JP4791675B2 - 中枢神経組織の再生方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する分野】
本発明は、中枢神経組織の再生方法、特には大脳皮質の再生方法に関する。更に、本発明は、上記再生方法に用いる同一の発生時期を有する分離された神経細胞及びそれを分離する方法などにも関する。
【0002】
【従来の技術】
外傷、腫瘍形成、遺伝子疾患、または加齢に起因する中枢神経組織の損傷を修復し、その損傷部位の機能を回復させるために、様々な方法が考案されている。中でも、近年、神経幹細胞の移植療法が注目を集めている(Smith, A. G. (2001)“Embryo-derived stem cells of mice and men” Annu Rev Cell Dev Biol 17, 435-462; Svendsen, C. N., and Smith, A. G. (1999) “New prospects for human stem-cell therapy in the nervous system” Trends Neurosci 22, 357-364; Price, J., and Williams, B. P. (2001) "Neural stem cells" Curr Opin Neurobiol 11, 564-567; Gage, F. H. (2000) "Mammalian neural stem cells" Science 287, 1433-1438; van der Kooy, D., and Weiss, S. (2000) "Why stem cells?" Science 287, 1439-1441; Temple, S. (2001) "The development of neural stem cells" Nature 414, 112-117; Temple, S. (2001) "Stem cell plasticity--building the brain of our dreams" Nat Rev Neurosci 2, 513-520)。神経幹細胞は、多分化能及び自己複製能を保持した細胞であり、哺乳動物の胚の脳にはもちろん、成体の脳にも存在することが確認されている。神経幹細胞はインビトロで長期間培養することが可能であり、各種サイトカインの添加により、神経細胞とグリア細胞(アストロサイト及びオリゴデンドロサイト)に分化誘導することができることも報告されている。この様な状況下で、神経幹細胞の単離方法、増殖方法、または種々のタイプの神経細胞への分化誘導方法などが開発されてきた。その結果、神経幹細胞そのもの、または神経幹細胞から分化誘導した神経細胞を、損傷を受けた中枢神経組織に移植することにより、中枢神経組織を再生できる可能性が現実的なものとなってきた(特許文献1(特表2002-522069号)、特許文献2(特表2002-515071号)、特許文献3(特表2000-503983号)、特表平9-507747号)。実際、モデル動物を用いた神経再生治療の試みが盛んに行われており、例えば哺乳類の脊髄損傷モデルへの神経幹細胞の移植実験により、機能の一部回復にまで至ったことも報告されている。しかし、現在でも、胚性神経幹細胞または成体神経幹細胞から、成体の中枢神経組織に存在する、表現型上全ての種類の神経細胞を分化誘導できるわけではなく、神経幹細胞の移植により、中枢神経組織内の任意の部位の損傷において、その機能回復を図ることはできていない。
【0003】
一般に、中枢神経組織内では、共通の特徴を有する神経細胞が特定の部位に局在し、その上で神経回路網が形成されている。例えば哺乳動物の大脳皮質では、組織学的に6層からなる構造が形成され、各層毎に共通の特徴を有する神経細胞が局在し、各層の神経細胞間において複雑な神経回路網が形成されている(仲嶋一範(2001)「大脳皮質が形成されるメカニズム」 神経科学 40巻, 12-25頁;仲嶋一範、御子柴克彦 (2002)「ニューロンの位置決定メカニズム」日本生化学会 バイオサイエンスの新世紀 第11巻 脳の発生・分化・可塑性、共立出版、67-76頁;味岡逸樹、仲嶋一範(2002)「大脳皮質における神経細胞の誕生・移動と層形成機構」医学のあゆみ 201巻, 295-301頁)。従って、この様に高度に構造化された複雑な神経回路網が損傷を受けた場合に、損傷をうけた中枢神経組織部位の正常な機能を回復するためには、その部位の構造を回復することが必要であり、単に神経幹細胞や神経前駆細胞を移植することによっては損傷部位の機能を十分に回復させることは困難である。
【0004】
【特許文献1】
特表2002-522069号公報
【特許文献2】
特表2002-515071号公報
【特許文献3】
特表2000-503983号公報
【非特許文献1】
Frantz, G. D., and McConnell, S. K. (1996) “Restriction of Late Cerebral Cortical Progenitors to an Upper-Layer Fate” Neuron 17, 55-61
【非特許文献2】
Bohner, A. P., et al. (1997) “Induction of deep layer cortical neurons in vitro” Development 124, 915-923
【非特許文献3】
Gotz, M., et al. (1996) “Selective adhesion of cells from different telencephalic region” Neuron 16, 551-564
【非特許文献4】
Nowakowski, R. S., et al. (2002) “Population Dynamics during Cell Proliferation and Neurogenesis in the Developing Murine Neocortex”in “Cortical Development”(Springer-Verlag, Heidelberg), 1-22
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
この様な状況下で、損傷を受けた中枢神経組織の部位を構造的かつ機能的に効率良く回復させる方法が望まれている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、大脳皮質を構成する各層(共通の特徴を持った神経細胞が局在している層)は、ほぼ同一の時期に発生した神経細胞から本質的に成り、それらの神経細胞が、発生時期に依存した選択的な細胞接着又は細胞凝集のための機構を有していることを見出した。一般に、中枢神経組織が損傷を受けた場合、損傷部位の神経細胞の全てが死滅することは稀で、殆どの場合は、ある程度の神経細胞が残存していることが知られている。従って、大脳皮質において、ある層を構成する神経細胞が多数脱落喪失している場合には、胎児の中枢神経組織内に存在し;損傷を受けた神経細胞と同一の発生時期を有する;分離された神経細胞を、その損傷部位に供給すれば、その損傷部位に残存している神経細胞と選択的に接着することにより、供給した神経細胞を損傷部位に効率よく定着させうることが判明した。この方法により、供給した神経細胞を中枢神経組織内の損傷部位に局在化させることを介して、単に神経幹細胞を供給するよりも効果的に、損傷した中枢神経組織を再生することができる。
【0007】
本発明は、1つの態様として、哺乳動物の中枢神経組織の損傷部位を再生する方法を提供する。この再生方法は、
(1)哺乳動物胎児の中枢神経組織から、前記損傷部位を構成する神経細胞と同一の発生時期を有する神経細胞を分離する過程;及び
(2)分離した神経細胞を、前記損傷部位に供給する過程
を含んで成る。
【0008】
より具体的には、前記の同一の発生時期を有する神経細胞を分離する過程(1)は、
(a)哺乳動物胎児の中枢神経組織から、前記の同一の発生時期を有する神経細胞が発生及び/又は局在する組織部分を、その発生時期以降に外科的に取得する過程;及び
(b)前記組織部分を酵素学的に処理して、分散化した神経細胞を得る過程
を含んで成る。
更に(c)前記の分散化した神経細胞の中から、前記の同一の発生時期を有する神経細胞を分離するために、分散化した神経細胞を旋回培養することによって、同一の発生時期を有する神経細胞を凝集させ、その凝集塊を分離した後、再度分散化する過程、を含んでもよい。
【0009】
あるいは、前記再生方法の分離過程(1)は、
(a)哺乳動物胎児の中枢神経組織から、前記の同一の発生時期を有する神経細胞が発生する組織部分を、その発生時期以前に外科的に取得する過程;
(b)前記組織部分を酵素学的に処理して、分散化した神経前駆細胞を得る過程;
(c)分散化した神経前駆細胞を、分散化された状態または再度凝集した状態で培養を行い、前記の発生時期に相当するまで細胞分裂を行わせる過程、ただし凝集状態で培養した場合には、再度分散化を行う、
を含んで成る。
これらの過程は、後述する通り、神経細胞の発生時期が、胎児の中枢神経組織に存在する神経前駆細胞の分裂回数に対応することに基づいている。
【0010】
本発明の再生方法に用いる哺乳動物の胎児は、好ましく当該再生方法を施す哺乳動物と生物学的により近縁な生物種であり、より好ましくは同一の生物種である。本発明の再生方法を施す中枢神経組織の部位は、例えば大脳皮質である。損傷部位が大脳皮質である場合、一般的には、供給する神経細胞を、胎児の大脳皮質の脳室帯、脳室下帯及び/又は中間帯から取得しうる。
【0011】
別の態様として、本発明は、哺乳動物胎児の中枢神経組織に存在している同一の発生時期を有する神経細胞を分離する方法を提供する。
この分離方法は、
(a)哺乳動物胎児の中枢神経組織から、前記の同一の発生時期を有する神経細胞が発生及び/又は局在する組織部分を、その発生時期以降に外科的に取得する過程;及び
(b)前記組織部分を酵素学的に処理して、分散化した神経細胞を得る過程
を含んで成る。
更に(c)前記の分散化した神経細胞の中から、同一の発生時期を有する神経細胞を分離するために、分散化した神経細胞を旋回培養することによって、同一の発生時期を有する神経細胞を凝集させ、その凝集塊を分離した後、再度分散化する過程、を含んでよい。
【0012】
あるいは、この分離方法は、
(a)哺乳動物胎児の中枢神経組織から、前記の同一の発生時期を有する神経細胞が発生する組織部分を、その発生時期以前に外科的に取得する過程;
(b)前記組織部分を酵素学的に処理して、分散化した神経前駆細胞を得る過程;
(c)分散化した神経前駆細胞を、分散化された状態または再度凝集した状態で培養を行い、前記の発生時期に相当するまで細胞分裂を行わせる過程、ただし凝集状態で培養した場合には、再度分散化を行う、
を含んで成る。
哺乳動物胎児の大脳皮質において、前記の同一の発生時期を有する神経細胞が発生する組織部分には、例えば脳室帯や脳室下帯があり、そこで発生した神経細胞は、発生時期以降には中間帯にも存在しうる(Altman, J., and Bayer, S. A. (1991) “Neocortical Development”(NY, Ravan Press))。
【0013】
更に別の態様として、本発明は、哺乳動物胎児の中枢神経組織に存在している同一の発生時期を有する、分離された神経細胞を提供する。好ましくは、この分離された神経細胞を、上記の本発明の分離方法により取得することができる。
また、本発明は、この分離された神経細胞を、好ましくは分散化された状態で、生理学的に許容される液性担体と共に含有する組成物も提供する。本発明の再生方法において、当該組成物を用いて、同一の発生時期を有する神経細胞を、損傷を有する哺乳動物の中枢神経組織内に、周知の移植方法に従って供給することができる。
本発明のその他の態様を、以下に記載する。
【0014】
【発明の実施形態】
本発明を説明するために、以下の用語を定義する。
「哺乳動物」とは、ヒトを含む全ての哺乳動物を意味し、特にヒトが好ましい。
「損傷部位」とは、中枢神経組織において、外傷、腫瘍形成、遺伝子疾患、または加齢などを原因として神経細胞が変性又は脱落することによって失われた組織部位を意味する。特に、神経細胞の喪失によって神経学的症状を発生する部位が好ましい。
「損傷部位の再生」とは、中枢神経組織内において神経細胞の喪失が生じた部位を、構造上、形態上、又は組織学上少しでも回復させることを意味し、好ましくは、その様な喪失によって生じた神経学的機能の低下を少しでも回復させることを包含する。
【0015】
「神経細胞」とは、神経幹細胞又は神経前駆細胞に由来し、もはや自己増殖することはなく、最終的に特定の種類の神経細胞への分化を完了したもの、及び既に特定の神経細胞への分化経路に委ねられているが、最終的な表現型を獲得するまでには至っていない状態の細胞を包含する(特表2002-515071号公報、図1参照)。
「神経細胞の発生」とは、神経幹細胞、神経前駆細胞または神経限定前駆細胞が細胞分裂した後に、その娘細胞の一方又は両方が、もはや細胞分裂を行う能力を失うと共に、神経細胞に分化する様に拘束された細胞を生じることを意味する。
「神経細胞の発生時期」とは、神経細胞に分化するべく、次には細胞分裂することのない様に最後の細胞分裂を行う時期を意味する。しかし、どの種類の神経細胞になるかは、その時点で決定されている必要はない。神経細胞が最終的にどの様な表現型を有するかは、環境因子によっても影響を受けうる。発生時期は、一般に胎生の日齢又は週齢によって表示されるが、その日数又は週数は厳密なものではなく、胎児脳の発育状況や、受精日の定義に仕方によって変動しうるものであり、一般的には、生物種毎の妊娠期間の長短に応じて、表示した日又は週の前後にも幅がありうる。
「同一の発生時期を有する神経細胞」とは、一般に、発生時期として明記された胎生の日又は週内に発生した、即ち最終分裂した神経細胞を指すが、上記の通り、明記された日又は週の前後に、妊娠期間の長短により半日〜1週間程度の前後幅の範囲で発生した神経細胞も含みうる。
【0016】
更に本発明の理解を促すために、以下の用語を説明する。
「神経幹細胞」とは、自己増殖が可能であり、神経細胞、星状膠細胞(アストロサイト)または希突起膠細胞(オリゴデンドロサイト)に分化することができる子孫(神経前駆細胞)を生じうる多分化性の幹細胞を意味する。
「神経前駆細胞」とは、中枢神経系の神経幹細胞に由来する未分化の細胞を意味し、該細胞は、増殖能が限定されており、適当な条件下で特定の分化経路に委ねられることにより、最終的に神経細胞、星状膠細胞または希突起膠細胞に分化する。該細胞は自己再生することができない。神経細胞になるように拘束された前駆細胞が「神経細胞限定前駆細胞」であり、グリア細胞に成るように拘束された前駆細胞が「グリア細胞限定前駆細胞」である。神経細胞限定前駆細胞は「神経芽細胞」と称されることもある。
この様な神経幹細胞や神経前駆細胞、あるいは神経細胞やグリア細胞の識別は、それぞれに特有な発現マーカーによって行うことができる(Withers, G. S., and Banker, G. (1998) “Characterizing and Studying Neuronal Cultures” in “Culturing Nerve Cells, second ed.”(MA, The MIT Press), 113-151)。例えば、神経幹細胞および神経前駆細胞はネスチン陽性であることが知られている。神経細胞はネスチン陰性、N-CAM陽性であり、グリア細胞はネスチン陰性、N-CAM陰性、A2B5陽性である(特表2002-515071号公報、図1参照)。
【0017】
本発明の中枢神経組織の再生方法では、損傷部位を構造的及び/又は機能的に回復させるために、その損傷部位を構成する神経細胞になる様に拘束されているが、最終的な表現型を獲得していない神経細胞、場合により既に分化を完了した神経細胞を、同一の発生時期を有する神経細胞として、胎児の中枢神経組織内の、その神経細胞が発生する組織部位から、またはその神経細胞が局在する組織部位から、その神経細胞が発生した時期以降に分離しうる。あるいは、前記の同一の発生時期を有する神経細胞を、その発生時期以前に取得した神経前駆細胞から調製することもできる。
【0018】
具体的には、本発明の再生方法において、前記の同一の発生時期を有する神経細胞を分離する過程は、
(a)哺乳動物胎児の中枢神経組織から、前記の同一の発生時期を有する神経細胞が発生及び/又は局在する組織部分を、その発生時期以降に外科的に取得する過程;及び
(b)前記組織部分を酵素学的に処理して、分散化した神経細胞を得る過程
を含んで成り、更に、
(c)前記の分散化した神経細胞の中から、前記の同一の発生時期を有する神経細胞を分離するために、分散化した神経細胞を旋回培養することによって、同一の発生時期を有する神経細胞を凝集させ、その凝集塊を分離した後、再度分散化する過程
を含んでもよい。
【0019】
あるいは、当該分離過程は、
(a)哺乳動物胎児の中枢神経組織から、前記の同一の発生時期を有する神経細胞が発生する組織部分を、その発生時期以前に外科的に取得する過程;
(b)前記組織部分を酵素学的に処理して、分散化した神経前駆細胞を得る過程;
(c)分散化した神経前駆細胞を、分散化された状態または再度凝集した状態で培養を行い、前記の発生時期に相当するまで細胞分裂を行わせる過程、ただし凝集状態で培養した場合には、再度分散化を行う、
を含んで成る。
【0020】
以下により具体的に、胎児の中枢神経組織から、同一の発生時期を有する神経細胞を分離する方法を説明する。
(1)まず、所望の発生時期および発生領域を選択する。
発生時期が同一の神経細胞を、目的とする神経細胞が発生する組織部分から、好ましくは連続した組織部分から取得する。取得する時期は、目的の神経細胞が発生する時期の前でも後でもよいが、一般的には発生時期の直後に取得することが好ましい。
損傷を受けた中枢神経組織の部分を再生する目的で、同一の発生時期を有する神経細胞を分離する場合、同種又は生物学的に近縁種の哺乳動物の胎児の脳組織から、損傷した神経細胞になる様に拘束された神経細胞を取得する。特に同種の胎児を用いることが好ましいが、神経組織の再生に有効である限り、異種の胎児を用いてもよい。
【0021】
発達中の中枢神経組織において、神経細胞が発生することが報告されている中枢神経組織の部分には、脳室帯、脳室下帯の他、例えば海馬、小脳外顆粒層がある。更に、中枢神経組織の特定の部分を構成する神経細胞が、胎児脳の形成中のどの時期に、そしてどの部分から発生するかが、既によく知られている。例えば、Altman, J., and Bayer, S. A. (1991) “Neocortical Development”(NY, Ravan Press); Altman, J., and Bayer, S. A. (1997) “The Cerebellar System”(MA, CRC Press); Nowakowski, R. S., et al. (2002) “Population Dynamics during Cell Proliferation and Neurogenesis in the Developing Murine Neocortex”in “Cortical Development”(Springer-Verlag, Heidelberg), 1-22を参照されたい。
その様な神経細胞を分離するために、好ましくは、その神経細胞が発生する領域を、その神経細胞が発生する時期の直後に外科的に採取しうる。神経細胞の発生時期によっては、生後に採取することもありうる。
【0022】
以下に、マウスの大脳皮質を例にとって、神経細胞の発生時期及び発生部分をより詳しく説明する(図1)(Nowakowski, R. S., et al. (2002)前出)。
マウスの大脳皮質は、前脳胞の吻側部に由来する終脳より形成され、組織学的に6層に分離される。各層は、髄膜側から脳室側に1層〜6層と称され、類似した特性および神経接続パターンを有する細胞を含んで成る。
大脳皮質の発達期には、神経細胞は、脳室側にある脳室帯(ventricular zone, VZ)で発生した後、髄膜側の辺縁帯(marginal zone, MZ)直下まで移動し、皮質板(cortical plate, CP)を形成しつつ、最終分化に向かう。各層を構成する神経細胞の発生は、ほぼ胎生11日から胎生16日目の約6日間に起きる。脳室帯及び/又は脳室下帯(subventricular zone, SVZ)に位置する脳室の多列上皮の中には、胎生神経幹細胞が存在し、そこから神経限定前駆細胞への分化を経て、各層を構成する神経細胞が発生する。
【0023】
大脳皮質の2〜6層は、インサイドアウトのパターンで形成される。すなわち、脳室下帯において胎生10〜11日に発生した神経細胞は、まず将来深層の6層を構成する。つぎに胎生12〜13日に発生した神経細胞は、6層の神経細胞を通過して5層を形成する。胎生14〜15日に発生した神経細胞は、6層と5層を通過して4層を形成する。胎生15〜16日に発生した神経細胞は、6,5及び4層を通過して、辺縁帯(1層)直下に2〜3層を形成することが知られている。従って、例えば胎生16日目には、辺縁帯直下の皮質板(CP)の付近に5層及び6層の神経細胞が存在し、発生した直後の2層及び3層の神経細胞は脳室帯及び脳室下帯の付近に存在し、4層の神経細胞は中間帯(intermediate zone, IMZ)の付近に存在するという一時的に層構造の位置が逆転したパターンが形成されている。
【0024】
この様なことから、例えばマウス大脳皮質の4層が喪失した場合に、その部位を再生するためには、胎生14日前後に脳室帯及び/又は脳室下帯から発生した神経細胞を単離することが好ましい。同様にして、大脳皮質5〜6層の神経細胞を再生するためには、胎生11〜13日に発生した神経細胞を用いることができ、大脳皮質2〜3層の神経細胞を回復するためには、胎生15〜16日目に発生した神経細胞を用いることができる。
例えば、成人の大脳皮質の2〜3層、4層、又は5〜6層が損傷を受けている場合に、ヒト胎児を利用する場合、ヒトでは妊娠6週から18週の間に大脳皮質の神経細胞が誕生すると言われており、それぞれその前半(2〜3層)、中間時点から後半にかけて(4層)、最後1/4期(5〜6層)に誕生する神経細胞を用いうる。
【0025】
(2)次に、中枢神経組織内の目的の組織部分を外科的に取得する。
発生時期が同一の神経細胞を単離するために、選択した組織部分を無菌条件下に外科的に取得する。
当該組織の取得時期は、目的の神経細胞の発生時期の前でも、又は後でもよいが、一般的には発生時期の直後が好ましい。発生時期と取得時期との相異により、後の処置方法が異なり、必要な取得部位も変動しうる。
組織の取得時期が、目的の神経細胞の発生時期の後である場合、目的とする同一の発生時期を有する神経細胞が局在する組織部分を取得する必要がある。例えばマウス胎児の大脳皮質において、胎生14日に発生した神経細胞を胎生16日に取得する場合、胎生14日に発生した神経細胞が存在する脳室帯から中間帯までの組織を取得しうる。発生時期の直後に、組織を取得する場合には、その神経細胞が発生する組織部分を取得すればよい。
【0026】
発生時期が同一の神経細胞が、ある取得時期にどこに局在するかを調べる方法が知られている。例えば、目的神経細胞の発生時期に、妊娠動物の腹腔内に適量のブロモデオキシウリジン(BrDU)を注入して、その時期に分裂している胎児の脳細胞をラベルすることができる。その後、所望の取得時期に胎児の脳組織を取り出し、凍結切片を作成し、BrDUにより標識された神経細胞を、免疫組織学的な染色により同定することができる(Takahashi, T., et al. (1995) "The cell cycle of the pseudostratified ventricular epithelium of the embryonic murine cerebral wall" J Neurosci 15, 6046-6057; Takahashi, et al. (1996) "The leaving or Q fraction of the murine cerebral proliferative epithelium: a general model of neocortical neuronogenesis" J Neurosci 16, 6183-6196; Takahashi, T., et al. (1999) "Sequence of neuron origin and neocortical laminar fate: relation to cell cycle of origin in the developing murine cerebral wall" J Neurosci 19, 10357-10371)。
他方、目的神経細胞の発生時期以前に、中枢神経組織を取得する場合には、目的の神経細胞が発生する組織部分を取得する必要がある。
【0027】
胎生の哺乳動物の脳から、目的の中枢神経組織の部分を取得するためには、受精日が確定している妊娠した哺乳動物を準備する。
ヒト胎児を用いる場合には、特別の注意が必要となる。この場合、胎児組織は、合法的な妊娠中絶後に回収される。妊娠中絶後の胎児提供女性に対しては、種々の疾患性ウイルスの感染、その他病原体の感染を検査するべきである。胎児齢は超音波により確認することもできる。胎児の出外後、その胎児より大脳を外科的手法により取得する。
胎生の哺乳動物から脳を取り出した後、場合によっては実体顕微鏡下に、目的の組織部分を無菌条件下に切開する。この様な切開は、クリーンルームやクリーンベンチにおいて行うことが好ましい。以降の処置も無菌条件下で行うことが好ましい。
【0028】
(3)取得した組織を酵素学的に処理して、分散化された神経細胞又は神経前駆細胞を調製する。
取得した中枢神経組織から、分散化された神経細胞又は神経前駆細胞を調製するために、PBS等の生理食塩水などによりその組織を数回洗浄して、目的組織以外の混入物、例えば髄膜片、血管片、血球細胞等を取り除く。次に、メス等により細かく切った後、試験管に入れ、それを低速遠心にかけ、上清を取り除く。前記組織片から単一細胞を分散化するために、生理学的に許容されるpH、例えば約6〜8、好ましくは約7.2〜7.6に緩衝された等張の塩溶液、例えばPBSやハンクスのバランス塩溶液中で、例えば約20〜40℃、好ましくは約25〜39℃で、結合組織を分解するために十分な時間、例えば約1〜30分間、好ましくは1〜10分間で、及びそのために十分な濃度、例えば約0.0001〜1% w/v、好ましくは約0.001%〜0.5% w/vで酵素処理を行う。好ましくは、取得する細胞に損傷を与えない様になるべく短時間及び低濃度で酵素処理を行う。
【0029】
この酵素は、既に種々の細胞の分散化に用いうることが報告されている、商業的に入手可能なプロテアーゼを含み、例えばトリプシン、パパイン、コラゲナーゼなどである。用いる酵素の種類、酵素処理の時間、温度、イオン環境などの反応条件は、対象とする中枢神経組織の部位及び取得時期に応じて、当業者が適宜決定しうる。この様な酵素処理方法の例が、例えば、仲嶋一範、御子柴克彦、宮田卓樹、小川正晴 (1995)「神経上皮の培養」脳・神経研究プロトコール-細胞培養から機能解析へ-(実験医学別冊バイオマニュアルUPシリーズ、御子柴克彦・清水孝雄 編)、羊土社、49-61頁;Higgins, D., and Banker, G.(1998) “Primary Dissociated Cell Cultures” in “Culturing Nerve Cells, second ed.”(MA, The MIT Press), 37-78) に記載されている。
【0030】
一般的には、Ca2+依存的な接着機構を維持するために、約1〜20mMの、好ましくは約10mMのCa2+存在下に、上記プロテアーゼのいずれかにより、例えば約0.001%〜0.5% w/vのトリプシンにより、処理することが好ましい。神経細胞間の接着機構には、Ca2+依存的なものと非依存的なものとがあり、Ca2+依存的な接着分子は、Ca2+非存在下でトリプシン処理に高感受性であることが知られている(Matsunami, H., and Takeichi, M. (1995) “Fetal brain subdivisions defined by R- and E-cadherin expressions: evidence for the role of cadherin activity in region-specific, cell-cell adhesion” Dev Biol 172, 466-478)。従って、特にCa2+依存的な接着機構以外の接着機構を有している神経細胞を単離する場合には、その他の神経細胞が有するCa2+依存的な接着機構を破壊するために、Ca2+キレーターであるEDTA存在下、例えば1〜10mM、好ましくは約1mMのEDTAの存在下に、上記プロテアーゼのいずれかにより処理してもよい。この場合、好ましくは低濃度(例えば約0.0005%)のトリプシンを用いる。
【0031】
酵素処理後、酵素活性を停止するために、種々のプロテアーゼインヒビターを加えるか、あるいは加えずに、低速遠心により上清を除き、PBS等により数回洗浄する。次に、適量の、所望の緩衝塩溶液、例えばPBSや神経細胞用の培地を加えた後、神経細胞を単一になるまで分散化するために、ガラスピペットなどにより吸引吐出を繰り返す。分散化が不十分な場合、分散化処理した細胞懸濁液をナイロンメッシュあるいは40μmの穴のあいた膜を通過させ、メッシュを通過した単一細胞を回収する。
最終的な細胞懸濁用の溶媒は、生理学的に許容される緩衝生理食塩水、例えばPBSなどの他に、神経細胞の培養に適する培地でもよい。この様な培地を後述する。この状態で、トリパンブルー染色等により生細胞を顕微鏡下に計数して、細胞濃度を決定する。
【0032】
(4)発生時期が同一の神経細胞を分離する。
目的の発生時期以降に、中枢神経組織の部分から分散化された細胞を調製した場合、上記の細胞懸濁液には、取得時期付近に発生した神経細胞の他に、その取得時期までに既に発生した神経細胞、既に最終分化を終えた神経細胞、または神経細胞以外の細胞、例えばグリア細胞などを含みうる。従って、中枢神経組織の再生療法に用いる場合には、この様な細胞懸濁液を供給することも可能であるが、目的とする発生時期が同一の神経細胞を更に分離して用いることが好ましい。
【0033】
目的の神経細胞の発生時期以降に取得した組織から、分散化された神経細胞を分離した場合、下記の様にして、更に目的とする発生時期が同一の神経細胞を分離することができる。
本発明者は、発生時期が同一の神経細胞は、その発生時期依存的に選択的に接着又は凝集することを見出した。従って、適当な培地中で、分散化した神経細胞をCO2インキュベーター内で、一定時間旋回培養することにより、発生時期が同一な神経細胞を選択的に凝集させうる。非選択的な凝集が強くなる以前の適当な時間で、凝集塊を、例えばそのサイズによって、分離することによって、発生時期が同一の神経細胞を濃縮することができる。最後に、分離した凝集塊を、再度、酵素学的に、または機械的に、例えばピッペッティングにより分散化することができる。
【0034】
神経細胞の培養に適する一般的な培地には、例えばDMEM/F12, HamF10, MEM (minimum essential medium), RPMI-1640, DMEMなどがあり、これらを商業的に入手することができる。この培地は、神経細胞の培養に必要なエネルギー源(例えばグルコース)、必須アミノ酸、ビタミン類、微量元素、または緩衝剤などを含有しうる。更に、適宜、増殖因子(例えばEGF, FGF等)や血清(例えばウシ胎児血清)を添加しうる。この様な培地の条件を、当業者は適宜決定することができる。例えば特表平11-514523号公報を参照されたい。
【0035】
神経細胞を培養するために適する温度、pH、O2/CO2濃度、細胞密度などは、文献に記載された周知の培養方法または慣習的な培養方法に従う。一般的には、当該神経細胞を取得した哺乳動物の脳内環境に近似した条件を用いることが好ましい。
神経細胞同士の接着を促すために、培養容器は、ラミニンやコラーゲンなどの細胞外マトリクス成分でコーティングするよりも、単にシリコーンコーティングするに留めることが好ましい。この様な条件下で、例えば約1〜200 rpm、好ましくは5〜100 rpmで旋回しながら、約30分間〜7日間、好ましくは約1時間〜3日間、より好ましくは約1時間〜3時間培養しうる(Ogawa, M., et al. (1995) “The reeler gene-associated antigen on Cajal-Retzius neurons is a crucial
molecule for laminar organization of cortical neurons” Neuron 14, 899-912; Takeichi, M. (1977) “Functional correlation between cell adhesive properties and some cell surface proteins” J Cell Biol 75, 464-474)。
【0036】
例えば、実施例1に、マウス胎生16日目の大脳皮質の外側部から脳室帯由来の細胞と中間帯由来の細胞と単離し、それらを3日間5rpmで混合培養した場合に、細胞の凝集塊が形成されること、そして凝集塊の中心に中間帯由来の細胞が集積し、その周辺部に脳室帯由来の細胞が集積することを示す。また、実施例4に、上記の各細胞を単独で1時間80rpm培養した場合に、中間帯由来の細胞がより大きな凝集塊を形成することを示す。さらに実施例5に、胎生14日目に発生した神経細胞が、胎生13日に発生した神経細胞及び胎生15.5日に発生した神経細胞と分離して凝集することを示す。
【0037】
最終的に、同一の発生時期を有する神経細胞を多量に含んで成る凝集塊を、例えば密度勾配遠心法や低速遠心などを用いて、その密度やサイズに応じて分別収集しうる。上述した通り、BrDUによる標識方法を用いて、同一の発生時期を有する神経細胞を多量に含有する凝集塊を、BrDU陽性として同定することもできる。
【0038】
(5)発生時期が同一の神経細胞を調製するための別の方法
目的の神経細胞の発生時期以前に、中枢神経組織の部分から分散化された細胞を調製した場合、上記の細胞懸濁液には、目的とする発生時期が同一の神経細胞は当然含まれていない。しかし、その様な神経細胞を生じる神経前駆細胞が含まれている場合があり、その様な場合には、その神経前駆細胞を更にインビトロで培養して、目的とする発生時期が同一の神経細胞を取得することも可能である。
【0039】
Nowakowski, R. S., et al. (2002)(前出)によると、マウス胎児の大脳皮質の形成において、将来2〜6層を形成する神経細胞は、マウス胎生11〜16日の6日間に発生すること、更にこの期間に、神経前駆細胞が約11回細胞分裂をし、各分裂後に特定の神経細胞になる様に拘束された神経細胞が生じることが報告されている。その際に、細胞分裂が7回までに発生した神経細胞は、最終的に5及び6層の神経細胞に分化し、細胞分裂が8又は9回の時に発生した神経細胞は、最終的に4層の神経細胞に分化し、細胞分裂が9〜11回の時に発生した神経細胞は、最終的に2及び3層の神経細胞に分化することが分かっている。すなわち、神経前駆細胞の細胞分裂はランダムに起きるのではなく、時期的に同調して起き、このことは、分裂回数と発生時期とが対応していることを意味する。
【0040】
従って、目的とする発生時期が同一の神経細胞を取得するために、上記の通りに分散化した神経前駆細胞を、分散化された状態または再度凝集した状態で培養を行い、前記の発生時期に相当するまで細胞分裂を行わせることができる。
例えばマウスにおいて胎生14日に発生する神経細胞を所望する場合、例えば胎生11日にマウス胎児の大脳皮質の脳室帯から神経前駆細胞を単離した後、インビトロで培養し、所望の回数の細胞分裂を経た後、例えば8〜9回細胞分裂して生じた神経細胞を、胎生14日に発生した神経細胞として用いることができる。
【0041】
分散化された神経前駆細胞を培養する場合、好ましくは、分離した神経前駆細胞の細胞分裂能が失われないで、かつ発生した神経細胞が生存できる培地中で、分散状態のまま、又は凝集させながら培養を行う。
この様な神経前駆細胞及び神経細胞の培養に適する培地、神経前駆細胞及び神経細胞を培養するためのその他の諸条件は上述した通りであり、具体的には当業者により決定される。
細胞分裂の回数は、タイムラプス顕微鏡を用いて実際に単離した神経細胞の細胞分裂回数を測定し、単離時の分裂回数と培養時の分裂回数を足すことにより算出することができる。
【0042】
この様にして分離した同一の発生時期を有する神経細胞を、損傷した中枢神経組織を再生するために移植療法において用いることができる。神経細胞を脳内に供給する方法は周知であり、例えばMcConnell, S. K. (1988) “Fates of visual cortical neurons in the ferret after isochronic and heterochronic transplantation” J Neurosci 8, 945-974; Freed, C. R., et al. (2001) “Transplantation of embryonic dopamine neurons for severe Parkinson's disease” N Engl J Med 344, 710-719;特表平11-506930号公報に記載された方法を用いることができる。
【0043】
本発明の再生方法により治療されうる中枢神経系疾患又は障害は、外傷的障害(例えば、物理的障害又は手術、及び圧迫障害によるもの);虚血性疾患(例えば、脳または脊髄梗塞、及び虚血);悪性疾患;感染性疾患(例えば膿瘍によるもの、又は、ヒト免疫不全ウイルス、ライム病、結核、梅毒、又はヘルペス感染に伴うもの);神経変性疾患(例えば、パーキンソン病、アルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、筋萎縮性側索硬化症);栄養障害に伴う疾患(例えばビタミンB12欠乏症、葉酸欠乏症、ウェルニッケ脳症、タバコ-アルコール性弱視、マーキアファーバ・ピグナミ病、アルコール性痴呆症);全身疾患に伴う神経障害(例えば、糖尿病、紅斑性狼瘡、癌、膠原病に伴うもの);毒性物質による障害(例えばアルコール、鉛、神経毒素によるもの);脱髄性疾患(例えば、多発性硬化症、ヒト免疫不全ウイルスに伴う神経障害、種々の病因による横断性脊髄障害、進行性多巣性白質脳症、中枢脳橋ミエリン融解)を包含する。
【0044】
中枢神経組織の特定の部位における神経細胞の脱落や変性による神経機能不全の回復を図るために、上記の通り分離された神経細胞を脳内に供給する場合、好ましくは当該神経細胞を、生理学的に許容される液性担体中に分散して懸濁する。この様な担体は、用いられる投与量及び濃度で、哺乳動物に対して非毒性のものであり、一般的には、生理学的に許容されるpH緩衝された、等張の塩水溶液、例えばPBSであり、又は上記に示した任意の培地であってもよい。
【0045】
所望により、この様な神経細胞を含有する組成物には、損傷した神経組織の回復に有効な医薬活性成分、例えば神経増殖因子、脳代謝改善薬、抗炎症剤、免疫抑制剤、又は抗生物質などを含有してもよい(特表2000-503983号公報参照)。
この様な組成物を、凍結品として保存することも可能である。その場合には、凍結から細胞を保護するための薬剤、例えばジメチルスルホキシド(DMSO)等を添加しておく。
【0046】
本発明の神経細胞の脳内移植は、慣習的な方法に従って行うことができる。一般的には、立体定位法などにより、細胞を供給する脳内の位置を決定した後、移植の対象となる哺乳動物の頭蓋骨に穴を開けて、そこから所定の位置まで注射針を配置させ、調製した発生時期が同一の神経細胞を含有する細胞懸濁液を治療上有効な量で注入する。あるいは、脳室内に注入してもよい(McConnell, S. K. (1988) “Fates of visual cortical neurons in the ferret after isochronic and heterochronic transplantation” J Neurosci 8, 945-974)。
供給する細胞懸濁液の総量は、移植部位、治療目的、および懸濁液中の細胞濃度に依る。脳内に供給する神経細胞懸濁液の細胞濃度は一般に約102〜106細胞/μlである。1回に脳内に供給しうる細胞懸濁液の量は、移植を行う被験者の脳のサイズに依存する。「治療上有効な量」とは、中枢神経組織の喪失に伴って観察される神経学的症状が、少しでも緩和若しくは軽減されるために必要な量を言う。この様な量は、最終的には治療を担当する医師によって決定され、その神経学的の治療効果が医学的な定法に従って検定される。
【0047】
この様にして脳内に供給された本発明の神経細胞は、その発生時期に特有の接着凝集機構を介して、その神経細胞と同一の発生時期を有する神経細胞が存在する部位、即ちその神経細胞が天然において局在しうる部位に、効率よく定着することができる。従って、本発明の再生方法を用いることにより、神経細胞の喪失を伴う中枢神経系疾患を効率よく治療することが可能となる。
上記実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を限定する趣旨ではない。本発明は、その趣旨を逸脱しない限り、種々の形態で実施することができる。
【0048】
【実施例】
実施例1
胎生16日にマウス大脳皮質の脳室帯(VZ)および中間帯(IMZ)から神経細胞を慣習的な方法により調製した。詳しくは、妊娠16日目のICR系マウス(日本エスエルシー)からマウス胎児(胎生16日)を取り出し、続いて大脳を取り出した。その前頭部1/3及び後頭部1/3を切除し、髄膜を取り除いた後、前後軸に沿って大脳皮質の外側部を切り出した。その側頭皮質から脳室帯および中間帯を切り出し、0.01%トリプシンを含有するCa及びMgフリーのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で37℃で10分間インキュベーションすることによって、単一細胞に分散化した。その分散化細胞を、10%ウシ胎児血清(FCS)を含有するDMEM/F12培地中に、3.0 X 105細胞/mlの密度で懸濁し、CO2インキュベータ(5%CO2)中で旋回培養(5 rpm)した。一定の日数経過後に4%パラホルムアルデヒドにより固定した後、凍結切片を調製し、組織学的な検査を行った。
培養3日目に固定を行い、形成された細胞の凝集塊を観察した。そのために、凝集塊をクレシルバイオレットによりニッスル染色した。そのニッスル染色像を図2Aに示す。この染色像から、強く染色される細胞が凝集塊の外側表面に多く存在することが分かった。
【0049】
更に、この凝集塊を、抗βIIIチュブリン(TuJ1)抗体(Berkeley Antibody Company, CA, USA)(未成熟及び成熟神経細胞マーカー)、抗MAP2抗体(ICN, Ohio, USA)(比較的に若い成熟神経細胞のマーカー)、抗カルビンディン抗体(Swant, Switzerland)(基底核原基から脳表面に平行に移動する神経細胞のマーカー)、及び抗GFAP(glial fibrillary acidic protein)抗体(DAKO, CA, USA)(グリア細胞(アストロサイト)マーカー)により免疫染色した。これらの像を、図1B、C、D及びEに示す。上記免疫染色では、Cy5標識またはFITC標識した二次抗体を用いた。細胞の蛍光画像を共焦点顕微鏡(Zeiss LSM510, Germany)にて観察した。
これらの像の比較から、この凝集塊は、主に神経細胞からなり、グリア細胞を殆ど含まないこと、比較的に若い神経細胞が細胞塊の表層に位置することが分かった。
【0050】
実施例2
前記の神経細胞の凝集塊の性質を解析するために、脳室帯及び中間帯から細胞を分散化した直後に、細胞をラベルする蛍光プローブであるセルトラッカーグリーン(CMFDA)(Molecular Probes, OR, USA)により標識を行い、その後実施例1に示した通り48, 72, 96時間培養し、そして形成された凝集塊内の蛍光標識を蛍光顕微鏡で観察した。その結果、培養時間の経過と共に弱く蛍光標識された細胞が出現し、凝集塊の表層付近へと配置された(図3A)。このことは、凝集塊の表層付近において細胞分裂が盛んであり、細胞分裂の結果、上記標識の濃度が希釈されたためであると考えられる。このことを確かめるために、80時間培養した後、分裂細胞を標識する5'-ブロモ-2'-デオキシウリジン(BrDu)(3μg/ml)で16時間標識し、そして96時間の時点でその凝集塊を固定した。それを抗BrDU抗体(Becton Dickinson,
CA, USA)により免疫染色したところ、やはりBrDU陽性細胞が凝集塊の表層に局在することが分かった(図3B)。
【0051】
上記の通り、実施例1及び2の実験から、胎生16日の脳室帯及び中間帯に由来する細胞を長期間培養すると、細胞凝集塊が形成され、その凝集塊では、分裂能の強い、あるいは分裂中の細胞が周辺部に、そして分裂能の弱い、あるいは分裂を終えた細胞が中心部に凝集することが分かった。一般に、中間帯の細胞の多くは、脳室帯で最終分裂を終えた後に移動中である細胞であることが知られているので、上記の凝集塊において、培養開始時に中間帯に存在した細胞が凝集塊の中心部に、脳室帯由来の細胞が凝集塊の周辺部に、それぞれ凝集している可能性がある。
【0052】
実施例3
胎生16日の脳室帯に由来する細胞及び中間帯に由来する細胞が、各々凝集する性質を有することを証明するために、胎生16日の大脳皮質から脳室帯由来の神経細胞と中間帯由来の神経細胞とを別々に分離した後、それらを別の蛍光標識物(セルトラッカーグリーン(CMFDA)及びセルトラッカーオレンジ(CMTMR)(Molecular Probes, OR, USA))により標識した。 それらを混合して、実施例1に記載の通りに3日間旋回培養を行い、その凝集塊における各標識の分布を調べた(図4A及びB)。図4Aは脳室帯由来の細胞の分布を示し、図4Bは中間帯由来の細胞の分布を示す。各細胞の分布を統計学的に検証するために、凝集塊を図4Dに示す5つの領域に分け、領域1及び2における、脳室帯由来の細胞に対する中間帯由来の細胞の比率(IMZ/VZ)(%)と、領域4及び5における当該比率とを、領域3における当該比率に対して標準化した後に、図4Eに示す。その結果、領域1及び2における当該比率の平均値は68.9%であり、領域4及び5の平均値は94.4%であった。このことから、脳室帯由来の細胞は凝集塊の周辺により多く集まり、一方、中間帯由来の神経細胞は凝集塊の中心により多く集まることが確認された。
【0053】
実施例4
胎生16日の脳室帯(VZ)由来の神経細胞、中間帯(IMZ)由来の神経細胞、及び皮質板(CP)由来の細胞を別々に調製し、0.5% BSAを含有するDMEM/F12培地中に懸濁した。これらの細胞を、SIGMACOTEによりコーティングされた24ウエルのポリスチレンプレート上で、7.5 x 105細胞/ウエルの密度で、80 rpmで1時間旋回培養した。形成された凝集塊を、CELL-TAK(BD Bioscience, MA, USA)によりコーティングされた培養用スライド(Falcon, NJ, USA)に移し、1%グルタルアルデヒドにより2分間固定した。これらの凝集塊を蛍光顕微鏡(FV300, Olympus, Japan)とCCDカメラ(Hamamatsu C5810, Japan)を用いて観察した。
図5Aに、脳室帯(VZ)、中間帯(IMZ)及び皮質板(CP)に由来する細胞から成る凝集塊の代表的な像を示す。各凝集塊の大きさの分布を分析するために、図5Bに示す通り、観察した全ての凝集塊を3段階の大きさに分類した。その結果、中間帯に由来する細胞の凝集塊は、脳室帯及び皮質板に由来する細胞の凝集塊に比べて大きくなる傾向があることが確認された。このことは、胎生16日の中間帯に存在する、最終分裂後に移動中の神経細胞は、凝集特性がより強いこと、即ち特有の接着機構を有することを意味している。
【0054】
次に、この中間帯に由来する細胞の接着機構の性質が、細胞外カルシウムイオンに依存的なものであるか、非依存的なものであるかを検討した。一般に、細胞接着機構は、Ca2+依存的なものと非依存的なものに分類されること、そしてCa2+依存的な接着分子は、Ca2+非存在下でトリプシン処理に高感受性であることが知られている。従って、脳組織から細胞を分散化する際に、Ca2+依存的な細胞接着機構を破壊する目的で、EDTAの存在下(即ちCa2+非存在下)で低濃度(0.0005%)のトリプシンにより処理(LTE処理)し、あるいはCa2+依存的な細胞接着機構を維持する目的で、10mMのCa2+存在下にトリプシン(0.01%)により処理(TC処理)し、その後1時間旋回培養を行った(図5C)。その結果、図に示した通り、胎生16日の中間帯由来の細胞は、LTE処理により凝集能が喪失すること、他方TC処理しても細胞の凝集塊が形成されることが判明し、このことは、中間帯由来の神経細胞の接着能はCa2+依存的な機構を介していることを意味している。
【0055】
実施例5
実施例1〜4の実験から、胎生16日の中間帯由来の神経細胞が選択的に凝集することが示された。そこで次に、この選択的凝集が、一般的に中間帯に存在する神経細胞に特有の現象なのか、それとも胎生16日に中間帯に存在する、胎生14日に発生した神経細胞に特有の現象なのか、を検証した。
初めに、胎生13日(図6C)、14日(図6A及びD)及び15.5日(図6B)に妊娠マウスの腹腔内にBrDUを注入することにより、その時期に分裂した細胞を標識し、その後胎生14.5日(図6C及びD)及び胎生16日(図6A及びB)にそれらの脳を固定し、凍結切片を調製した。抗BrDU抗体により免疫染色した像(緑像)を図6A、B、C及びDに示す。同時にヨウ化プロピジウムによるDNAの染色も行った(紫像)。
図6Aから、胎生14日に分裂した細胞の大部分は胎生16日に中間帯に存在すること;図6Bから、胎生15.5日に分裂した細胞の大部分は胎生16日には脳室帯に存在すること;図6Cから、胎生13日に分裂した細胞の大部分は胎生14.5日に中間帯に存在すること;そして図6Dから、胎生14日に分裂した細胞の大部分は胎生14.5日に脳室帯に存在することが示された。
【0056】
次に、上記と同様にBrDUにより標識した後、胎生14.5日(図6G及びH)及び胎生16日(図6E及びF)にそれらの脳から脳室帯及び中間帯を取り出し、分散化した後、実施例1と同様に3日間旋回培養を行った。この結果形成された凝集塊から凍結切片を調製し、抗BrDU抗体により免疫染色した。図6E、F、G及びHに、各ケースの代表的な免疫染色像を示す。BrDU陽性細胞(BrDU標識時に最終分裂した細胞)の分布を統計学的に検証するために、凝集塊を図6Iに示す5つの領域に分け、領域1及び2における分布数、並に領域4及び5における分布数を、領域3における分布数に対して標準化して、図6Jに示す。
この結果、図6E及びHに示す通り、胎生14日に分裂した細胞は、胎生16日目から培養しても、胎生14.5日から培養しても凝集塊の中心部に凝集することが分かった。胎生14日に分裂した細胞は、図6A及びDに示す通り、胎生16日には中間帯にあるが、胎生14.5日には脳室帯に留まっている。これらのことから、胎生14日に分裂した細胞は、分散化処理した時に存在する領域に関わらず、相互に接着する性質を有していることが判明した。
【0057】
実施例6
マウス胎児脳において、胎生13日、14日及び15.5日に分裂した細胞が、出産後14日に大脳皮質のどの層を構成するかを調べた。そのために、上記の各胎生日に、BrDUを、4時間の間隔で2回、妊娠マウスの腹腔内に注射して、その注射時期に分裂中の胎児脳の細胞を標織した。生後14日(P14)にその脳を固定し、凍結切片を調製し、そして抗BrDU抗体(緑)及びヨウ化プロピジウム(紫)により組織染色を行った。この結果を図7に示す。既に知られている通り、胎生15.5日に分裂した細胞は、主に大脳皮質の2〜3層を構成する神経細胞に分化すること、胎生14日に分裂した細胞は、主に4層を構成する神経細胞に分化すること、胎生13日に分裂した細胞は、主に5〜6層を構成する神経細胞に分化することが確認された。
【0058】
以上、実施例1〜6から、マウス大脳皮質の形成過程において、胎生14日に発生した細胞は、胎生14.5日には脳室帯に位置し、そして胎生16日には中間帯に位置するが、その局在領域や採取時期に関わらず、隣接する胎生13日や胎生15.5日に発生した細胞とは異なる接着機構を有することを示した。更に、この胎生14日に発生した細胞は、生後14日には大脳皮質の4層を構成する神経細胞に成ることも確認した。
【0059】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、マウス大脳皮質の層形成過程を模式的に示す。図中の番号1〜6は、大脳皮質の1〜6層を構成する神経細胞を意味する。
【図2】図2は、マウス胎生16日の脳室帯及び中間帯に由来する細胞の混合培養により形成された凝集塊の組織学的性質を示す。(A)凝集塊のニッスル染色像、及びその部分拡大像;(B)抗βIIIチュブリン(TuJ1)抗体による免疫染色像;(C)抗MAP2抗体による免疫染色像;(D)抗カルビンディン抗体による免疫染色像;(E)抗GFAP抗体による免疫染色像。
【図3】図3は、マウス胎生16日の脳室帯及び中間帯に由来する細胞により形成された凝集塊における細胞の分離状態を示す。(A)細胞標識用の蛍光色素セルトラッカー(CellTracker)により標識された細胞像の経時変化;(B)ブロモデオキシンウリジン(BrDU)により標識された細胞像、セルトラッカーにより標識された細胞像、及び前記の2つの像を重ね合わせた像。
【図4】図4は、マウス胎生16日の脳室帯及び中間帯に由来する各細胞を、別個に標識した後に混合培養して形成された凝集塊の像を示す。(A)脳室帯に由来する細胞の分布(VZ);(B)中間帯に由来する細胞の分布(IMZ);(C)A像とB像の重ね合わせ像;(D)凝集塊の領域の区分;(E)各領域における中間帯細胞/脳室帯細胞の比率。
【図5】図5Aは、マウス胎生16日の脳室帯(VZ)、中間帯(IMZ)及び皮質板(CP)に由来する各細胞の凝集塊を示す。図5Bは、各凝集塊のサイズの分布をピクセル単位で示す。図5Cは、中間帯に由来する細胞の凝集能のCa依存性を示す。TCは、Ca存在下にトリプシン処理した場合を示し、LTEは、Ca非存在下にトリプシン処理した場合を示す。
【図6】図6は、胎生13日(E13)、14日(E14)及び15.5日(E15.5)に発生した細胞の脳組織内での分布及び凝集塊内での分布を示す。(A)〜(D)では、各日数でBrDU標識した後、胎生14.5日(E14.5)又は16日(E16)に脳組織を固定した。(E)〜(H)では、上記の通り各日数でBrDU標識した後、胎生14.5日又は16日で脳室帯及び中間帯を取り出し、3日間旋回培養し、凝集塊を形成させた。(I)は上記凝集塊の領域の区分を示し、(J)は、各領域におけるBrDU陽性細胞の凝集塊内の分布をグラフ化したものである。
【図7】図7は、胎生13日(E13)、14日(E14)及び15.5日(E15.5)に発生した細胞の、出産後14日における大脳皮質内の分布を示す。図中、I〜VIは大脳皮質の層を示す。

Claims (6)

  1. ヒトを除く哺乳動物胎児の中枢神経組織から将来大脳皮質の2〜6層のいずれかの層を構成する神経細胞を発生時期依存的に単離する方法であって、
    ヒトを除く哺乳動物胎児の中枢神経組織から、目的の発生時期において、神経細胞が発生及び/又は局在する組織部分を取得すること、
    前記組織部分を酵素学的に処理して、分散化した神経細胞を得ること、および
    前記分散化した神経細胞を旋回培養して、凝集塊を形成させた後、該凝集させた神経細胞を分離することを含み、
    前記目的の発生時期によって、前記分離された神経細胞が前記大脳皮質の2〜6層のいずれの層を構成する神経細胞を含むかが決定される、
    方法。
  2. 損傷した中枢神経組織の再生治療に用いる神経細胞を製造するための、請求項1に記載の方法。
  3. 前記神経細胞の発生時期が、前記損傷した中枢神経組織の特定の部位と対応している、請求項2に記載の方法。
  4. 前記損傷した中枢神経組織の特定の部位が、大脳皮質である、請求項3に記載の方法。
  5. 前記神経細胞が発生及び/又は局在する組織部分が、脳室帯、脳室下帯、および/または中間帯である、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. さらに前記旋回培養中のCa2+濃度を調節することによって、得られる神経細胞を調節することを含む、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
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