JP2005085138A - 車両衝突シミュレーションのための方法とプログラムと装置 - Google Patents

車両衝突シミュレーションのための方法とプログラムと装置 Download PDF

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Abstract

【課題】単純化したダミーと車両のモデルを用いて短時間で精度の高い車両衝突をシミュレーションすることができる技術を提供する。
【解決手段】車両の力学モデルと前記車両のシートに載せられるダミーの力学モデルと前記ダミーを前記シートに拘束する拘束体の力学モデルを運動方程式を用いて数式化し、ダミー・スレッド試験を通じて同定された前記力学モデルのバネ特性を前記運動方程式に代入するとともに前記車両モデルに衝突減速特性を付与することにより車両衝突時のダミーの挙動を演算する。これにより衝突時の乗員の胸部減速度特性を予測する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、乗員を模擬するダミー人形(以下単にダミーと称する)が搭載された車両の衝突時におけるダミーの挙動をシミュレーションする技術に関する。
よく知られているダミーを用いた車両衝突試験(スレッド試験)では、ダミーに6分力計や加速度計などのセンサを装着して、6分力計で測定される衝突時ダミーの頸、胸、腰、大腿部にかかる力から各部の前後・左右方向のせん断力、上下方向の軸力、前後・左右方向のモーメント、回転モーメントなどを算出し、加速度計の測定値から、ダミーの頭や胸にかかるX、Y、Z方向の加速度を算出し、その算出結果から衝突時におけるダミーの挙動を評価する。このようなダミーとしてハイブリッドIIIが知られている。しかしながら、装着された多数のセンサの調整やそれらの測定値の評価にかなりの負担が強いられるわりには、その精度は期待するほどではない。
このようなダミーを用いた車両衝突試験を改善したものとして、静止車両の座席に座らせた状態におけるダミーの3次元外形情報と静止車両の座席に座らせた状態におけるダミー人形の予め定めた位置に装着された複数の加速度センサの位置情報とが記憶させられ、車両の衝突前所定時間から衝突後所定時間までにわたる予め定められた所定期間ごとにおける各加速度センサからの出力信号に基づき各加速度センサの装着位置の変位量および回動量が求められ、これらの所定期間ごとにおける各加速度センサの装着位置の変位量および回動量に基づいてダミーの3次元外形情報が順次変更させられ、変更されたダミー人形の3次元外形情報に基づくダミー人形の3次元画像が表示される、画像解析を付加した車両衝突シミュレーションシステムがある(例えば、特許文献1参照。)。これによれば、車両の衝突前所定時間から衝突後所定時間までにわたる予め定められた所定期間ごとにおける各加速度センサからの出力信号に基づきダミーの3次元画像が経時的に表示されて、従来では撮影できなかった位置におけるダミーの挙動を詳細に知ることができる。しかしながら、ダミーを用いた衝突試験では、ダミーの位置決め等の初期設定において車両の詳細な寸法レイアウトが要求されるのに対して実際試作車両などではそのようなデータを正確に与えることが困難であるし、また、ダミーを構成する多数の部材がそれぞれが非線形な材料特性をもっていることから、ダミーの挙動をそのまま実際の衝突における人体損傷シミュレーションに適用しづらいという欠点がある。また、画像解析を付加した車両衝突シミュレーションシステムは、システム規模が大きくなり、コストがかかりすぎるという欠点もある。
近年、人体各部を質点系で表現し、各質点間を弾性特性や各種ジョイント構造で接合して人体の解析を行う衝突解析ソフトウエア(例えばオランダ応用科学研究機構製MADYMO)を用いて、交通事故傷害の解析を行ったり、さらにこれを発展させて、人体全身の有限要素モデルと車両構成部材の有限要素モデルを構成し、車両衝突時のシミュレーション結果から人体傷害を再現したりする技術が知られている(例えば、特許文献2、又は非特許文献1参照。)。しかしながら、有限要素法を用いたシミュレーションの場合計算の前準備及び計算そのものに時間及びコストがかかり、車体設計段階で頻繁に利用することは事実上不可能に近い。
特開平9−297087号公報(段落番号0008〜0009、図1)
特開2002−149719 号公報(段落番号0018〜0019、図1)
木佐貫義勝他著「R&D Review of Toyota Vol.32 No.2」、2002年6月、p.34−40
上記実状に鑑み、本発明の課題は、単純化したダミーと車両のモデルを用いて短時間で精度の高い車両衝突をシミュレーションすることができる技術を提供する点にある。
上記課題を解決するため、本発明による車両衝突シミュレーション方法は、車両の力学モデルと前記車両のシートに載せられるダミーの力学モデルと前記ダミーを前記シートに拘束する拘束体の力学モデルを運動方程式を用いて数式化し、ダミー・スレッド試験を通じて同定された前記力学モデルのバネ特性を前記運動方程式に代入するとともに前記車両モデルに衝突減速特性を付与することにより車両衝突時のダミーの挙動を演算する。
この車両衝突シミュレーション方法では、ダミー・スレッド試験に用いられているような車体とダミーとシートベルトとといったダミーを車体シートに拘束する拘束体とをバネ特性を使って比較的単純な力学モデルとしてモデル化し、このモデルの運動方程式をダミー・スレッド試験を通じて同定された前記力学モデルのバネ特性と車両モデルの衝突減速特性を与えて解いて、車両衝突時のダミーの挙動を求める。ここで用いられているモデルは単純な力学モデルであるので、人体を有限要素に分割して大規模な計算によって車両衝突のシミュレーションを行うような技術に比べ、小規模なコンピュータシステムであっても迅速に演算結果が得られる。また、単なるダミー・スレッド試験ではなく、ダミーやその拘束体を実験的に検証されたやり方でモデル化されているので、得られた演算結果から、ダミーの衝突時の減速度や移動距離を分力計や加速度センサなしで得ることができる。従って、車体の寸法等が正確に決定されていない段階においても、種々の値でシミュレーションを反復させて有用な設計情報を得ることができる。
単純な、つまり低自由度でありながらも良い結果が得られる力学モデルとして、本発明の好適な実施形態では、前記車体力学モデルは1質点で衝突部に衝撃吸収特性を付与して構成され、前記ダミー力学モデルは頭部、胴体、下半身の3質点でそれらの連結点にバネ特性を付与して構成され、前記拘束体力学モデルは腰ベルトと肩ベルトにバネ特性を付与するとともに下半身が車両構成部材から受ける力をバネ特性で表すことで構成されている。このような単純な力学モデルであっても、衝突傷害評価において重要な胴体の挙動は、胴体の挙動に大きな影響を与える頭部と下半身及び腰ベルトと肩ベルト及び下半身が車体から受ける反力といったものとの力学的連係を考慮していることから、十分な精度が得られる。
本発明を特徴付けている力学モデルの運動方程式を解法するにあたり、この運動方程式をラグランジュ方程式の形に置換することで、つまりこの力学モデルに働く力を考える代わりにポテンシャルエネルギを考えることで、本発明のような力学モデルはより簡単かつ高速に演算することができる。
また本発明は、上述した車両衝突シミュレーション方法をコンピュータに実行させるプログラムやそのプログラムを記録した媒体も権利の対象とするものである。
本発明では、さらに、上述した車両衝突シミュレーション方法を採用した車両衝突シミュレーション装置も権利の対象としており、その装置は、車両の力学モデルと前記車両のシートに載せられるダミーの力学モデルと前記ダミーを前記シートに拘束する拘束体の力学モデルを作成するモデル化部と、前記力学モデルを運動方程式を用いて数式化する数式化部、ダミー・スレッド試験を通じて同定された前記力学モデルのバネ特性を前記運動方程式に代入するとともに前記車両モデルに衝突減速特性を付与するシミュレーション条件設定部と、前記シミュレーション条件設定部によって設定された条件により車両衝突時のダミーの挙動を演算するソルバー部とから構成されている。当然ながら、この車両衝突シミュレーション装置も上述した車両衝突シミュレーション方法において説明された実施の形態を採用することが可能であり、その場合同様な作用効果が得られる。
本発明によるその他の特徴及び利点は、以下図面を用いた実施形態の説明により明らかになるだろう。
図1に、本発明による車両衝突シミュレーション装置の構成を模式的に示す機能ブロックが示されている。この図からよく理解できるように、この車両衝突シミュレーション装置は、車両の力学モデルと前記車両のシートに載せられるダミーの力学モデルと前記ダミーを前記シートに拘束する拘束体の力学モデルを作成するモデル化部20と、前記力学モデルを運動方程式を用いて数式化する数式化部30、ダミー・スレッド試験を通じて同定された前記力学モデルのバネ特性を前記運動方程式に代入するとともに前記車両モデルに衝突減速特性を付与するシミュレーション条件設定部40と、このシミュレーション条件設定部40によって設定された条件により車両衝突時のダミーの挙動を演算するソルバー部50、このソルバー部50の演算結果からダミー各部の減速度特性線図や移動量線図を出力する出力部60を備えている。
〔力学モデル〕
図2に、前部衝突を想定した車両とダミーと拘束体(シートベルトやトーボードなど)の力学モデルが示されている。車両モデル1は、1質点で質量をMとし,その前部の衝撃吸収特性をkbと設定し、また、ダミーモデルは頭部モデル2、胴体モデル3,下半身モデル4の3質点で構成され、それぞれの質量をmh、mu、mlとしている。このうち,頭部及び胴体は回転運動を考慮してそれぞれの重心周りの慣性モーメントをIh、Icとしている。頭部と胴体のジョイント部には首部の曲げ特性として回転バネ2a(バネ特性:kh)が、胴体と下半身のジョイント部には腰部曲げ特性として回転バネ2b(バネ特性:kr)が配置されている。下半身モデル4である脚が車両に設けられたトーボードに接触した際に受ける力をバネ7(バネ特性:kf)に置き換え、シートから受ける水平方向の反力をバネ8バネ(特性:kd)に置き換えている。シートベルトは、3 点式ベルトとして、モデル化にあたって半身に取り付けられている腰ベルトモデル5(バネ係数:kl)と胴体の上端に取り付けられている肩ベルトモデル6(バネ係数:ks)に分けられている。このようなモデル化の設定はモデル化部20で直接行われるか、あるいは別の場所で行われたモデル化データがモデル化部20にロードされる。
〔運動方程式〕
車両モデル1と下半身モデル4の水平方向の位置をそれぞれxM、xmとし、胴体モデル3と頭部モデル2の回転角をそれぞれθc 、θh 、胴体モデル3の長さをlcs,胴体下端のジョイント部からその重心までの距離をlc、頭部下端のジョイント部と頭部重心との距離をlhとすると、胴体モデル3の位置(xc,yc)は,
Figure 2005085138
となり、頭部モデル2の位置(xh,yh)は,
Figure 2005085138
となる。これにより、胴体モデル3及び頭部モデル2の速度は次式となる。
Figure 2005085138
次に,車両モデル1と下半身モデル4における初期状態での位置をxM0、xm0、胴体の回転角における初期角度をθ0c、胴体下端から肩ベルト取り付け位置との距離をlhpsとすると、肩ベルトは胴体の並進運動と回転運動の両方によって伸びが発生するため,ダミーが受ける肩ベルトのバネ力Fs は次式で与えられる。
Figure 2005085138
式(1)〜(5)により、本モデルにおける運動エネルギーTと位置エネルギーUは、
Figure 2005085138
となる。ここで、θh0は頭部回転角の初期角度である。そして、式(6)、(7)をラグランジュ方程式に代入すると、xM、xm、θc、θhに関する運動方程式が得られる。
上述した運動方程式は数式化部30で設定される。
〔バネ特性の同定〕
図2で示された、頭部モデル2と胴体モデル3と下半身モデル4からなるダミーモデルを用いた、初期設計段階で重要な評価指標となる胸部減速度のシミュレーションには,頭部モデル2や下半身モデル4のジョイント部のバネ特性が大きく影響を与えるため,まずこれらの特性について説明する。頭部モデル2と胴体モデル3とのジョイント部である首部の曲げ特性は,前傾する向きに荷重が生じた時,図3に示されている首部曲げモーメント−頭部回転角度線図の斜線部の領域に入ることが知られているので,今回の力学モデルでは図中の実線で示すようにモーメントを設定し,下記の式(8)よりkhを決定する。
Figure 2005085138
ここで、Mhは首部の曲げモーメントである。また,首部の前傾方向の荷重が除去された場合,モーメントは斜線領域に入らなくてもよいとされるので,図3に示すように荷重除去開始地点をP(θ′h?θh0,M′h)とすると,Mhは次式のように定義される。
Figure 2005085138
胴体モデル3と下半身モデル4のジョイント部である腰部の曲げ特性については,ハイブリッドIIIダミーの腰椎部分の単体曲げ剛性試験をおこなった結果,得られた曲げモーメン
トと腰椎角
度との関係がほぼ線形であることがわかったので,ここでは式(8)と同様の算出方法により,kr=4850N/radとする。
シートベルトである腰ベルトモデル5と肩ベルトモデル6の各バネ特性kl及びksは,ウエビング(ベルト布)自体の伸び特性,リトラクター(巻き取り装置)の剛性,シートベルトが取り付けられているボディ側構造部材の強度などが複合して決定される。そこで,本発明ではシートベルト全体のバネ特性を図4に示すバネ力−変位線図によって定義している。縦軸をシートベルトに生じるバネ力,横軸をベルトの伸びとすると,ベルトに引張荷重が生じている時,A→B→C→D→Eの経路をたどる。仮にF点において荷重が除去された場合は,傾きFGのヒステリシススロープに沿って、G点まで下降する.その後は,G→H→A をたどる。途中,再度引張荷重が生じた場合には,除去時の経路に戻ってH→G→F→Eとなっている。
下半身モデル4である脚部がトーボードに接触した後,膝関節が曲がり上部へ持ち上がる挙動は、図2のモデル図に示すように、バネ特性:kfで単純化されているが,脚部の付け根に発生する荷重(大腿部の荷重)と変位の関係はヒステリシスをもつシートベルトとのそれと酷似しているで,このバネ特性:kfもシートベルトと同様の図4で示された力−変位線図で定義する。
次に,シートベルト及び脚部における力−変位線図の各点での値を決定するために,車体の減速度を再現できる台車に衝突用ダミーを載せて評価する実験(以下、ダミー・スレッド試験と称する)によって同定される。実験条件は,V0=50km/hで剛体壁への正面衝突(フルラップ衝突)を想定した減速度を正弦波で作成し,車体の減速度としてスレッド台車に与える。ハイブリッドIIIダミーを使用し、正規着座した姿勢でシートベルトが装着されているが、その際、肩ベルトと腰ベルトの2 箇所に張力計を取り付けて、計測が行われる。また,同時にそのダミー頭部,胸部,腰部のx軸およびy軸減速度と、大腿部の軸方向における荷重も計測される。ダミー・スレッド試験を通じて得られた肩および腰のシートベルト張力値は,ベルトの両端がシートまたはボディに固定されていることから、図2での力学モデルの肩ベルトモデル6と腰ベルトモデル5によって生じるバネ力の1/2 の大きさであると仮定できる。
このようにして同定されたベルトのバネ力、大腿部の荷重及び車両の減速度を、xm、θc、θhの運動方程式に代入して計算することで、図5〜図7に示すように、各バネ力、つまり肩ベルトモデル6としてのバネ力(バネ係数:ks)、腰ベルトモデル5としてのバネの力(バネ係数:kl)、脚が車両に設けられたトーボードに接触した際に受ける力(バネ特性:kf)と変位との関係が導かれる。なお、プロットした点の各文字は図4で示した力−変位線図の文字と対応している。以上の手順により、各バネ特性kl、ks 及びkfが同定される。
同定されたバネ特性、及び衝突を想定した車両モデル1への衝突挙動を、条件設定部40を通じて運動方程式に設定すると、ソルバー部50はこの運動方程式をシミュレーション演算して、出力部60を通じて頭部モデル2や胴体モデル3の衝突挙動である頭部減速度特性や胸部減速度特性や腰部減速度特性などを出力する。
図2で示された力学モデルを用いた衝突シミュレーション結果の精度を評価するため、図8に示した減速度をもつ正面衝突を想定したダミー・スレッド試験を実施し、そこで得られたダミーの頭部、胸部及び腰部の減速度の測定値と、それらのシミュレーション演算結果が比較された。その頭部減速度特性の比較線図が図9に、その胸部減速度特性の比較線図が図10に、その腰部減速度特性の比較線図が図11に示されている。なお、図9〜図11におけるダミー各部の減速度は,x軸とy軸の合成減速度を示しており、ソルバー部50におけるシミュレーション演算での頭部合成減速度αh,胸部(胴体)合成減速度αcは次式で表される。なお、腰部合成減速度については,力学モデルの下半身モデルが並進運動しか考慮されていないため,計算ではxmの二回微分としている。
Figure 2005085138
実際のダミーは,衝突中の人体の動きをできる限り再現できるように作られており、本発明による力学モデルに比べて多自由度の動きをする。そのために,図9〜図11で示した頭部,胸部及び腰部減速度特性はともに衝突後半においてダミー・スレッド試験とシミュレーション演算に差が生じているが、各減速度特性における初期の立ち上がりの傾きは両者の間でほぼ一致しており,なかでも胸部減速度特性についてはその最大値も近い値を示している。胸部はシートベルトを介して,衝突によって生じる車体の減速の影響をもっとも受けやすい部位であり,その傷害危険度を示す胸部減速度の最大値(厳密には,持続時間3msにおける最大減速度)とその発生タイミング(減速度の立ち上がりの傾きに依存)は,設計初期段階で重要な評価指標であることを考慮するならば、本発明による車両衝突シミュレーションはこれらの予測を可能とするものである。さらには、そのモデル化において演算負荷を大幅に低減させることになる低自由度の力学モデルを用いていることから、車体設計時における手軽なシミュレーションとしてその利点は大きい。
衝突時に乗員がもつ運動エネルギーがシートベルトなどの保護装置を媒介として,車体のクラッシュエネルギーに変換される率が大きいほど,乗員保護に有利と言われており,これは“ライドダウン効果”と呼ばれている。この効果を上げるためには,車体のもつ運動エネルギーと最大変形量を一定とした場合において、衝突初期の車体減速度を大きくすればよいことが一般的に知られている。そこで,本発明による車両衝突シミュレーション技術を用いて,図12に示された矩形波の車体減速度特性(ケース1)と,代表的な“ライドダウン”波形である減速度特性(ケース2)を与えた時に生じる胸部減速度特性の解析をケーススタディとして行った。その結果は、図13に示されている。なお、ケース2はケース1と同一の運動エネルギーと車体潰れ変形量を持ち,かつ減速度の初期の立ち上がりがケース1と同じで、初速度はV0=55km/hである.胸部減速度の計算結果によると,“ライドダウン”波形であるケース2は、ケース1の車体減速度に対して胸の減速度の最大値を約12%低減でき,その効果が確認できる。このことから、本発明は,乗員挙動と車体減速度との関係の解明に有用であることが明らかである。
上述したように、本発明による衝突シミュレーション技術では、特に車体の設計初期段階において手軽に有益な情報を取得できるように,車体にシートベルトによって拘束される人体(ダミーモデル)を3質点に単純化するとともに、それらの部材の各ジョイント及びシートベルトをも組み込んだ力学モデルを作成し、その力学モデルのバネ特性等をダミー・スレッド試験を通じて同定することで、低自由度モデルであるにもかかわらず、その運動方程式の演算によって、特に前部衝突の重要な評価指標である乗員の胸部減速度特性の予測が実用レベルで実現した。このことは、乗員挙動と車体減速度との関係の解明に貢献することになる。
本発明による車両衝突シミュレーション技術は、シートに拘束された乗員の衝突事故における挙動を解析して、乗員傷害の低減を図ろうとする自動車のみならず鉄道やその他乗り物全般における車体設計の分野に応用することができる。
本発明による車両衝突シミュレーション装置の構成を模式的に示す機能ブロック図 車両と車両に拘束されたダミーの力学モデルを説明する模式図 首部曲げモーメント−頭部回転角度線図 シートベルト全体のバネ特性を定義するバネ力−変位線図 肩ベルトのバネ力と変位との関係を示すバネ力−変位線図 腰ベルトのバネ力と変位との関係を示すバネ力−変位線図 トーボードから受ける力としてのバネ力と変位との関係を示すバネ力−変位線図 正面衝突を想定したダミー・スレッド試験に用いられた減速度特性線図 実験と演算における頭部減速度特性の比較線図 実験と演算における胸部減速度特性の比較線図 実験と演算における腰部減速度特性の比較線図 実験と演算における車体減速度特性の比較線図 実験と演算における胸部減速度特性の比較線図
符号の説明
1:車体モデル
2:頭部モデル
3:胴部モデル
4:下半身モデル
5:腰ベルトモデル
6:肩ベルトモデル
7:脚が車両に設けられたトーボードに接触した際に受ける力を表すバネ
8:シートから受ける水平方向の反力を表すバネ
20:モデル化部
30:数式化部
40:条件設定部
50:ソルバー部
60:出力部

Claims (5)

  1. 車両の力学モデルと前記車両のシートに載せられるダミーの力学モデルと前記ダミーを前記シートに拘束する拘束体の力学モデルを運動方程式を用いて数式化し、ダミー・スレッド試験を通じて同定された前記力学モデルのバネ特性を前記運動方程式に代入するとともに前記車両モデルに衝突減速特性を付与することにより車両衝突時のダミーの挙動を演算することを特徴とする車両衝突シミュレーション方法。
  2. 前記車体力学モデルは1質点で衝突部に衝撃吸収特性を付与して構成され、前記ダミー力学モデルは頭部、胴体、下半身の3質点でそれらの連結点にバネ特性を付与して構成され、前記拘束体力学モデルは腰ベルトと肩ベルトにバネ特性を付与するとともに下半身が車両構成部材から受ける力をバネ特性で表すことで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両衝突シミュレーション方法。
  3. 前記運動方程式はラグランジュ方程式の形で演算されることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両衝突シミュレーション方法。
  4. 車両の力学モデルと前記車両のシートに載せられるダミーの力学モデルと前記ダミーを前記シートに拘束する拘束体の力学モデルを数式化することで運動方程式を設定する機能と、前記運動方程式にダミー・スレッド試験を通じて同定された前記力学モデルのバネ特性を代入する機能と、前記車両モデルに衝突減速特性を付与する機能と、前記衝突減速特性に基づく車両衝突時のダミーの挙動を演算する機能をコンピュータに実行させることを特徴とする車両衝突シミュレーションプログラム。
  5. 車両の力学モデルと前記車両のシートに載せられるダミーの力学モデルと前記ダミーを前記シートに拘束する拘束体の力学モデルを作成するモデル化部と、前記力学モデルを運動方程式を用いて数式化する数式化部、ダミー・スレッド試験を通じて同定された前記力学モデルのバネ特性を前記運動方程式に代入するとともに前記車両モデルに衝突減速特性を付与するシミュレーション条件設定部と、前記シミュレーション条件設定部によって設定された条件により車両衝突時のダミーの挙動を演算するソルバー部とが備えられていることを特徴とする車両衝突シミュレーション装置。
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