JP4795741B2 - 窒素ガス発生装置及びそれを用いた燃料電池発電システム - Google Patents

窒素ガス発生装置及びそれを用いた燃料電池発電システム Download PDF

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Description

本発明は、システムの起動時や停止時に改質装置や燃料電池の内部をパージするのに適した窒素ガス発生装置及びそれを用いた燃料電池発電システムに関する。
燃料電池には、部分酸化法や水蒸気改質法によって都市ガスやメタノール等の改質燃料を水素に改質し、これを燃料電池に供給するための改質装置が一般に併設されている。このような燃料電池発電システムでは、システム停止時に、改質燃料、水蒸気および空気の供給を停止した後、併設する窒素供給手段から窒素ガスを改質装置及び燃料電池に導入して、内部の残留ガスをパージすることが行われている。これは、システム停止後に可燃性の改質ガスがシステム内に残留するのを回避するとともに、改質ガス、水蒸気及び空気中の酸素の影響によって改質触媒が酸化して劣化するのを防止するためである。また、システム起動時も、システム内のガスを置換する目的と、改質装置を昇温するための熱媒体として利用する目的で、窒素パージが行われている。
このような窒素供給手段としては、一般的に、高圧窒素ボンベや、PSA(Pressure Swing Adsorption)方式または中空糸膜方式の窒素ガス発生装置が用いられている(例えば、特開平7−183040号公報など)。しかしながら、このようなボンベまたは装置では、重量および容積が非常に大きく、システムが大型化するという問題がある。特に、PSA方式または中空糸膜方式の窒素ガス発生装置は、供給空気を0.5MPa程度まで昇圧する必要があり、そのためにコンプレッサを設置すると多大な電力を消費し、騒音も発生するという問題がある。
一方で、窒素パージの代わりに水蒸気パージや空気パージを行う方法が提案されているが、水蒸気パージでは、システム停止により温度が低下すると、水蒸気が結露して改質触媒の劣化を促すという問題があり、また、空気パージでは、空気中の酸素により改質触媒が酸化して劣化するという問題がある。
特開平7−183040号公報
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、改質装置や燃料電池の内部を窒素パージするための軽量かつコンパクトで安価な窒素ガス発生装置及びそれを用いた燃料電池発電システムを提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明に係る窒素ガス発生装置は、空気を原料として用い、この空気中の酸素を、鉄又は酸化鉄と、チタン、ジルコニウム、バナジウム、ニオブ、クロム、モリブデン、アルミニウム、ガリウム、マグネシウム、スカンジウム、ニッケル、銅及びネオジムからなる第2群から選ばれた少なくとも1つの金属、又はロジウム、イリジウム、ルテニウム、パラジウム及びプラチナからなる第3群から選ばれた少なくとも1つの金属とを含んでなり、共沈法により調製される酸素吸収剤と化合させることによって除去して、窒素濃度98%以上のガスを生成することを特徴とするものである。
PSA方式や中空糸膜方式の窒素ガス発生装置では、空気を昇圧するためのコンプレッサが必要となり、コスト、サイズ、電力、騒音の点で問題があったが、本発明によれば、上記酸素吸収剤の酸化反応は大気圧で進行するため、高い圧力に昇圧する必要がなく、よって軽量かつコンパクトで安価に高濃度の窒素を発生することができる。
また、鉄(Fe)、マグネシウム(Mg)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、セリウム(Ce)、スズ(Sn)及びインジウム(In)からなる第1群の金属は、空気中の酸素により酸化する他の金属と比較して、酸化速度が速いとともに高原子価の金属酸化物を形成するため、窒素濃度98%以上、好ましくは99%以上のガスを生成することが可能である。また、上記の第1群の金属は、酸化還元の繰り返しに対する耐久性にも優れている。これらの中でも特に鉄及び酸化鉄(Fe、FeO、Fe34)は、空気中の酸素と適度な速度で反応を進行するため、安全であり、反応を制御しやすく、また、非常に安価である。鉄及び酸化鉄と酸素との反応を以下に示す。
Fe+3/4O2→1/2Fe23
FeO+1/4O2→1/2Fe23
Fe34+1/4O2→3/2Fe23
Fe+1/2O2→FeO
Fe+2/3O2→1/3Fe34
FeO+1/6O2→1/3Fe34
なお、これらの反応は室温から400℃で反応を行うことができる。また、酸素と化合した酸素吸収剤は、水素や炭化水素類(例えば、メタン、プロパン、ブタン)等の還元剤にて還元することで、再び空気中の酸素と化合することができる。
また、第2群の金属を添加することで、鉄等の第1群の金属を還元反応により繰り返し使用する場合に、シンタリングによる粒子成長が抑えられ、還元再生後の酸化効率の低下を抑えることができる。
前記酸素吸収剤に第2群の金属に代えて又はとともに第3群から選ばれた少なくとも1つの金属をさらに添加することで、鉄等の第1群の金属を室温でより速やかに酸化することができる。
本発明は、別の態様として、前記の窒素ガス発生装置と、改質燃料を改質して水素を生成する改質器と、この水素を用いて発電を行う燃料電池とを備えた燃料電池発電システムであって、このシステムの少なくとも起動時または停止時に、前記窒素ガス発生装置で発生する前記窒素ガスによって前記改質器および前記燃料電池の内部をパージするように構成したことを特徴とするものである。
前記酸素吸収剤は、前記改質燃料で還元するように構成することが好ましい。また、前記酸素吸収剤は、前記改質器で生成する水素を含有するガスによって還元するように構成することも好ましい。さらに、前記酸素吸収剤は、前記燃料電池の燃料極側から排出するオフガスによって還元するように構成することも好ましい。このような構成によれば、燃料電池発電システム内にある物質により酸素吸収剤を還元できるため、酸素吸収剤の交換作業が必要なくなり、ランニングコストを低く抑えることができる。
上述したように、本発明によれば、改質装置や燃料電池の内部を窒素パージするための軽量かつコンパクトで安価な窒素ガス発生装置及びそれを用いた燃料電池発電システムを提供することができる。
添付図面を参照して、本発明に係る窒素ガス発生装置およびそれを用いた燃料電池発電システムの一実施の形態を説明する。図1は、本発明に係る燃料電池発電システムの一実施の形態を示す模式図である。
図1に示すように、燃料電池発電システムは、窒素ガス発生装置10と、水蒸気供給器20と、改質装置30と、燃料電池40とで主に構成されている。また、改質装置30は、水蒸気改質反応を行う改質器31と、CO変性反応を行うCO変成器32と、COをCO2に選択酸化する選択酸化器33と、これらを加熱する燃焼バーナ35とで構成されている。
改質器31には、改質燃料1を供給するメイン配管が設けられており、このメイン配管には、窒素ガス発生装置10、空気ブロア11および水蒸気供給器20がそれぞれサブ配管を介して接続されている。これらの各サブ配管にはバルブ12、14、21が設けられている。なお、空気ブロア11のサブ配管は、分岐して窒素ガス発生装置10にも接続している。この分岐点と窒素ガス発生装置の間にはバルブ13が設けられている。
窒素ガス発生装置10内には、酸素吸収剤が充填されている。酸素吸収剤は、Fe、Mg、Ga、Ge、Ce、Sn及びInからなる第1群から選ばれた少なくとも1つの金属またはその化合物を主成分とするものである。化合物は、酸素と化合するものであれば特に限定されないが、酸化物、特に低原子価の酸化物が好ましい。また、第1群の金属の中でもFeが特に好ましい。Feを主成分とする酸素吸収剤としては、例えば、鋳鉄粉、還元鉄粉、電解鉄粉、アトマイズ鉄粉、湿式沈殿法による鉄粉を用いることができる。これら鉄粉は、BET比表面積が0.1〜70m2/g、好ましくは1〜50m2/gであり、平均粒径0.01μm〜5mm、好ましくは0.05μm〜1mmの粒状であり、粒状のままでも使用できるが、ペレット状、円筒状、ハニカム構造、不織布形状などの反応に適した形状にすることが好ましい。
また、一度酸素と化合した酸化鉄を還元再生し、再度酸素との化合を行うときの酸化効率を高めるために、Ti、Zr、V、Nb、Cr、Mo、Al、Ga、Mg、Sc、Ni、Cu及びNdからなる第2群から選ばれた少なくとも1種の金属、またはRh、Ir、Ru、Pd及びPtからなる第3群から選ばれた少なくとも1種の金属を添加することが好ましい。この中でも第2群としてはMo、Alが、第3群としてはRh、Irがより好ましい。また、第2群と第3群からそれぞれ少なくともひとつずつ選んだ少なくとも計2種の金属を添加することもできる。
添加する金属の配合割合は、全金属を100mol%とした場合、0.1〜30mol%が好ましく、0.5〜15mol%がより好ましい。0.1mol%未満の配合割合では、酸化効果を向上する効果が認められない。一方、30mol%を越えると、鉄または酸化鉄の酸化還元反応の効率が低下するので好ましくない。鉄と添加する金属との調製方法は、物理混合法、含浸法、共沈法等により行い、特に共沈法が好ましい。
窒素ガス発生装置10内の酸素吸収剤が酸化反応により劣化した場合に、新規な酸素吸収剤と交換し易くするために、窒素ガス発生装置30内から着脱可能な容器(図示省略)に酸素吸収剤を充填することが好ましい。なお、窒素ガス発生装置10およびこの着脱可能な容器は、ステンレススチールやアルミニウム等の金属、アルミナやジルコニア等のセラミックス、又はフェノール樹脂やポリフェニレンサルファイド等の耐熱性プラスチック等で作られており、耐熱構造となっている。装置10または容器が高温となる場合は、装置10または容器を、ガラス繊維、シリカ繊維、シリカ粉末成形体などの断熱材で覆うことが好ましい。
改質装置30の燃焼バーナ35には、燃焼用の改質燃料1および空気3を供給する配管が設けられている。また、燃焼バーナ35の燃焼により、改質器31の温度を700℃以上、CO変成器32の温度を200〜300℃の範囲に、選択酸化器33の温度を100〜200℃の範囲に上昇できるように構成されている。
燃料電池40は、水素リッチな改質ガスの供給を受けるために、燃料極41が選択酸化器33と改質ガス供給配管を介して接続されている。また、燃料極41は、オフガスを排出するために、燃焼バーナ35と排気配管を介して接続されている。一方、燃料電池40の空気極42には、空気の供給を受けるための配管と、オフガスを排出するための配管が設けられている。
以上の構成によれば、システムの運転を開始する際、先ず、バルブ12、13を閉じ、バルブ14、21を開き、改質燃料1、空気3および水蒸気をメイン配管から改質器31に供給する。改質燃料1としては、メタンを主成分とする都市ガスを使用するが、その他の炭化水素系の燃料やメタノールも使用することができる。また、燃焼バーナ35により改質器31、CO変成器32および選択酸化器33を所定の温度まで加熱する。
改質器31に改質燃料1、空気3、水蒸気が導入されると、改質器31内に充填された改質触媒により水蒸気改質反応が起こり、主にH2、CO、CO2、H2Oを組成とするガスに改質される。次に、この改質ガスはCO変成器32に導入され、CO変性反応によってCOとH2OからH2とCO2が得られる。さらに、改質ガスは選択酸化器33に導入され、改質ガス中のCOが別途導入された空気中の酸素により選択的に酸化されてCO2となり、改質ガス中のCO濃度は10ppm以下になる。このようにCO濃度を低下した水素リッチな改質ガスを燃料電池40の燃料極41に導入し、空気極42には酸化剤として空気3を導入することで、発電を行うことができる。
一方、システムを停止する際は、先ず、バルブ12、13を開き、バルブ14、21を閉じ、改質燃料1および水蒸気の供給を停止し、その代わりに、空気ブロア11から空気を窒素ガス発生装置10に供給する。窒素ガス発生装置10内で空気吸収剤が空気中の酸素と速やかに化合し、空気中から酸素が除去されることから、窒素濃度98%以上のガスを得ることができる。そして、この窒素ガスをメイン配管から改質装置30及び燃料電池40に導入することで、これら改質装置30及び燃料電池40内に残る改質ガス等の残留ガスをパージすることができる。
上記の窒素パージは、システムの停止時だけでなく、システムの起動時や停止中の保管時にも行うことができる。上記と同様に、バルブ12、13を開き、バルブ14、21を閉じ、空気ブロア11から空気を窒素ガス発生装置10に供給し、空気吸収剤により空気中から酸素が除去されて得られた窒素濃度98%以上のガスを、メイン配管から改質装置30及び燃料電池40に導入することで、これら改質装置30及び燃料電池40内のガスをパージすることができる。
なお、窒素ガス発生装置10で得られる窒素ガスは、原料の空気に起因してH2、CO、CO2等の不純物を微量に含むため、導入する空気を精製することで、これら不純物を除去することができる。例えば、H2は、空気中の水蒸気が酸素吸収剤と反応して生成するため、予め空気をシリカゲル等のフィルタに通して水蒸気を吸着することで、H2の生成を抑えることができる。また、COは、空気中のCO2が酸素吸収剤と反応して生成するため、予め空気を苛性ソーダ、ゼオライト、活性炭等のフィルタに通してCO2を吸着することで、COの生成を抑えることができる。なお、これによりCO2も除去することができる。燃料電池40内をパージする場合は、電極触媒を被毒するCOの生成は特に抑える必要があり、前述の方法により10ppm以下に抑えることができる。
窒素ガス発生装置10内の酸素吸収剤が空気中の酸素との酸化反応により劣化した場合、この劣化した酸素吸収剤は、系外の還元設備にて水素などの還元ガスで還元することで、再度使用することができる。なお、還元剤として使用するガスが水素の場合、高圧ボンベに充填された水素でも良いが、液体水素ボンベ、メタン(メタンガス、天然ガスあるいは石油等の炭化水素系原料)等の炭化水素類を触媒を用いて分解した水素、炭化水素類と水蒸気による水蒸気改質法により生成した水素、メタノール改質による水素、水の電気分解による水素等の生成した水素も用いることもできる。いずれの場合も、酸素吸収剤に供給する前に水分を除去し、ドライな水素を供給することが好ましい。酸素吸収剤が鉄で、水素にて還元を行う場合の反応式の一例を以下に示す。
Fe23+3H2→2Fe+3H2
なお、窒素ガス発生装置10内に充填した酸素吸収剤の劣化度をモニターするために、窒素ガス中の残酸素を測定する酸素センサ(図示省略)を窒素ガス発生装置10のガス出口に設けてもよいし、酸素吸収剤の酸化反応時に発生する酸化熱を測定する温度センサ(図示省略)や、または酸化による酸素吸収剤の重量増加を測定する圧力センサ(図示省略)を窒素ガス発生装置10内に設けてもよい。
窒素ガス発生装置10内に充填する酸素吸収剤の充填量は、改質器の容量に合わせて必要な窒素量と燃料電池発電システムの使用頻度、酸素吸収剤の交換回数(スパン)などから計算された量を充填する。例えば、1kW級の燃料電池発電システムを想定した場合、システム停止時に窒素パージを行う時、システムの形態にもよるが、必要な窒素量は約30Lである。システムの温度が低下するまで、0.5L/minで合計60分間のパージを実施したとすると、必要な金属鉄は約30gであり、この鉄を充填するのに必要な容積は約30mLである。本発明によれば、酸素吸収剤を収納する容器以外の設備は、必要に応じて断熱材や電気ヒータ、空気精製用フィルタ等があるが、1kW級のシステムを想定した場合、窒素ガス発生装置10の全重量は100g〜1kg、全容積は100〜1000mLの範囲である。したがって、同様の想定ではPSA方式の窒素ガス発生装置の全重量は約10kg、全容積は約20Lと非常に大型になることに比べ、大幅に軽重量化、小容量化を図ることができる。
本発明に係る燃料電池発電システムの他の3つの実施の形態を図2〜図4に示す。なお、図1と同様の構成については同一の符号を付し、その詳細な説明については省略する。
図2に示す実施の形態では、窒素ガス発生装置10と燃焼バーナ35とは配管を介して接続されており、この配管にはバルブ15が設置されている。また、窒素ガス発生装置10には、改質燃料1を供給するための配管が設けられ、この配管にはバルブ16が設けられている。このような構成によれば、システムの停止時にはバルブ15、16を閉じて、窒素ガス発生装置10にて窒素ガスを生成して窒素パージを行うが、劣化した酸素吸収剤を再生する際にはバルブ15、16を開いて、改質燃料1を窒素ガス発生装置10内に供給する。これにより酸素吸収剤を窒素ガス発生装置10または燃焼電池発電システムから取り外さずに、装置内に充填された状態のままで還元して、再生使用することができる。
改質燃料1は、メタン、プロパン、メタノール等が好適である。酸素吸収剤が鉄で、改質燃料1がメタンの場合の反応式の一例を以下に示す。
FeOx+CH4→FeOx-y+y12O+y2CO+y3CO2
上記式中、FeOxは酸化鉄(化学式はFenmをFeOmnと表記した)を表し、y=y1+y2+2y3、x≧yである。
還元反応は200〜700℃が好ましい。還元反応に必要な加熱源として、燃焼バーナ35を窒素ガス発生装置10の加熱に併用することもできる。また、燃料電池40で発電した電力の一部を使用した電気ヒータ(図示省略)や、改質ガスの一部やオフガスを使用した空気酸化燃焼手段や触媒燃焼手段(図示省略)を用いて窒素ガス発生装置10を加熱することもできる。なお、この還元反応により発生したオフガスは燃焼バーナ35に導入して、高温であるオフガスの熱の再利用を図ることから、酸化吸収剤の還元はシステム運転中に行うことが好ましい。
また、本実施の形態によれば、酸化吸収剤は窒素ガス発生装置10または燃料電池発電システムから取り外さずに還元することができることから、窒素ガス発生装置10内には、酸化鉄などの還元処理されていない(既に酸化された)酸素吸収剤を充填してもよい。もちろん、金属鉄などの還元処理された酸素吸収剤を充填してもよい。
図3に示す実施の形態では、選択酸化器33から燃料電池40へと改質ガスを供給する改質ガス供給配管と窒素ガス発生装置10とが配管を介して接続されており、この配管にはバルブ17が設置されている。このような構成によれば、システムの停止時にはバルブ15、17を閉じて、窒素ガス発生装置10にて窒素ガスを生成して窒素パージを行うが、劣化した酸素吸収剤を再生する際にはバルブ15、17を開いて、改質ガスの一部を窒素ガス発生装置10内に供給する。これによっても酸素吸収剤を窒素ガス発生装置10または燃焼電池発電システムから取り外さずに、装置内に充填された状態のままで還元して、再生使用することができる。
改質燃料にメタンを用いた場合、改質ガスの組成はH2、CO2、CH4、N2、CO、H2Oであるが、この内のCO2とH2Oを除去した後に窒素ガス発生装置10に導入することが好ましい。CO2とH2Oを除去することで、反応の平衡状態を還元側により近づけることができ、速やかに還元が行える。CO2は、苛性ソーダ、ゼオライト、活性炭等を用いて除去することができ、H2Oは、凝集器、気液分離装置、シリカゲル等を用いて除去することができる。
図4に示す実施の形態では、燃料電池40の燃料極41から燃焼バーナ35へとオフガスを送る排気配管と窒素ガス発生装置10とが配管を介して接続されており、この配管にはバルブ18が設置されている。このような構成によれば、システムの停止時にはバルブ15、18を閉じて、窒素ガス発生装置10にて窒素ガスを生成して窒素パージを行うが、劣化した酸素吸収剤を再生する際にはバルブ15、18を開いて、燃料極41からのオフガスの一部を窒素ガス発生装置10内に供給する。燃料極41からのオフガスには、未反応のH2及びCH4が含まれているので、これによっても酸素吸収剤を還元することができる。また、CO2とH2Oも含まれているので、上記と同様にCO2とH2Oを除去した後に窒素ガス発生装置10に導入することが好ましい。
(実施例1)
Alを添加した酸化鉄を、以下に示す共沈法(尿素法)にて調製した。先ず、超音波で5分間脱気した水25L中に、Alイオンが全金属イオンの3mol%となるように、硝酸鉄(III)九水和物(Fe(NO3)3・9H2O)0.97molと、アルミニウムの硝酸塩(Al(NO33・9H2O)0.03molと、沈殿剤として尿素25molを加えて溶解させた。混合溶液を攪拌しながら90℃に加熱し、3時間同温度に保持した。反応終了後、48時間放置し、沈殿させ、吸引ろ過を行った。得られた沈殿物(BET比表面積52.1m2/g、平均粒子径0.1μm)を80℃で24時間乾燥して、その後300℃で3時間、500℃で10時間空気焼成を行った。このようにして得られたAl添加酸化鉄をペレット状に成形した後、73.5g秤量した(すなわち、生成物が全てFe23とAl23からなっているとした場合、金属鉄(Fe)50.0g含有)。
次に、このAl添加酸化鉄を用いて、空気中から酸素を除去して高濃度窒素を生成する実験を行った。この実験に用いた反応システムの概略を図5に示す。上記により得られたAl添加酸化鉄を常圧固定床流通式の反応容器50に収納した。なお、この反応容器50は円筒状のステンレス製であり、シリカファイバーからなる断熱材で覆い保温した。そして、電気炉(図示省略)にて反応容器50を500℃に昇温した後、バルブ52を開いて水素5を反応容器30内に導入し、2時間にわたり還元反応を行った。
その後、今度はバルブ51を開いて、大気中の空気を1.5L/minの流量で反応容器50に導入し、常温にて、Al添加酸化鉄の還元物と空気中の酸素との酸化反応を行った。そして、反応容器50で生成したガスの流量を流量計54で測定するとともに、生成ガスの一部を採取してガスクロマトグラフ53で成分分析を行った。金属鉄1g当りの窒素発生総量(L)を表1に、生成ガス中の各成分の濃度変化を表2に示す。
Figure 0004795741
Figure 0004795741
表2に示すように、反応容器50では、空気を入れた瞬間にすぐに酸素は吸収され、窒素濃度が98%以上となったガスを約1.2L/minの流量で約30分間にわたり安定的に発生した。なお、ガス中のアルゴン濃度は1%以上で、窒素とアルゴンの合計は99%以上であった。その後、時間の経過に従い、酸素吸収剤の酸化効率は低下し、窒素濃度が低下した。反応開始から40分間に得られた窒素の総量は47.5Lであった。すなわち、金属鉄1g当りの窒素発生量は0.95Lであった。また、窒素、アルゴン、酸素以外の成分として、水素、一酸化炭素、二酸化炭素が微量に検出された。
さらに、再度、還元反応と酸化反応を上記と同様の手順にて行って、高濃度窒素を生成する実験を計3回繰り返した。その結果を表1に併記する。表1に示すように、酸化還元を繰り返しても、窒素発生量の低下はなかった。
(実施例2〜19)
酸化鉄の調製時に、Alの代わりにTi、Zr、V、Nb、Cr、Mo、Ga、Mg、Sc、Ni、Cu、Nd、Rh、Ir、Ru、Pd、Pt及びAl−Pdを添加した以外は、実施例1と同様の手順にて実験を行った。その結果を表1に示す。
参考例20)
酸化鉄の調製時にAlを添加しなかった以外は、実施例1と同様の手順にて実験を行った。その結果を表1に示す。
表1に示すように、第2群の金属を添加した実施例1〜13は、無添加のFeのみの参考例20と比べ、酸化還元の繰り返しによる劣化が少なく、3回目の試験でも高い窒素発生量を維持した。また、第3群の金属を添加した実施例14〜18は、無添加の実施例20と比べ、長時間にわたり高い窒素濃度を維持し、窒素発生量が向上した。第2群と第3群の両方の金属を添加した実施例19は、その両方の特性を備え、窒素発生量が向上したとともに、3回目の試験でも高い窒素発生量を維持した。
本発明に係る燃料電池発電システムの一実施の形態を示す模式図である。 本発明に係る燃料電池発電システムの一実施の形態を示す模式図である。 本発明に係る燃料電池発電システムの一実施の形態を示す模式図である。 本発明に係る燃料電池発電システムの一実施の形態を示す模式図である。 実施例に用いた反応装置を示す模式図である。
符号の説明
1 改質燃料
3 空気
5 水素
10 窒素ガス発生装置
11 空気ブロア
20 水蒸気供給器
30 改質装置
31 改質器
32 シフト変成器
33 選択酸化器
35 燃焼バーナ
40 燃料電池
41 燃料極
42 空気極
50 反応容器
53 ガスクロマトグラフ
54 流量計

Claims (6)

  1. 空気を原料として用い、この空気中の酸素を、鉄又は酸化鉄と、チタン、ジルコニウム、バナジウム、ニオブ、クロム、モリブデン、アルミニウム、ガリウム、マグネシウム、スカンジウム、ニッケル、銅及びネオジムからなる第2群から選ばれた少なくとも1つの金属、又はロジウム、イリジウム、ルテニウム、パラジウム及びプラチナからなる第3群から選ばれた少なくとも1つの金属とを含んでなり、共沈法により調製される酸素吸収剤と化合させることによって除去して、窒素濃度98%以上のガスを生成する窒素ガス発生装置。
  2. 前記酸素吸収剤が、前記第2群から選ばれた少なくとも1つの金属と前記第3群から選ばれた少なくとも1つの金属とを両方含んでなる請求項に記載の窒素ガス発生装置。
  3. 請求項1又は2に記載の窒素ガス発生装置と、改質燃料を改質して水素を生成する改質器と、この水素を用いて発電を行う燃料電池とを備えた燃料電池発電システムであって、このシステムの少なくとも起動時または停止時に、前記窒素ガス発生装置で発生する前記窒素ガスによって前記改質器および前記燃料電池の内部をパージするように構成した燃料電池発電システム。
  4. 前記酸素吸収剤を前記改質燃料で還元するように構成した請求項に記載の燃料電池発電システム。
  5. 前記酸素吸収剤を、前記改質器で生成する水素を含有するガスによって還元するように構成した請求項に記載の燃料電池発電システム。
  6. 前記酸素吸収剤を、前記燃料電池の燃料極側から排出するオフガスによって還元するように構成した請求項に記載の燃料電池発電システム。
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