JP4794186B2 - テトラキスフェノール化合物の製造方法及びその中間体 - Google Patents
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Description
しかしながら、特許文献2〜4の反応では、フェノール類を過剰に使用することや、大量の硫酸を使用することによる廃棄物の問題があった。また、フェニル基にアルコキシ基等の電子供与性の置換基を有するフェノール類を原料に用いると複雑な混合物となり目的物を単離することが困難であるという問題があった。
(1)式(I)
A工程:式(II)
B工程:前記式(V)で表される化合物を酸の存在下に反応させ、前記式(I)で表されるテトラキスフェノール化合物を得る工程。
C工程:式(VI)、又は式(VII)
D工程:式(XI)、又は式(XII)で表される化合物を塩基の存在下に反応させ式(XIII)、又は式(XIV)
(3)式(XV)
(4)式(XVI)
式(I)〜式(XIV)で表される化合物中、R1〜R4は、それぞれ独立して、フッ素原子;メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等のC1〜C6アルキル基;フルオロメチル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、トリフルオロメチル基等のC1〜C6ハロアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基等のC1〜C6アルコキシ基;を表す。m1〜m4は、それぞれ独立して、0〜4の整数を表し、m1が2以上の整数のとき、R1同士は、同じでも異なっていてもよく、m2が2以上の整数のとき、R2同士は、同じでも異なっていてもよく、m3が2以上の整数のとき、R3同士は、同じでも異なっていてもよく、m4が2以上の整数のとき、R4同士は、同じでも異なっていてもよい。
A工程は、前記式(II)で表される化合物と、前記式(III)とを、前記式(IV)で表される化合物、3価のチタン化合物、及び第3級アミンの存在下に反応させ、前記式(V)で表される化合物を得る工程である。
Ti(X6)3(L1)n・・・(XVII)
(式中、X6は、水素原子;塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基等のC1〜C6アルキル基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基のC1〜C6アルコキシ基;フェノキシ基、フェニルメトキシ基等のC6〜C12アリールオキシ基;メチルチオ基、エチルチオ基等のC1〜C6チオアルコキシ基;フェニルチオ基、フェニルメチルチオ基等のC6〜C12チオアリールオキシ基;アミノ基;アミド基;カルボキシ基;トリメチルシリル基等のアルキルシリル基;を表し、複数のX6は、互いに同じでも異なっていてもよく、L1は、ルイス塩基を表し、複数のL1は、互いに同じでも異なっていてもよい。nは、0以上の整数を表す。)で表される化合物を好ましく例示することができる。ルイス塩基としては、具体的に、エーテル類、アミン類、ニトリル類、フォスフィン類、イソニトリル類、アルコール類、ケトン類、エステル類等が挙げられる。なお、前記式(XVII)のnは、0であってもよく、その場合の3価のチタン化合物はルイス塩基を有しない。これらの3価のチタン化合物は、1種単独で、又は2種以上組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、特に三塩化チタンが好ましい。
B工程は、前記(V)で表される化合物を酸の存在下に反応させ、前記式(I)で表されるテトラキスフェノール化合物を得る工程である。酸としては、塩酸、硫酸、硝酸等が挙げられる。
C工程は、前記式(VI)、又は式(VII)で表される化合物と、前記式(VIII)、又は式(IX)で表される化合物とを、前記式(X)で表される化合物の存在下に反応させることにより前記式(XI)、又は式(XII)で表される化合物を得る工程である。
D工程は、前記式(XI)、又は式(XII)で表される化合物を塩基の存在下に反応させ、前記式(XIII)、又は式(XIV)で表される化合物を得る工程である。
本発明は、前記式(XV)で表される化合物、及び前記式(XVI)で表される化合物であり、前記式(I)で表される化合物の中間体である。
ビス[4−(メトキシエチルオキシメチルオキシ)フェニル]メタノール(化合物No.1)の合成
窒素雰囲気下、100mlの3つ口ナスフラスコ中に60%水素化ナトリウム2.1g(52mmol)のTHF溶液(40ml)を加え、0℃に冷却し、そこへ4−ブロモフェノール6.9g(40mmol)のTHF溶液(20ml)を加えた。さらにメトキシエトキシメチルクロリド7.9g(64mmol)のTHF溶液(40ml)を滴下し、室温に昇温し、2時間撹拌した。反応終了後、水を加え反応を終了させた後ジエチルエーテルで3回抽出した。合わせた有機層を水、飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥後、減圧濃縮し、粗生成物を得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:6)により精製し、4−(メトキシエチルオキシメチルオキシ)ブロモベンゼン10g(収率96%)を得た。
1,1,2,2−テトラキス[4−(メトキシエチルオキシメチルオキシ)フェニル]エタン(化合物No.37)の合成
真空乾燥しアルゴン置換した100mlのナスフラスコに、三塩化チタン0.77g(5mmol)と脱水した1,2−ジメトキシエタン25mlを入れ、約−80℃に冷却し攪拌した。そこに、n−BuLi3.2ml(1.6mol/lヘキサン溶液、5mmol)を10分以上かけてゆっくり滴下した。30分攪拌した後、NaOHで前乾燥したトリエチルアミン0.51g(5mmol)を加え、30分攪拌し調製液を得た。
次に、真空乾燥しアルゴン置換した50mlのナスフラスコを用意し、実施例1で得たビス[4−(メトキシエチルオキシメチルオキシ)フェニル]メタノール1.96g(5mmol)の1,2−ジメトキシエタン溶液(5ml)を入れ、約−70℃に冷却し攪拌した。そこへ、n−BuLi3.2ml(1.6mol/lヘキサン溶液、5mmol)をゆっくり滴下した。30分攪拌した後、シリンジで溶液を取り出し、先に調製した三塩化チタンの入ったナスフラスコにゆっくり滴下した。滴下後、室温まで昇温し2時間反応させた後、加熱還流を16時間行った。氷浴で冷やし飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を終了させた後、ジエチルエーテルで3回抽出を行った。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:1)により精製し、1,1,2,2−テトラキス[4−(メトキシエチルオキシメチルオキシ)フェニル]エタン0.28g(収率15%)を得た。
1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタンの合成
実施例2で得た1,1,2,2−テトラキス[4−(メトキシエチルオキシメチルオキシ)フェニル]エタン0.28g(0.37mmol)のジエチルエーテル溶液に6N塩酸を5ml、および水層と混ざるように少量のメタノールを加え2日間攪拌した後、反応溶液を攪拌した氷水30mlに加え結晶を析出させた。結晶をろ過し、真空乾燥することにより1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン0.05g(収率33%)を得た。
ビス[3−メトキシ−4−(メトキシエチルオキシメチルオキシ)フェニル]メタノール(化合物No.13)の合成
200mlのナスフラスコに60%水素化ナトリウム2.6g(65mmol)を入れて乾燥し、窒素置換を行った。ナスフラスコを氷浴で冷やした後THFを40ml加え、攪拌した。そこへ4−ブロモ−3−メトキシフェノール10.1g(50mmol)のTHF溶液(20ml)を滴下し、30分攪拌した。そこへ、さらにメトキシエトキシメチルクロリド10.0g(80mmol)のTHF溶液(40ml)を加え、室温まで昇温し1時間反応させた。薄層クロマトグラフィーにより反応終了を確認した後、水20mlを加えて後処理を行った。ジエチルエーテルで水層を抽出した後、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:10)で精製し、副生成物と分離することにより3−メトキシ−4−(メトキシエチルオキシメチルオキシ)ブロモベンゼン8.6g(収率59%を得た。
1,1,2,2−テトラキス[3−メトキシ−4−(メトキシエチルオキシメチルオキシ)フェニル]エタン(化合物No.41)の合成
真空乾燥しアルゴン置換した50mlのナスフラスコに、三塩化チタン0.23g(1.5mmol)と脱水した1,2−ジメトキシエタン5mlを入れ、約−80℃に冷却し攪拌した。n−BuLi0.9ml(1.6mol/lヘキサン溶液、1.5mmol)を10分以上かけてゆっくり滴下した。30分攪拌した後、NaOHで前乾燥させたトリエチルアミン0.15g(1.5mmol)を加え、30分攪拌し調製液を得た。
真空乾燥しアルゴン置換した50mlのナスフラスコをもうひとつ用意し、実施例4で得たビス[4−(メトキシエチルオキシメチルオキシ)フェニル]メタノール0.67g(1.5mmol)の1,2−ジメトキシエタン溶液(5ml)を入れ約−70℃に冷却し攪拌した。そこへ、n−BuLi0.9ml(1.6mol/lヘキサン溶液、1.5mmol)をゆっくり滴下した。30分攪拌した後、シリンジで溶液を取り出し、先に調製した三塩化チタンの入ったナスフラスコにゆっくり滴下した。滴下後、室温まで昇温し2時間反応させた後、加熱還流を16時間行った。氷浴で冷やし飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を終了させた後、ジエチルエーテルで3回抽出を行った。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:1)により精製し、1,1,2,2−テトラキス[3−メトキシ−4−(メトキシエチルオキシメチルオキシ)フェニル]エタン0.12g(収率18%)を得た。
1,1,2,2−テトラキス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)エタンの合成
実施例5で得た1,1,2,2−テトラキス[3−メトキシ−4−(メトキシエチルオキシメチルオキシ)フェニル]エタン0.12g(0.14mmol)のジエチルエーテル溶液に2N塩酸を4ml、および水層と混ざるように少量のメタノールを加え2日間攪拌した。その結果、少量ではあるが結晶が系内に析出してきたので、ろ過、乾燥し、1,1,2,2−テトラキス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)エタン0.02g(収率28%)得た。
Claims (3)
- 式(I)
[式中、R1〜R4は、それぞれ独立して、フッ素原子、C1〜C6アルキル基、C1〜C6ハロアルキル基、又はC1〜C6アルコキシ基を表し、m1〜m4は、それぞれ独立して、0〜4の整数を表し、m1が2以上の整数のとき、R1同士は、同じでも異なっていてもよく、m2が2以上の整数のとき、R2同士は、同じでも異なっていてもよく、m3が2以上の整数のとき、R3同士は、同じでも異なっていてもよく、m4が2以上の整数のとき、R4同士は、同じでも異なっていてもよい。]で表されるテトラキスフェノール化合物の製造方法であって、下記A工程及びB工程を含むことを特徴とする式(I)で表されるテトラキスフェノール化合物の製造方法。
A工程:式(II)
[式中、R1、R2、m1及びm2は、前記と同じ意味を表し、R5〜R8は、それぞれ独立して、水素原子、又はC1〜C6アルキル基を表し、R9及びR10は、それぞれ独立して、C1〜C6アルキル基、C1〜C6アルキルオキシC1〜C6アルキル基、(ニトロ基、アミノ基、フッ素原子、C1〜C6アルキル基及びC1〜C6アルコキシ基から選ばれる)置換基を有していてもよいフェニル基、又は(ニトロ基、アミノ基、フッ素原子、C1〜C6アルキル基及びC1〜C6アルコキシ基から選ばれる)置換基を有していてもよいアラルキル基を表し、M1は、水素原子、又はアルカリ金属原子を表す。]で表される化合物と、式(III)
[式中、R3、R4、m3及びm4は、前記と同じ意味を表し、R11〜R14は、それぞれ独立して、水素原子、又はC1〜C6アルキル基を表し、R15及びR16は、それぞれ独立して、C1〜C6アルキル基、C1〜C6アルキルオキシC1〜C6アルキル基、(ニトロ基、アミノ基、フッ素原子、C1〜C6アルキル基及びC1〜C6アルコキシ基から選ばれる)置換基を有していてもよいフェニル基、又は(ニトロ基、アミノ基、フッ素原子、C1〜C6アルキル基及びC1〜C6アルコキシ基から選ばれる)置換基を有していてもよいアラルキル基を表し、M2は、水素原子、又はアルカリ金属原子を表す。]で表される化合物とを、式(IV)
[式中、R17は、C1〜C6アルキル基を表し、X1は、Li、MgCl、MgBr、MgIを表す。]で表される化合物、3価のチタン化合物、及び第3級アミンの存在下に反応させ、式(V)
[式中、R1〜R16、m1〜m4は、前記と同じ意味を表す。]で表される化合物を得る工程。
B工程:前記式(V)で表される化合物を酸の存在下に反応させ、前記式(I)で表されるテトラキスフェノール化合物を得る工程。 - 式(II)、又は式(III)で表される化合物が、下記C工程、又は、C工程及びD工程により得られることを特徴とする請求項1記載の式(I)で表されるテトラキスフェノール化合物の製造方法。
C工程:式(VI)、又は式(VII)
[式中、R1、R3、R5、R6、R9、R11、R12、R15、m1及びm3は、前記と同じ意味を表し、X2及びX3は、それぞれ独立して、Li、MgCl、MgBr、MgIを表す。]で表される化合物と、式(VIII)、又は式(IX)
[式中、R2、R4、R7、R8、R10、R13、R14、R16、m2及びm4は、前記と同じ意味を表し、X4及びX5は、それぞれ独立して、Li、MgCl、MgBr、MgIを表す。]で表される化合物とを、式(X)
[式中、R18は、C1〜C6アルキル基を表す。]で表される化合物の存在下に反応させることにより式(XI)、又は式(XII)
[式中、R1〜R16、m1〜m4は、前記と同じ意味を表す。]で表される化合物を得る工程。
D工程:式(XI)、又は式(XII)で表される化合物を塩基の存在下に反応させ式(XIII)、又は式(XIV)
[式中、R1〜R16、m1〜m4は、前記と同じ意味を表し、M3及びM4は、それぞれ独立して、アルカリ金属原子を表す。]で表される化合物を得る工程。 - 式(XVI)
[式中、R28〜R31は、それぞれ独立して、フッ素原子、C1〜C6アルキル基、C1〜C6ハロアルキル基、又はC1〜C6アルコキシ基を表し、m7〜m10は、それぞれ独立して、0〜4の整数を表し、m7が2以上の整数のとき、R28同士は、同じでも異なっていてもよく、m8が2以上の整数のとき、R29同士は、同じでも異なっていてもよく、m9が2以上の整数のとき、R30同士は、同じでも異なっていてもよく、m10が2以上の整数のとき、R31同士は、同じでも異なっていてもよい。R32〜R39は、それぞれ独立して、水素原子、又はC1〜C6アルキル基を表し、R40〜R43は、それぞれ独立して、C1〜C6アルキル基、C1〜C6アルキルオキシC1〜C6アルキル基、(ニトロ基、アミノ基、フッ素原子、C1〜C6アルキル基及びC1〜C6アルコキシ基から選ばれる)置換基を有していてもよいフェニル基、又は(ニトロ基、アミノ基、フッ素原子、C1〜C6アルキル基及びC1〜C6アルコキシ基から選ばれる)置換基を有していてもよいアラルキル基を表す。]で表される化合物。
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