JP4785082B2 - 中綴本の針金曲がり検出器 - Google Patents
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Description
このように中綴本においては折丁の背側から綴じ用の針金が貫いてのどで折り曲げられて綴じ込まれている。この中綴じが正常であれば針金の足がのど元に伏すように折り曲げられたものとなっているが、針金の足の折りが不足してのど元から起きた状態となったり立った状態となった折り不良も存在している。
従来においてこのような問題も含めて、中綴本での背側の針金の浮きや上述した足の起きなどの綴じ不良を検出するための技術が各種提案されている。
つぎに、搬送される中綴じされた折丁の通過位置に対して投光器により上下方向に幅広のレーザー光を照射して、照射された帯状のレーザー光の照射部分を折丁の背側が通過するようにし、その背側で針金が背から離れるような浮き状態となっている場合には、針金の浮き部分(背からの飛び出し部分)も、レーザー光照射装置に対向配置した受光素子で検出する提案がある(特許文献2)。
また、折丁搬送ラインの下側から中綴じされた折丁ののど側をCCDカメラで撮影するようにし、撮影された画像により針金の足の正常な折り状態と異常な折り状態とを比較判別するようにした技術も提案されている(特許文献4)。
しかし、高周波利用の検出装置は、現実の装置としての検出精度などは全く不明であり、提案の構成から装置の作製を検討すると高額な検査装置になってしまうという問題がある。
また、CCDカメラ利用の上記技術では針金の足の長さまでも検査できるものとされているが、やはりこの技術でも提案の構成から装置の作製を検討すると高額なものとなってしまう。さらに、ステッチャーから折丁が送り出されると、直ぐに断裁工程に移すようにしているのが一般的な中綴本の製造ラインであり、ステッチャー側から送り出されてくる折丁がそのギャザリングチェーンの上に乗っている距離が極めて短かいものとなっている。そのため、ギャザリングチェーン内の僅かな距離の部分にCCDカメラや照明機器などを組み入れることが非常に困難であり、ステッチャーから断裁工程までのラインを作り直さなければならないという新たな問題が生じる。さらに、前記ギャザリングチェーンの内部にCCDカメラや照明機器を組み入れることができたとしても、ギャザリングチェーン周りは紙粉による汚れが付着し易い環境であるため、適正な撮影条件を維持するためにメンテナンスが煩雑になるという問題がある。
そして、本発明者にあっては、折丁の搬送中に針金の足との接触によって降下する部材のその降下量で綴じの不良となっているか否かが判別できる点に着目して本発明に至ったものである。
そこで本発明は上記事情に鑑み、上記高周波を発信する発信電極と受信電極のとの間を中綴じの針金が通ったときの検出ヘッドでの信号により綴じの不良を検出する技術や上記CCDカメラを用いて針金の足の画像を解析して綴じの不良を検出する技術を利用することなく、折丁ののど側での針金の足の起きや立ち上がりである折り不良を検出できるようにすることを課題とし、簡易な構成でコンパクトな折り不良の検出器を提供することを目的とするものである。
本発明は上記課題を考慮してなされたもので、中綴じされてのど側を開いた折丁であって、中央空間部を間にした二列のギャザリングチェーンで搬送される前記折丁ののど側の針金の折り不良を検出する検出器において、前記ギャザリングチェーンで搬送される折丁の中綴じした針金の足の移動線上に対応位置し、移動する前記足との接触により降下可能に設けられた可動板と、前記足との接触による前記可動板の降下量を測定するセンサとを備え、正常な折りの場合における、前記可動板の降下量の範囲が設定されていて、可動板と前記針金の足との接触による、可動板の降下量の測定値としきい値を比較し、可動板の降下量の測定値がしきい値を超えた場合には、針金の足の折りが不良である場合と判定をし、そうでない場合には、針金の足の折りが正常である場合と判定をすることを特徴とする中綴本の針金折り不良検出器を提供して上記課題を解消するものである。
また、本発明において、前記可動板は、上方開放の凹溝を有する上端部をギャザリングチェーンの間に表出させた状態にして中央空間部に位置固定とした支持板の前記凹溝に、該可動板の折丁搬送方向の上流側の部分が針金接触下限より下となる位置とされ、折丁搬送方向の下流側の部分が折丁ののど元の移動高さ位置に近接する位置とされる傾斜状態にして配置され、前記支持板は、可動板の前記折丁搬送方向の上流側の部分で該可動板を枢支して、前記凹溝に案内されて移動する針金の足との接触により可動板が降下可能に支持されているものとすることが可能である。
また、本発明において、前記センサは、前記可動板の下方に対応位置するロッド状の接触子と、該接触子を可動板に付勢状態で当接させて上下移動可能に支持し、針金の足との接触により降下する可動板の降下量を前記接触子を介して測定するセンサ本体とからなるものとすることが可能である。
また、本発明において、前記支持板には、前記可動板に臨む接触子挿通孔が貫通していて、この接触子挿通孔に前記接触子を挿入して可動板に当接させた状態で前記センサ本体が支持板に取り付けられて、接触子の周りからセンサ本体における接触子出入口に亘る接触子出入口周辺部を前記支持板で覆っているものとすることが良好である。
また、本発明において、前記ギャザリングチェーンの中央空間部の上方であって、前記ギャザリングチェーンで搬送される折丁の背の移動線上に対応し、搬送される折丁の背の上限高さ位置を規制するガイドローラを有するものとすることが可能である。
請求項1の発明は、ステッチャーにて中綴じされた折丁が二列のギャザリングチェーンにより前記ステッチャー側から搬送される過程で折丁ののど側の足の折れが正常であるか否かを判定できるようにするものである。
(正常−非接触)
例えば、二列のギャザリングチェーンの中央空間部に可動板が配置されて、正常に針金の足が折れてのど側に伏している状態の折丁がギャザリングチェーンにより搬送されて移動し、その針金の足が可動板に接触しないでその上を通過すると、当然、センサ自体は可動板の降下量を測定せず、正常な折り状態の針金が通過したものとして対処すればよいものとなる。
(正常−接触)
針金の足の折りといっても、ほんのわずかといえる程度に起きているものや、折り曲げられた部分がのど元から小さな凸として突出することもあり、このような折りの状態も正常な折りとする場合がある。例えば厚さが薄い中綴本であると、針金の足の正常な折り部分が下に小さな凸となる形状を呈する場合がある。
そこで、正常な折りである針金の足が可動板に接触するようにしているものであってもよい。勿論、その場合、折丁ののど元から、針金の足の最下端の部分(足の切断端とは限らず、折曲個所であることもある)までの距離は小さいものとなっている。
そして、折丁の搬送によって針金の足が移動して可動板に接触すれば、可動板は降下することになるが、その降下量は、前記折丁ののど元から針金の足の最下端の部分までの距離に応じて小さな降下量となる。一方、センサは、前記可動板の小さな降下量を測定することになり、事前に正常な折りの場合の測定値の範囲を設定しておくことで、得られたその測定値と前記正常範囲の値(しきい値)の比較を行ない、可動板を降下させた針金が適正に折られていると判定するものとすることができる。
(不良−接触)
針金の足の折りが不良である場合、その足が起きたり立ったりしている状態であり、折丁ののど元から針金の最下端部(足の先端部など)の距離が大きくなっている。
そして、上記正常な折りの足に対して非接触としたり或いは接触するようにした可動板に、このような場合の針金の足が接触することとなり、のど元から針金最下端部までの大きな距離に応じた量で可動板が降下する。
よって、センサは可動板の大きな降下量を測定することになり、事前に所定値を越えた場合に折り不良として設定した設定値と得られた測定値(大きな降下量)との比較を行なわせて、可動板を降下させた針金が不良な折りの状態になっていると判定するものとすることができる。
さらに、構成が簡易でコンパクトな検出器とすることができ、ステッチャーから送り出される折丁がつぎの工程に渡されるまでに、ギャザリングチェーンでの搬送距離が短い場合でもギャザリングチェーンの搬送機構内に組み入れて、ライン構成を改変することなく、針金折り不良の検査を自動化できるという優れた効果を奏する。
請求項2の発明では、移動する針金の足が支持板の上端部に差し掛かれば凹溝に入り、この凹溝は、移動する針金の足を確実に可動板に対応する部分を通るように案内する。
このように請求項2の発明によれば、針金の足がのど元からズレる方向に折り曲がる状態となっていても、針金の足の移動に伴なって凹溝に案内されて上記可動板に対応する位置に確実に通るようになり、折り不良として判定すべき状態の足の最下端部が可動板に接触する位置まで下がるようにのど元から離れている状態でありさえすれば、その足が凹溝に案内されて可動板と接触するようになり、センサがより適切に降下量を測定できるようになるという効果を奏する。
また、可動板が傾斜していることから、針金の足が可動板に接触する場合には、その針金が可動板を押し下げながら移動する距離が長く確保され、針金の長い距離の接触移動でその可動板が適正に降下して、センサが確実に可動板の降下を検出できるようになる。
請求項3の発明によれば、針金の足の起きの度合いが接触子の降下量という数値と対応するようになるため、針金の足の折れの良否の判定が容易になる。
請求項4の発明によれば、接触子の周りやセンサ本体の接触子出入り口への紙粉の付着が抑止されるようになり、よって、本検出器のメンテナンスが容易になる。
折丁は中綴じとされている部分に強い折り癖を有した状態のものであり、この折丁の背を上にしてのどが下に向いて開いた状態で二列のギャザリングチェーンの上に乗って搬送されている。そのため、ステッチャーから送り出されてくる折丁にあっても搬送中に上に逃げる上方移動が生じることがある。また、搬送によっても揚力が生じることがある。一方、移動する針金の足の折りの状態を接触にて判定しようとする場合には、折丁の背の上方への移動を抑えることが望ましい。
そこで請求項5の発明によれば、ガイドローラで背が一定の高さとなって折丁が搬送されることになり、安定した精度で針金の足の折りの状態を測定することができる。
図中1は中綴本の針金曲がり検出器で、該針金曲がり検出器1は、図2に示されているように中央空間部aを間にした二列のギャザリングチェーンbの前記中央空間部aに配置されている可動板2及びセンサ3、そして、前記中央空間部aの上方に位置するガイドローラ4を備えてなるものである。そして、前記可動板2とセンサ3とは位置固定とした支持板5に取り付けられており、搬送動作するギャザリングチェーンbと図示しないステッチャー側から前記ギャザリングチェーンbで搬送される折丁cの折丁搬送方向に対しては本針金曲がり検出器1は移動しないものである。
このように中央空間部aに位置固定とした支持板5の上記凹溝7が折丁ののど元の移動線上に対応していることから、折丁ののど側に折られている針金dの足eがのど元から離れるように起きた折り状態のものは、折丁がステッチャー側から送り出されてきて支持板5の上端部6に差し掛かると凹溝7に入り、その凹溝7に案内された状態で移動することになる。勿論、針金dの足eが適正に折れてのど元にぴったりと伏している場合でも、凹溝7自体がのど元の移動線上に対応する位置にあるため、適正に折られている足も凹溝7に沿って移動する(正常に折られている足eとして、下方に若干の凸となる折り状態の足eも正常な折りの範囲に含む場合は、下に凸状態のその足eは凹溝7に案内されながら移動する)。
なお、図1において、mは折丁の背の移動する高さ位置(移動線)を示し、nはのど元の移動する高さ位置(移動線)を示している。
さらに、この可動板2は、移動する針金の足eが接触することにより降下可能にして上記支持板5に枢支されていて、支持板5は可動板2の針金接触下限の下となる位置でこの可動板2を枢支し、上記凹溝7に案内されて移動する針金の足eが接触する場合にその可動板2が降下するように設けられている。
勿論、針金dの足eが不良の折り状態となっている場合、のど元から足eが起きたり立ったりしており、その足eの最下端部からのど元までの距離は大きくなっている。よって、この折り不良の針金では、のど元から足最下端部が離れてのどから下に向けた大きな距離を有する状態の凸となっているので、針金の足eは可動板2と接触して可動板2を回動させて降下させるものである。
なお、支持板5は、可動板2の折丁搬送方向下流側の部分の上限位置を微調整するために、可動板2の折丁搬送方向上流側の部分に下方から当接する調整ビスを有している。
そして、図示されているように支持板5に、可動板2の折丁搬送方向下流側の部分に臨む接触子貫通孔10が貫通していて、この接触子貫通孔10に前記接触子8を上下移動可能に挿入配置し、センサ本体9も支持板5の下部に取り付けている。このようにしてセンサ3が支持板5に取り付けられているので、移動する針金dの足eとの接触により可動板2が降下すれば、接触子8も降下することとなり、この降下する接触子8を介して可動板2の降下量をセンサ本体9が測定するようにしており、具体的には接触子8の下方への移動量を測定することで可動板2の降下量を測定するように設けられている。
図示されているように支持板5には、接触子出入口11に臨む通気孔13が設けられていて、この通気孔13の外端からエアノズル14を装着して、定期的に、或いは不定期に圧搾空気を接触子出入口周辺部12側に送り込んで、清浄に保つように設けられている。
ガイドローラ4においてスプリング15の押圧力を用いるのは、搬送されてくる折丁の背の先端部分が勢いを持ってガイドローラ4にぶつかる可能性があり、その衝撃を上方移動によって吸収してから折丁の背を上限高さ位置までに押し下げる必要があるからである。
上述したガイドローラ4での折丁の背の上限高さ位置の設定は一例であり、最良の状態で足がのど元に折られている針金が可動板2の位置を通過するときに、その最良の折り状態の針金の足が可動板2に非接触となるように背の上限高さ位置を設定するか、その最良の折り状態の針金の足であっても可動板2に接触させるように背の上限高さ位置を設定するかは必要に応じて選択すればよい。そして最良の折り状態の針金の足でも可動板2に接触させるように背の上限高さ位置が設定されている場合でも、可動板2の下方への回動による降下量を接触子8を介して測定するセンサの測定値によって、折り状態の良否を判定することが可能であり、いずれにしてもセンサで得られる測定値によって最終的に折り状態の良否を判定するように設けられているものである。
2…可動板
3…センサ
4…ガイドローラ
5…支持板
6…上端部
7…凹溝
8…接触子
9…センサ本体
10…接触子貫通孔
11…接触子出入口
12…接触子出入口周辺部
13…通気孔
14…エアノズル
15…スプリング
a…中央空間部
b…ギャザリングチェーン
c…折丁
d…針金
e…足
m…折丁の背の高さ移動線
n…折丁ののど元の高さ移動線
Claims (5)
- 中綴じされてのど側を開いた折丁であって、中央空間部を間にした二列のギャザリングチェーンで搬送される前記折丁ののど側の針金の折り不良を検出する検出器において、
前記ギャザリングチェーンで搬送される折丁の中綴じした針金の足の移動線上に対応位置し、移動する前記足との接触により降下可能に設けられた可動板と、前記足との接触による前記可動板の降下量を測定するセンサとを備え、正常な折りの場合における、前記可動板の降下量の範囲が設定されていて、可動板と前記針金の足との接触による、可動板の降下量の測定値としきい値を比較し、可動板の降下量の測定値がしきい値を超えた場合には、針金の足の折りが不良である場合と判定をし、そうでない場合には、針金の足の折りが正常である場合と判定をすることを特徴とする中綴本の針金折り不良検出器。 - 前記可動板は、上方開放の凹溝を有する上端部をギャザリングチェーンの間に表出させた状態にして中央空間部に位置固定とした支持板の前記凹溝に、該可動板の折丁搬送方向の上流側の部分が針金接触下限より下となる位置とされ、折丁搬送方向の下流側の部分が折丁ののど元の移動高さ位置に近接する位置とされる傾斜状態にして配置され、
前記支持板は、可動板の前記折丁搬送方向の上流側の部分で該可動板を枢支して、前記凹溝に案内されて移動する針金の足との接触により可動板が降下可能に支持されている請求項1に記載の中綴本の針金折り不良検出器。 - 前記センサは、前記可動板の下方に対応位置するロッド状の接触子と、該接触子を可動板に付勢状態で当接させて上下移動可能に支持し、針金の足との接触により降下する可動板の降下量を前記接触子を介して測定するセンサ本体とからなるものである請求項1または2に記載の中綴本の針金折り不良検出器。
- 前記支持板には、前記可動板に臨む接触子挿通孔が貫通していて、この接触子挿通孔に前記接触子を挿入して可動板に当接させた状態で前記センサ本体が支持板に取り付けられて、接触子の周りからセンサ本体における接触子出入口に亘る接触子出入口周辺部を前記支持板で覆っている請求項3に記載の中綴本の針金折り不良検出器。
- 前記ギャザリングチェーンの中央空間部の上方であって、前記ギャザリングチェーンで搬送される折丁の背の移動線上に対応し、搬送される折丁の背の上限高さ位置を規制するガイドローラを有する請求項1から4の何れか一項に記載の中綴本の針金折り不良検出器。
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