第1の発明は、冷媒ガスを圧縮する圧縮機構部と、圧縮機構部を駆動する電動機部とを密閉容器内に備え、圧縮機構部によって、密閉容器内を、一方の容器内空間と他方の容器内空間に分割し、一方の容器内空間から密閉容器の外部に冷媒ガスを吐出する吐出管を設け、他方の容器内空間に電動機部を配置し、圧縮機構部から吐出される冷媒ガスからオイルを分離するオイル分離機構部を設け、オイル分離機構部が、冷媒ガスを旋回させる円筒状空間と、圧縮機構部から吐出される冷媒ガスを円筒状空間に流入させる流入部と、円筒状空間から一方の容器内空間に、オイルを分離した冷媒ガスを送出する送出口と、送出口と対向して配置され、分離したオイルと冷媒ガスの一部とを円筒状空間から排出する排出口を有する圧縮機であって、圧縮機構部の吐出口と吐出口に設けられたリード弁を、一方の容器内空間から隔離するマフラーを配設し、流入部によって、マフラー内と円筒状空間とを連通し、リード弁の開口方向と反対側に流入部を設けるとともに、マフラーの形状を楕円状にし、リード弁の開口方向が楕円の短軸とほぼ同じであるものである。
この構成によれば、圧縮機構部で圧縮されてオイル分離機構部から送出される、ほとんどの高温高圧の冷媒ガスは、一方の容器内空間に導かれて吐出管から吐出される。従って、ほとんどの高温高圧の冷媒ガスは、電動機部を通過しないため、電動機部が冷媒ガスにより加熱されることがなく、電動機部の高効率化が図れる。
また、この構成によれば、ほとんどの高温高圧の冷媒ガスを、一方の容器内空間に導く
ことで、他方の容器内空間に接する圧縮機構部の加熱を抑えることができるため、吸入冷媒ガスの加熱を抑制し、圧縮室内での高い体積効率を得ることができる。
また、この構成によれば、オイル分離機構部で分離されたオイルを、冷媒ガスとともに送出口と対向した位置にある排出口から排出するため、円筒状空間内にはオイルが滞留することがほとんど無い。従って、分離したオイルが、旋回する冷媒ガスによって円筒状空間内で吹き上げられ、送出口から冷媒ガスとともに送出することがなく、安定したオイル分離を行える。更に、円筒状空間内にオイルを滞留させないため、円筒状空間を小さく構成できる。
また、この構成によれば、圧縮機構部で圧縮された冷媒ガスを確実にオイル分離機構部に導くことができる。ずなわち、全ての冷媒ガスがオイル分離機構部を通過することになるので、冷媒ガスから効率よくオイルを分離することができる。
また、この構成によれば、マフラー内でのオイル分離が促進されるため、オイル分離機構部でより効果的にオイルを分離することができる。
また、この構成によれば、吐出ガスがマフラー内壁に衝突しやすくなるため、マフラー内でのオイル分離効果を高めることができる。
第2の発明は、第1の発明において、圧縮機構部が、固定スクロールと、固定スクロールと対向配置された旋回スクロールと、旋回スクロールを駆動するシャフトを軸支する主軸受部材とを備え、円筒状空間を、固定スクロールと主軸受部材とに形成し、排出口を他方の容器内空間に連通したものである。
この構成によれば、オイル分離機構部を圧縮機構部に形成することで、吐出口から吐出管までの冷媒ガスが流れる経路を短く構成でき、密閉容器を小型化できる。
また、この構成によれば、オイル分離機構部で分離されたオイルを、冷媒ガスとともに他方の容器内空間に排出するため、円筒状空間内にはオイルが滞留することがほとんど無い。
第3の発明は、第1または第2の発明において、冷媒ガスとして二酸化炭素を用いるものである。
二酸化炭素は高温冷媒であり、このような高温冷媒を用いる場合には、本発明は更に有効である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1による圧縮機の縦断面図である。
図1に示すように、本実施の形態による圧縮機は、密閉容器1内に、冷媒ガスを圧縮する圧縮機構部10と、圧縮機構部10を駆動する電動機部20とを備えている。
密閉容器1内は、圧縮機構部10によって、一方の容器内空間31と他方の容器内空間32に分割している。そして、他方の容器内空間32には、電動機部20を配置している。
また、他方の容器内空間32は、電動機部20によって、圧縮機構側空間33と貯オイル側空間34に分割している。そして、貯オイル側空間34には、貯オイル部2を配置している。
密閉容器1には、吸接管3と吐出管4とが溶接によって固定されている。吸接管3と吐出管4とは密閉容器1の外部に通じ、冷凍サイクルを構成する部材と接続されている。吸接管3は密閉容器1の外部から冷媒ガスを導入し、吐出管4は一方の容器内空間31から密閉容器1の外部に冷媒ガスを導出する。
主軸受部材11は、密閉容器1内に溶接や焼き嵌めなどで固定され、シャフト5を軸支している。この主軸受部材11には、固定スクロール12がボルト止めされている。固定スクロール12と噛み合う旋回スクロール13は、主軸受部材11と固定スクロール12とで挟み込まれている。主軸受部材11、固定スクロール12、及び旋回スクロール13は、スクロール式の圧縮機構部10を構成している。
旋回スクロール13と主軸受部材11との間には、オルダムリングなどによる自転拘束機構14を設けている。自転拘束機構14は、旋回スクロール13の自転を防止し、旋回スクロール13が円軌道運動するように案内する。旋回スクロール13は、シャフト5の上端に設けている偏心軸部5aにて偏心駆動される。この偏心駆動により、固定スクロール12と旋回スクロール13との間に形成している圧縮室15は、外周から中央部に向かって移動し、容積を小さくして圧縮を行う。
吸接管3と圧縮室15との間には、吸入経路16が形成されている。吸入経路16は、固定スクロール12に設けられている。
固定スクロール12の中央部には、圧縮機構部10の吐出口17が形成されている。吐出口17には、リード弁18が設けられている。
固定スクロール12の一方の容器内空間31側には、吐出口17及びリード弁18を覆うマフラー19が設けられている。マフラー19は、吐出口17を一方の容器内空間31から隔離している。
冷媒ガスは、吸接管3から、吸入経路16を経て圧縮室15に吸入される。圧縮室15で圧縮された冷媒ガスは、吐出口17からマフラー19内に吐出される。リード弁18は、冷媒ガスが吐出口17から吐出するときに押し開けられる。
シャフト5の下端にはポンプ6が設けられている。ポンプ6の吸い込み口は、密閉容器1の底部に設けられた貯オイル部2内に配置している。ポンプ6は、シャフト5によって駆動される。従って、貯オイル部2にあるオイルを、圧力条件や運転速度に関係なく、確実に吸い上げることができ、摺動部でのオイル切れは発生しない。ポンプ6で吸い上げたオイルは、シャフト5内に形成しているオイル供給穴7を通じて圧縮機構部10に供給される。なお、オイルをポンプ6で吸い上げる前、又は吸い上げた後に、オイルフィルタを用いてオイルから異物を除去すると、圧縮機構部10への異物混入が防止でき、更なる信頼性向上を図ることができる。
圧縮機構部10に導かれたオイルの圧力は、吐出口17から吐出される冷媒ガスの吐出
圧力とほぼ同等であり、旋回スクロール13に対する背圧源ともなる。これにより、旋回スクロール13は、固定スクロール12から離れたり、片当たりすることなく、安定して動作する。さらにオイルの一部は、供給圧や自重によって、逃げ場を求めるようにして偏心軸部5aと旋回スクロール13との嵌合部、及びシャフト5と主軸受部材11との間の軸受部8に進入して潤滑し、その後に落下し、貯オイル部2に戻る。
旋回スクロール13には経路7aが形成され、経路7aの一端は高圧領域35に開口し、経路7aの他端は背圧室36に開口している。自転拘束機構14は、背圧室36に配置されている。
従って、高圧領域35に供給されたオイルの一部は、経路7aを通って、背圧室36に進入する。背圧室36に進入したオイルは、スラスト摺動部及び自転拘束機構14の摺動部を潤滑し、背圧室36にて旋回スクロール13に背圧を与えている。
次に、図1及び図2を用いて、実施の形態1による圧縮機のオイル分離機構部について説明する。
図2は図1における圧縮機構部の要部拡大断面図である。
本実施の形態による圧縮機は、圧縮機構部10から吐出される冷媒ガスからオイルを分離するオイル分離機構部40を設けている。
オイル分離機構部40は、冷媒ガスを旋回させる円筒状空間41と、マフラー19内と円筒状空間41とを連通する流入部42と、円筒状空間41と一方の容器内空間31とを連通する送出口43と、円筒状空間41と他方の容器内空間32とを連通する排出口44とを有する。
円筒状空間41は、固定スクロール12に形成した第1の円筒状空間41aと主軸受部材に形成した第2の円筒状空間41bとで構成される。
流入部42は、第1の円筒状空間41aに連通し、好ましくは流入部42の開口を第1の円筒状空間41aの上端内周面に形成する。そして、流入部42は、圧縮機構部10から吐出される冷媒ガスをマフラー19内から円筒状空間41に流入させる。流入部42は、円筒状空間41に対し、接線方向に開口している。
送出口43は、円筒状空間41の上端側に形成し、少なくとも流入部42よりも一方の容器内空間31側に形成する。送出口43は、第1の円筒状空間41aの上端面に形成することが好ましい。そして、送出口43は、円筒状空間41から一方の容器内空間31に、オイルを分離した冷媒ガスを送出する。
排出口44は、円筒状空間41の下端側に形成し、少なくとも流入部42よりも他方の容器内空間32側に形成する。排出口44は、第2の円筒状空間41bの下端面に形成することが好ましい。そして、排出口44は、円筒状空間41から圧縮機構側空間33に、分離したオイルと冷媒ガスの一部とを排出する。
ここで、送出口43の開口部の断面積Aは、円筒状空間41の断面積Cよりも小さく、排出口44の開口部の断面積Bよりも大きい方が好ましい。送出口43の開口部の断面積Aが、円筒状空間41の断面積Cと同じ場合には、冷媒ガスの旋回流が排出口44の方向に導かれることなく、送出口43から吹き出してしまう。また、排出口44の開口部の断面積Bが円筒状空間41の断面積Cと同じ場合には、冷媒ガスの旋回流が排出口44から
吹き出してしまう。
また、送出口43の開口部の断面積Aを、排出口44の開口部の断面積Bよりも大きくすることで、送出口43における流路抵抗が減る。これにより、冷媒ガスは排出口44よりも送出口43に流れやすくなる。一例として、A/Bは9程度に設定することができる。
本実施の形態では、固定スクロール12の外周部に孔加工を施すことで第1の円筒状空間41aを形成し、主軸受部材11の外周部に孔加工を施すことで第2の円筒状空間41bを形成する。また、固定スクロール12の反ラップ側端面には、第1の円筒状空間41aに対し、接線方向に開口する溝を形成し、第1の円筒状空間41a側の溝の一部をマフラー19で覆うことで流入部42を構成している。また、送出口43は、マフラー19に形成した孔で構成し、この孔を第1の円筒状空間41aの開口に配置している。また、排出口44は、軸受けカバー45に形成した孔で構成し、この孔を第2の円筒状空間41bの開口に配置している。
以下に本実施の形態によるオイル分離機構部40の作用を説明する。
マフラー19内に吐出された冷媒ガスは、固定スクロール12に形成された流入部42を経て、円筒状空間41に導かれる。流入部42は円筒状空間41に対し、接線方向に開口しているため、流入部42から送出される冷媒ガスは、円筒状空間41の内壁面に沿って流れ、円筒状空間41の内周面で旋回流が発生する。この旋回流は、排出口44に向かった流れとなる。
冷媒ガスには圧縮機構部10に給油されたオイルが含まれており、冷媒ガスが旋回している間に、比重の高いオイルは遠心力により円筒状空間41の内壁に付着し、冷媒ガスと分離する。
円筒状空間41の内周面で発生した旋回流は、排出口44に到達後、又は排出口44近傍で折り返し、円筒状空間41の中心を通る上昇流に変わる。
遠心力によりオイルを分離した冷媒ガスは、上昇流により送出口43に到達し、一方の容器内空間31に送出される。一方の容器内空間31に送出された冷媒ガスは、一方の容器内空間31に設けられた吐出管4から密閉容器1の外部に送り出され、冷凍サイクルに供給される。
また円筒状空間41で分離されたオイルは、少量の冷媒ガスとともに排出口44から圧縮機構側空間33に送り出される。圧縮機構側空間33に送り出されたオイルは、自重により密閉容器1の壁面や電動機部20の連通路を経て、貯オイル部2に至る。
圧縮機構側空間33に送り出された冷媒ガスは、圧縮機構部10の隙間を通過して一方の容器内空間31に至り、吐出管4から密閉容器1の外部に送り出される。
本実施の形態によるオイル分離機構部40は、送出口43を流入部42よりも一方の容器内空間31側に形成し、排出口44を流入部42よりも他方の容器内空間32側に形成することで、流入部42から排出口44までの間では、円筒状空間41の内周面で旋回流が発生し、排出口44から送出口43までの間では、円筒状空間41の中心部で旋回流と逆方向の流れが発生する。従って、排出口44が流入部42から離れるに従い、冷媒ガスの旋回回数が増え、オイルの分離効果が高まる。また旋回後の冷媒ガスは、旋回流の中心部を通過するため、送出口43は、流入部42よりも反排出口側にあればよい。すなわち
、流入部42と排出口44との距離を可能な限り大きくすることで、オイル旋回分離の効果を高めることができる。
また、本実施の形態によるオイル分離機構部40は、容器内空間32に分離したオイルを貯留することなく、オイルを冷媒ガスとともに排出口44から排出するため、円筒状空間41の内周面で発生する旋回流を、排出口44の方向に導く作用を備えている。
仮に、円筒状空間41に排出口44を形成せず、円筒状空間41内にオイルを貯留すると、排出口44から外部に引っ張る流れが発生しないため、オイル面に到達する前に旋回流が消滅してしまうか、オイル面に到達するとオイルを巻き上げてしまう。また円筒状空間41に排出口44を形成せずに、オイル分離機能を発揮させるためには、オイルを貯留するに十分な空間を形成する必要がある。
しかし、本実施の形態によるオイル分離機構部40のように、オイルを冷媒ガスとともに排出口44から排出することで、旋回流を排出口44に導くことができるとともに、オイルの巻き上げもない。
本実施の形態によれば、圧縮機構部10で圧縮されてオイル分離機構部40から送出される、ほとんどの高温高圧の冷媒ガスは、一方の容器内空間31に導かれて吐出管4から吐出される。従って、ほとんどの高温高圧の冷媒ガスは、電動機部20を通過しないため、電動機部20が冷媒ガスにより加熱されることがなく、電動機部20の高効率化が図れる。
また、本実施の形態によれば、ほとんどの高温高圧の冷媒ガスを、一方の容器内空間31に導くことで、他方の容器内空間32に接する圧縮機構部10の加熱を抑えることができるため、吸入冷媒ガスの加熱を抑制し、圧縮室内での高い体積効率を得ることができる。
また、本実施の形態によれば、オイル分離機構部40で分離されたオイルを、冷媒ガスとともに他方の容器内空間32に排出するため、円筒状空間41内にはオイルが滞留することがほとんど無い。従って、分離したオイルが、旋回する冷媒ガスによって円筒状空間41内で吹き上げられ、送出口43から冷媒ガスとともに送出することがなく、安定したオイル分離を行える。更に、円筒状空間41内にオイルを滞留させないため、円筒状空間41を小さく構成できる。
また、本実施の形態によれば、貯オイル部2を貯オイル側空間34に配置し、圧縮機構側空間33ではオイルを貯留しないため、密閉容器1を小型化できる。
また、本実施の形態によれば、圧縮機構部10の吐出口17を一方の容器内空間31から隔離するマフラー19を配設し、流入部42によって、マフラー19内と円筒状空間41とを連通することで、圧縮機構部10で圧縮された冷媒ガスを確実にオイル分離機構部40に導くことができる。すなわち、全ての冷媒ガスがオイル分離機構部40を通過することになるので、冷媒ガスから効率よくオイルを分離することができる。また、吐出口17から吐出されたほとんどの高温の冷媒ガスは、他方の容器内空間32を通過することなく、吐出管4から密閉容器1の外部に吐出されるため、電動機部20や圧縮機構部10の加熱を抑えることができる。
また、本実施の形態によれば、円筒状空間41を、固定スクロール12と主軸受部材11に形成したことで、吐出口17から吐出管4までの冷媒ガスが流れる経路を短く構成でき、密閉容器1を小型化できる。
(実施の形態2)
図3は本発明の実施の形態2による圧縮機における圧縮機構部の要部拡大断面図である。
本実施の形態の基本的な構成は、図1と同一であるので説明を省略する。また、図1及び図2で説明した構成と同一構成には同一符号を付して説明を一部省略する。
本実施の形態では、固定スクロール12の外周部に段付き孔加工を施すことで第1の円筒状空間41cと送出口43aを形成する。第1の円筒状空間41cは、主軸受部材11との締結面側端面(ラップ側端面)から貫通させない穴を加工して形成する。送出口43aは、主軸受部材11との締結面側端面(ラップ側端面)から、又は主軸受部材11との反締結面側端面(反ラップ側端面)から、第1の円筒状空間41cの断面よりも小さな孔を貫通させて形成する。
また、主軸受部材11の外周部に段付き孔加工を施すことで第2の円筒状空間41dと排出口44aを形成する。第2の円筒状空間41dは、固定スクロール12との締結面(スラスト受面)から貫通させない穴を加工して形成する。排出口44aは、固定スクロール12との締結面(スラスト面)から、又は固定スクロール12との反締結面(反スラスト面)から、第2の円筒状空間41dの断面よりも小さな孔を貫通させて形成する。
また、流入部42aは、固定スクロール12の主軸受部材11との反締結面側端面(反ラップ側端面)から、第1の円筒状空間41cに対し、接線方向に開口する貫通孔を形成することで構成している。
本実施の形態においても、オイル分離機構部40の作用は実施の形態1と同じであり、実施の形態1における作用、効果も同じであるので説明を省略する。
(実施の形態3)
図4は本発明の実施の形態3による圧縮機における圧縮機構部の要部拡大断面図である。
本実施の形態の基本的な構成は、図1と同一であるので説明を省略する。また、図1及び図2で説明した構成と同一構成には同一符号を付して説明を一部省略する。
本実施の形態では、円筒状空間41内に筒状の送出パイプ46を設けている。
送出パイプ46の一端46aは、送出口を形成し、送出パイプ46の他端46bは円筒状空間41内に配置されている。なお、本実施の形態では、送出パイプ46の他端46bは第2の円筒状空間41b内に延出させている。
送出パイプ46の外周には筒状空間46cが形成され、流入部42が筒状空間46cに開口している。送出パイプ46の一端46aには、外方に延出させたフランジ46dを形成している。
流入部42から流入した冷媒ガスは、旋回流となって、筒状空間46cを通り、円筒状空間41の内周面に沿って排出口44に至り、その後円筒状空間41の中心を逆流する。そして、送出パイプ46の他端46bから送出パイプ46内に流入し、送出パイプ46の一端46aから流出する。
本実施の形態では、第1の円筒状空間41eは、固定スクロール12の外周部に段付き孔加工を施すことで形成している。すなわち、固定スクロール12の反ラップ側端面には、第1の円筒状空間41eの内周断面よりも大きな孔が形成され、この孔に送出パイプ46のフランジ46dが収められる。
本実施の形態に示すように、円筒状空間41内に筒状の送出パイプ46を設けてもよい。
送出パイプ46を設けることで、例えば、周波数を高くして圧縮機を運転する場合でも、オイル分離効果を確実に得ることができる。
なお、送出パイプ46を設ける場合には、円筒状空間41の軸心と送出パイプ46の軸心とを一致させることが重要である。
また、送出パイプ46を設ける場合には、送出パイプ46にフランジ46dを設け、このフランジ46dを円筒状空間41に形成した孔内に配置し、マフラー19で送出パイプ46を円筒状空間41に固定することが重要である。
また、送出パイプ46の内径断面積Dは、排出口44の断面積Bよりも大きくする。これにより、冷媒ガスは排出口44よりも送出口43に流れやすくなる。一例として、D/Bは9程度に設定することができる。本実施の形態によれば、円筒状空間41内に筒状の送出パイプ46を設けることで、円筒状空間41内でのオイル分離効果を高めることができる。
送出パイプ46を設けた本実施の形態においても、オイル分離機構部40の基本的な作用は実施の形態1と同様であり、実施の形態1における作用、効果も同じであるので説明を省略する。
(実施の形態4)
図5は本発明の実施の形態4による圧縮機における圧縮機構部の要部拡大断面図である。
本実施の形態の基本的な構成は、図1と同一であるので説明を省略する。また、図1及び図2で説明した構成と同一構成には同一符号を付して説明を一部省略する。
本実施の形態では、円筒状空間41内に筒状の送出パイプ47を設けている。
本実施の形態における送出パイプ47は、マフラー19と一体に形成されている。
送出パイプ47の一端47aは、送出口を形成し、送出パイプ47の他端47bは円筒状空間41内に配置されている。なお、本実施の形態では、送出パイプ47の他端47bは第2の円筒状空間41b内に延出させている。
送出パイプ47の外周には筒状空間47cが形成され、流入部42が筒状空間47cに開口している。
流入部42から流入した冷媒ガスは、旋回流となって、筒状空間47cを通り、円筒状空間41の内周面に沿って排出口44に至り、その後円筒状空間41の中心を逆流する。そして、送出パイプ47の他端47bから送出パイプ47内に流入し、送出パイプ47の一端47aから流出する。
本実施の形態に示すように、円筒状空間41内に筒状の送出パイプ47を設けてもよい。
送出パイプ47を設けることで、例えば、周波数を高くして圧縮機を運転する場合でも、オイル分離効果を確実に得ることができる。
なお、送出パイプ47を設ける場合には、円筒状空間41の軸心と送出パイプ47の軸心とを一致させることが重要である。
また、送出パイプ47を設ける場合には、送出パイプ47をマフラー19と一体に形成することで、送出パイプ47を円筒状空間41に固定することができる。
また、送出パイプ47の内径断面積Dは、排出口44の断面積Bよりも大きくする。
本実施の形態によれば、円筒状空間41内に筒状の送出パイプ47を設けることで、円筒状空間41内でのオイル分離効果を高めることができる。
送出パイプ47を設けた本実施の形態においても、オイル分離機構部40の基本的な作用は実施の形態1と同様であり、実施の形態1における作用、効果も同じであるので説明を省略する。
(実施の形態5)
図6は本発明の実施の形態5による圧縮機の縦断面図である。
本実施の形態の基本的な構成は、図1と同一であるので説明を省略する。
本実施の形態では、円筒状空間41を構成する冷媒ガス旋回部材48を一方の容器内空間31に配置している。
冷媒ガス旋回部材48は、マフラー19の外周面に設置している。冷媒ガス旋回部材48には、流入部42b、送出口43b、排出口44bが形成されている。
流入部42bは、マフラー19内と円筒状空間41とを連通し、送出口43bは、円筒状空間41と一方の容器内空間31とを連通し 排出口44bは、円筒状空間41と一方の容器内空間31とを連通している。
流入部42bの開口は、円筒状空間41の一端側内周面に形成する。そして、流入部42bは、圧縮機構部10から吐出される冷媒ガスをマフラー19内から円筒状空間41に流入させる。流入部42bは、円筒状空間41に対し、接線方向に開口している。
送出口43bは、円筒状空間41の一端側に形成し、少なくとも流入部42bよりも一端側に形成する。送出口43bは、円筒状空間41の一端側の端面に形成することが好ましい。そして、送出口43bは、円筒状空間41から一方の容器内空間31に、オイルを分離した冷媒ガスを送出する。
排出口44bは、円筒状空間41の他端側に形成し、少なくとも流入部42bよりも他端側に形成する。排出口44bは、円筒状空間41の他端側の端面の下部に形成することが好ましい。そして、排出口44bは、円筒状空間41から一方の容器内空間31に、分離したオイルと冷媒ガスの一部とを排出する。
ここで、送出口43bの開口部の断面積Aは、円筒状空間41の断面積よりも小さく、排出口44bの開口部の断面積Bよりも大きくしている。
以下に本実施の形態によるオイル分離機構部40の作用を説明する。
マフラー19内に吐出された冷媒ガスは、マフラー19の上面に形成された流入部42bを経て、円筒状空間41に導かれる。流入部42bは円筒状空間41に対し、接線方向に開口しているため、流入部42bから送出される冷媒ガスは、円筒状空間41の内壁面に沿って流れ、円筒状空間41の内周面で旋回流が発生する。この旋回流は、排出口44bに向かった流れとなる。
冷媒ガスには圧縮機構部10に給油されたオイルが含まれており、冷媒ガスが旋回している間に、比重の高いオイルは遠心力により円筒状空間41の内壁に付着し、冷媒ガスと分離する。
円筒状空間41の内周面で発生した旋回流は、排出口44bに到達後、又は排出口44b近傍で折り返し、円筒状空間41の中心を通る逆流に変わる。
遠心力によりオイルを分離した冷媒ガスは、円筒状空間41の中心を通る流れにより送出口43bに到達し、一方の容器内空間31に送出される。一方の容器内空間31に送出された冷媒ガスは、一方の容器内空間31に設けられた吐出管4から密閉容器1の外部に送り出され、冷凍サイクルに供給される。
また円筒状空間41で分離されたオイルは、自重により一方に偏って溜まり、排出口44bが他端側の端面の下部又は円筒状空間41の下部に形成しているので、オイルを容易に排出できる。
分離されたオイルは、少量の冷媒ガスとともに排出口44bからマフラー19上面に送り出される。マフラー19上面に送り出されたオイルは、自重により圧縮機構部10の隙間を通って一方の容器内空間31から圧縮機構側空間33に至り、更に密閉容器1の壁面や電動機部20の連通路を経て、貯オイル部2に至る。
排出口44bから送り出された冷媒ガスは、一方の容器内空間31に設けられた吐出管4から密閉容器1の外部に送り出され、冷凍サイクルに供給される。
本実施の形態によるオイル分離機構部40は、送出口43bを流入部42bよりも円筒状空間41の一端側に形成し、排出口44bを流入部42bよりも円筒状空間41の他端側に形成することで、流入部42bから排出口44bまでの間では、円筒状空間41の内周面で旋回流が発生し、排出口44bから送出口43bまでの間では、円筒状空間41の中心部で旋回流と逆方向の流れが発生する。従って、排出口44bが流入部42bから離れるに従い、冷媒ガスの旋回回数が増え、オイルの分離効果が高まる。また旋回後の冷媒ガスは、旋回流の中心部を通過するため、送出口43bは、流入部42bよりも反排出口側にあればよい。すなわち、流入部42bと排出口44bとの距離を可能な限り大きくすることで、オイル旋回分離の効果を高めることができる。
また、本実施の形態によるオイル分離機構部40は、円筒状空間41に分離したオイルを貯留することなく、オイルを冷媒ガスとともに排出口44bから排出するため、円筒状空間41の内周面で発生する旋回流を、排出口44bの方向に導く作用を備えている。
仮に、円筒状空間41に排出口44bを形成せず、円筒状空間41内にオイルを貯留すると、排出口44bから外部に引っ張る流れが発生しないため、旋回流がオイルを巻き上げてしまう。また円筒状空間41に排出口44bを形成せずに、オイル分離機能を発揮させるためには、オイルを貯留するに十分な空間を形成する必要がある。
しかし、本実施の形態によるオイル分離機構部40のように、オイルを冷媒ガスとともに排出口44bから排出することで、旋回流を排出口44bに導くことができるとともに、オイルの巻き上げもない。
本実施の形態によれば、圧縮機の軸方向寸法を変えることなく、旋回分離を行うことが可能となる。また冷媒ガスの旋回回数を多くするため、円筒状空間41、さらに詳しくは流入部42bと排出口44bとの距離を大きくすることも可能となる。これにより圧縮機自体の寸法を維持したまま、オイル分離機構部40を密閉容器1の内部に備えることができ、さらにはオイル旋回分離の効果も高めることができる。
また、本実施の形態によれば、円筒状空間41を構成する冷媒ガス旋回部材48を一方の容器内空間31に配置することで、吐出口17から吐出管4までの冷媒ガスが流れる経路を短く構成でき、密閉容器1を小型化できる。
本実施の形態によれば、圧縮機構部10で圧縮され、オイル分離機構部40から送出される高温高圧の冷媒ガスは、一方の容器内空間31に導かれて吐出管4から吐出される。従って、高温高圧の冷媒ガスは、電動機部20を通過しないため、電動機部20が冷媒ガスにより加熱されることがなく、電動機部20の高効率化が図れる。
また、本実施の形態によれば、高温高圧の冷媒ガスを、一方の容器内空間31に導くことで、他方の容器内空間32に接する圧縮機構部10の加熱を抑えることができるため、吸入冷媒ガスの加熱を抑制し、圧縮室内での高い体積効率を得ることができる。
また、本実施の形態によれば、オイル分離機構部40で分離されたオイルを、冷媒ガスとともに一方の容器内空間31に排出するため、円筒状空間41内にはオイルが滞留することがほとんど無い。従って、分離したオイルが、旋回する冷媒ガスによって円筒状空間41内で吹き上げられ、送出口43bから冷媒ガスとともに送出することがなく、安定したオイル分離を行える。更に、円筒状空間41内にオイルを滞留させないため、円筒状空間41を小さく構成できる。
また、本実施の形態によれば、貯オイル部2を貯オイル側空間34に配置し、圧縮機構側空間33ではオイルを貯留しないため、密閉容器1を小型化できる。
また、本実施の形態によれば、圧縮機構部10の吐出口17を一方の容器内空間31から隔離するマフラー19を配設し、流入部42bによって、マフラー19内と円筒状空間41とを連通することで、圧縮機構部10で圧縮された冷媒ガスを確実にオイル分離機構部40に導くことができる。すなわち、全ての冷媒ガスがオイル分離機構部40を通過することになるので、冷媒ガスから効率よくオイルを分離することができる。また、吐出口17から吐出された高温の冷媒ガスは、他方の容器内空間32を通過することなく、吐出管4から密閉容器1の外部に吐出されるため、電動機部20や圧縮機構部10の加熱を抑えることができる。
上記各実施の形態における圧縮機においては、円筒状空間41を2つ以上設けてもよい。
また、上記各実施の形態における圧縮機においては、冷媒として二酸化炭素を用いることができる。二酸化炭素は高温冷媒であり、このような高温冷媒を用いる場合には、本発明は更に有効である。
また、冷媒として二酸化炭素を用いる場合には、オイルとしてポリアルキレングリコールを主成分とするオイルを用いる。二酸化炭素とポリアルキレングリコールとは相溶性が低いため、オイル分離効果が高い。
(実施の形態6)
本実施の形態の基本的な構成は、図1と同一であるので説明を省略する。また、図1及び図2で説明した構成と同一構成には同一符号を付して説明を一部省略する。
図7は本発明の実施の形態6における圧縮機構部の上面図である。本実施の形態では、リード弁18の開口方向と反対側に流入部42を設けている。
以下に本実施の形態によるオイル分離機構部40の作用を説明する。
圧縮室15で圧縮された冷媒ガスは、吐出口17からリード弁18を押し開けて、リード弁18の開口方向に向けてマフラー19内に吐出される。吐出された冷媒ガスは、固定スクロール12に形成された流入部42を経て、円筒状空間41に導かれる。ここで冷媒ガスはリード弁18の開口方向つまり流入部42と反対方向に吐出され、流入部42に到達するまでにマフラー19の内壁により多く接触するため、冷媒ガスに含まれたミスト状のオイルがマフラー19の内壁に付着し、より大きな液滴になり冷媒ガスから分離される。分離されたオイルは流入部42を経て、冷媒ガスとともに円筒状空間41に導かれ、旋回流による遠心力で冷媒ガスと分離される。この際、オイルはマフラー19内でより大きな液滴となっているため、より大きな遠心力が働き、分離の効果が高まる。
また、マフラー19の形状を楕円状にし、リード弁18の開口方向を楕円の短軸とほぼ同じにした場合、吐出口17とマフラー19の内壁との距離が近くなり、マフラー19の内表面積も確保できるため、吐出ガスがマフラー19の内壁に衝突しやすくなり、衝突によるオイル分離の効果とマフラー19内壁への付着によるオイル分離の効果により、より多くのオイルを分離することができる。なお、マフラー19の形状は楕円以外でも吐出口17とマフラー19の内壁の距離が近くマフラー19の内表面積が大きく取れる形状であれば同様の効果が得られる。
なお、本実施の形態を説明するにあたり、実施の形態1をもとにしたが、実施の形態2〜5についても本実施の形態は適用可能である。