JP4794608B2 - 虫歯象牙質を選択するエキスカベータ - Google Patents

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Description

(発明の分野)
本発明は一般的に歯科用切削器具の技術分野に関し、より詳細には、健康な象牙質を除去することなく虫歯象牙質を選択的に除去する歯科用バーに関する。
(発明の背景)
虫歯象牙質を歯から除去するために使用される多数の一般的な歯科用器具がある。しかしながら、典型的には操作者がより硬質な材料に接触したことに気づかず、速やかに穿孔を中止ない場合、従来技術のバーは、虫歯象牙質の除去中および除去後に、通常の象牙質を切削し続ける。より硬質な材料にいつ接触したかを正確に検出することが困難であるために、このバーを使用する副作用は、通常の健康な象牙質のいくつかを切削してしまうことである。さらに、このバーを使用することによる副作用は、感染されたバーおよび詰まったバーを生成し、そのようなバーは、処分するには比較的高価であり滅菌するには困難である。
従って本発明の目的は、硬質材料と軟質材料の選択的識別を可能にする歯科用切削器具を提供することであり、実質的にこれらは操作者の制御と無関係である。
(発明の要旨)
本発明の歯科用切削器具(または「バー」)は作業表面を有し、作業表面は事前に選択された硬度より少ない硬度を有する材料のみを選択的に削除または穿孔するように適応された切削要素を含む。事前に選択されたレベルの硬度を超える材料に接触した場合、切削要素は湾曲、変形、または摩耗し、それにより硬質な虫歯でない象牙質への損傷を防ぐ。
上記に加えて、本発明は、以下を提供する:
(項目1) 虫歯象牙質を歯から除去する際に使用する歯科用バーであって、該バーは切削要素を含む作業表面を有し、該切削要素は、虫歯でない象牙質のより低い制限硬度に対応する事前に選択された硬度以上の硬度を有する材料と接触する際、湾曲、変形、または摩耗するように適応される、歯科用バー。
(項目2) 前記バーが取り付け部材に配置され、歯科用穿孔装置内に保持され、該歯科用穿孔装置により起動するように適応される、項目1に記載の歯科用バー。
(項目3) 前記取り付け部材が前記装置に取り外し可能に配置される、項目2に記載の歯科用バー。
(項目4) 前記事前に選択された硬度以上で材料を切削するために必要な剪断力を超過する剪断力が作用する場合、前記切削要素が湾曲する、項目1に記載の歯科用バー。
(項目5) 前記切削要素が、ボール様構造の表面上に配置された外部プロジェクションである、項目3に記載の歯科用バー。
(項目6) 前記切削要素が金属を含む、項目5に記載の歯科用バー。
(項目7) 前記金属が、アルミニウムまたはアルミニウム合金である、項目6に記載の歯科用バー。
(項目8) 前記切削要素が、ボール様構造内の複数の溝の間に挿入された複数の外向きに突出したブレードを備える、項目1に記載の歯科用バー。
(項目9) 前記切削要素が、アルミニウムまたはアルミニウム合金を含む、項目8に記載の歯科用バー。
(項目10) 前記切削要素が、ボール様構造の周りで形成された多数のワイヤを備える、項目3に記載の歯科用バー。
(項目11) 前記切削要素が、不規則配向を有し、ボール様構造を形成するために圧縮された多数のワイヤを備える、項目3に記載の歯科用バー。
(項目12) 前記事前に選択された硬度以上で材料を切削するために必要な剪断力を超過する剪断力が作用する場合、前記切削要素が摩耗する、項目1に記載の歯科用バー。
(項目13) 前記切削要素が、ボール様構造内の複数の溝の間に挿入された複数のブレードを備える、項目12に記載の歯科用バー。
(項目14) 前記摩耗可能な切削要素が、硬質セラミックまたはプラスチック材料を備え、前記虫歯でない象牙質の硬度以上の硬度を備える象牙材料を切削するのに必要な力の領域内の力が作用する場合、該切削要素が、該セラミックまたはプラスチック材料よりも実質的に軟質な材料に埋め込まれ、より軟質な材料から分離可能である、項目12に記載の歯科用バー。
(項目15) 前記摩耗可能な切削要素が、硬質セラミックまたはプラスチック材料を備え、前記虫歯でない象牙質の硬度以上の硬度を備える象牙材料を切削するために必要な力の範囲内の力が作用する場合、該摩耗切削要素が変形可能となる、項目12に記載の歯科用バー。
(項目16) 前記切削要素が、外向きに突出したシリコーンゴム備え、前記虫歯でない象牙質の硬度以上の硬度を備える象牙材料を切削するために必要な力の範囲内の力が作用する場合、該切削要素が変形し、変形後、該切削要素は該力がもはや作用しない場合、該切削要素は複製し、外向きに突出する、項目1に記載の歯科用バー。
本発明は、添付図面と共に理解すれば、以下の詳細な説明により最良の理解を与える。
(発明の詳細な説明)
ここで、図を参照すると、同様の参照符号は本明細書中全体に渡って同様の工程および要素に言及しており、図1および図1Aは、それぞれ本発明の第1の例示的実施形態に対するバーの切削ヘッドの側面図および断面図である。図1および図1Aに示されるように、バー210は、溝230の間に挿入されたバーブレード(bur blade)220を含む。バーブレード220はバーブレード220が軟質性虫歯象牙質を切削するが、特定の硬度を有する象牙質に到達する際、溝230の領域に向って内側に湾曲し、バー210を一時的または永続的に操作不能にするように形成される。最適には、ブレード220は凹部225を含み得、健康な象牙質を切削することなく、虫歯象牙質を切削するために要する最大の力に特有の、事前に選択されたレベルを超える抵抗力と接触する際に、ブレード220の湾曲、変形、および/または摩耗のより良好な制御に影響を及ぼす。これは、異なる個人の状況、患者または患者群によって異なり、一般的に通常の象牙質についてさらに低いレベルの硬度は、ヌープ硬さ数(Knoop Hardness Number:KHN)が約20〜60の領域にある。従って、本発明のブレード(または、他の実施形態の切削要素)は、事前に選択された硬度(好適に約60KHNを超える)を超える材料に接触する際、湾曲、変形または摩耗をするように構築される。
ブレード220の材料構造および、ブレード220の寸法(特に各ブレードの高さおよび各ブレードの幅の変動)の適切な選択により事前に選択された抵抗力において湾曲するために、当業者はブレード220を容易に設計し得る。さらに、上述したように凹部225はブレード220の設計に組み込まれ得、湾曲または変形を最適化する。
バーブレード220の数は、設計パラメータによって増加はたは減少され得る。同様に、溝230の深さは変化され得、バーブレード220の表面領域は特定設計パラメータによって増加または減少され得る。例えば、軟質象牙物質中のスク−ピング効果(scooping effect)を増加するためにバーブレード220の数は減少され得、バーが硬質材料に接近するにつれてバーブレード220の効果が減少するため溝230は深くなり得る。
また、当該分野の設計者が最適実行について最適化される他の重要な設計変数は、凹部225であり、顕著に変化し得る勾配および深さである。例えば、角度ぎざぎざはまた、この湾曲効果関数(すなわち、バーブレード220が破損する抵抗レベルを制御するため)を実行する。
バーブレード220のある実施形態は、溝230に湾曲した後に初期形態に回復し、次いでより薄く軟質虫歯象牙質を切削することが利用可能となり得る。これらはシリコーンゴムおよび弾力性を有し成形されたプラスチックの実施形態を含む。回復能力は、複数の垂直アプローチにより虫歯象牙質の除去を可能にする。バー210の他の代替的実施形態において、アルミニウム、アルミニウム合金、硬化セラミックおよびプラスチックで構成され、ブレード220は変形または摩耗し、操作不能にされ得る。
ブレード220および溝230の形状は図1Aのバー210の断面図から理解され得る。バー210は、アルミニウムまたはアルミニウム合金を含むような比較的硬い金属球を機械加工することで製造され得る。あるいは、ブレード220は、下にある床に対して分離的に生成および固定され得る。いずれの場合においても、ブレード220は、ブレード220およびコアを通過して延びる中心ピンへのシャンクをによって固定され得る。
軸は、米国国立標準協会/米国歯学会(ANSI/ADA)仕様書第23(歯科用掘削バー)号に記載の標準サイズを有する。軸は、鋼、アルミニウムまたは他の適応材料で構成され得る。ラッチタイプ(クラス1−角度のハンドピース)および摩擦グリップ(クラス4−角度のハンドピース)軸の両方は本発明のエキスカベータで使用され得る。バー210はまた、例えば液体シリコーンゴムから射出成型され得る。
バー210の色は、バー210が成形される各サイズバーおよび各硬度レベルのため独自化され得る。これはバー210のユーザが、バーが必要とする所望のサイズおよび硬度レベルを迅速に特定することを可能にする。バーのヘッドは球形または卵型であり、約0.6mm〜4.0mmの直径を有する。さらに、ヘッドは代替可能な形状を有し、交替可能な形状は本発明の切削要素と共用し得る。ヘッドは、成型プラスチック、選択的ポリメタクリル酸メチル、シリコーンゴム、ワイヤボール、ポリマーウール、アルミニウムまたはアルミニウム合金、鋳造合金およびセラミックを含む多様な材料で作製され得る。
事前に選択された抵抗力を受ける際、湾曲するブレード220の設計の代替として、バーブレード220は研磨可能な材料(例えば、樹脂床中の硬質セラミック要素)であり、事前に選択された抵抗力を受ける場合、セラミック要素を破損または放出するように設計される。
また他の特性は、ブレード220中で、連続ブレード220間の距離を増加または減少させ、従ってブレード220が縮小し得る溝の領域を拡張または減少させることによって設計され得る。
また他の代替バー設計が示され、例えば、図2において本発明の第2の例示的実施形態について形成されたバー310の側面図を示し、図2Aにおいて、図2に示されたバー310の断面図である。図3は、ポリマーウールボール中でワイヤ420を有するバー410を示す。図4はボール様構造中のバー510を示し、図4Aは図4に示されたバー510の断面図を示す。図5は、代替的なボール様の構造においてワイヤ620を有するバー610も示す。
図2〜5に示すバーは、それらの機械的設計において全て変化するが、各バーは、事前に選択された切削抵抗力を受ける際、湾曲、変形または摩耗する切削要素を使用する本発明の核心となる概念に依存する。この力は差力特性であり、この差力特性未満で、バーにより軟性あるいは虫歯象牙質が切削または穿孔され得、差力特性よりも大きな力で切削する行為が健康な象牙質に対しても効果的であり得る。
本発明のこれらの異なる機械形状は、図2および2Aにおいてバーを従来の歯科用穿孔装置に取り付けるため繊維状凹部302を備えるボール様の中央要素300を備える。図示しないが、そのように取り付けられた凹部はシャンクと異なる材料から作製された全バーヘッド中に必然的に備えられ得る。すなわち、機械加工したセラミック、成型シリコーンゴム、ワイヤボール、ポリマーウールボール、およびセラミックフォームバージョンである。さらに、全エキスカベータ(ブレード、コアおよびシャンク)についての材料が同様な材料である場合(すなわち、機械加工されたアルミニウム、またはアルミニウム合金、および成型されたプラスチックバージョンである)取り付けられた凹部は必要とされない。上述したように、エキスカベータのシャンクはANSI/ADA仕様に従う。図2および図2Aの歯科用バー310は、切削要素として有用な外向きに穿孔されたパンチ突出部320をさらに含む。図1のバー210の切削ブレードのように、図2および図2Aのバー310の外向き突出部320は機械的に設計され、事前に選択された硬度の象牙質と接触する際、湾曲または摩耗のいずれかを行なう。このような設計は、直立突出部の構成で使用される寸法および材料を参考にすることで容易に当業者により作製され得、図2および図2Aのバーにおいて切削材料320を構成する。
さらに、図3および図5に示す実施形態は歯科用バーを含み、上述の実施形態のように取り付けボール上に配置され得る切削要素は、図3の比較的硬質でワイヤ様切削材料420または図5の材料620を含む。その材料は、軟性象牙質材料を切削するための湾曲および摩耗に対し十分抵抗性があるが、健康な象牙質材料を切削または損傷することを回避するために十分に湾曲可能または摩耗可能である。これは、他のバーにおける切削動作の中断を回避させることに有用であり得、このバーにおいて、図1に示される型のバー210中の狭い溝または図4に示される型のバー510におけるより高密度な切削材料が、穿孔表面から除去された虫歯象牙物質を完全に充填するようになり、従ってさらなる切削処理を回避する。図3および図5に示されるワイヤの切削効果は、個々のワイヤフィラメントの断面積に関連して選択されたワイヤの形状弾性の設計要素およびバルクワイヤの密度により決定される。これはワイヤ自身が占める領域とワイヤ周辺の隙間により占められる領域の関係である。材料選択は、この実施形態によるワイヤ様材料に基づいた切削材料の開発において設計を考慮する重要な部分でもある。
また、本発明の他の実施形態は、図4および図4Aに示されており、ここで歯科用バー510は孔520を備えるボール部材を含む。ボール様バー510の外部表面における孔520の周囲の残留材料は切削材料を含み、この切削材料は前記の実施形態のように、材料の構造および寸法に関して設計される。ボール様バー510はまた、従来の歯科用穿孔装置上に取り付けられたバー510について凹部540を含む。図4および図4Aに示された多孔質切削バー510はまた、特に十分な多孔度を提供するように設計され得、切削工程の中断を回避するために穿孔表面から虫歯象牙質を除去することを維持する。
ある特定の実施形態に関して本明細書中で図示および記述をしたが、それにも関わらず本発明は、示された詳細に限定されることを意図するものではない。むしろ、請求の範囲と同等物の範囲及び範疇内で、あるいは発明から逸脱することなく、多様な修正が詳細になされ得る。
図1は、本発明の第1の例示的実施形態について形成された歯科用バーの側面図である。 図1Aは、図1に示されたバーの平面1A〜1Aにおける断面図である。 図2は、本発明の第2の例示的実施形態について形成された歯科用バーの側面図である。 図2Aは、図2に示されたバーの平面2A〜2Aにおける断面図である。 図3は、本発明の第3の例示的実施形態について形成された歯科用バーの側面図である。 図4は、本発明の第4の例示的実施形態について形成された歯科用バーの側面図である。 図4Aは、図4に示されたバーの平面4A〜4Aにおける断面図である。 図5は、本発明の第5の例示的実施形態について形成された歯科用バーの側面図である。

Claims (16)

  1. 虫歯象牙質の全てまたは一部、および必要に応じて虫歯になる前の象牙質の全てではなく一部を歯からを除去する際に使用する歯科用バーであって、該バーは回転切削要素を含む作業表面を有し、該回転切削要素は、溝の間に挿入されたブレードを有し、該ブレードは、事前に選択された硬度値より高い材料に接触すると、該回転切削要素が永続的に操作不能となり、よって象牙質の除去を中止するように、近接する溝へ湾曲、変形または摩耗するように適応され、該事前に選択された硬度値は、通常の象牙質の硬さの下限以下である、歯科用バー。
  2. 虫歯象牙質を歯から除去する際に使用する回転歯科用バーであって、該バーは切削要素を含む作業表面を有し、該切削要素は、操作者の制御と無関係に、
    事前に選択された硬度値より低いヌープ硬さ数を有する軟質な歯の材料に接触している間、湾曲および摩耗に対し抵抗性があり、虫歯象牙質を切削し続け、かつ、
    事前に選択された値以上〜約60ヌープ硬さ数の硬度を有するより硬質な歯の材料と接触する、湾曲、変形、または摩耗することにより、該切削要素が該より硬質な歯の材料と接触すると永続的に操作不能となり、よって切削を中止す
    ー材料から構成されている、歯科用バー。
  3. 前記バーが取り付け部材に配置され、歯科用穿孔装置内に保持されかつ該歯科用穿孔装置によって作動されるように適応される、請求項に記載の歯科用バー。
  4. 前記取り付け部材が前記装置に取り外し可能に配置される、請求項に記載の歯科用バー。
  5. 前記事前に選択された硬度以上の材料を切削するために必要な剪断力を超過する剪断力が作用する場合、前記切削要素が湾曲する、請求項に記載の歯科用バー。
  6. 前記切削要素が、ボール様構造の表面上に配置された外部突出部である、請求項に記載の歯科用バー。
  7. 前記切削要素が金属を含む、請求項に記載の歯科用バー。
  8. 前記金属が、アルミニウムまたはアルミニウム合金である、請求項に記載の歯科用バー。
  9. 前記切削要素が、ボール様構造内の複数の溝の間に挿入された複数の外向きに突出したブレードを備える、請求項に記載の歯科用バー。
  10. 前記切削要素が、アルミニウムまたはアルミニウム合金を含む、請求項に記載の歯科用バー。
  11. 前記切削要素が、ボール様構造の周りで形成された多数のワイヤを備える、請求項に記載の歯科用バー。
  12. 前記切削要素が、不規則配向を有し、かつ、圧縮されることにより、ボール様構造を形成する多数のワイヤを備える、請求項に記載の歯科用バー。
  13. 前記事前に選択された硬度以上の材料を切削するために必要な剪断力を超過する剪断力が作用する場合、前記切削要素が摩耗する、請求項に記載の歯科用バー。
  14. 前記切削要素が、ボール様構造内の複数の溝の間に挿入された複数のブレードを備える、請求項13に記載の歯科用バー。
  15. 前記摩耗可能な切削要素が、硬質セラミックまたはプラスチック材料を備え、該切削要素が、該セラミックまたはプラスチック材料よりも実質的に軟質な材料に埋め込まれ、虫歯でない象牙質の硬度以上の硬度を備える象牙質材料を切削するのに必要な力の範囲内の力が作用する場合、より軟質な材料から分離可能である、請求項13に記載の歯科用バー。
  16. 前記摩耗可能な切削要素が、硬質セラミックまたはプラスチック材料を備え、虫歯でない象牙質の硬度以上の硬度を備える象牙質材料を切削するために必要な力の範囲内の力が作用する場合、該摩耗切削要素が変形可能となる、請求項13に記載の歯科用バー。
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