JP4791698B2 - 改質型燃料電池システム及び改質型燃料電池システムの運転制御方法 - Google Patents
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Description
改質型燃料電池システムは、改質部1と、改質部1を加熱する加熱部2と、発電を行う燃料電池スタック3とを備え、これらに燃焼用等の空気を供給するためのブロワ4,ブロワ7等が付属する。
加熱部2は、燃料と空気とを燃焼させて発生する燃焼熱で改質部1を加熱するためのものである。燃料としては、前記炭化水素原料と同様に灯油等が使用される。また、燃料の燃焼用空気はブロワ7から供給される。
燃料電池スタック3のアノードへは改質部1で生成させた水素含有ガスが供給され、カソードへは、通常はブロワ4等によって空気を供給することで酸素が供給される。
特許文献1に開示された発明は、アノード排気とカソード排気とを、加熱部とは別の装置内で触媒を用いて反応させて燃焼熱を発生させ、熱交換器を介して、燃焼熱により改質部に供給する燃焼用空気を加熱して、燃料電池システムのエネルギ効率を高めるものである。
また、熱交換器を介して改質部に供給する燃焼用空気を加熱するため、伝熱損失に伴うエネルギの損失が避けられないという問題があり、更なるエネルギ効率の改善が求められる。
また、前記アノード排気及び前記カソード排気は燃料電池スタックでの発電時に生じた反応熱を保有しているが、この熱も前記改質部の加熱に利用することができる。これらにより、前記アノード排気及び前記カソード排気の持つ熱の有効活用が図られ、エネルギ効率の良い改質型燃料電池システムが得られる。
更に、改質部で生成させた水素含有ガスを燃料電池スタック3のアノードに供給する水素供給手段14と、燃料電池スタック3のカソードに酸素含有ガスを供給する酸素供給手段4と、燃料電池スタック3のアノードから排出されるアノード排気を加熱部2に導入するアノード排気手段5と、燃料電池スタック3のカソードから排出されるカソード排気を加熱部2に導入するカソード排気手段6とを備えている。
炭化水素原料としては、灯油、ガソリン、メタノールまたはジメチルエーテル等を使用することができる。本発明では常温常圧で液体の炭化水素原料を使用することが好ましい。特に灯油は、都市ガスの供給の無い地域でも容易に入手できるため、本発明に係る改質型燃料電池システムの炭化水素原料として好適に用いることができる。炭化水素原料は、必要に応じて図示しない脱硫装置で脱硫した後に、改質部1へ供給することもできる。
反応に用いる触媒としては、Ni触媒やRu触媒に代表される貴金属系触媒等、通常炭化水素の改質に用いられる触媒を使用することができる。
改質部1で生じる反応は吸熱反応であるため、加熱部2から改質部1へ熱を供給して反応させて水素含有ガスを生じさせる。
COは燃料電池スタック3での化学反応を阻害するため、改質部1に続けてシフト反応を行うシフト反応器、COを選択的に酸化させるCO選択酸化器等を設けることができる。シフト反応器ではCO+H2O→CO2+H2という反応により、またCO選択酸化器では2CO+O2→2CO2という反応によりCOをCO2へ変化させて除去する。
改質部1で発生させた水素含有ガスは、水素供給手段14により燃料電池スタック3のアノードへ供給される。水素供給手段14としては、通常の配管を用いることができる。また、水素含有ガスを貯蔵できるタンク等を備えてもよい。燃料電池スタック3のカソードには酸素供給手段4により酸素が供給される。酸素供給手段4としてブロワを使用することができる。(図1参照)
カソードへの酸素供給量は、回転数を制御可能なブロワを酸素供給手段4(以下ブロワ4と記す)として用いて、ブロワの回転数を酸素供給量制御手段13により調整することで制御することができる。
このようにアノード排気とカソード排気を直接加熱部2へ導入、混合して燃焼させるとともに、アノード排気とカソード排気が保有する熱も利用しているためエネルギ効率が向上する。また、熱交換器等を使用しないため改質型燃料電池システム全体の小型化を図ることができる。
このような熱量の変動は、図1に示すように加熱部2で燃料(炭化水素)と空気とを混合燃焼させ、その燃焼熱を利用することで調整することができる。
燃料として常温常圧で液体の炭化水素を用いる場合、安定した燃焼を行うためには、液体の炭化水素を気化器で気化させ、この気化した炭化水素を空気と混合してから燃焼させることが好ましい。このような燃焼を行うバーナとして、例えば特開2003−331882号に記載されたバーナを用いることができる。また、気化器を用いずに、液体の炭化水素を直接噴霧して空気と混合してから燃焼させる形式のバーナでも良い。
液体の炭化水素を噴霧するための空気は、この液体の炭化水素を燃焼させるために必要な空気を供給するブロワ7またはコンプレッサ等から供給することができる。
すなわち、モル比O/Hが0.55未満のときは、未燃水素が加熱部2から排出されるため好ましくない。またO/Hモル比が2.0を超えると、窒素やCO2等の燃焼に関与しない不活性なガスが存在すると未燃水素が排出される場合があるため、モル比O/Hが0.55〜2.0となるよう前記カソードへの酸素流量を酸素供給量制御手段13により制御することが好ましい。(図2参照)
モル比O/Hを0.55〜0.60にすれば燃料電池スタック3を高出力で運転できるので、より一層好ましい。
ここに示した例は、水素濃度センサ8、水素流量センサ9、電力センサ10、空気流量センサ11及び改質部1に設置した温度センサ12からの入力を、酸素供給量制御手段13により処理して、ブロワ4への出力を調整することによって改質型燃料電池システムを制御するものである。
また、ブロワ4から燃料電池スタック3のカソードに至る配管上に空気流量センサ11を設置し、ブロワ4から供給される空気の量を酸素供給量制御手段13により常時監視する。
次に、酸素供給量制御手段13で電力センサ10の出力から燃料電池スタック3で単位時間当たりに消費される水素の量を演算により求める。燃料電池スタック3で単位時間当たりに消費される水素の量を求めるに当たっては、予め定めた演算式または実験的に求めたマップ等を用いることができる。
更に、酸素供給量制御手段13では、電力センサ10の出力に基づいて予め定めた演算式または実験的に求めたデータテーブル等を用いて、燃料電池スタック3で単位時間当たりに消費される酸素の量を求める。
上記で求めた単位時間当たりの酸素供給量と単位時間当たりの酸素消費量との差をカソード排気中の単位時間当たりの酸素の量の値とし、これを酸素分子の分子量で除した値をカソード排気中の単位時間当たりの酸素のモル数(X2)とする。そして、X2の値をX1で除した値、即ちモル比O/Hと、0.55〜2.0の範囲で予め設定した要求値X0との比較値に基づいてブロワ4への出力を制御することによって、モル比O/Hを要求値X0に制御する。
X0の値を0.55〜0.60の範囲で定めると燃料電池スタック3を高出力で運転できるので、より一層好ましい。
の実施の形態について説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではない。
例えば、燃料電池スタック3のアノードへ供給される水素含有ガス中の水素の濃度を、改質部1へ供給される炭化水素原料と水のモル比と、改質部1の出口温度と、改質部1の出口圧力と、予め定めた計算式またはデータテーブル等とを用い演算で求めることもできる。
また、燃料電池スタック3のカソードへ供給される酸素の量を、空気流量センサ11ではなくブロワ4の回転数から演算で求めてもよい。
2 加熱部
3 燃料電池スタック
4 酸素供給手段(ブロワ)
5 アノード排気手段
6 カソード排気手段
13 酸素供給量制御手段
14 水素供給手段
Claims (3)
- 炭化水素原料と水とを触媒の存在下で反応させて水素含有ガスを発生させる改質部と、
燃料と空気とを燃焼させてその燃焼熱で前記改質部を加熱する加熱部と、
前記水素含有ガスをアノードに導入するとともに、酸素含有ガスをカソードに導入して水素と酸素の化学反応により発電を行う燃料電池スタックと、
前記改質部で生成させた前記水素含有ガスを前記燃料電池スタックのアノードに供給する水素供給手段と、
回転数を調整可能なブロワによって、前記燃料電池スタックのカソードに前記酸素含有ガスを供給する酸素供給手段と、
前記酸素含有ガスの前記燃料電池スタックのカソードへの供給量を、前記ブロワの回転数を調整して制御する酸素供給量制御手段と、
前記燃料電池スタックのアノードから排出されるアノード排気を前記加熱部に導入するアノード排気手段と、
前記燃料電池スタックのカソードから排出されるカソード排気を前記加熱部に導入するカソード排気手段と、を備え、
前記酸素供給量制御手段は、
前記燃料電池スタックに単位時間当たりに供給される水素の量および酸素の量から、前記燃料電池スタックで単位時間当たりに消費される水素の量および酸素の量をそれぞれ差し引いて、単位時間当たりの前記アノード排気中の水素の量および前記カソード排気中の酸素の量を求めることで、前記アノード排気中の水素と前記カソード排気中の酸素のモル比O/Hを算出し、このモル比O/Hが0.55〜2.0となるように、前記酸素含有ガスの前記燃料電池スタックのカソードへの供給量を、前記ブロワの回転数を調整して制御することを特徴とする改質型燃料電池システム。 - 前記酸素含有ガスが、空気であることを特徴とする請求項1に記載の改質型燃料電池システム。
- 炭化水素原料と水とを触媒の存在下で反応させて水素含有ガスを発生させる改質部と、
燃料と空気とを燃焼させてその燃焼熱で前記改質部を加熱する加熱部と、
前記水素含有ガスをアノードに導入するとともに、酸素含有ガスをカソードに導入して水素と酸素の化学反応により発電を行う燃料電池スタックと、
前記改質部で生成させた前記水素含有ガスを前記燃料電池スタックのアノードに供給する水素供給手段と、
回転数を調整可能なブロワによって、前記燃料電池スタックのカソードに前記酸素含有ガスを供給する酸素供給手段と、
前記酸素含有ガスの前記燃料電池スタックのカソードへの供給量を、前記ブロワの回転数を調整して制御する酸素供給量制御手段と、
前記燃料電池スタックのアノードから排出されるアノード排気を前記加熱部に導入するアノード排気手段と、
前記燃料電池スタックのカソードから排出されるカソード排気を前記加熱部に導入するカソード排気手段と、を備える改質型燃料電池システムの運転制御方法であって、
前記酸素供給量制御手段では、
前記燃料電池スタックに単位時間当たりに供給される水素の量および酸素の量から、前記燃料電池スタックで単位時間当たりに消費される水素の量および酸素の量をそれぞれ差し引いて、単位時間当たりの前記アノード排気中の水素の量および前記カソード排気中の酸素の量を求めることで、前記アノード排気中の水素と前記カソード排気中の酸素のモル比O/Hを算出し、このモル比O/Hが0.55〜2.0となるように、前記酸素含有ガスの前記燃料電池スタックのカソードへの供給量を、前記ブロワの回転数を調整して制御することを特徴とする改質型燃料電池システムの運転制御方法。
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