JP4795799B2 - 制御棒駆動装置の健全性評価システム及び健全性評価方法 - Google Patents
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Description
原子炉の制御棒が保持された駆動軸を、複数のコイルを用いて、上下に駆動させる制御棒駆動装置の健全性評価を行う制御棒駆動装置の健全性評価システムにおいて、
該制御棒駆動装置内の振動を検出することにより前記制御棒の動作完了を示す動作音を計測する加速度計と、
予め、前記制御棒の動作の遅れ要因に基づいて、前記複数のコイルで計測される電流値及び前記加速度計で計測される動作音の遅れを模擬し、時系列模擬データとして導くと共に、遅れ要因毎に、前記時系列模擬データを格納しておくデータベース装置と、
前記複数のコイルに流れる電流値及び前記加速度計で計測される動作音の計測データと前記データベース装置の前記時系列模擬データに対して所定の処理を行うコンピュータとを備え、
前記コンピュータは、
前記複数のコイルに流れる電流値及び前記加速度計で計測される動作音の計測データを取得する計測データ取得部と、
取得した前記電流値及び前記動作音のデータを時系列計測データとして記憶する計測データ記憶部と、
前記データベース装置からの前記時系列模擬データを読み込む模擬データ読込部と、
読み込んだ前記時系列模擬データの中から、前記時系列計測データの形状に最も適合する時系列模擬データを抽出する模擬データ抽出部と、
前記模擬データ抽出部にて抽出された時系列模擬データに基づき、前記制御棒の動作の遅れ要因を推定し、健全性を評価する結果表示部とを有することを特徴とする。
上記課題を解決する第2の発明に係る制御棒駆動装置の健全性評価システムは、
上記第1の発明に記載の制御棒駆動装置の健全性評価システムにおいて、
前記コンピュータは、
読み込んだ前記時系列模擬データ全てに対して、前記時系列計測データとの時間毎の差分を取り、前記差分の絶対値の積分値を求める差分積分部を更に有し、
前記模擬データ抽出部では、前記差分積分部にて求めた積分値が最小となる時系列模擬データを抽出することを特徴とする。
上記第2の発明に記載の制御棒駆動装置の健全性評価システムにおいて、
前記コンピュータは、
前記計測データ記憶部に記憶された前記時系列計測データから、電流値の変化及び動作音がある特徴的な時間領域を抽出する計測データ抽出部を更に有し、
前記差分積分部では、前記計測データ抽出部で抽出された時間領域において、読み込んだ前記時系列模擬データ全てに対して、前記時系列計測データとの時間毎の差分を取り、前記差分の絶対値の積分値を求めることを特徴とする。
上記第1〜第3の発明のいずれかに記載の制御棒駆動装置の健全性評価システムにおいて、
前記コンピュータは、
前記結果表示部にて推定された前記制御棒の動作の遅れ要因に基づき、該遅れ要因の対応手順を表示する対応手順表示部を更に有することを特徴とする。
上記第1〜第4の発明のいずれかに記載の制御棒駆動装置の健全性評価システムにおいて、
前記制御棒駆動装置の前記複数のコイルの電流値及び前記加速度計の信号値を計測すると共に前記電流値及び前記加速度計の信号値をデジタル値の計測データに変換し、ネットワークを介して前記コンピュータに送信する計測装置を更に備えたことを特徴とする。
原子炉の制御棒が保持された駆動軸を、複数のコイルを用いて、上下に駆動させる制御棒駆動装置の健全性評価を行う制御棒駆動装置の健全性評価方法において、
予め、前記制御棒の動作の遅れ要因に基づいて、前記複数のコイルで計測される電流値及び前記制御棒駆動装置内の振動を検出する加速度計により計測される前記制御棒の動作完了を示す動作音の遅れを模擬し、時系列模擬データとして導くと共に、遅れ要因毎に、前記時系列模擬データを格納しておき、
前記複数のコイルに流れる電流値及び前記加速度計で計測される動作音の計測データを取得し、
取得した前記電流値及び前記動作音のデータを時系列計測データとして記憶し、
前記時系列模擬データの中から、前記時系列計測データの形状に最も適合する時系列模擬データを抽出し、
抽出された時系列模擬データに基づき、前記制御棒の動作の遅れ要因を推定し、健全性を評価することを特徴とする。
上記課題を解決する第7の発明に係る制御棒駆動装置の健全性評価方法は、
上記第6の発明に記載の制御棒駆動装置の健全性評価方法において、
前記時系列計測データの形状に最も適合する時系列模擬データを抽出する際、
前記時系列模擬データ全てに対して、前記時系列計測データとの時間毎の差分を取り、前記差分の絶対値の積分値を求め、
求めた積分値が最小となる時系列模擬データを抽出することを特徴とする。
上記第6の発明に記載の制御棒駆動装置の健全性評価方法において、
前記時系列計測データの形状に最も適合する時系列模擬データを抽出する際、
記憶された前記時系列計測データから、電流値の変化及び動作音がある特徴的な時間領域を抽出し、
抽出された時間領域において、前記時系列模擬データ全てに対して、前記時系列計測データとの時間毎の差分を取り、前記差分の絶対値の積分値を求め、
求めた積分値が最小となる時系列模擬データを抽出することを特徴とする。
上記第6〜第8の発明のいずれかに記載の制御棒駆動装置の健全性評価方法において、
推定された前記制御棒の動作の遅れ要因に基づき、該遅れ要因の対応手順を表示することを特徴とする。
上記第6〜第9の発明のいずれかに記載の制御棒駆動装置の健全性評価方法において、
前記制御棒駆動装置の前記複数のコイルの電流値及び前記加速度計の信号値を計測すると共に前記電流値及び前記加速度計の信号値をデジタル値の計測データに変換する計測装置を用い、前記計測データを、ネットワークを介して取得することを特徴とする。
CRDM8は、複数の周溝20aが長手方向に等ピッチに配設され、上下方向に延設された駆動軸20を、磁気ジャッキ方式のリフトコイル(LFコイル)、可動取手コイル(MGコイル)、固定取手コイル(SGコイル)により上下動させることで、駆動軸20の下端に連結された制御棒7の挿入位置を制御して、原子炉の出力を制御するものである。
なお、図4は、制御棒7の引き抜きステップにおいて、LFコイル11を流れる電流、MGコイル12を流れる電流、SGコイル13を流れる電流及び加速度計18で計測される動作音を、A/D変換し、時系列計測データとしてグラフ化したものである。
各時系列計測データの変化形状について説明をすると、LFコイル11の電流に関する時系列計測データにおける特徴(1)は、CRDM8の駆動棒に対する引き抜き動作(リフト)の完了時間を表す部分であり、特徴(2)は、CRDM8の駆動棒に対する引き抜き動作(リフト)の上げ磁極の下降動作時間を表す部分である。又、MGコイル12の電流に関する時系列計測データにおける特徴(3)は、CRDM8の駆動棒に対する保持動作の完了時間を表す部分であり、特徴(4)は、CRDM8の駆動棒に対する解放動作完了時間を表す部分である。又、SGコイル13の電流に関する時系列計測データにおける特徴(5)は、CRDM8の駆動棒に対する保持動作の完了時間を表す部分であり、特徴(6)は、CRDM8の駆動棒に対する解放動作完了時間を表す部分である。又、特徴(7)は、MG保持後SG開までの時間を表す部分であり、特徴(8)は、SG保持後MG開までの時間を表す部分であり、CRDM8の制御棒に対するつかみ替え時間の余裕を評価する部分である。通常、これらのつかみ替え時間に余裕がないと、制御棒のつかみ替えを失敗し、制御棒が落下してしまうおそれがある。
又、制御棒の各動作の完了時には、動作音に相当する振動波形が計測されており、加速度計18で計測される動作音の時系列計測データにおいては、例えば、図4のグラフの左から順番に、CRDM8の駆動棒に対する保持動作(特徴(3))の完了時、CRDM8の駆動棒に対する解放動作(特徴(6))の完了時、CRDM8の駆動棒に対する引き抜き動作(特徴(1))の完了時、CRDM8の駆動棒に対する保持動作(特徴(5))の完了時、CRDM8の駆動棒に対する解放動作(特徴(4))の完了時、CRDM8の駆動棒に対する引き抜き動作(特徴(2))の上げ磁極の下降動作の完了時等が計測される。
外部から直接監視できないCRDM8の動作は、LFコイル11、MGコイル12、SGコイル13のインダクタンスがCRDM8の動作状態に伴って変化すること、動作完了時に発生する動作音を振動波形として検出できることを利用して、各コイルの電流波形の形状及び動作完了を示す動作音の振動波形を測定することにより行っている。これらの測定は、定期点検時に行われ、CRDM8の駆動を制御する制御盤15において、各コイルの電流値及び動作音(振動波形)が測定されると共にA/D変換が行われた後、コンピュータ16へ送信され、そのデータがコンピュータ16に取り込まれる(計測データ取得部C1、ステップS1)。そして、一連の時系列データ、例えば、引き抜きステップの計測結果の時系列計測データがコンピュータ16へ記憶される(計測データ記憶部C2、ステップS2)。
保存された一連の時系列計測データから、コイル毎に、図4に示すような、CRDM8の動作の特徴(1)〜(8)の部分、つまり、電流値の特徴的な変化及び動作音がある時間領域の時系列計測データを抽出し(計測データ抽出部C3、ステップS3)、データベース装置17からシミュレーションデータを読み込み(模擬データ読込部C4、ステップS4)、抽出された時系列計測データの電流値及び動作音とシミュレーションデータの電流値及び動作音との時間毎の差分を取り、その差分の絶対値について時間積分を行う(差分積分部C5、ステップS5、グラフG1)。そして、全てのシミュレーションデータに対して、ステップS4〜S5の手順を繰り返した後(ステップS6)、差分の絶対値の積分値が最小となるシミュレーションデータを抽出する(模擬データ抽出部C6、ステップS7)。なお、計測データ抽出部C3(ステップS3)を省略し、差分積分部C5(ステップS5)において、全ての時間領域において、時系列計測データの電流値及び動作音とシミュレーションデータの電流値及び動作音との時間毎の差分を取り、その差分の絶対値について時間積分を行うようにしてもよい。
時系列計測データの形状と、ステップS7で抽出され、時系列計測データの形状に最も適合するシミュレーションデータを重ね合わせて表示すると共に、抽出されたシミュレーションデータの遅れ要因に基づき、その要因及び不調と推定される箇所をアニメーションで表示する(結果表示部C7、ステップS8)。正常な状態であれば、当然、遅れ要因のない場合のシミュレーションデータが抽出されて、その評価が表示される。不調な状態、例えば、ある箇所の駆動棒のMGコイルの電流波形に不調が検出された場合、図8に示すように、表示部52には、正常な状態における電流値の時系列データ(実線)と、不調と判断された時系列計測データ(点線)とが重ね合わせて表示され(表示部53)、不調と推定される箇所がアニメーションで表示される(表示部54)。又、不調発生と判断される時には、対応する操作マニュアル(対応手順)が表示され(対応手順表示部C8)、操作マニュアルのチェックシートに従って、作業者が不調動作に対応することが可能となっている。このことにより、個人差なく、客観的な診断ができ、作業の効率化、安全性の向上を図ることができる。
8 駆動軸
11 リフトコイル(LFコイル)
12 可動取手コイル(MGコイル)
13 固定取手コイル(SGコイル)
15 制御盤
16 コンピュータ
17 データベース装置
18 加速度計
Claims (10)
- 原子炉の制御棒が保持された駆動軸を、複数のコイルを用いて、上下に駆動させる制御棒駆動装置の健全性評価を行う制御棒駆動装置の健全性評価システムにおいて、
該制御棒駆動装置内の振動を検出することにより前記制御棒の動作完了を示す動作音を計測する加速度計と、
予め、前記制御棒の動作の遅れ要因に基づいて、前記複数のコイルで計測される電流値及び前記加速度計で計測される動作音の遅れを模擬し、時系列模擬データとして導くと共に、遅れ要因毎に、前記時系列模擬データを格納しておくデータベース装置と、
前記複数のコイルに流れる電流値及び前記加速度計で計測される動作音の計測データと前記データベース装置の前記時系列模擬データに対して所定の処理を行うコンピュータとを備え、
前記コンピュータは、
前記複数のコイルに流れる電流値及び前記加速度計で計測される動作音の計測データを取得する計測データ取得部と、
取得した前記電流値及び前記動作音のデータを時系列計測データとして記憶する計測データ記憶部と、
前記データベース装置からの前記時系列模擬データを読み込む模擬データ読込部と、
読み込んだ前記時系列模擬データの中から、前記時系列計測データの形状に最も適合する時系列模擬データを抽出する模擬データ抽出部と、
前記模擬データ抽出部にて抽出された時系列模擬データに基づき、前記制御棒の動作の遅れ要因を推定し、健全性を評価する結果表示部とを有することを特徴とする制御棒駆動装置の健全性評価システム。 - 請求項1に記載の制御棒駆動装置の健全性評価システムにおいて、
前記コンピュータは、
読み込んだ前記時系列模擬データ全てに対して、前記時系列計測データとの時間毎の差分を取り、前記差分の絶対値の積分値を求める差分積分部を更に有し、
前記模擬データ抽出部では、前記差分積分部にて求めた積分値が最小となる時系列模擬データを抽出することを特徴とする制御棒駆動装置の健全性評価システム。 - 請求項2に記載の制御棒駆動装置の健全性評価システムにおいて、
前記コンピュータは、
前記計測データ記憶部に記憶された前記時系列計測データから、電流値の変化及び動作音がある特徴的な時間領域を抽出する計測データ抽出部を更に有し、
前記差分積分部では、前記計測データ抽出部で抽出された時間領域において、読み込んだ前記時系列模擬データ全てに対して、前記時系列計測データとの時間毎の差分を取り、前記差分の絶対値の積分値を求めることを特徴とする制御棒駆動装置の健全性評価システム。 - 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の制御棒駆動装置の健全性評価システムにおいて、
前記コンピュータは、
前記結果表示部にて推定された前記制御棒の動作の遅れ要因に基づき、該遅れ要因の対応手順を表示する対応手順表示部を更に有することを特徴とする制御棒駆動装置の健全性評価システム。 - 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の制御棒駆動装置の健全性評価システムにおいて、
前記制御棒駆動装置の前記複数のコイルの電流値及び前記加速度計の信号値を計測すると共に前記電流値及び前記加速度計の信号値をデジタル値の計測データに変換し、ネットワークを介して前記コンピュータに送信する計測装置を更に備えたことを特徴とする制御棒駆動装置の健全性評価システム。 - 原子炉の制御棒が保持された駆動軸を、複数のコイルを用いて、上下に駆動させる制御棒駆動装置の健全性評価を行う制御棒駆動装置の健全性評価方法において、
予め、前記制御棒の動作の遅れ要因に基づいて、前記複数のコイルで計測される電流値及び前記制御棒駆動装置内の振動を検出する加速度計により計測される前記制御棒の動作完了を示す動作音の遅れを模擬し、時系列模擬データとして導くと共に、遅れ要因毎に、前記時系列模擬データを格納しておき、
前記複数のコイルに流れる電流値及び前記加速度計で計測される動作音の計測データを取得し、
取得した前記電流値及び前記動作音のデータを時系列計測データとして記憶し、
前記時系列模擬データの中から、前記時系列計測データの形状に最も適合する時系列模擬データを抽出し、
抽出された時系列模擬データに基づき、前記制御棒の動作の遅れ要因を推定し、健全性を評価することを特徴とする制御棒駆動装置の健全性評価方法。 - 請求項6に記載の制御棒駆動装置の健全性評価方法において、
前記時系列計測データの形状に最も適合する時系列模擬データを抽出する際、
前記時系列模擬データ全てに対して、前記時系列計測データとの時間毎の差分を取り、前記差分の絶対値の積分値を求め、
求めた積分値が最小となる時系列模擬データを抽出することを特徴とする制御棒駆動装置の健全性評価方法。 - 請求項6に記載の制御棒駆動装置の健全性評価方法において、
前記時系列計測データの形状に最も適合する時系列模擬データを抽出する際、
記憶された前記時系列計測データから、電流値の変化及び動作音がある特徴的な時間領域を抽出し、
抽出された時間領域において、前記時系列模擬データ全てに対して、前記時系列計測データとの時間毎の差分を取り、前記差分の絶対値の積分値を求め、
求めた積分値が最小となる時系列模擬データを抽出することを特徴とする制御棒駆動装置の健全性評価方法。 - 請求項6乃至請求項8のいずれかに記載の制御棒駆動装置の健全性評価方法において、
推定された前記制御棒の動作の遅れ要因に基づき、該遅れ要因の対応手順を表示することを特徴とする制御棒駆動装置の健全性評価方法。 - 請求項6乃至請求項9のいずれかに記載の制御棒駆動装置の健全性評価方法において、
前記制御棒駆動装置の前記複数のコイルの電流値及び前記加速度計の信号値を計測すると共に前記電流値及び前記加速度計の信号値をデジタル値の計測データに変換する計測装置を用い、前記計測データを、ネットワークを介して取得することを特徴とする制御棒駆動装置の健全性評価方法。
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