JP4688477B2 - 水素発生媒体製造方法及び水素製造方法 - Google Patents

水素発生媒体製造方法及び水素製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、水を分解して水素を製造することができる水素発生媒体製造方法及び水素製造方法に関する。
燃料電池に水素を供給するために、水素を製造する技術が盛んに研究されている。その一つとして、純鉄に水蒸気を接触させて水素を製造する技術が知られている。純鉄は水素を発生することで酸化されて酸化鉄となる。この酸化鉄は、従来、水素を用いて還元されている(例えば、特許文献1参照)。このような純鉄を用いた方法では、850℃〜900℃といった高温を必要とする。
特開2002−173301号公報 (段落番号0012、0032、0050参照)
そこで本発明は、上記の問題に鑑み、水素をより低温で製造することができる水素発生媒体製造方法及び水素製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の水素発生媒体製造方法は、水、水蒸気または水蒸気を含むガスと接触して水素を発生する水素発生媒体を製造する水素発生媒体製造方法であって、水と、溶解性鉄(II)塩と、溶解性鉄(III)塩と、ニッケルまたはコバルトと、沈殿剤とを混ぜて攪拌する撹拌工程と、前記撹拌工程の後、静置して得られた沈殿物を分離して乾燥する乾燥工程とを含むことを特徴とする。
上記の態様において、前記水素発生媒体は、四酸化三鉄を含む微粒子であることが好ましい。ここで、微粒子であるとは、BET比表面積が数十m2/gオーダー(10〜300m2/gであり、好ましくは、50〜200m2/gである。)の粒子であることである。微粒子のまま金属鉄にできれば、表面の鉄が増えて低温で高い水素生成率が得られると考えられるからである。また、溶解性鉄(II)は塩化鉄(II)であり、溶解性鉄(III)は塩化鉄(III)であり、沈殿剤はアンモニアであることが好ましい。
さらに、別の態様として、上記の水素発生媒体製造方法で製造された水素発生媒体を還元する工程と、水、水蒸気又は水蒸気を含むガスを還元された水素発生媒体に接触させて水素を発生する工程とを含む水素製造方法が挙げられる。
また、上記により製造した水素発生媒体を用いた水素発生装置用カセットや、水素発生装置も好ましく挙げられる態様である。
このように、本発明によれば、水素をより低温で製造することができる水素発生媒体製造方法及び水素製造方法を提供することができる。
以下に、本発明に係る水素発生媒体製造方法及び水素製造方法の実施の形態について説明する。
本発明の水素発生媒体製造方法は、水、水蒸気または水蒸気を含むガスと接触して水素を発生する水素発生媒体を製造する水素発生媒体製造方法であって、水と、溶解性鉄(II)塩及び溶解性鉄(III)塩と、沈殿剤とを攪拌する撹拌工程と、前記撹拌工程の後、静置して得られた沈殿物を分離して乾燥する乾燥工程とを含むことを特徴とする。
本発明の水素発生媒体製造方法で用いられる水は、通常の化学工程で用いられるものであってよい。しかし、この水は、脱気してあることがより好ましいことが分かっている。脱気により水中の溶存酸素が除去され、沈殿する鉄や鉄以外の金属が酸化されず、より微細な四酸化三鉄の微粒子を得ることができるからである。不活性ガスの雰囲気中で、イオン交換水等の水を超音波洗浄器などの超音波振動器を用いて加振し、脱気することができる。もちろん、他の公知の脱気方法を用いることもできる。
水に加えられる溶解性鉄(II)としては、例えば、塩化鉄(II)、硫酸鉄(II)、硝酸鉄(II)などを用いることができるが、塩化鉄(II)を用いることが特に好ましい。また、溶解性鉄(III)としては、例えば、塩化鉄(III)、硫酸鉄(III)、硝酸鉄(III)などを用いることができるが、塩化鉄(III)を用いることが特に好ましい。
また、前記水素発生媒体は、鉄に鉄以外の金属として、ニッケルまたはコバルトが添加されている鉄以外の金属としては、ニッケルまたはコバルトに加えて、クロム、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、バナジウム、ニオブ、モリブデン、ガリウム、マグネシウム、スカンジウム、銅、ネオジウムの少なくともいずれか1つから選ばれる金属を用いることができる。かかる金属を添加することで、酸化還元反応で水素発生媒体のシンタリングによる粒子成長が抑えられ、水素発生効率の低下を抑えることができるからである。また、ニッケルまたはコバルトに加えて、白金、ロジウム、イリジウム、パラジウム、ルテニウムの少なくともいずれか1つから選ばれる金属を用いて添加することもできる。これらの金属を添加することで、200℃以下の温度で十分な水素を発生することができる添加する金属の配合割合は、全金属を100mol%とした場合、0.1〜30mol%が好ましく、0.1〜15mol%がより好ましい。0.1mol%未満の配合では、水素の発生効率を向上する効果が認められない。一方、30mol%を超えると、鉄の酸化還元反応の効率が低下するので好ましくない。
さらに、前記の金属塩を溶解させた溶液を、沈殿剤に滴下して撹拌する。沈殿剤としては、例えば、アンモニア、尿素、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩などを用いることができ、なかでもアンモニアを用いることが好ましい。そして、四酸化三鉄の微粒子が発生して沈殿する。この撹拌工程は、空気中でも行えるが、溶液を撹拌する際に、溶液中に空気中の酸素が混入しないようにアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下又は空気に接しない条件下で行うことがより好ましい。溶液中に空気中の酸素が混入しないことで、沈殿する鉄や鉄以外の金属が酸化されず、より微細な四酸化三鉄の微粒子を得ることができるからである。また、前記滴下の方法は、沈殿剤として前記の金属塩等を溶解させた溶液を用いてこれに滴下してもよい。
上記撹拌工程の後、静置して得られた沈殿物を分離する。分離の方法は、静置以外に遠心分離による方法や、磁気による分離など他の公知の分離方法を用いることもできる。その後、沈殿物をイオン交換水とアセトンで洗浄し、真空乾燥を行う。
乾燥した沈殿物は、熱処理した後、アルミナ乳鉢で粉砕することができる。そのまま粉末状でも水素発生媒体として用いることができるが、ペレット状、円筒状、ハニカム構造、不織布形状など反応に適した形状を選択することが好ましい。このようにして、本発明の水素発生媒体である四酸化三鉄(Fe34)の微粒子及び微粒子の成形体が製造できる。
次に、以上の方法で製造された四酸化三鉄等の水素発生媒体を用いた本発明の水素製造方法について説明する。
図1を参照して、本発明の水素製造方法を好適に実施可能な水素発生装置について更に詳細に説明する。図1は、本発明の水素発生媒体を用いた水素発生装置の一例を示す模式図である。
図1に示すように、水素発生装置10は、水を供給するための水供給装置1と、反応管22を収容したカセット2とを備えている。カセット2内の反応管22には、本発明の水素発生媒体23である四酸化三鉄が収容されている。当該反応管22は、水を供給するための水供給装置1と管11で結合され、一方で、水素や水蒸気排出のための管26に接続されている。水素発生装置10内で水分解反応を行い、発生した水素は、固体高分子型燃料電池(図示省略)などの水素を必要とする系にこの管26を介して送られる。管11と管26とはカセットの一部とすることもできる一方、水素発生装置10の側に設けておくこともできる。
水分解・還元反応や水を気化させるための熱を供給する熱源として、カセット2内にはヒータ25が設置することができる。ヒータ25の熱源は一般的に使用される電気炉、ヒータ、電磁誘導加熱、触媒燃焼加熱、化学反応による加熱のいずれでもよい。反応管はステンレススチール、アルミ等の金属やアルミナ、ジルコニアなどのセラミックス、フェノール、ポリフェニレンサルファイド等の耐熱性プラスチック等で作られ、熱や内外圧力に耐えうる構造をとすることができる。カセット2内にはシリカ繊維などの断熱材21が挿入され、カバーで覆われる。カセット2のガス導入排出口にはそれぞれフィルタ24が設けられる。
上記の水素発生媒体製造方法により調製された四酸化三鉄を反応管22内に置き、水素や一酸化炭素などの還元性ガスにより四酸化三鉄を鉄に還元する。この還元された鉄の粒子に、水、水蒸気又は水蒸気を含むガスを接触させて水素を製造する。この際、水と反応した鉄は四酸化三鉄になる。かかる還元工程は、市販のFe34を用いると、反応管22内の温度を加熱手段により約330℃〜約700℃に加熱しなければならなかった。しかし、本発明にかかる水素発生媒体を用いた還元工程では、加熱手段により約310℃以下の加熱を行うだけでよい。還元剤として使用するガスは、高圧ボンベに充填された水素でもよいが、液体水素ボンベ、メタン(メタンガス、天然ガスあるいは石油等の炭化水素類系原料)等の炭化水素類を触媒を用いて分解した水素、炭化水素類と水蒸気による水蒸気改質法による生成した水素、メタノール改質による水素、水の電気分解による水素等の発生した水素を用いることもできる。尚、いずれの場合にも、反応管22に供給する前に水分を除去し、ドライな水素を供給することが好ましい。
反応管22内では、導入された還元ガスによって、媒体中の水素発生媒体が純金属または低原子価金属酸化物に還元される。例えば、水素発生金属がFeで還元ガスが水素の場合の反応式を以下に示す。
FeOx+H2→FeOx-y+yH2
ここで、上記式中、FeOXは酸化鉄(化学式FenmをFeOm/nと表記した)を表している。
本発明において、原料として用いられる水は、必ずしも純水でなくてもよく、水道水、工業用水などが用いられている。
本発明にかかる水素製造方法によれば、局地設備用、工場用、家庭用もしくは車両搭載用の燃料電池に、燃料電池の電極を被毒する一酸化炭素の発生なしに、水素を安価に供給することができる。製造した水素は、燃料電池に用いられるだけでなく、水素バーナなどの広範囲な水素利用手段に用いることができる。また、還元された水素発生媒体を容器に充填させ、可搬型水素供給カセットとして、前述したような燃料電池などの水素供給手段に用いることができる。
更に、本発明によれば、内部に水素発生媒体を収納し、少なくとも2つの配管取付手段を具備したカセットからなり、このカセットには配管取付手段の一方を介して水又は水蒸気を注入することができ、水が分解して発生した水素を、他方の連結孔配管取付手段から水素消費装置へ供給可能であることを特徴とする水素発生装置が提供できる。カセットを外から加熱することもできるが、カセットの内部にヒータを設けてもよい。水と反応し酸化された鉄は、再度水素などにより還元され、活性が低下することなく繰り返し水素発生媒体として用いることができる。このカセットは、ある程度の耐熱性があり、金属などの材料により作ることができる。
また、カセットから発生するガスは純粋な水素と水蒸気以外の不純物は含まないため、低温作動型燃料電池(固体高分子型、リン酸型、KOH型など)の燃料極を被毒することはなく、CO除去装置も必要でなくシンプルなシステムで構成することができ、経済的な効果が大きい。
水素を得るための水分解工程は、従来では、反応管の温度を加熱手段により約250℃から約600℃に加熱しなければならなかった。しかし、本発明にかかる水素発生媒体を用いた水分解工程では、加熱手段により約100℃〜約240℃程度に加熱すればよい。
反応管内において、導入された水は加熱されて通常は水蒸気となり、この水蒸気は、還元工程により還元された媒体中の水素発生金属(純金属)又はその低原子価金属酸化物によって分解されて、水素が発生する。水素発生金属(純金属)又はその低原子価金属酸化物は、水分解反応により低原子価金属酸化物又は高原子価金属酸化物となる。水素発生金属として、鉄の酸化物を用いた場合の反応式を以下に示す。
FeOx-1+H2O→FeOx+H2
図2は、図1に示した水素発生装置が燃料電池に接続された状態を示す模式図である。
上記の水分解工程により、図2に示すように、カセット内の還元された水素発生媒体は水と反応し、カセットから水素が発生する。発生した水素は、固体高分子型燃料電池3と接続された管を通して、固体高分子型燃料電池3の燃料極31へ供給される。固体高分子型燃料電池3の空気極32へは空気が導入され、水素と空気中の酸素の反応により、電気エネルギーが取り出される。
本発明は、図1に示すシステムを用いて説明されているものであるが、本発明の実施はこのようなシステム構成に限られるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内における修飾・変更・付加は全て本発明に含まれる。特に、本発明の水素発生媒体は、図1に示したもの以外の多くの水素発生システムにおいて使用できる。
以下、本発明の効果を例証するための実施例について説明する。ただし本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例1)
以下に示す方法で液中でのFe34合成を行った。先ず、超音波洗浄器で脱気したイオン交換水20mlに、塩化鉄(II)(FeCl2)を2mmolと塩化鉄(III)六水和物(FeCl3・6H20)を4mmolとニッケルの塩化物とを溶かし,25%アンモニア水20mlに滴下していく。ニッケルの塩化物は、Fe:Ni=95:5になるように添加した。
滴下終了後,Arガス雰囲気下で1時間撹拌して30分静置した。静置して得られた沈殿をイオン交換水で5回、アセトンで5回洗浄し、真空乾燥した。その後、473Kで30分熱処理後、アルミナ乳鉢で粉砕してNiが添加された四酸化三鉄を得た。
次いで、以下に示す装置を用いて、得られたNiが添加された四酸化三鉄を水素により還元させた後、水蒸気を接触させて水素を発生させる実験を行った。反応は、図3に示す閉鎖型ガス循環型反応装置で行った。
図3は、この実験に用いた反応装置の概要を示す模式図であり、(a)は水素による還元反応を、(b)は水素発生反応(水分解反応)を行う場合を示す。水素による還元では、系内に水素を導入し、還元により生成するH20をドライアイスエタノールでトラップしながら反応を行なった。水蒸気による再酸化では、水を15℃でトラップし、系内の水蒸気圧が常に一定(13.0Torr)になるようにして反応を行った。水素発生媒体である四酸化三鉄の微粒子に含まれるFeが5.0×10-4mol(Fe34なら38.6mg)になるように秤量し実験を行った。
まず、前処理として図3(a)に示すように、パイレックス(登録商標)ガラス製の反応器70内に、得られた水素発生媒体90を入れ、ガラス管72に設けられた弁61、62、65、66を閉じ、弁63、64を開くことで、反応装置を固定床流通式とした。そして、弁63を介して、室温にて10分間不活性ガスであるArを系内に流通させた。その後、弁63、64を閉じて弁62、65、66を開き、真空ポンプ88により523Kで30分の真空排気を行った。
次に、還元反応を行うため、弁63を開いた。トラップ装置82内には、ドライアイス84とエタノール85を充填した。また、弁63を介して1.5×10-3molのH2を系内に導入し、閉鎖型ガス循環式で水素発生媒体90に接触させた。見かけ上反応の進行が止まるまで、電気炉80にて反応器70を433Kから0.9K/minで昇温していった。圧力計76により系内の圧力を測定し、圧力が低下し始めたことにより還元が起こり始めたと判断した。還元は、250℃で起こり始めたので昇温をとめた。そのまま水素還元を続けて水素消費量を見た。
水素による還元反応が終了した後、図3(b)に示す水素発生反応(水分解反応)を行った。反応装置は、弁63、64を閉じて弁62、65を開き、閉鎖型ガス循環式とした。トラップ装置82内に冷水86を充填し、温度を15℃に保持し、系内の水蒸気圧が13.0Torrに保たれるようにした。電気炉80により反応器70を423Kから2K/minで昇温していった。圧力計76により系内の圧力を測定し、圧力が上昇し始めたことにより水素の発生が起こり始めたと判断した。水素の発生は、423K(150℃)で起こり始めたので昇温をとめた。引き続き反応を水素の発生が停止するまで行った。Niが添加された四酸化三鉄により水は分解され、これにより発生した水素を含むガスは、ガス循環ポンプ74により系内を循環させた。そして、圧力計76により系内の圧力を測定し、ガスの発生量を測定するとともに、弁61を開閉してガスクロマトグラフ78によりガスの成分分析を行った。
水素の生成がほぼ停止した後、反応器70を423K(150℃)から2K/minで昇温した。すると、453K(180℃)に昇温した時点で再び水素が発生したので、昇温を止め、もう一度反応を行うことによって再酸化反応が止まるまで反応を行った。これらの測定結果に基づき、水素の発生量を求めた。水素の生成率は、423K(150℃)で34%(以下、水素の生成率は、すべてのFeが使われた場合を100%とする。)、453K(180℃)で57%であった。水素還元反応の結果を図4に、また、水分解反応の結果を図5に示す。
図4及び図5において、実線は系内の温度を示し、破線は系内の水素の圧力変化を示している。
参考例2)
ニッケルの塩化物の代わりに白金の塩化物を用い、昇温は373K(100℃)から2K/minで行ったことを除き実施例1と同様にして、Pt−Fe34を調製し、水素還元反応及び水蒸気酸化反応の試験を行った。すると、還元では、220℃で起こり始めた。また、水素の生成率は、373K(100℃)で25%、453K(180℃)で65%であった。本参考例における水素還元反応の結果を図6に、また、水分解反応の結果を図7に示す。
図6及び図7において、図4及び図5と同様に、実線は系内の温度を示し、破線は系内の水素の圧力変化を示している。
参考例3)
白金の塩化物の代わりにパラジウム(Pd)の塩化物を用い、参考例2と同様にして、Pd−Fe34を調製し、水素還元反応及び水蒸気酸化反応の試験を行った。すると、還元は、240℃で起こり始めた。また、水素の生成率は、393K(120℃)で26%、453K(180℃)で68%であった。本参考例における水素還元反応の結果を図8に、また、水分解反応の結果を図9に示す。
図8及び図9において、図4及び図5と同様に、実線は系内の温度を示し、破線は系内の水素の圧力変化を示している。
(実施例4および参考例5〜7)
白金の塩化物の代わりにコバルトの塩化物(実施例4)、クロムの塩化物(参考例5)、アルミニウムの塩化物(参考例6)、ロジウムの塩化物(参考例7)を用いたことを除き参考例2と同様にして、各種金属添加Fe34を調製し、水素還元反応及び水蒸気酸化反応の試験を行った。本実施例および参考例における水素還元反応の結果を図10(コバルト)、12(クロム)、14(アルミニウム)、16(ロジウム)に、また、水分解反応の結果を図11(コバルト)、13(クロム)、15(アルミニウム)、17(ロジウム)に示す。
図10乃至図17において、図3及び図4と同様に、実線は系内の温度を示し、破線は系内の水素の圧力変化を示している。
参考例8)
白金の塩化物を添加しない以外は参考例2と同様の方法で、鉄以外の金属が添加されていないFe34を調製し、水素還元反応及び水蒸気酸化反応の試験を行った。すると還元は、270℃で起こり始めた。また、水素の生成率は483K(210℃)で53%であった。本参考例のFe34を用いた水素還元反応の結果を図18に、また、水分解反応の結果を図19に示す。
図18及び図19において、他の実施例と同様に、実線は系内の温度を示し、破線は系内の水素の圧力変化を示している。
(比較例1)
本発明による調製法で得られた四酸化三鉄の代わりに、市販の四酸化三鉄(和光純薬工業製、BET比表面積3m2/g以下)を用い、実施例と同様に水素還元反応及び水蒸気酸化反応の試験を行った。すると、還元は、330℃で起こり始めた。また、水素の生成率は523K(250℃)で34%であった。このように、本発明の実施例と比較して、市販の四酸化三鉄では水素還元反応及び水蒸気酸化反応には、より高い温度を必要とすることが分かる。本比較例における水素還元反応の結果を図20に、また、水分解反応の結果を図21に示す。
図20及び図21において、他の実施例と同様に、実線は系内の温度を示し、破線は系内の水素の圧力変化を示している。
また、表1に各金属添加Fe34の各実施例及び参考例について水素還元・水蒸気酸化が起こり始めた温度とその温度での水素生成率(カッコ内)とを示した。金属添加なしの参考例及び比較例の結果も同時に示した。尚、表1におけるBET比表面積は、各実施例、参考例及び比較例において還元前のFe34を測定した結果を示す。
Figure 0004688477
表1によると、Pt添加では、100℃から水素が生成し、水素生成率25%まで反応が進行した。また、貴金属以外では、Ni添加が、150℃で水素生成率34%であった。またそこから昇温していくと水素の生成量は増え、200〜220℃程度で水素生成率は約90%に達した。Rh添加では水素還元に必要な温度は190℃と低いものの、水蒸気酸化には160℃という他の貴金属に比べ高い温度が必要であった。RhはPt、Pdに比べ水蒸気酸化を活性化する能力が低いか、水素還元時にFeもしくはRhがシンタリングしてしまい活性が下がるかのどちらかであると考えられる。
このように、Pt添加では、100℃で水素生成率25%、Ni添加では、150℃で水素生成率34%であった。このことから、本発明によれば、水素発生媒体を微粒子化してかつ促進効果のある金属を添加すれば、低温でも水素生成反応が進行することができる。また、水素生成率が温度を上げていくと増えていくので、100℃では微粒子の表面近傍だけが反応に関与して、温度を上げていくと内部の鉄も反応できるようになると考えられる。したがって微粒子のまま金属鉄にできれば,表面の鉄が増えて低温で高い水素生成率が得られると考えられる。
本発明に係る水素製造方法を実施するに好適な水素製造装置を示す模式図である。 水素発生装置が燃料電池に接続された状態を示す模式図である。 酸化鉄の反応装置を示す模式図であって、(a)は還元反応を、(b)は水分解反応を行う場合を示す図である。 ニッケル添加四酸化三鉄を用いた水素還元反応の結果を示すグラフである。 ニッケル添加四酸化三鉄を用いた水分解反応の結果を示すグラフである。 白金添加四酸化三鉄を用いた水素還元反応の結果を示すグラフである。 白金添加四酸化三鉄を用いた水分解反応の結果を示すグラフである。 パラジウム添加四酸化三鉄を用いた水素還元反応の結果を示すグラフである。 パラジウム添加四酸化三鉄を用いた水分解反応の結果を示すグラフである。 コバルト添加四酸化三鉄を用いた水素還元反応の結果を示すグラフである。 コバルト添加四酸化三鉄を用いた水分解反応の結果を示すグラフである。 クロム添加四酸化三鉄を用いた水素還元反応の結果を示すグラフである。 クロム添加四酸化三鉄を用いた水分解反応の結果を示すグラフである。 アルミニウム添加四酸化三鉄を用いた水素還元反応の結果を示すグラフである。 アルミニウム添加四酸化三鉄を用いた水分解反応の結果を示すグラフである。 ロジウム添加四酸化三鉄を用いた水素還元反応の結果を示すグラフである。 ロジウム添加四酸化三鉄を用いた水分解反応の結果を示すグラフである。 参考例8の無添加四酸化三鉄を用いた水素還元反応の結果を示すグラフである。 参考例8の無添加四酸化三鉄を用いた水分解反応の結果を示すグラフである。 市販の無添加四酸化三鉄を用いた水素還元反応の結果を示すグラフである。 市販の無添加四酸化三鉄を用いた水分解反応の結果を示すグラフである。
符号の説明
1 水供給装置
2 カセット
3 燃料電池
10 水素発生装置
11 管
21 断熱材
22 反応管
23 水素発生媒体
24 フィルタ
25 ヒータ
26 管
31 燃料極
32 空気極
61〜66 弁
70 反応器
72 ガラス管
74 ガス循環ポンプ
76 圧力計
78 ガスクロマトグラフ
80 電気炉
82 トラップ装置
84 ドライアイス
85 エタノール
86 冷水
88 真空ポンプ
90 試料
92、94 水

Claims (8)

  1. 水、水蒸気または水蒸気を含むガスと接触して水素を発生する水素発生媒体を製造する水素発生媒体製造方法であって、
    水と、溶解性鉄(II)塩と、溶解性鉄(III)塩と、ニッケルまたはコバルトと、沈殿剤とを混ぜて攪拌する撹拌工程と、
    前記撹拌工程の後、静置して得られた沈殿物を分離して乾燥する乾燥工程と
    含む水素発生媒体製造方法。
  2. 前記水素発生媒体は、四酸化三鉄の微粒子を含むことを特徴とする請求項1記載の水素発生媒体製造方法。
  3. 前記溶解性鉄(II)が塩化鉄(II)であることを特徴とする請求項1又は2記載の水素発生媒体製造方法。
  4. 前記溶解性鉄(III)が塩化鉄(III)であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の水素発生媒体製造方法。
  5. 前記沈殿剤がアンモニアであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の水素発生媒体製造方法。
  6. 請求項1乃至のいずれかに記載の水素発生媒体製造方法で製造された水素発生媒体を還元する工程と、
    水、水蒸気又は水蒸気を含むガスを還元された水素発生媒体に接触させて水素を発生させる工程と
    を含む水素製造方法。
  7. 請求項1乃至のいずれかに記載の水素発生媒体製造方法により得られた水素発生媒体を含む水素発生装置用カセット。
  8. 請求項1乃至のいずれかに記載の水素発生媒体製造方法により得られた水素発生媒体を含む水素発生装置。
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