JPH07280705A - 弁のオンライン診断装置 - Google Patents

弁のオンライン診断装置

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JPH07280705A
JPH07280705A JP6076087A JP7608794A JPH07280705A JP H07280705 A JPH07280705 A JP H07280705A JP 6076087 A JP6076087 A JP 6076087A JP 7608794 A JP7608794 A JP 7608794A JP H07280705 A JPH07280705 A JP H07280705A
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valve
diagnostic
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Application number
JP6076087A
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English (en)
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Fukuzo Shimizu
福三 清水
Chikako Iwaki
智香子 岩城
Takuji Takayama
拓治 高山
Hiroki Yamamoto
博樹 山本
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】定期的に作動テストを行うような電動弁につい
て、機能性の診断を行い、異常と判断される場合にはそ
の原因を推定可能とする。 【構成】定期的な作動試験時に電動弁の駆動電流を計測
する電流計測手段1と、この計測データを処理し診断に
必要なパラメータを抽出するデータ解析手段6と、この
パラメータを作動試験毎に記憶する記憶手段4と、得ら
れた診断パラメータに基づいて異常の診断、原因の推定
を行い、且つパラメータの試験毎の傾向を管理して弁の
状態の変化を診断する診断手段9と、計測データおよび
診断結果を表示する表示手段11とを備えた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は発電所内に設置された電
動弁の異常を診断する弁のオンライン診断装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】現在、代表的な原子力発電所には、約1
0,000台の電動弁が設置され、これらの電動弁は原
子力プラントに事故が発生したとき、危険区域から遠く
離れた場所でも開閉操作を確実に行えるため、緊急系統
の隔離弁などに多く使用され、重要度が比較的高い弁で
ある。これらの電動弁はプラントの運転中、流体振動、
熱応力などの機械的、熱的ストレスに晒されており、そ
の故障によりプラントの停止が余儀なく発生する可能性
がある。
【0003】このため、現在発電所は1年に1度運転を
停止して限定された弁について分解点検を行ったり、特
に重要な緊急系統に設置された弁については、プラント
運転中にも定期的に作動テストが行われている。しか
し、このテストは現状において開閉指示灯の点灯チェッ
クと、開閉作動時間を計測することのみである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような従来技術では、弁の開閉の確認と、開閉作動時間
が設計ベースで予め定められた範囲内にあるか否かによ
り、正常か異常かを判断しているに過ぎず、異常の原因
を診断することは不可能である。また、計測したデータ
は、その都度データシートに記入されて評価されるもの
の、作動試験毎のデータを管理し、傾向を監視すること
は行っていない。そのため1回の作動試験で良否は判定
可能であるが、劣化の進み具合を診断することは不可能
である。
【0005】本発明は上述した事情を考慮してなされた
もので、第1の目的とするところは、定期的に作動テス
トを行うような電動弁について、作動時の電流を計測
し、得られた信号を分析することによって機能性の診断
を行い、異常と判断される場合にはその原因を推定可能
な弁のオンライン診断装置を提供することにある。
【0006】また、第2の目的とするところは、電流を
計測することによって正確な作動時間を検出し、また得
られた作動時間データを自動的に出力可能な弁のオンラ
イン診断装置を提供することにある。
【0007】さらに、第3の目的とするところは、得ら
れた作動時間データを作動試験毎に記憶させ、電動弁の
機能性を表す各パラメータの試験毎の変化の状態を監視
することによって、劣化の状態を診断する傾向管理機能
を備えた弁のオンライン診断装置を提供することにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ために、本発明の請求項1は、定期的な作動試験時に電
動弁の駆動電流を計測する電流計測手段と、この計測デ
ータを処理し診断に必要なパラメータを抽出するデータ
解析手段と、このパラメータを作動試験毎に記憶する記
憶手段と、得られた診断パラメータに基づいて異常の診
断、原因の推定を行い、且つパラメータの試験毎の傾向
を管理して弁の状態の変化を診断する診断手段と、上記
計測データおよび診断結果を表示する表示手段とを備え
たことを特徴とする。
【0009】請求項2は、請求項1記載の弁のオンライ
ン診断装置において、電流計測手段がモータコントロー
ルセンタからの指令にて駆動電流を計測し、その計測デ
ータを中央処理装置に送出することを特徴とする。
【0010】請求項3は、請求項1記載の弁のオンライ
ン診断装置において、データ解析手段が計測データから
抽出する診断パラメータを、作動時間,弁の引き抜き時
の電流値,押し込み時の電流値,ラニング電流値,電流
値の傾き,スリップ周波数,シャフトの回転周波数を選
択することを特徴とする。
【0011】請求項4は、請求項1または3記載の弁の
オンライン診断装置において、診断手段が各作動試験に
て抽出した診断パラメータを試験毎の変化の状況を分析
し、劣化などの弁の状態の変化を診断するトレンド解析
による診断機能を備えたことを特徴とする。
【0012】請求項5は、請求項1,3または4記載の
弁のオンライン診断装置において、診断手段が得られた
診断パラメータの変化傾向を解析して今後の傾向を予測
し、弁の分解点検の時期などのメンテナンス情報を提示
することを特徴とする。
【0013】
【作用】上記の構成を有する本発明において、作動試験
の際、電動弁の駆動電流を計測し、この計測データが中
央処理装置に送出されてデータ処理が行われ、診断に必
要なパラメータである作動時間,弁の引き抜き時の電流
値,押し込み時の電流値,ラニング電流値,電流値の傾
き,スリップ周波数,シャフトの回転周波数を抽出し、
これらのデータから弁の負荷状態を診断する。
【0014】また、上記パラメータを作動試験毎に記憶
し、トレンドの監視を行うことにより、弁の作動毎の状
態の変化を診断し、今後の傾向を予測することによっ
て、分解点検の時期などのメンテナンス情報を提示す
る。
【0015】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。
【0016】図1は本発明に係る弁のオンライン診断装
置の一実施例を示すブロック図である。唯一の計測信号
である電動弁の駆動電流は、現場から離れたモータコン
トロールセンタからの指令によりクランプ式などの電流
計測手段としての電流センサ1により検出される。この
検出方法により、原子炉格納容器や放射線量の高い区域
などアクセスの困難な場所に配置された電動弁について
も容易に電流信号を検出することができ、電流センサ1
のメンテナンスも容易に可能となる。
【0017】電流センサ1は、上記のような方法で定期
的に実施されるサーベイランス試験の際に駆動電流を計
測し、その計測データが中央処理装置2に送出される。
この中央処理装置2に入力されたアナログ信号は、まず
A/D変換部3でディジタル信号に変換され、このディ
ジタル信号は記憶装置4における計測データファイル5
に格納される一方、データ解析部6で生波形データ(以
下、生データという。)解析と、周波数解析が実行さ
れ、それぞれにおいて診断に必要とする特徴的なパラメ
ータを抽出する。このパラメータは作動試験毎に記憶装
置4における解析結果ファイル7に格納される。
【0018】また、トレンド解析部8では、これまでの
作動試験毎の診断パラメータの履歴を解析結果ファイル
7から読み込み表示する。この変化傾向により以後のパ
ラメータの変化を予測すると同時に表示し、その予測結
果を解析結果ファイル7に格納する。
【0019】さらに、診断部9では解析結果ファイル7
を読み込み、診断パラメータから電動弁のシーティング
(着座)時のトルク、パッキンの摩擦力などを演算し、
設計データや初期状態のデータをベースとした診断知識
データベース10を参照して異常の診断を行う。そし
て、診断部9はトレンド解析部8によって得られた今後
の診断パラメータの変化予測結果に基づいて電動弁の分
解点検の時期を提示する。これらは表示手段としてのC
RT表示部11に表示される。
【0020】次に、診断システムの画面を図2〜図6に
示す。図2はメイン画面12であり、このメイン画面1
2はデータ収集,データ解析,トレンド解析,診断の4
つの処理を実行するためのものである。弁の定期的な作
動試験時に電動弁診断システムをスタートさせ、データ
収集を選択し、弁の作動時の駆動電流を収集して計測デ
ータファイル5に保存する。次いで、データ解析へと移
り、このデータ解析は時刻歴の生データ解析と、周波数
解析とからなる。
【0021】まず、図3に示す生データ解析の画面13
では、計測データファイル5から読み込んだ電流の生波
形から診断に必要な特徴的なパラメータを抽出し、時刻
歴データとともに表示する。次に、図4に示す画面14
のように、データの周波数解析によって得られた結果か
ら、診断に必要な弁の作動を示す特徴的な周波数を抽出
し、周波数データとともに表示する。生データ解析結果
および周波数解析結果は解析結果ファイル7に保存す
る。
【0022】トレンド解析は、図5に示す画面15のよ
うに上記の解析によって抽出した作動時間、各電流値、
各周波数を試験の実施日に従ってトレンド表示し、同時
に実データからフィッティングした予測曲線も表示す
る。また、診断は解析結果ファイル7および診断知識デ
ータベース10を読み込み、図6に示す画面16のよう
に、試験を行った弁について各パラメータから診断した
後、その診断結果とトレンド解析によって診断した分解
点検推奨時期の提示を行う。なお、データを計測データ
ファイル5および解析結果ファイル7に保存する場合に
は、試験実施日の日時を付加して保存する。
【0023】図7〜図12にこれらの処理の流れを示
す。
【0024】以下、この処理について説明する。本装置
はサーベイランス試験時においてオペレータの要求によ
り起動する(図7参照)。本装置は起動後、データ収集
処理,データ解析処理,トレンド解析処理,診断処理,
終了処理の各処理メニュー選択画面であるメイン画面1
2を表示する。
【0025】オペレータは、メイン画面12に表示され
た各処理メニューの中からデータ収集処理を選択し、デ
ータを収集する。オペレータは、その後データ解析処
理,トレンド解析処理,診断処理,終了処理の各処理を
順次実行することにより、弁の診断を行う。
【0026】データ収集処理では、図8に示すように収
集開始準備の良否を問い合わせて、準備が整ったなら
ば、計測信号のアナログ−ディジタル(A/D)変換お
よび工学単位変換といったデータ収集処理を実行し、収
集したデータを計測データファイル5として保存する。
【0027】収集開始準備が整っていないならば、デー
タ収集処理の取消しの有無を要求し、有った場合には収
集処理を取り止めて処理メニュー選択画面であるメイン
画面12に戻り、そうでない場合には、準備が整うまで
処理の実行を見合わせる。
【0028】データ解析処理では、図9に示すようにデ
ータ収集処理で収集した計測データファイル5を読み込
み、生データ解析処理または周波数解析処理、終了処理
を問い合わせる。
【0029】生データ解析処理であるならば、読み込ん
だ生データを解析処理して特徴パラメータPAR1〜5
を抽出して、これらの結果を生データ解析画面13とし
て表示するとともに、解析結果ファイル7に保存する。
【0030】一方、周波数解析処理であるならば、読み
込んだ生データを周波数解析処理して特徴パラメータP
AR6〜8を抽出して、これらの結果を周波数解析画面
14として表示するとともに、解析結果ファイル7に保
存する。また、終了処理であるならば、処理を終了して
処理メニュー選択画面(メイン画面12)に戻る。
【0031】トレンド解析処理では、図10に示すよう
にデータ解析処理で保存した解析結果ファイル7を読み
込み、データフィッティング処理,許容範囲判定処理,
分解点検時期予測処理を順次行い、その結果を解析結果
ファイル7に保存する。
【0032】この後、作動時間,電流値,周波数につい
てのトレンド解析結果の表示、あるいは表示処理の終了
を問い合わせることにより、作動時間についてのトレン
ド解析結果の表示であるならば、トレンド画面15とし
て表示する一方、電流値についてのトレンド解析結果で
あるならば、図11(A)に示すように引き抜き時/ラ
ンニング時/シーティング時の電流値のトレンド画面、
シーティング時の電流増加傾きのトレンド画面を表示す
る。また、周波数についてのトレンド解析結果であるな
らば、図11(B)に示すようにスリップ周波数成分/
モータ回転周波数成分/ウォームシャフト回転周波数成
分のトレンド画面を表示する。表示終了後は、処理メニ
ュー選択画面(メイン画面12)に戻る。
【0033】診断処理では、図12に示すように解析結
果ファイル7と診断知識データベース10を読み込み、
診断処理を行い、その結果を診断結果表示画面16に表
示する。診断処理終了後は処理メニュー選択画面(メイ
ン画面12)に戻る。
【0034】これらのデータ収集、データ解析、トレン
ド解析、診断の各処理は、以上の処理のように順次行う
他に、個々に選択して行うことができる。これにより、
過去のデータの再解析や診断による比較が可能となる。
【0035】次に、図13〜図18に他の実施例の処理
の流れを示す。
【0036】この実施例は、データ収集、データ解析、
トレンド解析、診断の各処理を行うものであり、より一
層、解析/診断処理の自動化を図ったものである。これ
ら個々の処理は、データ収集処理の収集取消し処理や、
データ解析処理の終了処理がない他は、前記実施例と同
様である。
【0037】したがって、図7〜図12に示す前記実施
例のように個々の処理を単独で実行できないものの、本
実施例では処理の手順を間違う(例えば重要なデータを
上書きするなど)ことはなく、ヒューマンエラーの低
減、試験時間の短縮を図ることができる。
【0038】次に、電流から得られる診断パラメータに
基づいた診断方法を説明する。まず、電流の生データ解
析によって抽出する診断パラメータを図19に従って説
明する。
【0039】全閉から全開方向に作動させたときの電動
弁の作動時の電流は、図19に示すようにまずモータ起
動時のラッシュカレントが流れ、次に弁体が弁座から引
き抜かれる瞬間のトルクに応じた電流が流れ、その後パ
ッキンとの摩擦抵抗に打ち勝つに要するトルクに応じた
電流が流れ、最後にバックシートする時のトルクに応じ
た電流が流れるといった特徴的な波形を示す。よって、
このような電流値の変化パターンから、弁の引き抜きあ
るいは押し込み、開閉作動時の負荷状態を診断すること
ができる。
【0040】生データから得られる第1の診断パラメー
タ(PAR1)は、作動時間である。従来、ストップウ
ォッチにより計測されていた作動時間は、駆動電流の起
動と停止時刻に基づいて、より正確に自動的に検出する
ことができる。作動時間は弁に作用する負荷によって変
化し、例えばパッキンと弁棒の摺動摩擦が異常に大きく
なると、全開閉作動に要する時間は大きくなる。このよ
うに作動時間は弁の作動性を評価する上で重要なパラメ
ータとなる。
【0041】生データから得られる第2の診断パラメー
タ(PAR2)は、弁体引き抜き時の電流値である。弁
は、一般的に弁座のシール性を増すため規定のトルクで
弁体が弁座に押し付けられており、また全閉で上流側と
下流側との圧力差が最大であるため、モータにかかる引
き抜きトルクが最大トルクとなる。故に、弁が閉作動で
きないという故障も、弁体引き抜きの時の過大トルクに
起因することが多い。よって、弁体引き抜き時の異常負
荷を診断する上で、引き抜き時の電流値は重要なパラメ
ータである。
【0042】生データから得られる第3の診断パラメー
タ(PAR3)は、ラニングカレントである。このラニ
ングカレントは、弁の開閉動作中に流れる電流値であ
り、これはパッキンと弁棒との摺動摩擦力に依存する。
パッキンは定められたトルク値で締め付け管理されてい
るが、締め付け作業のミス、あるいはパッキンの劣化な
どによってパッキンの締め付け力は変化する。このよう
に、パッキンは弁の部品の中でも最もクリティカルなも
のの1つであり、締め付け過大になると、開閉作動異常
になる反面、小さすぎると、パッキンからリークすると
いった故障に至るため、ラニングカレントは通常作動時
の負荷を診断する重要なパラメータである。
【0043】生データから得られる第4の診断パラメー
タ(PAR4)は、シーティング(着座)、またはバッ
クシーティング時の電流値である。これは図19に示す
ように、弁の作動停止時の最大電流値である。シーティ
ング/バックシーティング時のトルク値も規定値が与え
られているが、特に、シーティング時のトルクは流体を
遮断させるという弁の基本的な機能を維持するために重
要となる。よって、シーティング/バックシーティング
時の電流値は、このとき実際作用しているトルク値を評
価するための重要なパラメータである。
【0044】生データから得られる第5の診断パラメー
タ(PAR5)は、シーティング/バックシーティング
時の電流増加の傾きである。弁体が弁座と接触した後に
規定値に達するまで押し込み力が作用するが、このとき
の電流の増加傾向は弁体と弁座との接触状態によって変
化する。よって、このときの電流の傾きに代表される増
加の傾向はシートの状態の診断に重要なパラメータであ
る。
【0045】次に、周波数解析によって抽出する診断パ
ラメータを図20に従って説明する。図20は開閉作動
時の電流の周波数分析結果を時刻歴に表示したものであ
る。このように、電流を周波数分析することによって弁
の作動に伴う特徴的な周波数がいくつか抽出される。
【0046】周波数解析データから得られる第1のパラ
メータ(PAR6)は、スリップ周波数である。電動弁
では一般的に誘導電動機が使用されている。誘導電動機
では、同期速度(磁界の回転速度)からの回転子の遅れ
によって磁界を切ることでトルクを発生させる。この同
期速度に対する回転子の遅れをスリップと呼び、次式で
表される。
【0047】
【数1】s=(ns −n)/ns ここで、ns は同期速度、nは回転子速度である。この
スリップ周波数は、電流を周波数分析することによって
抽出することができる。上の式から判るように、負荷が
大きくなると、回転子速度nが小さくなるため、スリッ
プsは負荷の変動に応じて変化し、しかも周波数として
抽出した場合、同様に負荷によって変動する電流よりも
変化に対する感度が良好であるため、負荷状態を診断す
る重要なパラメータとなる。
【0048】周波数解析データから得られる第2のパラ
メータ(PAR7)は、モータ回転周波数である。この
モータ回転周波数は上式の回転速度(n)から得られる
ため、負荷状態の診断においては、スリップ周波数と同
様の意味を持つ。しかし、スリップ周波数ほど負荷の変
動に対する変化率は大きくない。
【0049】周波数解析データから得られる第3のパラ
メータ(PAR8)は、駆動部のウォームシャフト回転
周波数である。これも前述と同様に負荷に対して変動す
るため、異常の検出に重要なパラメータの一つである。
【0050】次に、上述のパラメータを用いた診断アル
ゴリズムをシーティング力、引き抜き力の診断、パッキ
ン締付けトルクの診断、弁棒の曲がり診断、シートの異
常診断を例に採って説明する。
【0051】電流から診断を行う基本原理は、モータに
よって駆動力を得る機器において、負荷トルクの変化に
応じて電流値やスリップが変化するということである。
電動弁の場合、モータにかかる負荷としては弁棒とグラ
ンドパッキンとの摩擦力、弁体とシートとの摩擦力、流
体圧などが挙げられる。このような弁作動時の負荷が変
化するような異常事象については、電流、スリップに着
目することにより診断が可能である。
【0052】モータに発生するトルクTと電流Iはすべ
りsによって表される。
【0053】
【数2】T=K・sE2 r/(r2 +(sx)2
【数3】I=sE/(r2 +(sx)2 ) 上式において、Eは二次誘導起電力、rは二次巻線1相
の抵抗、xは二次巻線1相のリアクタンス、Kは定数で
ある。
【0054】上式のようにトルクTと電流Iは、共にス
リップsの関数として表されるため、スリップあるいは
電流が計測できると、その時作用しているトルクを求め
ることができる。上式の関係を示したものが図21であ
る。この関係から計測した電流およびそれを周波数分析
することによって得られるスリップ周波数から弁に作用
するトルクを求める。
【0055】弁のシーティング力を診断するためにはP
AR4を用いる。現状ではシーティングトルクはトルク
スイッチの設定値によって管理されており、実際に作用
しているトルクを計測するものではない。しかし、モー
タの惰性やリレーの遅れなどの要因から、実際に作用し
ているトルクは管理値と異なる場合があり、破損や引き
抜き時の異常に至る可能性もある。そこで、弁停止時の
最大電流値(PAR4)から図21に示した関係を用い
てトルクを導出し、実際にかかっているトルク値を推定
する。この値が設計時に求められる弁の閉作動に必要な
力量を基準とした許容範囲にあるか、否かによって異常
の診断を行う。これと同様に弁の引き抜き力の診断には
PAR2を用い、電流値から引き抜き力を求めることに
よって異常負荷を診断する。
【0056】パッキン締付けトルクの診断には、PAR
6を用いる。弁の開閉作動時には負荷として駆動部の歯
車、ベアリングなどの摩擦の他に、パッキンの締付け力
が支配的に作用する。よって、通常作動時の全トルクT
はパッキンと弁棒との摩擦力TP と、駆動部の減速歯車
機構に生ずる摩擦力TA との和、すなわち、
【数4】T=TP +TA として表される。ここで、パッキンの摩擦抵抗によるト
ルクTP は次式によって表される。すなわち、
【数5】TP =AμPβ 上式において、Aはパッキンと弁棒との接触面積、μは
パッキンの摩擦抵抗、Pはパッキン面圧、βはトルク換
算係数である。パッキンの締付け力はグランドボルトの
締付けトルクTG によって管理されているが、パッキン
面圧Pはボルトの締付けトルクに比例するため、上式は
次式のように書き直すことができる。
【0057】
【数6】TP =B・TG よって、予め上式における係数Bをいくつかの条件にお
いて試験をし、求めておくことにより、スリップ周波数
(PAR6)から締付けトルクを評価することができ
る。電流から評価することも可能であるが、電流よりス
リップの方が負荷変動に対する感度が大きいため、スリ
ップを用いる方が望ましい。
【0058】弁棒の曲りは、やはりPAR6によって診
断することができる。弁棒に曲りが生じることによっ
て、開閉作動時の負荷が変動するため、スリップは変化
する。弁棒の曲りの量とスリップの変動量との関係式を
予め備えることによって、曲り量が診断できる。
【0059】シートの異物混入などの異常は、シーティ
ング時の電流の傾き(PAR5)により診断する。例え
ば、シート部に比較的柔らかい異物が混入した場合、剛
性が正常時より小さくなるため、この傾きは小さくな
る。よって、正常時の傾きを予め初期状態の計測から求
めておき、この値と試験時の傾きとを比較することによ
りシート部の異常が診断できる。
【0060】以上のような診断をデータ解析から得たパ
ラメータを基に診断し、総合結果を図6に示した画面1
6のような診断画面に表示する。
【0061】次に、トレンド解析について説明する。
【0062】高温、高圧下で使用されている弁は、特に
劣化の進みが激しいと考えられる。例えば、シートの摩
耗、グリースの劣化、パッキンの劣化などは弁の機能に
影響を及ぼす。これらの劣化は徐々に進行するものであ
るため、前述のパラメータの推移を監視することによ
り、程度の予測が可能である。例えば図5はPAR1を
トレンド表示したものであるが、状態の変化によって徐
々にその値が変化している様子を示している。計測した
これらの値から最小自乗法によって近似曲線を求めるこ
とによって、設定した許容範囲を逸脱する時期を予測す
ることができる。その他の診断パラメータについても同
様なトレンド解析を行い、この結果から各弁の点検時期
を求めることで、効率の良い検査時期を提示することが
できる。
【0063】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る弁の
オンライン診断装置によれば、定期的な作動試験時に電
動弁の駆動電流を計測する電流計測手段と、この計測デ
ータを処理し診断に必要なパラメータを抽出するデータ
解析手段と、このパラメータを作動試験毎に記憶する記
憶手段と、得られた診断パラメータに基づいて異常の診
断、原因の推定を行い、且つパラメータの試験毎の傾向
を管理して弁の状態の変化を診断する診断手段と、上記
計測データおよび診断結果を表示する表示手段とを備え
たことにより、計測データを解析処理することで機能性
の診断を行う一方、得られたパラメータのトレンドから
次期点検の適切な時期を推奨することができる。
【0064】これにより、作動時間しか計測していない
現状に比べ、弁の機能性をより詳細に診断することが可
能となる。また、ある定められた周期で検査が行われて
いる現状と比較し、個々の弁の状態に基づいた検査の時
期を提示することで、より効率的な検査を行う情報を提
供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る弁のオンライン診断装置の一実施
例を示すブロック図。
【図2】診断システムにおけるメイン画面を示す図。
【図3】診断システムにおける生データ解析画面を示す
図。
【図4】診断システムにおける周波数解析画面を示す
図。
【図5】診断システムにおけるトレンド画面を示す図。
【図6】診断システムにおける診断結果表示画面を示す
図。
【図7】上記実施例の各処理メニューを示すフローチャ
ート図。
【図8】データ収集処理の流れを示すフローチャート
図。
【図9】生データ解析処理および周波数解析処理の流れ
を示すフローチャート図。
【図10】トレンド解析処理の流れを示すフローチャー
ト図。
【図11】(A),(B)はそれぞれ電流値,周波数に
ついてのトレンド解析結果を示すフローチャート図。
【図12】診断処理の流れを示すフローチャート図。
【図13】他の実施例における各処理メニューを示すフ
ローチャート図。
【図14】他の実施例におけるデータ収集処理の流れを
示すフローチャート図。
【図15】他の実施例における生データ解析処理および
周波数解析処理の流れを示すフローチャート図。
【図16】他の実施例におけるトレンド解析処理の流れ
を示すフローチャート図。
【図17】(A),(B)はそれぞれ他の実施例におけ
る電流値,周波数についてのトレンド解析結果を示すフ
ローチャート図。
【図18】他の実施例における診断処理の流れを示すフ
ローチャート図。
【図19】電流の生データから得られる診断パラメータ
を示すグラフ図。
【図20】電流の周波数分析結果から得られる診断パラ
メータを示す図。
【図21】誘導電動機のすべりと電流,トルクとの関係
を示すグラフ図。
【符号の説明】
1 電流センサ(電流計測手段) 2 中央処理装置 3 A/D変換部 4 記憶装置(記憶手段) 5 計測データファイル 6 データ解析部(データ解析手段) 7 解析結果ファイル 8 トレンド解析部 9 診断部(診断手段) 10 診断知識データベース 11 CRT表示部(表示手段)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山本 博樹 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 定期的な作動試験時に電動弁の駆動電流
    を計測する電流計測手段と、この計測データを処理し診
    断に必要なパラメータを抽出するデータ解析手段と、こ
    のパラメータを作動試験毎に記憶する記憶手段と、得ら
    れた診断パラメータに基づいて異常の診断、原因の推定
    を行い、且つパラメータの試験毎の傾向を管理して弁の
    状態の変化を診断する診断手段と、上記計測データおよ
    び診断結果を表示する表示手段とを備えたことを特徴と
    する弁のオンライン診断装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の弁のオンライン診断装置
    において、電流計測手段はモータコントロールセンタか
    らの指令にて駆動電流を計測し、その計測データを中央
    処理装置に送出することを特徴とする弁のオンライン診
    断装置。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の弁のオンライン診断装置
    において、データ解析手段は計測データから抽出する診
    断パラメータを、作動時間,弁の引き抜き時の電流値,
    押し込み時の電流値,ラニング電流値,電流値の傾き,
    スリップ周波数,シャフトの回転周波数を選択すること
    を特徴とする弁のオンライン診断装置。
  4. 【請求項4】 請求項1または3記載の弁のオンライン
    診断装置において、診断手段は各作動試験にて抽出した
    診断パラメータを試験毎の変化の状況を分析し、劣化な
    どの弁の状態の変化を診断するトレンド解析による診断
    機能を備えたことを特徴とする弁のオンライン診断装
    置。
  5. 【請求項5】 請求項1,3または4記載の弁のオンラ
    イン診断装置において、診断手段は得られた診断パラメ
    ータの変化傾向を解析して今後の傾向を予測し、弁の分
    解点検の時期などのメンテナンス情報を提示することを
    特徴とする弁のオンライン診断装置。
JP6076087A 1994-04-14 1994-04-14 弁のオンライン診断装置 Pending JPH07280705A (ja)

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