JP2015087945A - 車両衝突解析方法 - Google Patents

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田岡 義文
Yoshibumi Taoka
義文 田岡
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Abstract

【課題】本発明は、単純化したダミー人形と車両のモデルを用いて、入力パラメータの数は少なく演算時間も短いにもかかわらず、車両後面からの衝突時にダミー人形の頚部が受ける傷害値指標値を、精度良く算出することが可能な、解析方法を提供する。【解決手段】本発明の解析方法は、乗員を模擬するダミー人形を用いた車両の後面衝突試験時の、シートに着座したダミー人形の挙動を、車両の前後方向の運動のみに単純化して、胸部と頭部の2自由度系バネマス非減衰モデルで簡易的に表現して運動方程式を立て、前記運動方程式は、車両座席のヘッドレストと、ダミー人形頭部と、が接触を開始するする時刻、即ちコンタクトタイムの前と、後と、についてそれぞれ用意し、前記2つの運動方程式を解くことにより、胸部と頭部の変位と、速度と、加速度と、を算出し、これらの解を公式に代入することによって、頚部障害値指標であるNIC値(Neck Injury Criterion)を算出している。【選択図】図1

Description

本発明は、乗員を模擬するダミー人形がシートを介して搭載された車両の、後面衝突時におけるダミー人形の挙動の解析方法に関する。
これまで車室内乗員の衝突時の挙動や傷害値計算手法として、車両の全面衝突時の膝荷重や胸部が受ける加速度を、バネマスモデルを用いて予測する手法等は多く考えられてきた。
車両のシートに載せられた乗員を模擬するダミー人形を用いた車両衝突シミュレーションとして、例えば特許文献1に記載された技術が知られている。この車両衝突シミュレーション方法では、車両のシートに載せられたダミー人形と、当該ダミー人形を前記シートに拘束するシートベルトを含む拘束体と、から構成される力学モデルを、バネ特性を用いて比較的単純な力学モデルとしてモデル化する。そして、このモデルの運動方程式に対してダミー・スレッド試験(ダミー人形を用いた車両衝突試験)を通じて同定された上記の力学モデルのバネ特性を代入すると共に、車両に衝突減速特性を与えることにより、この運動方程式を解いて、車両衝突時のダミー人形の挙動を求めている。
詳述すれば、ダミー人形に関する、胸部と腰部と、の2質点で構成された力学モデルと、ダミー人形をシートに拘束する少なくともシートベルトを含む拘束体に関する、所定のバネ特性を付与される腰ベルトと、フォースリミッタ付き肩ベルトと、ニーボルスタ(衝突時に膝を支持し、ダミー人形の前方移動を抑制するもの)と、で力学モデルを構成している。尚、肩ベルトに対しては、フォースリミッタ作動前と作動後で、それぞれ異なった荷重特性を設定し、ニーボルスタに対しては、ソフトクッション領域と、非ソフトクッション領域と、に分けて、バネ特性を設定している。これにより、衝突傷害評価において重要な胸部と腰部の挙動に関して、これらの挙動に大きな影響を与える腰ベルトと肩ベルトとニーボルスタとが正確にモデル化され、胸部と腰部との力学的連係も十分に考慮されるので、制度良くシミュレーションが可能なものとなっている。
さらに、上記の力学モデルを運動方程式化する際、胸部のみの単独運動とした胸部運動方程式と、腰部のみの単独運動方程式とした腰部運動方程式とを作成し、胸部は腰部を中心とした回転運動と見なして、最終的な胸部の減速度を補正することも提案されている。
しかしながら、車両のシートに載せられた乗員を模擬するダミー人形を用いた車両衝突シミュレーションのうち、車両後面からの衝突時の胸部と腰部との運動差で生じる鞭打ち現象については、衝突中にシートバックがダミー人形からの慣性荷重を受けて略車両後方へ変形し、それに伴ってヘッドレストが後方へ移動し、頭部とヘッドレストとの距離が遷移する等の現象が発生するため、頭部とヘッドレストの衝突の表現には多自由度の複雑なモデルが必要になり、解析事例は、各質点間を弾性特性や各種ジョイント構造で接合して人体の解析を行う衝突解析ソフトウエア(例えばオランダ応用科学研究機構製 MADYMO)等の大規模解析を除いてほとんど報告されていない。
一方で、前記衝突解析ソフトウエアMADYMOを用いて、交通事故傷害の解析を行なったり、さらにはそれを発展させて、人体全身の有限要素モデルと車両構成部材の有限要素モデルを構成し、車両衝突時のシミュレーション結果から人体傷害を再現する等の技術が知られている。しかしながら、有限要素法を用いたシミュレーションの場合、車両の詳細な寸法レイアウトが要求されるのに対して、実際には試作車両などではそのようなデータを正確に与えることが困難である。また、仮にそのようなデータを与えたとしても、計算の前準備および計算そのものに時間およびコストがかかり、車体設計段階で頻繁に利用することは事実上不可能に近い。
特開2005−115770号公報(特許第4141367号広報) (〔0009〕〜〔0012〕段落、図2) 特開2002−149719号公報(〔0018〕〜〔0019〕段落、図1)
以上の問題に鑑みて本発明は創作されたものであり、本発明は、単純化したダミー人形と車両のモデルを用いて、入力パラメータの数は少なく演算時間も短いにもかかわらず、車両後面からの衝突時にダミー人形の頚部が受ける傷害値指標値を、精度良く算出することが可能な、解析方法の提供を目的とした。
上述した課題を解決すべく提供される本発明の解析方法は、車両のシートに載せられるダミー人形の力学モデルを運動方程式により数式化して、車両衝突時のダミー人形の挙動を算出する車両衝突解析方法において、前記力学モデルは2質点のバネマスダンパモデルとして構成された前記ダミー人形の胸部と頭部の力学モデルを含むとともに、乗員を模擬するダミー人形を用いた車両の後面衝突で試験に用いられる、定められた三角波の加速度の過渡入力が加わった時の、シートに着座した前記ダミー人形の挙動を、車両の前後方向の運動のみに単純化して、胸部と頭部の2自由度系バネマス非減衰モデルで簡易的に表現して運動方程式を立て、前記運動方程式は、車両座席のヘッドレストと、ダミー人形頭部と、が接触を開始するする時刻、即ちコンタクトタイムの前と、後と、について各々用意され、胸部と頭部について立てた前記2つの運動方程式を、コンタクトタイムの前と、後と、各々について解くことにより、胸部と頭部の、変位と、速度と、加速度と、を算出し、これらの解を公式に代入することによって、頚部障害値指標であるNIC値(Neck Injury Criterion)を算出することを特徴とするものである。
本発明においては、車両のシートに載せられるダミー人形について、後面衝突時における胸部と頭部の、変位と、速度と、加速度と、を算出可能な力学モデルを構成する。すなわち、この力学モデルを運動方程式により数式化した場合、その変数として胸部と頭部の、変位と、速度と、加速度と、を含むように力学モデルを構成する。そして、この運動方程式を解くことにより求めた、前記胸部と頭部の、変位と、速度と、加速度と、をNIC値を算出するための公式に代入することにより、後面衝突時のダミー人形のNIC値が算出される。
上述した構成とすることにより、入力パラメータの数が少ないにもかかわらず、後面衝突時におけるNIC値を精度良く算出可能な解析方法を提供することが可能となる。
また、前記解析方法の力学モデルにおいて使用される、ヘッドレストとダミー人形頭部との前後方向クリアランスは、後面衝突スレッド試験前の前記クリアランスに、車両座席のシートバックの動的変形によりヘッドレストが車両後方へ移動する量を加えて補正した値を算出し、また、ダミー人形頭部がヘッドレストに衝突する時刻、即ちコンタクトタイムは、後面衝突スレッド試験での頭部加速度発生結果を参考の上、誤差を補正した値を算出した値を算出し、前記の補正された値を前記運動方程式に入力することが望ましい。結果として、現象の解析精度が向上し、良好な解析結果を得ることができる。したがって、車両用シートの開発時における後面衝突鞭打ち性能の、開発初期段階での構造決定に際して有効なツールとなり、開発期間の短縮や、開発費の節減にも効力を発生する。
このように本発明は、運動方程式を、ダミー人形頭部がヘッドレストに衝突する時刻、即ちコンタクトタイムの前用と、後用と、の2つを用意して切り替えて使用し、さらに運動方程式の入力値として、ヘッドレストとダミー人形頭部との前後方向クリアランスと前記コンタクトタイムとの2項目について補正値を用いることにより、ダミー人形の後面衝突時のNIC値を精度良く算出できるという本発明者の知見に基づくものである。また、単純な力学モデルを用いることにより計算量を減少させることが可能となり、小規模なコンピュータシステムであっても迅速に計算でき、車両用シートの開発時における設計変更にも柔軟に対応し、解析することができ、開発効率を向上できる。
本発明によれば、単純化したダミー人形と車両シートのモデルを用いて、入力パラメータの数は少なく演算時間も短いにもかかわらず、車両後面からの衝突時にダミー人形の頚部が受ける傷害値指標値を、精度良く算出することが可能な車両の後面衝突時の解析方法を提供できる。
本発明の車両衝突解析方法における力学モデルの説明図である。 後面衝突スレッド試験用装置の略図である。 後面衝突スレッド試験において車両に加える、定められた三角波の加速度特性を示す図である。 後面衝突スレッド試験におけるダミー胸部T1(第1胸椎) の前後方向荷重撓み曲線の測定結果、およびバネ定数:k1を示す直線を示すグラフである。 後面衝突スレッド試験におけるダミー頭部の前後方向荷重撓み曲線の測定結果、およびバネ定数:k3を示す直線を示すグラフである。 インパクタによるダミーのキャリブレーションテストの原理図である。 ダミー頚部バネ定数:k2を求める畳み込み積分手法を説明する図である。 計算に用いた胸部T1加速度入力値特性を示すグラフである。 ダミー頚部バネ定数:k2の算出結果と実験結果を示すグラフである。 NIC値の解析に用いられる定められた三角波の加速度特性と、ダミーを用いた後面衝突スレッド試験で再現した実際の加速度と、を比較したグラフである。 入力パラメータの一覧図である。 試験結果と計算結果とによる胸部加速度特性グラフである。 試験結果と計算結果とによる頭部加速度特性グラフである。 試験結果と計算結果とによるNIC値の特性グラフである。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔力学モデルの構成〕
図1〜図2に、後面衝突を想定した車両1のシート2に載せられたダミー人形3(以下、単に“ダミー”と称する)のバネマスダンパモデル(力学モデルの一例)の説明図を示す。このモデルでは、ダミー胸部の質点(胸部:質量m1)とダミー頭部の質点(頭部:質量m2)との2質点でモデル化している。このようにダミーの胸部と頭部をモデル化することで、胸部動的変位量(地上基準)χ1と、頭部動的変位量(地上基準)χ2と、を各々定義することができる。また、図3は本実施形態における車両1に加える、定められた三角波の加速度(車両1が後面から衝突を受けた際に車両1に加わる加速度)の特性を示す図である。
〔力学モデルの運動方程式〕
以下に、上記モデルを用いた際の運動方程式を説明する。尚、本実施形態において使用する記号は以下の通りである。
Y:車体動的変位量(地上基準)
χ0:ヘッドレストとダミー頭部の前後方向クリアランス
t:ヘッドレストとダミー頭部のコンタクトタイム
χ1:胸部動的変位量(地上基準)
χ2:頭部動的変位量(地上基準)
m1:ダミー胸部質量
m2:ダミー頭部質量
k1:シートバック部バネ定数
k2:ダミー頚部バネ定数
k3:ヘッドレスト部バネ定数(シートバック部の影響も含む)
a0:車体入力加速度のピーク値
T:車体入力加速度の入力終了時間
kT:車体入力加速度のピーク値発生時間
X1:胸部の自由振動解の振幅
X2:頭部の自由振動解の振幅
T1:ダミー胸部の第1胸椎
まず、m2に関してはtを境にしてバネマスモデルの形態が変わり、下記の運動方程式が得られる。


ここで車体入力加速度を積分し、境界条件を用いて強制速度、および強制変位を求めると、下式のようになる。
χ12の強制振動解は、式(1)〜(3)に式(10)〜(12)を代入し、微分方程式を解くことにより得られる。
χ12の強制振動解を、おのおのχfo1fo2とすると、
一方、自由振動解は、式(1),(2),(3)の中の強制変位成分を0とすることにより得られる。
χ12の自由振動解を、おのおのχfr1fr2とすると、
χfr1fr2
とおき、式(21),(22),(23)に代入して整理すると、


X1,X2が共に0にならない解を得るためには、


これを展開してω2について解き、2根の小さい方をω1 2,大きい方をω2 2とすると、ωは±ω1と±ω2の4個の値をとるが、+ω1と+ω2の2個が意味を持ち、


2自由度系振動としては、m1とm2がω1で振動し、それぞれの振幅がX1,X2の場合と、m1とm2がω2で振動し、それぞれが別の振幅X1,X2で振動する2形態が存在する。式 (21),(24),(25)より
ω1に対するX1,X2,χfr1fr2をX1 (1),X2 (1),χfr1 (1)fr2 (1)、ω2に対するX1,X2,χfr1fr2をX1 (2),X2 (2),χfr1 (2)fr2 (2)とし、
とおく。式(35)、(36)を式(24)、(25)に代入すると、
式(37)、(38)は同位相、式(39)、(40)は逆位相で振動する。式(21)、(22)、(23)の微分方程式の解は、α、βを定数とすると、
式(41)を置き換えると、
これを展開すると、
ここで、
と置くと、式(44)、(45)は、

E1〜E4は各時間帯にて異なった係数となるので、係数を変えた上で各時間帯別の自由振動解と強制振動解を加算し、全体の振動解を求めると、
ここで式(52)〜(59)におけるχfo1fo2の値は、式(13)〜(20)の各時間帯に対応した値となる。また、式(52)〜(59)の各係数は未知数となり、合計16個存在するが、境界条件として、式(52)、(53)において、
と、分割した車体入力加速度の隣り合う時間における


を等しくし、連立方程式を解けば各係数が求まるが、ここでは紙面の関係により計算結果の記載を省略する。
以上によりχ12が求まったため
も求まり、NIC値に関しても式(61)にて算出できる。
また、ヘッドレストとダミー頭部のコンタクトタイムであるtは、次式を満足した時間に一致する。
〔計算に用いる入力値の選定〕
この衝突解析を行う際の入力パラメータの中でバネ定数:k1〜k3、ヘッドレストとダミー頭部のコンタクトタイム:tに関しては、あらかじめ実験を行い、値を求めておく必要がある。
ここでk1、k3はシートバックやヘッドレストへの静的、又は動的荷重負荷試験により求めるべきものであるが、これらは実際の後面衝突スレッド試験により算出する。図4と図5に、後面衝突スレッド試験におけるダミー胸部T1(第1胸椎)と、頭部と、の前後方向荷重撓み曲線の測定結果、およびバネ定数:k1〜k3を示す直線が示されている。
また、ダミー頚部の前後方向バネ定数であるk2は、図6に示す、インパクタによるダミーのキャリブレーションテストにより算出する。前記テストでは、インパクタでダミーの背面に衝撃を加えたときのダミー胸部T1前後方向加速度とダミー頭部前後方向加速度が得られるため、図7に示す畳み込み積分手法によりk2を求める。図8に計算に用いた胸部T1加速度入力値、図9にk2の算出結果が示されている。
一方、ヘッドレストとダミー頭部のコンタクトタイム:tは、本来ヘッドレストとダミー頭部のコンタクトタイムであるが,前記スレッド試験結果では、頭部がヘッドレストにコンタクト時発生する反発現象の影響を受けて実質的な頭部拘束開始時間がコンタクトタイムより遅れて発生することに着目し、前記スレッド試験での頭部加速度発生結果を参考の上、決定する。
また、χ0は本来、後面衝突スレッド試験前のダミー頭部とヘッドレストまでの前後方向のクリアランスであるが、頭部がヘッドレストとコンタクトする前にヘッドレストがシートバックの変形により後方へ移動することを考慮し、動的変形による移動量も加えた値とし、式(62)により算出する。
〔実験値と解析計算値との比較〕
本発明による簡易的な力学モデルによる解析による結果が、ダミーを用いた後面衝突スレッド試験による結果にどの程度合致しているかが調べられた。NIC値の解析に用いられる定められた三角波の加速度特性と、前記スレッド試験で再現した実際の加速度と、の比較グラフが図10に示されている。この図から、スレッド試験における加速度特性は、解析に用いられる加速度特性とほぼ同等の波形が再現されていることが理解できる。
この比較テストの際、解析に用いられた入力パラメータが図11に一覧化されている。このようなパラメータを、前述した式に代入して得られた、胸部と、頭部と、の加速度波形およびNIC値の計算結果と、実際にスレッド試験によって得られた試験結果と、計算結果と、が図12〜図14に示されている。図12は時間に対する胸部加速度の変化を、図13は時間に対する胸部加速度の変化を、図14は時間に対するNIC値の変化を、それぞれ示している。これらの計算結果と試験結果とを比較した図から、本発明による後面衝突解析が、非常に簡易なモデル化から出発しているにもかかわらず、スレッド試験による試験結果にかなり類似していることが分かる。特にNIC値については、0〜150msまでの間のピーク値が採択されるが、計算値と実験値との結果比較では、ピーク値のみならずピーク値発生時間やNIC値の時間毎のグラフ推移もほぼ整合しており、この後面衝突解技術がシート設計時等での机上の頚部障害値指標の推測に十分利用できることを証明している。
本発明による車両後面衝突時の解析技術は、シートに載った乗員の、後面衝突事故における挙動を解析して乗員傷害の低減を図ろうとする自動車のみならず、鉄道やその他乗り物全般におけるシート設計の分野に応用することができる。
以上、本発明の解析方法についての実施形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲および明細書等に記載の精神や教示を逸脱しない範囲で他の変形例、改良例が得られることが当業者は理解できるであろう。
1 車両
2 シート
3 ダミー人形
3a 胸部要素
3b 頭部要素


X1,X2が共に0にならない解を得るためには、

Claims (2)

  1. 車両のシートに載せられるダミー人形の力学モデルを運動方程式により数式化して、車両衝突時のダミー人形の挙動を算出する車両衝突解析方法において、
    前記力学モデルは2質点のバネマスダンパモデルとして構成された前記ダミー人形の
    胸部と頭部の力学モデルを含むとともに、
    乗員を模擬するダミー人形を用いた車両の後面衝突で試験に用いられる、定められた三角波の加速度の過渡入力が加わった時の、シートに着座した前記ダミー人形の挙動を、車両の前後方向の運動のみに単純化して、胸部と頭部の2自由度系バネマス非減衰モデルで簡易的に表現して運動方程式を立て、
    前記運動方程式は、車両座席のヘッドレストと、ダミー人形頭部と、が接触を開始するする時刻、即ちコンタクトタイムの前と、後と、についてそれぞれ用意され、
    胸部と頭部について立てた前記2つの運動方程式を、コンタクトタイムの前と、後と、各々について解くことにより、胸部と頭部の変位と、速度と、加速度と、を算出し、これらの解を公式に代入することによって、頚部障害値指標であるNIC値(Neck Injury Criterion)を算出する、
    ことを特徴とする解析手法。
  2. 請求項1の解析手法において、
    ヘッドレストとダミー人形頭部との前後方向クリアランスは、後面衝突スレッド試験前の前記クリアランスに、車両座席のシートバックの動的変形によりヘッドレストが車両後方へ移動する量を加えて補正した値を算出し、
    ダミー人形頭部がヘッドレストに衝突する時刻、即ちコンタクトタイムは、後面衝突スレッド試験での頭部加速度発生結果を参考の上、誤差を補正した値を算出し、
    前記の補正された値を運動方程式に入力する、
    ことを特徴とする解析手法。
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