しかしながら、HDR表示データは、従来のsRGB等の画像フォーマットでは実現できない高い輝度ダイナミックレンジを実現することができる画像データであり、画素の輝度レベルを示す画素値を画像の全画素について格納している。HDR表示データにおける画素pの輝度レベルをRp、第1光変調素子の画素pに対応する画素の透過率をT1、第2光変調素子の画素pに対応する画素の透過率をT2とすると、下式(1),(2)が成立する。
Rp = Tp×Rs …(1)
Tp = T1×T2×G …(2)
ただし、上式(1),(2)において、Rsは光源の輝度、Gはゲインであり、いずれも定数である。また、Tpは、光変調率である。
上式(1),(2)から、画素pについてT1およびT2の組み合わせが無数に存在することが分かる。しかしながら、T1およびT2を任意に決定してよいわけではない。決定の仕方によっては画質が劣化することがあるので、T1およびT2は、画質を考慮して適切に決定する必要がある。
非特許文献1記載の発明にあっては、2つの光変調素子を用いた場合に高い輝度ダイナミックレンジを実現できることを概念的に説明するにとどまり、HDR表示データに基づいて第1光変調素子および第2光変調素子の各画素の制御値(すなわち、T1およびT2)をどのように決定し、またその制御値を用いてどのように制御するかについてまでは開示されていない。したがって、T1およびT2の決定の仕方及び決定した制御値による制御の仕方によっては画質が劣化するという問題があった。
一方、特許文献2記載の発明にあっては、バックライトの輝度制御及びLCDの透過率制御により輝度ダイナミックレンジの拡大を実現する方法については詳しく述べているが、第1光変調素子と第2光変調素子に前記したバックライトとLCDとの組み合わせとは異なるものを用いた他の構成や、第1光変調素子と第2光変調素子の解像度が異なる構成については輝度ダイナミックレンジの拡大を実現する具体的な方法が述べられていない。
そこで、本発明は、このような従来の技術の有する未解決の課題に着目してなされたものであって、第1光変調素子と第2光変調素子とを介して2段階で光源からの光を変調することで表示画像の輝度ダイナミックレンジ及び階調数を拡大し、画質を向上するとともに、第1光変調素子よりも解像度の高い第2光変調素子の解像度に合わせて画像を表示するのに好適な光変調装置、光学表示装置、光変調制御プログラム及び光学表示装置制御プログラム、並びに光変調制御方法及び光学表示装置制御方法を提供することを目的としている。
〔発明1〕 上記目的を達成するために、発明1の光変調装置は、光伝搬特性を独立に制御可能な複数の画素を有する第1光変調素子と、光伝搬特性を独立に制御可能で且つ前記第1光変調素子より多数の画素を有する第2光変調素子とを備え、前記第1光変調素子の画素と前記第2光変調素子の画素を1:n(nは2以上の整数)で光学的に対応させ、前記第1光変調素子及び前記第2光変調素子を介して光源からの光を変調する光学系に適用される装置であって、前記第2光変調素子のn個の画素のうちその一部を所定の光伝搬特性とし残部を光の伝搬効率が最低又は略最低となる光伝搬特性にした制御パターンを複数種設定し、前記第1光変調素子の1個の画素に対応する前記第2光変調素子のn個の画素を前記複数種の制御パターンのいずれかで制御するとともに、前記第1光変調素子の画素の光伝搬特性の切換タイミングに合わせて、前記第2光変調素子の画素の制御パターンを切り換えるようになっていることを特徴としている。
このような構成であれば、前記第1光変調素子の1個の画素に対応する前記第2光変調素子のn個の画素を前記複数種の制御パターンのいずれかで制御するとともに、前記第1光変調素子の画素の光伝搬特性の切換タイミングに合わせて、前記第2光変調素子の画素の制御パターンを切り換えることが可能である。
従って、第2光変調素子における、第1光変調素子の各画素に対応するn個の画素の光伝搬特性を、第1光変調素子の各画素の切換えタイミングに合わせて各画素毎に適切な光伝搬特性に切り換えることによって、第2光変調素子の有する解像度(画素数)の光によって形成される光学像を目的位置に伝達できるという効果が得られる。
また、第1光変調素子および第2光変調素子により光源の光を2段階に変調するので、比較的高い輝度ダイナミックレンジおよび階調数を実現することができるという効果が得られる。
ここで、光伝搬特性とは、光の伝搬に影響を与える特性をいい、例えば、光の透過特性、反射特性、屈折特性その他の伝搬特性が含まれる。以下、発明2の光学表示装置、発明12及び13の光変調装置、発明14、24及び25の光変調制御プログラム、発明15の光学表示装置制御プログラム、発明26、37及び38の光変調制御方法、並びに、発明27の光学表示装置制御方法において同じである。
また、光変調素子は、上記したように画素毎の透過率や反射率等の光伝搬特性を制御可能な液晶ライトバルブやDMD等の素子を含む。以下、発明2の光学表示装置、発明12及び13の光変調装置、発明14、24及び25の光変調制御プログラム、発明15の光学表示装置制御プログラム、発明26、37及び38の光変調制御方法、並びに、発明27の光学表示装置制御方法において同じである。
また、第2光変調素子のn個の画素に対する複数種の制御パターンは、第2光変調素子のn個の画素全ての光伝搬効率が最低又は略最低となる光伝搬特性に切り換える組み合わせも含む。以下、発明2の光学表示装置、発明12の光変調制御プログラム、発明13の光学表示装置制御プログラム、発明26の光変調制御方法及び発明27の光学表示装置制御方法において同じである。
〔発明2〕 一方、上記目的を達成するために、発明2の光学表示装置は、光伝搬特性を独立に制御可能な複数の画素を有する第1光変調素子と、光伝搬特性を独立に制御可能な複数の画素を有する第2光変調素子とを備え、前記第1光変調素子の画素と前記第2光変調素子の画素を1:n(nは2以上の整数)で光学的に対応させ、前記第1光変調素子及び前記第2光変調素子を介して光源からの光を変調して画像を表示する装置であって、表示画像データのうち1の画素に対応する画素値を、前記第1光変調素子制御用の画素値及び前記第2光変調素子制御用の画素値にそれぞれ区分し、前記第1光変調素子制御用の画素値をさらに複数の原始画素値に区分し、前記第2光変調素子制御用の画素値に基づき前記第2光変調素子のn個の画素のうちその一部を所定の光伝搬特性とし残部を光の伝搬効率が最低又は略最低となる光伝搬特性にした制御パターンを複数種設定し、前記第1光変調素子制御用の各原始画素値に基づいて前記第1光変調素子の画素の光伝搬特性を時分割に切換制御する第1光伝搬特性制御手段と、前記第1光変調素子の画素の光伝搬特性の切換タイミングに合わせて、前記第2光変調素子の画素の制御パターンを切換制御する第2光伝搬特性制御手段と、を備えることを特徴としている。
このような構成であれば、第1光伝搬特性制御手段によって前記第1光変調素子制御用の各原始画素値に基づいて前記第1光変調素子の画素の光伝搬特性を時分割に切換制御することが可能であり、第2光伝搬特性制御手段によって前記第1光変調素子の画素の光伝搬特性の切換タイミングに合わせて、前記第2光変調素子の画素の制御パターンを切換制御することが可能である。
従って、表示画像データに基づき第1光変調素子の各画素の切り換えタイミングに合わせて、第2光変調素子のn個の画素の光伝搬特性の制御パターンを高速且つ時分割で切り換えることで、第2光変調素子の有する解像度で表示画像データの画像を表示することができるという効果が得られる。
また、第1光変調素子および第2光変調素子により光源の光を2段階に変調するので、比較的高い輝度ダイナミックレンジおよび階調数を実現することができるという効果が得られる。
ここで、原始画素値とは、画像の色情報を示す値であり、例えば、表示画像データの画素値が光の3原色であるR(赤),G(緑),B(青)の3つの色情報の値を含んでいる場合は、これらR,G,Bの各値を示す。以下、発明15の光学表示装置制御プログラム及び発明27の光学表示装置制御方法において同じである。
〔発明3〕 さらに、発明3の光学表示装置は、発明2の光学表示装置において、前記第1光変調素子の1画素に対応する前記第2光変調素子のn個の画素に対する前記画素値が全て同じ値であるときに、前記第1光伝搬特性制御手段は、前記第1光変調素子の各画素の光伝搬特性を前記画素値をさらに区分した複数の原始画素値に基づく光伝搬特性に切り換え、且つ、当該切り換えた光伝搬特性を前記n個の画素の制御に応じた時間維持するようになっており、前記第2光伝搬特性制御手段は、前記第1光変調素子の各画素の切換タイミングに合わせて、前記n個の画素の光伝搬特性を前記画素値に基づく光伝搬特性に切換制御するようになっていることを特徴としている。
このような構成であれば、前記第1光伝搬特性制御手段は、前記第1光変調素子の各画素の光伝搬特性を前記画素値をさらに区分した複数の原始画素値に基づく光伝搬特性に切り換え、且つ、当該切り換えた光伝搬特性を前記n個の画素の制御に応じた時間維持することが可能であり、前記第2光伝搬特性制御手段は、前記第1光変調素子の各画素の切換タイミングに合わせて、前記n個の画素の光伝搬特性を前記画素値に基づく光伝搬特性に切換制御することが可能である。
従って、n個の画素に対応する表示画像データの画素値が全て同じ値であるときに、第1光変調素子及び第2光変調素子の対応する各画素の光伝搬特性の切り換え回数を減らすことができるので処理負荷を低減できると共に、対応する画素部分の時分割切換制御による輝度低下を防ぐことができるという効果が得られる。
〔発明4〕 さらに、発明4の光学表示装置は、発明2又は発明3の光学表示装置において、前記第1光伝搬特性制御手段及び第2光伝搬特性制御手段は、表示する画像が静止画像であるときに前記切換制御を行うようになっていることを特徴としている。
このような構成であれば、前記第1光伝搬特性制御手段及び第2光伝搬特性制御手段は、表示する画像が静止画像であるきに前記切換制御を行う。
従って、表示画像データが静止画像のときだけ上記切換制御を行い、一方、表示画像データが動画像であった場合は第1光変調素子の画素と第2光変調素子の画素とを一対一に対応させて、第1光変調素子の解像度で画像を表示するうようにすることで、表示画像が動画像のときには処理負荷を軽減でき、一方、表示画像が静止画像のときは高画質で画像を表示できるという効果が得られる。
ここで、静止画とは、画像データ自体が静止画である場合に限らず、動画データ中において、ある領域のデータが変化しない場合も静止画として含む。
〔発明5〕 さらに、発明5の光学表示装置は、発明2乃至発明4のいずれか1の光学表示装置において、前記第1光伝搬特性制御手段は、前記表示画像データに基づき前記第1光変調素子の各画素における前記原始画素値に応じた光伝搬特性を、当該各画素に対応する前記第2光変調素子の画素の光の伝搬効率よりも高い伝搬効率となる特性に切り換えるようになっていることを特徴としている。
このような構成であれば、前記第1光伝搬特性制御手段は、前記表示画像データに基づき前記第1光変調素子の各画素における前記原始画素値に応じた光伝搬特性を、当該各画素に対応する前記第2光変調素子の画素の光の伝搬効率よりも高い伝搬効率となる特性に切換えることが可能である。
従って、上記時分割の切換制御によって低下する表示画像の輝度を第1光変調素子の各画素の光伝搬効率を高めることにより補うことができるという効果が得られる。
〔発明6〕 さらに、発明6の光学表示装置は、発明2乃至発明4のいずれか1の光学表示装置において、前記第2光伝搬特性制御手段は、前記表示画像データに基づき前記第2光変調素子における画素の前記第2光変調素子制御用の画素値に応じた光伝搬特性を、当該画素に対応する前記第1光変調素子の画素の光の伝搬効率よりも高い伝搬効率となる特性に切り換えることを特徴としている。
このような構成であれば、前記第2光伝搬特性制御手段は、前記表示画像データに基づき前記第2光変調素子における画素の前記第2光変調素子制御用の画素値に応じた光伝搬特性を、当該画素に対応する前記第1光変調素子の画素の光の伝搬効率よりも高い伝搬効率となる特性に切り換えることが可能である。
従って、上記時分割の切換制御によって低下する表示画像の輝度を第2光変調素子の画素の光伝搬効率を高めることにより補うことができるという効果が得られる。
〔発明7〕 さらに、発明7の光学表示装置は、発明2乃至発明6のいずれか1の光学表示装置において、前記第1光変調素子及び前記第2光変調素子は共に前記画素がマトリクス状に配列された構成となっており、前記第2光変調素子の画素数が、前記第1光変調素子の画素数に対して行方向及び列方向共に整数倍であり、前記第1光変調素子の各画素毎に、当該画素と前記第2光変調素子のn個の画素とが規則的に且つ光学的に対応していることを特徴としている。
このような構成であれば、第1光変調素子の各画素と第2光変調素子のn個の画素とが規則的に対応しているので、切り換え処理を簡易に行うことが可能となり、処理の高速化に加え、回路構成及び光学構成の簡略化などによるコストの低減ができるという効果が得られる。
〔発明8〕 さらに、発明8の光学表示装置は、発明7の光学表示装置において、異なる複数の波長領域の光に対応した複数の前記第1光変調素子を備え、前記各第1光変調素子の各画素毎に、当該画素と前記第2光変調素子のn個の画素とが規則的に且つ光学的に対応していることを特徴としている。
このような構成であれば、例えば、光の3原色の各色光のように波長領域の異なる複数の光にそれぞれ対応した複数の第1光変調素子の各画素と、第2光変調素子のn個の画素とが規則的に対応するので、カラー画像の表示において、例えば、第1光変調素子を1つにして回転型のカラーフィルタ等で構成するような場合に比べ、3つの色光を第1光変調素子で別々に変調することができるので、処理速度を向上でき、また、第2光変調素子として従来の液晶表示素子(LCD、液晶ライトバルブ等)を転用できるのでコストを低減することができるという効果が得られる。
〔発明9〕 さらに、発明9の光学表示装置は、発明7又は8の光学表示装置において、前記第2光変調素子の列方向の画素数が、前記第1光変調素子の列方向の画素数の2倍であり、前記第2光伝搬特性切換手段は、前記第2光変調素子の偶数行及び奇数行のいずれか一方から順番に前記表示画像データの画素値に対応する光伝搬特性の前記切換処理を行い、当該切換処理が行われている間は他方の行の画素の光伝搬特性を光の伝搬効率が最低又は略最低となる特性に切り換えるようになっていることを特徴としている。
このような構成であれば、前記第2光伝搬特性制御手段は、前記第2光変調素子の偶数行及び奇数行のいずれか一方の画素から順番に前記切換制御を行い、当該切換制御が行われている間は他方の行の画素の光伝搬特性を光の伝搬効率が最低又は略最低となる特性に切り換えることが可能である。
従って、第2光変調素子において、インターレース走査と同様の手順で光の変調処理を行うことができるので、表示解像度が2倍になっても1倍速動作を2回行うことで画像の表示を行うことができるので、回路構成や光学構成の簡易化によるコスト低減ができるという効果が得られる。
また、インターレース走査と同様の手順により画像を表示するので、動画像の表示品質を向上することができるという効果が得られる。
また、インターレース信号とのマッチングが良くなるためインターレース映像信号による画像表示時の画質が向上する。
〔発明10〕 さらに、発明10の光学表示装置は、発明7又は8の光学表示装置において、前記第2光変調素子の行方向の画素数が、前記第1光変調素子の行方向の画素数の2倍であり、前記第2光伝搬特性切換手段は、前記第2光変調素子の偶数列及び奇数列のいずれか一方から順番に前記表示画像データの画素値に対応する光伝搬特性の前記切換処理を行い、当該切換処理が行われている間は他方の列の画素の光伝搬特性を光の伝搬効率が最低又は略最低となる特性に切り換えるようになっていることを特徴としている。
このような構成であれば、前記第2光伝搬特性制御手段は、前記第2光変調素子の偶数列及び奇数列のいずれか一方の画素から順番に前記切換制御を行い、当該切換制御が行われている間は他方の列の画素の光伝搬特性を光の伝搬効率が最低又は略最低となる特性に切り換えることが可能である。
従って、第2光変調素子において、インターレース走査と同様の手順で光の変調処理を行うことができるので、表示解像度が2倍になっても1倍速動作を2回行うことで画像の表示を行うことができるので、回路構成や光学構成の簡易化によるコスト低減ができるという効果が得られる。
また、インターレース走査と同様の手順により画像を表示するので、動画像の表示品質を向上することができるという効果が得られる。
また、インターレース信号とのマッチングが良くなるためインターレース映像信号による画像表示時の画質が向上する。
〔発明11〕 さらに、発明11の光学表示装置は、発明2乃至発明10のいずれか1の光学表示装置において、前記第2光変調素子は液晶表示素子であることを特徴としている。
このような構成であれば、第2光変調素子として、従来のカラーフィルタ付きのLCDパネルからカラーフィルタを取り外したものを転用したり、従来のカラーフィルタ付きLCDのカラーフィルタをモノクロフィルタに交換したものを転用したりできるので、コストを低減できるという効果が得られる。
〔発明12〕 一方、上記目的を達成するために、発明12の光変調装置は、光伝搬特性を独立に制御可能な複数の画素を有する光変調素子と、輝度を独立に調整可能な複数の光源を有する輝度調整光源とを備え、前記光変調素子の画素と前記輝度調整光源の光源を1:n(nは2以上の整数)で光学的に対応させ、前記光変調素子を介して前記輝度調整光源からの光を変調する光学系に適用される装置であって、前記輝度調整光源のn個の光源のうちその一部を所定輝度で点灯し残部を非点灯とした制御パターンを複数種設定し、前記光変調素子の1画素に対応する前記輝度調整光源のn個の光源を前記複数種の制御パターンのうちいずれかで制御するとともに、前記光変調素子の各画素の光伝搬特性の切換タイミングに合わせて、前記各画素に対応する前記輝度変調光源のn個の光源の制御パターンを切り換えるようになっていることを特徴としている。
このような構成であれば、前記光変調素子の各画素の光伝搬特性を所定特性に時分割で切り替えることが可能であり、前記各画素の光伝搬特性の切り換えタイミングに合わせて、当該各画素に対応するn個の光源の輝度を複数種の制御パターンのいずれかに切り換えることが可能である。
従って、輝度変調光源におけるn個の光源の輝度を、各画素の光伝搬特性の切換えタイミングに合わせて各光源毎に適切な制御パターンに切り換えることによって、輝度変調光源の有する解像度(光源数)の光によって形成される光学像を目的位置に伝達できるという効果が得られる。
また、輝度変調光源および光変調素子により光源の光を2段階に変調するので、比較的高い輝度ダイナミックレンジおよび階調数を実現することができるという効果が得られる。
また、輝度変調光源は、LED(Light Emitting Diode)、OLED(Organic Light Emitting Diode)、蛍光灯などの輝度を調整可能な光源により構成されたものを含む。以下、発明13の光学表示装置、発明24及び25の光変調制御プログラム、並びに、発明37及び38の光変調制御方法において同じである。
また、所定数の光源に対する所定輝度への切り換え処理は、光変調素子の各画素の切り換えタイミングに合わせて、n個の光源を全て消灯する組み合わせも含む。以下、発明24の光変調制御プログラム及び発明37の光変調制御方法において同じである。
〔発明13〕 一方、上記目的を達成するために、発明13の光変調装置は、輝度を独立に調整可能な複数の光源を有する輝度調整光源と、光伝搬特性を独立に制御可能な複数の画素を有する光変調素子とを備え、前記輝度調整光源の光源と前記光変調素子の画素を1:n(nは2以上の整数)で光学的に対応させ、前記光変調素子を介して前記輝度調整光源からの光を変調する光学系に適用される装置であって、前記光変調素子のn個の画素のうちその一部を所定の光伝搬特性とし残部を光の伝搬効率が最低又は略最低となる光伝搬特性にした制御パターンを複数種設定し、前記輝度調整光源の1個の光源に対応する前記光変調素子のn個の画素を前記複数種の制御パターンのうちいずれかで制御するとともに、前記輝度調整光源の各光源の輝度の切換タイミングに合わせて、前記各光源に対応する前記光変調素子のn個の画素の制御パターンを切り換えるようになっていることを特徴としている。
このような構成であれば、前記輝度調整光源の各光源の輝度を時分割で切り換えることが可能であり、前記各光源の輝度の切り換えタイミングに合わせて、当該各光源に対応するn個の画素の光伝搬特性を所定特性に切り換えることが可能である。
従って、各光源に対応するn個の画素の光伝搬特性を、各光源の切換えタイミングに合わせて適切な制御パターンに切り換えることによって、光変調素子の有する解像度(画素数)の光によって形成される光学像を目的位置に伝達できるという効果が得られる。
また、輝度変調光源および光変調素子により光源の光を2段階に変調するので、比較的高い輝度ダイナミックレンジおよび階調数を実現することができるという効果が得られる。
また、複数種の制御パターンは、輝度変調光源の各光源の切り換えタイミングに合わせて、所定数の画素を全て光の伝搬効率が最低又は略最低となる光伝搬特性とする組み合わせも含む。以下、発明25の光変調制御プログラム及び発明38の光変調制御方法において同じである。
〔発明14〕 一方、上記目的を達成するために、発明14の光変調制御プログラムは、光伝搬特性を独立に制御可能な複数の画素を有する第1光変調素子と、光伝搬特性を独立に制御可能で且つ前記第1光変調素子より多数の画素を有する第2光変調素子とを備え、前記第1光変調素子の画素と前記第2光変調素子の画素を1:n(nは2以上の整数)で光学的に対応させ、前記第1光変調素子及び前記第2光変調素子を介して光源からの光を変調する光学系に適用されるプログラムであって、前記第2光変調素子のn個の画素のうちその一部を所定の光伝搬特性とし残部を光の伝搬効率が最低又は略最低となる光伝搬特性にした制御パターンを複数種設定し、前記第1光変調素子の1個の画素に対応する前記第2光変調素子のn個の画素を前記複数種の制御パターンのいずれかで制御するとともに、前記第1光変調素子の画素の光伝搬特性の切換タイミングに合わせて、前記第2光変調素子の画素の制御パターンを切り換えるようになっていることを特徴としている。
ここで、本発明は、発明1の光変調装置に適用可能なプログラムであり、これにより発明1の光変調装置と同等の効果が得られる。
〔発明15〕 一方、上記目的を達成するために、発明15の光学表示装置制御プログラムは、光伝搬特性を独立に制御可能な複数の画素を有する第1光変調素子と、光伝搬特性を独立に制御可能な複数の画素を有する第2光変調素子とを備え、前記第1光変調素子の画素と前記第2光変調素子の画素を1:n(nは2以上の整数)で光学的に対応させ、前記第1光変調素子及び前記第2光変調素子を介して前記光源からの光を変調して画像を表示する光学表示装置を制御するためのプログラムであって、表示画像データのうち1の画素に対応する画素値を、前記第1光変調素子制御用の画素値及び前記第2光変調素子制御用の画素値にそれぞれ区分し、前記第1光変調素子制御用の画素値をさらに複数の原始画素値に区分し、前記第2光変調素子制御用の画素値に基づき前記第2光変調素子のn個の画素のうちその一部を所定の光伝搬特性とし残部を光の伝搬効率が最低又は略最低となる光伝搬特性にした制御パターンを複数種設定し、前記第1光変調素子制御用の各原始画素値に基づいて前記第1光変調素子の画素の光伝搬特性を時分割に切換制御する第1光伝搬特性制御手段、及び、前記第1光変調素子の画素の光伝搬特性の切換タイミングに合わせて、前記第2光変調素子の画素の制御パターンを切換制御する第2光伝搬特性制御手段として実現される処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであることを特徴としている。
ここで、本発明は、発明2の光学表示装置に適用可能なプログラムであり、これにより発明2の光学表示装置と同等の効果が得られる。
〔発明16〕 さらに、発明16の光学表示装置制御プログラムは、発明15の光学表示装置制御プログラムにおいて、前記第1光変調素子の1画素に対応する前記第2光変調素子のn個の画素に対する前記画素値が全て同じ値であるときに、前記第1光伝搬特性制御手段は、前記第1光変調素子の各画素の光伝搬特性を前記画素値をさらに区分した複数の原始画素値に基づく光伝搬特性に切り換え、且つ、当該切り換えた光伝搬特性を前記n個の画素の制御に応じた時間維持するようになっており、前記第2光伝搬特性制御手段は、前記第1光変調素子の各画素の切換タイミングに合わせて、前記n個の画素の光伝搬特性を前記画素値に基づく光伝搬特性に切換制御するようになっていることを特徴としている。
ここで、本発明は、発明3の光学表示装置に適用可能なプログラムであり、これにより発明3の光学表示装置と同等の効果が得られる。
〔発明17〕 さらに、発明17の光学表示装置制御プログラムは、発明15又は16の光学表示装置制御プログラムにおいて、前記第1光伝搬特性制御手段及び第2光伝搬特性制御手段は、表示する画像が静止画像であるときに前記切換制御を行うようになっていることを特徴としている。
ここで、本発明は、発明4の光学表示装置に適用可能なプログラムであり、これにより発明4の光学表示装置と同等の効果が得られる。
〔発明18〕 さらに、発明18の光学表示装置制御プログラムは、発明15乃至17のいずれか1の光学表示装置制御プログラムにおいて、前記第1光伝搬特性制御手段は、前記表示画像データに基づき前記第1光変調素子の各画素における前記原始画素値に応じた光伝搬特性を、当該各画素に対応する前記第2光変調素子の画素の光の伝搬効率よりも高い伝搬効率となる特性に切り換えるようになっていることを特徴としている。
ここで、本発明は、発明5の光学表示装置に適用可能なプログラムであり、これにより発明5の光学表示装置と同等の効果が得られる。
〔発明19〕 さらに、発明19の光学表示装置制御プログラムは、発明15乃至17のいずれか1の光学表示装置制御プログラムにおいて、前記第2光伝搬特性制御手段は、前記表示画像データに基づき前記第2光変調素子における画素の前記第2光変調素子制御用の画素値に応じた光伝搬特性を、当該画素に対応する前記第1光変調素子の画素の光の伝搬効率よりも高い伝搬効率となる特性に切り換えることを特徴としている。
ここで、本発明は、発明6の光学表示装置に適用可能なプログラムであり、これにより発明6の光学表示装置と同等の効果が得られる。
〔発明20〕 さらに、発明20の光学表示装置制御プログラムは、発明15乃至19のいずれか1の光学表示装置制御プログラムにおいて、前記第1光変調素子及び前記第2光変調素子は共に前記画素がマトリクス状に配列された構成となっており、前記第2光変調素子の画素数が、前記第1光変調素子の画素数に対して行方向及び列方向共に整数倍であり、前記第1光変調素子の各画素毎に、当該画素と前記第2光変調素子のn個の画素とが規則的に且つ光学的に対応していることを特徴としている。
ここで、本発明は、発明7の光学表示装置に適用可能なプログラムであり、これにより発明7の光学表示装置と同等の効果が得られる。
〔発明21〕 さらに、発明21の光学表示装置制御プログラムは、発明20の光学表示装置制御プログラムにおいて、異なる複数の波長領域の光に対応した複数の前記第1光変調素子を備え、前記各第1光変調素子の各画素毎に、当該画素と前記第2光変調素子のn個の画素とが規則的に且つ光学的に対応していることを特徴としている。
ここで、本発明は、発明8の光学表示装置に適用可能なプログラムであり、これにより発明8の光学表示装置と同等の効果が得られる。
〔発明22〕 さらに、発明22の光学表示装置制御プログラムは、発明20又は21の光学表示装置制御プログラムにおいて、前記第2光変調素子の列方向の画素数が、前記第1光変調素子の列方向の画素数の2倍であり、前記第2光伝搬特性切換手段は、前記第2光変調素子の偶数行及び奇数行のいずれか一方から順番に前記表示画像データの画素値に対応する光伝搬特性の前記切換処理を行い、当該切換処理が行われている間は他方の行の画素の光伝搬特性を光の伝搬効率が最低又は略最低となる特性に切り換えるようになっていることを特徴としている。
ここで、本発明は、発明9の光学表示装置に適用可能なプログラムであり、これにより発明9の光学表示装置と同等の効果が得られる。
〔発明23〕 さらに、発明23の光学表示装置制御プログラムは、発明20又は21の光学表示装置制御プログラムにおいて、前記第2光変調素子の行方向の画素数が、前記第1光変調素子の行方向の画素数の2倍であり、前記第2光伝搬特性切換手段は、前記第2光変調素子の偶数列及び奇数列のいずれか一方から順番に前記表示画像データの画素値に対応する光伝搬特性の前記切換処理を行い、当該切換処理が行われている間は他方の列の画素の光伝搬特性を光の伝搬効率が最低又は略最低となる特性に切り換えるようになっていることを特徴としている。
ここで、本発明は、発明10の光学表示装置に適用可能なプログラムであり、これにより発明10の光学表示装置と同等の効果が得られる。
〔発明24〕 一方、上記目的を達成するために、発明24の光変調制御プログラムは、光伝搬特性を独立に制御可能な複数の画素を有する光変調素子と、輝度を独立に調整可能な複数の光源を有する輝度調整光源とを備え、前記光変調素子の画素と前記輝度調整光源の光源を1:n(nは2以上の整数)で光学的に対応させ、前記光変調素子を介して前記輝度調整光源からの光を変調する光学系に適用されるプログラムであって、前記輝度調整光源のn個の光源のうちその一部を所定輝度で点灯し残部を非点灯とした制御パターンを複数種設定し、前記光変調素子の1画素に対応する前記輝度調整光源のn個の光源を前記複数種の制御パターンのうちいずれかで制御するとともに、前記光変調素子の各画素の光伝搬特性の切換タイミングに合わせて、前記各画素に対応する前記輝度変調光源のn個の光源の制御パターンを切り換えるようになっていることを特徴としている。
ここで、本発明は、発明12の光変調装置に適用可能なプログラムであり、これにより発明12の光変調装置と同等の効果が得られる。
〔発明25〕 一方、上記目的を達成するために、発明25の光変調制御プログラムは、輝度を独立に調整可能な複数の光源を有する輝度調整光源と、光伝搬特性を独立に制御可能な複数の画素を有する光変調素子とを備え、前記輝度調整光源の光源と前記光変調素子の画素を1:n(nは2以上の整数)で光学的に対応させ、前記光変調素子を介して前記輝度調整光源からの光を変調する光学系に適用されるプログラムであって、前記光変調素子のn個の画素のうちその一部を所定の光伝搬特性とし残部を光の伝搬効率が最低又は略最低となる光伝搬特性にした制御パターンを複数種設定し、前記輝度調整光源の1個の光源に対応する前記光変調素子のn個の画素を前記複数種の制御パターンのうちいずれかで制御するとともに、前記輝度調整光源の各光源の輝度の切換タイミングに合わせて、前記各光源に対応する前記光変調素子のn個の画素の制御パターンを切り換えるようになっていることを特徴としている。
ここで、本発明は、発明13の光変調装置に適用可能なプログラムであり、これにより発明13の光変調装置と同等の効果が得られる。
〔発明26〕 一方、上記目的を達成するために、発明26の光変調制御方法は、光伝搬特性を独立に制御可能な複数の画素を有する第1光変調素子と、光伝搬特性を独立に制御可能で且つ前記第1光変調素子より多数の画素を有する第2光変調素子とを備え、前記第1光変調素子の画素と前記第2光変調素子の画素を1:n(nは2以上の整数)で光学的に対応させ、前記第1光変調素子及び前記第2光変調素子を介して光源からの光を変調する光学系に適用される方法あって、前記第2光変調素子のn個の画素のうちその一部を所定の光伝搬特性とし残部を光の伝搬効率が最低又は略最低となる光伝搬特性にした制御パターンを複数種設定し、前記第1光変調素子の1個の画素に対応する前記第2光変調素子のn個の画素を前記複数種の制御パターンのいずれかで制御するとともに、前記第1光変調素子の画素の光伝搬特性の切換タイミングに合わせて、前記第2光変調素子の画素の制御パターンを切り換えることを特徴としている。
これにより、発明1の光変調装置と同等の効果が得られる。
〔発明27〕 一方、上記目的を達成するために、発明27の光学表示装置制御方法は、光伝搬特性を独立に制御可能な複数の画素を有する第1光変調素子と、光伝搬特性を独立に制御可能な複数の画素を有する第2光変調素子とを備え、前記第1光変調素子の画素と前記第2光変調素子の画素を1:n(nは2以上の整数)で光学的に対応させ、前記第1光変調素子及び前記第2光変調素子を介して光源からの光を変調して画像を表示する光学表示装置を制御するための方法であって、表示画像データのうち1の画素に対応する画素値を、前記第1光変調素子制御用の画素値及び前記第2光変調素子制御用の画素値にそれぞれ区分し、前記第1光変調素子制御用の画素値をさらに複数の原始画素値に区分し、前記第2光変調素子制御用の画素値に基づき前記第2光変調素子のn個の画素のうちその一部を所定の光伝搬特性とし残部を光の伝搬効率が最低又は略最低となる光伝搬特性にした制御パターンを複数種設定し、前記第1光変調素子制御用の各原始画素値に基づいて前記第1光変調素子の画素の光伝搬特性を時分割に切換制御する第1光伝搬特性制御ステップと、前記第1光変調素子の画素の光伝搬特性の切換タイミングに合わせて、前記第2光変調素子の画素の制御パターンを切換制御する第2光伝搬特性制御ステップとを含むことを特徴としている。
これにより、発明2の光学表示装置と同等の効果が得られる。
〔発明28〕 さらに、発明28の光学表示装置制御方法は、発明27の光学表示装置制御方法において、前記第1光変調素子の1画素に対応する前記第2光変調素子のn個の画素に対する前記画素値が全て同じ値であるときに、前記第1光伝搬特性制御ステップにおいては、前記第1光変調素子の各画素の光伝搬特性を前記画素値をさらに区分した複数の原始画素値に基づく光伝搬特性に切り換え、且つ、当該切り換えた光伝搬特性を前記n個の画素の制御に応じた時間維持し、前記第2光伝搬特性制御ステップにおいては、前記第1光変調素子の各画素の切換タイミングに合わせて、前記n個の画素の光伝搬特性を前記画素値に基づく光伝搬特性に切換制御することを特徴としている。
これにより、発明3の光学表示装置と同等の効果が得られる。
〔発明29〕 さらに、発明29の光学表示装置制御方法は、発明27又は28の光学表示装置制御方法において、前記第1光伝搬特性制御ステップ及び第2光伝搬特性制御ステップにおいては、表示する画像が静止画像であるときに前記切換制御を行うことを特徴としている。
これにより、発明4の光学表示装置と同等の効果が得られる。
〔発明30〕 さらに、発明30の光学表示装置制御方法は、発明27乃至29のいずれか1の光学表示装置制御方法において、前記第1光伝搬特性制御ステップにおいては、前記表示画像データに基づき前記第1光変調素子の各画素における前記原始画素値に応じた光伝搬特性を、当該各画素に対応する前記第2光変調素子の画素の光の伝搬効率よりも高い伝搬効率となる特性に切り換えることを特徴としている。
これにより、発明5の光学表示装置と同等の効果が得られる。
〔発明31〕 さらに、発明31の光学表示装置制御方法は、発明27乃至30のいずれか1の光学表示装置制御方法において、前記第2光伝搬特性制御ステップにおいては、前記表示画像データに基づき前記第2光変調素子における画素の前記第2光変調素子制御用の画素値に応じた光伝搬特性を、当該画素に対応する前記第1光変調素子の画素の光の伝搬効率よりも高い伝搬効率となる特性に切り換えることを特徴としている。
これにより、発明6の光学表示装置と同等の効果が得られる。
〔発明32〕 さらに、発明32の光学表示装置制御方法は、発明27乃至31のいずれか1の光学表示装置制御方法において、前記第1光変調素子及び前記第2光変調素子は共に前記画素がマトリクス状に配列された構成となっており、前記第2光変調素子の画素数が、前記第1光変調素子の画素数に対して行方向及び列方向共に整数倍であり、前記第1光変調素子の各画素毎に、当該画素と前記第2光変調素子のn個の画素とが規則的に且つ光学的に対応していることを特徴としている。
これにより、発明7の光学表示装置と同等の効果が得られる。
〔発明33〕 さらに、発明33の光学表示装置制御方法は、発明32の光学表示装置制御方法において、異なる複数の波長領域の光に対応した複数の前記第1光変調素子を備え、前記各第1光変調素子の各画素毎に、当該画素と前記第2光変調素子のn個の画素とが規則的に且つ光学的に対応していることを特徴としている。
これにより、発明8の光学表示装置と同等の効果が得られる。
〔発明34〕 さらに、発明34の光学表示装置制御方法は、発明31又は32の光学表示装置制御方法において、前記第2光変調素子の列方向の画素数が、前記第1光変調素子の列方向の画素数の2倍であり、前記第2光伝搬特性切換ステップにおいては、前記第2光変調素子の偶数行及び奇数行のいずれか一方から順番に前記表示画像データの画素値に対応する光伝搬特性の前記切換処理を行い、当該切換処理が行われている間は他方の行の画素の光伝搬特性を光の伝搬効率が最低又は略最低となる特性に切り換えることを特徴としている。
これにより、発明9の光学表示装置と同等の効果が得られる。
〔発明35〕 さらに、発明35の光学表示装置制御方法は、発明31又は32の光学表示装置制御方法において、前記第2光変調素子の行方向の画素数が、前記第1光変調素子の行方向の画素数の2倍であり、前記第2光伝搬特性切換ステップにおいては、前記第2光変調素子の偶数列及び奇数列のいずれか一方から順番に前記表示画像データの画素値に対応する光伝搬特性の前記切換処理を行い、当該切換処理が行われている間は他方の列の画素の光伝搬特性を光の伝搬効率が最低又は略最低となる特性に切り換えることを特徴としている。
これにより、発明10の光学表示装置と同等の効果が得られる。
〔発明36〕 さらに、発明36の光学表示装置制御方法は、発明31又は32の光学表示装置制御方法において、前記第2光変調素子は液晶表示素子であることを特徴としている。
これにより、発明11の光学表示装置と同等の効果が得られる。
〔発明37〕 一方、上記目的を達成するために発明37の光変調制御方法は、光伝搬特性を独立に制御可能な複数の画素を有する光変調素子と、輝度を独立に調整可能な複数の光源を有する輝度調整光源とを備え、前記光変調素子の画素と前記輝度調整光源の光源を1:n(nは2以上の整数)で光学的に対応させ、前記光変調素子を介して前記輝度調整光源からの光を変調する光学系に適用される方法であって、前記輝度調整光源のn個の光源のうちその一部を所定輝度で点灯し残部を非点灯とした制御パターンを複数種設定し、前記光変調素子の1画素に対応する前記輝度調整光源のn個の光源を前記複数種の制御パターンのうちいずれかで制御するとともに、前記光変調素子の各画素の光伝搬特性の切換タイミングに合わせて、前記各画素に対応する前記輝度変調光源のn個の光源の制御パターンを切り換えることを特徴としている。
これにより、発明12の光変調装置と同等の効果が得られる。
〔発明38〕 一方、上記目的を達成するために発明38の光変調制御方法は、輝度を独立に調整可能な複数の光源を有する輝度調整光源と、光伝搬特性を独立に制御可能な複数の画素を有する光変調素子とを備え、前記輝度調整光源の光源と前記光変調素子の画素を1:n(nは2以上の整数)で光学的に対応させ、前記光変調素子を介して前記輝度調整光源からの光を変調する光学系に適用される方法であって、前記光変調素子のn個の画素のうちその一部を所定の光伝搬特性とし残部を光の伝搬効率が最低又は略最低となる光伝搬特性にした制御パターンを複数種設定し、前記輝度調整光源の1個の光源に対応する前記光変調素子のn個の画素を前記複数種の制御パターンのうちいずれかで制御するとともに、前記輝度調整光源の各光源の輝度の切換タイミングに合わせて、前記各光源に対応する前記光変調素子のn個の画素の制御パターンを切り換えることを特徴としている。
これにより、発明13の光変調装置と同等の効果が得られる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。図1〜図15は、本発明に係る光変調装置、光学表示装置、光変調制御プログラムおよび光学表示装置制御プログラム、並びに光変調制御方法および光学表示装置制御方法の実施の形態を示す図である。
本実施の形態は、本発明に係る光変調装置、光学表示装置、光変調制御プログラムおよび光学表示装置制御プログラム、並びに光変調制御方法および光学表示装置制御方法を、図1に示すように、投射型表示装置100に適用したものである。
まず、投射型表示装置100の構成を図1に基づき説明する。
図1は、投射型表示装置100の主たる光学構成を示すブロック図である。
投射型表示装置100は、図1に示すように、超高圧水銀ランプやキセノンランプ等から成る光源10と、光源10からの光の輝度むらを分散し、照射面で一様な照度分布を得るための2枚のフライアイレンズ32a,32bと、フライアイレンズ32a,32bを介して入射した光の波長領域のうちRGB3原色の輝度をそれぞれ変調する色変調部14と、色変調部14から入射した光をリレーレンズ50に効率よく入射させるための入射側レンズ47と、入射側レンズ47を介して入射した光を後述する輝度変調部15にその強度分布をほぼ保存した状態で、かつ光損失を殆ど伴うことなく正確に伝達するためのリレーレンズ50と、リレーレンズ50を介して入射した光の全波長領域の輝度を変調する輝度変調部15と、輝度変調部15から入射した光をスクリーン(不図示)に投射する投射部16とで構成されている。
色変調部14は、透過率を独立に制御可能な複数の画素をマトリクス状に配列した構成の3枚の液晶ライトバルブ40R,40G,40B(以下、液晶ライトバルブ40R〜40Bと略記する)と、5枚のフィールドレンズ42R,42G,42B1〜42B3と、2枚のダイクロイックミラー44a,44bと、3枚のミラー46a,46b,46cと、ダイクロイックプリズム45とで構成されている。
輝度変調部15は、リレーレンズ50を介して入射した光を略平行化して液晶ライトバルブ30に向けて出射するための出射側レンズ48と、透過率を独立に制御可能な複数の画素をマトリクス状に配列しかつ液晶ライトバルブ40R,40G,40Bよりも高い解像度を有する液晶ライトバルブ30とで構成されている。
まず、2枚のフライアイレンズ32a,32bを介して色変調部14に入射した光をダイクロイックミラー44a,44bにより赤色、緑色および青色のRGB3原色に分光するとともに、フィールドレンズ42R,42G,42B1〜42B3およびミラー46a〜46cを介して液晶ライトバルブ40R〜40Bに入射する。そして、分光したRGB3原色の光の輝度を液晶ライトバルブ40R〜40Bによりそれぞれ変調し、変調したRGB3原色の光をダイクロイックプリズム45により集光して入射側レンズ47、リレーレンズ50及び出射側レンズ48を介して液晶ライトバルブ30に入射する。更に、液晶ライトバルブ30により、入射光の全波長領域の輝度を変調し投射部16に出射する。
ここで、液晶ライトバルブ30,40R〜40Bは、画素電極およびこれを駆動するための薄膜トランジスタ素子や薄膜ダイオード等のスイッチング素子がマトリクス状に形成されたガラス基板と、全面にわたって共通電極が形成されたガラス基板との間にTN型液晶を挟み込むとともに、外面に偏光板を配置したアクティブマトリックス型の液晶表示素子である。制御値(印加電圧)に応じて透過率を変え、液晶ライトバルブを通過する光の強度を変調することができる。例えば、電圧印加状態で白/明(透過)状態、電圧非印加状態で黒/暗(非透過)状態となり、与えられた制御値に応じてその間の階調がアナログ的に制御される。液晶ライトバルブ30,40R〜40Bは、何れも透過光の強度を変調し、その変調度合いに応じた光学像を内包する点では同じであるが、前者の液晶ライトバルブ30は全波長域の光(白色光)を変調するのに対して、後者の液晶ライトバルブ40R〜40Bは分光された特定波長領域の光(R,G,Bなどの色光)を変調する点で両者は異なっている。従って、以下では液晶ライトバルブ40R〜40Bで行われる光強度変調を色変調、液晶ライトバルブ30で行われる光強度変調を輝度変調と便宜的に呼称して区別する。また、同様の観点から、液晶ライトバルブ40R〜40Bを色変調ライトバルブ、液晶ライトバルブ30を輝度変調ライトバルブと呼称して区別する。
投射型表示装置100は、輝度変調ライトバルブおよび色変調ライトバルブを制御する表示制御装置200(不図示)を有している。本実施の形態では、輝度変調ライトバルブは色変調ライトバルブよりも高い解像度を有し、よって、輝度変調ライトバルブが表示解像度(投射型表示装置100の表示画像を観測者が見たときに観測者が知覚する解像度をいう。)を決定する。勿論、表示解像度の関係はこれに限定されず、色変調ライトバルブが表示解像度を決定する構成も可能である。また、本実施の形態では、輝度変調ライトバルブ及び色変調ライトバルブ共に、電圧印加状態で白/明(透過)状態、電圧非印加状態で黒/暗(非透過)状態となるノーマリーブラックモードの液晶ライトバルブを適用している。また、液晶ライトバルブ40R〜40Bにおいて変調され、かつダイクロイックプリズム45により集光された光に内包された光学像は、入射側レンズ47、リレーレンズ50及び出射側レンズ48によって構成されるリレー光学系を介することによって、反転した状態(倒立像)で液晶ライトバルブ30に伝達される。
次に、表示制御装置200の構成を図2に基づき説明する。
図2は、表示制御装置200のハードウェア構成を示すブロック図である。
表示制御装置200は、図2に示すように、制御プログラムに基づいて演算およびシステム全体を制御するCPU170と、所定領域にあらかじめCPU170の制御プログラム等を格納しているROM172と、ROM172等から読み出したデータやCPU170の演算過程で必要な演算結果を格納するためのRAM174と、外部装置に対してデータの入出力を媒介するI/F178とで構成されており、これらは、データを転送するための信号線であるバス179で相互にかつデータ授受可能に接続されている。
I/F178には、外部装置として、輝度変調ライトバルブ(液晶ライトバルブ30)および色変調ライトバルブ(液晶ライトバルブ40R〜40B)を駆動するライトバルブ駆動装置180と、データやテーブル等をファイルとして格納する記憶装置182と、外部のネットワーク199に接続するための信号線とが接続されている。
記憶装置182は、輝度変調ライトバルブおよび色変調ライトバルブを駆動するためのHDR表示データを記憶している。
HDR表示データは、従来のsRGB等の画像フォーマットでは実現できない高い輝度ダイナミックレンジを実現することができる画像データであり、画素の輝度レベルを示す画素値を画像の全画素について格納している。本実施の形態では、HDR表示データとして、1つの画素についてRGB3原色ごとに放射輝度レベルを示す画素値を浮動小数点値として格納した形式を用いる。例えば、1つの画素の画素値として(1.2,5.4,2.3)という値が格納されている。
なお、HDR表示データの生成方法の詳細については、例えば、公知文献1「P.E.Debevec, J.Malik,”Recovering High Dynamic Range Radiance Maps from Photographs”, Proceedings of ACM SIGGRAPH97, pp.367-378(1997)」に掲載されている。
また、記憶装置182は、色変調ライトバルブ及び輝度変調ライトバルブの制御値を登録した制御値登録テーブルを記憶している。
次に、図3に基づき、色変調ライトバルブと輝度変調ライトバルブとの画素の関係を説明する。図3(a)は、色変調ライトバルブの画素面の構成を示す図であり、(b)は輝度変調ライトバルブの画素面の構成を示す図である。
本実施の形態においては、説明の便宜上、図3(a)に示すように、色変調ライトバルブ(液晶ライトバルブ40R〜40B)の画素面は縦3画素×横4画素から構成されており、図3(b)に示すように、輝度変調ライトバルブ(液晶ライトバルブ30)の画素面は縦3画素×横12画素から構成されている。つまり、輝度変調ライトバルブの横の解像度が色変調ライトバルブの横の解像度の丁度3倍となっている。
本実施の形態においては、色変調ライトバルブの1画素毎に、輝度変調ライトバルブの複数画素を光学的に対応させ、色変調ライトバルブの各画素の透過率とこれと対応する輝度変調ライトバルブの複数画素の透過率とを時分割に切り替えることによって、輝度変調ライトバルブの解像度でHDR画像の高品質表示を行う。ここでは、色変調ライトバルブの1画素と輝度変調ライトバルブの3画素とを光学的に対応させる。
具体的には、図3(a)に示す色変調ライトバルブの画素P11と、図3(b)に示す輝度変調ライトバルブの画素A34〜C34から成る画素ブロックP34とを光学的に対応させる。同様に、色変調ライトバルブの画素P12〜P14,P21〜P24,P31〜P34を、輝度変調ライトバルブの画素ブロックP34(A33〜C33)〜P31(A32〜C32),P24(A31〜C31)〜P21(A21〜C21),P14(A14〜C14)〜P11(A11〜C11)と光学的に対応させる。
ここで、色変調ライトバルブのP11(左上)と輝度変調ライトバルブのP34(右下)とが対応するのは、上記したように、輝度変調ライトバルブの表示面に結像される光学像が、入射側レンズ47、リレーレンズ50及び出射側レンズ48によって構成されるリレー光学系により倒立像となるためである。
次に、CPU170の構成およびCPU170で実行される処理を説明する。
CPU170は、マイクロプロセッシングユニット(MPU)等からなり、ROM172の所定領域に格納されている所定のプログラムを起動させ、そのプログラムに従って、図4のフローチャートに示す表示制御処理を実行するようになっている。
図4は、表示制御処理を示すフローチャートである。
表示制御処理は、HDR表示データに基づいて輝度変調ライトバルブおよび色変調ライトバルブの制御値をそれぞれ決定し、決定した制御値に基づいて輝度変調ライトバルブおよび色変調ライトバルブを駆動する処理であって、CPU170において実行されると、図4に示すように、まず、ステップS100に移行するようになっている。
ステップS100では、HDR表示データを記憶装置182から読み出しステップS102に移行する。
ステップS102では、上記読み出したHDR表示データを解析し、画素値のヒストグラムや、輝度レベルの最大値、最小値および平均値等を算出してステップS104に移行する。ここで、解析結果は、暗めのシーンを明るくしたり、明るすぎるシーンを暗くしたり、中間部コントラストを協調するなどの自動画像補正に使用したり、トーンマッピングに使用したりする。
ステップS104では、ステップS102の解析結果に基づいて、HDR表示データの輝度レベルを投射型表示装置1の輝度ダイナミックレンジにトーンマッピングしてステップS106に移行する。
ここで、図5は、トーンマッピング処理を説明するための図である。
HDR表示データを解析した結果、HDR表示データに含まれる輝度レベルの最小値がSminで、最大値がSmaxであるとする。また、投射型表示装置1の輝度ダイナミックレンジの最小値がDminで、最大値がDmaxであるとする。図5の例では、SminがDminよりも小さく、SmaxがDmaxよりも大きいので、このままでは、HDR表示データを適切に表示することができない。そこで、Smin〜SmaxのヒストグラムがDmin〜Dmaxのレンジに収まるように正規化する。
なお、トーンマッピングの詳細については、例えば、公知文献2「F.Drago, K.Myszkowski, T.Annen, N.Chiba,”Adaptive Logarithmic Mapping For Displaying High Contrast Scenes”, Eurographics 2003,(2003)」に掲載されている。
ステップS106では、輝度変調ライトバルブの解像度に合わせてHDR画像をリサイズ(拡大または縮小)してステップS108に移行する。ここで、HDR画像のアスペクト比を保持したままHDR画像をリサイズする。また、リサイズ方法としては、例えば、平均値法、中間値法、ニアレストネイバー法(最近傍法)が挙げられる。
ステップS108では、リサイズ画像の画素の輝度レベルRpおよび光源10の輝度Rsに基づいて、上式(1)により、リサイズ画像の各画素ごとに光変調率Tpを算出してステップS110に移行する。
ステップS110では、色変調ライトバルブの各画素に対応する輝度変調ライトバルブの複数の画素毎にこれら複数画素の透過率T2の組み合わせを決定してステップS112に移行する。本実施の形態においては、色変調ライトバルブの1画素に対して輝度変調ライトバルブの3画素が対応しているので、これら3画素に対応する表示画像データの画素データ(ここでは、画素データa〜cとする)に基づき設定する。例えば、色変調ライトバルブのP11に対応する輝度変調ライトバルブのP34については、A34を表示画像データの対応する画素の輝度情報に応じた透過率T2Aとし、残りのB34及びC34を輝度変調ライトバルブにおける最低の透過率(電圧非印加)とした組み合わせと、B34を表示画像データの対応する画素の輝度情報に応じた透過率T2Bとし、残りのA34及びC34を輝度変調ライトバルブにおける最低の透過率とした組み合わせと、C34を表示画像データの対応する画素の輝度情報に応じた透過率T2Cとし、残りのA34及びB34を輝度変調ライトバルブにおける最低の透過率とした組み合わせとの表示画像データの3画素にそれぞれ対応する3つの組み合わせを決定する。以下、上記した輝度変調ライトバルブの透過率の組み合わせを、透過率T2Aを含むものをT2AS、透過率T2Bを含むものをT2BS、透過率T2Cを含むものをT2CSと称す。
ステップS112では、算出した光変調率Tp、上記決定した透過率T2A〜T2CおよびゲインGに基づいて、上式(2)により、輝度変調ライトバルブの3画素単位で、これら3画素に対応する色変調ライトバルブの1画素の透過率T1を算出してステップS114に移行する。ここでは、上記T2A〜T2Cを用いて輝度変調ライトバルブの3画素に対応した透過率T1A〜T1Cを算出する。ここで、本実施の形態では、投射型表示装置100は、色変調ライトバルブとして、3原色(RGB)の各色にそれぞれ対応した液晶ライトバルブ40R〜40Bを有しているので、透過率T1は各液晶ライトバルブ毎に決定される。従って、実際には、T2Aに対してT1A(R),T1A(G),T1A(B)(以下、T1A(R)〜T1A(B)と略記する)が、T2Bに対してT1B(R),T1B(G),T1B(B)(以下、T1A(R)〜T1A(B)と略記する)が、T2Cに対してT1C(R),T1C(G),T1C(B)(以下、T1C(R)〜T1C(B)と略記する)がそれぞれ決定される。
ステップS114では、ステップS110,S112で決定したT1A〜T1C及びT2AS〜T2CSに対応した制御値を記憶装置182から読み出しライトバルブ駆動装置180に入力してステップS116に移行する。
ステップS116では、ライトバルブ駆動装置180によって、色変調ライトバルブの各画素の透過率を上記算出したT1A〜T1Cの各々に所定時間間隔(例えば、1/120秒間隔)で順番に切り替え、一方、色変調ライトバルブの各画素に対応する輝度変調ライトバルブの3画素の透過率を、色変調ライトバルブの各画素の透過率T1A〜T1Cの切り替えタイミングに合わせて、T2AS〜T2CSの各々に順番に切り替えることにより、投影部16を介してHDR画像をスクリーン上に投影し、一連の処理を終了して元の処理に復帰させる。ここで、色変調ライトバルブの各画素の透過率の切り替え順番と、これに対応する輝度変調ライトバルブの3画素の透過率の切り替え順番とは、HDR表示データの対応する画素に基づいて決定される。
ここで、図6は、透過率の切り換え処理のタイミングチャートであり、図7は、輝度変調ライトバルブにおける画像の表示結果を示す図である。
図6に示すように、ライトバルブ駆動装置180によって、液晶ライトバルブ40R〜40Bの各画素に対して、それぞれHDR表示データの画素aに対応した透過率T1A(R)〜T1A(B)となるように、駆動電圧V1A(R)〜V1A(B)をそれぞれ印加し、一方、輝度変調ライトバルブの対応する3画素(ここでは、画素A〜C)に対して、HDR表示データの画素データaに対応する画素Aについては、透過率T2Aとなるように駆動電圧V2Aを印加し、残りの画素B及び画素Cについては駆動電圧を印加しない。これにより、色変調ライトバルブの画素データa〜cに対応する画素(液晶ライトバルブ40R〜40B)には、透過率T1A(R)〜T1A(B)が設定され、輝度変調ライトバルブの画素Aには透過率T2Aが設定される。ここで、図6中のTdは、液晶の応答にかかる時間を示しており、液晶は電圧を印加してから所望の透過率に変化するまで時間Tdを要する。
そして、駆動電圧V1A(R)〜V1A(B)及び駆動電圧V2Aを印加後、1/120秒が経過すると、液晶ライトバルブ40R〜40Bの各画素に対して、それぞれHDR表示データの画素bに対応した透過率T1B(R)〜T1B(B)となるように、駆動電圧V1B(R)〜V1B(B)をそれぞれ印加し、一方、HDR表示データの画素データbに対応する画素Bについては、透過率T2Bとなるように駆動電圧V2Bを印加し、残りの画素A及び画素Cについては駆動電圧を印加しない。これにより、色変調ライトバルブの画素データa〜cに対応する画素(液晶ライトバルブ40R〜40B)には、透過率T1B(R)〜T1B(B)が設定され、輝度変調ライトバルブの画素Bには透過率T2Bが設定される。
更に、駆動電圧V1B(R)〜V1B(B)及び駆動電圧V2Bを印加後、1/120秒が経過すると、液晶ライトバルブ40R〜40Bの各画素に対して、それぞれHDR表示データの画素cに対応した透過率T1C(R)〜T1C(B)となるように、駆動電圧V1C(R)〜V1C(B)をそれぞれ印加し、一方、HDR表示データの画素データcに対応する画素Cについては、透過率T2Cとなるように駆動電圧V2Cを印加し、残りの画素A及び画素Bについては駆動電圧を印加しない。これにより、色変調ライトバルブの画素データa〜cに対応する画素(液晶ライトバルブ40R〜40B)には、透過率T1C(R)〜T1C(B)が設定され、輝度変調ライトバルブの画素Cには透過率T2Cが設定される。
上記したように、輝度変調ライトバルブにおける3画素(画素A〜C)のうち1画素だけを透過状態にし残り2画素を不透過(最低透過率)の状態にする処理を、1/120秒という短い時間間隔で画素ABCの順に行うことにより、人間の目には輝度変調ライトバルブの画素A、B、Cを透過する光が積分され、その結果、透過した光(画像A、B、C)がスクリーン上に同時に表示されているように見える。
つまり、図7に示すように、始めの1/120秒において色変調ライトバルブの画素を透過率T1A(R)〜T1A(B)で透過した光が輝度変調ライトバルブの画素Aを透過率T2Aで透過することでスクリーン上には図7中70aに示す表示内容が表示され、次の1/120秒において色変調ライトバルブの画素を透過率T1B(R)〜T1B(B)で透過した光が輝度変調ライトバルブの画素Bを透過率T2Bで透過することでスクリーン上には図7中70bに示す表示内容が表示され、最後の1/120秒において色変調ライトバルブの画素を透過率T1C(R)〜T1C(B)で透過した光が輝度変調ライトバルブの画素Cを透過率T2Cで透過することでスクリーン上には図7中70cに示す表示内容が表示される。図7中の70a〜70cに示す各表示内容は、1/120秒という短い時間間隔で順番に且つ高速に切り替わるため、これらの表示内容を見ると、人間には上記した理由により図7中70dに示す表示内容(A、B、Cが全て表示)として知覚される。従って、上記処理を輝度変調ライトバルブの全画素に対して行うことにより、1フレームあたり1/40秒のHDR画像のフルカラー表示が実現される。
なお、上記実施の形態おいては、輝度変調ライトバルブの横の解像度が色変調ライトバルブの3倍である場合を例として説明したが、この倍率は3倍に限らず、2倍でも良いし、制御可能な範囲内であれば4倍以上の倍率であっても良い。
また、上記実施の形態においては、輝度変調ライトバルブの横の解像度が色変調ライトバルブの3倍である場合を例として説明したが、これに限らず、輝度変調ライトバルブの縦の解像度が色変調ライトバルブの縦の解像度より高い場合、あるいは、縦と横の解像度がいずれも高い場合でも上記同様の処理によって、輝度変調ライトバルブの解像度でHDR画像のフルカラー表示を実現することが可能である。
以上のような構成の投射型表示装置100に依れば次のような効果を奏する。色変調ライトバルブにおける各画素の透過率を、HDR表示データの対応する3つの画素データa〜cに応じた透過率に1/120秒という短い時間間隔でa〜cの順に切り換え、一方、色変調ライトバルブの透過率の切り換えタイミングに合わせて(同期して)、これに対応する輝度変調ライトバルブにおける3画素(画素A〜C)のうち1画素だけを透過状態にし残り2画素を不透過(最低透過率)の状態にする処理を、1/120秒という短い時間間隔で画素ABCの順に行うことにより、輝度変調ライトバルブの解像度によってHDR画像のフルカラー表示が可能である。
また、直列に配置された2種類の光変調素子(色変調ライトバルブと輝度変調ライトバルブ)を介して光源10からの光を変調するので、比較的高い輝度ダイナミックレンジおよび階調数を実現することができる。
なお、動画のように表示画像が変化する場合には、人間の視覚の解像度は相対的に落ちるため、上記一連の表示処理を、静止画像にのみ行うようにしても良い。但し、ここで、静止画とは、画像データ自体が静止画である場合に限らず、動画データ中において、ある領域のデータが変化しない場合も静止画として含む。
[変形例1]
上記実施の形態においては、色変調ライトバルブの各画素に対応する輝度変調ライトバルブの複数画素(例えば、3画素)に対する表示内容が全て同じ内容のものであっても、上記同様に色変調ライトバルブの各画素及びこれに対応する輝度変調ライトバルブの複数画素を短い時間間隔で順次切り換える処理を行う。しかし、表示処理のアルゴリズムは上記実施の形態の方法に限定されるものではなく、本変形例1においては、投射型表示装置100に、輝度変調ライトバルブの複数画素に対して表示内容が全て同じであった場合に、透過率の切り換え処理を省略する機能を追加した。また、上記実施の形態においては、短い時間間隔で透過率を時分割で切り換えているため、例えば、3画素に対する透過率を時間間隔1/120秒で時分割に切り換える場合には、これらの画素について表示輝度が1/3に低下してしまう。本変形例1においては、投射型表示装置100に、更に透過率の切り換え処理によって低下する表示輝度を補う機能を追加した。
以下、図8に基づき、輝度変調ライトバルブの複数画素に対して表示内容が全て同じであった場合に、透過率の切り換え処理を省略する処理と、透過率の切り換え処理によって低下する表示輝度を補う処理とについて説明する。
ここで、図8(a)は、輝度変調ライトバルブの各画素と表示画像データの画素値との対応関係を示す図であり、(b)は、(a)の表示内容に対応した色変調ライトバルブ側の透過率の切換内容を示す図であり、(c)は、(a)の表示内容に対応した輝度変調ライトバルブ側の透過率の切換内容を示す図であり、(d)は、(b)と(c)の切換処理の組み合わせによる表示結果を示す図であり、(e)は、色変調ライトバルブ側において輝度を補う処理を行う一例を示す図であり、(f)は、輝度変調ライトバルブ側において輝度を補う処理を行う一例を示す図である。但し、図8(a)〜(f)は、色変調ライトバルブの1画素に対して、輝度変調ライトバルブの3画素を対応させた場合のものである。
図8(a)に示すように、色変調ライトバルブの4画素(1画素×4)に対応する輝度変調ライトバルブの12画素(3画素×4)に対して、その表示内容が真中上の3画素に対してはそれぞれ異なる内容(ABC)であり、それ以外の左上(AAA)、右上(CCC)及び真中下(BBB)の9画素に対しては各3画素のブロック毎に同じ内容である場合に、真中上の3画素に対しては、上記実施の形態と同様に時系列の表示処理を行う。
一方、残りの9画素については、例えば、左上の3画素については、これに対応する色変調ライトバルブの画素の透過率を画素データに応じた透過率(3画素に共通の透過率)に切り換えた後に1/40秒が経過するまで同じ透過率を維持し、一方、色変調ライトバルブの切り換えタイミングに合わせて、輝度変調ライトバルブの左上の3画素に対する透過率も3画素とも画素データに応じた透過率(3画素に共通の透過率)に設定して、これも1/40秒維持する。この処理は、右上の3画素及び真中下の3画素についても同様に行う。これにより、真中上の3画素に対して行う色変調ライトバルブ及び輝度変調ライトバルブによる表示処理よりも、残りの9画素に対して行う表示処理の負荷を軽減することが可能である。
ここで、上記一連の切換処理を、図8(b)及び(c)に示すように、色変調ライトバルブにおいて表示画像の輝度情報に対応した透過率T1A〜T1Cを用い、且つ輝度変調ライトバルブにおいて表示画像の輝度情報に対応した透過率T2A〜T2Cを用いて行った場合は、図8(d)に示すような表示結果が得られる。つまり、図8(d)に示すように、真中上の3画素においは、表示結果の画像の輝度が周りの9画素に比べて1/3になっている。これは、真中上の3画素に対する時系列表示処理(1/120秒による切り換え表示)に比べ、周りの9画素においては切り換え処理を省略している分(1/40秒間表示を維持している分)だけ光の透過時間が長くなるためである。これにより、周りの9画素においては、真中上の3画素に比して3倍量の光が透過することになるので表示画像の輝度が約3倍となる。
本変形例1においては、図8(e)に示すように、図8(a)の真中上の3画素に対応する色変調ライトバルブの1画素に対して、これに対応するHDR表示データの3つの画素値の輝度情報に基づきこれら3画素の各表示輝度値を3倍にする透過率を時分割で設定するように透過率T1A〜T1Cの値を決定することが可能である。従って、表示輝度が3倍となる透過率T1A〜T1Cを用いて上記実施の形態と同様の切換処理を行うことで、色変調ライトバルブの対応する画素を透過する光の量を約3倍に増やすことが可能である。これにより、真中上の3画素については、図8(d)の表示結果に比べて約3倍の輝度でスクリーン上に画像が表示される。つまり、真中上の3画素による表示画像の輝度は、切換処理を省略した周りの9画素による表示画像の輝度と略同じものとなる。
また、上記図8(e)に示す輝度の補正方法に限らず、図8(f)に示すように、輝度変調ライトバルブ側の透過率を3倍の輝度となるように設定することによって、真中上の3画素について表示画像の輝度を3倍に上げることも可能である。なお、図8(e)及び図8(f)に示す表示輝度の補正処理を組み合わせて表示輝度を上げるようにしても良い。
以上、本変形例1の投射型表示装置100に依れば、上記切換処理の省略と輝度の補正処理を組み合わせることによって、表示画像の輝度をバランス良く上げることが可能である。
[変形例2]
また、上記実施の形態において、投射型表示装置100は、色変調部14および輝度変調部15を内蔵して構成したが、これに限らず、図9に示すように、投射部16を取り除き、RGB3原色ごとに光の輝度を変調する3板式投射型表示装置310と、3板式投射型表示装置310からの投影光を受ける投光性のフレネルレンズ312と、フレネルレンズ312の出射側に設けかつ光の全波長領域の輝度を変調する直視型の輝度変調パネル314とからなる直視型表示システム300として構成することもできる。
図9は、直視型表示システム300の主たる光学構成を示すブロック図である。
ここで、3板式投射型表示装置310は、3板高温ポリシリコンTFT液晶色パネル投射系であり、その解像度は横18画素×縦12画素である。一方、輝度変調パネル314は、カラーフィルター無し単板輝度アモルファスシリコンTFT液晶表示パネルであり、その解像度は横54×縦12画素である。つまり、輝度変調パネル314の行方向の解像度が3板式投射型表示装置310の行方向の解像度の2倍となっている。従って、本変形例2の直視型表示システム300においても、上記実施の形態と同様にHDR画像の時系列表示処理を行うことが可能である。
また、直視型表示システム300のような構成においては、上記した時系列表示処理を行うときに、輝度変調パネル314を3倍速で駆動する必要がある。従って、液晶材料・液晶モード(高速TN、OCB)、実装方法(狭液晶層等)等を考慮して、3倍速駆動に耐える仕様の液晶表示パネルの選定が必要となる。
近年の液晶表示パネルの分野における技術の発達により、輝度変調パネル314としては、一般的なアモルファスシリコンTFT液晶表示パネルの画素構造をそのまま使用することが可能である。つまり、一般的なアモルファスシリコンTFT液晶表示パネルからカラーフィルタを取り外すか、あるいは、カラーフィルタをモノクロのフィルターに置き換えるだけで利用が可能である。従って、従来の生産ラインをそのまま利用することも可能であり、コスト的に非情に有利となる。つまり、低コストで高画質を実現することが可能である。
また、図9の構成に限らず、図10に示すように、光の全波長領域の輝度を変調する単板式投射型表示装置320と、単板式投射型表示装置320からの投影光を受ける投光性のフレネルレンズ312と、フレネルレンズ312の出射側に設けかつRGB3原色ごとに光の輝度を変調する色変調パネル324とからなる直視型表示システム300として構成することもできる。この場合も、上記同様の時系列表示処理を行うことが可能である。
また、上記実施の形態において、投射型表示装置100は、色変調部14および輝度変調部15を内蔵して構成したが、これに限らず、図11に示すように、投射部16を取り除き、バックライト410と、バックライト410の出射側に設けかつ光の全波長領域の輝度を変調する輝度変調パネル412と、輝度変調パネル412の出射側に設けかつRGB3原色ごとに光の輝度を変調する色変調パネル414とからなるディスプレイ400として構成することもできる。この場合も、上記同様の時系列表示処理を行うことが可能である。
[変形例3]
上記実施の形態において、投射型表示装置100は、色変調ライトバルブの後段に輝度変調ライトバルブを配置した構成となっているが、これに限らず、図12に示すように、輝度変調ライトバルブを色変調ライトバルブの前段に配置する構成としても良い。
ここで、図12は、投射型表示装置100における輝度変調ライトバルブを色変調ライトバルブの前段に設けた場合の主たる光学構成を示す図である。
本変形例3における投射型表示装置100は、図12に示すように、光源10と、光源10から入射した光の全波長領域の輝度を変調する輝度変調部12と、輝度変調部12から入射した光の波長領域のうちRGB3原色の輝度をそれぞれ変調する色変調部14と、色変調部14から入射した光をスクリーン(不図示)に投射する投射部16とで構成されている。
輝度変調部12は、透過率を独立に制御可能な複数の画素をマトリクス状に配列した液晶ライトバルブ30と、2枚のフライアイレンズ32a,32bとで構成されている。そして、光源10からの光の全波長領域の輝度を液晶ライトバルブ30により変調し、変調した光をフライアイレンズ32a,32bを介して色変調部14に出射する。
本変形例3において、色変調ライトバルブ(液晶ライトバルブ40R〜40B)の画素面は横960画素×縦540画素から構成されており、輝度変調ライトバルブ(液晶ライトバルブ30)の画素面は横1920画素×縦1080画素から構成されている。つまり、輝度変調ライトバルブの横及び縦の解像度が色変調ライトバルブの横及び縦の解像度の丁度2倍となっている。図12に示す構成の投射型表示装置100において、上記実施の形態と同様の処理を行うことができるが、本変形例3においては、色変調ライトバルブの各画素と輝度変調ライトバルブの隣り合う4画素(横2画素×縦2画素)とが光学的に対応させ、色変調ライトバルブの各画素に対応する輝度変調ライトバルブの4画素に対して上記実施の形態における時系列の表示処理と公知のインターレース走査とを組み合わせた表示処理を行う。以下、図13に基づき、本変形例3におけるHDR画像の表示処理について説明する。図13は、変形例3におけるHDR画像の表示処理の流れを示す図である。
図13に示すように、色変調ライトバルブの1画素(ここでは、説明の便宜上、代表して画素Xに対して説明する)に対して、輝度変調ライトバルブの画素A〜Dが対応している。従って、本変形例3においては、HDR表示データの対応する4つの画素データa〜dについて、色変調ライトバルブの画素Xに対する透過率T1A(R)〜T1A(B)、T1B(R)〜T1B(B)、T1C(R)〜T1C(B)及びT1D(R)〜T1D(B)を決定する必要がある。透過率の決定は、上記実施の形態と同様に上式(1)及び(2)に基づいて決定する。輝度変調ライトバルブの画素A〜Dに対しては、画素a〜dに対する各透過率毎に、画素A〜Dに設定する透過率の組み合わせを決定する。この場合は、4つの画素のうち1つが透過状態にあるときに、他の3つの画素を不透過(電圧非印加)の状態に設定する。従って、画素Aを画素aに応じた透過率T2Aに設定し、画素B〜Dを不透過の状態に設定する組み合わせ(T2ASと称す)と、画素Bを画素bに応じた透過率T2Bに設定し、画素A,C,Dを不透過の状態に設定する組み合わせ(T2BSと称す)と、画素Cを画素cに応じた透過率T2Cに設定し、画素A,B,Dを不透過の状態に設定する組み合わせ(T2CSと称す)と、画素Dを画素dに応じた透過率T2Dに設定し、画素A〜Cを不透過の状態に設定する組み合わせ(T2DSと称す)との4つ組み合わせとなる。
色変調ライトバルブの各画素の透過率と対応する輝度変調ライトバルブの4画素毎の透過率の組み合わせとが決定すると、これら透過率に対応した制御値を記憶装置182から読み出し、ライトバルブ制御装置180に入力する。以下、画素X及び画素A〜Dに対して行われる透過率の設定処理について説明する。
ライトバルブ制御装置180は、入力された制御値に応じて、図13に示すように、色変調ライトバルブの各画素Xの透過率をT1A(R)〜T1A(B)となるように、駆動電圧V1A(R)〜V1A(B)を印加する。一方、V1A(R)〜V1A(B)の印加タイミングに合わせて、輝度変調ライトバルブの対応する画素A〜Dに対して、上記T2ASに応じた印加電圧を印加する。これにより、色変調ライトバルブの各画素Xの透過率はT1A(R)〜T1A(B)に設定され、輝度変調ライトバルブの画素Aの透過率はT2Aに、画素C〜Dは不透過(最低透過率)に設定される。更に、この設定から1/120秒後に、上記同様に、上記T2BSに基づき色変調ライトバルブの各画素Xの透過率をT1B(R)〜T1B(B)に設定し、輝度変調ライトバルブの画素Bの透過率をT2Bに、画素A,C,Dを不透過(最低透過率)に設定し、この設定から1/120秒後に、上記T2CSに基づき色変調ライトバルブの各画素Xの透過率をT1C(R)〜T1C(B)に設定し、輝度変調ライトバルブの画素Cの透過率をT2Cに、画素A,B,Dを不透過(最低透過率)に設定し、この設定から1/120秒後に、上記T2DSに基づき色変調ライトバルブの各画素Xの透過率をT1D(R)〜T1D(B)に設定し、輝度変調ライトバルブの画素Dの透過率をT2Dに、画素A〜Cを不透過(最低透過率)に設定する。
上記した切り換え処理を、輝度変調ライトバルブの全画素に行うことにより、始めの1/60秒においては、第1インターレース期間として、輝度変調ライトバルブの偶数行又は奇数行のいずれか一方の画素から画素データに対応した透過率が設定され、他方の行の画素については全て不透過(最低透過率)の状態に設定される。第1インターレース期間においては、1/120秒単位で上記4つの画素のうち2つに対する画素データに対応した透過率の設定が行われる。そして、第1インターレース期間経過後は、第2インタレース期間(1/60秒)に移行し、他方の行の画素に対して1/120秒単位で上記4つの画素のうち2つに対する画素データに対応した透過率の設定が行われる。第2インタレース期間においては、一方の行の画素は全て不透過(最低透過率)の状態に設定される。
つまり、色変調ライトバルブにおける各画素Xに対して、第1インターレース期間において、最初の1/120秒でT1A(R)〜T1A(B)を設定し、後の1/120秒でT1B(R)〜T1B(B)を設定し、輝度変調ライトバルブの画素A,Bに対して、最初の1/120秒で画素Aに透過率T2Aを設定(画素C〜Dは不透過)し、後の1/120秒で画素Bに透過率T2Bを設定(画素A,C,Dは不透過)する。こうすることで、第1インターレース期間においては、上記した人間の視覚特性により、上側の画素A,Bを透過した光による画像が表示される。
一方、第2インターレース期間において、最初の1/120秒でT1C(R)〜T1C(B)を設定し、後の1/120秒でT1D(R)〜T1D(B)を設定し、輝度変調ライトバルブの画素C,Dに対して、最初の1/120秒で画素Cに透過率T2Cを設定(画素A,B,Dは不透過)し、後の1/120秒で画素Dに透過率T2Dを設定(画素A〜Cは不透過)する。こうすることで、第2インターレース期間においては、上記した人間の視覚特性により、下側の画素C,Dを透過した光による画像が表示される。
第1インターレース期間及び第2インターレース期間による各ラインの画像表示は、1/60秒という短い時間間隔で行われるため、最終的に人間の目には、図13に示すように画素A〜Dを透過した光による画像が知覚される。
また、本変形例3において、投射型表示装置100は、輝度変調部12および色変調部14を光学的に直接接続して構成したが、これに限らず、図14に示すように、輝度変調部12および色変調部14の間にリレーレンズ50を設けて構成することもできる。
また、本変形例3において、投射型表示装置100は、色変調部14を3板式(3つの液晶ライトバルブ40R〜40Bにより色変調を行う方式)として構成したが、これに限らず、図15に示すように、色変調部14を単板式(1つの液晶ライトバルブ40により色変調を行う方式)として構成することもできる。単板式の色変調ライトバルブは、例えば、液晶ライトバルブにカラーフィルターを設けることにより構成することができる。この場合、結像精度を向上させるため、輝度変調部12および色変調部14の間にリレーレンズ50を設けるのが好ましい。
上記図14及び図15に示す構成の投射型表示装置100においては、色変調ライトバルブと輝度変調ライトバルブの解像度の関係が、輝度変調ライトバルブの方が行及び列について偶数倍であれば、上記実施の形態における時系列表示処理及び本変形例3の時系列表示処理のいずれも適用することが可能である。一方、色変調ライトバルブと輝度変調ライトバルブの解像度の関係が、輝度変調ライトバルブの方が行又は列のいずれかが整数倍であれば、上記実施の形態における時系列表示処理を適用することが可能である。
また、上記図9及び図10の直視型表示システム300、図11のディスプレイ400においても、色変調ライトバルブと輝度変調ライトバルブの解像度の関係が行及び列について偶数倍であれば、上記実施の形態における時系列表示処理及び本変形例3の時系列表示処理のいずれも適用することが可能である。一方、色変調ライトバルブと輝度変調ライトバルブの解像度の関係が、輝度変調ライトバルブの方が行又は列のいずれかが整数倍であれば、上記実施の形態における時系列表示処理を適用することが可能である。
以上、変形例3に対応した投射型表示装置100に依れば次のような効果を奏する。まず、インターレース表示をしない場合を考えると、色変調ライトバルブの1画素に対して、輝度変調ライトバルブの4画素が対応するため、上記実施の形態における時系列表示処理を行うと、色変調ライトバルブ及び輝度変調ライトバルブは共に4倍速駆動をしなければならない。液晶の応答速度を考えると4倍速駆動による表示処理を実現することは難しい。一方、変形例3のように、インターレース表示を行うことで、色変調ライトバルブ及び輝度変調ライトバルブは共に2倍速駆動をすれば良く、液晶表示パネルを用いても容易に実現ができる。また、ホールド型の表示素子である液晶表示パネルは動画表示性能に劣ると言われているが、インターレース表示をすることによりホールド性が緩和され動画表示性能を向上することが可能となる。また、1080i等のインターレース映像信号との相性も良い。また、輝度変調ライトバルブの解像度の半分の色変調ライトバルブにより、輝度変調ライトバルブの解像度によるHDR画像の表示が可能であるので、コストを低減することも可能である。
上記実施の形態において、輝度変調ライトバルブ(液晶ライトバルブ30)は、発明1〜11、14〜16、18〜23、26〜28及び30〜36のいずれか1の第2光変調素子に対応する。
また、上記実施の形態において、色変調ライトバルブ(液晶ライトバルブ40R〜40B)は、発明1〜10、14〜16、18〜23、26〜28及び30〜35のいずれか1の第1光変調素子に対応する。
また、上記実施の形態において、表示制御装置200による色変調ライトバルブ(液晶ライトバルブ40R〜40B)の画素の透過率の時分割切り換え処理は、発明2〜5及び15〜18のいずれか1の第1光伝搬特性制御手段に対応する。
また、上記実施の形態において、表示制御装置200による輝度変調ライトバルブ(液晶ライトバルブ40R〜40B)の画素の透過率の時分割切り換え処理は、発明2〜6、9、10、15〜17、19、22及び23のいずれか1の第2光伝搬特性制御手段に対応する。
また、上記実施の形態において、ステップS116は、発明2〜5及び15〜18のいずれか1の第1光伝搬特性制御手段、または発明27〜30のいずれか1の第1光伝搬特性切換ステップに対応する。
また、上記実施の形態において、ステップS116は、発明2〜6、9、10、15〜17、19、22及び23のいずれか1の第2光伝搬特性制御手段、または発明27〜29、31、34及び35のいずれか1の第2光伝搬特性切換ステップに対応する。
また、上記実施の形態においては、液晶ライトバルブ30,40B,40G,40Rとしてアクティブマトリックス型の液晶表示素子を用いて構成したが、これに限らず、液晶ライトバルブ30,40B,40G,40Rとしてパッシブマトリックス型の液晶表示素子およびセグメント型の液晶表示素子を用いて構成することもできる。アクティブマトリックス型の液晶表示は、精密な階調表示ができるという利点があり、パッシブマトリックス型の液晶表示素子およびセグメント型の液晶表示素子は、安価に製造できるという利点を有する。
また、上記実施の形態において、投射型表示装置100は、透過型の光変調素子を設けて構成したが、これに限らず、輝度変調ライトバルブまたは色変調ライトバルブをDMD(Digital Micromirror Device)等の反射型の光変調素子で構成することもできる。
また、上記実施の形態において、投射型表示装置100は、色変調ライトバルブの各画素を、1つの輝度変調ライトバルブの複数画素に光学的に対応させるようにしたが、これに限らず、色変調ライトバルブの各画素に複数の輝度変調ライトバルブの1画素又は複数画素を光学的に対応させて、上記時系列の表示処理を行うようにしても良い。
また、上記実施の形態において、輝度変調ライトバルブとして透過型の液晶素子を用いているが、これに限らず、輝度自体を変調可能な光源型の変調素子(例えば、LED、OLED、レーザ等)を用いても良い。
また、上記実施の形態において、図7のフローチャートに示す処理を実行するにあたっては、ROM172にあらかじめ格納されている制御プログラムを実行する場合について説明したが、これに限らず、これらの手順を示したプログラムが記憶された記憶媒体から、そのプログラムをRAM174に読み込んで実行するようにしてもよい。
ここで、記憶媒体とは、RAM、ROM等の半導体記憶媒体、FD、HD等の磁気記憶型記憶媒体、CD、CDV、LD、DVD等の光学的読取方式記憶媒体、MO等の磁気記憶型/光学的読取方式記憶媒体であって、電子的、磁気的、光学的等の読み取り方法のいかんにかかわらず、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体であれば、あらゆる記憶媒体を含むものである。
100…投射型表示装置、10…光源、12,15…輝度変調部、30…液晶ライトバルブ、32a,32b…フライアイレンズ、14…色変調部、40,40R〜40B…液晶ライトバルブ、42R,42G,42B1〜42B3…フィールドレンズ、44a,44b…ダイクロイックミラー、46a〜46c…ミラー、45…ダイクロイックプリズム、48…出射側レンズ、16…投射部、170…CPU、172…ROM、174…RAM、178…I/F、179…バス、180…ライトバルブ駆動装置、182…記憶装置、199…ネットワーク、50…リレーレンズ、300…直視型表示システム、310…単板式投射型表示装置、312…フレネルレンズ、314…色変調パネル、320…3板式投射型表示装置、324…輝度変調パネル、400…ディスプレイ、410…バックライト、412…輝度変調パネル、414…色変調パネル。