JP4792580B2 - 発光寿命測定装置およびその測定方法 - Google Patents

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本発明は、発光寿命測定装置およびその測定方法に関し、特に細胞内の微視的な環境変化を反映した発光寿命のわずかな変化を高感度かつ定量的に検出することができる発光寿命測定装置およびその測定方法に関する。
細胞の特定箇所や細胞内のタンパク質などを発光分子により標識し、顕微鏡を用いてその発光強度を観察する方法は、細胞生物学や分子生物学などにおいて必須の技術となっている。
細胞内に位置する発光分子の発光特性は、発光分子の周囲の環境によって変化することが知られている。このとき、発光特性は、イオン濃度やpHなどの細胞内の生理学的なパラメーターのみではなく、発光分子とタンパク質や水などとの相互作用によっても変化する。したがって、細胞内に位置する発光分子の発光強度の変化を測定することにより、その細胞の細胞内の微視的な変化を検出することができる。例えば、非特許文献1では、蛍光タンパク質カメレオンの発光強度の変化を測定することにより、細胞内のカルシウムイオンの濃度変化を検出している。
細胞内の生理学的パラメーターおよび分子間相互作用は、細胞分裂や細胞死などの進行、光刺激や外来刺激などの種々の外来刺激による影響、および細胞の活性度など(以下「細胞活性度等」という)と相関があると考えられている。したがって、細胞内に位置する発光分子の発光強度を測定することにより、細胞活性度等を測定することができる可能性がある。
ところで、発光強度ではなく発光寿命を測定する方法として、蛍光寿命画像顕微法(Fluorescence Lifetime Imaging Microscopy:以下「FLIM」と略記する)が知られている(非特許文献2参照)。FLIMで発光寿命を算出するとき、時間ゲート法または時間相関単一光子計数法のいずれかが用いられることが多い。時間ゲート法は、迅速かつ簡便に発光寿命を算出することができるが、多成分の減衰や立ち上がり成分が存在すると、大きく異なった発光寿命を算出してしまうという問題点がある。一方、時間相関単一光子計数法は、正確な発光寿命を算出することができるが、測定時間が長くなるという問題点がある。
T. Nagai, S. Yamada, T. Tominaga, M. Ichikawa and A. Miyawaki, "Expanded dynamic range of fluorescent indicators for CA2+" Proc. Natl. Acad. Sci. USA 101(29), 10554-10559. H. Wallrabe, A. Periasamy, "Imaging protein molecules using FRET and FLIM microscopy" Curr. Opin. Biotechnol. 16(1), 19-27.
しかしながら、発光強度の変化を測定する方法では、細胞活性度等を測定することが困難であるという問題がある。
すなわち、発光強度の測定値は、発光分子の周囲の環境だけではなく、発光分子の濃度、発光分子の発光寿命、励起光強度、光学系、励起波長および不純物など非常に多くの要因に依存しているため、定量性に欠けている。したがって、発光強度の変化を測定する方法では、細胞活性度等の変化を反映した発光特性のわずかな変化をシグナルとして検出することができず、細胞活性度等を測定することができないのである。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、細胞活性度等の変化を反映した発光特性のわずかな変化を高感度かつ定量的にその場測定することができる発光寿命測定装置およびその測定方法を提供することを目的とする。
本発明の発光寿命測定装置は、パルス励起光を発するパルスレーザー光源部と、前記パルス励起光を試料に照射し、前記試料から放出される発光を出力する測定用光学系と、前記パルスレーザー光源部が前記パルス励起光を発してから複数の時間帯において前記発光の光子数を計測することで発光寿命を算出する時間ゲート法によって、前記試料の複数地点における発光寿命の値およびその空間分布を取得する発光寿命分布画像取得手段と、前記パルス励起光を検出してから前記発光の光子を検出するまでの時間、または前記発光の光子を検出してから前記パルス励起光を検出するまでの時間を測定することで発光減衰曲線を測定する時間相関単一光子計数法によって、前記試料の特定地点における発光減衰曲線を測定する発光減衰曲線測定手段と、を有する。
本発明の発光寿命測定方法は、パルス励起光を試料に照射するステップと、前記パルス励起光を照射してから複数の時間帯において、前記試料から放出される発光の光子数を計測することで発光寿命を算出する時間ゲート法によって、前記試料の複数地点における発光寿命の値およびその空間分布を取得するステップと、取得した空間分布から発光減衰曲線を測定する地点を特定するステップと、前記パルス励起光を検出してから前記発光の光子を検出するまでの時間、または前記発光の光子を検出してから前記パルス励起光を検出するまでの時間を測定することで発光減衰曲線を測定する時間相関単一光子計数法によって、前記試料の特定された地点における発光減衰曲線を測定するステップと、を有する。
本発明によれば、細胞活性度等の変化を反映した発光特性のわずかな変化を高感度かつ定量的にその場測定することができる。これにより、単一細胞内における様々な動的情報をその場で得ることができる。
本発明の発光寿命測定装置およびその測定方法は、発光強度ではなく発光寿命を測定することを特徴とする。ここで「発光」とは、蛍光や燐光、化学発光などを意味する。また、「発光寿命」とは、発光強度が1/eに低下するのに要する時間を意味する。発光寿命は、発光分子ごとに固有の値であるため、発光分子の濃度、励起光強度、光学系、励起波長および不純物などに依存しない。したがって、本発明の発光寿命測定装置およびその測定方法は、試料内に位置する発光分子の発光寿命を測定することで、発光分子の周囲の微細環境に関する情報を直接的に取得することができる。
また、本発明の発光寿命測定装置およびその測定方法は、時間ゲート法および時間相関単一光子計数法の二つの方法を用いて発光寿命を測定することも特徴とする。
時間ゲート法は、発光減衰曲線を数分割のウィンドウに分割し、各ウィンドウ内の積分発光強度の値を時間に対してプロットし、積分発光強度が単一指数関数的に減衰すると仮定して発光寿命を求める方法である。時間ゲート法は、迅速かつ簡便に発光寿命を算出することができるが、発光強度(光子数)が単一指数関数的に減衰するという仮定に基づいているため、多成分の減衰や立ち上がり成分が存在すると、大きく異なった発光寿命を算出してしまうという問題点、および高いシグナル/ノイズ比でなければ定性的な発光寿命の値しか得られないという問題点がある。
一方、時間相関単一光子計数法は、1回の励起によって最初に発生する光子1個の時間軸上での発生確率分布(すなわち発光1光子の発生確率分布)を測定し、それを1回の励起によって発生する全光子の時間軸上での強度分布(すなわち発光減衰曲線)とみなすことにより発光寿命を求める方法である。時間相関単一光子計数法は、正確な発光減衰挙動を測定することができるが、1パルスの励起光につき最大1光子しか測定できないため、測定時間が長いという問題点がある。
本発明の発光寿命測定装置およびその測定方法は、時間ゲート法により試料の特定領域内の各地点における発光寿命を迅速に測定し、発光寿命分布画像を作成する(FLIM測定)。次いで、本発明の発光寿命測定装置およびその測定方法は、時間ゲート法の問題点を補うために、時間相関単一光子計数法により試料の特定地点(興味がある地点)における発光寿命を定量的に測定する。
このように、本発明の発光寿命測定装置およびその測定方法は、試料の特定領域における定性的な発光寿命の値の分布、および試料の特定地点における定量的な発光寿命の値を短時間で取得することができる。したがって、本発明の発光寿命測定装置およびその測定方法は、発光特性のわずかな変化をその場測定することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る発光寿命測定装置の構成図である。矢印は光(励起光または発光)を示す。
図1において、本発明の発光寿命測定装置100は、パルスレーザー光源部110、測定用光学系120、励起光検出部130、発光寿命分布画像取得部140、発光減衰曲線測定部150、および表示部160を備える。
パルスレーザー光源部110は、試料に照射するパルス励起光を繰り返し出力する。パルス励起光の種類は、特に限定されないが、超短パルスレーザー光が好ましい。
測定用光学系120は、パルスレーザー光源部110から入力したパルス励起光を試料に照射し、試料から放出される発光ならびにパルス励起光を照射した時刻に関する時間情報およびパルス励起光を照射した位置に関する位置情報を出力する。
励起光検出部130は、パルスレーザー光源部110から入力したパルス励起光を検出し、トリガー信号を生成する。また、励起光検出部130は、生成したトリガー信号を出力する。
発光寿命分布画像取得部140は、測定用光学系120から出力された発光および励起光検出部130から出力されたトリガー信号を入力し、時間ゲート法によって試料の特定領域内の各地点における発光寿命を算出する。また、発光寿命分布画像取得部140は、測定用光学系120から時間情報および位置情報を入力し、算出された発光寿命の値と組み合わせることで、発光寿命分布画像を作成する。
ここで、図2を用いて、時間ゲート法による発光寿命の測定について説明する。図2は、時間ゲート法の原理を説明するための試料の一地点における発光減衰曲線を示す図である。横軸は時間軸、縦軸は光子数(発光強度)を示す。また、点線は試料に照射したパルス励起光(トリガー信号に相当)を示し、実線は試料から放出された発光を示す。
時間ゲート法で発光寿命を算出するには、まず、試料の一地点における発光減衰曲線をパルス励起光(トリガー信号)からの遅延時間に応じて複数のウィンドウ(図2では1〜4の4つのウィンドウ)に分割し、各ウィンドウにおける積分発光強度の値を算出する。次いで、算出された積分発光強度の値を時間に対してプロットし、積分発光強度が単一指数関数的に減衰すると仮定することで当該一地点における発光寿命を算出する。このとき、各ウィンドウの積分発光強度の値と位置情報を組み合わせることで、ウィンドウ数と同じ数の時間分解共焦点発光画像を作成することができる(実施例参照)。同様に、発光寿命の値と位置情報を組み合わせることで、発光寿命分布画像を作成することができる(実施例参照)。なお、時間ゲートのウィンドウ数(図2では4つ)およびウィンドウ幅(図2では2ナノ秒)は、任意に設定すればよい。
図1の説明に戻る。発光減衰曲線測定部150は、測定用光学系120から出力された発光および励起光検出部130から出力されたトリガー信号を入力し、時間相関単一光子計数法によって試料の特定地点における発光減衰曲線を測定する。
ここで、時間相関単一光子計数法による発光減衰曲線の測定について説明する。前記のとおり、時間相関単一光子計数法は、1回の励起によって特定地点において最初に発生する光子1個の時間軸上での発生確率分布を測定し、それを1回の励起によって特定地点において発生する全光子の時間軸上での強度分布とみなすことにより特定地点における発光減衰曲線を求める方法である。通常、発光減衰曲線測定部150は、トリガー信号をスタート信号とし、1回の励起によって光子を最初に検出した時をストップ信号とし、スタート信号とストップ信号との間の時間を測定することで発光減衰曲線を作成する。しかし、発光減衰曲線測定部150は、1回の励起によって光子を最初に検出した時をスタート信号とし、遅延回路などにより遅延させたトリガー信号をストップ信号としても、スタート信号とストップ信号との間の時間を測定することで発光減衰曲線を作成することができる(実施例参照)。後者の方法は、確実にストップ信号が入力されるという点で、前者の方法より優れている。
表示部160は、発光寿命分布画像取得部140が作成した発光寿命分布画像、および発光減衰曲線測定部150が作成した発光減衰曲線を表示する。
次に、上記構成を有する発光寿命測定装置の動作を説明する。
まず、パルスレーザー光源部110は、パルス励起光を測定用光学系120および励起光検出部130に出力する。
次いで、測定用光学系120は、パルスレーザー光源部110から入力したパルス励起光を試料に照射し、試料から放出される発光を発光寿命分布画像取得部140または発光減衰曲線測定部150に出力する。このとき、測定用光学系120は、パルス励起光を照射した時刻に関する時間情報およびパルス励起光を照射した位置に関する位置情報も発光寿命分布画像取得部140または発光減衰曲線測定部150に出力する。
また、励起光検出部130は、パルスレーザー光源部110から入力したパルス励起光を検出し、トリガー信号を生成する。生成されたトリガー信号は、発光寿命分布画像取得部140または発光減衰曲線測定部150に出力される。
次いで、発光寿命分布画像取得部140は、測定用光学系120から出力された発光および励起光検出部130から出力されたトリガー信号を入力し、時間ゲート法によって試料の特定領域内の各地点における発光寿命を測定する。また、発光寿命分布画像取得部140は、測定用光学系120から位置情報および時間情報を入力し、前記発光寿命の値と組み合わせることで、発光寿命分布画像を作成する。作成された発光寿命分布画像は、表示部160に出力される。
次いで、発光減衰曲線測定部150は、測定用光学系120から出力された発光および励起光検出部130から出力されたトリガー信号を入力し、時間相関単一光子計数法によって試料の特定地点における発光減衰曲線を測定する。測定された発光減衰曲線は、表示部160に出力される。
次いで、表示部160は、発光寿命分布画像取得部140が作成した発光寿命分布画像、および発光減衰曲線測定部150が測定した発光減衰曲線を表示する。
次に、図3に示されるフローチャートを用いて、上記構成を有する発光寿命測定装置を用いて試料の発光寿命を測定する手順を説明する。
まず、ステップS1000において、試料を測定用光学系120のステージに置く。試料は、特に限定されないが、生体組織(固定組織または生組織)、細胞(固定細胞または生細胞)、高分子薄膜などを用いることができる。例えば、細胞活性度等を測定する場合、試料は、生体組織(生組織)または生細胞(培養細胞)を用いればよい。
次いで、ステップS1100において、測定用光学系120を用いて試料の発光強度画像を取得する。
次いで、ステップS1200において、取得した発光強度画像から発光寿命分布画像を取得する領域を特定する。
次いで、ステップS1300において、測定用光学系120および発光寿命分布画像取得部140を用いて試料の時間分解発光画像を取得する。
次いで、ステップS1400において、発光寿命分布画像取得部140を用いて試料の特定領域内の各地点における発光寿命を時間分解発光画像から時間ゲート法により算出し、発光寿命分布画像を取得する。
次いで、ステップS1500において、取得した発光寿命分布画像から発光減衰曲線を測定する地点を特定する。
次いで、ステップS1600において、測定用光学系120および発光減衰曲線測定部150を用いて試料の特定地点における発光減衰曲線を取得する。
次いで、ステップS1700において、他に発光減衰曲線を測定する地点があるか否かを判断する。測定する地点がある場合(S1700:NO)は、ステップS1500に戻る。測定する地点が無い場合(S1700:YES)は、本フローを終了する。
以上のように、本発明によれば、試料の特定領域における発光寿命の定性的な値の空間分布を示す発光寿命空間分布画像を迅速に取得できるだけでなく、その画像を基に発光寿命を定量的に調べたい地点を特定し、その特定地点の発光減衰曲線を測定することができる。本発明によれば、従来の発光強度の測定や試薬などを用いた方法と異なり、(1)実時間で、(2)特別な試薬やサンプリングなどを必要とせずに、(3)顕微鏡で観察しながら容易に、その場測定を行うことができる。
また、本発明によれば、参考例に示されるように、単一生細胞内の発光寿命の経時変化を測定することができ、細胞活性度等の経時変化を高感度に検出することができる。
また、本発明によれば、参考例に示されるように、高分子薄膜の発光寿命の空間分布を測定することができ、高分子薄膜のモルフォロジーを高感度に検出することができる。
なお、本実施の形態では、発光寿命分布画像および発光減衰曲線を取得するようにしたが、参考例に示されるように、さらに発光減衰曲線測定部が時間分解蛍光スペクトルも取得するようにしてもよい。
また、本実施の形態では、表示部で発光寿命分布画像および発光減衰曲線を表示するようにしたが、発光寿命分布画像および発光減衰曲線を他の機器に出力するようにしてもよい。
以下、本発明のより具体的な実施の形態(実施例)について説明する。なお、本発明は、本実施例に限定して解釈されるものではない。
[実施例1]
本実施例では、本発明に係る発光寿命測定装置を用いて、多重標識されたウシ肺動脈内皮細胞(固定標本)の発光(蛍光)寿命分布画像および特定地点の発光(蛍光)減衰曲線を取得した例を示す。
(発光寿命測定装置)
まず、本実施例で用いた発光寿命測定装置について説明する。図4は、本実施例で用いた発光寿命測定装置の構成図である。矢印は光(励起光または発光)を示す。
図4において、本実施例の発光寿命測定装置200は、パルスレーザー光源部300、測定用光学系400、励起光検出部500、発光寿命分布画像取得部600、発光減衰曲線測定部700、および表示部800を備える構成とした。
パルスレーザー光源部300は、半導体励起cw固体レーザー302(Millennia;スペクトラ・フィジックス)、フェムト秒チタンサファイアレーザー304(Tsunami;スペクトラ・フィジックス;770〜980nm、80フェムト秒、80MHz)、パルスピッカー306(350-160I;Conoptics)およびBBO結晶308(0.5mm)を備える構成とした。
測定用光学系400は、共焦点レーザー走査型顕微鏡402(倒立顕微鏡(TE2000-E;ニコン)およびスキャナヘッド(デジタルエクリプスC1;ニコン))を備える構成とした。
励起光検出部500は、フォトダイオード502および前置増幅器504(VT120;ORTEC)を備える構成とした。
発光寿命分布画像取得部600は、フィルターボックス602、発光寿命解析ユニット604(LIMO;ニコンヨーロッパビーブイ)およびコンピューター606を備える構成とした。
発光減衰曲線測定部700は、フィルターボックス702、モノクロメーター分光器704(G-250;ニコン)、マイクロチャンネルプレート光電子増倍管706(R-3809U-52;浜松ホトニクス)、前置増幅器708(C5594;浜松ホトニクス)、波高弁別器710,714(583;ORTEC)、時間電圧変換器712(457;ORTEC)、遅延回路716(425A;ORTEC)、多チャンネル波高分析器718(MCA7700;セイコー・イージーアンドジー)、コンピューター720、およびパルスモーター722を備える構成とした。
表示部800は、モニター802を備える構成とした。
次に、上記構成を有する発光寿命測定装置の動作を説明する。
パルスレーザー光源部300では、半導体励起cw固体レーザー302は、フェムト秒チタンサファイアレーザー304に励起レーザー光を出力し、フェムト秒チタンサファイアレーザー304内のレーザー活性媒質を励起する。励起されたフェムト秒チタンサファイアレーザー304は、フェムト秒パルスレーザー光を出力する。出力されたフェムト秒パルスレーザー光は、その一部はトリガー信号用に励起光検出部500に出力され、残りは励起光用にBBO結晶308によって2倍波にされ、シングルモード光ファイバーを介して測定用光学系400に出力される。なお、発光減衰曲線を測定するときは、フェムト秒パルスレーザー光は、パルスピッカー306によって繰り返し周波数を9MHzに調整される。
測定用光学系400では、共焦点レーザー走査型顕微鏡402は、入力した励起光(2倍波にされたフェムト秒パルスレーザー光)を試料(細胞)に照射し、試料から放出された発光をマルチモード光ファイバーを介して発光寿命分布画像取得部600または発光減衰曲線測定部700に出力する。このとき、共焦点レーザー走査型顕微鏡402は、小さく絞ったレーザー光スポットで試料を走査しながら照射する。また、共焦点レーザー走査型顕微鏡402は、走査に関する位置情報も発光寿命分布画像取得部600または発光減衰曲線測定部700に出力する。
励起光検出部500では、フォトダイオード502は、入力したフェムト秒パルスレーザー光を検出し、トリガー信号を生成する。生成されたトリガー信号は、前置増幅器504により増幅され、発光寿命分布画像取得部600または発光減衰曲線測定部700に出力される。
発光寿命分布画像取得部600では、測定用光学系400から出力された発光は、フィルターボックス602を介して発光寿命解析ユニット604に入力される。発光寿命解析ユニット604およびコンピューター606は、時間ゲート法により、入力したトリガー信号、発光および位置情報から、時間分解共焦点発光画像を作成する。さらに、コンピューター606は、時間分解共焦点発光画像の各ピクセルにおける発光強度の経時変化から発光寿命を算出し、算出された発光寿命をプロットすることで蛍光寿命分布画像を作成する。作成された発光寿命分布画像は、表示部800に出力される。
発光減衰曲線測定部700では、測定用光学系400から出力された発光は、フィルターボックス702およびモノクロメーター分光器704を介してマイクロチャンネルプレート光電子増倍管706に入力される。マイクロチャンネルプレート光電子増倍管706は、入力した発光を検出し、発光光子信号を生成する。生成された発光光子信号は、前置増幅器708により増幅され、波高弁別器710によって波高弁別され、時間電圧変換器712にスタート信号として入力される。また、励起光検出部500から入力したトリガー信号は、波高弁別器714によって波高弁別され、遅延回路716によって時間調整され、時間電圧変換器712にストップ信号として入力される。時間電圧変換器712、多チャンネル波高分析器718およびコンピューター720は、ピコ秒時間相関単一光子計数法により、入力したスタート信号およびストップ信号から発光減衰曲線を算出する。算出された発光減衰曲線は、表示部800に出力される。なお、後述する参考例に示されるように、コンピューター720およびパルスモーター722によりモノクロメーター分光器704に波長を掃引させることにより、試料の特定地点における時間分解発光スペクトルを測定することもできる。
表示部800では、モニター802は、発光寿命分布画像取得部600から入力した発光寿命分布画像および発光減衰曲線測定部700から入力した発光減衰曲線を表示する。
(測定手順)
次に、本実施例における測定手順を説明する。
発光寿命分布画像の取得を以下のように行った。
(1)まず、共焦点レーザー走査型顕微鏡402の検出器を用いて共焦点発光画像を取得した。励起光の波長は、450nmとした。
(2)次に、得られた共焦点発光画像から発光寿命分布画像を取得したい領域を特定し、スキャンヘッドの走査範囲を設定した。本実施例では、走査範囲を256×256ピクセルとした。
(3)次に、発光を伝播させるマルチモードファイバーを、共焦点レーザー走査型顕微鏡402の検出器から発光寿命解析ユニット604に接続されたフィルターボックス602に繋ぎ替え、共焦点レーザー走査型顕微鏡402の連続走査を開始させた。このとき、パルス励起光の波長は、410nm、440nmまたは450nmとした。また、1ピクセルあたりのレーザー光照射時間を50マイクロ秒とし、平均化を10回行った。このような条件の場合、約2分の測定時間で時間分解共焦点発光画像を得ることができた。また、必要に応じてフィルターボックス602内にフィルター(色ガラス)を装着した。
(4)最後に、発光寿命解析ユニット604およびコンピューター606により、(2)で特定された領域の時間分解発光画像を取得し、その領域の発光寿命分布画像を作成した。本実施例では、時間ゲート法のウィンドウは2ナノ秒ごとに4つとした。したがって、得られる4枚の時間分解発光画像は、トリガー信号が入力されてから0〜2ナノ秒、2〜4ナノ秒、4〜6ナノ秒、6〜8ナノ秒の間に試料から放出された発光を示す画像となる。
引き続き、発光減衰曲線の測定を以下のように行った。
(5)次に、得られた発光寿命分布画像を参照して発光減衰曲線を測定したい地点を特定し、スキャンヘッドの走査範囲を必要最小限の大きさに設定した。本実施例では、走査範囲を16×16ピクセルとした。
(6)次に、発光を伝播させるマルチモードファイバーを、共焦点レーザー走査型顕微鏡402の検出器からモノクロメーター分光器704に接続されたフィルターボックス702に繋ぎ替え、共焦点レーザー走査型顕微鏡402の連続走査を開始させた。このとき、パルス励起光の波長は、410nm、440nmまたは450nmとした。また、必要に応じてフィルターボックス702内にフィルターを装着した。
(7)最後に、時間電圧変換器712、多チャンネル波高分析器718およびコンピューター720により、(5)で特定した地点の発光減衰曲線を測定した。
(測定結果)
測定試料は、BODIPY FL(微小管)、テキサスレッド−Xファロイジン(F−アクチン)およびDAPI(核)で多重標識されたウシ肺動脈内皮細胞の既成スライド(モレキュラープローブス:F-14781)、またはMito Tracker Red CMXRos(ミトコンドリア)、BODIPY FLファラシジン(F−アクチン)およびDAPI(核)で多重標識されたウシ肺動脈内皮細胞の既成スライド(モレキュラープローブス:F-14780)を用いた。
パルス励起光の波長は、410nm(図5)または440nm(図6)とした。
図5(A)〜(D)は、発光寿命分布画像取得部を用いて測定した、ウシ肺動脈内皮細胞(F-14781)の時間分解共焦点蛍光画像である。図5(A)は、トリガー信号が入力されてから0〜2ナノ秒、図5(B)は2〜4ナノ秒、図5(C)は4〜6ナノ秒、図5(D)は6〜8ナノ秒の間の時間分解共焦点蛍光画像である。
図5(E)は、共焦点レーザー走査型顕微鏡の検出器によって測定した、ウシ肺動脈内皮細胞(F-14781)の共焦点蛍光画像である。得られた画像は、発光寿命分布画像取得部によって測定した時間分解共焦点蛍光画像(図5(A)〜(D))とほぼ同一であることがわかる。
図5(F)は、図5(A)〜(D)の結果を解析して得られた蛍光寿命の値の分布を示すヒストグラムである。また、図5(G)は、図5(A)〜(D)の結果を解析して得られた蛍光寿命の値の空間的分布を示す蛍光寿命分布画像である。図5(G)から、蛍光寿命は、細胞内の位置によって異なることがわかる。すなわち、蛍光寿命は、核では1.8〜2.0ナノ秒であるのに対し、核の周辺部では2.5〜3.0ナノ秒であることがわかる。また、図5(F)のヒストグラムには、1.8ナノ秒および2.6ナノ秒の2つのピークが存在している。それぞれのピークは、核を標識する蛍光色素の蛍光寿命と、核の周辺部を標識する蛍光色素の蛍光寿命に対応している。
図6(A)は、共焦点レーザー走査型顕微鏡の検出器によって測定した、ウシ肺動脈内皮細胞(F-14780)の共焦点蛍光画像である。また、図6(B)は、発光寿命分布画像取得部によって測定した、ウシ肺動脈内皮細胞(F-14780)の蛍光寿命分布画像である。図6(C)は、図6(B)の結果を解析して得られた蛍光寿命の値の分布を示すヒストグラムである。図6(D)は、発光減衰曲線測定部によって測定した、ウシ肺動脈内皮細胞の特定地点(図6(A)の×印)の蛍光減衰曲線である。
図6(D)から、時間ゼロ付近においてデルタ関数的な鋭いピークがあることがわかる。このピークは、共焦点レーザー走査型顕微鏡のダイクロイックミラー、フィルター、モノクロメーター分光器によって取り除くことができなかった散乱光によるものである。したがって、蛍光減衰曲線から蛍光寿命を算出する際には、この部分を除いて算出する。実際に、時間ゼロ付近のピークを除き、蛍光強度が単一指数関数的に減衰すると仮定して蛍光寿命を算出すると、この地点の蛍光寿命は約2.9ナノ秒となった。この値は、発光寿命分布画像取得部によって算出された蛍光寿命と一致していた。
このように、本実施の形態に係る発光寿命測定装置は、発光寿命の定性的な値の空間分布を示す発光寿命空間分布画像を取得できるだけでなく、その画像を基に発光寿命を定量的に調べたい地点を特定し、その地点の発光減衰曲線を測定することができる。
[実施例2]
本実施例では、実施例1と同じ発光寿命測定装置を用いて、pH感応性色素である2',7'-bis(carboxyethyl)-4 or 5-carboxyfluorescein(BCECF)によって染色された高度好塩菌の発光(蛍光)寿命分布画像および特定地点の発光(蛍光)減衰曲線を取得した例を示す。
測定試料は、BCECFによって染色された、生きている高度好塩菌(Halobacterium Salinarum)を用いた。BCECFは、蛍光強度だけでなく蛍光寿命もpHと相関関係を有することが報告されている(H. Szmacinski and J. R. Lakowicz, "Optical measurements of pH using fluorescence lifetime and phase-modulation fluorometry" Anal. Chem. 65, 1668-1674.)。
パルス励起光の波長は、450nmとした。また、フィルターを用いて、時間分解共焦点蛍光画像を取得する際には515〜560nmの波長の蛍光を観察し、蛍光減衰曲線を取得する際には530nmの波長の蛍光を観察した。
図7(A)〜(D)は、発光寿命分布画像取得部を用いて測定した、BCECFによって染色された高度好塩菌の時間分解共焦点蛍光画像である。図7(A)は、トリガー信号が入力されてから0〜2ナノ秒、図7(B)は2〜4ナノ秒、図7(C)は4〜6ナノ秒、図7(D)は6〜8ナノ秒の間の時間分解共焦点蛍光画像である。
図7(E)は、図7(A)〜(D)の結果を解析して得られた蛍光寿命の値の空間的分布を示す蛍光寿命分布画像である。また、図7(F)は、図7(A)〜(D)の結果を解析して得られた蛍光寿命の値の分布を示すヒストグラムである。細胞内のBCECFの蛍光寿命がpHに依存しているとすると、図7(E)から細胞内のpHの空間分布を取得することができる。また、図7(F)のヒストグラムから、細胞内のpHの数値分布を取得することができ、平均pHを算出することができる。
図7(G)は、発光減衰曲線測定部によって測定した、BCECFによって染色された高度好塩菌の蛍光減衰曲線である。図7(G)から、蛍光強度が単一指数関数的に減衰すると仮定して蛍光寿命を算出すると、この地点の蛍光寿命は約2.9ナノ秒となった。この値は、発光寿命分布画像取得部によって算出された蛍光寿命(2.6〜2.7ナノ秒)と約10%異なっていた。これは、ウィンドウ(時間領域)数を4つに設定したことにより、時間ゲート法による蛍光寿命の算出の精度が非常に粗くなってしまったためだと考えられる。
このように、本実施の形態に係る発光寿命測定装置は、生細胞においても、発光寿命の定性的な値の空間分布を示す発光寿命空間分布画像を取得できるだけでなく、その画像を基に発光寿命を定量的に調べたい地点を特定し、その地点の発光減衰曲線を測定することができる。本発明に係る発光寿命測定装置は、時間ゲート法による発光寿命の定性的な値の空間分布の測定と、時間相関単一光子計数法による特定地点における発光寿命の定量的な値の測定とを組み合わせることで、細胞内の光励起ダイナミクスに関して詳細な情報を得ることができる。
[参考例1]
本参考例では、実施例1と同じ発光寿命測定装置を用いて、GFPを発現させたHeLa細胞(生細胞)において、飢餓による細胞死誘導に伴いGFPの蛍光寿命が経時的に変化する様子を観測した例を示す。
測定試料は、CMVプロモーターによりGFPを発現させたHeLa細胞(生細胞)を用いた。本参考例では、栄養分の無い環境下に置かれたHela細胞の蛍光寿命を経時的に測定した。
パルス励起光の波長は、440nmとした。また、フィルターボックス内のフィルターはすべて取り外した。
図8(A)は、共焦点レーザー走査型顕微鏡の検出器によって測定した、GFPを発現させたHeLa細胞の共焦点蛍光画像である。また、図8(B)は、発光寿命分布画像取得部を用いて測定した、GFPを発現させたHeLa細胞の測定開始直後の蛍光寿命分布画像である。本実施例で用いたGFPは、単量体だけではなく、tudorと呼ばれるタンパク質の凝集体(顆粒)も形成する。図8(A)から、顆粒部分の蛍光強度は、周囲と比較して非常に強いことがわかる。一方、図8(B)から、顆粒部分の蛍光寿命は、周囲と比べて大きな違いはないことがわかる。
図8(B)〜(I)は、発光寿命分布画像取得部を用いて測定した、GFPを発現させたHela細胞の蛍光寿命分布画像である。図8(B)は測定を開始してから0分後、図8(C)は測定を開始してから10分後、図8(D)は測定を開始してから20分後、図8(E)は測定を開始してから30分後、図8(F)は測定を開始してから50分後、図8(G)は測定を開始してから70分後、図8(H)は測定を開始してから100分後、図8(I)は測定を開始してから120分後の蛍光寿命分布画像である。図8(B)〜(I)から、HeLa細胞を栄養分の無い環境に放置すると、蛍光寿命の分布に変化が生じることがわかる。すなわち、測定開始から20分程度までは、顆粒とその周囲のGFPの蛍光寿命の違いは小さいのに対し(図8(B)〜(D)参照)、測定開始から50分以上経過すると、顆粒以外の部分の蛍光寿命が長くなり、蛍光寿命分布画像からも顆粒の存在を認識することができるようになる(図8(F)〜(I)参照)。
図9(A)は、図8に示される細胞の特定地点(A〜C地点)における蛍光寿命の経時的変化を示すグラフである。顆粒以外の部分であるA地点およびB地点では、GFPの蛍光寿命は時間の経過とともに長くなることがわかる。一方、顆粒があるC地点では、GFPの蛍光寿命は時間が経過しても大きな変化は見られなかった。図9(B)は、画像内の全領域(256ピクセル×256ピクセル)内における、GFPの蛍光寿命のヒストグラムである。蛍光寿命の分布は、観測を開始した直後は2.0ナノ秒および2.5ナノ秒の2つのピークを有するが、細胞死に伴い長寿命の方向に移動し、3.3ナノ秒に中心を有するように変化する。このように、図8および図9から、顆粒以外の部分のGFPの蛍光寿命が、細胞死に伴い長くなることがわかる。
このように、本実施の形態に係る発光寿命測定装置は、単一生細胞内の発光寿命の経時変化を測定することができ、細胞死に伴う発色分子周囲の微視的な環境変化を高感度に検出することができる。
[参考例2]
本参考例では、実施例1と同じ発光寿命測定装置を用いて、GFPを発現させたHeLa細胞(生細胞)において、抗Fasモノクローナル抗体による細胞死誘導に伴いGFPの蛍光寿命が経時的に変化する様子を観測した例を示す。
測定試料は、CMVプロモーターによりGFPを発現させたHeLa細胞(生細胞)を用いた。本参考例では、抗Fasモノクローナル抗体を導入したHeLa細胞の蛍光寿命を経時的に測定した。
パルス励起光の波長は、440nmとした。また、フィルターボックス内のフィルターはすべて取り外した。
図10(A)〜(E)は、発光寿命分布画像取得部を用いて測定した、GFPを発現させたHeLa細胞の蛍光寿命分布画像である。また、図10(F)〜(J)は、図10(A)〜(E)の結果を解析して得られた蛍光寿命の値の分布を示すヒストグラムである。図10(A)および(F)は抗Fasモノクローナル抗体を細胞に導入してから0分後、図10(B)および(G)は90分後、図10(C)および(H)は180分後、図10(D)および(I)は240分後、図10(E)および(J)は380分後の結果である。
抗Fasモノクローナル抗体を細胞に導入した直後は、約2.3ナノ秒にピークを有する蛍光寿命の分布のみが観測される(図10(F)参照)。しかし、時間の経過とともに2.5〜3.0ナノ秒の領域にブロードな蛍光寿命の分布が出現し、その相対量が増加する様子がわかる。このように、GFPの蛍光寿命は、細胞死に伴い長くなることがわかる。
このように、本実施の形態に係る発光寿命測定装置は、単一生細胞内の発光寿命の経時変化を測定することができ、細胞死に伴う発色分子周囲の微視的な環境変化を高感度に検出することができる。
[参考例3]
本参考例では、実施例1と同じ発光寿命測定装置を用いて、時間分解蛍光スペクトルを測定した例を示す。
測定試料は、シアン蛍光タンパク質(Cyan Fluorescent Protein:以下「CFP」と略記する)と黄色蛍光タンパク質(Yellow Fluorescent Protein:以下「YFP」と略記する)とをリンカーで連結したタンパク質をCMVプロモーターにより発現させたHeLa細胞(生細胞)を用いた。また、培養液中のpHを監視するために、pH指示薬としてフェノールレッドを培養液に加えた。
パルス励起光は、440nmを用いた。また、フィルターボックス内のフィルターはすべて取り外した。
図11は、発光減衰曲線測定部を用いて測定した、CFPとYFPを連結したタンパク質を発現させたHeLa細胞の時間分解蛍光スペクトルである。上段から、励起光を照射してから0〜61ピコ秒、61〜183ピコ秒、183〜366ピコ秒、366ピコ秒〜2.806ナノ秒、2.806〜7.686ナノ秒、7.686ナノ秒〜13.786ナノ秒の間の蛍光スペクトルである。横軸は波長、縦軸は蛍光強度を示す。
図11から、CFPを励起させると、450〜550nmの領域にCFPおよびYFPの蛍光が観察されるだけではなく、550〜650nmの領域にフェノールレッドの蛍光も観察されることがわかる。さらに、フェノールレッドの蛍光強度は、励起直後は非常に弱いが、約500ピコ秒の時定数で緩やかに増加することもわかる。これらのことから、細胞内の蛍光タンパク質から培養液中のフェノールレッドに約500ピコ秒の時定数で励起エネルギーの移動が起きていることがわかる。
このように、本実施の形態に係る発光寿命測定装置は、単一生細胞について時間分解蛍光スペクトルを測定することができ、細胞内外の励起エネルギーの移動なども高感度に検出することができる。
[参考例4]
本参考例では、実施例1と同じ発光寿命測定装置を用いて、励起光を吸収する有機色素がドープされた高分子薄膜のモルフォロジー像を測定した例を示す。
測定試料は、4−ジメチルアミノ−4’−ニトロスチルベン(DNS)をドープしたポリメタクリル酸メチル(PMMA)薄膜を用いた。この薄膜は、酸化インジウムスズ(Indium-Tin-Oxide:ITO)が均一に蒸着された石英基板上にPMMAを含むベンゼン溶液を滴下し、スピンコート法により作成した。作成された薄膜の厚さは、約700nmであった。
パルス励起光の波長は、410nmとした。PMMA膜中におけるDNSの吸収極大波長および蛍光極大波長は、それぞれ435nmと600nmである。
図12(A)〜(D)は、フィルターボックス内のフィルターをすべて取り外して発光寿命分布画像取得部を用いて測定した、DNSをドープしたPMMA薄膜の時間分解共焦点蛍光画像である。図12(A)は、トリガーパルスが入力されてから0〜2ナノ秒、図12(B)は2〜4ナノ秒、図12(C)は4〜6ナノ秒、図12(D)は6〜8ナノ秒の間の時間分解共焦点蛍光画像である。図12(E)は、図12(B)の画像にコントラストの補正を行ったものである。図12(F)は、共焦点レーザー走査型顕微鏡の検出器によって測定した、DNSをドープしたPMMA薄膜の共焦点蛍光画像である。
図13(A)〜(D)は、フィルターボックス内に520nmから長波長側の蛍光を観察するためのフィルターを装着して発光寿命分布画像取得部を用いて測定した、DNSをドープしたPMMA薄膜の時間分解共焦点蛍光画像である。図13(A)は、トリガーパルスが入力されてから0〜2ナノ秒、図13(B)は2〜4ナノ秒、図13(C)は4〜6ナノ秒、図13(D)は6〜8ナノ秒の間の時間分解共焦点蛍光画像である。図13(E)は、図13(B)の画像にコントラストの補正を行ったものである。図13(F)は、共焦点レーザー走査型顕微鏡の検出器によって測定した、DNSをドープしたPMMA薄膜の共焦点蛍光画像である。
図12(A)に示される0〜2ナノ秒の間の時間分解共焦点蛍光画像から、楕円形が複雑に入り組んだPMMA膜のモルフォロジー像が明瞭に観測された。一方、図12(B)〜(D)に示される2ナノ秒以降の時間分解共焦点蛍光画像では、コントラストが悪くモルフォロジー像を見ることができなかった。しかし、図12(E)から、コントラストの補正を行えば、2〜4ナノ秒の間の時間分解共焦点蛍光画像からもPMMA膜のモルフォロジー像が観測されることがわかる。このとき、図12(A)に示される画像と図12(E)に示される画像とでは、モルフォロジー像の明暗が逆であった。
図13(A)に示される0〜2ナノ秒の間の時間分解共焦点蛍光画像からも、楕円形が複雑に入り組んだPMMA膜のモルフォロジー像が観測された。また、図13(A)に示される画像と図13(E)に示される画像とでは、モルフォロジー像の明暗が同じであった。さらに、図13(A)に示される画像と図13(F)に示される画像とでも、モルフォロジー像の明暗が同じであった。
フィルターを用いて測定した図13(A)ではモルフォロジー像の明暗の逆転が見られなかったことから、図12(A)に示される明瞭なモルフォロジー像は、ダイクロイックミラーから漏れ出た試料からの錯乱光と蛍光との重ね合わせによるものであり、明るい部分は錯乱光によるものであることが示唆された。
このように、本実施の形態に係る発光寿命測定装置は、高分子薄膜にも適用することができ、発光画像だけでなく錯乱光による明瞭なモルフォロジー像を得ることもできる。
本発明に係る発光寿命測定装置およびその測定方法は、細胞分裂や細胞死などによる細胞内の微視的な変化を反映した発光特性のわずかな変化を高感度かつ定量的にその場測定することができるので、医療用または生物学用の光学機器などに有用である。
本発明の一実施の形態に係る発光寿命測定装置の構成を示すブロック図 時間ゲート法を説明するための発光減衰曲線を示す図 本発明の一実施の形態に係る発光寿命測定装置を用いて試料の発光寿命を測定する手順を説明するフローチャート 実施例で用いた発光寿命測定装置の構成を示すブロック図 実施例1の結果を示す図。(A)〜(D)はウシ肺動脈内皮細胞の時間分解共焦点蛍光画像、(E)はウシ肺動脈内皮細胞の共焦点蛍光画像、(F)はウシ肺動脈内皮細胞の蛍光寿命の値の分布を示すヒストグラム、(G)はウシ肺動脈内皮細胞の蛍光寿命分布画像である。 実施例1の結果を示す図。(A)はウシ肺動脈内皮細胞の共焦点蛍光画像、(B)はウシ肺動脈内皮細胞の蛍光寿命分布画像、(C)はウシ肺動脈内皮細胞の蛍光寿命の値の分布を示すヒストグラム、(D)はウシ肺動脈内皮細胞の特定地点の蛍光減衰曲線である。 実施例2の結果を示す図。(A)〜(D)はBCECFによって染色された高度好塩菌の時間分解共焦点蛍光画像、(E)はBCECFによって染色された高度好塩菌の蛍光寿命分布画像、(F)はBCECFによって染色された高度好塩菌の蛍光寿命の値の分布を示すヒストグラム、(G)はBCECFによって染色された高度好塩菌の蛍光減衰曲線である。 参考例1の結果を示す図。(A)はGFPを発現させたHeLa細胞の共焦点蛍光画像、(B)〜(I)はGFPを発現させたHeLa細胞の蛍光寿命分布画像である。 参考例1の結果を示す図。(A)は図8に示される細胞の特定地点における蛍光寿命の経時的変化を示すグラフ、(B)はGFPを発現させたHeLa細胞の蛍光寿命の値の分布を示すヒストグラムである。 参考例2の結果を示す図。(A)〜(E)はGFPを発現させたHeLa細胞の蛍光寿命分布画像、(F)〜(J)はGFPを発現させたHeLa細胞の蛍光寿命の値の分布を示すヒストグラムである。 参考例3の結果を示す時間分解蛍光スペクトル 参考例4の結果を示す図。(A)〜(D)はDNSをドープしたPMMA薄膜の時間分解共焦点蛍光画像、(E)は(B)の画像にコントラストの補正を行った画像、(F)はDNSをドープしたPMMA薄膜の共焦点蛍光画像である。 参考例4の結果を示す図。(A)〜(D)はDNSをドープしたPMMA薄膜の時間分解共焦点蛍光画像、(E)は(B)の画像にコントラストの補正を行った画像、(F)はDNSをドープしたPMMA薄膜の共焦点蛍光画像である。
符号の説明
100,200 発光寿命測定装置
110,300 パルスレーザー光源部
120,400 測定用光学系
130,500 励起光検出部
140,600 発光寿命分布画像取得部
150,700 発光減衰曲線測定部
160,800 表示部
302 半導体励起cw固体レーザー
304 フェムト秒チタンサファイアレーザー
306 パルスピッカー
308 BBO結晶
402 共焦点レーザー走査型顕微鏡
502 フォトダイオード
504,708 前置増幅器
602,702 フィルターボックス
604 発光寿命解析ユニット
606,720 コンピューター
704 モノクロメーター分光器
706 マイクロチャンネルプレート光電子増倍管
710,714 波高弁別器
712 時間電圧変換器
716 遅延回路
718 多チャンネル波高分析器
722 パルスモーター
802 モニター

Claims (8)

  1. パルス励起光を出射するパルスレーザー光源部と、
    前記パルスレーザー光源部から出射された前記パルス励起光の一部を検出してトリガー信号を生成し、前記トリガー信号を出力する励起光検出手段と、
    前記パルスレーザー光源部から出射された前記パルス励起光の他の一部を試料に照射し、前記試料から放出される発光を出力する測定用光学系と、
    前記トリガー信号を入力してから複数の時間帯において前記発光の光子数を計測することで発光寿命を算出する時間ゲート法によって、前記試料の複数地点における発光寿命の値およびその空間分布を取得する発光寿命分布画像取得手段と、
    前記トリガー信号を入力してから前記発光の光子を検出するまでの時間、または前記発光の光子を検出してから前記トリガー信号を入力するまでの時間を測定することで発光減衰曲線を測定する時間相関単一光子計数法によって、前記試料の特定地点における発光減衰曲線を測定する発光減衰曲線測定手段と、
    を有する発光寿命測定装置。
  2. 前記発光寿命分布画像取得手段は、前記試料の複数地点における発光寿命の値およびその空間分布を経時的に取得する、請求項1記載の発光寿命測定装置。
  3. 前記パルス励起光はフェムト秒パルスレーザー光である、請求項1記載の発光寿命測定装置。
  4. 前記測定用光学系は共焦点レーザー走査型顕微鏡である、請求項1記載の発光寿命測定装置。
  5. 前記発光減衰曲線測定手段は、さらに、前記試料の特定地点における時間分解蛍光スペクトルを測定する、請求項1記載の発光寿命測定装置。
  6. 前記試料は細胞である、請求項1記載の発光寿命測定装置。
  7. 前記試料は高分子薄膜である、請求項1記載の発光寿命測定装置。
  8. 光源からパルス励起光を出射させるステップと、
    前記パルス励起光の一部を検出して、トリガー信号を生成するステップと、
    前記パルス励起光の他の一部を試料に照射して、前記試料から発光を放出させるステップと、
    前記トリガー信号を入力してから複数の時間帯において前記発光の光子数を計測することで発光寿命を算出する時間ゲート法によって、前記試料の複数地点における発光寿命の値およびその空間分布を取得するステップと、
    取得した空間分布から発光減衰曲線を測定する地点を特定するステップと、
    前記トリガー信号を入力してから前記発光の光子を検出するまでの時間、または前記発光の光子を検出してから前記トリガー信号を入力するまでの時間を測定することで発光減衰曲線を測定する時間相関単一光子計数法によって、前記試料の特定された地点における発光減衰曲線を測定するステップと、
    を有する発光寿命測定方法。
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