JP4787780B2 - 流体管継手 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば合成樹脂製パイプ等の流体管を接続する流体管継手に関し、詳しくは流体管継手が、多くの構成部材によりねじ結合されて構成されている場合において、これら部材間の螺合部の緩みを半永久的に防止できる流体管継手に関するものである。
従来より、給水用または給湯用の流体管として、例えば架橋ポリエチレンやポリブデン等の合成樹脂からなるものが多用されており、かかる流体管は、例えばヘッダー(分水器)等の配管機器に流体管継手を介して接続される。
このような従来の流体管継手として、例えば図11の縦断面図に示す特許文献1に記載のものが知られている。
この流体管継手80は、その基本構成として、内部に通水孔81が穿設された継手本体82の外周面をその軸方向に延長して外筒部83を形成し、一方、継手本体82の内周面には、継手本体82と同心状に雌ねじ部84を形成し、この雌ねじ部84と、別体に構成した内筒部85の継手本体側に形成した雄ねじ部86とを螺合することにより、外筒部83を備えた継手本体82に、内筒部85が一体に螺合されてなるものである。
そして、流体管Pの継手80への接続に際しては、上記外筒部83と内筒部85間に流体管Pの接続端部を挿入したのち、この流体管Pの外周面と外筒部83間に、内周面に環状の抜け止め溝87が複数本形成されたテーパー状リング88を差し込み、外筒部83の外周面上に形成した雄ねじ部90と螺合する雌ねじ部89を有する押し輪91を継手本体82方向にねじ込むことにより、テーパー状リング88を縮径させて流体管Pを内筒部85の外周面上に固定するものである。
また、止水については、内筒部85の外周面と、流体管Pの内周面間に装着したOリング92と、継手本体82の内周面と流体管Pの端部間に装着したOリング93とにより行うものである。
このように、特許文献1の流体管継手80は、内筒部85と、押し輪91とが継手本体82にねじ結合されて、一個の流体管継手80を構成している。
また、特許文献2に記載の流体管継手についても内部構造は異なるが、多くの部品がねじ結合されて一個の流体管継手を構成している点については同様である。
特許第3564389号公報(段落番号0019、図2) 特開平11−336964号公報(請求項1、図1)
しかしながら、上記特許文献1に記載の流体管継手80は、作業者が外筒部83と内筒部85間に流体管Pの接続端部を挿入する際に、その挿入を容易ならしめるために流体管Pをその管軸回りに回転しつつ挿入することがよくある。
このような状態で流体管Pの接続端部が内筒部85に外挿されると、外挿後の内筒部85には、作業者が流体管Pに加えた力を復元しようとする内部応力が常に働き、作業者による流体管Pへの接触や何らかのショックが加わると、内筒部85の雄ねじ部86が緩みだすことがある。
また、流体管Pを内筒部85に外挿時する際に管軸回りに回転しなくとも、長年の使用を経ると通水時のウォータハンマー等による振動や、流体が温水である場合には熱膨張と収縮の繰り返し等により、ねじの結合部分が緩みだす場合がある。
仮に、上記従来継手の使用中において、継手本体82と内筒部85間の螺合部84、86や、押し輪91の雌ねじ部89が緩むと、当該部分からの水漏れや流体管自体が継手本体82から抜け出すこととなり、その場合の周囲への悪影響は非常に大きいものとなるから、このような継手使用中における螺合部の緩みや、緩みに起因する流体管の継手本体82からの抜けトラブルは防止されなければならない。
そこで、このような緩みを防止せんとして、特許文献1の流体管継手80では、継手本体82に内筒部85を螺合するに際し、雄ねじ部86と雌ねじ部84間に接着剤等の緩み防止剤を塗布してから螺合しているが、上記雄ねじ部86と雌ねじ部84との間は通水時には常時、流体と接触しているため、経年ともに接着剤が溶け出す問題があり、緩み止め策としては万全なものではなかった。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたもので、流体管継手の使用中における螺合部の緩みや、緩みに起因する継手本体からの流体管の抜けトラブル等を防止すべく、流体管継手の構成部品の結合手段としてねじ結合を用いながらも、その緩みが半永久的に生じない堅牢な流体管継手を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、請求項1の発明に係る流体管継手は、流体管が接続される接続部を備えた流体管継手であって、継手本体と、継手本体に螺合部を介して固定される筒状体とを備え、前記螺合部は、雄ねじ部と、雌ねじ部とからなり、前記雄ねじ部の先端側には、拡径可能な拡径部を備え、前記雌ねじ部の基端側には、前記雄ねじ部の拡径部が入り込む凹部が形成されてなり、前記雄ねじ部と雌ねじ部とが螺合した状態において、前記雄ねじ部の拡径部を拡径することにより、前記雄ねじ部の拡径部が前記雌ねじ部の凹部に係合して螺合状態の緩みを防止することを特徴とする(以下、上記螺合部の構成とその緩み防止処理を「拡径タイプのかしめ処理」と称する。)。
請求項2の発明に係る流体管継手は、流体管が接続される接続部を備えた流体管継手であって、継手本体と、継手本体に螺合部を介して固定される筒状体とを備え、前記螺合部は、雄ねじ部と、雌ねじ部とからなり、前記雌ねじ部の先端側には、縮径可能な縮径部を備え、前記雄ねじ部の基端側には、前記雌ねじ部の縮径部が入り込む凹部が形成されてなり、前記雄ねじ部と雌ねじ部とが螺合した状態において、前記雌ねじ部の縮径部を縮径することにより、前記雌ねじ部の縮径部が前記雄ねじ部の凹部に係合して螺合状態の緩みを防止することを特徴とする(以下、上記螺合部の構成とその緩み防止処理を「縮径タイプのかしめ処理」と称する。)。
請求項3の発明に係る流体管継手は、請求項1又は2に記載の発明に係る流体管継手において、前記流体管に係合して該流体管を抜け止め状態とする複数の爪を有する環状の抜止リングを備え、前記抜止リングは、前記筒状体を前記継手本体に螺合することで、前記継手本体と前記筒状体との間に装着されることを特徴とする。
請求項4の発明に係る流体管継手は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明に係る流体管継手において、前記筒部は、前記筒状体は、前記継手本体に形成された、前記流体管の端部が外挿される内筒部の先端に固定される締付リングであることを特徴とする。
請求項5の発明に係る流体管継手は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明に係る流体管継手において、前記筒状体は、前記流体管の端部が外挿される内筒部であることを特徴とする。
請求項1の発明に係る流体管継手によれば、継手本体に螺合部を介して筒状体を固定した後、その螺合部に前述した拡径タイプのかしめ処理を施すので、継手本体に対する筒部等のねじ結合が確実なものになり、螺合部における緩みが半永久的に防止される。
したがって、本発明の流体管継手は、その構成部品の結合手段として、従来のねじ結合を用いながらも、従来の継手のように螺合部に接着剤を塗る必要がなく、流体管継手の使用中における継手本体からの止水手段、抜止手段等の継手構成部品の離脱や、流体管自身の継手からの抜けが半永久的に防止され、水漏れが生じることのない堅牢な流体管継手が得られる。
請求項2の発明に係る流体管継手によれば、継手本体に螺合部を介して筒状体を固定した後、その螺合部に前述した縮径タイプのかしめ処理を施すので、継手本体に対する筒部等のねじ結合が確実なものになり、螺合部における緩みが半永久的に防止される。
すなわち、筒部や螺合部の構成によっては、縮径タイプのかしめ処理を螺合部に適用することができ、拡径タイプのかしめ処理を適用した場合と同様の螺合部からの緩みが半永久的に生じない堅牢な流体管継手が得られる。
請求項3の発明に係る流体管継手によれば、請求項1又は請求項2に記載の発明に係る流体管継手において、流体管に係合して該流体管を抜け止め状態とする複数の爪を有する環状の抜止リングを継手本体と筒状体との間に装着したので、当該複数の爪が確実に流体管と係合するうえ、筒状体に前述した拡径又は縮径タイプのかしめ処理が施されるので、これらにより継手本体への接続が確実なものとなり、流体管が筒状体から抜け出ることがない。
また、抜止リング自体としても、環状に形成されて流体管に挿入されるので、流体管の管軸と交叉する方向に抜け出ることもない。
請求項4の発明に係る流体管継手によれば、請求項1〜3のいずれかに記載の流体管継手において、筒状体を、継手本体に形成された流体管の端部が外挿される内筒部の先端に固定される締付リングとしたので、内筒部に装着した抜止リングや止水リング等の部品の抜け出しを確実に防止することができる。
請求項5の発明に係る流体管継手によれば、請求項1〜3のいずれかに記載の流体管継手において、筒状体を、流体管の端部が外挿される内筒部にしたので、継手本体からの内筒部の緩みが防止され、継手本体に対する内筒部の固定が確実なものとなる。
以下、本発明を実施するための最良の形態(実施例)を実施例の図面を参照して説明する。
本実施例は、拡径タイプのかしめ手段を内筒部に適用した流体管継手の例で、請求項1及び請求項3の発明に係る流体管継手の実施例である。以下、図1及び図2を用いて説明する。
図1は、本実施例の流体管継手の分解斜視図、図2(a)は、図1の流体管継手の構成部品を組み立て、その後にかしめ処理を施した継手全体の側面図、図2(b)は、図2(a)の流体管継手の縦断面図である。
図1に示すように、本実施例の流体管継手70は、大別して、継手本体10と、接続部60とからなり、接続部60は、止水手段20と、抜止手段30と、締付リング45と、外筒部50との構成部品からなる。そして、これらの構成部品が同軸上で一体に組み立てられて図2(a)及び図2(b)の完成品となる。
なお、本実施例の流体管継手70に接続される流体管Pとしては、例えば架橋ポリエチレンやポリブデン等の合成樹脂からなるものが使用される。また、流体は、継手本体10から締付リング45方向に流れ、その種類については、例えば水、温水等が好適であるがこれらに限定されるものではない(以下の説明において、継手本体10側を「入口側」、締付リング45側を「出口側」と称する場合がある。)。
次に構成部品毎に説明する。
まず、継手本体10は、図示しないヘッダー(分水器)等の配管機器類の雌ネジ部に、流体管継手70の全体を接続する部分であると共に、流体管Pを接続するための続部60を一体に結合して、完成品の流体管継手70とするためのベース的役割をする金属製部材である。
この継手本体10の外周面には、上記ヘッダー等の配管機器類の雌ネジ部に捩じ込み固定するための雄ネジ部11と、スパナ等の工具を係止させて捻じ込み易くするために外形が六角形に形成された工具係止部12とが形成される。
また、工具係止部12からは、その軸方向に所定長さで延びる内筒部40が一体に形成されており、この内筒部40の外周面上には、内筒部40との係合用の環状凹凸溝13(図2(b)参照)と、流体管Pの保持周面14と、止水手段20の環状装着溝15と、抜止手段30の保持周面16と、外筒部50との係合部17とがこの順に形成されている。すなわち、継手本体10と内筒部40とは、一体に形成されてなるものであるが、本実施例では両部の機能上、それぞれ継手本体10、内筒部40と称することにする。
内筒部40の係合部17は、雄ねじ部17aと、外径が雄ねじ部17aの谷径よりもやや小径で、軸方向長さが雄ねじの数ピッチ程度の長さに相当する円筒部17bとからなる。この円筒部17bは、雄ねじ部17aの端部をそのねじの谷径よりもやや小さな外径になるまで旋削したものである。
一方、継手本体10と内筒部40の内部には、破線で示す入口側から出口側まで貫通するテーパー状流路18が穿設されている。
止水手段20は、送液中の流体管Pから流体が漏れないように流体管をその内周面側からシールするためのもので、2個のゴム製Oリング21と、Oリング21をその外周から半径方向に押圧する断面ラッパ状の押圧部材22とからなる。
抜止手段30は、この抜止手段30に外挿された流体管Pが抜けるのをその内周面側から阻止すると共に、挿入状態の流体管Pをその軸周りに回転させるための部材であり、2個の抜止リング32と、これら2個の抜止リング32間を所定位置に位置決めするスペーサリング31とからなる。
抜止リング32は、図示のように、外挿された流体管Pの内周面に食い込むように複数の爪32aを入口側に放射状に傾斜させて折り曲げ形成したステンレス製のエンドレスの環状薄板である。この抜止リング32の外径寸法は、流体管Pを挿入していない図1の自然状態では流体管Pの内径よりも若干大となる寸法に形成されている。
このように抜止リング32は、エンドレスの環状薄板を加工したものであるので、内筒部40に装着後においては内筒部50の軸方向と直交方向に外れることはなく、また、抜止手段が内筒部または外筒部の軸方向に抜け出ようとしても複数の爪32aの先端部分が、流体管Pが抜け出しにくくなる方向に流体管の内周面に係合するので、抜止リング32自体としても内筒部40からの抜け出しが効果的に防止される。
締付リング45は、その内孔41において入口側から出口側に向かって流体を通過させると共に、継手本体10の保持周面16に抜止手段30を装着し、かつ入口側方向に押圧して固定するための金属製部材である。
締付リング45の内周面には、継手本体10の係合部17と互いに螺合する係合部42が形成されており、この係合部42は、入口側の雌ねじ部42aと、その奥側に位置し、雌ねじ部42aの谷径よりはやや大きな内径で、かつ継手本体10の円筒部17bの軸方向長さよりはやや長い長さを有する環状溝42bとからなる。
すなわち、図2(b)に示すように、継手本体10の雄ねじ部17aと、締付リング45の雌ねじ部42aとが互いに螺合する関係にある。これら雄ねじ部17aと雌ねじ部42aのねじ山形状は、通常用いられる三角ねじの他、接続されるべき流体管Pの呼び径に応じて適当なものにすることができる。
外筒部50は、継手本体10に接続され、流体管Pの接続端部を包囲することによりその端部を保護すると共に、継手使用時の流体圧力による流体管Pの膨張を抑制するための円筒体である。
本実施例の外筒部50は、入口側が合成樹脂製の接続部51と、出口側が金属製の外筒部本体部52とで構成され、両部材の境界面に形成された凹凸溝51a、52aが係合して一体化される。そして、接続部51の入口側内周面にも継手本体10の凹凸溝13と互いに係合する凹凸溝51bが形成され、両者が一体に結合するようになっている。
なお、符号53aは、流体管Pの接続端部の挿入状態を作業者が指を差し入れて確認するための確認孔で長孔状のもの、符号53bは、同様目的で作業者が目視確認するための確認孔で丸孔状のものである。
本実施例では、前述した内筒部40と外筒部50のそれぞれが本発明で言う「筒状体」を構成している。
ところで、本実施例の流体管継手70は、流体管継手として使用中における前述した係合部17、42からの緩みや、この緩みに起因する抜止手段30、流体管P等の継手本体10からの抜けトラブルを防止すべく、内筒部40の先端部の雄ねじ部17aと、締付リング45の雌ねじ部42aとからなる係合部42に拡径タイプのかしめ処理が施されていることに特徴を有する。
このかしめ処理を効果的に行うには、継手本体10と締付リング45の金属は塑性変形しやすい例えば黄銅や青銅等の比較的柔らかい金属を用いるのが好ましい。
本実施例においては、A部に示すように、継手本体10の流路18の内径dに対し、その係合部17の円筒部17b位置における流路内径を、元の流路内径dよりも大きな内径D(D>d)に塑性変形させることにより、拡径タイプのかしめ処理を施したものである。
次に、この拡径タイプのかしめ処理の仕方を図3及び図4を用いて詳述する。
図3は、図2(b)の流体管継手のかしめ処理工程を説明した縦断面図、図4(a)及び図4(b)は、図3のかしめ工程中、図3(c)のポンチング工程を詳述した縦断面図、図4(c)及び図4(d)は、図4(a)及び図4(b)の工程の変形例である。
図3(a)において、まずOリング21を内筒部40の雄ねじ部17a側から挿入し、2本の環状装着溝15内に装着する。
次に、図3(b)に示すように、抜止手段30を内筒部40の保持周面16上に挿入し、締付リング45の雌ねじ部42aを内筒部40の雄ねじ部17aと螺合させる。
次に、図3(c)に示すように、締付リング45の雌ねじ部42aを内筒部40の雄ねじ部17aに十分螺合させる。これにより抜止手段30を内筒部40に固定させてしまったら、今度は外筒部50の接続部51と、外筒部本体部52のそれぞれの凹凸溝51aと、52aとを互いに係合させて一体に連結し、次に接続部51の凹凸溝51bを継手本体10の凹凸溝13に係合させて外筒部50の全体を継手本体10と一体に結合させる。
次に、ポンチ100の凸部101を内筒部40の流路18に挿入し、次にその背面から図の矢印方向に例えば油圧駆動される拡径装置やハンマーによる打撃を加えることにより、かしめ処理を行う。
このかしめ処理工程を次の図4を用いてさらに詳述する。
図4(b)に示すように、ポンチ100は、鋼製円板の中央部に外径Dの凸部101を有しているものである。この凸部101の先端部102は、締付リング45の内孔41内にポンチ100が侵入しやすいようにポンチ外径Dよりも小径となっており、ここを基端部とするテーパー面103が設けられている。
一方、締付リング45の内孔41の内径は、ポンチ100の凸部101が嵌入できる程度のやや大きな内径を有している。このため、内孔41の内周面は、内筒部40の流路18の内周面(内径d)よりもt(t>[D−d]/2)だけ大きくなっている。
かしめ処理を行うには、図4(a)において、内筒部40に締付リング45を捩じ込むことにより、それぞれの係合部17、42の雄ねじ部17aと雌ねじ部42aとを螺合させると共に、内筒部40の円筒部17bの外周面上に締付リング45の環状溝42bが位置するようにする。
この状態において、次の図4(b)に示すように、内孔41からポンチ100の凸部101が継手本体10の円筒部17bに対して進入すると、内筒部40の係合部17の円筒部17bは、その外径がほぼ2tだけ拡径され、厚さt相当の円筒部17bが締付リング45の環状溝42b内に塑性変形して押し込まれる。
すなわち、この厚さtが、かしめ処理の際の円筒部17bの拡径代となる。
したがって、この塑性変形した円筒部17b(拡径部)により、内筒部40と締付リング45とは互いの係合部17、42による係合状態に加えて、さらに強固に係合し合うので、締付リング45の内筒部40に対する螺合状態は確実なものとなり、緩みは半永久的に防止される。また、わずかではあるが流路18の内径dがポンチにより拡径された分だけ流体が流路内を流れやすくなる。
このように、係合部17の円筒部17bを内部から拡径することにより、この円筒部17bを締付リング45の凹部である環状溝42b内に塑性変形させるのであるが、この場合、図4(c)に示すように、締付リング45の環状溝42b内の奥側に、さらに内径が大きな段部42cを形成し、一方、内筒部40側の円筒部17bの端部に、段部42cと係合するフック17cを形成しても良い。
次に図4(d)に示すように、これにポンチ100を進入させてかしめ処理を行うと、段部42cにフック17cがより確実に係合するので、締付リング45に対する緩み止め効果がより一層確実なものとなる。
以上のかしめ処理は、内筒部40の流路内径ごとに適当な外径を有するポンチ100を予め準備しておき、操作時に単にハンマー等で衝撃を加えればよいのであるから、簡単な操作にして上記の優れた効果を得ることができる。
再び、図3(d)に戻り、外筒部50の凹凸溝51bを継手本体の凹凸溝13に嵌合させることにより、外筒部50を継手本体10に接続し、一体化する。
以上の拡径タイプのかしめ処理により、前述した図2(b)の流体管継手70の完成品が得られるのである。
なお、本実施例の流体管継手70は、接続部51と外筒本体部52とがそれぞれ合成樹脂と金属で構成されているので、両部材間を摺動面として継手本体10を固定したまま流体管Pを回転させることができる。この場合、作業者により外筒本体部52に加えられた回転トルクは、流体管P及び抜止手段30を介して締付リング45に伝わることになるが、上記螺合部のかしめ処理により螺合部が緩むことはない。
以上に述べた本実施例の流体管継手70において、締付リング45は、前述したとおり図2(b)の態様のものとしたが、その変形例として、例えば図5に示す態様のものとすることもできる。
すなわち、図5に示す締付リング45Aは、内筒部40Aに止水手段30Aを固定する部材である点については実施例1の締付リング45と同様であるが、頭部43の外径よりも小径で、内筒部40A方向に延びる止水手段30Aの装着面44を設け、これに入口側から順に円筒部17Aと、雄ねじ部17Bとからなる係合部17Cを形成し、一方、内筒部40Aの内周面に前記係合部17Cと係合する、環状溝42Aと、雌ねじ部42Bとからなる係合部42Cを形成した点で異なる。
そして、締付リング45Aの装着周面44に止水手段30Aを装着した状態で両部材のねじ部同士を螺合させた後、締付リング45Aの円筒部17Aと、内筒部40Aの環状溝42Aとに対し、実施例1と同様の拡径タイプのかしめ処理を施して塑性変形させ、緩み止めを行ったものである。
なお、螺合部のかしめ処理は、図示は省略するが実施例1のものよりは軸方向長さが長いポンチを出口側から流路18A内に挿入することにより、締付リング45Aの円筒部17A部分を内部から拡径させるのである。
この変形例によっても図2(b)の流体管継手70と同様の効果を得ることができる他、内筒部40Aの軸方向長さを締付リング45Aの長さを長くした分、短くできるため、内筒部40Aの製造が容易になる。
本実施例は、内筒部に拡径タイプのかしめ処理を施した流体管継手の他例であり、請求項1、請求項3及び請求項5の発明の実施例に相当するものである。
以下、図6及び図7を用いて説明するが、実施例1と同一符号のものは実施例1と同一の部材を示しているので、その詳細な説明は省略し、異なる部分を中心に説明する。
図6は、本実施例の流体管継手の分解斜視図、図7は、図6の流体管継手の構成部品を組み立て、その後に拡径タイプのかしめ処理を施した後の継手全体の縦断面図である。
図6に示すように、本実施例の流体管継手70Bは、継手本体10Bと、止水手段20Bと、抜止手段30Bと、内筒部40Bと、外筒部50との主要構成部品で構成される。そして、これらの構成部品が同軸上で一体に組み立てられて図7の完成品となる。
本実施例の継手70Bの構成部材を、前述の実施例1及びその変形例の流体管継手70、70Aと比較してみると、実施例1及び変形例の主要構成部材とほぼ同様の部材を有するが、最も大きな相違点は、内筒部40Bが継手本体10、10Aとは継手方向に所定長さを有する別体の円筒体で構成されている点にある。
すなわち、本実施例の内筒部40Bは、材質が実施例1と同様の黄銅や青銅等の比較的柔らかい金属からなる所定長さの円筒体であり、その外周面には、出口側端部から順に、頭部19と、2本のゴム製止水リング23の環状装着溝15が所定間隔で形成され、つば部19aを隔てて、外径がつば部19aよりも小径にされた抜止手段30B及びゴム製止水リング21の装着周面14が形成されている。
また、この装着周面14の入口側には、外径が装着周面14の外径よりもやや小径の雄ねじ部17aが螺刻され、これに続く入口側端部には、外径が雄ねじ部17aの谷径よりもさらに小径の円筒部17bが形成されている。
一方、継手本体10Bは、その軸方向長さが内筒部40Bの長さ分だけ、短くされており、その出口側には、内筒部40Bの雄ねじ部17aと螺合するに十分な長さの雌ねじ部18a(図7参照)が流路18Bの内周面に螺刻されている。
そして、組み立てに際しては、図7に示すように、まず内筒部40Bの外周面に止水手段20B、抜止手段30B、止水リング21をこの順に挿入し、仮組みを行う。
次に、この仮組状態にした内筒部40Bの雄ねじ部17aを継手本体10Bの雌ねじ部18bにあてがって十分螺合させ、次に外筒部50を実施例1と同様に継手本体に結合する。
そして、最後に上記螺合部に対して、流路18Bの出口側から図示しないポンチを挿入し、実施例1の場合と同様の拡径タイプのかしめ処理を施して一体化する。
本実施例の流体管継手70Bによれば、螺合部の緩み止めに関しては、実施例1の継手と同様の効果が得られる他、以下の特有の作用効果を奏することができる。
内筒部40Bを継手本体10Bとは、別体に構成したので、その分、継手本体10Bの軸方向長さを短くすることができ、材料取りに無駄が無くなり、継手全体の製造コストを低減することができる。
また、同様に内筒部40Bを別体に構成したことにより、例えば継手本体10Bの材質を大量生産が可能で製造コストが安価な鋳鉄製または合成樹脂製とし、一方、内筒部40Bの材質を青銅や真鍮製からなる強度の高い金属製として両者を螺合することができ、この場合には、内筒部40Bの強度を確保しつつ、内筒部40Bの肉厚を極力薄くすることができるので、 その分、流路内径を大きくでき、また、併せて継手全体の製造コストも低減させることができる。
本実施例は、筒部を外筒部とし、これに縮径タイプのかしめ処理を施した流体管継手の例であり、請求項2及び請求項3の発明の実施例に相当するものである。
以下、同様に実施例1と異なる点を中心にして、図8乃至図10を用いて説明する。
また、実施例1と同一符号のものは実施例1と同一の部材を示しているので、その説明は省略する。
図8は、本実施例に係る流体管継手のかしめ処理前の分解斜視図、図9(a)は、図8の流体管継手の各構成部品を組み立て、かしめ処理後の継手全体の側面図、図9(b)は、図9(a)の流体管継手の縦断面図、図10(a)は、図9(b)B部の拡大断面図でかしめ処理前のもの、図10(b)は、図9(b)B部の拡大断面図でかしめ処理直後のものである。
図8において、本実施例の流体管継手70Cは、継手本体10Cと、止水手段20Cと、抜止手段30Cと、内筒部40Cと、締付リング45Cと、外筒部50Cとの主要構成部品で構成され、これらの構成部品が同軸上で一体に組み立てられて図9の完成品となる。
すなわち、本実施例の内筒部40Cは、継手本体10Cからその軸方向に所定長さで延びる円筒体であり、その外周面19には、ゴム製止水リング21の環状装着溝15が互いの間隔を広げて2本形成されている。また、その内部には、出入口部がテーパー状に形成された流路18Cが貫通して穿設されている。
図9(b)に示すように、上記内筒部40Cの環状装着溝15にゴム製止水リング21が装着され、これらに流体管Pが外挿されると、止水リング21が広い間隔で装着されているので、流体管の接続端部を安定してその内部から支持することができると共に、この部位で流体漏れを阻止することができる。
一方、外筒部50Cの内周面と流体管Pの外周面との間には、2個の抜止リング32cと、これらリング間の位置決めをするスペーサ31cと、流体管の接続端部の押え筒33とからなる抜止手段30Cとが挿入され、実施例1で前述した抜止リング32の流体管Pに対する係止効果により、継手から流体管が抜け出るのを防止するようになっている。
そのため、外筒部50Cの内周面には、ゴム製止水リング23と抜止手段30Cとが装着し得る環状溝46が形成されており、これら部材を環状溝46内に装着後、締付リング45Cを外筒部50Cに螺合させて軸方向に締め付けることにより、固定できるようになっている。すなわち、本実施例の外筒部50Cと締付リング45Cとは、継手への抜止手段30Cの固定手段となっており、締付リング45Cは緩んではならない。
次に図10(a)に示すように、外筒部50Cの出口側内周面には、雌ねじ部56aと、この雌ねじ部56aの谷径よりもやや大きな内径で、かつ軸方向の幅がWの環状溝56bとからなる係合部56が形成されている。
締付リング45Cは、略フランジ状の形状をした円筒体であり、外筒部50Cの環状溝56bの外径よりもやや大きな外径のフランジ部48を有しており、これに隣接して、上記環状溝56bの溝幅Wとほぼ等しい幅の環状溝47bと、所定長さの雄ねじ部47aとからなる係合部47が軸方向に形成されている。なお、雄ねじ部47aの軸方向長さは、外筒部50Cの雌ねじ部56aの軸方向長さよりも短い長さにされている。
上記部材の組み立てに際しては、まず、内筒部40Cの環状装着溝15にゴム製止水リング21を装着し、次に外筒部50Cの環状溝46内に、止水リング23、抜止手段30Cの順に挿入し、外筒部50Cの雌ねじ部56aに締付リング45Cの雄ねじ部47aを螺合させ、締付リング45Cのフランジ部48が外筒部50Cの出口側先端部57に当接するまでしっかりと捩じ込む。
以上のように組み立てられた流体管継手70Cに対し、縮径タイプのかしめ処理は、図10(b)に示す略椀形ポンチ200により行う。
このポンチ200は、鋼製のかしめ工具であり、内部に締付リング45Cのフランジ部48の外径よりもわずかに大きな内径dcを有する十分に深い穴201が穿設されているため、締付リング45Cのフランジ部48の外周面をガイドとして継手を被せるように挿入することができる。また、その入口側には、かしめ処理時の筒部55の先端部57との当たり面となるテーパー面203が穴201に連接して形成されており、そのさらに入口側には筒部55の外径よりも大きな外径の環状逃げ溝202が形成されている。
このポンチ200によりかしめ処理を行うには、まずポンチ穴201を外筒部50Cのフランジ部48に被せ、その外周面を案内ガイドとして、テーパー面203が筒部55の先端部57に当接するまで継手本体方向に押し込む。
テーパー面203が筒部55の先端部57に当接したら、ポンチの打撃部204を図示しないハンマー等で叩く。ポンチ200のテーパー面203により叩かれた筒部55の先端部57には、図に示すテーパー面203からの楔作用による分力が作用する。この分力は先端部57の中心軸方向に行くほど大きな力が作用するので、筒部55の先端部57が環状溝47b方向に縮径され、先端部55が締付リング45Cの環状溝47b内に塑性変形して入り込み、当該溝47bと強固に係合する。すなわち、本実施例では、先端部57が本発明で言う「縮径部」に該当し、環状溝47bが「凹部」に該当する。
よって、継手本体10Cと締付リング45C間の螺合状態は半永久的なものとなり、締付リング45Cの緩みが防止される。また、本実施例によれば、上記緩み止め効果の他、止水手段20Cと、抜止手段30Cとを同心円状に配したので、この分、継手全長を短くできる特有の効果を奏することができる。
このように、本実施例の流体管継手は、縮径によるかしめ処理によっても螺合部の緩みを防止することができるのであり、実施例1と同様の効果を得ることができ、また、継手の内部構造によっては実施例1の拡径タイプのかしめ処理と併用することもできる。
本発明に係る流体管継手の一例の分解斜視図である。 図2(a)は、図1の流体管継手の構成部品を組み立て、その後にかしめ処理を施した状態を示す側面図、図2(b)は、図2(a)の流体管継手の縦断面図である。 図2(b)の流体管継手のかしめ処理工程を説明する縦断面図である。 図4(a)及び図4(b)は、図3(b)の流体管継手のかしめ工程中、図3(c)のポンチ工程を詳述する縦断面図である。図4(c)及び図4(d)は、その変形例の縦断面図である。 図2(b)のさらに異なる流体管継手の変形例の縦断面図である。 図2(b)の流体管継手のさらに異なる変形例の分解斜視図である。 図6の流体管継手の構成部品を組み立て、その後にかしめ処理を施した状態を示す側面図である。 本発明に係る流体管継手の他例であって、かしめ処理前の分解斜視図である。 図9(a)は、図8の流体管継手の構成部品を組み立て、その後にかしめ処理を施した状態を示す側面図、図9(b)は、図9(a)の流体管継手の縦断面図である。 図9(b)の流体管継手のB部のかしめ工程を示す拡大部分断面図である。 従来の流体継手の縦断面図である。
符号の説明
10〜10C 継手本体
17 係合部
17a 雄ねじ部
17b 円筒部(拡径部)
18 流路
20〜20C 止水手段
30〜30C 抜止手段
40〜40C 内筒部
47 係合部
47a 雌ねじ部
47b 環状溝
50〜50C 外筒部
57 先端部(縮径部)
60 接続部
70〜70C 流体管継手
100、200 ポンチ
P 流体管

Claims (5)

  1. 流体管が接続される接続部を備えた流体管継手であって、
    継手本体と、継手本体に螺合部を介して固定される筒状体とを備え、
    前記螺合部は、雄ねじ部と、雌ねじ部とからなり、
    前記雄ねじ部の先端側には、拡径可能な拡径部を備え、前記雌ねじ部の基端側には、前記雄ねじ部の拡径部が入り込む凹部が形成されてなり、
    前記雄ねじ部と雌ねじ部とが螺合した状態において、前記雄ねじ部の拡径部を拡径することにより、前記雄ねじ部の拡径部が前記雌ねじ部の凹部に係合して螺合状態の緩みを防止することを特徴とする流体管継手。
  2. 流体管が接続される接続部を備えた流体管継手であって、
    継手本体と、継手本体に螺合部を介して固定される筒状体とを備え、
    前記螺合部は、雄ねじ部と、雌ねじ部とからなり、
    前記雌ねじ部の先端側には、縮径可能な縮径部を備え、前記雄ねじ部の基端側には、前記雌ねじ部の縮径部が入り込む凹部が形成されてなり、
    前記雄ねじ部と雌ねじ部とが螺合した状態において、前記雌ねじ部の縮径部を縮径することにより、前記雌ねじ部の縮径部が前記雄ねじ部の凹部に係合して螺合状態の緩みを防止することを特徴とする流体管継手。
  3. 前記流体管に係合して該流体管を抜け止め状態とする複数の爪を有する環状の抜止リングを備え、
    前記抜止リングは、前記筒状体を前記継手本体に螺合することで、前記継手本体と前記筒状体との間に装着されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の流体管継手。
  4. 前記筒状体は、前記継手本体に形成された前記流体管の端部が外挿される内筒部の先端に固定される締付リングであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の流体管継手。
  5. 前記筒状体は、前記流体管の端部が外挿される内筒部であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の流体管継手。
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