図1は本発明に係る圧接装置の実施例1を示している。図1に示した圧接装置は、複数のケーブルとコネクタとを圧接接続することにより、コネクタハーネスを製造する際の圧接工程において使用される。
図1を参照して、コネクタは、第1ハウジング50aと、第1ハウジング50aと固定される第2ハウジング50bとを有する。
第1ハウジング50aは、ケーブル70を保持することによってケーブルハーネス60となっている。第1及び第2ハウジング50a,50bは、圧接装置によって固定されることによって製品としてのコネクタハーネスとなる。
実施例1におけるケーブル70は、内部導体と、内部導体上を覆っている第1誘電体と、第1誘電体上を覆っているグランド用の外部導体と、外部導体上を覆っている第2誘電体と、複数の同軸ケーブルを並列して帯状に束ね一体となるように第2誘電体上を覆っている第3誘電体とによって構成されている。
ケーブル70の先端部側の中間部分は、第3誘電体を剥ぎ取ることによって第2誘電体が露出しているケーブル圧接部70aとなっている。ケーブル70の先端部は、内部導体、外部導体、第2誘電体及び第3誘電体を有するケーブル余長部分70bとなっている。
第2ハウジング50bには、ケーブル70の内部導体に接続する導電性のコンタクト80が保持されている。第2ハウジング50bのコンタクト80は、圧接装置によりケーブル70のケーブル圧接部70aと圧接接続する。
なお、ケーブル70、第1ハウジング50a及び第2ハウジング50bの詳細な構成については、後述する圧接工程の説明において述べることにする。
圧接装置は、ケーブル70を保持するクランプ機構100と、ケーブル70のケーブル圧接部70aを所定形状にフォーミング処理し第2ハウジング50bを第1ハウジング50aに挿入可能にするフォーミング機構200と、第2ハウジング50bを保持するホルダ300と、ホルダ300を保持しかつ第2ハウジング50bを第1ハウジング50aに固定する回転機構400とを有する。
クランプ機構100、フォーミング機構200、及び回転機構400は、平板状の設置基板500上に設置されている。クランプ機構100及びフォーミング機構200は、設置基板500上で互いに並列になるように所定位置に配置されている。回転機構400は、設置基板500上でクランプ機構100と対向するように所定位置に配置されている。
ここで、以下の圧接装置の各部分の説明においては、設置基板500と垂直となる上下方向を第1の方向Aと呼び、クランプ機構100及びフォーミング機構200が並列して配置されている並列方向でかつ第1の方向Aと直交する方向(左右方向)を第2の方向Bと呼び、第1及び第2の方向A,Bのそれぞれと直交する方向(前後方向)を第3の方向Cと呼び説明することにする。
クランプ機構100は、設置基板500上の台座構造体501に取り付けられている。台座構造体501は、設置基板500上で第1の方向Aへ立設されている一対の板状の脚部503a,503bと、一対の脚部503a,503bの第1の方向Aにおける上端面間を接続している板状の台座505とからなる。一対の脚部503a,503bは、これらの板面同士が第2の方向Bにおいて対向している。台座505の板面は、設置基板500と平行に位置する面となっている。
フォーミング機構200は、一方の脚部503aの板面と隣接しかつ設置基板500上に立設されている1枚の支持板507の一面(内面)に備えられている。支持板507の板面は、第2の方向Bと平行となっている。
回転機構400は、設置基板500上に設けられている一対の設置用ガイドレール509a,509bを介して第3の方向Cで前後方向へスライド可能に設置されている。設置用ガイドレール509a,509bは、第2の方向Bで互いに平行に対向するように配置されている。この回転機構400は、第3の方向Cにおいてクランプ機構100と対向している。
一対の設置用ガイドレール509a,509bの第3の方向Cにおける一端は、一対の脚部503a,503bの板厚面と隣接しており、第3の方向Cへ長く延びている形状となっている。回転機構400は、一対の設置用ガイドレール509a,509bにガイドされて、クランプ機構100に対して第3の方向Cで離れる方向、及び近づく方向へスライド移動する。
図2及び図3(A)は、クランプ機構100が初期位置にある状態を示している。図2及び図3(A)を参照して、クランプ機構100は、略長板形状のクランプ部材101と、ケーブルハーネス60をセットする受け台102と、クランプ部材101と固定されている一対のクランプ用シャフト102a,102bと、一対のクランプ用シャフト102a,102bの下端部を相互に連結している連結プレート103と、クランプ部材101を第1の方向Aで上下方向へ移動可能にさせる第1クランプ用シリンダ104と、台座505上に立設されている四角柱形状のベース105とを有する。
さらに、クランプ機構100は、円柱形状のローラ110と、ヒンジプレート112a,112bと、ヒンジプレート112a,112bを介してローラ110が連結されているクランプ用スライドプレート113と、クランプ用スライドプレート113に連結されている側面L字状のブロック板114と、クランプ用スライドプレート113を第1の方向Aで上下方向へ移動可能する第2クランプ用シリンダ115と、ブロック板114を第1の方向Aで上下方向へ移動可能にガイドする一対のガイドプレート116a,116bとを有する。
クランプ部材101は、第2の方向Bへ長い略長四角柱の形状を呈する部材である。クランプ部材101は、受け台102及びベース105の上面105aに対向しており、第1の方向Aで上下方向へ移動可能に位置している。クランプ部材101の上面105aには、第2の方向Bにおける中間部分がローラ110の下方へ向かって傾斜している傾斜面101aが形成されている。
クランプ部材101の第2の方向Bにおける両側部には、シャフト孔(図示せず)が形成されており、シャフト孔に一対のクランプ用シャフト102a,102bの第1の方向Aにおける上端部が挿入されて固定されている。傾斜面101aは、一対のクランプ用シャフト102a,102bの上端部を固定しているクランプ部材101の一対のシャフト孔間に位置している。
受け台102は、ベース105の上面105aに位置している。受け台102には、ケーブルハーネス60をセットするセット用溝部102dが形成されている。セット用溝部102dは、回転機構400が第3の方向Cにおいて対向するベース105の前面105b側からベース105の後面側へ形成されている長い溝である。
一対のクランプ用シャフト102a,102bは、第1の方向Aと平行な方向でベース105の貫通孔(図示せず)に挿通されている。一対のクランプ用シャフト102a,102bの下部は、ベース105の下面から台座505を通り、台座505の下方で両端部が連結プレート103と接続されている。
第1クランプ用シリンダ104は、第1クランプ用シリンダ104によって駆動する第1クランプ用シリンダロッド104aを有する。
連結プレート103は、第1クランプ用シリンダロッド104aの第1の方向Aにおける下部と連結されている。ローラ110は、初期位置において回転機構400に対向するベース105の上面よりも上方に位置に位置するように一対のヒンジプレート112a,112bに連結されている。ローラ110の第2の方向Bの両端部は、棒状のヒンジピン111を介して一対のヒンジプレート112a,112bに連結されている。ローラ110には、第2の方向Bに軸孔(図示せず)が形成されている。軸孔にはヒンジピン111を貫通させることによりローラ110が回転可能に保持されている。ヒンジプレート112a,112bは、ローラ110を回転可能にするようにヒンジピン111の両端部を支えている。ローラ110は、ゴムのような円筒状の弾性体を用いている。
さらに、ヒンジプレート112a,112bは、クランプ用スライドプレート113と固定されている。ブロック板114は、クランプ用スライドプレート113に固定されている。
第2クランプ用シリンダ115は、第1の方向Aへ駆動する第2クランプ用シリンダロッド115aを有する。
第2クランプ用シリンダロッド115aの第1の方向Aにおける上端には、ブロック板114に係合する円柱状の係合部115bが設けられている。係合部115bの外周面には、第1の方向Aにおいてブロック板114の板部に係合するリング状の係合溝115cが形成されている。係合溝115cは、ブロック板114において第3の方向Cへ延びている板部分の先端面から板部分に切り欠き状に形成されている切り欠き部114aに挿入されている。
ブロック板114の第3の方向Cへ延びている板部分の切り欠き部114aと係合部115bの係合溝115cとは、第1の方向Aにおいて係合している。よって、第2クランプ用シリンダロッド115aを駆動したときには、ガイドプレート116a,116bによってブロック板114及びクランプ用スライドプレート113を第1の方向Aへガイドしながら移動させることができる。このとき、ローラ110及びヒンジプレート112a,112bは、第2クランプ用シリンダロッド115aの駆動によって第1の方向Aへ移動する。
図2及び図3(A)に示したように、クランプ機構100が初期位置にあるときには、クランプ部材101が受け台102の上方に位置している。第1クランプ用シリンダ104を図3(B)の矢印によって示した第1の方向Aにおける下方向A1へ駆動すると、第1クランプ用シリンダロッド104aによって連結プレート103を下方へ移動させることができる。
連結プレート103に連結されている一対のクランプ用シャフト102a,102bを第1の方向Aの下方向A1へ移動させたときには、図3(B)に示したように、クランプ部材101がベース105の上面105aにまで下がった状態となる。 ケーブルハーネス60を受け台102のセット用溝部102dにセットしたときには、ケーブルハーネス60をクランプ部材101と受け台102との間で挟持しクランプすることができる。このとき、クランプ部材101は、第1クランプ用シリンダロッド104aの下方向A1への駆動によって下方向A1へ移動する。
さらに、図3(B)に示したように、クランプ部材101は、ベース105の上面105aにまで下がった状態において、第2クランプ用シリンダロッド115aを下げると、ブロック板114に係合する係合部115bが下がる。このとき、ブロック板114及びクランプ用スライドプレート113は同時に下がるので、図3(C)に示したようにローラ110がクランプ部材101の傾斜面101aに当接しながら所定位置まで下がる。
また、第2クランプ用シリンダ115を駆動して第2クランプ用シリンダロッド115aを第1の方向Aの下方向A1とは逆向きとなる上方向へ駆動することができる。このとき、クランプ用スライドプレート113及びブロック板114は、クランプ時とは逆方向へ動作をするので初期位置に戻る。
図4(A)は、図1に示したフォーミング機構200を内側から見た状態を示している。図4(B)は、図1に示したフォーミング機構200を保持している支持板507の一部を削除して示しており、フォーミング機構200を外側から見た状態を示している。
図4(A)及び図4(B)を参照して、フォーミング機構200によるケーブル70のフォーミング処理では、ケーブル70のケーブル圧接部70aを所定形状にフォーミング処理する。ケーブル圧接部70aのフォーミング処理は、次工程である第2ハウジング50bのコンタクト80との圧接接続を良好になし得るようにするために行われる。
フォーミング機構200は、ケーブル70を所定形状にフォーミングするための薄板形状のフォーミングパンチ201と、ケーブル70をフォーミングする際にケーブル70を押さえておく薄板形状のケーブル押さえ板202と、フォーミングパンチ201及びケーブル押さえ板202を取り付け保持するパンチホルダ203とを有する。
また、フォーミング機構200は、パンチホルダ203を移動させる際のガイドとなるLMガイド(スライドガイド)204と、パンチホルダ203の上部に取り付けられているトッププレート205と、トッププレート205を介してパンチホルダ203を駆動させる第1フォーミング用シリンダ206と、ケーブル70のケーブル圧接部70aをフォーミング処理する際にパンチホルダ203を受け台102上へ移動可能にするフォーミング用スライドプレート207とを有する。
さらに、フォーミング機構200は、フォーミング用スライドプレート207を駆動する第2フォーミングシリンダ208と、第1ハウジング50aのケーブル70をホルダ機構300に保持された第2ハウジング50aを押すことによって、ケーブル70のケーブル圧接部70aを決め押しするための決め押しパンチ209とを有する。
支持板507の内側面には、第1の方向Aにおける上部に、第2の方向Bに長い一対のフォーミング用ガイドレール508a,508bが互いに平行となるように固定されている。一対のフォーミング用ガイドレール508a,508bには、フォーミング用スライドプレート207の裏面が第2の方向Bで左右方向へスライド移動できるように保持されている。
一対のフォーミング用ガイドレール508a,508bは、フォーミング機構200をフォーミング位置へ正確に搬送するためのガイドとなる部分である。フォーミング位置は、クランプ機構100の受け台102上の位置である。
フォーミング用スライドプレート207の表面には、第1フォーミング用シリンダ206が固定されている。第1フォーミング用シリンダ206は、第1フォーミング用シリンダ206を駆動することによって駆動される第2フォーミング用シリンダロッド206aを有する。
フォーミング用スライドプレート207の第2の方向Bにおける一辺には、LMガイド204を介して第1の方向Aで上下方向へ移動が可能となっているパンチホルダ203が設けられている。パンチホルダ203と第2フォーミング用シリンダロッド206aの上端部とは、トッププレート205によって連結されている。 第2の方向BにおいてLMガイド204とは反対側となるトッププレート205の他端辺には、平面略U字状に切り欠かれている第1切り欠き部205aが形成されている。第2フォーミング用シリンダロッド206aの上端部には、円柱状の第1係合部206bが設けられている。第1係合部206bの外周面には、リング状の第1溝部206cが形成されている。第1溝部206cは、トッププレート205の第1切り欠き部205aに挿入されることによって、第1係合部206bがトッププレート205に係合している。
したがって、パンチホルダ203は、トッププレート205が第1係合部206bと係合しているので、第2フォーミング用シリンダロッド206aが駆動されることにより、LMガイド204を介して第1の方向Aへ移動可能となっている。
パンチホルダ203には、支持板507に対向する裏面の下部にフォーミングパンチ201及びケーブル押さえ板202を位置決めして保持する溝状の収容部203aが形成されている。パンチホルダ203の収容部203aには、フォーミングパンチ201及びケーブル押さえ板202がネジ240によって締め付けられて保持されている。
フォーミングパンチ201及びケーブル押さえ板202は、パンチホルダ203の下面から第1の方向Aにおける図5(C)の矢印で示した下方向A1の先端部が突き出すように保持されている。パンチホルダ203の下面には、ボルト形状の決め押しパンチ209が頭部を下向きにしてパンチホルダ203の下面から突き出すように固定されている。
第2フォーミング用シリンダ208は、第1の方向Aにおいてフォーミング用ガイドレール508a,508bよりも下側でフォーミング用ガイドレール508a,508bと平行となるように支持板507の内面に固定されている。第2フォーミングシリンダ208の第2フォーミング用シリンダロッド208aの先端部は、フォーミング用スライドプレート207と結合している。
フォーミング用スライドプレート207には、第2フォーミング用シリンダロッド208aの先端部と対向する位置に係合部材207aが取り付けられている。係合部材207aには、平面略U字状に切り欠かれている第2切り欠き部207bが形成されている。第2フォーミング用シリンダ208の第2フォーミング用シリンダロッド208aの先端部には、円柱状の第2係合部208bが設けられている。第2係合部208bの外周部分には、リング状の第2溝部208cが形成されている。第2溝部208cは、係合部材207aの第2切り欠き部207bに挿入されることによって、第2係合部208bが係合部材207aに係合している。
したがって、フォーミング用スライドプレート207は、第2係合部208bと係合部材207aとが係合しているので、図5(A)に示した第2フォーミング用シリンダロッド208aへの駆動により第2の方向Bへスライド移動する。
さらに、フォーミング用スライドプレート207の第2の方向Bにおける他端辺には、ストッパー部材207dが設けられている。また、第1フォーミング用シリンダロッド206aの近傍の支持板507の内面には、フォーミング用スライドプレート207の第2の方向Bの一端側への移動を規制するストッパー509が設けられている。
以下に、図5(A)、図5(B)及び図5(C)をも参照して、フォーミング機構200の動作を説明する。図5(A)は、図4(A)に示したフォーミング機構200を内面から見た図である。なお、図4(A)及び図5(A)は、フォーミング機構200の初期位置を示している。図5(B)は、フォーミング機構200をフォーミング位置に搬送させた状態を示している。図5(C)は、フォーミング機構200をフォーミング位置に搬送させた状態を示している。
図4(A)及び図5(A)に示したように、初期位置におけるフォーミング機構200は、パンチホルダ203が支持板507の第2の方向Bにおける一端辺に位置している。図4(A)及び図5(A)に示した初期位置において、第2フォーミング用シリンダ208によって第2フォーミング用シリンダロッド208aを第2の方向Bにおける一方向B1側へ駆動する。このとき、フォーミング用スライドプレート207は、フォーミング用ガイドレール508a,508bによってガイドされて、図4(B)に示すようにフォーミング位置へ搬送される。
この際、パンチホルダ203、トッププレート205、第1フォーミング用シリンダ206も同時に搬送される。パンチホルダ203のフォーミング位置は、ストッパー部材207dがストッパー509に突き当たることで正確な位置決めがなされる。
フォーミング位置に搬送されたパンチホルダ203は、第1フォーミング用シリンダ206によって第1フォーミング用シリンダロッド206aを図5(C)において矢印によって示した第1の方向Aにおける下方向A1へ駆動すると、下方向A1へ移動し所定位置まで下降する。
図6(A)は、第1ハウジング50aをセットするためのホルダ300を示している。図6(B)は、図6(A)に示したホルダ300を下側から見た状態を示している。図6(C)は、図6(A)に示したホルダ300を分解して示している。図6(D)は、図6(B)に示したホルダ300を分解して示している。
図6(A)〜図6(D)を参照して、ホルダ300は、ブロック形状のガイド本体301と、ガイド本体301の底面に取り付けられているホルダ用スライドプレート302と、ホルダ用スライドプレート302に嵌め込まれているボタン303と、ガイド本体301に取り付けられている一対のサイドプレート304a,304bとを有する。
ガイド本体301は、長板形状のガイド部301aと、ガイド部301aの一面に一体となっているホルダガイド本体部301bとを有する。ここで、ホルダ300の長手方向を第4の方向(斜め前後方向)Dと呼び以下の説明をする。
ガイド部301a及びホルダガイド本体部301bの第4の方向Dにおける一端部には、傾斜面301dが形成されている。傾斜面301dは、第4の方向Dの一端部において上面301cから底面301f側へ斜めに形成されている。傾斜面301bに対向している底面301fの先端部には、第2ハウジング50bをセットするためのハウジングセット溝部301gが形成されている。
一対のサイドプレート304a,304bは、略長板形状を呈しており、ホルダガイド本体部301bの第4の方向Dと平行な一対の側面301j、301kのそれぞれに一対一に取り付けられている。
ホルダガイド本体部301bの底面301fには、ホルダガイド本体部301bの第4の方向Dにおける中間部分に円形孔形状のボタン係合溝301mが形成されている。ボタン係合溝301mは、ホルダガイド本体部301bの底面301fからガイド部301aの近傍にまで形成されている。ボタン係合溝301mには、有底筒状のボタン303が係合している。
さらに、ホルダガイド本体部301bの底面301fには、平面略T字形状のピンガイド溝301nが形成されている。ピンガイド溝301nは、ボタン係合溝301mの近傍で傾斜面301dとは反対方向の底面301fに位置している。
ホルダガイド本体部301bの側面301j,301kには、第4の方向Dと直交する方向に棒状ピンのような一対のピン軸301r,301sが設けられている。一対のピン軸301r,301sは、第4の方向Dでボタン係合溝301m及びピンガイド溝301nよりも外側に設けられている。
ホルダガイド本体部301bの一対の側面301j,301kのそれぞれには、傾斜面301dの近傍で第4の方向Dと直交する方向に一対の軸穴301vが形成されている。また、ホルダガイド本体部301bの一対の側面301j,301kのそれぞれには、ピン軸301r,301sの近傍でガイド溝301nに対向する位置に第4の方向Dと直交する方向に一対の軸穴301wが形成されている。
ホルダ用スライドプレート302の第4の方向Dにおける中間部分には、ボタン303と係合する貫通穴302aが形成されている。ホルダ用スライドプレート302の第4の方向Dの一方端側には、第1ホルダ用ピン302bが立設されている。第1ホルダ用ピン302bは、ホルダ用スライドプレート302の両面と直交する方向で両面のそれぞれから突出している。
ホルダ用スライドプレート302の貫通穴302aには、ボタン303が係合している。ボタン303は、筒状のボタン部303aと、ボタン部303aの軸方向の一端部を閉塞しているボタン底部303bと、ボタン底部303bの外面上に一体に設けられている円板状のボタン受部303cと、ボタン受部303の上から軸方向へ突出している突出部303dとを有する。
図7(A)にも示すように、第1ホルダ用ピン302bは、ホルダガイド本体部301のピンガイド溝301nに入り込んでおり、第4の方向Dへ移動可能となっている。また、ピンガイド溝301nには、第1ホルダ用バネ306が挿入されている。
ボタン303のボタン部303aの内側には、第2ホルダ用バネ308が挿入されている。ボタン部303aは、ホルダガイド本体部301のボタン係合溝301mに入り込んでいる。
ボタン303のボタン受部303cは、ホルダ用スライドプレート302の貫通穴302aに係合している。ボタン303のボタン突出部303dは、ホルダ用スライドプレート302よりも外側へ突出している。
ガイド部301aの上面301cには、傾斜面301dの近傍にピン形状の第2ホルダ用ピン307aが立設されている。第2ホルダ用ピン307aの一端部は、ホルダ本体部301に圧入されている。ガイド部301aの上面301cには、第4の方向Dにおいて傾斜面301dとは反対側に手の指によって摘むことができる取手307bが設けられている。
サイドプレート304a,304bのそれぞれには、第1プレート穴304d,304eが形成されている。ホルダ本体部301には、ホルダ本体部301の側面301j,301kから突出するようにピン軸301r,301sが設けられている。
第1プレート穴304d,304eは、ホルダ本体部301に挿通されてピン軸301r,301sを貫通し、ホルダ本体部301の側面301j,301kに支持されている。
さらに、サイドプレート304a,304bのそれぞれには、ホルダガイド本体部301bの軸穴301v,301wに対向する第2のプレート穴304v,304wが形成されている。軸穴301v,301wに対向する第2のプレート穴304v,304wのそれぞれには、ネジ311が取り付いている。
さらに、サイドプレート304a,304bのそれぞれには、サイドプレート304a,304bの上下部に側板係合部304x,304yが形成されている。側板係合部304x,304yは、ホルダ本体部301のガイド部301a側の側面301j、301kに形成されている係合溝301xと、底面301f上のホルダ用スライドプレート302とに係合している。
ボタン303と第1ホルダ用バネ306は、スライドプレート302をロックしている。ホルダ用ホルダ300のボタン303を第4の方向Dと直交する方向へ押すことで、ホルダ用スライドプレート302のロックを自動的に解除できる。
ホルダ300は、回転機構400によって回転し、ケーブル70にコンタクトを圧接した際、図8に示すピン407がボタン303のボタン突出部303dに接触することにより自動でホルダ用スライドプレート302を開放することができる。
図7(A)に示したように、ホルダ用スライドプレート302は、ホルダ本体部301bの底面301fに沿ってスライドさせることによって、ハウジングセット溝部301gへの第2ハウジング50bの出し入れを行うことができる。ホルダ用スライドプレート302は、ホルダ用サイドプレート304a、304bとホルダ本体301との隙間を移動する。
上述したホルダ用スライドプレート302のスライド移動は、以下の通りに行われる。
ボタン303は、第2ホルダ用バネ308によってホルダ用スライドプレート302側へ押されている。ボタン303は、ボタン底面303bがホルダ用スライドプレート302に当接し、ボタン受部303cがホルダ用スライドプレート302の貫通穴302aに係合している。
また、ホルダ用スライドプレート302には、第1ホルダ用ピン302bが圧入されている。第1ホルダ用ピン302bは、常時、第1ホルダ用バネ306を押している。この状態において、図7(A)に示したように、ハウジングセット溝部301g上にホルダ用スライドプレート302の一端部が対向している。
ボタン303をボタン係合溝301m側へ押し上げたときには、図7(B)に示すように、ボタン受部303eにホルダ用スライドプレート302の貫通穴302aの内縁面とが当接する。この際、ホルダ用スライドプレート302は、ボタン受部303cとホルダ用スライドプレート302の貫通穴302aとの係合が解除され、第1のホルダ用バネ306により第4の方向Dにおける第1スライド方向D1(紙面の右方向)へ移動する。
図8は、図1に示した回転機構400を示している。図9は、回転機構400の動作を示している。
図8及び図9を参照して、回転機構400は、プレート部材401と、第2ハウジング50bを保持するホルダ300を第1ハウジング50aに向けて挿入するホルダセットプレート(保持部材)402と、プレート部材401を回転させる第1セット用シリンダ403a,403bと、ホルダセットプレート402を移動させる第2セット用シリンダ404と、第1セット用シリンダ403a,403bと連結している移動ベッド405と、移動ベッド405を第3の方向Cへガイドする設置用ガイドレール509a,509bとを有する。
さらに、回転機構400は、プレート部材401を第2の方向Bで挟むように移動ベッド405上に立設されている一対の支持側板部510a,510bと、一対の支持側板部510a,510bの後端間を接続している支持後板部511と、支持後板部511側で設置基板500に固定されている第3セット用シリンダ514とを有する。
プレート部材401は、第3の方向Cでクランプ機構100と対向する前方部の側面が第1回転軸515a,515bを介して一対の支持側板部510a,510bの軸孔510dに挿通されて軸支されている。
プレート部材401には、ホルダ300をセットするホルダセット溝部401aが形成されている。ホルダセット溝部401aには、ホルダ300に設けられている一対のピン軸301r,301sを受け入れるピン受溝401bが形成されている。
第1セット用シリンダ403a,403bは、第1セット用シリンダ403a,403bを駆動することによって移動する第1セット用シリンダロッド403c,403dを有する。
プレート部材401には、側面の中間部分に凹溝401e,401fが形成されている。凹溝401e,401fの底面には、第2回転軸520a,520bを介して第1セット用シリンダロッド403c,403dの先端部が回転可能に連結されている。第1セット用シリンダ403a,403bは、移動ベッド405上に設けられているシリンダ支持部406a,406bにピン形状の支持ピン408a,408bを介して回動可能に連結されて軸支されている。
支持側板部510a,510bの前方部分は、第1ピン支持板510fによって連結されている。第1ピン支持板510fは、第2の方向Bと平行となるように支持側板部510a,510b間を橋渡ししている。ホルダセット溝部401aの底部には、ホルダセット穴401h形成されている。第1ピン支持板510fには、先端がホルダセット穴401hに対向するようにピン形状の押圧ピン407が立設されている。
さらに、移動ベッド405の前面には、ストッパー板408が設けられている。ストッパー板408には、第3ストッパー409が設けられている。第3ストッパー409は、回転機構400がクランプ機構100側へ移動したときに、ストッパー受け部(図示せず)に当接する。さらに、ストッパー板408には、第3セット用シリンダロッド514aの先端部が固定されている。
プレート部材401は、図9に示したように、設置基板500と平行となる位置と設置基板500に対して傾斜した傾斜位置との間で第1回転軸515a,515bを支点として回動可能となっている。
プレート部材401は、第1セット用シリンダ403a,403bの第1セット用シリンダロッド403c,403dが斜め上下方向F(図9を参照)へ駆動することにより、第1回転軸515a,515bを支点とし回転方向(第5の方向)へ移動する。即ち、プレート部材401は、第1セット用シリンダロッド403c,403dと連結されている第2回転軸520a,520bが第5の方向へ移動することにより往復する。
プレート部材401の後方部分には、支持側板部510a,510b間を橋渡しして連結している第2ピン支持板510hが設けられている。第2ピン支持板510hには、プレート部材401の裏側に対向するように第1ストッパー425が設けられている。第1ストッパー425と支持側板部510a,510bの上部間を連結している第3ピン支持板550に設けられている第2ストッパー445との間でプレート部材401の回転角度R(図9を参照)を調整することができる。
また、回転機構400は、第3セット用シリンダ514と連結されており、回転機構400を第3の方向Cへの駆動が行える。第3セット用シリンダ514は、設置基板500の後部に固定具580をビス580aによって固定されている。回転機構400は、第3セット用シリンダ514を駆動し第3セット用シリンダロッド514aをクランプ機構100へ近接するように、回転機構400を第3の方向Cの一方向C1へ駆動することができる。
図10は、プレート部材401の内部構造を示している。図10を参照して、回転機構400の内部には、ホルダセットプレート402に形成されているホルダセット溝部401aの後方に位置しているプッシャー421と、一対のシャフト422a,422bと、プッシャー用バネ423とを有する。
第2セット用シリンダ404は、第2セット用シリンダ404を駆動することによって移動する第2セット用シリンダヘッド404aを有する。
ホルダセットプレート402は、プレート部材401のセット用ガイド溝401dにガイドされ、第2セット用シリンダヘッド404aによって斜め下方へ押されて、第4の方向Dにおける第2スライド方向D2へスライドする。この際、ホルダ300は、第2セット用シリンダ404の第2セット用シリンダロッド404aの駆動により、ホルダセットプレート402とともに第2スライド方向D2へスライドする。
プッシャー421は、シャフト422a,422bと連結している。プッシャー421は、プッシャー用バネ423によって第2スライド方向D2へ常に押されている。
以下、圧接装置によるケーブルハーネス60と第2ハウジング50bとの圧接工程について説明する。
[I] 図11(A)は、ホルダ300に第2ハウジング50bをセットする工程を示している。図11(B)は、ホルダ300の先端部分を拡大して示している。 図11(A)及び図11(B)を参照して、第2ハウジング50bには、ケーブル70の内部導体(図示せず)と接続する導電性のコンタクト80が保持されている。コンタクト80には、ケーブル70を圧接する一対の圧接刃81a、81bが形成されている。圧接刃81a、81bは、コンタクト80の先端部分を略U字状に曲げた部分で内側に対向するように突出した部分である。
また、コンタクト80には、相手側コネクタ(図示せず)に保持されているピンコンタクトのような相手側コンタクトと嵌合し接続するための略逆U字状のソケット部82が形成されている。なお、相手側コネクタは、圧接接続した後に製品となるコネクタハーネスのコネクタと接続するものである。
図11(A)及び図11(B)に示すように、ホルダ300は、ホルダ用スライドプレート302が上側となるように反転しておく。そして、コンタクト80を有する第2ハウジング50bをホルダ300のハウジングセット溝部301gへセットする。
この際、ホルダ用スライドプレート302は、ホルダ用ホルダ300のボタン303を押すことで、ホルダ用スライドプレート302とホルダ用ホルダ300とのロック状態を自動で解除できる。ホルダ300は、回転機構400によって回転しケーブル70にコンタクトを圧接した後、ホルダ用スライドプレート302に設けられている第1ホルダ用ピン302bに接触し、自動でホルダ用スライドプレート302を開放する。
ホルダ用スライドプレート302は、図11(A)及び図11(B)に示したように、ボタン303のボタン突出部303dを下方D3へ押し上げると、第1のホルダ用バネ306によりホルダ用スライドプレート302が第4の方向Dにおける第1スライド方向(紙面の右方向)D1へ移動して、ボタン受部303eにホルダ用スライドプレート302が当接する。このように、ホルダ用スライドプレート302は、第1スライド方向D1へ移動させることができる。
ホルダ用スライドプレート302の一端部は、図11(A)及び図11(B)に示したように、ハウジングセット溝部301g上からスライド移動することから、ハウジングセット溝部301gの上部が開放される。このとき、ホルダ用スライドプレート302の第1ホルダ用ピン302bが第1ホルダ用バネ306の付勢力により図11(A)及び図11(B)における紙面の右方向へ押されている。この状態で、ホルダ300のハウジングセット溝部301gには、第2ハウジング50bを搬送してセットする。
ホルダ300をセットした後、図11(C)及び図11(D)に示すように、ホルダ用スライドプレート302を第4の方向Dにおける第1スライド方向D1とは逆向きの第2スライド方向D2へスライドさせると、ホルダ用スライドプレート302の一端部によって第2ハウジング50bをハウジングセット溝部301gに保持することができる。
このとき、ホルダ用スライドプレート302は、ボタン303を上方D3へ押し上げると、図7(C)に示したように、第1のホルダ用バネ306により第1スライド方向D1とは逆向きの方向D2(紙面の左方向)へ移動して、ボタン受部303eにホルダ用スライドプレート302の貫通穴302aの内縁面が当接する。
[II] 図12(A)は、ホルダ300をプレート部材401にセットする前の状態を示している。図12(B)は、図12(A)に示したホルダ300をプレート部材401にセットした後の状態を示している。図12(C)は、図12(B)のホルダ300をプレート部材401にセットした後の断面を拡大して示している。 図11(C)に示したホルダ300は、図12(A)に示すようにホルダ300を反転してプレート部材401のホルダセット溝部401aへセットする。この際、上記工程[I]を終えたホルダ300をホルダ300の取手307bを手の指により持ち、図12(B)及び図12(C)に示すように、プレート部材401のセット用ガイド溝401aに合わせて、ホルダセットプレート402にセットする。
ホルダ300は、一対のピン軸301r,301sがプレート部材401のピン受溝401bに嵌め込まれ、プレート部材401のセット用ガイド溝401aにセットされる。
セットされたホルダ300は、第2セット用シリンダ404の第2セット用シリンダロッド404aを駆動することにより、図10及び図12(C)に示したプッシャー用バネ423に押されているプッシャー421によって第4の方向Dにおける第2スライド方向D2へ押された状態でセットが完了となる。
[III] 図13は、ケーブルハーネス60をクランプ機構100にクランプする前の状態を示している。図14(A)は、図13に示したケーブルハーネス60を受け台102のセット用溝部102dへセットした状態を、クランプ部材101を除き上面から見た図である。図14(B)は、図14(A)のクランプ状態を拡大して示している。
図13、図14(A)、図11(B)に示すように、ケーブルハーネス60は、受け台102のセット用溝部102dにセットする。複数のケーブル70のケーブル圧接部70aは、ケーブル圧接部70aを並列にした状態でセット用溝部102dにセットする。第1ハウジング50aの先端部は、クランプ用スライドプレート113に押し当てることでケーブルハーネス60の位置決めが行われる。また、ケーブル余長部分70bは、一対のヒンジプレート112a,112b間を通りベース105の前面105bよりも前方へ突出している。
図14(B)、図15(A)及び図15(B)に詳細に示したように、ケーブル圧接部70aは、信号を送受するための内部導体(電線)71と、内部導体71上を覆っている第1誘電体72とからなる。ケーブル70は、ケーブル圧接部70aを露出するように第1誘電体72上を覆っているグランド用の外部導体73と、外部導体73上を覆っている第2誘電体74とによって同軸ケーブルが構成されている。さらに、ケーブル70は、複数の同軸ケーブルを並列して帯状に束ね一体とするように第2誘電体74上を覆っている第3誘電体75を有する。
ケーブル圧接部70aは、先端部側の中間部分の第2誘電体74及び外部導体73を剥ぎ取ることによって第1誘電体72が露出させている。第1ハウジング50aには、外部導体74に接続する導電性のグランド用コンタクト78が保持されている。ケーブル圧接部70aの後方には、第2誘電体を剥ぎ取ることによって外部導体73を露出させた部分が第1ハウジング50aに保持されているグランド用コンタクト78に接続されている。
[IV] 図13、図14(A)及び図14(B)に示したケーブルハーネス60は、図15(A)及び図15(B)に示したように、受け台102の上方に位置するクランプ部材101を第1の方向Aにおける下方向A1へ下降させることで、第1ハウジング50aをクランプする。
クランプ部材101は、第1クランプ用シリンダ104の第1クランプ用シリンダロッド104aを下方向A1へ駆動することによってケーブルハーネス60をクランプして確実に固定することができる。
また、ケーブル70をクランプ部材101によってクランプしたときには、第1ハウジング50aに組み付けられているグランド用コンタクト78が外部導体73と接続される。
[V] さらに、図16(A)及び図16(B)に示すように、ケーブルハーネス60をクランプする。この工程では、受け台100上方に位置するローラ110を下降させ、並列しているケーブル70のケーブル圧接部70aの中間部分を下方向A1へ折り曲げる。ケーブル70のケーブル圧接部70aは、ローラ110によって折り曲げられて下方へ引っ張られることで、のケーブル圧接部70aをまっすぐにする。
本工程では、クランプ部材101がベース105の上面105aにまで下方向A1へ下がった状態において、第2クランプ用シリンダ115の第2クランプ用シリンダロッド115aを駆動して下方向A1へ下げる。このとき、ブロック板114に係合する係合部115bは、ブロック板114及びクランプ用スライドプレート113を押し下げるので、図16(A)及び図16(B)に示したようにローラ110がクランプ部材101の傾斜面101aに当接しながら所定位置まで下がる。 この際、ローラ110は、ケーブル70のケーブル圧接部70aを90度の角度で、ベース105の前面105bに対向するように押して折り曲げ押し付ける。したがって、ケーブル余長部分70bは、ローラ110によって確実に保持することができる。
ローラ110は、受け台102に載置されるケーブル70への接触面積を増やすことで滑り止めを防止し、さらにケーブル70へのダメージを極力少なくする役目を果たす。なお、ケーブル余長部分70bは、コネクタハーネスが完成したときに切り離される。
[VI]図17(A)及び図17(B)は、ケーブル70のフォーミング処理する工程を示している。
図17(A)に示すように、ケーブル70をフォーミング処理する。この工程では、図4(A)及び図5(A)に示した初期位置において、第2フォーミング用シリンダ208によって第2フォーミング用シリンダロッド208aを第2の方向Bにおける一方向B1側へ駆動すると、フォーミング用スライドプレート207がフォーミング用ガイドレール508a,508bによってガイドされて、図4(B)に示すように、フォーミング位置へ搬送される。
この際、パンチホルダ203、トッププレート205、第1フォーミング用シリンダ206も同時に搬送される。パンチホルダ203のフォーミング位置は、ストッパー部材207dがストッパー509に突き当たることで正確な位置における位置決めがなされる。このとき、フォーミングパンチ201とケーブル押さえ板202は、ケーブル圧接部70a上に移動する。
フォーミング位置に搬送されたパンチホルダ203は、第1フォーミング用シリンダ206によって第1フォーミング用シリンダロッド206aを第1の方向Aにおける下方向A1へ駆動することにより、下方向A1へ移動し所定位置まで下降する。この状態で、フォーミングパンチ201と押さえ板202とが下降する。そして、ケーブル70のケーブル圧接部70aは、フォーミングパンチ201の先端の凸部201aによって所定形状にフォーミング処理される。なお、ケーブル押さえ板202は、ベース105の前面105bに対向しているケーブル圧接部70aが外方へ飛び出すのを防ぐ役目を果たす。
上述したケーブル圧接部70aを所定形状にフォーミング処理するには、第1ハウジング50aに形成されているフォーミング受部50d上にケーブル圧接部70aの中間部分を載せておく。ケーブル圧接部70aは、この状態で図16(B)に示したように、受け台102のセット用溝部102dの底面に対して傾斜して、さらに折り曲げられてベース105の前面105b側へ対向している形態となっている。
このケーブル圧接部70aの形態では、セット用溝部102dの底面から離れているので、第2ハウジング50bの一対の圧接刃81a、81bによって、フォーミング受部50d上にケーブル圧接部70aの中間部分を加え込むことができない。
したがって、ケーブル70のケーブル圧接部70aは、フォーミングパンチ201の先端の凸部201aによってセット用溝部102dの底面へ押し付けるように変形させることで、図17(B)に示したように略側面逆U字状にフォーミング処理される。
この工程により、第2ハウジング50bを挿入するスペースを確保するとともに、ケーブル70を第1ハウジング50a内に収めることで、次工程である良好な圧接を可能とする。
[VII] 図18(A)及び図18(B)は、圧接工程を示している。図8〜図9に示した回転機構400の第3セット用シリンダ514の第3セット用シリンダロッド514aを駆動する。そして、回転機構400が第3の方向Cにおける一方向C1へ移動した際には、図18(A)及び図18(B)に示すように回転機構400がクランプ機構100に接近した圧接位置へ移動する。
この際、プレート部材401は、図9に示したように設置基板500に対して傾斜した状態で位置している。プレート部材401は、第1セット用シリンダ403a,403bの第1セット用シリンダロッド403c,403dを斜め上下方向Fにおいて上方へ駆動することにより、第1回転軸515a,515bを支点とし傾斜した状態で位置している。
さらに、図19(A)及び図19(B)に示すように、ホルダセットプレート402は、プレート部材401のセット用ガイド溝401dにガイドされ、第2セット用シリンダヘッド404aによって斜め下方へ押され、第4の方向Dにおける第2スライド方向D2へスライドする。この際、ホルダ300は、第2セット用シリンダ404の第2セット用シリンダロッド404aの駆動により、ホルダセットプレート402とともに第2スライド方向D2へスライドする。
ホルダ300を移動するには、ホルダセットプレート402をプレート部材401のセット用ガイド溝401dによってガイドし、第2セット用シリンダ404の第2セット用シリンダヘッド404aによって斜め下方へ押し、第4の方向Dにおける第2スライド方向D2へスライドさせる。
この際、プッシャー421は、プッシャー用バネ423で第4の方向Dにおける第2スライド方向D2へ常に押されており、回転圧接時の第2ハウジング50bとケーブル70との衝撃を吸収する役割を担う。
即ち、回転機構400は、第2ハウジング50bがケーブル70に接触する際に、プッシャー用バネ423によってショックを吸収し、プッシャー用バネ423のショック吸収を利用する。
さらに、図19(A)及び図19(B)に示したように、ホルダ300は、一方向Dの第2スライド方向D2へスライドし、第2ハウジング50bのコンタクト80の圧接刃81a、81bが第1ハウジング50a内に挿入される。
第1ハウジング50a及び第2ハウジング50bは、圧接刃81a、81bが第1ハウジング50a内に挿入された状態で、互いに当接する支点Gを有する。
次に、図20(A)及び図20(B)に示すように、第1セット用シリンダ403a,403bを駆動し第1セット用シリンダロッド403c,403dによりプレート部材401を設置基板500と平行となる位置まで第1回転軸515a,515bを支点軸として回転させる。
第2ハウジング50bの圧接刃81a,81bがケーブル圧接部70aに回転圧接する際には、第2回転軸520a,520bの第5の方向における一方向への回転方向E1を徐々にずらしながら、第1ハウジング50aに対して第2ハウジング50bの圧接刃81a、81bが支点Gを支点軸として圧接回転することができる。
プレート部材401が回転したときには、同時にホルダ300が同じ方向へ回転する。このとき、第2ハウジング50bは、第2ハウジング50bに保持されている圧接刃81a、81bがケーブル圧接部70aの第1誘電体72内に食い込み、圧接刃81a、81bが内部導体71と接続する。
図20(A)に示したように、回転機構400に備えられた押圧ピン407は、プレート部材401が設置基板500と平行となる位置において、ホルダ300のボタン303を押す。このとき、ホルダ用スライドプレート302は、第1ホルダ用バネ306の弾性復元力により第1ホルダ用ピン302bが第1スライド方向D1(紙面の右側)へ押されてスライドするので、同じ方向へ移動する。
ホルダ用スライドプレート302を第1スライド方向D1へスライドさせる理由は、圧接工程がすべて終了したときにプレート部材401を初期位置に戻す必要があるためである。即ち、ホルダ用スライドプレート302が第2スライド方向D2側に位置しているままでは、コネクタにホルダ用スライドプレート302が引っ掛かり、一緒に回転してしまい圧接したことが無駄に終わるためである。
上述したように、ホルダセットプレート402がスライドして第2ハウジング50bを第1ハウジング50aに挿入した後は、プレート部材401が回転することにより、第1ハウジング50aと第2ハウジング50bとが固定する。
[VIII] 図21(A)及び図21(B)は、決め押し工程を示している。図21(A)及び図21(B)に示すように、フォーミング機構200のパンチホルダ203に取り付けられている決め押しパンチ209は、ホルダ300の上方から下方向A1へ移動する。そして、ホルダ300に取り付いている第2ホルダ用ピン307aは、決め押しパンチ209によって押される。このとき、第2ハウジング50bは、さらに下方向A1へ押し込まれ、圧接刃81a、81bを確実にケーブル圧接部70aへ食い込ませることができる。
なお、決め押しパンチ209は、ホルダ300とホルダセットプレート402との間に微小な隙間があることから、第2ハウジング50bが上方に浮いてしまうことを防止する役目を果たす。
[IX] 最後に、圧接されたハーネス60の取出しを行う。ハーネス60の取出しは、クランプ機構100、フォーミング機構200、回転機構400を初期位置へ戻すことにより、圧接されたハーネス60の取り出し作業が終了する。
第2クランプ用シリンダ115の駆動を解除し、第2のクランプ用シリンダロッド115aを第1の方向Aにおいて上方向へ駆動したときには、クランプ用スライドプレート113及びブロック板114がクランプ時とは反対方向への動作をするので初期位置に戻る。このとき、クランプ部材101及びローラ110はケーブルハーネス60から離れるので、ケーブル70への押圧を解除することができる。
また、クランプ部材101は、第1クランプ用シリンダロッド104aを上方向へ駆動することによって、ケーブルハーネス60から離れる。したがって、クランプ部材101は、ケーブルハーネス60へのクランプを解除することができる。
また、フォーミング機構200は、フォーミング工程と決め押し工程とを同一の方法で行うことで、省スペース化することができるとともに部品点数を削減できる。 また、上述したクランプ機構100、フォーミング機構200、回転機構400に用いるシリンダは、空圧シリンダもしくは油圧シリンダのいずれかを採用する。
さらに、クランプ機構100、フォーミング機構200、回転機構400に用いるシリンダの駆動制御については、一般に周知である駆動制御方法を採用して設計すればよい。
本発明の圧接装置は、梃子の原理を用いて圧接を行っているので、小さい加圧力で圧接を行うことができる。