JP4788393B2 - 画像処理装置、画像処理方法および画像処理プログラム - Google Patents
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Description
従って、元画像データの特定色領域(肌色領域)については、背景領域の色に関係なく一律に補正量Thだけ「好ましい色の目標値」へ色補正が施される。
ケース1.曇天光の条件で撮像されたカラー画像についてホワイトバランス調整が全く、あるいは、ほとんど行われない場合。この場合は、光源を標準的な太陽光と推定した場合と推察される。
ケース2.太陽光の条件で撮像されたカラー画像について、ホワイトバランスが過補正された場合。この場合は、背景の色に引きずられて光源を誤って推定した場合と推察される。
画像入力装置で作成される画像の不自然さの程度は、上記ケース2の場合よりも上記ケース1の場合の方が小さい。従って、所定の色領域の色を当該色領域の目標色に近づける色バランス調整について、上記ケース2の場合と同じ度合の色バランス調整を上記ケース1の場合に適用すると、画像の色バランスが過補正されてしまい、違和感のある画像が得られてしまう。
上記所定の色領域は、顔領域、肌色領域、空色領域、等が考えられ、多くの人に印象付けられる領域、人間が好ましいと感じる色再現に関係する領域、等とすることができる。上記目標色は、人間が好ましいと感じる色、記憶色、等とすることができる。上記色領域の背景は、画像全体から前記色領域を除く全ての領域でもよいし、当該領域の一部の領域でもよい。上記代表色は、色領域や背景の画素値の単純平均や重み付け平均等で表される色とすることができる。上記色空間は、デバイスに依存する機器従属色空間でもよいが、デバイスに依存しない機器独立色空間が好ましく、均等色空間(均等知覚色空間ともいう)がさらに好ましい。上記色バランス調整は、画像データ全体へ一律に行ってもよいし、抽出した色領域のみ行ってもよい。
ここで、色座標平面並びに明るさ軸からなる色空間には、国際照明委員会(CIE)で規定されたCIE L*a*b*色空間、CIE L*u*v*色空間、等がある。ここで、L*は明度(明るさ)を表す色成分であり、a*,b*,u*,v*は色相および彩度を表す色成分である。以下、「*」を省略して記載する。
さらに、請求項6、請求項7に係る発明によれば、さらに適切に画像データの色バランスを調整することが可能になる。
すなわち、上記調整手段により、所定の色空間において前記目標色の位置から前記色領域の代表色の位置へ向かうベクトルと前記目標色の位置から前記背景の代表色の位置へ向かうベクトルとで挟まれる角度に応じた度合で前記色領域の色を前記目標色へ近づける色バランス調整が前記画像データに対して行われる。本発明では、所定の色空間において目標色の位置から色領域の代表色の位置へ向かうベクトルと目標色の位置から背景の代表色の位置へ向かうベクトルとで挟まれる角度に応じた度合で色領域の色が目標色へ近づけられるので、光源推定が適切でなかった等、画像入力装置で適切な色バランス調整が行われなかった場合でも、画像入力装置により作成された画像データの色バランスを適切に調整することが可能になる。
また、上述した装置の構成に対応した工程を有する制御方法や、上述した装置の構成に対応した機能をコンピュータに実現させるプログラムとしても適用可能であり、画像処理方法や画像処理プログラム等の発明も、同様の作用、効果を奏する。さらに、前記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体としても適用可能である。むろん、請求項2〜8に記載した構成も、前記方法や前記システムや前記プログラムや前記記録媒体に適用可能である。
(1)画像処理装置を含む印刷システムの構成:
(2)画像処理の動作および作用:
(3)変形例:
図1は本発明の一実施形態である画像処理を模式的に示す図、図2は本発明の一実施形態に係る画像処理装置を含む印刷制御装置U0の構成を模式的に示すブロック図、図3は本印刷制御装置U0を含む印刷システムの構成の概略を示すブロック図、図4は色領域とする色範囲R11をab平面にて模式的に示す図、図5は画像データDA2から色領域R1を抽出する様子を模式的に示す図、図6は背景の座標値Dbに対する補正係数αを模式的に示す図、図7と図8は本印刷制御装置U0が行う印刷制御処理を示すフローチャート、図9は画像データの色バランスを補正する様子を模式的に示す図、図10は本発明の一実施形態である画像処理を模式的に示す図、図11はデジタルスチルカメラが行う色調整処理とその変換特性とを模式的に示す図、図12はデジタルスチルカメラの構成を模式的に示すブロック図である。本印刷システムは、本発明の画像処理装置となるパーソナルコンピュータ(PC)10、カラー印刷可能なインクジェットプリンタ(印刷装置)20等から構成されている。むろん、本発明に用いられるコンピュータは、PCに限定されない。
本画像処理プログラムは、プリンタドライバ等のオペレーティングシステム(OS)、アプリケーションプログラム(APL)、OSとAPL、のいずれにより構成してもよい。本プログラムを記録した媒体は、HD以外にも、CD−ROM15a、フレキシブルディスク、半導体メモリ、等でもよい。また、通信I/F17dをインターネット網に接続し、所定のサーバから本発明のプログラムをダウンロードして実行してもよい。
上述した画質調整の処理が行われた画像データは、RAM54dの画像エリアに格納され、適宜、I/O回路54hからPC10へ出力されたり、メモリカード54iに記憶されたりする。
L*=116Y-1/3−16 …(1)
を利用すれば、光の量Yを明度L*に相当する値へ変換する特性を記述することができる。DSCはRGBの色毎に光の量Yを示す信号を取得するが、RGB各色の光量Yを式(1)に代入すると、人間に知覚される明るさと比例関係にある階調値をRGBの色毎に取得することができる。本実施形態では、この値をsL*と呼ぶ。
pY=((pL*+16)/116)3 …(2)
RGB=pY1/2.2 …(3)
ここで、RGBはRGB各色のデータである。なお、式(3)においては、光の量Yの(1/2.2)乗に比例するデータを算出できればよく、右辺に係数を乗じるなどしてもよい。
以上の解析により、グラフ1〜グラフ4の入出力特性を重畳した入出力特性のグラフ5を作成することにより、DSCの各メーカーにおける色調整処理とほぼ同様の特性を記述することができる。そこで、グラフ5に示す変換特性F-1(Y)とその逆の正変換特性Y=F(RGB)を示す情報テーブルを変換特性データとしてHD14等に記憶しておく。この結果、正変換特性F(RGB)によって画像データDA1を光の量に比例する値に変換することができるし、変換特性F-1(Y)によって光の量に比例する値を画像データDA1に変換することができる。
領域抽出部(領域抽出手段)U1は、各部U11,U12を備え、画像入力装置50により作成された多階調(例えば256階調)の画像データDA1から所定の色領域を抽出する。画像入力部U11は、画像入力装置で作成された画像データDA1を入力し、カラー画像を画素毎に複数の要素色RGBで階調表現(例えば256階調で表現)したRGBデータDA2(画像データの一種)に変換する。領域取得部U12は、画像データDA1から所定の色領域を抽出し、当該色領域の範囲を表す色領域情報DA3を生成する。
図5に示す画像データDA2から顔領域R1を抽出する場合、例えば、画像データDA2を構成する各画素P1について顔色として想定される色の範囲内であるか否かを判別し、当該範囲内と判別した画素を顔領域として抽出する。顔色として想定される色の範囲は、例えば、図4に示すように、顔領域の色の目標(Lab色空間の目標点T)を含むLab色空間の色範囲R11で定義することができる。むろん、顔色として想定される色の範囲は、「人物の肌の色」として一般的に多くの人がイメージとして記憶している色の範囲を彩度Sと色相Hと明度Bとで定義した範囲、特開2004-192614号公報に記載されるように(財)日本色彩研究所が出版している「スキントーンカラー」の範囲である色相(H)1YR〜9YR;彩度(C)3,4および5;明度(V)4.0〜8.5、「好ましい肌色」(目標点T)のLab色空間の座標を(Lt,at,bt)とし所定の色差をEt(0<Et<100)として{(L−Lt)2+(a−at)2+(b−bt)2}1/2≦Etを満たすLab色空間での範囲(L,a,b)、等と定義してもよい。
顔領域以外の色領域を抽出するための色範囲も、図4に示すように、色領域R1の目標点Tを含む所定の色空間の色範囲R11で色領域R1として想定される色の範囲を定義することができる。色範囲R11を表す情報は、色抽出情報14cとして情報記憶領域U5に記憶されている。そして、色抽出情報14cを参照して、図5に示すように画像データDA2を構成する各画素P1について色範囲R11内であるか否かを判別し、当該色範囲内と判別した画素を色領域R1として抽出すればよい。
画素値の重み付け平均値を用いる場合、例えば、図5の下段に示すように、色領域R1の中で横方向または縦方向で背景領域R2に接する画素に最も小さい重み付け「1」を付与し、当該画素に横方向または縦方向で接する画素へ次に小さい重み付け「2」を付与し、以下、当該画素に横方向または縦方向で接する画素へ一つずつ大きい重み付けを付与して、色領域R1の内側ほど重み付けが大きくなるようにする。なお、各画素の重み付けの値Ki(iは1〜nの整数、nは色領域の画素数)は、色領域情報DA3としてRAMに記憶しておく。ここで、色領域内の各画素の画素値を(Ri,Gi,Bi)とすると、色領域の画素値の重み付け平均値(AR,AG,AB)は、
むろん、RGB色空間以外の色空間で定義される色成分値を用いて代表色を抽出することも可能である。例えば、Lab色空間の色成分値L,a,bを用いる場合、色領域の各画素の画素値をLab色空間のLab値に変換し、色領域内の各画素のLab値を(Li,ai,bi)として重み付け平均値(AL,Aa,Ab)を求め、RGB色空間の画素値に変換すればよい。
本実施形態では、画像データDA2のうち色領域R1を除く全ての領域を背景領域R2とし、具体的には、RGBデータDA2のうち顔領域R1を除く領域の全体から顔領域の背景の代表色を抽出している。むろん、画像データDA2のうち色領域R1を除く領域の一部のみを背景領域としてもよい。例えば、色領域の周辺のみ(色領域との境界から所定の距離内)を背景領域としたり、色領域との境界から所定の距離を超える領域を背景領域としたり、色領域以外の領域から上記色範囲R11内の画素を除いた部分を背景領域としたりすることができる。
色バランスを調整するための色空間は、機器従属色空間でもよいが、機器独立色空間が好ましく、均等色空間がさらに好ましい。均等色空間には、CIE Lab色空間、CIE Luv色空間、等がある。機器独立色空間には、均等色空間の他、CIE XYZ色空間、NTS CRGB色空間、等がある。色バランスを調整するための色空間を表す情報は、色空間情報14cとして情報記憶領域U5に記憶されている。本実施形態では、色相および彩度を表すab平面(色座標平面)並びに明度軸(明るさ軸)からなるLab色空間で色バランスを調整するものとする。なお、Luv色空間ではuv平面が色相および彩度を表す色座標平面となり、また、明るさ軸には輝度軸等も考えられる。
色領域の色の目標を表す目標色は、色領域について人間が好ましいと感じる色、色領域について人間が記憶している記憶色、ユーザが指定した色、等とすることができ、例えば複数の人に色を見せたときの好みの色の中心(好みの色の座標値を平均した座標値で表される色)とすることができる。顔領域の目標色については、例えば、肌色の目標色とすることができ、肌色の嗜好中心(好みの肌色の座標値を平均した座標値で表される「好ましい肌色」)とすることができる。目標色を表す情報は、目標色情報14dとして情報記憶領域U5に記憶されている。
本実施形態の調整部は、画像データ全体へ一律に色バランス調整を行うが、抽出した色領域のみ色バランス調整を行うものでもよい。後者の場合、RGBデータDA2の画素値の補正特性(後述するγ,δ,β等)を決定したとき、前記色領域を構成する各画素の中から順次着目画素を設定し、前記補正特性を参照して、当該着目画素の画素値を当該補正特性の情報に従って変換することにより、調整後のRGBデータDA6を生成することができる。
なお、色バランス調整は、ホワイトバランス調整を含む概念である。
また、Lab色空間での補正後の色成分値(L,a,bとする)が決定したら、Lab色空間の色成分値L,a,bをRGB色空間の色成分値R,G,Bに変換する公知の式(7)を用いて、補正後の色成分値L,a,bを色成分値R,G,Bに変換する。
なお、ab平面上で色バランスを調整した場合、Lは変化しない。
そして、調整前のRGBデータDA2の全画素の画素値に対して補正前後の色成分値R,G,Bの差異(比)に応じた補正を行うことにより、調整後のRGBデータDA6(画像データの一種)を生成する。
また、本調整部U4は、ab平面において目標色の位置Tから色領域の代表色の位置Pへ向かうベクトルV1と目標色の位置Tから背景の代表色の位置Qへ向かうベクトルV2とで挟まれる角度をθ、当該θに対する閾値となる所定の角度をθt(0°<θt<180°)として、θ<θtの場合の色バランス調整の割合を、θ>θtの場合の色バランス調整の割合よりも小さくして、色領域の代表色の色座標を目標色の色座標へ近づける色バランス調整をRGBデータDA2に対して行う。逆にいうと、θ>θtの場合の色バランス調整の割合をθ<θtの場合の色バランス調整の割合よりも大きくして、色バランスを調整する。画像入力装置で適切な色バランス調整が行われなかった画像の不自然さの程度はθ>θtの場合よりもθ<θtの場合の方が小さいので、色バランスがさらに適切に調整される。
すなわち、調整部U4の処理は、実質的に、座標値Dbに基づいて画像入力装置の色バランス調整失敗の種類を判別し、判別結果に応じた色バランス調整を画像データに対して行う処理とされている。より具体的には、調整部U4の処理は、実質的に、座標値Dbの符号に基づいて色バランス調整失敗の種類を判別して色バランスを調整する処理であり、座標値Dbの大きさに応じて色バランス調整失敗の種類を判別して色バランスを調整する処理である。例えば、座標値Dbが負(点Pと点Qとが直線L1からみて異なる側)でDbの絶対値が大きい(例えば図6においてDb≦D1)場合に過補正されたと判別され、座標値Dbが正(点Pと点Qとが直線L1からみて同じ側)なら色バランス調整が行われていないと判別される。
画像入力装置で適切な色バランス調整が行われなかった画像の不自然さの程度は直線L2からみて色領域の代表色の位置Pと背景の代表色の位置Qとが違う側にある場合よりも同じ側にある場合の方が小さいので、さらに適切に色バランスが調整される。
すると、プリンタ20は、CMYKデータに対応するインクのドットを印刷媒体M1上に付着させることにより、RGBデータDA6に対応する画像を印刷媒体M1に形成する。これにより、色バランスの良好な画像IM1が印刷媒体上に印刷される。
図7に示す印刷制御処理を開始すると、画像入力部により、画像入力装置で作成された画像データDA1を入力し、例えば広域RGB色空間で表現されたRGBデータDA2に変換する(ステップS102。以下、「ステップ」の記載を省略)。画像データDA1は、画像入力装置50から直接入力することもできるし、メモリカード用のI/Fを介してDSCのメモリカード54iに記憶された画像データを入力することもできるし、画像入力装置で作成された画像データを記録したCD−ROM15a等から画像データを入力することもできる。画像データを入力する際には、画像データ全てをRAMに格納するのみならず、画像データを分割して分割されたデータを順次RAMに上書きしてもよいし、画像データを格納したバッファ領域を表すデータのみをRAMに格納してもよい。画像データDA1は、画像をドットマトリクス状の多数の画素で階調表現したデータであり、sRGB色空間で定義されるRGBから構成された画像データや、YUV表色系におけるYUVから構成された画像データ、等がある。画像データDA1の各成分も様々な階調数とされているので、sRGBやYUV表色系等の定義に従って、画像データDA1を例えばR,G,B各256階調(0〜255の整数値)のRGBデータDA2に変換する。
以上のS102〜S110の処理を行うPC10が画像処理装置を構成する。
すると、プリンタ20は、ラスタデータDA7を入手し、当該ラスタデータに基づいてCMYKデータに対応するCMYKのインクの各ドットを形成し、色調整後のRGBデータDA6に対応する画像IM1を印刷媒体M1上へ印刷する。
次に、図1に示すように、ab平面において目標色Ctの位置T(at,bt)と色領域R1の代表色Cpの位置P(ap,bp)とを通る直線L1を引き、この直線L1に対して垂直となるように目標色の位置Tを通る直線L2を引くとして、ab平面上で直線L2を表す式
(bp−bt)(b−bt)=(ap−at)(a−at) …(8)
の係数と定数とを求める(S204)。
(ap−at)(b−bq)=(bp−bt)(a−aq) …(9)
の係数と定数とを求める(S206)。
その後、ab平面上で直線L2と直線L3との交点Rの座標(ar,br)を求める処理を行う(S208)。この処理は、a,bを変数として上記式(8)と上記式(9)の連立方程式を解く処理でもよいし、式(8)を満たすa,bを所定の微少量ずつ変えながら式(9)を満たすか否かを判別して式(9)を満たすa,bを求める処理でもよいし、式(9)を満たすa,bを所定の微少量ずつ変えながら式(8)を満たすか否かを判別して式(8)を満たすa,bを求める処理でもよい。
Dc={(ap−at)2+(bp−bt)2}1/2 …(10)
さらに、ab平面において背景の代表色の位置Qから直線L2へ垂線L3を引いたときの交点Rを原点とし色領域の代表色の位置Pへ向かう方向を正として垂線L3を軸とした背景の代表色の座標値Dbを求める(S212)。
直線L2からみて点Qが点Pと同じ側にあるとき、
Db={(aq−ar)2+(bq−br)2}1/2
点Qが直線L2上にあるとき、
Db=0
直線L2からみて点Qが点Pとは異なる側にあるとき、
Db=−{(aq−ar)2+(bq−br)2}1/2 …(11)
ここで、座標値Dbに対する補正係数α(Db)は、軸とされた垂線L3上の任意の座標値Dp、Dq(Dp<Dq)についてα(Dp)≧α(Dq)(ただしα(Dp)>α(Dq)の場合が少なくとも存在)が成立する補正係数とされている。Db−α平面上でα=α(Db)が折れ曲がりの無い曲線ないし直線であるとすると、α(Db)をDbで微分した関数α’(Dp)は0以下になる。より具体的には、座標値Dbに対する所定の閾値をD1,D2(ただしD1<0<D2)として、
Db≦D1のとき、 α(Db)=α1 (ただし0<α1≦1)
D1<Db<D2のとき、α(Dp)>α(Dq)
D2≦Dbのとき、 α(Db)=α2 (ただし0<α2<α1)
としてある。図の例では、α1=1とし、|D1|>D2としている。
なお、Dbの下限Dlow(Dlow<D1)と上限Dup(Dup>D2)とを設け、情報テーブル14eをDlow〜Dupの範囲内でDbとα(Db)とを対応付けた情報群としてもよい。
ap’=ap+α(Db)×(at−ap)
bp’=bp+α(Db)×(bt−bp) …(12)
さらに、上記式(7)を用いて、Lab色空間における点P’の色成分値L,ap’,bp’をRGB色空間における色成分値AR’,AG’,AB’に変換し、要素色RGB毎の補正倍率γ,δ,βを決定する(S218)。ここで、点P’の明度Lは、点Pの明度Lとする。そして、補正倍率γ,δ,βに基づいてRGBデータDA2の画素値を画素毎に補正し、調整後のRGBデータDA6を生成して(S220)、調整処理を終了する。
以上の処理により、色領域の代表色の色座標を目標色の色座標へ距離α(Db)×Dcだけ近づける色バランス調整が画像データDA2に対して行われる。
なお、補正係数αを直線L3を軸とする座標値Dbに応じた値にするのは、ab平面において画像に対する色バランス調整の方向が直線L3の方向であり、色領域の色の感じられ方が背景の色との違いに応じて変わることを考慮すれば、直線L3の方向におけるQRの距離に応じて画像の色を補正するのが最も好ましいからである。実際に、画像入力装置で作成された種々の画像データを用いて目標点Tを通る直線の傾きを段階的に変えながら当該直線の垂線を軸とした点Qの座標値に応じて点Pを目標点Tへ近づける色バランス調整を画像データに対して行ったところ、TPと垂直な直線L2の垂線を軸とした点Qの座標値Dbに応じて点Pを目標点Tへ近づける色バランス調整を行った場合に非常に良好な色バランスの画像が得られた。
一方で、本発明は、補正の度合を座標値Dbに応じた度合にする場合に限られるものではなく、点Tと点Qとの間の距離に応じた度合で補正する等の場合も含まれる。
γ=AR’/AR、δ=AG’/AG、β=AB’/AB …(13)
としている。
図9では、色バランス補正後の光の量をeYとし、横軸を光の量Y、縦軸を色バランス補正後の光の量eYとして示している。むろん、色成分毎に乗じられる定数が異なるため、実際には、RGB毎の光の量Yr,Yg,Ybに対して補正後の光の量eYr,eYg,eYbが得られ、eYr=γ×Yr,eYg=δ×Yg,eYb=β×Ybとなる。
そこで、補正倍率γ,δ,βの値に応じて調整前のRGBデータDA2におけるR,G,Bの画素値と調整後のRGBデータDA6におけるR,G,Bの画素値との対応関係を階調毎に規定したLUT(情報テーブル)を補正対応情報14fとしてHD14等に記憶させておき、このLUTを参照して調整前のRGBデータDA2の画素値を要素色RGB毎に変換することにより、調整後のRGBデータDA6を生成することができる。
正変換特性Y=F(RGB)に従った変換と変換特性F-1(Y)に従った変換とを行うと調整後の画像を非常に高画質にすることができる点で好適であるものの、処理を簡素化させるために、Y=F(RGB)とF-1(Y)とに従った変換を行わずにRGBデータDA2のR,G,Bの画素値に補正倍率γ,δ,βを乗じてRGBデータDA6を生成してもよい。また、補正倍率γ,δ,βの値に応じて調整前の画素値と調整後の画素値との対応関係を画素毎に規定したLUTを用意してHD14等に記憶させておき、補正倍率γ,δ,βの値に応じたLUTを参照してRGBデータDA2のR,G,Bの画素値を当該LUTの情報に従って変換してRGBデータDA6を生成してもよい。
調整処理が終了すると、図7のS112〜S118で色調整後のRGBデータDA6に対応する画像をプリンタ20に印刷させる制御が行われる。すると、プリンタは、RGBデータDA6に対応して調整された画像IM1を印刷媒体M1上へ印刷する。
画像入力装置にて曇天光の条件で撮像されたカラー画像についてホワイトバランス調整が全く、あるいは、ほとんど行われなかった場合、光源を標準的な太陽光と推定した場合と推察され、図10の右側に示すように、ab平面上で顔領域R1の代表色が目標色の位置Tから左斜め下の位置Pになるとともに背景の代表色の位置Qが直線L2から見て顔領域の代表色の位置Pと同じ側となる。この場合、画像全体に青みがかかるものの、人は曇天だと画像に青みがかかると思う傾向があるので、画像入力装置で作成された画像の不自然さの程度は小さい。そこで、図6で示したように、Qの座標値Dbが正である場合には、補正係数α(Db)を小さくしている。
画像入力装置で太陽光の条件で撮像されたカラー画像についてホワイトバランスが過補正された場合、背景の色(黄色)に引きずられて光源を誤って推定した場合と推察され、図1の左側に示すように、ab平面上で顔領域R1の代表色が目標色の位置Tから右斜め下の位置Pになるとともに背景の代表色の位置Qが直線L2から見て顔領域の代表色の位置Pとは異なる側となる。この場合、画像全体に青みがかかり、人は晴天だと青みのかかった顔は不自然だと思う傾向があるので、画像入力装置で作成された画像の不自然さの程度が大きい。そこで、図6で示したように、Qの座標値Dbが負である場合には、補正係数α(Db)を小さくしている。
むろん、顔領域の代表色の位置Pが点Tからずれる方向が上述した場合とは異なっていても同様のことがいえるし、顔領域以外の色領域を有する画像の色バランスを調整する場合にも同様のことがいえる。
以上より、画像入力装置で曇天時に撮影された場合には人の顔を多少の青みを残した肌色にしたり、色温度の低い条件で撮影された場合には人の顔を黄味を残した肌色にしたりと、人の顔色の補正を撮影時の雰囲気を損なわない肌色の補正とすることができる。また、背景色に引きずられて人の顔の肌色が崩れた場合には、晴天下で撮影されたように補正がなされる。むろん、顔以外の肌色領域、空色領域、夕焼け色領域、緑色領域、雪色領域、海や湖や河川の領域を表す色領域、等に対しても、画像入力装置で曇天時や色温度の低い条件等で撮像された場合には撮像時の雰囲気が損なわれず、背景色に引きずられて色領域の色が崩れた場合には晴天下で撮影されたように補正がなされる。
すなわち、角度θに応じた度合で色領域R1の色が目標色へ近づけられるので、画像入力装置で適切な色バランス調整が行われなかった場合でも、画像入力装置により作成された画像データの色バランスを適切に調整することが可能になる。
本発明の画像処理装置を含む印刷システムは、様々な構成が可能である。例えば、印刷装置は、コンピュータと一体化されたもの、単色画像のみ印刷する印刷装置、でもよい。上述したフローについては、一部または全部を印刷装置、専用の画像処理装置、外部のサーバ、等で実行してもよい。印刷装置がハーフトーン処理とラスタライズ処理を実行可能な装置であれば、色変換後の画像データをそのまま同印刷装置に出力すればよい。
色バランス調整対象の画像データは、RGBデータ以外にも、YUV表色系で定義される色成分YUV毎の画素値からなるYUVデータ、色成分Lab毎の画素値からなるLabデータ、要素色CMY毎の画素値からなるCMYデータ、要素色CMYK毎の画素値からなるCMYKデータ、等でもよい。
図13は、変形例に係る印刷制御装置が行う印刷制御処理を示すフローチャートである。本処理では、S106とS108の間にS130が挿入されている。すなわち、S106で色領域の代表色Cpを抽出すると、S130で代表色Cpの位置Pが「好ましい色」の範囲R12内であるか否かを判断する。色領域代表点Pが範囲R12の境界線上の場合には、該範囲R12内と判断してもよいし、該範囲R12外と判断してもよい。色領域代表点Pが前記範囲R12外と判断したときにはS108〜S118の処理を行う一方、色領域代表点Pが前記範囲R12内と判断したときにはS112に進んで調整処理を省略する。これにより、色領域の色が「好ましい色」の範囲内であれば画像データの色バランスを調整する処理が省略されるので、画像処理を高速化させることが可能になる。
なお、本発明は、上述した実施例や変形例に限られず、上述した実施例および変形例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、公知技術並びに上述した実施例および変形例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、等も含まれる。
以上説明したように、本発明によると、種々の態様により、画像入力装置で適切な色バランス調整が行われなかった場合でも、画像入力装置により作成された画像データの色バランスを適切に調整することが可能になる。
Claims (10)
- 画像入力装置により作成された画像データから所定の色領域を抽出する領域抽出手段と、抽出した色領域から当該色領域の代表色を抽出する領域色抽出手段と、前記色領域について予め設定された目標色へ前記色領域の色を近づける色バランス調整を前記画像データに対して行う調整手段とを備える画像処理装置であって、
前記画像データから前記色領域の背景の代表色を抽出する背景色抽出手段を備え、
前記調整手段は、所定の色空間における位置関係であって前記目標色の位置を基準とした前記色領域の代表色の位置と前記背景の代表色の位置との位置関係に応じた度合で前記色領域の色を前記目標色へ近づける色バランス調整を前記画像データに対して行うことを特徴とする画像処理装置。 - 前記所定の色空間は、色相および彩度を表す色座標平面並びに明るさ軸からなる色空間とされ、
前記調整手段は、前記目標色の前記色座標平面上の位置を基準とした前記色領域の代表色の前記色座標平面上における位置と前記背景の代表色の前記色座標平面上における位置との位置関係に応じた度合で前記色領域の代表色の色座標を前記目標色の色座標へ近づける色バランス調整を前記画像データに対して行うことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。 - 前記調整手段は、前記色座標平面において前記目標色の位置から前記色領域の代表色の位置へ向かうベクトルと前記目標色の位置から前記背景の代表色の位置へ向かうベクトルとで挟まれる角度θが所定の角度θt(0°<θt<180°)よりも小さい場合の色バランス調整の度合を、前記角度θが前記角度θtよりも大きい場合の色バランス調整の度合よりも小さくして、前記色領域の代表色の色座標を前記目標色の色座標へ近づける色バランス調整を前記画像データに対して行うことを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
- 前記調整手段は、前記色座標平面において前記目標色の位置と前記色領域の代表色の位置とを通る直線に対して垂直となるように前記目標色の位置を通る直線を引いたとき、この直線からみて前記色領域の代表色の位置と前記背景の代表色の位置とが同じ側にある場合の色バランス調整の度合を、該直線からみて前記色領域の代表色の位置と前記背景の代表色の位置とが異なる側にある場合の色バランス調整の度合よりも小さくして、前記色領域の代表色の色座標を前記目標色の色座標へ近づける色バランス調整を前記画像データに対して行うことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の画像処理装置。
- 前記調整手段は、前記色座標平面において前記目標色の位置と前記色領域の代表色の位置とを通る直線に対して垂直となるように前記目標色の位置を通る直線を引いたとき、前記色座標平面において前記背景の代表色の位置から前記直線へ垂線を引いたときの交点と前記背景の代表色の位置との距離に応じた度合で前記色領域の代表色の色座標を前記目標色の色座標へ近づける色バランス調整を前記画像データに対して行うことを特徴とする請求項2〜請求項4のいずれかに記載の画像処理装置。
- 前記所定の色空間は、均等色空間とされ、
前記調整手段は、前記色座標平面において前記目標色の位置と前記色領域の代表色の位置とを通る直線に対して垂直となるように前記目標色の位置を通る直線を引いたとき、前記色座標平面における前記目標色の位置と前記色領域の代表色の位置との距離をDc、前記色座標平面において前記背景の代表色の位置から前記直線へ垂線を引いたときの交点を原点とし前記色領域の代表色の位置へ向かう方向を正として前記垂線を軸とした前記背景の代表色の座標値をDb、該座標値Dbに応じた補正係数をα(Db)(ただし0≦α(Db)≦1)とし、該補正係数α(Db)を、前記軸とされた垂線上の任意の座標値Dp、Dq(Dp<Dq)についてα(Dp)≧α(Dq)(ただしα(Dp)>α(Dq)の場合が少なくとも存在)が成立する補正係数として、前記色領域の代表色の色座標を前記目標色の色座標へ距離α(Db)×Dcだけ近づける色バランス調整を前記画像データに対して行うことを特徴とする請求項2〜請求項5のいずれかに記載の画像処理装置。 - 前記画像データは、人物画像を含むカラー画像を画素毎に複数の要素色で階調表現したデータとされ、
前記所定の色領域は、前記人物画像の顔領域とされ、
前記顔領域について予め設定された目標色は、肌色の目標色とされ、
前記背景色抽出手段は、前記画像データのうち前記顔領域を除く領域の全体から前記顔領域の背景の代表色を抽出し、
前記調整手段は、前記顔領域の代表色の色座標を前記肌色の目標色の色座標へ距離α(Db)×Dcだけ近づける色バランス調整を前記画像データの全体に対して行うことを特徴とする請求項6に記載の画像処理装置。 - 画像入力装置により作成された画像データから所定の色領域を抽出する領域抽出手段と、抽出した色領域から当該色領域の代表色を抽出する領域色抽出手段と、前記色領域について予め設定された目標色へ前記色領域の色を近づける色バランス調整を前記画像データに対して行う調整手段とを備える画像処理装置であって、
前記画像データから前記色領域の背景の代表色を抽出する背景色抽出手段を備え、
前記調整手段は、所定の色空間において前記目標色の位置から前記色領域の代表色の位置へ向かうベクトルと前記目標色の位置から前記背景の代表色の位置へ向かうベクトルとで挟まれる角度に応じた度合で前記色領域の色を前記目標色へ近づける色バランス調整を前記画像データに対して行うことを特徴とする画像処理装置。 - 画像入力装置により作成された画像データから所定の色領域を抽出し、抽出した色領域から当該色領域の代表色を抽出し、前記色領域について予め設定された目標色へ前記色領域の色を近づける色バランス調整を前記画像データに対して行う画像処理方法であって、
前記画像データから前記色領域の背景の代表色を抽出し、所定の色空間における位置関係であって前記目標色の位置を基準とした前記色領域の代表色の位置と前記背景の代表色の位置との位置関係に応じた度合で前記色領域の色を前記目標色へ近づける色バランス調整を前記画像データに対して行うことを特徴とする画像処理方法。 - 画像入力装置により作成された画像データから所定の色領域を抽出し、抽出した色領域から当該色領域の代表色を抽出し、前記色領域について予め設定された目標色へ前記色領域の色を近づける色バランス調整を前記画像データに対して行う機能をコンピュータに実現させる画像処理プログラムであって、
前記画像データから前記色領域の背景の代表色を抽出し、所定の色空間における位置関係であって前記目標色の位置を基準とした前記色領域の代表色の位置と前記背景の代表色の位置との位置関係に応じた度合で前記色領域の色を前記目標色へ近づける色バランス調整を前記画像データに対して行う機能を実現させることを特徴とする画像処理プログラム。
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