JP4785925B2 - 導波路型偏光子および光導波路デバイス - Google Patents
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Description
このような欠点に対しては、例えば図11に示すように、基板101上に金属拡散により形成した光導波路102の両側方に、同じく金属拡散により形成した矩形の放射領域103を設け、光導波路102を伝搬するTMモードおよびTEモードのうちの一方を放射領域103で放射させる構成の導波路型偏光子が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
L=(2m+1)・λ/(2・Δn) (m=0,1,2,…)
Δn=Neff−Neff’
ただし、λは導波路を伝搬する光の波長であり、Neffは伝搬させるべき偏光の直線導波路部における導波モードの実効屈折率であり、Neff’は伝搬させるべき偏光について接続部で励振される非導波モードの実効屈折率の平均値である。
すなわち、図11に示した従来構成の場合、20dB以上の偏波消光比を実現するためには10mm程度の導波路長が必要であり、光導波路デバイスのサイズが大きくなってしまうという問題点がある。加えて、光導波路102を伝搬する光に対して放射領域103が方向性結合器として作用するため、例えば図13の光波長に対する偏波消光比の関係に示すような大きな波長依存性が生じてしまうという問題点もある。
本発明は上記のような問題点に着目してなされたもので、小型で波長依存性が小さな導波路型偏光子を提供することを目的とする。
上記のような構成の導波路型偏光子では、光導波路を伝搬する光の直交する偏波成分のモードの広がり方の違いにより、他方の偏波成分が曲がり部より径方向外側の基板内部にしみ出し、それが光吸収部を伝搬して光導波路外に導かれることで、一方の偏波成分のみが光導波路内を伝搬して出力されるようになる。
2…光導波路
2A,2C,2E…直線部
2B…曲がり部
2D,2D1,2D2…S字部
3,3A.3B…光吸収部
4…溝部
20…マッハツェンダ型光導波路
31…信号電極
32…接地電極
41…駆動回路
42…終端回路
dS…光導波路と光吸収部の間隔
dW…光吸収部の幅
Lr…光吸収部の長さ
R0…曲がり部の曲率半径
w…光導波路の幅
図1は、本発明の第1実施形態による導波路型偏光子の構成を示す平面図である。
図1において、第1実施形態の導波路型偏光子は、例えば、Z−カットのニオブ酸リチウム(LiNbO3)やタンタル酸リチウム(LiTaO3)などを用いた基板1にチタン(Ti)等の金属を1000〜1050℃で約10時間拡散させることで形成した光導波路2および光吸収部3を備える。
光吸収部3は、曲がり部2Bの半径方向外側に位置し、かつ、曲がり部2Bに対して距離dSを隔てて形成されている。ここでは、光吸収部3の幅をdW、光吸収部3の曲がり部2Bに沿った長さをLrとする。ただし、光吸収部3の長さLrは、曲がり部2Bの曲率半径R0が大きな場合、図1に示したように直線部2Aを伝搬する光の光軸方向に対する長さとしてもよい。
具体的に、例えばZ−カットのLiNbO3基板1上に形成した直線部2Aでは、図2の断面図に示すように、TMモードに比べてTEモードの方が横方向の閉じ込めが弱くなるため、円形状に広がって伝搬するTMモードに対して、TEモードは楕円形状に横方向に広がって伝搬する。このとき、TMモードおよびTEモードの各中心軸は直線部2Aの断面中央付近に位置している。
図4は、第1実施形態の導波路型偏光子における光波長に対する偏波消光比の関係を測定した一例である。なお、ここでは、直線部2Aおよび曲がり部2Bの幅wを7μm、曲がり部2Bの曲率半径R0を30mm、曲がり部2Bと光吸収部3との間隔dSを2μm、光吸収部3の幅dWを50μm、光吸収部3の長さLrを4mmとした評価サンプルを使用して測定を行っている。
なお、上記の第1実施形態では、基板1の材料としてLiNbO3やLiTaO3等を用いる場合について説明したが、本発明はこれに限らず、光導波路デバイスに用いられる公知のTMとTEで屈折率の異なる基板材料を適用することが可能である。また、Ti等の金属の拡散によって基板1に光導波路2および光吸収部3を形成する一例を示したが、金属拡散以外の公知方法により光導波路2および光吸収部3を形成することも勿論可能である。
図6は、本発明の第2実施形態による導波路型偏光子の構成を示す平面図である。
図6において、第2実施形態の導波路型偏光子は、基板1に形成される光導波路2が曲がり部2Bの前後に直線部2A,2Cを有し、光が直線部2A、曲がり部2Bおよび直線部2Cを順に伝搬する場合について、曲がり部2Bの径方向外側に対応した直線部2Cの側方に位置し、かつ、直線部2Cに対して距離を隔てた領域に光吸収部3を形成するようにしたものである。
なお、上記の第2実施形態の応用例として、図7に示すように、曲がり部2Bの径方向外側に位置し、かつ、曲がり部2Bに近接する領域に溝部4を設けるようにしてもよい。この溝部4は、基板1をエッチング等することによって形成される。このような構成では、曲がり部2BにおいてTMモードが効果的に閉じ込められるようになる一方、曲がり部2Bより径方向外側にしみ出したTEモードは溝部4を通過して光吸収部3内を伝搬するようになる。よって、上記のような溝部4を設けることにより、TMモードの損失を増加させることなく曲がり部2Bの曲率半径R0をより小さくすることができ、導波路型偏光子をさらに小型化することが可能になる。
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
図8は、本発明の第3実施形態による導波路型偏光子の構成を示す平面図である。
なお、上記の第3実施形態の変形例として、図9に示すように、S字部の前半の曲がり部分2D1と後半の曲がり部分2D2の間に直線部2Eを設けて、S字部の前半の曲がり部分2D1の径方向外側に対応した直線部2Eの側方に位置し、かつ、直線部2Eに対して距離を隔てた領域に光吸収部3Aを形成するようにしてもよい。このような構成では、光吸収部3Aの形状が単純化されるので、パターン設計を容易に行うことが可能になる。
図10は、本発明の導波路型偏光子を光変調器に適用した場合の構成例を示す平面図である。
図10に示す構成例では、上述の図8に示した第3実施形態の導波路型偏光子が、公知のマッハツェンダ型光変調器の出力部分Aに組み込まれている。具体的には、入力導波路20A、分岐部20B、分岐導波路20C,20C’、合波部20Dおよび出力導波路20Eからなるマッハツェンダ型光導波路20が金属拡散により基板1に形成されていると共に、該マッハツェンダ型光導波路20の出力導波路20Eを上述した導波路型偏光子における光導波路2の直線部2Aと共通化して、S字部2Dおよび直線部2C、並びに、光吸収部3A,3Bが金属拡散により基板1に形成されている。また、マッハツェンダ型光導波路20上には信号電極31および接地電極32が分岐導波路20C,20C’に沿って形成されており、駆動回路41から出力される変調信号が信号電極31の一端に与えられる。信号電極31の他端には終端回路42が接続されている。
Claims (8)
- 基板に形成された光導波路を伝搬する光の直交する偏波成分のうちの一方の偏波成分のみを伝搬させる導波路型偏光子において、
前記光導波路は、光が一端より入射される直線部と、該直線部の他端に一端が接続された曲がり部と、を有し、
前記曲がり部の径方向外側に位置する前記基板の内部で、かつ、前記曲がり部に対して距離を隔てた領域に形成した光吸収部を備え、
前記曲がり部より径方向外側にしみ出した他方の偏波成分が前記光吸収部を伝搬して前記光導波路外に導かれることを特徴とする導波路型偏光子。 - 基板に形成された光導波路を伝搬する光の直交する偏波成分のうちの一方の偏波成分のみを伝搬させる導波路型偏光子において、
前記光導波路は、光が一端より入射される第1直線部と、該第1直線部の他端に一端が接続された曲がり部と、該曲がり部の他端に一端が接続された第2直線部と、を有し、
前記曲がり部の径方向外側に対応した前記第2直線部の側方に位置する前記基板の内部で、かつ、前記第2直線部に対して距離を隔てた領域に形成した光吸収部を備え、
前記曲がり部より径方向外側にしみ出した他方の偏波成分が前記光吸収部を伝搬して前記光導波路外に導かれることを特徴とする導波路型偏光子。 - 前記曲がり部の径方向外側に位置し、かつ、前記曲がり部に近接する領域に形成された溝部を備えたことを特徴とする請求項2に記載の導波路型偏光子。
- 基板に形成された光導波路を伝搬する光の直交する偏波成分のうちの一方の偏波成分のみを伝搬させる導波路型偏光子において、
前記光導波路は、光が一端より入射される第1直線部と、該第1直線部の他端に一端が接続されたS字部と、該S字部の他端に一端が接続された第2直線部と、を有し、
前記S字部の変曲点より光入力側にある第1曲がり部分の径方向外側に位置する前記基板の内部で、かつ、変曲点付近の前記S字部に対して距離を隔てた領域に形成した光吸収部を備え、
前記第1曲がり部分より径方向外側にしみ出した他方の偏波成分が前記光吸収部を伝搬して前記光導波路外に導かれることを特徴とする導波路型偏光子。 - 基板に形成された光導波路を伝搬する光の直交する偏波成分のうちの一方の偏波成分のみを伝搬させる導波路型偏光子において、
前記光導波路は、光が一端より入射される第1直線部と、該第1直線部の他端に一端が接続されたS字部と、該S字部の他端に一端が接続された第2直線部と、を有し、
前記S字部の変曲点より光出力側にある第2曲がり部分の径方向外側に対応した前記第2直線部の側方に位置する前記基板の内部で、かつ、前記第2直線部に対して距離を隔てた領域に形成した光吸収部を備え、
前記第2曲がり部分より径方向外側にしみ出した他方の偏波成分が前記光吸収部を伝搬して前記光導波路外に導かれることを特徴とする導波路型偏光子。 - 基板に形成された光導波路を伝搬する光の直交する偏波成分のうちの一方の偏波成分のみを伝搬させる導波路型偏光子において、
前記光導波路は、光が一端より入射される第1直線部と、該第1直線部の他端に一端が接続されたS字部と、該S字部の他端に一端が接続された第2直線部と、を有すると共に、前記S字部の変曲点より光入力側にある第1曲がり部分および光出力側にある第2曲がり部分の間に第3直線部を有し、
前記第1曲がり部分の径方向外側に対応した前記第3直線部の側方に位置する前記基板の内部で、かつ、前記第3直線部に対して距離を隔てた領域に形成した光吸収部を備え、
前記第1曲がり部分より径方向外側にしみ出した他方の偏波成分が前記光吸収部を伝搬して前記光導波路外に導かれることを特徴とする導波路型偏光子。 - 前記光導波路および前記光吸収部は、前記基板に金属を拡散させることで形成されたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の導波路型偏光子。
- 請求項1〜7のいずれか1つに記載の導波路型偏光子を備えて構成されたことを特徴とする光導波路デバイス。
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