JP4788378B2 - 積層フィルム巻取りロールの保管方法 - Google Patents

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Description

本発明は、食品、飲料、及び薬品等を長期間保存するための脱酸素状態が保持されていることを検出するための酸素インジケータや酸素吸収樹脂などの易酸化物質の保管方法に関し、特に易酸化物質の層を含む積層フィルムの巻取りロールを保管するのに好適に利用できるものである。
現在、脱酸素剤を封入した脱酸素包装のピンホール、シール不良、及び脱酸素剤不良の発生によるガス雰囲気の変化を簡単に確認し得る種種の酸素インジケータが上市されている。酸素インジケータは、構成成分として酸化還元指示薬、還元剤、バインダ樹脂が主であり、この組み合わせを変えた酸素インジケータが知られている(例えば特許文献1参照)。酸素インジケータは、酸化還元指示薬が、還元型と酸化型で異なる色調を呈する性質を利用している。酸素インジケータは、周囲雰囲気中の酸素が十分に存在すると、酸素が還元剤の働きを抑制して酸化還元指示薬が酸化型構造を取るが、脱酸素剤の働きにより酸素が周囲雰囲気中に存在しなくなると、還元剤が働き、酸化還元指示薬は還元型構造となる。この色調の変化を利用して、周囲雰囲気の酸素濃度の変化を視覚的に検知することができる。
一方で、内容物の酸化、変質、カビの発生等の防止のため、包材内部に脱酸素剤を封入し脱酸素包装する方法が広く知られている。脱酸素剤は、還元鉄や有機物の還元剤等を主成分とし、それらが酸化することで包材内の酸素を吸収する働きを利用したものである。
酸化還元指示薬を用いた酸素インジケータでは錠剤型およびシート状のものが代表的である。酸素インジケータは、大気中に放置すると酸化色を呈し、更に時間経過とともに成分の還元剤が酸化し、最終的にはインジケータとしての機能を失う。よって、酸素インジケータを保管する方法としては、酸素バリア性を有する包装体に酸素インジケータを脱酸素剤とともに封入し脱酸素包装する方法が主流である。従って、フィルムに印刷した酸素インジケータを保管するのに、錠剤型やシート状の酸素インジケータの保管方法を踏襲すると、酸素インジケータを含む積層フィルム巻取りロール全体を脱酸素包装する必要がある。この場合、ロールの幅や巻き数量によって異なるサイズの酸素バリア性包装体を用意しなければならず、また、ロールの幅や巻き数量によっては製造工場における出荷時の脱酸素包装作業が非常に困難になったり、新たな設備導入が必要になったりするといった難点がある。
脱酸素剤においても、脱酸素剤入り小袋を脱酸素包装した上で保管する方法が主流である。従って、包材と一体化した酸素吸収樹脂を含む積層フィルム巻取りロールを保管するのに、この方法を踏襲すると、巻取りロール全体を脱酸素包装する必要があり、酸素インジケータを含む積層フィルム巻取りロールと同様の問題が起こる。
特開2001−192592号公報
本発明は斯かる背景技術に鑑みてなされたもので、酸素インジケータや酸素吸収樹脂などの易酸化物質の層を含む積層フィルムの巻取りロールを容易に脱酸素状態に保ったまま保管できるようにすることを課題とする。
本発明において上記課題を達成するために、まず請求項1の発明では、印刷法により少なくとも酸素インジケータ層を含む積層フィルム巻取りロールについて、前記積層フィルム巻取りロールに脱酸素剤を配置し、更に前記積層フィルム巻取りロール端面部分と前記脱酸素剤とを酸素バリア性フィルムで覆うことを特徴とする積層フィルム巻取りロールの保管方法としたものである。
また請求項2の発明では、前記酸素バリア性フィルムの酸素透過度が394.8ml/m・day・MPa以下であることを特徴とする請求項1に記載の積層フィルム巻取りロールの保管方法としたものである。
また請求項3の発明では、前記脱酸素剤の配置部位が、巻取りロールの端面であることを特徴とする請求項1又は2に記載の積層フィルム巻取りロールの保管方法としたものである。
また請求項4の発明では、前記脱酸素剤の配置部位が、巻取りロールの側面であることを特徴とする請求項1又は2に記載の積層フィルム巻取りロールの保管方法としたものである。
また請求項5の発明では、前記脱酸素剤の配置部位が、巻取りロール中心部の紙管もしくはプラスチック管の空洞内部であることを特徴とする請求項1又は2に記載の積層フィルム巻取りロールの保管方法としたものである。
また請求項6の発明では、前記積層フィルムの基材が、酸素透過度が394.8ml/m・day・MPa以下である酸素バリア性フィルムを少なくとも1層以上含むことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の積層フィルム巻取りロールの保管方法としたものである。
本発明は、易酸化物質を含む積層フィルム巻取りロールに脱酸素剤を配置し、更に巻取りロール端面部分と脱酸素剤とを酸素バリア性フィルムで覆うことにより、巻取りロール端面からの易酸化物質の脱酸素が可能になり、易酸化物質を含む積層フィルム巻取りロールを脱酸素状態に保ったまま保管することが可能になるという効果がある。
以下に、本発明の最良の一実施形態を説明する。
酸素インジケータの構成成分である酸化還元指示薬としては、メチレンブルー、ニューメチレンブルー、ニュートラルレッド、インジゴカルミン、アシッドレッド、サフラニンT、フェノサフラニン、カプリブルー、ナイルブルー、ジフェニルアミン、キシレンシアノール、ニトロジフェニルアミン、フェロイン、N−フェニルアントラニル酸等が使用できる。
また、酸素インジケータの構成成分である還元剤としては、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩、エリソルビン酸、エリソルビン酸塩や、D−アラビノース、D−エリスロース、D−ガラクトース、D−キシロース、D−グルコース、D−マンノース、D−フラクトース、D−ラクトース等の還元糖、第一錫塩、第一鉄塩等の金属塩等が使用可能である。
シール層が必要な場合は、ポリエチレン、ポリプロピレン等、酸素透過性、水蒸気透過性のあるものを適宜選択可能である。
基材としては、酸素インジケータと反応せず、しかも試薬の呈色を阻害しないものがよい。このような基材として、合成樹脂フィルム、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリビニルアルコール、セロハン、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、及びこれらのシリカ、アルミナなどの透明蒸着フィルム等を目的、使用形態に合わせて用いることができる。中でも、酸素インジケータつき包装体として用いる場合には、基材に酸素バリア性を付与する必要があるため、シリカ、アルミナ蒸着基材、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリアミド等を基材として使用すれば良い。更には、酸素透過度が394.8ml/m2・day・MPa以下であることが好ましい。
酸素インジケータ層を保護し、外観不良、剥離、及び破断を防止する目的で、アンカーコート層、オーバーコート層を設けることが出来る。このアンカーコート層としては、非水溶性であり、基材とその上に形成される酸素インジケータ層との密着性が良好な材料を、オーバーコート層としては、酸素透過性、酸素インジケータ層との密着性、及び任意に酸素インジケータ層上に更に設けられ得る接着剤層または他の樹脂層との良好な密着性を有する材料を好ましく使用することが出来る。アンカーコート層、及び/またはオーバーコート層は必要に応じて2層以上設けることも出来る。
酸素吸収樹脂を含む積層フィルムに用いる酸素吸収樹脂は、例えば、還元鉄を熱可塑性樹脂中に分散させ酸素吸収させるもの、不飽和結合を有する熱可塑性樹脂の酸化分解または酸素付加を利用したもの、無機酸化物を熱可塑性樹脂中に分散させ、その格子欠陥への酸素の結合を利用したもの等、酸素に暴露され続けると酸化するものであれば特に限定されるものではない。
易酸化物質を含む積層フィルム巻取りロールに配置する脱酸素剤としては、有機系脱酸素剤、鉄系脱酸素剤ともに使用可能であり、易酸化物質を含む積層フィルム巻取りロールの巾や巻き数量に応じて脱酸素剤の大きさや個数を調節すればよい。酸素インジケータの機能がpHに依存する場合には、鉄系脱酸素剤を選定することが好ましい。また、脱酸素剤の配置方法としては、脱酸素剤の能力を阻害しないのであれば特に限定されないが、例えば、巻取りロール端面、或いは巻取りロール側面、巻取りロール中心部の紙管もしくはプラスチック管の空洞内面に任意の粘着剤、紙テープ等で貼着して固定する方法が挙げられる(図1〜3の(A)参照)。
また、巻取りロール端面部分と脱酸素剤とを覆う酸素バリア性フィルムは、特に限定されないが、例えば、塩化ビニリデンフィルム、アルミ積層フィルム、金属酸化物蒸着フィルム積層体等が挙げられる。また、酸素バリア性フィルムはその酸素透過度が394.8ml/m2・day・MPa以下であることが好ましい。ここで、脱酸素剤の配置部位が巻取りロール端面、もしくは側面である場合は、少なくとも巻取りロール端面と脱酸素剤とを酸素バリア性フィルムで覆う必要がある(図1〜2の(C)〜(E)参照)。一方で、配置部位が紙管もしくはプラスチック管の空洞内面の場合は、巻取りロール端面に加え、管の中空部分も酸素バリア性フィルムで覆う必要がある(図3の(C)及び(D)参照)。また、易酸化物質の脱酸素を確実に行うため、巻取りロール端面と脱酸素剤を覆った
上で、酸素バリア性フィルムを巻取りロールにポリエステルテープ等で確実に密着、固定する必要がある。また、脱酸素剤を紙管もしくはプラスチック管の空洞内面に配置しない場合は、空洞部両端をプラキャップで塞ぐことにより、巻取りロール端面部分の密封性が上がり、脱酸素がより確実に行われるので好ましい(図1〜2の(D)及び(E)参照)。
上記のように、易酸化物質を含む積層フィルム巻取りロールに脱酸素剤を配置し、更に巻取りロール端面部分と脱酸素剤とを酸素バリア性フィルムで覆うことにより、脱酸素剤の働きによって巻取りロール端面とその付近や巻取りロール内部の酸素を除去し、尚且つ酸素の侵入を防ぐことが可能となる。
以下に、本発明の実施例とその比較例とを具体的に説明する。
<実施例1>
酸素インジケータ層組成:メチレンブルー3重量部、L−アスコルビン酸7.5重量部、バインダ樹脂10重量部、グリセリン7.5重量部、合成シリカ0.6重量部
アンカーコート層、オーバーコート層組成:黄顔料10重量部、ウレタン樹脂15重量部
12ミクロン厚のポリエステルフィルムの片側にアンカーコート層0.5ミクロン、酸素インジケータ層1ミクロン、オーバーコート層1ミクロンをグラビア印刷法により順次積層させ、その反対側に、金属酸化物を蒸着した12ミクロン厚のポリエステルフィルムを、2液硬化型ウレタン系接着剤を用いて積層させ、更に印刷面を覆う形で低密度ポリエチレンフィルム60ミクロンを積層させた。これを長さ1000mの酸素インジケータを含む積層フィルム巻取りロールとし、巻取りロール端面に適当な大きさの鉄系脱酸素剤を紙テープにて貼着した(図1の(A)参照)。更に酸素バリア性が98.7ml/m2・day・MPaの塩化ビニリデンフィルム20ミクロンを、その端縁が巻取りロールから外側にはみ出すようにして巻取りロール端面側に5回巻きつけ、紙テープにて巻取りロールの側面に気密に固定し(図1の(B)参照)、さらに、端縁を紙(もしくはプラスチック)管に押し込んで(図1の(C)参照)、紙(もしくはプラスチック)管の空洞部両端をプラキャップで塞ぐことにより、巻取りロール端面部分と脱酸素剤とを前記塩化ビニリデンフィルムで覆った(図1の(D)及び(E)参照)。
<実施例2>
酸素インジケータ層組成:実施例1と同様
アンカーコート層、オーバーコート層組成:実施例1と同様
12ミクロン厚のポリエステルフィルムの片側にアンカーコート層0.5ミクロン、酸素インジケータ層1ミクロン、オーバーコート層1ミクロンをグラビア印刷法により順次積層させ、更に印刷面を覆う形で低密度ポリエチレンフィルム60ミクロンを積層させた。これを数量1000mの酸素インジケータを含む積層フィルム巻取りロールとし、巻取りロール側面の端面に近い部分に適当な大きさの鉄系脱酸素剤を紙テープにて貼着した(図2の(A)参照)。更に酸素バリア性が98.7ml/m2・day・MPaの塩化ビニリデンフィルム20ミクロンを、その端縁が巻取りロールから外側にはみ出すようにして巻取りロール端面側に5回巻きつけ、紙テープにて巻取りロールの側面に気密に固定し(図2の(B)参照)、さらに、端縁を紙(もしくはプラスチック)管に押し込んで(図2の(C)参照)、紙(もしくはプラスチック)管の空洞部両端をプラキャップで塞ぐことにより、巻取りロール端面部分と脱酸素剤とを前記塩化ビニリデンフィルムで覆った(図2の(D)及び(E)参照)。
<実施例3>
酸素インジケータ層組成:実施例1と同様
アンカーコート層、オーバーコート層組成:実施例1と同様
12ミクロン厚のポリエステルフィルムの片側にアンカーコート層0.5ミクロン、酸素インジケータ層1ミクロン、オーバーコート層1ミクロンをグラビア印刷法により順次積層させ、更に印刷面を覆う形で低密度ポリエチレンフィルム60ミクロンを積層させた。これを数量1000mの酸素インジケータを含む積層フィルム巻取りロールとし、巻取りロール中心部の紙管の空洞内面に適当な大きさの鉄系脱酸素剤を紙テープにて貼着した(図3の(A)参照)。更に酸素バリア性が98.7ml/m2・day・MPaの塩化ビニリデンフィルム20ミクロンを5枚重ねたもので、巻取りロールの端面を完全に覆い(図3の(B)参照)、さらに、前記塩化ビニリデンフィルムを5枚重ねたものの周縁を、巻取りロールの側面に折り曲げて、紙テープにて気密に固定した(図3の(C)及び(D)参照)。
<実施例4>
酸素インジケータ層組成:実施例1と同様
アンカーコート層、オーバーコート層組成:実施例1と同様
12ミクロン厚のポリエステルフィルムの片側にアンカーコート層0.5ミクロン、酸素インジケータ層1ミクロン、オーバーコート層1ミクロンをグラビア印刷法により順次積層させ、更に印刷面を覆う形で低密度ポリエチレンフィルム60ミクロンを積層させた。これを数量1000mの酸素インジケータを含む積層フィルム巻取りロールとし、巻取りロール端面に適当な大きさの鉄系脱酸素剤を紙テープにて貼着した(図1の(A)参照)。更に酸素バリア性が98.7ml/m2・day・MPaの塩化ビニリデンフィルム20ミクロンを、その端縁が巻取りロールから外側にはみ出すようにして巻取りロール端面側に5回巻きつけ、紙テープにて巻取りロールの側面に気密に固定し(図1の(B)参照)、さらに、端縁を紙(もしくはプラスチック)管に押し込んで(図1の(C)参照)、紙(もしくはプラスチック)管の空洞部両端をプラキャップで塞ぐことにより、巻取りロール端面部分と脱酸素剤とを前記塩化ビニリデンフィルムで覆った(図1の(D)及び(E)参照)。
参考
金属酸化物を蒸着した12ミクロン厚のポリエステルフィルムを覆う形で還元鉄を含有した低密度ポリエチレンフィルム60ミクロンを積層させた。これを数量1000mの酸素吸収樹脂を含む積層フィルム巻取りロールとし、巻取りロール端面に適当な大きさの鉄系脱酸素剤を紙テープにて貼着した(図1の(A)参照)。更に酸素バリア性が98.7ml/m・day・MPaの塩化ビニリデンフィルム20ミクロンを、その端縁が巻取りロールから外側にはみ出すようにして巻取りロール端面側に5回巻きつけ、紙テープにて巻取りロールの側面に気密に固定し(図1の(B)参照)、さらに、端縁を紙(もしくはプラスチック)管に押し込んで(図1の(C)参照)、紙(もしくはプラスチック)管の空洞部両端をプラキャップで塞ぐことにより、巻取りロール端面部分と脱酸素剤とを前記塩化ビニリデンフィルムで覆った(図1の(D)及び(E)参照)。
<比較例1>
酸素インジケータ層組成:実施例1と同様
アンカーコート層、オーバーコート層組成:実施例1と同様
12ミクロン厚のポリエステルフィルムの片側にアンカーコート層0.5ミクロン、酸素インジケータ層1ミクロン、オーバーコート層1ミクロンをグラビア印刷法により順次積層させ、更に印刷面を覆う形で低密度ポリエチレンフィルム60ミクロンを積層させた。これを数量1000mの酸素インジケータを含む積層フィルム巻取りロールとした。その後、巻取りロール全体をアルミ積層フィルムにて防湿包装した。
<比較例2>
金属酸化物を蒸着した12ミクロン厚のポリエステルフィルムを覆う形で還元鉄を含有した低密度ポリエチレンフィルム60ミクロンを積層させた。これを数量1000mの酸素吸収樹脂を含む積層フィルム巻取りロールとし、巻取りロール端面に適当な大きさの鉄系脱酸素剤を紙テープにて貼着した。その後、巻取りロール全体をアルミ積層フィルムにて防湿包装した。
[実験1]
実施例1〜4及び比較例1に示す方法にて、それぞれの酸素インジケータを含む積層フィルム巻取りロールを製造後1ヶ月保管した。そして、それぞれの酸素インジケータを、実験開始から4時間大気放置した後、10cm×10cmのバリアナイロン/ポリエチレン包材内に入れ、有機系脱酸素剤とともに蒸留水入りポリエチレンバッグを充填して封入した。ヘッドスペースは150mLとし、その容量に合わせた脱酸素剤を選定した。
まず、酸素インジケータが脱酸素色になるまでに要する時間を確かめた。脱酸素色を示したものは、その後開封することで酸素インジケータを脱酸素状態から有酸素状態に開放し、その変色を確認した。以下に、結果を示す。
脱酸素色になるまでに要した時間 脱酸素 有酸素*
実施例1 1日 黄 緑
実施例2 1〜2日 黄 緑
実施例3 1〜2日 黄 緑
実施例4 4日 黄 緑
比較例1 1ヶ月以上経過しても変化無し 緑 緑

*有酸素状態で1日放置した後の色味を示した。
実施例1〜4に関しては、実験開始後4日以内で脱酸素色を呈した。比較例1に関しては1ヶ月が経過しても有酸素色の緑のままであった。また、脱酸素色を示した実施例1〜4では、大気開放後1日で有酸素色の緑を示した。
以上から、酸素インジケータを含む積層フィルム巻取りロールに脱酸素剤を配置し、更に酸素バリア性フィルムにより、巻取りロール端面部分と脱酸素剤とを覆うことにより、酸素インジケータを含む積層フィルム巻取りロールを簡便に脱酸素状態に保つことが可能であることがわかった。
[実験2]
参考及び比較例2の酸素吸収樹脂を含む積層フィルム巻取りロールの作製直後に、それぞれのフィルムにより10cm×10cmの包材を作製し、蒸留水入りポリエチレンバッグを充填した。ヘッドスペースは空気50mLとした上で、1週間後の包材内酸素濃度を測定した。また、参考及び比較例1に示す方法で、それぞれの巻取りロール作製後1ヶ月保管したものに関しても同様にして包材を作製し、1週間後の包材内酸素濃度を測定した。以下に、結果を示す。
作製直後から1週間後 1ヶ月保管後1週間
参考 0% 0%
比較例2 0% 21%

以上から、酸素吸収樹脂を含む積層フィルム巻取りロールに脱酸素剤を配置し、更に酸素バリア性フィルムにより、巻取りロール端面部分と脱酸素剤とを覆うことにより、酸素吸収樹脂を含む積層フィルム巻取りロールを簡便に脱酸素状態に保つことが可能であることがわかった。
(A)は脱酸素剤を端面に貼着した巻取りロールを示す図、(B)は更に酸素バリア性フィルムを端面側に巻き付けて固定した巻取りロールの断面を示す図、(C)は更に酸素バリア性フィルムの端縁を紙(もしくはプラスチック)管に押し込んだ巻取りロールの断面を示す図、(D)は更にプラキャップで紙(もしくはプラスチック)管を塞いだ巻取りロールの断面を示す図、(E)は(D)の巻取りロールの端面の部分を示す図。 (A)は脱酸素剤を側面に貼着した巻取りロールを示す図、(B)は更に酸素バリア性フィルムを端面側に巻き付けて固定した巻取りロールの断面を示す図、(C)は更に酸素バリア性フィルムの端縁を紙(もしくはプラスチック)管に押し込んだ巻取りロールの断面を示す図、(D)は更にプラキャップで紙(もしくはプラスチック)管を塞いだ巻取りロールの断面を示す図、(E)は(D)の巻取りロールの端面の部分を示す図。 (A)は紙(もしくはプラスチック)管の空洞内面に脱酸素剤を貼着した巻取りロールを示す図、(B)は更に端面を酸素バリア性フィルムで覆った巻取りロールの断面を示す図、(C)は更に酸素バリア性フィルムの周縁を折り曲げて側面に固定した巻取りロールの断面を示す図、(D)は(C)の巻取りロールの端面の部分を示す図。
符号の説明
1…巻取りロール端面
2…脱酸素剤
3…巻取りロール側面
4…巻取りロール紙(もしくはプラスチック)管の空洞内面
5…酸素バリア性フィルム
6…プラキャップ
7…巻取りフィルム
8…端縁
9…周縁

Claims (6)

  1. 印刷法により少なくとも酸素インジケータ層を含む積層フィルム巻取りロールについて、前記積層フィルム巻取りロールに脱酸素剤を配置し、更に前記積層フィルム巻取りロール端面部分と前記脱酸素剤とを酸素バリア性フィルムで覆うことを特徴とする積層フィルム巻取りロールの保管方法。
  2. 前記酸素バリア性フィルムの酸素透過度が394.8ml/m・day・MPa以下であることを特徴とする請求項1に記載の積層フィルム巻取りロールの保管方法。
  3. 前記脱酸素剤の配置部位が、巻取りロールの端面であることを特徴とする請求項1又は2に記載の積層フィルム巻取りロールの保管方法。
  4. 前記脱酸素剤の配置部位が、巻取りロールの側面であることを特徴とする請求項1又は2に記載の積層フィルム巻取りロールの保管方法。
  5. 前記脱酸素剤の配置部位が、巻取りロール中心部の紙管もしくはプラスチック管の空洞内部であることを特徴とする請求項1又は2に記載の積層フィルム巻取りロールの保管方法。
  6. 前記積層フィルムの基材が、酸素透過度が394.8ml/m・day・MPa以下である酸素バリア性フィルムを少なくとも1層以上含むことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の積層フィルム巻取りロールの保管方法。
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