させることとなり、このときに、カムシャフトの中心線と偏心部の中心線とを通る平面により二分割された偏心部の外表面の一方側は、機械圧縮比を高くするためにシリンダブロックをクランクケースに接近させる際に円形カムの偏心孔へ当接し、偏心部の外表面の他方側は、機械圧縮比を低くするためにシリンダブロックをクランクケースから離間させる際に円形カムの偏心孔へ当接する。
特開2008−232050 特開2005−061267 特開2007−298004
シリンダブロック及びシリンダヘッド等の重力はシリンダブロックをクランクケースに接近させる方向の力として作用し、各気筒の燃焼圧はシリンダブロックをクランクケースから離間させる方向の力として作用するが、これら二つの力は等しくないために、機械圧縮比を高くするときの偏心部の外表面の一方側と円形カムの偏心孔との間の面圧と、機械圧縮比を低くするときの偏心部の外表面の他方側と円形カムの偏心孔との間の面圧とが異なり、カムシャフトの偏心部の外表面及び円形カムの偏心孔は均一に磨耗せず、可変圧縮比機構の寿命は比較的短いものとなる。
従って、本発明の目的は、シリンダブロックをクランクケースに対して相対移動させる可変圧縮比機構を備える内燃機関において、可変圧縮比機構が、偏心部を有するカムシャフトと、カムシャフトの偏心部により偏心孔を介して回動させられる円形カムとを利用するものである場合に、可変圧縮比機構の寿命を延長することである。
本発明による請求項1に記載の可変圧縮比機構を備える内燃機関は、シリンダブロックをクランクケースに対して相対移動させる可変圧縮比機構を備える内燃機関であって、前記可変圧縮比機構が偏心部を有するカムシャフトと前記カムシャフトの中心回りに揺動する前記偏心部により偏心孔を介して回動させられる円形カムとを利用するものであり、前記シリンダブロックが前記クランクケースから最も離間するとき及び前記シリンダブロックが前記クランクケースに最も接近するときの少なくとも一方において、前記シリンダブロックを前記クランクケースへ接近させる際には前記カムシャフトを第一方向に回動させると共に前記シリンダブロックを前記クランクケースから離間させる際には前記カムシャフトを前記第一方向とは反対の第二方向に回動させる第一制御と、前記シリンダブロックを前記クランクケースへ接近させる際には前記カムシャフトを前記第二方向に回動させる共に前記シリンダブロックを前記クランクケースから離間させる際には前記カムシャフトを前記第一方向に回動させる第二制御とが選択可能であり、前記第一制御と前記第二制御とが切り換えて実施されることを特徴とする。
本発明による請求項2に記載の可変圧縮比機構を備える内燃機関は、請求項1に記載の可変圧縮比機構を備える内燃機関において、機関始動毎に前記第一制御と前記第二制御とが切り換えられることを特徴とする。
本発明による請求項3に記載の可変圧縮比機構を備える内燃機関は、請求項1に記載の可変圧縮比機構を備える内燃機関において、前記可変圧縮比機構の前記円形カムは、前記シリンダブロックから突出するサポートのカム挿入孔に挿入されており、前記第一制御における前記偏心部の軌道は、前記第二制御における前記偏心部の軌道より前記シリンダブロックから遠くに位置しており、前記シリンダブロックが前記クランクケースから最も離間するときにおいて機械圧縮比を高くする際に、燃焼圧が設定圧力以上であるときには前記第二制御を実施し、燃焼圧が前記設定圧力未満であるときには前記第一制御を実施することを特徴とする。
本発明による請求項1に記載の可変圧縮比機構を備える内燃機関によれば、シリンダブロックをクランクケースに対して相対移動させる可変圧縮比機構を備える内燃機関であって、可変圧縮比機構が偏心部を有するカムシャフトとカムシャフトの中心回りに揺動する偏心部により偏心孔を介して回動させられる円形カムとを利用するものであり、シリンダブロックがクランクケースから最も離間するとき及びシリンダブロックがクランクケースに最も接近するときの少なくとも一方において、シリンダブロックをクランクケースへ接近させる際にはカムシャフトを第一方向に回動させると共にシリンダブロックをクランクケースから離間させる際にはカムシャフトを第一方向とは反対の第二方向に回動させる第一制御と、シリンダブロックをクランクケースへ接近させる際にはカムシャフトを第二方向に回動させる共にシリンダブロックをクランクケースから離間させる際にはカムシャフトを第一方向に回動させる第二制御とが選択可能であり、第一制御と第二制御とが切り換えて実施されるようになっている。それにより、機械圧縮比を高くするときのカムシャフトの中心線と偏心部の中心線とを通る平面により二分割された偏心部の外表面の一方側と円形カムの偏心孔との間の面圧と、機械圧縮比を低くするときの偏心部の外表面の他方側と円形カムの偏心孔との間の面圧とが異なっていても、互いに反対方向にカムシャフトを回動させる第一制御と第二制御とを切り換えて実施することにより、カムシャフトの偏心部の外表面及び円形カムの偏心孔の磨耗を均一に近づけることができ、可変圧縮比機構の寿命は延長される。
本発明による請求項2に記載の可変圧縮比機構を備える内燃機関によれば、請求項1に記載の可変圧縮比機構を備える内燃機関において、機関始動毎に第一制御と第二制御とが切り換えられるようになっており、それにより、第一制御と第二制御とがほぼ均等に実施され、カムシャフトの偏心部の外表面及び円形カムの偏心孔の磨耗をほぼ均一にすることができ、可変圧縮比機構の寿命は良好に延長される。
本発明による請求項3に記載の可変圧縮比機構を備える内燃機関によれば、請求項1に記載の可変圧縮比機構を備える内燃機関において、可変圧縮比機構の円形カムは、シリンダブロックから突出するサポートのカム挿入孔に挿入されており、第一制御における偏心部の軌道は、第二制御における偏心部の軌道よりシリンダブロックから遠くに位置しており、シリンダブロックがクランクケースから最も離間するときにおいて機械圧縮比を高くする際に、燃焼圧が設定圧力以上であるときには第二制御を実施し、燃焼圧が設定圧力未満であるときには第一制御を実施するようになっている。燃焼圧が設定圧力以上であるときには、機械圧縮比を高くするためにシリンダブロックをクランクケースへ接近させるためのカムシャフトの回動に比較的大きなトルクが必要となり、第一制御では、このようなカムシャフトの大きなトルクによって、円形カムを押し下げる力に加えて、円形カムをシリンダブロックの外側方向へ押圧する大きな力が発生し、サポートのカム挿入孔を変形させることがある。一方、第二制御では、カムシャフトの大きなトルクによって、円形カムをシリンダブロックの内側方向へ押圧する大きな力が発生するが、このような力ではサポートのカム挿入孔は変形し難い。それにより、燃焼圧が設定圧力未満であるときには第一制御を実施し、燃焼圧が設定圧力以上であるときには第二制御を実施することにより、カムシャフトの偏心部の外表面及び円形カムの偏心孔の磨耗を均一に近づけることができ、可変圧縮比機構の寿命を延長することに加えて、円形カムのサポートのカム挿入孔の変形を抑制することができる。
内燃機関の全体図である。 可変圧縮比機構の分解斜視図である。 図解的に表した内燃機関の側面断面図である。 可変バルブタイミング機構を示す図である。 吸気弁および排気弁のリフト量を示す図である。 機械圧縮比、実圧縮比および膨張比を説明するための図である。 理論熱効率と膨張比との関係を示す図である。 通常のサイクルおよび超高膨張比サイクルを説明するための図である。 機関負荷に応じた機械圧縮比等の変化を示す図である。 可変圧縮比機構のカムシャフトの同心部分の中心aと偏心部の中心bと円形カムの中心cとの関係を示す図であり、(A)はカムシャフトの第一制御を示し、(B)はカムシャフトの第二制御を示している。
図1は本発明による可変圧縮比機構を備える内燃機関の側面断面図を示す。図1を参照すると、1はクランクケース、2はシリンダブロック、3はシリンダヘッド、4はピストン、5は燃焼室、6は燃焼室5の頂面中央部に配置された点火栓、7は吸気弁、8は吸気ポート、9は排気弁、10は排気ポートを夫々示す。吸気ポート8は吸気枝管11を介してサージタンク12に連結され、各吸気枝管11には夫々対応する吸気ポート8内に向けて燃料を噴射するための燃料噴射弁13が配置される。なお、燃料噴射弁13は各吸気枝管11に取付ける代りに各燃焼室5内に配置してもよい。
サージタンク12は吸気ダクト14を介してエアクリーナ15に連結され、吸気ダクト14内にはアクチュエータ16によって駆動されるスロットル弁17と例えば熱線を用いた吸入空気量検出器18とが配置される。一方、排気ポート10は排気マニホルド19を介して例えば三元触媒を内蔵した触媒装置20に連結され、排気マニホルド19内には空燃比センサ21が配置される。
一方、図1に示される実施例ではクランクケース1とシリンダブロック2との連結部にクランクケース1とシリンダブロック2のシリンダ軸線方向の相対位置を変化させることによりピストン4が圧縮上死点に位置するときの燃焼室5の容積を変更可能な可変圧縮比機構Aが設けられており、更に実際の圧縮作用の開始時期を変更可能な実圧縮作用開始時期変更機構Bが設けられている。なお、図1に示される実施例ではこの実圧縮作用開始時期変更機構Bは吸気弁7の閉弁時期を制御可能な可変バルブタイミング機構からなる。
図1に示されるようにクランクケース1とシリンダブロック2にはクランクケース1とシリンダブロック2間の相対位置関係を検出するための相対位置センサ22が取付けられており、この相対位置センサ22からはクランクケース1とシリンダブロック2との間隔の変化を示す出力信号が出力される。また、可変バルブタイミング機構Bには吸気弁7の閉弁時期を示す出力信号を発生するバルブタイミングセンサ23が取付けられており、スロットル弁駆動用のアクチュエータ16にはスロットル弁開度を示す出力信号を発生するスロットル開度センサ24が取付けられている。
電子制御ユニット30はデジタルコンピュータからなり、双方向性バス31によって互いに接続されたROM(リードオンリメモリ)32、RAM(ランダムアクセスメモリ)33、CPU(マイクロプロセッサ)34、入力ポート35および出力ポート36を具備する。吸入空気量検出器18、空燃比センサ21、相対位置センサ22、バルブタイミングセンサ23およびスロットル開度センサ24の出力信号は夫々対応するAD変換器37を介して入力ポート35に入力される。また、アクセルペダル40にはアクセルペダル40の踏込み量Lに比例した出力電圧を発生する負荷センサ41が接続され、負荷センサ41の出力電圧は対応するAD変換器37を介して入力ポート35に入力される。更に入力ポート35にはクランクシャフトが例えば30°回転する毎に出力パルスを発生するクランク角センサ42が接続される。一方、出力ポート36は対応する駆動回路38を介して点火栓6、燃料噴射弁13、スロットル弁駆動用アクチュエータ16、可変圧縮比機構Aおよび可変バルブタイミング機構Bに接続される。
図2は図1に示す可変圧縮比機構Aの分解斜視図を示しており、図3は図解的に表した内燃機関の側面断面図を示している。図2を参照すると、シリンダブロック2の両側壁の下方には互いに間隔を隔てた複数個の突出部50、すなわち、シリンダブロック側サポートが形成されており、各突出部50内には夫々断面円形のカム挿入孔51が形成されている。一方、クランクケース1の上壁面上には互いに間隔を隔てて夫々対応する突出部50の間に嵌合せしめられる複数個の突出部52、すなわち、クランクケース側サポートが形成されており、これらの各突出部52内にも夫々断面円形のカム挿入孔53が形成されている。
図2に示されるように一対のカムシャフト54,55が設けられており、各カムシャフト54,55上には一つおきに各カム挿入孔53内に回転可能に挿入される同心部分58が位置している。各同心部分58は各カムシャフト54,55の回転軸線と共軸をなす。一方、各同心部分58の両側には図3に示すように各カムシャフト54,55の回転軸線に対して偏心配置された偏心部57が位置しており、この偏心部57上に別の円形カム56が偏心して回転可能に取付けられている。すなわち、偏心部57は円形カム56に形成された偏心孔に嵌合し、円形カム56は偏心孔を中心として偏心部57回りに回動するようになっている。図2に示されるようにこれら円形カム56は各同心部分58の両側に配置されており、これら円形カム56は対応する各カム挿入孔51内に回転可能に挿入されている。また、図2に示されるようにカムシャフト55にはカムシャフト55の回転角度を表す出力信号を発生するカム回転角度センサ25が取付けられている。
図3(A)に示すような状態から各カムシャフト54,55の同心部分58を図3(A)において矢印で示される如く互いに反対方向に回転させると偏心部57が互いに離れる方向に移動するために円形カム56がカム挿入孔51内において同心部分58とは反対方向に回転し、図3(B)に示されるように偏心部57の位置が高い位置から中間高さ位置となる。次いで更に同心部分58を矢印で示される方向に回転させると図3(C)に示されるように偏心部57は最も低い位置となる。
なお、図3(A)、図3(B)、図3(C)には夫々の状態における同心部分58の中心線(すなわち、カムシャフトの中心線)aと偏心部57の中心線bと円形カム56の中心線cとの位置関係が示されている。
図3(A)から図3(C)とを比較するとわかるようにクランクケース1とシリンダブロック2の相対位置は同心部分58の中心線aと円形カム56の中心線cとの距離によって定まり、同心部分58の中心線aと円形カム56の中心線cとの距離が大きくなるほどシリンダブロック2はクランクケース1から離れる。即ち、可変圧縮比機構Aは回転するカムを用いたクランク機構によりクランクケース1とシリンダブロック2間の相対位置を変化させていることになる。シリンダブロック2がクランクケース1から離れるとピストン4が圧縮上死点に位置するときの燃焼室5の容積は増大し、従って各カムシャフト54,55を回転させることによってピストン4が圧縮上死点に位置するときの燃焼室5の容積を変更することができる。
図2に示されるように各カムシャフト54,55を夫々反対方向に回転させるために駆動モータ59の回転軸には夫々螺旋方向が逆向きの一対のウォーム61,62が取付けられており、これらウォーム61,62と噛合するウォームホイール63,64が夫々各カムシャフト54,55の端部に固定されている。この実施例では駆動モータ59を駆動することによってピストン4が圧縮上死点に位置するときの燃焼室5の容積を広い範囲に亘って変更することができる。
一方、図4は図1において吸気弁7を駆動するためのカムシャフト70の端部に取付けられた可変バルブタイミング機構Bを示している。図4を参照すると、この可変バルブタイミング機構Bは機関のクランク軸によりタイミングベルトを介して矢印方向に回転せしめられるタイミングプーリ71と、タイミングプーリ71と一緒に回転する円筒状ハウジング72と、吸気弁駆動用カムシャフト70と一緒に回転しかつ円筒状ハウジング72に対して相対回転可能な回転軸73と、円筒状ハウジング72の内周面から回転軸73の外周面まで延びる複数個の仕切壁74と、各仕切壁74の間で回転軸73の外周面から円筒状ハウジング72の内周面まで延びるベーン75とを具備しており、各ベーン75の両側には夫々進角用油圧室76と遅角用油圧室77とが形成されている。
各油圧室76,77への作動油の供給制御は作動油供給制御弁78によって行われる。この作動油供給制御弁78は各油圧室76,77に夫々連結された油圧ポート79,80と、油圧ポンプ81から吐出された作動油の供給ポート82と、一対のドレインポート83,84と、各ポート79,80,82,83,84間の連通遮断制御を行うスプール弁85とを具備している。
吸気弁駆動用カムシャフト70のカムの位相を進角すべきときは図4においてスプール弁85が右方に移動せしめられ、供給ポート82から供給された作動油が油圧ポート79を介して進角用油圧室76に供給されると共に遅角用油圧室77内の作動油がドレインポート84から排出される。このとき回転軸73は円筒状ハウジング72に対して矢印方向に相対回転せしめられる。
これに対し、吸気弁駆動用カムシャフト70のカムの位相を遅角すべきときは図4においてスプール弁85が左方に移動せしめられ、供給ポート82から供給された作動油が油圧ポート80を介して遅角用油圧室77に供給されると共に進角用油圧室76内の作動油がドレインポート83から排出される。このとき回転軸73は円筒状ハウジング72に対して矢印と反対方向に相対回転せしめられる。
回転軸73が円筒状ハウジング72に対して相対回転せしめられているときにスプール弁85が図4に示される中立位置に戻されると回転軸73の相対回転動作は停止せしめられ、回転軸73はそのときの相対回転位置に保持される。従って可変バルブタイミング機構Bによって吸気弁駆動用カムシャフト70のカムの位相を所望の量だけ進角させることができ、遅角させることができることになる。
図5において実線は可変バルブタイミング機構Bによって吸気弁駆動用カムシャフト70のカムの位相が最も進角されているときを示しており、破線は吸気弁駆動用カムシャフト70のカムの位相が最も遅角されているときを示している。従って吸気弁7の開弁期間は図5において実線で示す範囲と破線で示す範囲との間で任意に設定することができ、従って吸気弁7の閉弁時期も図5において矢印Cで示す範囲内の任意のクランク角に設定することができる。
図1および図4に示される可変バルブタイミング機構Bは一例を示すものであって、例えば吸気弁の開弁時期を一定に維持したまま吸気弁の閉弁時期のみを変えることのできる可変バルブタイミング機構等、種々の形式の可変バルブタイミング機構を用いることができる。
次に図6を参照しつつ本願において使用されている用語の意味について説明する。なお、図6の(A),(B),(C)には説明のために燃焼室容積が50mlでピストンの行程容積が500mlであるエンジンが示されており、これら図6の(A),(B),(C)において燃焼室容積とはピストンが圧縮上死点に位置するときの燃焼室の容積を表している。
図6(A)は機械圧縮比について説明している。機械圧縮比は圧縮行程時のピストンの行程容積と燃焼室容積のみから機械的に定まる値であってこの機械圧縮比は(燃焼室容積+行程容積)/燃焼室容積で表される。図6(A)に示される例ではこの機械圧縮比は(50ml+500ml)/50ml=11となる。
図6(B)は実圧縮比について説明している。この実圧縮比は実際に圧縮作用が開始されたときからピストンが上死点に達するまでの実際のピストン行程容積と燃焼室容積から定まる値であってこの実圧縮比は(燃焼室容積+実際の行程容積)/燃焼室容積で表される。即ち、図6(B)に示されるように圧縮行程においてピストンが上昇を開始しても吸気弁が開弁している間は圧縮作用は行われず、吸気弁が閉弁したときから実際の圧縮作用が開始される。従って実圧縮比は実際の行程容積を用いて上記の如く表される。図6(B)に示される例では実圧縮比は(50ml+450ml)/50ml=10となる。
図6(C)は膨張比について説明している。膨張比は膨張行程時のピストンの行程容積と燃焼室容積から定まる値であってこの膨張比は(燃焼室容積+行程容積)/燃焼室容積で表される。図6(C)に示される例ではこの膨張比は(50ml+500ml)/50ml=11となる。
次に図7および図8を参照しつつ本発明において用いられている超膨張比サイクルについて説明する。なお、図7は理論熱効率と膨張比との関係を示しており、図8は本発明において負荷に応じ使い分けられている通常のサイクルと超高膨張比サイクルとの比較を示している。
図8(A)は吸気弁が下死点近傍で閉弁し、ほぼ吸気下死点付近からピストンによる圧縮作用が開始される場合の通常のサイクルを示している。この図8(A)に示す例でも図6の(A),(B),(C)に示す例と同様に燃焼室容積が50mlとされ、ピストンの行程容積が500mlとされている。図8(A)からわかるように通常のサイクルでは機械圧縮比は(50ml+500ml)/50ml=11であり、実圧縮比もほぼ11であり、膨張比も(50ml+500ml)/50ml=11となる。即ち、通常の内燃機関では機械圧縮比と実圧縮比と膨張比とがほぼ等しくなる。
図7における実線は実圧縮比と膨張比とがほぼ等しい場合の、即ち通常のサイクルにおける理論熱効率の変化を示している。この場合には膨張比が大きくなるほど、即ち実圧縮比が高くなるほど理論熱効率が高くなることがわかる。従って通常のサイクルにおいて理論熱効率を高めるには実圧縮比を高くすればよいことになる。しかしながら機関高負荷運転時におけるノッキングの発生の制約により実圧縮比は最大でも12程度までしか高くすることができず、斯くして通常のサイクルにおいては理論熱効率を十分に高くすることはできない。
一方、このような状況下で機械圧縮比と実圧縮比とを厳密に区分しつつ理論熱効率を高めることが検討され、その結果理論熱効率は膨張比が支配し、理論熱効率に対して実圧縮比はほとんど影響を与えないことが見い出されたのである。即ち、実圧縮比を高くすると爆発力は高まるが圧縮するために大きなエネルギーが必要となり、斯くして実圧縮比を高めても理論熱効率はほとんど高くならない。
これに対し、膨張比を大きくすると膨張行程時にピストンに対し押下げ力が作用する期間が長くなり、斯くしてピストンがクランクシャフトに回転力を与えている期間が長くなる。従って膨張比は大きくすれば大きくするほど理論熱効率が高くなる。図7の破線ε=10は実圧縮比を10に固定した状態で膨張比を高くしていった場合の理論熱効率を示している。このように実圧縮比εを低い値に維持した状態で膨張比を高くしたときの理論熱効率の上昇量と、図7の実線で示す如く実圧縮比も膨張比と共に増大せしめられる場合の理論熱効率の上昇量とは大きな差がないことがわかる。
このように実圧縮比が低い値に維持されているとノッキングが発生することがなく、従って実圧縮比を低い値に維持した状態で膨張比を高くするとノッキングの発生を阻止しつつ理論熱効率を大巾に高めることができる。図8(B)は可変圧縮比機構Aおよび可変バルブタイミング機構Bを用いて、実圧縮比を低い値に維持しつつ膨張比を高めるようにした場合の一例を示している。
図8(B)を参照すると、この例では可変圧縮比機構Aにより燃焼室容積が50mlから20mlまで減少せしめられる。一方、可変バルブタイミング機構Bによって実際のピストン行程容積が500mlから200mlになるまで吸気弁の閉弁時期が遅らされる。その結果、この例では実圧縮比は(20ml+200ml)/20ml=11となり、膨張比は(20ml+500ml)/20ml=26となる。図8(A)に示される通常のサイクルでは前述したように実圧縮比がほぼ11で膨張比が11であり、この場合に比べると図8(B)に示される場合には膨張比のみが26まで高められていることがわかる。これが超高膨張比サイクルと称される所以である。
一般的に言って内燃機関では機関負荷が低いほど熱効率が悪くなり、従って機関運転時における熱効率を向上させるためには、即ち燃費を向上させるには機関負荷が低いときの熱効率を向上させることが必要となる。一方、図8(B)に示される超高膨張比サイクルでは圧縮行程時の実際のピストン行程容積が小さくされるために燃焼室5内に吸入しうる吸入空気量は少なくなり、従ってこの超高膨張比サイクルは機関負荷が比較的低いときにしか採用できないことになる。従って本発明では機関負荷が比較的低いときには図8(B)に示す超高膨張比サイクルとし、機関高負荷運転時には図8(A)に示す通常のサイクルとするようにしている。
次に図9を参照しつつ運転制御全般について概略的に説明する。図9には或る機関回転数における機関負荷に応じた吸入空気量、吸気弁閉弁時期、機械圧縮比、膨張比、実圧縮比およびスロットル弁17の開度の各変化が示されている。なお、図9は、触媒装置20内の三元触媒によって排気ガス中の未燃HC,COおよびNOXを同時に低減しうるように燃焼室5内における平均空燃比が空燃比センサ21の出力信号に基いて理論空燃比にフィードバック制御されている場合を示している。
さて、前述したように機関高負荷運転時には図8(A)に示される通常のサイクルが実行される。従って図9に示されるようにこのときには機械圧縮比は低くされるために膨張比は低く、図9において実線で示されるように吸気弁7の閉弁時期は図5において実線で示される如く早められている。また、このときには吸入空気量は多く、このときスロットル弁17の開度は全開に保持されているのでポンピング損失は零となっている。
一方、図9において実線で示されるように機関負荷が低くなるとそれに伴って吸入空気量を減少すべく吸気弁7の閉弁時期が遅くされる。またこのときには実圧縮比がほぼ一定に保持されるように図9に示される如く機関負荷が低くなるにつれて機械圧縮比が増大され、従って機関負荷が低くなるにつれて膨張比も増大される。なお、このときにもスロットル弁17は全開状態に保持されており、従って燃焼室5内に供給される吸入空気量はスロットル弁17によらずに吸気弁7の閉弁時期を変えることによって制御されている。
このように機関高負荷運転状態から機関負荷が低くなるときには実圧縮比がほぼ一定のもとで吸入空気量が減少するにつれて機械圧縮比が増大せしめられる。即ち、吸入空気量の減少に比例してピストン4が圧縮上死点に達したときの燃焼室5の容積が減少せしめられる。従ってピストン4が圧縮上死点に達したときの燃焼室5の容積は吸入空気量に比例して変化していることになる。なお、このとき図9に示される例では燃焼室5内の空燃比は理論空燃比となっているのでピストン4が圧縮上死点に達したときの燃焼室5の容積は燃料量に比例して変化していることになる。
機関負荷が更に低くなると機械圧縮比は更に増大せしめられ、機関負荷がやや低負荷寄りの中負荷L1まで低下すると機械圧縮比は燃焼室5の構造上限界となる限界機械圧縮比(上限機械圧縮比)に達する。機械圧縮比が限界機械圧縮比に達すると、機械圧縮比が限界機械圧縮比に達したときの機関負荷L1よりも負荷の低い領域では機械圧縮比が限界機械圧縮比に保持される。従って低負荷側の機関中負荷運転時および機関低負荷運転時には即ち、機関低負荷運転側では機械圧縮比は最大となり、膨張比も最大となる。別の言い方をすると機関低負荷運転側では最大の膨張比が得られるように機械圧縮比が最大にされる。
一方、図9に示される実施例では機関負荷がL1まで低下すると吸気弁7の閉弁時期が燃焼室5内に供給される吸入空気量を制御しうる限界閉弁時期となる。吸気弁7の閉弁時期が限界閉弁時期に達すると吸気弁7の閉弁時期が限界閉弁時期に達したときの機関負荷L1よりも負荷の低い領域では吸気弁7の閉弁時期が限界閉弁時期に保持される。
吸気弁7の閉弁時期が限界閉弁時期に保持されるともはや吸気弁7の閉弁時期の変化によっては吸入空気量を制御することができない。図9に示される実施例ではこのとき、即ち吸気弁7の閉弁時期が限界閉弁時期に達したときの機関負荷L1よりも負荷の低い領域ではスロットル弁17によって燃焼室5内に供給される吸入空気量が制御され、機関負荷が低くなるほどスロットル弁17の開度は小さくされる。
一方、図9において破線で示すように機関負荷が低くなるにつれて吸気弁7の閉弁時期を早めることによってもスロットル弁17によらずに吸入空気量を制御することができる。従って、図9において実線で示される場合と破線で示される場合とをいずれも包含しうるように表現すると、本発明による実施例では吸気弁7の閉弁時期は、機関負荷が低くなるにつれて、燃焼室内に供給される吸入空気量を制御しうる限界閉弁時期L1まで吸気下死点BDCから離れる方向に移動せしめられることになる。このように吸入空気量は吸気弁7の閉弁時期を図9において実線で示すように変化させても制御することができるし、破線に示すように変化させても制御することができる。
前述したように図8(B)に示す超高膨張比サイクルでは膨張比が26とされる。この膨張比は高いほど好ましいが図7からわかるように実用上使用可能な下限実圧縮比ε=5に対しても20以上であればかなり高い理論熱効率を得ることができる。従って本実施例では膨張比が20以上となるように可変圧縮比機構Aが形成されている。
ところで、可変圧縮比機構Aによって、機械圧縮比を変更する際に、図2及び3に示すように、駆動モータ59側から見て右側のカムシャフト54は、機械圧縮比を高くするためにシリンダブロック2をクランクケース1へ接近させる際には時計方向に回動させられ、機械圧縮比を低くするためにシリンダブロック2をクランクケース1から離間させる際には反時計方向に回動させられる。また、駆動モータ59側から見て左側のカムシャフト55は、機械圧縮比を高くするためにシリンダブロック2をクランクケース1へ接近させる際には反時計方向に回動させられ、機械圧縮比を低くするためにシリンダブロック2をクランクケース1から離間させる際には時計方向に回動させられる。
右側のカムシャフト54及び左側のカムシャフト55の回動方向がこのようしか定められていないと、各カムシャフト54,55の偏心部57において、図10(A)に示すように、常に、カムシャフトの中心線aと偏心部の中心線bとを通る平面Pにより二分割された偏心部57の外表面の一方側57aは、機械圧縮比を高くするためにシリンダブロック2をクランクケース1に接近させる際に円形カム56の偏心孔へ当接し、偏心部57の外表面の他方側57bは、機械圧縮比を低くするためにシリンダブロック2をクランクケース1から離間させる際に円形カム56の偏心孔へ当接することとなる。
シリンダブロック2及びシリンダヘッド3等の重力は、シリンダブロック2をクランクケース1に接近させる方向の力として作用し、各気筒の燃焼圧はシリンダブロック2をクランクケース1から離間させる方向の力として作用するが、これらの二つの力は等しくないために、機械圧縮比を高くするときの偏心部57の外表面の一方側57aと円形カム56の偏心孔との間の面圧と、機械圧縮比を低くするときの偏心部57の外表面の他方側57bと円形カム56の偏心孔との間の面圧とが異なり、カムシャフト54,55の偏心部57の外表面及び円形カムの偏心孔は均一に磨耗せずに、可変圧縮比機構Aの寿命は比較的短いものとなってしまう。
本実施例の内燃機関では、前回の機関運転中(機関始動から機関停止まで)に第一制御として二つのカムシャフト54,55を図10(A)で示す前述のように回動させていた場合には、今回の機関運転中において、図3(C)に示す機械圧縮比を最も高くするためにシリンダブロック2がクランクケース1に最も接近させられたときから、第二制御として、図10(B)に示すように各カムシャフト54,55を前述とは反対方向に回動させるように制御する。
すなわち、駆動モータ59側から見て右側のカムシャフト54は、機械圧縮比を高くするためにシリンダブロック2をクランクケース1へ接近させる際には反時計方向に回動させ、機械圧縮比を低くするためにシリンダブロック2をクランクケース1から離間させる際には時計方向に回動させる。また、駆動モータ59側から見て左側のカムシャフト55は、機械圧縮比を高くするためにシリンダブロック2をクランクケース1へ接近させる際には時計方向に回動させ、機械圧縮比を低くするためにシリンダブロック2をクランクケース1から離間させる際には反時計方向に回動させる。
それにより、第二制御においては、図10(B)に示すように、第一制御とは逆に、カムシャフトの中心線aと偏心部の中心線bとを通る平面Pにより二分割された偏心部57の外表面の一方側57aは、機械圧縮比を低くするためにシリンダブロック2をクランクケース1から離間させる際に円形カム56の偏心孔へ当接し、偏心部57の外表面の他方側57bは、機械圧縮比を高くするためにシリンダブロック2をクランクケース1に接近させる際に円形カム56の偏心孔へ当接することとなる。
こうして、互いに反対方向にカムシャフトを回動させる第一制御と第二制御とが、機関始動毎に切り換えて実施されれば、第一制御と第二制御とがほぼ均等に実施され、カムシャフトの偏心部の外表面及び円形カムの偏心孔の磨耗をほぼ均一にすることができ、可変圧縮比機構の寿命を良好に延長することができる。
本実施例では、第一制御と第二制御とが機関始動毎に切り換えられるようにしている。機関始動時には、低負荷であるために、図9に示すように、シリンダブロック2はクランクケース1に最も接近されて機械圧縮比は最も高くされている。このときには、図3(C)に示すように、カムシャフトの同心部分の中心線aと偏心部の中心線bと円形カム56の中心線cとが同一平面に位置しているために、機械圧縮比を低くするために、第一制御として、右側のカムシャフト54を反時計方向に回動し、左側のカムシャフト55を時計方向に回動することができ、また、第二制御として、右側のカムシャフト54を時計方向に回動し、左側のカムシャフト55を反時計方向に回動することもできる。
また、第一制御と第二制御との切り換えは、機関始動毎に限定されることはなく、任意としても良い。それにより、第一制御及び第二制御の一方だけしか実施されない場合に比較して、カムシャフトの偏心部の外表面及び円形カムの偏心孔の一部だけが大きく磨耗することを抑制することができ、可変圧縮比機構の寿命を延長することができる。
本実施例では、シリンダブロック2はクランクケース1から最も離間されて機械圧縮比が最も低くされているときにも、図3(A)に示すように、カムシャフトの同心部分の中心線aと偏心部の中心線bと円形カム56の中心線cとが同一平面に位置しており、機械圧縮比を高くするために、第一制御として、右側のカムシャフト54を時計方向に回動し、左側のカムシャフト55を反時計方向に回動することができ、また、第二制御として、右側のカムシャフト54を反時計方向に回動し、左側のカムシャフト55を時計方向に回動することもできる。それにより、第一制御と第二制御とに切り換えは、機械圧縮比が最も高くされているとき又は機械圧縮比が最も低くされているときに実施することとなる。
例えば、第一制御と第二制御との切り換えは、機械圧縮比が最も高くされる毎としても良い。すなわち、最も高くされた機械圧縮比が負荷変化により低くされる際に、第一制御が実施されたときには、次いで、第一制御により機械圧縮比が高くされ、機関圧縮比が最も高くされた直後には、第二制御により機械圧縮比を低くして、次いで、第二制御により機械圧縮比を高くする。第二制御により機械圧縮比が最も高くされた直後には、第一制御により機械圧縮比を低くする。
また、第一制御と第二制御との切り換えは、機械圧縮比が最も低くされる毎としても良い。すなわち、最も低くされた機械圧縮比が負荷変化により高くされる際に、第一制御が実施されたときには、次いで、第一制御により機械圧縮比が低くされ、機関圧縮比が最も低くされた直後には、第二制御により機械圧縮比を高くして、次いで、第二制御により機械圧縮比を低くする。第二制御により機械圧縮比が最も低くされた直後には、第一制御により機械圧縮比を高くする。
また、実圧縮比が低くなり過ぎると、失火することがあるために、機械圧縮比が低くなり過ぎないように、シリンダブロック2がクランクケース1から離間し過ぎないようにストッパが設けられる場合において、機械圧縮比が最も低くされるときに、カムシャフトの同心部分の中心線aと偏心部の中心線bと円形カム56の中心線cとが同一平面に位置しないことがある。すなわち、ストッパによって図3(A)までは機械圧縮比を低くせず、図3(A)より僅かに高い機械圧縮比を機械圧縮比の最低値とする場合においては、機械圧縮比が最低値とされたときに、第一制御と第二制御とを切り換えることはできず、機械圧縮比を最低値とした第一制御又は第二制御をそのまま実施して機械圧縮比を高めることとなる。
ところで、本実施例において、可変圧縮比機構Aの円形カム56はシリンダブロック2から外側へ突出するシリンダブロック側サポート50のカム挿入孔51に挿入されており、図10に示すように、第一制御におけるカムシャフト54,55の偏心部57の軌道は、第二制御における偏心部57の軌道よりシリンダブロック2から遠くに位置している。
このような場合において、シリンダブロック2がクランクケース1から最も離間するときにおいて機械圧縮比を高くする際に、燃焼圧が設定圧力以上であるときには第二制御を実施し、燃焼圧が設定圧力未満であるときには第一制御を実施するように、第一制御と第二制御とを切り換えて実施するようにしても良い。ここで、現在の燃焼圧は、少なくとも一つの気筒に配置された燃焼圧センサにより測定しても良いし、現在の機関負荷及び機関回転数により定まる機関運転状態に基づき推定しても良い。
現在の燃焼圧が設定圧力以上であるときには、機械圧縮比を高くするためにシリンダブロック2をクランクケース1へ接近させるためのカムシャフト54,55の回動に比較的大きなトルクが必要となり、第一制御では、このようなカムシャフト54,55の大きなトルクによって、図10(A)に示すように、円形カム56を押し下げる力に加えて、円形カムをシリンダブロック2の外側方向へ押圧する大きな力F’が発生し、シリンダブロック側サポート50のカム挿入孔51を変形させることがある。一方、第二制御では、カムシャフト54,55の大きなトルクによって、図10(B)に示すように、円形カム56をシリンダブロック2の内側方向へ押圧する大きな力F”が発生するが、このような力F”ではシリンダブロック2自身は変形せず、シリンダブロック側サポート50のカム挿入孔51が変形することはない。それにより、燃焼圧が設定圧力未満であるときには第一制御を実施し、燃焼圧が設定圧力以上であるときには第二制御を実施することにより、カムシャフトの偏心部の外表面及び円形カムの偏心孔の磨耗を均一に近づけることができ、可変圧縮比機構の寿命を延長することに加えて、円形カムのサポートのカム挿入孔の変形を抑制することができる。
1 クランクケース
2 シリンダブロック
54,55 カムシャフト
56 円形カム
57 偏心部
58 同心部分
A 可変圧縮比機構

Claims (3)

  1. シリンダブロックをクランクケースに対して相対移動させる可変圧縮比機構を備える内燃機関であって、前記可変圧縮比機構が偏心部を有するカムシャフトと前記カムシャフトの中心回りに揺動する前記偏心部により偏心孔を介して回動させられる円形カムとを利用するものであり、前記シリンダブロックが前記クランクケースから最も離間するとき及び前記シリンダブロックが前記クランクケースに最も接近するときの少なくとも一方において、前記シリンダブロックを前記クランクケースへ接近させる際には前記カムシャフトを第一方向に回動させると共に前記シリンダブロックを前記クランクケースから離間させる際には前記カムシャフトを前記第一方向とは反対の第二方向に回動させる第一制御と、前記シリンダブロックを前記クランクケースへ接近させる際には前記カムシャフトを前記第二方向に回動させる共に前記シリンダブロックを前記クランクケースから離間させる際には前記カムシャフトを前記第一方向に回動させる第二制御とが選択可能であり、前記第一制御と前記第二制御とが切り換えて実施されることを特徴とする可変圧縮比機構を備える内燃機関。
  2. 機関始動毎に前記第一制御と前記第二制御とが切り換えられることを特徴とする請求項1に記載の可変圧縮比機構を備える内燃機関。
  3. 前記可変圧縮比機構の前記円形カムは、前記シリンダブロックから突出するサポートのカム挿入孔に挿入されており、前記第一制御における前記偏心部の軌道は、前記第二制御における前記偏心部の軌道より前記シリンダブロックから遠くに位置しており、前記シリンダブロックが前記クランクケースから最も離間するときにおいて機械圧縮比を高くする際に、燃焼圧が設定圧力以上であるときには前記第二制御を実施し、燃焼圧が前記設定圧力未満であるときには前記第一制御を実施することを特徴とする請求項1に記載の可変圧縮比機構を備える内燃機関。
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