JP4791934B2 - 車両衝突シミュレーション方法 - Google Patents

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本発明は、車両のシートに載せられると共に、前記シートにシートベルトを含む拘束体により拘束されるダミー人形の力学モデルを運動方程式により数式化して車両衝突時のダミー人形の挙動を算出する車両衝突シミュレーション技術に関する。
車両のシートに載せられた乗員を模擬するダミー人形を用いた車両衝突シミュレーション技術として、例えば特許文献1に記載された技術が知られている。この車両衝突シミュレーション方法では、車両のシートに載せられたダミー人形と、当該ダミー人形を前記シートに拘束するシートベルトを含む拘束体とから構成される力学モデルを、バネ特性を用いて比較的単純な力学モデルとしてモデル化する。そして、このモデルの運動方程式に対してダミー・スレッド試験(ダミー人形を用いた車両衝突試験)を通じて同定された上記の力学モデルのバネ特性を代入すると共に、車両に衝突減速特性を与えることによりこの運動方程式を解いて、車両衝突時のダミー人形の挙動を求めている。
より具体的には、ダミー人形を胸部と腰部の2質点でモデル化すると共に、拘束体を所定のバネ特性が付与される腰ベルトとフォースリミッタ付き肩ベルトとニーボルスタとでモデル化して力学モデルを構成している。なお、肩ベルトに対しては、フォースリミッタ作動前と作動後で夫々相違する荷重特性を設定し、ニーボルスタに対しては、ソフトクッション領域と非ソフトクッション領域とに分けてバネ特性を設定している。これにより、衝突傷害評価において重要な胸部と腰部の挙動に関して、これらの挙動に大きな影響を与える腰ベルトと肩ベルトとニーボルスタとが正確にモデル化され、胸部と腰部との力学的連係も十分に考慮されるので、精度良くシミュレーションが可能なものとなっている。
さらに、上記の力学モデルを運動方程式化する際、胸部のみの単独運動とした胸部運動方程式と腰部のみの単独運動方程式とした腰部運動方程式とを作成し、胸部は腰部を中心とした回転運動と見なして最終的な胸部の減速度を補正することも提案されている。
特開2005−115770号公報(〔0009〕〜〔0012〕段落、図2)
上記のような技術を用いることにより、入力パラメータの数が少なく演算時間も短いにもかかわらず、車両の衝突時に低減すべき胸部の傷害値である胸部減速度のシミュレーション値を精度良く算出することができる。ところで、胸部の重要な傷害値としては、上記の胸部減速度の他にも胸撓み量がある。しかしながら、上述のような車体減速度を入力値とした力学モデルによる理論解析が一部では行われているが、胸撓みの発生メカニズムが複雑であるため、胸撓みの顕著な差が得られないという問題があった。また、車体減速度を入力値としたCAEシミュレーション解析も可能だが、解析時間やコストの面で改善の余地があった。
本発明は、かかる問題点に着目してなされたものであり、その目的は、単純な力学モデルを用いて精度良く胸撓み量を算出することができる車両衝突シミュレーション技術を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明に係る車両シミュレーション方法の特徴構成は、車両のシートに載せられると共に、前記シートにシートベルトを含む拘束体により拘束されるダミー人形の力学モデルを運動方程式により数式化して車両衝突時のダミー人形の挙動を算出する車両衝突シミュレーション方法において、前記力学モデルは、2質点のバネマスダンパモデルとして構成された前記ダミー人形の胸部の力学モデルを含むとともに、当該2質点間の距離の変位量が胸撓み量として前記運動方程式の変数含まれ当該力学モデルの運動方程式に対して少なくとも胸部減速度とシートベルト荷重とを入力し、当該運動方程式に基づいて、前記ダミー人形の挙動としてダミー人形の胸撓み量を算出する点にある。
本発明においては、車両のシートに載せられると共に、前記シートにシートベルトを含む拘束体により拘束されるダミー人形について、胸撓み量を算出可能な力学モデルを構成する。すなわち、この力学モデルを運動方程式により数式化した場合、その変数として胸撓み量を含むように力学モデルを構成する。そして、この運動方程式に対して少なくとも胸部減速度とシートベルト荷重とが入力される。この運動方程式を畳み込み積分などを用いて解くことにより、ダミー人形の胸撓み量が算出される。
このように本発明は、運動方程式の入力値として車体減速度ではなく、胸部減速度やシートベルト荷重などを用いることにより、ダミー人形の胸撓み量を精度良く算出できるという本発明者の知見に基づくものである。また、単純な力学モデルを用いることにより計算量を減少させることができ、小規模なコンピュータシステムであっても迅速に計算でき、コストの低減も図ることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔力学モデルの構成〕
図1に、車両のシートに載せられると共に、車両のシートにシートベルトを含む拘束体により拘束されるダミー人形(以下、単に「ダミー」と称する)のバネマスダンパモデル(力学モデルの一例)の胸部の説明図を示す。このモデルでは、ダミーの胸部を脊柱側の質点(脊柱部:質量M)と前面の肋骨側の質点(肋骨部:質量m)との2質点でモデル化している。このようにダミーの胸部をモデル化することで、胸撓み量を脊柱部Mと肋骨部mとの間の相対変位量xとして定義することができる。
そして、これらの質点には以下の力が作用する。
a:肋骨部減速度
G:脊柱部減速度
ab:ダミー肋骨部に加わるエアバッグ、ステアリングによる外力
:ダミー肋骨部に加わるシートベルトによる外力
rb:ダミー肋骨部と脊柱部との間の反力
et:ダミー脊柱部に加わるFrb以外の各種荷重
ここで、ダミー肋骨部と脊柱部との間の反力として弾性復元力と抵抗力(減衰力)とを仮定すると、Frbは、脊柱部・肋骨部間のバネ定数kと、減衰係数cとを用いて表すことができる。また、Fetには、首、腕、腰から胸に伝わる力、ショルダベルトから鎖骨を通じて胸に伝わる力などが含まれる。
〔力学モデルの運動方程式〕
これらの条件の下で図1のモデルの肋骨部と脊柱部夫々について運動方程式を求めると次のようになる。
Figure 0004791934


ここで、以下の関係式が成立する。
Figure 0004791934


ただし、xは時間tの関数で、式(3)及び式(4)における微分は時間微分である。
上記の式(3)及び(4)を式(1)に代入することにより、以下の運動方程式(5)が求められる。
Figure 0004791934

すなわち、この運動方程式(5)においては、肋骨部に加わるシートベルトによる外力f、ダミー胸部における脊柱部減速度Gに依存する見かけの力とが入力値として用いられている。そして、この運動方程式(5)を解くことにより、胸撓み量xを算出することができるものとなっている。
〔係数パラメータの同定〕
次に、ダミーとしてHybridIIIを用いた場合において、上記の運動方程式(5)における各係数パラメータm、c、kの値を同定する方法を説明する。具体的には、このHybridIIIに対して、胸部インパクタ試験を行うことにより、m、c、kの値を求めることができる。このため、図1と同様に、このHybridIIIの胸部を、脊柱部(質量M)と肋骨部(質量m)とがバネ(バネ定数k)とダンパ(減衰係数c)で繋がれたバネマスダンパモデルとして構成する(図2参照)。図3にHybridIIIの胸部インパクタ試験の説明図を示す。この胸部インパクタ試験では、ケーブルCに吊り下げられた質量23.4kgのインパクトプローブPが重力による回転自由落下運動により弧を描きながらダミーD(HybridIII)の前面の肋骨側表面に初速6.8m/sで衝突するようにインパクトプローブPの初期位置が調整されている。ここで、インパクトプローブPが衝突した後、ダミーの脊柱部は後方に動かないため、インパクトプローブPによりダミーに加わる衝撃力をfとすると、以下の式が成立する。
Figure 0004791934
この胸部インパクタ試験における変位量(胸撓み量)xの測定結果を図4に示す。なお、xの測定結果に基づいて、その一次微分、二次微分も計算可能である。また、fも測定可能であるから、これにより上記の式(6)を満たすようなm、c、kを求めることができる。従って、ダミーとしてHybridIIIを用いた場合のm、c、kの各値は夫々次のようになる。
m=1kg、 c=450Ns/m、 k=75000N/m
これらの値を用いて算出された(m、c、kの上記各値を式(6)に代入し、xなどについては測定値を用いる)衝撃力fと、実験により測定された衝撃力fとの関係を図5に示す。この図5から、測定値と計算値とが比較的良く一致していることがわかるが、厳密にはc値やk値が速度の変化や変位に対して非線形値をとるためなどの理由から完全には一致しない。なお、HybridIIIの胸部質量(M+m)は17.19kgであるため、上記の例における脊柱部の質量Mは16.19kgとなる。
〔胸撓み量の算出〕
次に運動方程式(5)の解法について説明する。この2階微分方程式(5)を解くには、畳み込み積分を用いると便利である。すなわち、肋骨部に単位インパルスの外力が加わったときの肋骨部の変位をh(t)とすると、このh(t)は以下のように表すことができる。
Figure 0004791934

なお、この式(7)において、q、nは以下のとおりである。
Figure 0004791934

上記の各係数パラメータ値(m、c、k)=(1kg、450Ns/m、75000N/m)を代入した場合の単位インパルス応答例を図6に示す。このh(t)を用いると、運動方程式(5)における胸撓み量x(t)は次のように表すことができる。
Figure 0004791934
〔外力の導出〕
次に運動方程式(5)の右辺の各力の導出について説明する。ここでは、簡単のためエアバッグやステアリングがない場合のスレッド試験を考え、fab=0とする。次に、胸部にかかるシートベルト荷重fを具体的に求めるため、図7に示すようにシートベルトの各部位を定義する。このシートベルト荷重fは、ショルダベルト荷重とショルダインナベルト荷重(ラップインナベルト荷重よりタングでの折り返しを介してショルダベルト下方に伝わる荷重)とにより決定される。ここで、シートベルトに起因する各荷重を以下のように定義する。
so:ショルダベルト荷重
si:ショルダインナベルト荷重
lo:ラップアウタベルト荷重
通常のスレッド試験ではショルダインナベルト荷重fsiを測定することが困難であり、シートベルト荷重fも諸条件により変動を受け易いため、以下の(a)〜(d)のような仮定を行う。
(a)ラップアウタベルト荷重floがシートベルトのタングを介してそのまま伝わり、ショルダインナベルト荷重fsiになるものとする。すなわち、fsi≒floが成立する。
(b)シートベルトの各摺動部やダミー等との接触部において発生する摩擦力は考慮しない。
(c)特に衝突の後半期において、脊柱側の鎖骨に発生するショルダ荷重の流れ込みを考慮しない。
(d)特に衝突の後半期において、ダミー姿勢の乱れによりベルトとダミーの挟み角が時間暦で変化するが、これを考慮しない。
上記のような仮定の下、図8のように平面視でショルダベルトがダミーの肋骨部のみに差し掛かっているとすれば、幾何学的に求めるべきシートベルト荷重fは次のようになる。
Figure 0004791934

ここで、θ、θは夫々ベルトの流れ方向の断面で測定した挟み角度である。ダミーとしてHybridIIIを用いた場合、その具体的な測定値はθ=70°、θ=83°である。
以上まとめると、ダミーとしてHybridIIIを用い、エアバッグやステアリングがない場合の上記スレッド試験(fab=0)における胸撓み量x(t)は、式(10)及び式(11)より以下のように表すことができる。
Figure 0004791934
〔スレッド試験による測定値とシミュレーション計算値との比較〕
上記の式(10’)より、ショルダベルト荷重fso、ラップアウタベルト荷重flo、脊柱部減速度Gが求まれば、胸撓み量x(t)を算出することができる。この式(10’)の整合性を確認するため、油圧式スレッド試験機により、膝前ニーボルスタ位置を3パターンに振って前衝突スレッド試験が行われた。具体的には、試験前のニーボルスタから膝までの水平方向の寸法は、90mm、40mm、20mmの3パターンである。なお、ステアリングとエアバッグは設定せず、ニーボルスタの位置以外は全て同条件とし、拘束体はシートベルトとニーボルスタのみとした。
車体減速度の入力波形を図9に示しているが、図を見てわかるように波形は半周期正弦波としている。このスレッド試験によるショルダベルト荷重fso、ラップアウタベルト荷重flo、胸部減速度の比較グラフが図10から図12に示されている。なお、このスレッド試験において、胸部減速度は脊柱側で測定されており、従ってここでの胸部減速度は脊柱部減速度Gに対応する。特に、膝前ニーボルスタの位置差により、ラップアウタベルト荷重floに大きな差が出ていることがわかる(図11参照)。また、このスレッド試験においては、後述するように胸撓み量も測定されている。
これらのショルダベルト荷重fso、ラップアウタベルト荷重flo、胸部減速度(脊柱部減速度G)を式(10’)に代入することにより、胸撓み量x(t)の計算値を求めることができる。スレッド試験の3パターン(ニーボルスタ距離90mm、40mm、20mm)夫々に対して、胸撓み量の計算値と測定値との比較を行った結果を図13に示す。図13(a)から(c)は、夫々ニーボルスタ距離90mm、40mm、20mmの場合における計算値と測定値との比較である。これらの図から、胸撓み量x(t)のピーク値に関しては、ほぼ整合性が取れており、従ってピーク値をシートベルト荷重と胸部減速度とを用いて類推することが可能であることが理解される。
このように本実施形態においては、次のような流れで胸撓み量の算出が行われる。
まず、胸撓み量を算出可能なように、ダミー人形の力学モデルを構成する。具体的には、ダミー人形の胸部を肋骨部と脊柱部とにモデル化し、胸撓み量を肋骨部と脊柱部との間の相対変位量として定義すると共に、肋骨部と脊柱部との間の反力として弾性復元力と抵抗力(減衰力)とを仮定して力学モデルを構成する。また、ダミー人形に付与される外力として、肋骨部に加わるエアバッグ、ステアリングによる外力と、肋骨部に加わるシートベルトによる外力とを仮定する(図1)。
次に、これらの条件の下で、この力学モデルの運動方程式を導出する。導出された運動方程式は、変位量(胸撓み量)xに関する2階微分方程式となる。この運動方程式には、肋骨部に加わるエアバッグ、ステアリングによる外力と、肋骨部に加わるシートベルトによる外力と、胸部減速度に依存する見かけの力とが入力可能である(式(5))。この運動方程式を畳み込み積分などを用いて解くことにより、変位量(胸撓み量)を所定の数式で表すことができる(畳み込み積分を用いた場合は式(10))。
一方、上記の運動方程式に現れる各係数パラメータについては、別途胸部インパクタ試験などを行うことにより決定される(図2〜図5)。
決定された係数パラメータ、及び、測定された外力及び胸部減速度を、運動方程式に代入することにより、或いは、畳み込み積分を用いて運動方程式を解いた場合はその被積分関数に各値を代入することにより、胸撓み量を算出することができる(式(10)、式(9))。
上述のような方法で、運動方程式の入力値として車体減速度ではなく、胸部減速度に依存する力やシートベルト荷重などを用いることにより、ダミー人形の胸撓み量を精度良く算出できる。なお、上述の胸撓み量の算出などは、プログラムにより構成することができ、また当該プログラムを組み込んだシミュレーション装置を構成することもできる。
〔畳み込み積分手法の応用〕
上述した畳み込み積分の手法は、もう1つの重要な傷害値である胸部減速度を求める場合にも適用することができる。以下では、シートベルトにより拘束されたダミー人形を1次元のバネマスモデルとし、これに任意の車体減速度が加えられたときのダミー人形の減速度を畳み込み積分手法により解き、これを胸部減速度とする場合を例として説明する。
このダミー人形の胸部減速度を算出する場合の力学モデルを図14に示す。この図14は、ダミー人形の胸部を質点とする力学モデルであり、
m:ダミー人形の胸部質量
k:シートベルトのバネ定数
x:質点の変位量
F:質点に作用する任意の外力
である。質点に外力F(t)・Δt=1の単位インパルス関数が加わったときの質点の変位をh(t)とすると、以下のように表すことができる。
Figure 0004791934
従って、質点に作用する時刻τにおける任意の外力をF(τ)とすると、時刻tでの質点の変位量は、以下のように表すことができる。
Figure 0004791934

この式(13)を時間で2回微分することにより、胸部減速度を以下のように表すことができる。
Figure 0004791934
ここで、ダミー人形としてHybridIIIを用いた場合、HybridIIIの胸部質量m、及びスレッド試験により得られる一般的なフォースリミッタ作動領域へ移行前のショルダベルト荷重特性によるバネ定数kとして、夫々m=17.19kg、k=60000N/mが得られる。これを式(12)の単位インパルスに代入することにより、以下の式が得られる。
Figure 0004791934

なお、図16には、この単位インパルス応答のグラフが示されている。
上記の式(14)を見て分かるように、外力Fが求まれば、胸部減速度を算出することができる。ここでは、車体減速度に起因した外力を用いた場合の例について説明する。なお、車体減速度波形はブロック波形化されている。具体例として、車体が初速度55km/sで衝突時に、車体側動的変形量が450mm近辺となるような範囲内で車体側入力減速度を各種選び、これをブロック波形化する。図16にはそのようなブロック波形として、TypeA、TypeI、TypeMの3種類が例示されている(縦軸が車体減速度、横軸が時間)。なお、車体減速度のブロック波形としては、もちろんこれらに限定されるわけではない。
式(14)において、h(t)として式(12’)を代入し、さらにF(τ)として、これらのブロック波形を用いることにより、図17に示すような胸部減速度を算出することができる。この図17において、入力波形がTypeAのように完全矩形波の場合はステップ応答波形となり、胸部減速度の最大値は入力車体減速度250m/sの2倍の500m/sとなる。また、この計算の結果によれば、TypeMのように、胸部減速度の最大値が完全矩形波よりも小さくなる入力波形が存在することがわかる。ここで、式(12’)と図15とに着目すると、単位インパルス応答の最初のピークは26.6msであり、53.2msで0に戻り、106.4msまではマイナス値をとることがわかる。従って、胸部減速度が最大値を示す時間に対して26.6ms前近辺での車体減速度を極力下げてやれば、胸部減速度の最大値を示す時間帯における単位インパルスの重ね合わせ量が少なくなり、胸部減速度の最大値低減に効果的であることを示している。また、胸部減速度が最大値を示す時間に対して53.2ms前付近の車体減速度は、これを高くしても胸部減速度の最大値には影響を与えず、更にそれ以前の時間帯においては逆に胸部減速度を低減する方向に寄与する。TypeMは、この両条件を満たしているため、胸部減速度の最大値を完全矩形波よりも低く抑えることが可能となっている。
〔別実施形態〕
上述した実施形態では、胸撓み量の算出における胸部減速度(脊柱部の減速度)として測定値を用いたが、車体減速度に基づいて得られるシミュレーション値を用いても良い。また、肋骨部に加わるエアバッグ、ステアリングによる外力fabを測定して式(10)に代入すれば、外力fabを考慮した場合の胸撓み量を算出することができる。
本発明に係るダミー人形の胸部の力学モデルの説明図 ダミー人形(HybridIII)の胸部の力学モデルの説明図 ダミー人形(HybridIII)に対する胸部インパクタ試験の説明図 胸部インパクタ試験におけるxの測定値 胸部インパクタ試験における衝撃力fの測定値と計算値との比較グラフ 単位インパルス応答例を示すグラフ シートベルトの各部位の説明図 シートベルト荷重を求めるための説明図 車体減速度の入力波形を示すグラフ スレッド試験によるショルダベルト荷重fsoの比較グラフ スレッド試験によるラップアウタベルト荷重floの比較グラフ スレッド試験による胸部減速度(脊柱部減速度G)の比較グラフ 胸撓み量の計算値と測定値との比較グラフ ダミー人形の胸部減速度を算出する場合の力学モデル 単位インパルス応答例を示すグラフ ブロック波形化した車体減速度を示す図 胸部減速度の計算値を示す図
符号の説明
x:胸撓み量
:シートベルト荷重
G:胸部減速度

Claims (1)

  1. 車両のシートに載せられると共に、前記シートにシートベルトを含む拘束体により拘束されるダミー人形の力学モデルを運動方程式により数式化して車両衝突時のダミー人形の挙動を算出する車両衝突シミュレーション方法において、
    前記力学モデルは、2質点のバネマスダンパモデルとして構成された前記ダミー人形の胸部の力学モデルを含むとともに、当該2質点間の距離の変位量が胸撓み量として前記運動方程式の変数含まれ
    当該力学モデルの運動方程式に対して少なくとも胸部減速度とシートベルト荷重とを入力し、
    当該運動方程式に基づいて、前記ダミー人形の挙動としてダミー人形の胸撓み量を算出する車両衝突シミュレーション方法。
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