JP4793672B2 - ジョークラッシャーの固定歯板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、岩石などを破砕するためのジョークラッシャーの固定歯板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
岩石、アスファルト舗装廃棄物、コンクリートガラなどを所望の大きさに破砕する破砕機としては、固定歯板と可動歯板との間に被破砕物を導入して破砕するための断面V字形の破砕空間Vが形成されたものが広く用いられているが、従来の固定歯板は、加工硬化の大きい高マンガン鋳鋼などよりなる基板に多数配設されている凹陥部に、先端が被破砕物を破砕するための凸部とされた高硬度なクロム鋳鉄などよりなるブロック状のインサート部材を嵌め込んで接着剤などにより接着一体化なっているものである。このため、インサート部材の摩耗が進んで破砕が困難になると、凹陥部に嵌合接着されて摩耗しているインサート部材を凹陥部より取り外すことができないため、そのまま工場の空き地などに放置されていた。しかしながら、固定歯板は一辺が1m以上と大きいうえに、特に数百kgもある重量なものであるので容易に移動させることができず、スペースを占有するだけで邪魔なものとなっていた。また、近年の資源のリサイクル使用の機運の高まりにつれて、クロム鋳鉄などからなるインサート部材と高マンガン鋳鋼などからなる基板を分別回収して再利用することが求められているが、前記したようにインサート部材を凹陥部より取り外すことができないので両者を分別回収することが困難なものであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとするところは上記した従来の問題点を解決し、分別回収することの容易なジョークラッシャーの固定歯板を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するためになされた本発明は、固定歯板と可動歯板との間に形成される破砕空間に被破砕物を導いて前記可動歯板の揺動運動により破砕するジョークラッシャーに交換自在に取付けられる、インサート部材装着用の凹陥部が表側に多数配設され裏側には各凹陥部に連通するインサート部材押出用の貫通孔が設けられている基板と、先端が被破砕物を破砕する凸部とされて各凹陥部に嵌合装着されるブロック状のインサート部材とよりなる前記固定歯板において、前記インサート部材を、その基方部を先方部より幅狭に形成するとともに、先方部と基方部の途中に傾斜面を設けて、この傾斜面を凹陥部の端で受けることによりインサート部材の座りを安定させたうえに、前記貫通孔を通じてインサート部材に加えられる衝撃により凹陥部からインサート部材を取り外せるようにしたことを特徴とするジョークラッシャーの固定歯板を請求項1に係る発明とする。
【0005】
本発明によれば、表側に凹陥部が多数配設されている基板にインサート部材を嵌め込んだ使用済の固定歯板を新規な固定歯板に交換したとき、使用済の固定歯板を廃棄することなく、基板の底面に凹陥部に通じる貫通孔を設けてあることにより、貫通孔から挿通する押出工具によりインサート部材を押圧して容易に基板の凹陥部から取り外したうえ、インサート部材と基板とを分別回収することができる。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照しつつ本発明の好ましい実施形態を示す。
1は固定歯板であって、この固定歯板1は、先端が被破砕物を破砕する凸部11に形成されたブロック状のインサート部材12の多数個と、各インサート部材12を嵌合する凹陥部14が表側に均斉に配設されている基板13とよりなり、各凹陥部14にインサート部材12を嵌合して接着材により一体化したものであるが、特に、本発明の固定歯板1は基板13の裏側の前記した各凹陥部14の底面15に対応する位置に押出工具を挿通できる貫通孔16が設けられたものとしてある。この貫通孔16は、インサート部材12や基板13の表面の摩耗が進んで使用済となってジョークラッシャー本体6から取り外された後において、基板13の裏側から貫通孔16に棒状の押出工具などを差し込み、後ろからプレス等により衝撃を加えるという簡単な手数で基板13からインサート部材12を取り外すことができるようにするためのものである。
【0007】
なお、インサート部材12は、図6に示すようにその基方部を先方部よりやや幅狭にして中程に傾斜面17を設けておけば、この傾斜面17を基板13の凹陥部14の端で受けることにより座りを安定させてインサート部材12を基板13に固定することができる。また、基板13の裏側より各凹陥部14に通じるように貫通孔16を設けるには、基板13を製造する時に鋳造により予め設けるようにしてもよいし、鋳造後にドリルなどの機械加工により設けてもよく、さらに、前記した貫通孔16の形状は、円形、正方形、六角形などのほか楕円形や矩形或いはコーナーを面取りした矩形など、棒状の工具を差し込み可能な適宜の形状のものとすることができる。また、インサート部材12の先端形状は、応力を集中させることのできる凸起状に形成されていれば被破砕物を破砕することができるので、図示するような形状に限定されるものではない。
【0008】
しかして、このような固定歯板1が使用済となったときにジョークラッシャーから外してリサイクルするには、先ず、ボルトなどによる締結を解いて従来どおり固定歯板1をジョークラッシャー本体6から取り外し、これを処理場に集積する。そして、処理場においては各々の固定歯板1の基板13に設けられた貫通孔16に棒状の押出工具を装着してプレスなどにより衝撃を加え、インサート部材12を基板13から取り外して分別回収する。この分別されたインサート部材12と基板13は、既記したようにインサート部材12が高硬度なクロム鋳鉄などにより製造され、また、基板13は高マンガン鋳鋼などにより製造されているから、インサート部材12がクロム鋳鉄製である場合には、クロム鋳鉄を溶製する主原料として、また、基板13が高マンガン鋳鋼製である場合には、高マンガン鋳鋼を溶製する主原料として電気炉などに投入し、再度インサート部材12や基板13を鋳造したり、その他の部品を製造することによって固定歯板1を有効にリサイクル使用することができる。
【0009】
次に、基板13に予め貫通孔16が設けられていない従来の使用済の固定歯板1をリサイクルしたいときには、摩耗した固定歯板1を前記した場合と同様にしてジョークラッシャー本体6より取り外して裏返し、基板13の裏側から各凹陥部14に連通するインサート部材押出用の貫通孔を機械加工により穿孔し、この貫通孔16に棒状の押出工具などを差し込んで後ろからプレス等により衝撃を加えることにより基板13からインサート部材12を取り外せばよい。
【0010】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明のジョークラッシャーの固定歯板は、インサート部材装着用の凹陥部が表側に多数配設され裏側には各凹陥部に連通するインサート部材押出用の貫通孔が設けられている基板と、先端が被破砕物を破砕する凸部とされて各凹陥部に嵌合装着されるブロック状のインサート部材とよりなるものであるから、磨耗してジョークラッシャー本体から取り外されたのちは、そのまま前記した貫通孔を通じてインサート部材に衝撃を加え、この衝撃により凹陥部からインサート部材を容易に取り外してインサート部材と基板とを分別回収し、鋳造原料として再利用することができる。また、ジョークラッシャーの固定歯板のリサイクル法は、前記したような貫通孔が設けられているときはこの貫通孔を通じてインサート部材に衝撃を加えて凹陥部からインサート部材を取り外し、貫通孔が設けられていないときには、基板の裏側から各凹陥部に連通するインサート部材押出用の貫通孔を機械加工により穿孔し、この貫通孔を通じてインサート部材に衝撃を加えて凹陥部からインサート部材を取り外してこのインサート部材と基板とを有効にリサイクル使用することができる。
従って、本発明は従来の問題点を解決したジョークラッシャーの固定歯板として、工業的に有益なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】固定歯板の好ましい形態を示す正面図である。
【図2】図1のAーA端面図である。
【図3】図1のBーB端面図である。
【図4】固定歯板の要部を拡大して示す断面図である。
【図5】中程に傾斜面を形成してあるインサート部材を用いた固定歯板の要部を拡大して示す端面図である。
【図6】本発明の固定歯板の実施例の要部を拡大して示す端面図である。
【図7】ジョークラッシャーの構成を示す概略図である。
【符号の説明】
1 固定歯板
2 可動歯板
11 凸部
12 インサート部材
13 基板
14 凹陥部
16 貫通孔
Claims (1)
- 固定歯板と可動歯板との間に形成される破砕空間に被破砕物を導いて前記可動歯板の揺動運動により破砕するジョークラッシャーに交換自在に取付けられる、インサート部材装着用の凹陥部が表側に多数配設され裏側には各凹陥部に連通するインサート部材押出用の貫通孔が設けられている基板と、先端が被破砕物を破砕する凸部とされて各凹陥部に嵌合装着されるブロック状のインサート部材とよりなる前記固定歯板において、
前記インサート部材を、その基方部を先方部より幅狭に形成するとともに、先方部と基方部の途中に傾斜面を設けて、この傾斜面を凹陥部の端で受けることによりインサート部材の座りを安定させたうえに、
前記貫通孔を通じてインサート部材に加えられる衝撃により凹陥部からインサート部材を取り外せるようにしたことを特徴とするジョークラッシャーの固定歯板。
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