JP4793879B2 - 平型導体用電気コネクタ - Google Patents

平型導体用電気コネクタ Download PDF

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Description

本発明は平型導体用電気コネクタに関する。
平型導体としては、フレキシブル基板(FPC)、フラットケーブル等が知られている。かかる平型導体は、回路基板に取り付けられた電気コネクタに接続されることが多い。このような平型導体が接続されるコネクタとしては、例えば特許文献1に開示されているコネクタがある。
この特許文献1のコネクタにあっては、FPCの先端接続部を受け入れるための受入凹部がハウジングに形成されており、この受入凹部に配列された複数の端子の接触部上に上記FPCが挿入配置される。端子は金属板の平坦面をそのまま維持して作られていて、該平坦面同士が平行となるように複数の端子が配列されている。上記ハウジングの受入凹部には、ここを開閉するカバーハウジングが回動可能に設けられて、該カバーハウジングが閉位置へ回動されたときに該カバーハウジングで上記FPCを加圧して上記接触部に所定の接圧をもって電気的に接続せしめる。
加圧部材たる上記カバーハウジングは、端子の配列方向で、該カバーハウジングの両端に軸状の円柱突起が設けられており、ハウジングに取り付けられた金属補強板に浅く形成された円弧状凹部で上記円柱突起が回動自在に支持されている。かくして、カバーハウジングは、FPCの挿入を許容する開位置と、FPCを加圧する閉位置との間で回動可能となっている。
特開2006−196424
特許文献1のコネクタにあっては、カバーハウジングは端子配列方向で端部から同方向に突出する軸状の円柱突起でのみ、その回動中心が定位置となるように支持されている。両円柱突起の間の端子配列範囲では、ハウジング側から何ら回動支持されていない。しかも、上記円柱突起を支持している金属補強板の円弧状凹部は浅く形成されていて、該円柱突起の下面を支持している程度である。
この種のコネクタは、端子が平坦なものとして作られている関係上、端子同士間のピッチが小さくできるので、多数の端子が設けられ、その結果、加圧部材たるカバーハウジングとしては、端子配列方向の幅寸法が大きくなることが多い。したがって、カバーハウジングが閉位置にあるときあるいは閉位置に向かっているときに横方向成分をもつ外力を不用意に受けた場合、例えば、カバーハウジングを閉位置に移動させる操作をする際に、必要以上に横方向への力を加えてしまった場合等には、その位置が不安定となり、上記円柱突起は浅い円弧状凹部から外れてしまうことがある。
本発明は、このような事態に鑑み、加圧部材が閉位置で横方向の外力を受けても外れることのない平型導体用電気コネクタを提供することを課題とする。
本発明に係る平型導体用電気コネクタは、金属板の平坦な板面を維持して作られた複数の端子がそれらの板面同士を平行としてハウジングにより配列保持され、各端子はハウジングへの取付けのための被取付部が設けられている基部から延びる支持腕と接触腕とを有し、支持腕と接触腕は互の間に間隔をもった状態で延びていて該間隔でハウジング外から前方に向け挿入され先端部側縁に耳部を有する平型導体の先端部を受入れ可能としており、この平型導体の受入れを容易とする開位置から該平型導体を圧する閉位置の間で回動可能な加圧部材が上記支持腕の回動支持部にて支持されていて、該加圧部材が閉位置への回動で平型導体と接触腕の接触部との接圧を高めるようになっている。
かかる平型導体用電気コネクタにおいて、本発明では、金属板から作られていてその板面が端子と平行をなしている係止部材がハウジングに取り付けられており、係止部材は、上記平型導体の耳部を上方から受け入れる凹状の湾曲部が形成されると共に、該湾曲部の前縁部から上方に向け突出する係止突部を有し、該係止突部は該係止突部の突出方向で加圧部材の回動中心に対応する位置を越えて延びており、加圧部材は閉位置にて該係止突部を受け入れる受入空所が形成され、該受入空所は、上記係止突部に対して少なくとも前後位置で該係止突部の周面に沿って内壁面を形成していることを特徴としている。
このような構成の平型導体用電気コネクタでは、加圧部材が閉位置にあるとき、係止部材の係止突部が受入空所へ進入し、該係止突部は平型導体の面に対して直角な方向で回動中心に対応する位置を越えて位置する。これによって、加圧部材が閉位置で横方向(平型導体の長手方向となる前後方向)の外力を受けても、加圧部材の受入空所を形成する壁面が係止部材の係止突部に当接するので、該加圧部材が外れることはない。また、係止部材は金属製であるので、係止突部が小さくても加圧部材の外れを防止するのに十分な強度が確保される。さらに、加圧部材が閉位置にあるとき、係止突部は平型導体の面に対して直角な方向にて加圧部材の厚み範囲内に位置する。したがって、係止突部を設けたことに起因してコネクタが同方向で大型化することはない。しかも、受入空所は係止突部に対して少なくとも前後位置で該係止突部の周面に沿って内壁面を有しており、該受入空所を形成することによる加圧部材の強度の低下には殆んど影響をもたらさない。
受入空所は凹部とすることができる。凹部には底壁が存在するため、加圧部材の厚みが小さくなることに起因する該加圧部材の強度の低下を最小限にとどめることができる。また、このような強度上の問題がないときには、受入空所は係止突部が延びる方向で貫通して形成されていてもよい。これによって、受入凹所を貫通させた分、係止突部をさらに長く延ばして形成できるので、受入空所を形成する壁面と係止突部との当接面積を大きく確保できる。すなわち係止突部の係止量を大きくできる。
係止部材は端子の配列方向で少なくとも端部の端子に隣接して設けることができる。また、係止部材は端子の配列範囲内にも設けることができる。このように、係止部材を端子の配列範囲内にも設け、各係止部材の位置にて、該各係止部材の係止突部を加圧部材の受入空所を形成する壁面に係止させることにより、端子の配列範囲全体にわたって加圧部材の外れの防止が図られるので、加圧部材はより外れにくくなる。
本発明は、以上のように、端子と共に金属板から作られた係止部材を配設し、この係止部材に形成された係止突部が閉位置の加圧部材の受入空所へ、該加圧部材の回動中心に対応する位置を越えて進入するようにしたので、加圧部材の厚みの範囲に係止突部が収まって、コネクタの高さ寸法を大きくすることなく、閉位置での加圧部材の外れを確実に防止できる。又、受入空所は、係止突部に対して少なくとも前後位置で該係止突部の周面に沿って内壁面を有することとしているので、この部分での加圧部材の強度低下は殆んどない。さらには、係止部材が金属板から作られているので、係止突起自体を大きくしなくとも、十分にその強度を確保できる。
以下、添付図面にもとづき、本発明の実施形態を説明する。
<第一実施形態>
図1(A)は本実施形態に係る平型導体用コネクタの背面図、同図(B)は同コネクタの平面図、同図(C)は同コネクタの正面図である。本実施形態に係る平型導体用コネクタ1(以下、「コネクタ1」という)は、ハウジング10と、該ハウジング10に配列保持される複数の端子20および係止部材30と、該複数の端子20に回動可能に支持される加圧部材40とを有する。
外形が略直方体状をなすハウジング10は、電気絶縁材たる合成樹脂をモールド成形して作られており、図1(C)に示されるように、平型導体を受け入れるための挿入口11が端子配列範囲全体にわたって形成されている。そして、図1(B)に示されるように、帯状の平型導体P(二点鎖線で図示)は挿入口11へ挿入されてコネクタ1と接続される。かかる平型導体Pとしては、例えば、フレキシブル基板(FPC)、フラットケーブル等が知られている。
複数の端子20は金属板の平坦な板面を維持して作られており、それらの板面同士を平行としてハウジング10に所定間隔で配列保持されている。また、係止部材30も金属板から作られており、図1(B),(C)に示すように、端子配列方向で両端部の端子20の外側にて該端子20に隣接して、その板面が端子20と平行をなすようにしてハウジング10に取り付けられている。後述するように、板状の加圧部材40は、複数の端子20に支持されており、平型導体Pの受入れを容易とする開位置と受け入れた平型導体を圧する閉位置との間で回動自在となっている。
図2(A)は、加圧部材40が開位置にあるときのコネクタ1の側面図、図2(B)は、加圧部材40が閉位置にあるときのコネクタ1の側面図である。加圧部材40を有するコネクタ1は、加圧部材40が開位置にあるときに平型導体(図示せず)を左方から受け入れ、加圧部材40が閉位置へ回動すると、平型導体を該加圧部材40によって圧する。
図3(A)ないし(C)は、加圧部材40が開位置にあるときの、図1(C)に示される各位置におけるコネクタ1の断面図であり、同図(A)はA−A断面図、同図(B)はB−B断面図、同図(C)はC−C断面図である。ここで、図3(A)は、端子配列方向における端子20の位置、同図(B)は同方向での端部の端子20と該端子20に隣接する係止部材30との間における位置、同図(C)は同方向における係止部材30の位置での断面を示している。
図4(A)ないし(C)は、図1(C)に示される各位置におけるコネクタ1の断面図であり、同図(A)はA−A断面図、同図(B)はB−B断面図、同図(C)はC−C断面図である。図4(A)ないし(C)は、図3(A)ないし(C)とそれぞれ同位置での断面図であり、図3(A)ないし(C)では加圧部材40が開位置にあるのに対し、図4(A)ないし(C)では加圧部材40は閉位置にある点で異なる。
図3(A)に示されるように、ハウジング10には、端子配列方向での各端子20に対応する位置において、該端子20を保持する端子収容溝12が形成されている。この端子収容溝12は、紙面に平行、すなわち、端子20の板面に平行に延びている。端子収容溝12は、金属板の平面を維持して形状づけられた端子20の板厚とほぼ同じ溝幅(紙面に直角な方向での幅)を有しており、紙面に直角な方向に間隔をもって端子の数だけ複数形成されている。上記端子収容溝12同士間の壁は、ハウジング10の左方域で、紙面に直角方向に貫通して空間が設けられており、この空間で、左方から平型導体Pの挿入を可能とする挿入口11を形成している。該挿入口11の右端には、コネクタ1に左方から挿入された挿入口11へ平型導体P(二点鎖線で図示)の先端が当接する前方規制壁13が形成されている。
端子配列位置において、ハウジング10は、下部が上部に対して左方に延出して形成されている。上記端子収容溝12はハウジング上部の全域で上方に開口し、ハウジング下部では部分的に下方に開口している。ハウジング下部での開口は、左右方向中間部で広い範囲に形成された中間開口12Aである。また、ハウジング下部には右端近くに、上方から挿入される端子20を保持するための保持凹部14が形成されている。
端子20は、上記ハウジング10の端子収容溝12に上方から挿入された際に、基部22から下方に延びて形成され上記保持凹部14へ圧入される被取付部21、上記基部22から右方に突出し続いて下方に屈曲する接続部23、上記基部22に隣接する連結部24から互に間隔をもってほぼ平行に左方へ延びる支持腕25と接触腕26とを有している。
被取付部21は、右側縁部に突起21Aが形成されていて保持凹部14の内面に喰い込んで、しっかりと保持されるようになっている。接続部23はその下縁23Aが高さ方向で、ハウジング10の底面とほぼ同じレベルにあり、コネクタ1が回路基板上に配されたときに、回路基板の対応回路部と接面する位置にある。
連結部24は、上記被取付部21の基部22に隣接して位置しており、該基部22と支持腕25そして接続腕26を連結している。すなわち、上記支持腕25そして接触腕26が上記連結部24から左方へ延出している。
支持腕25は、左方に延びてその先端部が端子収容溝12外にあり、該先端部の下縁には下方に向く凹弯状の回動支持部25Aが形成されている。また、該支持腕25の下方位置で該支持腕25とほぼ平行でほぼ同長に延びる接触腕26の先端部には上方に向け突出した接触部26Aが形成されている。
このような構成のコネクタ1に接続される平型導体Pは、その先端部下面に形成された接続回路部(図示せず)が端子20の接触部26Aと接面するようにして、支持腕25と接触腕26との間に位置する挿入口11に挿入される。
図3(B)に示されるように、端子配列方向での端部の端子20と該端子20に隣接する係止部材30との間における位置において、ハウジング10は、下部が上部に対して左方に延出して形成されており、該下部は、図3(A)に示される端子配列方向での端子の位置におけるハウジング10の下部と同位置まで延出している。ハウジング10の左端側には、U字形状の湾曲部15が上方に向いて形成されており、コネクタ1と接続される平型導体が側縁に耳部を有するような場合、該湾曲部15は平型導体の該耳部を収容する。
図3(C)に示されるように、端子配列方向での係止部材30に対応する位置において、ハウジング10は、下部が上部に対して左方に延出して形成されており、該下部は、横方向で端子20の支持腕25および接触腕26の先端とほぼ同程度の位置まで延出している。ハウジング10には、該係止部材30を保持するための保持開口16が形成されている。該保持開口16は、ハウジング10の上部、下部および左方に部分的に開口している。
係止部材30は、右方に向けて直状に延び保持開口16へ左方から圧入される腕部31、該腕部31の左端部から平型導体Pの面に平行な面に対して交差する方向、図示の例では直角な方向で上方に突出する係止突部32、該係止突部32の下部から左方に延びる接面部33、該接面部33の左端から上方へ向けて上記係止突部32と平行に延びる規制部34とを有する。これらの係止突部32、接面部33そして規制部34が上記U字形状の湾曲部35を形成している。
腕部31は、先端(右端)が先細り形状であり保持開口16への圧入時における進入が容易となっており、上縁に突起31Aが形成されていて保持開口16の内面に喰い込んで、しっかりと保持されるようになっている。係止突部32は、平型導体の面に対して直角な方向(図において上方向)で加圧部材40の回動中心に対応する位置を越えて延びている。接面部33は、その下縁33Aが高さ方向でハウジング10の底面とほぼ同じレベルにあり、コネクタ1が回路基板(図示せず)上に配されたときに該回路基板と接面する位置にある。既述のように、この接面部33の上縁は、係止突部32と規制部34の対向縁と相俟ってU字形状の湾曲部35を形成する。該湾曲部35は、端子配列方向から見た場合、ハウジング10の湾曲部15とほぼ同位置でほぼ同一形状であり、コネクタ1と接続される平型導体が側縁に耳部を有するような場合、上記湾曲部35は上記湾曲部15と相俟って平型導体の該耳部を収容する。なお、接面部33は高さ方向でハウジング10の下部の壁厚とほぼ等しい寸法で形成されており、横方向ではハウジング10の湾曲部15は係止部材30の湾曲部35よりも若干大きく形成されている。
コネクタ1には、上記平型導体Pの接続回路部と端子20の接触部26Aとの接圧を高めるために加圧部材40が設けられている。該加圧部材40は、ハウジング10と同様の合成樹脂で作られている。加圧部材40は、端子配列範囲において、図3(A)に示されるように、該加圧部材40の上部に回動操作のための操作部41そして下部に溝部42が形成されている。この溝部42は、端子20の支持腕25の先端部が貫通するように、端子20の配列方向で、各端子20に対応する位置にスリット状に形成されている。各溝部42には、溝下端部に、溝部42の内面同士を連結するようにカム部43が島状に形成されている。該カム部43は、開位置において、溝部42の内部に向く側が円弧状に、そして反対側が、水平面と平行な平面をなしている。上記加圧部材40は、そのカム部43の円弧状部分が端子20の回動支持部25Aにて案内されて、回動中心O、すなわち上記円弧状部分の中心を軸線として図3(A)ないし(C)に示される開位置と図4(A)ないし(C)に示される閉位置の間で回動自在となっている。
端子配列方向で係止部材30と対応する位置において、加圧部材40は、閉位置にて図4(C)に示されるように、係止突部32の進入を許容する凹部として形成された受入空所44を有する。該受入空所44は、係止突部32が腕部31の上縁から上方に突出している寸法よりも大きい寸法の深さを有するように形成されている。
このような構成の本実施形態のコネクタ1は、次の要領で組み立てられ、使用される。
<組立時>
(1)まず、ハウジング10、所定数の端子20および係止部材30、加圧部材40が用意される。
(2)かかる端子20をハウジング10の端子収容溝12へ上方から挿入取付けする。端子20の被取付部21は保持凹部14に圧入され、突起21Aが該保持凹部14の内面に喰い込んで、抜けの防止が図られる。この状態で、端子20の接触腕26の大部分はハウジング10の中間開口12Aに収まる。端子20の接続部23は、その下縁23Aがハウジング10の下面とほぼ同一のレベルをなす位置にくるようになる(図3(A)参照)。
(3)次に、加圧部材40を組み込む。この組込みは、例えば、加圧部材40を開位置となるように上方に立ち上った状態で、端子20の支持腕25が加圧部材40の溝部42内に貫通するようにして、該加圧部材40のカム部43が端子20の回動支持部25Aに収められることによりなされる(図3(A)参照)。
(4)次に、図3(C)に示されるように、コネクタ1の左方からハウジング10の保持開口16へ係止部材30を挿入する。腕部31の突起31Aは保持開口16の内面に喰い込んで、抜けの防止が図られる。この状態で、係止部材30の接面部33は、その下縁33Aがハウジング10の下面とほぼ同一のレベルに位置する。このように組み立てられたコネクタ1において、加圧部材40は、上方から端子20の上記回動支持部25Aによって、下方から係止部材30の腕部31の上縁によって支持される。
<使用時>
(1)まず、図3(A)ないし(C)に示されるように、加圧部材40を開位置へもたらす。この開位置において、端子20の支持腕25と接触腕26の間でハウジング10の挿入口11が左方に開放される。
(2)図3(A)ないし(C)にて二点鎖線で示されるように平型導体Pを右方に向け、上記端子20の支持腕25と接触腕26の間の挿入口11に挿入する。平型導体Pは難なく挿入され、該平型導体Pの先端がハウジング10内の前方規制壁13に当接して所定の挿入位置で停止する。該挿入位置において、端子20の接触部26Aが平型導体Pの下面に設けられている接続回路部(図示せず)に軽く接触している。
(3)図4(A)ないし(C)に示される閉位置にまで加圧部材40を回動する。該閉位置において、加圧部材40は平型導体Pを強く圧し、これによって、端子20の接触部26Aと平型導体Pの接続回路部との接圧が高まるので、コネクタ1と平型導体Pとの電気的接続が確実なものとなる。端子配列方向における係止部材30の位置では、該係止部材30の係止突部32が加圧部材40の受入空所44の内部に進入する。これによって、加圧部材40が横方向、すなわち平型導体Pの長手方向の外力を受けても、加圧部材40の受入空所44を形成する内壁面が係止部材30の係止突部32を四方から囲んでいるので、この内壁面に当接して、加圧部材40が外れることはない。
また、係止部材30は金属製であるので、係止突部32が小さくても加圧部材40の外れを防止するのに十分な強度が確保されている。さらに、加圧部材40が閉位置にあるとき、係止突部32は平型導体の面に対して直角な方向にて加圧部材40の厚み範囲内に位置する。したがって、係止突部32を設けたことに起因してコネクタ1が同方向で大型化することを回避できる。さらに、本実施形態では、加圧部材40において、受入空所44を凹部として形成したので、加圧部材40の厚みが小さくなることによる該加圧部材40の強度の低下を最小限にとどめることができる。
以上では、図1(B)にて二点鎖線で示したような、側縁が直状な平型導体をコネクタ1に接続する場合について説明したが、本実施形態に係るコネクタ1は、側縁にその一部が側方へ突出した耳部を有する平型導体と接続することも可能である。
図5は、耳部を有する平型導体が接続されたコネクタ1における係止部材32付近の概略を示す斜視図である。平型導体P’は、図5に示されるように、その側部に一部突出した耳部P’−1が形成されている。該耳部P’−1は、平型導体P’がコネクタ1に接続された状態において、接面部33の上縁、係止突部32および規制部34とで形成される湾曲部35内に位置する。これによって、コネクタ1から抜ける方向への外力が平型導体P’に作用しても耳部P’−1が規制部34に当接して平型導体P’の同方向への移動が規制されるので、該平型導体P’の抜けが防止される。
また、加圧部材40が閉位置にあるとき、図5に示されるように、受入空所44の左縁部44Aは、係止部材30に形成された湾曲部35内に進入し、平型導体P’の上面に対向して位置する。これによって、平型導体P’の耳部P’−1は上方への移動も規制されるので、該平型導体P’の上方への抜けがより確実に防止される。
平型導体P’のような、その側縁に耳部が形成されている平型導体は、コネクタ1への挿入の際、該平型導体の先端の規制壁13との当接による位置決めに限らず、係止突部32に耳部を当接させることによる位置決めも可能である。この場合、係止突部32の高さ方向での寸法を大きく形成することにより、耳部P’−1と当接可能な範囲を広く確保できるので、平型導体P’の挿入を容易にできる。
なお、本実施形態では、係止部材30は端子配列範囲外で端部の端子に隣接して設けられることとしたが、係止部材30は端子配列範囲内にも設けられていてもよい。これによって、係止突部32は該配列範囲全体にわたって、受入空所44を形成する壁面に係止することが可能となるので、より確実に加圧部材40の外れが防止される。
<第二実施形態>
本実施形態は、閉位置において係止突部が延びる方向で加圧部材を貫通させて受入空所を形成している点で、加圧部材の受入空所を凹部として形成している第一実施形態と構成が異なる。図6は、本実施形態に係るコネクタの断面図である。同図は端子配列方向における係止部材の位置での断面図であり、加圧部材が閉位置にある状態を示している。なお、同図において、第一実施形態と同じ部分には同一符号を付し、その説明を省略する。
図6に示されるように、加圧部材40’の受入空所44’は、閉位置にて上下方向に貫通する貫通孔部として形成されている。加圧部材に強度上の問題がない場合は、このように受入空所44’を形成することにより、加圧部材を貫通させた分、係止部材32が上方へ突出する長さをさらに延ばして形成できる。その結果、受入空所44’を形成する壁面と係止突部32との当接面積を大きくできる。すなわち係止突部32の係止量を大きくできるので、加圧部材40’の横方向での移動が規制され、該加圧部材40’の外れがより確実に防止される。
本実施形態では、上記受入空所は貫通孔として形成されているので、その内壁面は閉じた四つの壁面を有しているが、変形例としては、三つの壁面を有していれば十分で一方に開放されていてもよい。三つの壁面を有しているようにすれば、受入空所を形成することによるこの部分での加圧部材の強度の低下が殆んどないからである。
(A)は第一実施形態に係る平型導体用コネクタの背面図、(B)は同コネクタの平面図、(C)は同コネクタの正面図である。 (A)は、加圧部材が開位置にあるときの第一実施形態に係るコネクタの側面図、(B)は加圧部材が閉位置にあるときの同コネクタの側面図である。 加圧部材が開位置にあるときの図1(C)に示される各位置での断面図であり、(A)はA−A断面図、(B)はB−B断面図、(C)はC−C断面図である。 加圧部材が閉位置にあるときの図1(C)の断面図であり、(A)はA−A断面図、(B)はB−B断面図、(C)はC−C断面図である。 耳部を有する平型導体が接続されたコネクタにおける係止部材付近の概略を示す斜視図である。 第二実施形態に係るコネクタの断面図である。
符号の説明
1 コネクタ 26 接触腕
10 ハウジング 26A 接触部
20 端子 30 係止部材
21 被取付部 32 係止突部
22 基部 40,40’ 加圧部材
25 支持腕 44,44’ 受入空所
25A 回動支持部

Claims (5)

  1. 金属板の平坦な板面を維持して作られた複数の端子がそれらの板面同士を平行としてハウジングにより配列保持され、各端子はハウジングへの取付けのための被取付部が設けられている基部から延びる支持腕と接触腕とを有し、支持腕と接触腕は互の間に間隔をもった状態で延びていて該間隔でハウジング外から前方に向け挿入され先端部側縁に耳部を有する平型導体の先端部を受入れ可能としており、この平型導体の受入れを容易とする開位置から該平型導体を圧する閉位置の間で回動可能な加圧部材が上記支持腕の回動支持部にて支持されていて、該加圧部材が閉位置への回動で平型導体と接触腕の接触部との接圧を高めるようになっている平型導体用電気コネクタにおいて、金属板から作られていてその板面が端子と平行をなしている係止部材がハウジングに取り付けられており、係止部材は、上記平型導体の耳部を上方から受け入れる凹状の曲部が形成されると共に、該曲部の前縁部から上方に向け突出する係止突部を有し、該係止突部は該係止突部の突出方向で加圧部材の回動中心に対応する位置を越えて延びており、加圧部材は閉位置にて該係止突部を受け入れる受入空所が形成され、該受入空所は、上記係止突部に対して少なくとも前後位置で該係止突部の周面に沿って内壁面を形成していることを特徴とする平型導体用電気コネクタ。
  2. 受入空所は凹部であることとする請求項1に記載の平型導体用電気コネクタ。
  3. 受入空所は係止突部が延びる方向で貫通して形成されていることとする請求項1に記載の平型導体用電気コネクタ。
  4. 係止部材は端子の配列方向で少なくとも端部の端子に隣接して設けられていることとする請求項1に記載の平型導体用電気コネクタ。
  5. 係止部材は端子の配列範囲にも設けられていることとする請求項4に記載の平型導体用電気コネクタ。
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