JP4789623B2 - スクロール圧縮機 - Google Patents
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Description
また、固定スクロールの渦巻きラップ及び旋回スクロールの渦巻きラップが渦巻きラップの一部あるいは全体にわたり渦巻きの中心部から外側に向かって、渦巻きラップの厚みを変化させているものもある(例えば、特許文献1参照)。
また、非対称ラップ形状で構成した旋回スクロールの渦巻き溝の外から1巻き入った位置を1段高くして階段溝を設けた内部に鏡板面より円筒中心が階段溝内に入り込み、また溝段差壁面と渦巻き形状の中心から設定される領域に軸心を有する旋回軸受を設けるとともに、前記階段溝と噛み合って圧縮室が形成できるように固定スクロールの固定ラップも階段ラップで構成しているものもある(例えば、特許文献2参照)。
図6は、特許文献1に記載された従来のスクロール圧縮機を示すものである。図6に示すように、一方のスクロール部材を他方のスクロール部材に旋回運動させることにより流体を膨張あるいは圧縮を行うスクロール流体機械において、例えば、スクロール部材22の渦巻体22bの形状が一部あるいは全体にわたり中心部から外側に向かって歯厚が大きくなる、あるいは小さくなるように構成されている。
すなわち、吸入圧力と吐出圧力の比が大きな条件で運転される冷凍用の圧縮機では、組み込み容積比を大きくしなければならないが、この組み込み容積比を大きくするためには、伸開角(巻き数)を大きくしなければならず、結果として外形が大きくなる。また、外形寸法や渦巻きラップの高さを一定として伸開角(巻き数)を大きくした場合には、渦巻きラップの厚さが小さくなり、強度が低下する、あるいは行程容積が減少するなどの制約を受けるという課題を有していた。
組み込み圧縮比や行程容積、渦巻きラップの厚さなどに対して設計自由度を増すことを目的とした公知例として、前記特許文献1に記載されたものがある。この公知例では、固定スクロールの渦巻きラップ及び旋回スクロールの渦巻きラップが渦巻きラップの一部あるいは全体にわたり、渦巻きの中心部から外側に向かって、渦巻きラップの厚みを変化させているので、外形を小さくしながらも組み込み容積比を確保し、中心部の強度を確保する構成が説明されている。
一方、固定スクロールの渦巻きラップを、旋回スクロールの渦巻きラップの巻き終わり近くまで伸開させた、非対称ラップ形状にすれば、行程容積を大きくとることができるので渦巻きラップ高さ、あるいは外形寸法を小さくできる。また、旋回スクロールの渦巻きラップの外壁側に形成される圧縮室が、作動流体を閉じ込める吸入過程において受熱損失と圧力損失を最小にすることができるので、スクロール圧縮機をコンパクトに形成するとともに、作動流体の吸入過程における損失を小さくすることができる。
しかしながら、旋回スクロールの渦巻きラップの外壁側に形成される圧縮室内の作動流体と、旋回スクロールの渦巻きラップの内壁側に形成される圧縮室内の作動流体とは、圧力差をもったまま圧縮されることになるので、圧縮途中で圧縮室間の漏れ損失が発生するといった問題を有していた。
また、前記特許文献1の中には、非対称ラップ形状に関して、圧縮途中の漏れ損失低減について着目した具体的な説明はされていない。
一方、非対称ラップ形状に関して、圧縮途中の漏れ損失低減について着目し、コンパクトで高効率なスクロール圧縮機を提供することを目的とした公知例として、前記特許文献2に記載されたものがある。この公知例では、ラップ形状を階段状にすることによって、非対称ラップ形状でありながら、圧縮途中の漏れ損失低減を図る構成となっている。
しかしながら、ラップ形状を階段状に構成するため、階段部のラップ同士のシール性を確保することが難しく、また、生産工数が増してコストが増大するといった課題を有していた。
第2の本発明は、第1の発明において、前記基礎円半径aの中心位置と前記基礎円半径bの中心位置を一致させたことを特徴とする。
第3の本発明は、第1の発明において、前記基礎円半径aの中心位置と前記基礎円半径bの中心位置との間に距離を設けたことを特徴とする。
第4の本発明は、第1から第3の発明において、冷媒を、高圧冷媒、例えば二酸化炭素としたことを特徴とする。
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態によるスクロール圧縮機において、基礎円半径aの中心位置と基礎円半径bの中心位置を一致させたものである。本実施の形態によれば、渦巻きラップ加工の生産工数を少なくすることができるので、圧縮途中の漏れ損失を低減させるとともに、より低コスト化することができる。
本発明の第3の実施の形態は、第1の実施の形態によるスクロール圧縮機において、基礎円半径aの中心位置と基礎円半径bの中心位置との間に距離を設けたものである。本実施の形態によれば、旋回スクロールの渦巻きラップの外壁側に形成される圧縮室に比べて、旋回スクロールの渦巻きラップの内壁側に形成される圧縮室を速く圧縮させて漏れ損失を低減させながら、スクロールの渦巻きラップ厚さを変更することができるので、渦巻きラップの強度を任意に調整することができる。
本発明の第4の実施の形態は、第1から第3の実施の形態によるスクロール圧縮機において、冷媒を、高圧冷媒、例えば二酸化炭素としたものである。本実施の形態によれば、圧力変形を小さくしてカジリや異常磨耗を効果的に防ぎながら、圧縮室間の漏れ損失をより効果的に小さくすることができる。
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施例によって本発明が限定されるものではない。
図1は、本発明の第1の実施例におけるスクロール圧縮機の断面図である。密閉容器1内に溶接や焼き嵌めなどして固定したクランク軸4の主軸受部材11と、この主軸受部材11上にボルト止めした固定スクロール12との間に、固定スクロール12と噛み合う旋回スクロール13を挟み込んでスクロール式の圧縮機構2を構成し、旋回スクロール13と主軸受部材11との間に旋回スクロール13の自転を防止して円軌道運動するように案内するオルダムリングなどによる自転規制機構14を設けて、クランク軸4の上端にある主軸部4aにて旋回スクロール13を偏心駆動することにより旋回スクロール13を円軌道運動させ、これにより固定スクロール12と旋回スクロール13との間に形成している圧縮室15が外周側から中央部に移動しながら小さくなるのを利用して、密閉容器1外に通じた吸入パイプ16および固定スクロール12の外周部の吸入口17から冷媒ガスを吸入して圧縮していき、所定圧以上になった冷媒ガスは固定スクロール12の中央部の吐出口18からリード弁19を押し開いて密閉容器1内に吐出させることを繰り返す。
ただし、基礎円半径aと前記基礎円半径bの比であるa/bの値を1.5以上の値にすると、両渦巻きラップの厚み変化が極端となり、旋回スクロール13の渦巻きラップ13bの巻き終わり部や固定スクロール12の渦巻きラップ12bの巻き始め部の、その厚みが薄くなりすぎるために、強度が低下する。圧縮機の信頼性を確保するためには、a/bの値を1.5未満の値にする必要がある。
また、a/bの値を1.5未満の値にすることによって、両渦巻きラップの厚みを極端に薄くなることがないので、渦巻きラップの強度を保つことができる。
ところで、スクロール圧縮機において、固定スクロール12の渦巻きラップ12bの厚さが、中心部から外側に向かって大きくなり、旋回スクロール13の渦巻きラップ13bの厚さが、中心部から外側に向かって小さくなるように構成(図示せず)することによっても、本実施例と同様に、旋回スクロール13の渦巻きラップ13bの内壁側に形成される圧縮室15bは、旋回スクロール13の渦巻きラップ13bの外壁側に形成される圧縮室15aに比べて、速く圧縮されることとなり、圧縮途中の漏れ損失を低減させることができる。
また、上述したこれらのスクロール圧縮機において、その渦巻きラップを構成する曲線は、インボリュート曲線に限ったものではなく、アルキメデス曲線や、円の伸開角によって半径が変化するようなインボリュート曲線等であってもよい。
図4は、本発明の第2の実施例におけるスクロール圧縮機の伸開角θaを、θb<θa<θb+πの範囲で変化させたときの、旋回角に対する圧縮室の容積変化を示す図である。図4において、固定スクロール12の渦巻きラップ12bの内壁曲線が終了する伸開角θaと、旋回スクロール13の渦巻きラップ13bの内壁曲線が終了する伸開角θbとを、θb<θa<θb+πの範囲で変化させたときの、クランク軸4の回転角(旋回角)に対する圧縮室15の容積変化の様子を示している。
ここで、固定スクロール12の渦巻きラップ12bの内壁曲線の基礎円中心を原点とする座標系Xを設けて、ある任意の方向を伸開角:θ=0と定義する。その方向から、半時計回り方向を伸開角の正方向とする。更に、旋回スクロール13の渦巻きラップ13bの外壁曲線の基礎円中心を原点として、座標系Xを180°回転させた座標系Yを設ける。以下、本実施例での伸開角は、固定スクロール12の渦巻きラップ12bの曲線の場合は座標系X、旋回スクロール13の渦巻きラップ13bの曲線の場合は座標系Yでの角度を示している。
図4を見て分かるように、伸開角θbを変化させても、同一旋回角での容積比の差を小さくすることができる。つまり、作動流体(冷媒)の特性に合わせて、吸入過程における受熱損失の影響と、圧縮過程における圧縮室15の漏れ損失のバランスを鑑みた最適設計が可能となる。例えば、冷媒密度が高く差圧の大きい冷媒では、吸入過程における受熱損失よりも、圧縮過程における圧縮室間の漏れ損失の影響の方が大きいと考えられるので、伸開角θaを伸開角θbに近づけた構成にしたり、冷媒密度が低く差圧の小さい冷媒では、反対に伸開角θaを伸開角θb+πに近づけた構成にしたりすることができる。
図5は、本発明の第3の実施例におけるスクロール圧縮機の渦巻きラップ形状を示す平面図である。図5において、基礎円半径aの中心位置と基礎円半径bの中心位置との間に距離を設けることにより、旋回スクロール13の巻きラップ13b外壁側に形成される圧縮室15aに比べて、旋回スクロール13の渦巻きラップ13bの内壁側に形成される圧縮室15bを速く圧縮する特徴を維持しながら、渦巻きラップ厚さを変更することができるので、渦巻きラップの強度を任意に調整することができる。
本発明の第4の実施例におけるスクロール圧縮機は、冷媒を、高圧冷媒、例えば二酸化炭素とする構成(図示せず)である。高圧冷媒では、圧縮過程での圧縮室15の間の差圧が大きいので、漏れ損失をより効果的に小さくすることができる。また、高圧冷媒の場合は、旋回スクロール13が圧力差によって大きく変形し、カジリや異常磨耗を引き起こすが、本実施例のスクロール圧縮機においては、旋回スクロール13の渦巻きラップ13bの中心部の厚さを大きくすることができるので、圧力変形を抑えて、カジリや異常磨耗を効果的に防ぐことができる。
本発明のスクロール圧縮機は、非対称ラップ形状のスクロール圧縮機において、コンパクトかつシンプルな構造で、圧縮途中の漏れ損失を低減させることができる。
4 クランク軸
4a 主軸部
11主軸受部材
12 固定スクロール
13 旋回スクロール
13b 渦巻きラップ
14 自転規制機構
15 圧縮室
16 吸入パイプ
17 吸入口
18 吐出口
19 リード弁
Claims (4)
- 鏡板から渦巻きラップが立ち上がる固定スクロール及び旋回スクロールを噛み合わせて双方間に圧縮室を形成し、旋回スクロールを自転規制機構による自転の規制のもとに円軌道に沿って旋回させたとき圧縮室が容積を変えながら移動することで、吸入、圧縮、吐出を行うスクロール圧縮機において、
前記固定スクロールの渦巻きラップの外壁曲線と、前記旋回スクロールの渦巻きラップの内壁曲線とを、基礎円半径をaとするインボリュート曲線で形成し、かつ、
前記固定スクロールの渦巻きラップの内壁曲線と、前記旋回スクロールの渦巻きラップの外壁曲線とを、基礎円半径をbとするインボリュート曲線で形成し、
前記基礎円半径aと前記基礎円半径bの比であるa/bの値が、1.0を超え1.5未満である構成にし、かつ、前記固定スクロールの渦巻きラップの内壁曲線が終了する伸開角θaと、前記旋回スクロールの渦巻きラップの内壁曲線が終了する伸開角θbとが、θb<θa<θb+πの関係を満たす構成にしたことを特徴とするスクロール圧縮機。 - 前記基礎円半径aの中心位置と前記基礎円半径bの中心位置を一致させたことを特徴とする請求項1に記載のスクロール圧縮機。
- 前記基礎円半径aの中心位置と前記基礎円半径bの中心位置との間に距離を設けたことを特徴とする請求項1に記載のスクロール圧縮機。
- 冷媒を、高圧冷媒、例えば二酸化炭素としたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のスクロール圧縮機。
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