JP2511130B2 - 制御棒駆動装置の作動分析装置 - Google Patents

制御棒駆動装置の作動分析装置

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JP2511130B2
JP2511130B2 JP1023665A JP2366589A JP2511130B2 JP 2511130 B2 JP2511130 B2 JP 2511130B2 JP 1023665 A JP1023665 A JP 1023665A JP 2366589 A JP2366589 A JP 2366589A JP 2511130 B2 JP2511130 B2 JP 2511130B2
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慎一 村川
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、加圧水型原子炉(PWR)等に適用される電
磁駆動式の制御棒駆動装置(CRDM)の作動分析装置に関
するものである。
[従来の技術] 制御棒を駆動(炉心に対する制御棒の引き抜き及び/
又は挿入)するために、昇降用電磁コイルと、固定グリ
ッパ用電磁コイルと、可動グリッパ用電磁コイルとから
なる3コイル式の駆動装置が使用されていることは周知
であり、その代表的な構造の一例は、実公昭57−35912
号公報に「線状運動装置」として開示されている。
第5図は、同公報に開示された線状運動装置即ち制御
棒駆動装置の要部を示すものであり、同駆動装置は、制
御棒上部に連結された駆動軸1の溝を把持し、制御棒の
引き抜き/挿入を行うが、このような制御棒の作動は、
プランジャーと称する可動磁極2の上下の動きと、リン
ク機構によるラツチ3の把持・解放とにより実現され
る。ここで、上述したプランジャー2の上下運動は、そ
の外周に設けられた電磁コイル6、7、8に通電して磁
力を発生させることにより得られるが、この時に電磁コ
イル6、7、8に流れる電流には、プランジャー2の作
動に対応した逆起電流成分が含まれているので、コイル
電流の特徴とプランジャー2が動作する時の作動音とを
合わせて分析することにより、間接的にプランジャー2
の作動状況を知ることができる。
従来は、上述の原理を利用してプランジャーの作動状
況を分析するに際して、制御棒駆動装置の作動時間が1
ステップ当たり780msecと非常に高速であるところか
ら、コイル電流波形及び作動音波形を一度オシログラフ
に入れて、オシログラフに書かせ、後から人手によりコ
イル電流及び作動音の特徴分析を行っていた。
[発明が解決しようとする課題] しかし、制御棒駆動装置の1ストローク即ち1回の引
き抜き・挿入当たりのステップ数は、228×2=456ステ
ップであり、例えば一次冷却系が4ループの加圧水型原
子炉プラントにおいて、制御棒駆動装置の数が53体とす
ると、全ての制御棒駆動装置について全ステップの分析
を行うためには、456×53=24168回のデータ分析が必要
になる。人手による分析では1ステップ当たり20分程度
の時間が必要であるから、上述のデータ数の分析には膨
大な時間又は多量の人員が必要となるばかりでなく、分
析が人手に頼らざるを得ないために人為的な過ちを避け
られず、系統立った評価を行う場合には判断ミスの要因
にもなりかねない。
従って、本発明の目的は、制御棒駆動装置は原子力発
電プラントの制御に係わる重要な機器であることに鑑み
て、制御棒駆動装置のコイル電流及び作動音の特徴分析
を自動的に高速且つ正確に行つて、その動作異常時に迅
速且つ適確な対応を可能とする、制御棒駆動装置の作動
分析装置を提供することである。
[課題を解決するための手段] この目的を達成するために、本発明は、制御装置から
の制御信号により作動される昇降用電磁コイルと、固定
グリッパ用電磁コイルと、可動グリツパ用電磁コイルと
を備えた電磁駆動式制御棒駆動装置の作動分析装置にお
いて:前記制御棒駆動装置に接続されその作動音を検知
する検知器と;前記昇降用電磁コイル、前記固定グリッ
パ用電磁コイル及び前記可動グリッパ用電磁コイルの各
々からの電流信号と、前記検知器からの検知信号と、前
記制御装置からの前記制御信号とを受ける緩衝増幅器
と;前記電流信号、前記検知信号及び前記制御信号の各
々をデジタル化する前処理装置と;前記電流信号及び前
記検知信号の作動諸元を分析処理する演算処理装置と;
を有することを特徴とするものである。
[作用] 各電磁コイルの電流信号と、検知器からの検知信号
と、制御装置からの制御信号とは、緩衝増幅器に送られ
て絶縁された後、チャンネル変換器及びアナログ/ディ
ジタル変換器からなる前処理装置により前処理されディ
ジタル値に変換される。
コイル電流及び作動音の特徴を正確に分析するため
に、信号の取り込み周期は適当なサンプリング時間(例
えば0.5〜1.0msec)とすることができる。
上述のように変換された信号は演算処理装置に入力さ
れ、ここで、各コイル電流及び作動音の信号の作動諸元
もしくは作動情報即ち、各コイルのプランジャーについ
て、コイル電流がオンになってからプランジャーの閉動
作が完了するまでの時間、コイル電流がオフになってか
らプランジャーの開動作が完了するまでの時間、電流の
立ち上がりの傾き、及びプランジャーの動作により発生
する電流波形の歪みの大きさ等が1ステップ毎に所定の
分析処理プログラムに従って演算される。
演算結果は種々の形でCRT画面及び・又はプリンタ・
プロッタに表示するみとができる。
[実施例] 次に、本発明の好適な実施例について添付図面を参照
して詳細に説明する。
第1図は、本発明の作動分析装置を加圧水型原子力発
電プラントに適用して、オンラインで作動監視を行う場
合の概念図を示すもので、図の左方に示された制御棒駆
動装置CRDMは前述した実公昭57−35912号公報に開示さ
れたようなものとすることができ、ハウジング10内に収
容された昇降用電磁コイル(リフトコイル)6と、可動
グリッパ用電磁コイル(MGコイル)7と、固定グリッパ
用電磁コイル(SGコイル)8とを備えている。動作につ
いて簡単に説明すると、制御棒駆動装置CRDMの操作前の
定常時は、SGコイル8により駆動軸1(第5図参照)が
保持されている。例えば駆動軸1の上昇の際には、後述
する制御信号によりMGコイル7が励磁され、充分に励磁
されるとSGコイル8が解磁され、次いでリフトコイル6
が励磁され、駆動軸1が1ステップ上昇する。そして、
今度はSGコイル8が励磁され、充分に励磁された時点で
MGコイル7とリフトコイル6とが解磁され、1ステップ
が終了する。
上述のように動作するこれ等のコイル6〜8の電流
は、CRDMの制御盤(制御装置)5に送られ、そのパワー
キャビネット9のモニター用信号端子9a、9b、9cからそ
れぞれ等価な電圧信号として取り出され、制御棒駆動装
置CRDMの作動音は、CRDMハウジング10に取り付けられた
加速度計(作動音の検知器)11によりいわゆるチャージ
アンプ12を介して検知信号として取り出され、また、制
御棒駆動装置CRDMの制御信号は、CRDM制御盤5のロジッ
クキャビネット13内のテストポイント端子13aより取り
出され、これ等の各信号は緩衝増幅器14を経て絶縁され
たあと、CRDM作動監視システムSに入力される。
作動監視システムSは、図示しないチャンネル変換器
及びアナログ/ディジタル変換器からなる前処理装置15
と、該前処理装置15に接続された計算機でよい演算処理
装置16と、この演算処理装置16に接続されたCRT表示装
置17及びプリンタ・プロッタ18とを備えている。上述の
コイル電流を表す電圧信号、CRDM作動音を表す検知信号
及びCRDM制御信号は前処理装置15においてディジタル化
された後、演算処理装置16に転送され、ここで分析処理
プログラムに従って特徴分析が行われ、その結果がCRT
表示装置17及び/又はプリンタ・プロツタ18に出力され
る。符号19で示されているのはデータ記録装置であり、
作動監視システムSへの入力信号はここにも並列に転送
され、記録及び保管することができる。
次に、第2図及び第3図も参照して、分析処理プログ
ラムの概略について説明すると、第2図では、リフトコ
イル電流、MGコイル電流、SGコイル電流、作動音(検
知)信号及び制御信号はそれぞれ符号20、21、22、23及
び24で示す波形で表されており、分析処理プログラムで
は、これ等の入力信号20〜22から、各コイルについて、
コイル電流が入る時間点aと切れる時間点bとを求め
る。また、プランジャー2(第5図参照)が閉塞動作を
完了する時間点cをディップ25(第3図参照)と称する
電流の歪みと作動音信号23とから求め、プランジャー2
が解放動作を完了する時間点dを作動音信号23から求め
る。更に、コイル電流が入ってから定常状態に至るまで
の同コイル電流の立ち上がりの傾きをe(e=tanθ)
として、MGコイル電流21及びSGコイル電流22については
ディップ25の歪み量を面積fの形で求める。尚、制御信
号24は分析を開始するトリガ信号として用いられる。ま
た、上述の説明及び後述の説明から当業者にとって分析
処理プログラムは容易に理解されるものと考えられるの
で、そのフローチャートは省略することができる。
次に、上述の信号波形からの時間点a〜eの抽出基準
について説明すると、 時間点a及びbについては、任意に設定できる適当
なレベルを電流信号が切る点として求める。
時間点cについては、リフトコイル電流20の場合、
任意に設定できる適当な時間幅を設け、その範囲で任意
に設定できる適当なレベルを越える最初の点として求め
る。MGコイル電流信号21及びSGコイル電流信号22の場
合、まず、コイル電流の特徴を正確に抽出するために、
信号波形に見られる交流成分もしくはノイズ成分をフイ
ルター装置(図示せず)により除去し、次にコイル電流
が入る時間点aから切れる時間点bまでの区間で最初に
極小値をとる時間点を求め、同時間点に作動音が有れ
ば、この時間点をプランジャーが閉塞動作を完了した点
cとする。作動音の有無は、各プランジャーの動作と対
応する作動音の発生時刻を抽出するために、同時間点に
±5msec程度の時間幅を持たせ、その時間幅の範囲で任
意に設定できる適当なレベルを越える作動音信号が有る
か、無いかで判断する。尚、交流成分の除去について
は、前処理として機械的なフイルター装置に通してもよ
いが、他の信号との同期性を保つために、一旦演算処理
装置16に信号を取り込んだ後に3点逐次平均によるデイ
ジタルフイルターにより除去してもよい。
時間点dについても、同様に、任意に設定できる適
当な時間幅及びレベルを設定し、作動音信号がそのレベ
ルを越える最初の点として求める。
電流信号の立ち上がりの傾きeは、各コイル電流信
号が定常電流値の30%、50%、70%になる点と時間点a
とを結ぶ直線の傾きとして求める。
ディップ25の面積fは、フイルターを掛けたMGコイ
ル及びSGコイルの各々について、時間点cの前にある極
大値をとる点から時間軸と平行に引いた直線hと電流波
形とが囲む面積として求める。
次に、上述の基準に従って抽出された時間点a〜d
は、プランジャーの動作と関連した種々の特徴として、
次のような時間差に変換されて、CRT表示装置17及び/
又はプリンタ・プロッタ18に出力される。第4A図は上述
の特徴の分析結果の一具体例を示している。
TLin:リフトコイル電流が入ってからリフトプランジャ
ーが閉じるまでの時間を表すリフトコイルのa点とc点
との時間差 TLout:リフトコイル電流が切れてからリフトプランジャ
ーの解放動作が完了するまでの時間を表すリフトコイル
のb点とd点の時間差 TMin:MGコイル電流が入ってからMGプランジャーが閉じ
るまでの時間を表すMGコイルのa点とc点の時間差 TMout:MGコイル電流が切れてからMGプランジャーの解放
動作が完了するまでの時間を表すMGコイルのb点とd点
の時間差 TSin:SGコイル電流が入ってからSGプランジャーが閉じ
るまでの時間を表すSGコイルのa点とc点の時間差 TSout:SGコイル電流が切れてからSGプランジャーの解放
動作が完了するまでの時間を表すSGコイルのb点とd点
の時間差 dTSM:SGプランジャーが閉じてからMGコイル電流が切れ
るまでの時間を表すSGコイルのc点とMGコイルのb点の
時間差 dTMS:MGプランジャーが閉じてからSGコイル電流が切れ
るまでの時間を表すMGコイルのc点とSGコイルのb点の
時間差 dTLM:MGプランジャーの解放動作完了からリフトプラン
ジャーの解放動作完了までの時間を表すMGコイルのd点
とリフトコイルのd点の時間差 また、これ等の特徴TLin、TLout、TMin、TMout等は、
それ等の時間変化が容易に判断できるように、第4B図に
示すトレンド図としても出力することができ、更に統計
処理を行うことによって、個々の制御棒駆動装置CRDMの
作動状況のばらつきを第4C図に示すヒストグラムとして
表示することもできる。
[発明の効果] 従って、本発明による作動分析装置を使用すると、制
御棒駆動装置CRDMのコイル電流信号及び作動音信号の特
徴分析作業を省力化して自動的に高速で行うことができ
るだけでなく、人手による判断の個人差や人為的過ちを
防ぐことができ、分析結果の信頼性向上を実現すること
ができる。
また、上述のように分析作業が高速で行われるため、
リアルタイムに制御棒駆動装置CRDMの作動状況を監視す
ることができ、異常時に迅速且つ適確な対応が可能とな
る。
更に、定期検査中のCRDM作動確認試験や原子力発電プ
ラント運転中の月例点検等を利用してCRDM作動信号を定
期的に分析し、統計処理することによってCRDM駆動系の
予防保全に活用することもできる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明による作動分析装置を制御棒駆動装置
に接続して示す概略斜視図、第2図(a)、(b)、
(c)及び(d)は、本発明の作動分析装置に入力され
る各コイル電流及び作動音の信号波形と抽出情報とを示
すグラフ、第3図の(a)、(b)は、フイルターに掛
けた後の第2図(b)及び(c)の電流信号と抽出情報
とを示すグラフ、第4A図の(a)、(b)、(c)及び
(d)は、1ステップの種々の特徴の分析結果を第2図
(a)、(b)、(c)及び(d)の入力信号に重畳し
て表示するグラフ、第4B図(a)、(b)及び(c)
は、第4A図に示された特徴の分析結果の幾つかをトレン
ド表示するグラフ、第4C図の(a)及び(b)は、各制
御棒駆動装置について分析値の平均を求め、その分布を
ヒストグラム表示するグラフ、第5図は、加圧水型原子
炉用制御棒駆動装置の概略構造を示す断面図である。 CRDM……制御棒駆動装置 5……制御装置(CRDM制御盤) 6……昇降用電磁コイル(リフトコイル) 7……可動グリッパ用電磁コイル(MGコイル) 8……固定グリッパ用電磁コイル(SGコイル) 11……作動音の検知器(加速度計) 14……緩衝増幅器、15……前処理装置 16……演算処理装置、20、21、22……電流信号 23……検知信号(作動音信号) 24……制御信号
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 谷田部 弘 兵庫県神戸市兵庫区和田宮通7丁目1番 14号 西菱エンジニアリング株式会社内 (56)参考文献 特開 平1−180799(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】制御装置からの制御信号により作動される
    昇降用電磁コイルと、固定グリッパ用電磁コイルと、可
    動グリッパ用電磁コイルとを備えた電磁駆動式制御棒駆
    動装置の作動分析装置において、 前記制御棒駆動装置に接続されその作動音を検知する検
    知器と、 前記昇降用電磁コイル、前記固定グリッパ用電磁コイル
    及び前記可動グリッパ用電磁コイルの各々からの電流信
    号と、前記検知器からの検知信号と、前記制御装置から
    の前記制御信号とを受ける緩衝増幅器と、 前記電流信号、前記検知信号及び前記制御信号の各々を
    デジタル化する前処理装置と、 前記電流信号及び前記検知信号の作動諸元を分析処理す
    る演算処理装置と、 を有することを特徴とする電磁駆動式制御棒駆動装置の
    作動分析装置。
JP1023665A 1988-06-01 1989-02-03 制御棒駆動装置の作動分析装置 Expired - Lifetime JP2511130B2 (ja)

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