JP4784907B2 - 潜在捲縮性複合繊維トウ、その製造方法及び繊維構造物 - Google Patents

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Description

本発明は、潜在捲縮性を有する複合繊維を含むトウ(繊維の束)、該トウの製造方法、及び該トウを用いた繊維構造物に関する。更に詳しくは、水との接触によりスパイラル捲縮を発現する新規な潜在捲縮性複合繊維トウ、その製造方法及びこれを用いた繊維構造物に関する。
熱収縮性の異なる2成分が、繊維の横断面において偏心的に複合されてなる複合繊維は潜在捲縮性を有し、熱処理によりスパイラル捲縮を発現することは従来より公知である(例えば特許文献1、特許文献2)。更に、これら潜在捲縮性を有する繊維はスパイラル捲縮を発現することにより伸縮性、嵩高性、風合い等の優れた繊維となること、また、潜在捲縮性を有する繊維で作られた織布、或いは不織布がスパイラル捲縮の発現により伸縮性、嵩高性、風合い等の優れた織布、不織布となることもよく知られている(例えば、特許文献3)。
しかし、スパイラル捲縮を発現させた繊維或いは不織布は、それ自身嵩高な為、梱包、貯蔵、輸送の各段階で場所を取り不経済であるばかりでなく、圧縮梱包して貯蔵するとせっかくの嵩高性が失われるという問題があった。
このような問題点を解決する試みとして、湿度により可逆的捲縮率が変化することを特徴とした、特定の条件を満たす5−ナトリウムスルホイソフタル酸成分を共重合させた変性ポリエチレンテレフタレートとナイロン6とのサイドバイサイド型複合繊維が提案されている(例えば、特許文献4)。
しかしながら、この複合繊維は実質的に顕在捲縮繊維であり、この繊維が吸湿で発生する捲縮率の変化は小さく、スパイラル捲縮の発現は起こらない。
また、従来より連続長繊維不織布として、溶融紡糸された繊維を高速気流牽引型装置でネットコンベアー等の捕集装置に吹き付け、得られたウェブを熱エンボスロール等の装置で熱融着させる、いわゆるスパンボンド法不織布が知られている(例えば特許文献5、6)。このスパンボンド法不織布は、長さ方向、幅方向の強度バランスに優れる、大吐出量で且つ高速で紡糸できるので、比較的安価に不織布が製造できるという利点がある反面、繊維に捲縮を付与する手段がない為、不織布はフィルム様或いは紙様の悪い風合いのものとなり、しかも嵩高性に劣るという課題がある。
この課題を解決する方法として、機械捲縮を付与した連続長繊維不織布の製造方法が開示されている(例えば特許文献7、8)。しかし、この方法では前述したスパイラル捲縮を発現させた繊維或いは不織布と同様に、それ自身嵩高な為、梱包、貯蔵、輸送の各段階で場所を取り、圧縮梱包して貯蔵するとせっかくの嵩高性が失われるという問題がある。
その他、多量の水を吸収する能力を有する吸水性繊維として、結晶性ポリオレフィンからなる第1成分と、並びに熱可塑性エラストマー及び高吸水性樹脂を主成分とする第2成分とを並列型あるいは芯鞘型に複合させた繊維が提案されている(例えば、特許文献9)。また、特定のポリアミドを一成分とする複合繊維(例えば、特許文献10)、吸水・乾燥の変化に伴って可逆的に捲縮形態の変化を生ずる、貼り合わせ型又は偏芯型の複合繊維(例えば特許文献11)が提案されている。
特公昭52−35776号公報 特公昭53−6263号公報 特開平1−118617号公報 特公昭63−44843号公報 特公昭43−26599号公報 特公昭42−23998号公報 特開平9−273037号公報 特開平10−88454号公報 特開昭62−28410号公報 特開平6−316813号公報 特開平9−13257号公報
本発明の目的は、梱包、貯蔵、輸送の各物流段階ではスパイラル捲縮が発現していないので場所を取らず、水分と接触する段階で本来求められるスパイラル捲縮を発現し、伸縮性、嵩高性、風合い等の優れた繊維となる潜在捲縮性複合繊維トウを提供することである。本発明の目的はまた、上記潜在捲縮性複合繊維トウを製造する方法を提供することである。本発明の目的はさらに、上記潜在捲縮性複合繊維トウを用いた繊維構造物を提供することである。
本発明者らは上記課題を達成するために鋭意検討を重ねた。その結果、以下の新規な潜在捲縮性複合繊維トウに至った。
従って本発明は、単糸繊度0.5〜100dtex/fの繊維が収束されたトータル繊度1万〜100万dtexのトウであり、前記繊維が、水不溶性熱可塑性樹脂成分Aと水不溶性熱可塑性樹脂成分Bとによる並列型もしくは該成分Aを鞘とする偏心比0.1以上の偏心鞘芯型の複合繊維を含み、該複合繊維が、水温20℃の水分に接触する前と、水温20℃の水に5秒間接触後60秒経過後の、成分Aと成分Bの各々の横断面積変化率が下記関係式(1)を満たす潜在捲縮性複合繊維であることを特徴とする、潜在捲縮性複合繊維トウである。
A2/A1 > B2/B1 (式1)
(A1=成分Aの水分接触前の横断面積
A2=成分Aの水分接触後の横断面積
B1=成分Bの水分接触前の横断面積
B2=成分Bの水分接触後の横断面積)
本発明の潜在捲縮性複合繊維トウは、下記所定の通常条件下と吸湿条件下とで測定した際の吸湿量の変化率が5%未満であることが特に望ましい。このような性質を有することにより、空気中の湿気との接触(吸湿)によって著しく体積及び質量が増加することを避けることができる。
通常条件:25℃、相対湿度65%下1日放置
吸湿条件:40℃、相対湿度80%下2時間吸湿
吸湿量の変化率=[(吸湿条件下での質量−通常条件下での質量)/通常条件下での質量]×100(%) (式2)
本発明はまた、潜在捲縮性複合繊維トウの製造方法に向けられている。従って本発明は、異なる2種類の水不溶性熱可塑性樹脂を、一方の樹脂の吸水率と他方の樹脂の吸水率との差が6質量%以上あるように選択し、吸水率が高い方を水不溶性熱可塑性樹脂成分Aとし、吸水率が低い方を水不溶性熱可塑性樹脂成分Bとし、溶融複合紡糸装置へ、該樹脂成分Aを鞘成分として及び該樹脂成分Bを芯成分として、偏心するように導入し、紡糸し、未延伸糸を得て、次いで任意に延伸し、及び任意に熱処理して、偏心比0.1以上の偏心鞘芯型で単糸繊度0.5〜100dtex/fの複合繊維からなるトータル繊度1万〜100万dtexのトウを得ることを含む、潜在捲縮性複合繊維トウの製造方法である。
本発明はまた、異なる2種類の水不溶性熱可塑性樹脂を、一方の樹脂の吸水率と他方の樹脂の吸水率との差が6質量%以上あるように選択し、吸水率が高い方を水不溶性熱可塑性樹脂成分Aとし、吸水率が低い方を水不溶性熱可塑性樹脂成分Bとし、溶融複合紡糸装置へ両樹脂成分を並列的に導入し、紡糸し、未延伸糸を得て、次いで任意に延伸し、及び任意に熱処理して、並列型で単糸繊度0.5〜100dtex/fの複合繊維からなるトータル繊度1万〜100万dtexのトウを得ることを含む、潜在捲縮性複合繊維トウの製造方法である。
本発明の潜在捲縮性複合繊維トウにおいて、水温20℃の水分に5秒間接触後10秒経過後に、スパイラル捲縮数が8個/25.4mm以上発現することが好ましい。本発明の潜在捲縮性複合繊維トウはまた、水温20℃における吸水率が1%以上であることが適当である。
本発明における複合樹脂を構成する水不溶性熱可塑性樹脂成分Aとして、好ましくはポリエーテル・ポリアミドブロック共重合体又はポリアミドとポリエチレングリコールとのブロック共重合体が挙げられ、水不溶性熱可塑性樹脂成分Bとして好ましくはポリオレフィン、ポリアミド及びポリアミドアロイから選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
本発明はさらに、上記の潜在捲縮性複合繊維トウを少なくとも一部に用いた繊維構造物に向けられている。そのような繊維構造物として、トウの繊維接点が熱接合あるいは繊維間が交絡によって固定された不織布、ネット状物、編物及び織物から選ばれる少なくとも一種の布帛で構成された構造が挙げられる。本発明はさらに、上記潜在捲縮性複合繊維トウ又は上記繊維構造物を少なくとも一部に用いた清掃部材に向けられ、さらに具体的に、そのような清掃部材を組み込んでなるワイパーに向けられる。
本発明の潜在捲縮性複合繊維トウは、使用時に水分との接触によるスパイラル捲縮を発現し、優れた伸縮性、嵩高性、風合い等を有することができる。
また、本発明の潜在捲縮性複合繊維トウ及びこのトウを用いた繊維構造物は、梱包、貯蔵、輸送の各物流段階では、嵩による貯蔵場所を取らず、使用時に水分と接触することにより捲縮が発現し、伸縮性、嵩高性を有する良好な風合いの繊維構造物となり、良好な水分保持性を有する。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の潜在捲縮性複合繊維トウは、水分との接触によりスパイラル捲縮を発現する潜在捲縮性を有する複合繊維トウであり、単糸繊度0.5〜100dtex/fの繊維が収束されてトータル繊度1万〜100万dtexを示し、該複合繊維は詳しくは、水不溶性の熱可塑性樹脂である成分Aと、前記成分Aとは異なる水不溶性の熱可塑性樹脂である成分Bとが、並列型もしくはA成分を鞘とする偏心比0.1以上の偏心鞘芯型に配置されている複合繊維である。
ここで、偏心比(E)とは、図1に示すごとく複合繊維の中心点(O1)と芯成分の中心点(O2)との距離(d)と複合繊維の半径(R)との比(下記式(3)参照)で表される。
E=d/R (式3)
本発明の潜在捲縮性複合繊維トウは、水不溶性熱可塑性樹脂成分Aと水不溶性熱可塑性樹脂成分Bとが並列型でなかったり、偏心比が0.1未満であると、スパイラル捲縮を発現する潜在捲縮性能(発現捲縮数)が低下し、嵩高性、伸縮性、風合い等の性能を充分満足させることが困難になる。
本発明の潜在捲縮性複合繊維トウはまた、複合繊維において水不溶性熱可塑性樹脂成分Aと水不溶性熱可塑性樹脂成分Bの各々の、トウを水温20℃の水分に接触する前の横断面積と、水温20℃の水に5秒間接触後60秒以上経過後の横断面積との変化率が、成分Aと成分Bとの間で以下の関係式(1)を満たすことが重要である。
A2/A1 > B2/B1 (式1)
(A1=成分Aの水分接触前の横断面積
A2=成分Aの水分接触後の横断面積
B1=成分Bの水分接触前の横断面積
B2=成分Bの水分接触後の横断面積)
本発明でいう「水に接触」とは試料を水分中に5秒間浸すことを意味する。
このような横断面積は、具体的には、電子顕微鏡を用いて、トウの水分接触前の各成分の横断面積と、水温20℃の水にトウを5秒間浸漬させ、次いで引き上げ、60秒放置した後の各成分の横断面積を測定することによって、求めることができ、上記関係式(1)を満たすことを確認することができる。
成分Aと成分Bの横断面積変化率がこの関係を満たしていれば目的とする潜在捲縮性が得られる。この成分Aと成分Bの横断面積変化率の関係は、後述する吸水率とも関係するが、この両者関係の差異が大きくなるほど捲縮発現は顕著になる。この差異により、水分接触で発現する捲縮の数を調節することができる。また、この捲縮数の調節を行うために成分Aと成分Bの複合比を変えることを併せて行ってもよい。具体的には、繊維断面積におけるA成分の比率を大きくすれば発現する捲縮数は多くなり、逆に小さくすれば少なくなる。
本発明の複合繊維トウは、下記通常条件と吸湿条件下で測定した際の吸湿量の変化率が5%未満であることが特に望ましい。
通常条件:25℃、相対湿度65%下1日放置
吸湿条件:40℃、相対湿度80%下2時間吸湿
吸湿量の変化率=[(吸湿条件下での質量−通常条件下での質量)/通常条件下での重量]×100(%) (式2)
空気中の湿気との接触(吸湿)によって著しく体積及び重量が増加してしまう、式(2)で表される吸湿量の変化率が5%以上になるような繊維となる樹脂を用いることは本発明において望ましくない。また、本発明の潜在捲縮性複合繊維トウは、水分接触により捲縮が発現した場合、捲縮は乾燥後にも保持され、乾燥により可逆的に捲縮が消失するものではなく、上記式1の条件を満たしていれば乾燥後にも捲縮は保持される。このことは、本発明の「実施例」によって支持される。なお、乾燥後の捲縮の保持に関しては、乾燥後にも伸縮性、嵩高性、風合い等の効果が損なわれない程度に捲縮が保持されていれば良い。しかしながら、もしも乾燥後に捲縮が消失し、十分な効果が得られない樹脂の組み合わせがあるならば、本発明の対象から除外されるべきものである。
本発明の潜在捲縮性複合繊維トウは、上記式1の横断面積変化率の差を変化させることにより、20℃の水に5秒間接触後、60秒後に発現するスパイラル捲縮(単に発現する潜在捲縮ともいう)の数を調節することができる。発現する潜在捲縮の数は、8個/25.4mm以上である場合、本発明の効果が顕著に現れ好ましい。更に好ましくは11個/25.4mm以上である。本発明の潜在捲縮性複合繊維トウは、あらかじめ機械捲縮を付与しておき、後の工程でさらに水分接触によるスパイラル捲縮を発現させることもできる。このような場合、あらかじめ付与された機械捲縮(単に機械捲縮という)は、通常10個〜20個/25.4mmとすることが多く、後の工程で潜在捲縮を発現させた場合、総捲縮数は機械捲縮と発現する潜在捲縮の数の合計になる。機械捲縮と発現する潜在捲縮の合計としては、18個〜30個/25.4mm程度になるのが良く、更に22個〜26個/25.4mm程度が本発明の最も好ましい態様の範囲である。発現する潜在捲縮の数は機械捲縮の数に応じて調整すればよい。本発明では、必要に応じてそれ以上の潜在捲縮を発現するように構成することもでき、得られる繊維構造物、不織布の風合いが低下しない限り、発現する潜在捲縮数を増やしてもよい。
また、上記式1の関係を満たすように構成された本発明の潜在捲縮性複合繊維トウは、下記式(4)で表される20℃の水による吸水率(質量%)が1質量%以上であることが好ましい。
吸水率(質量%)=[(水切り後の繊維質量)/(初期繊維質量)]×100 (式4)
なお、本発明でいう「吸水率」とは、20℃の液体状の水分との接触によって60秒間に吸水する場合を意味する。
吸水率が1質量%以上であると、水分接触から特に短時間で膨潤過程による伸張差が生じてスパイラル発生に至る。
本発明の潜在捲縮性複合繊維トウは、複合繊維を製造する段階で、使用する原料樹脂の吸水率により、水不溶性熱可塑性樹脂成分Aと水不溶性熱可塑性樹脂成分Bを選択することより達成され、そのような樹脂の組み合わせにより式2の関係を満たす構成とすることができる。
従って本発明は潜在捲縮性複合繊維トウの製造方法にも向けられ、異なる2種類の水不溶性熱可塑性樹脂を、一方の樹脂の吸水率と他方の樹脂の吸水率との差が6質量%以上あるように選択し、吸水率が高い方を水不溶性熱可塑性樹脂成分Aとし、吸水率が低い方を水不溶性熱可塑性樹脂成分Bとし、溶融複合紡糸装置へ、該樹脂成分Aを鞘成分として及び該樹脂成分Bを芯成分として、偏心するように導入し、紡糸し、未延伸糸を得て、次いで任意に延伸し、及び任意に熱処理して、偏心比0.1以上の偏心鞘芯型で単糸繊度0.5〜100dtex/fの複合繊維からなるトータル繊度1万〜100万dtexのトウを得ることを含む、潜在捲縮性複合繊維トウの製造方法である。
本発明はまた、異なる2種類の水不溶性熱可塑性樹脂を、一方の樹脂の吸水率と他方の樹脂の吸水率との差が6質量%以上あるように選択し、吸水率が高い方を水不溶性熱可塑性樹脂成分Aとし、吸水率が低い方を水不溶性熱可塑性樹脂成分Bとし、溶融複合紡糸装置へ両樹脂成分を並列的に導入し、紡糸し、未延伸糸を得て、次いで任意に延伸し、及び任意に熱処理して、並列型で単糸繊度0.5〜100dtex/fの複合繊維からなるトータル繊度1万〜100万dtexのトウを得ることを含む、潜在捲縮性複合繊維トウの製造方法である。
水不溶性熱可塑性樹脂成分Aと水不溶性熱可塑性樹脂成分Bを選択するとき、吸水率(質量%)の差が6質量%以上となるようにすれば良く、さらに好ましくは差が8質量%以上となるようにする。なお、樹脂成分の吸水率もまた、上記で説明した20℃の液体状の水分との接触によって60秒間に吸水する場合を意味する。
成分Aと成分Bの吸水率の差が6質量%以上であると、吸水率の高い成分Aと吸水率の低い成分Bとの両者間の水分接触から膨潤過程による伸張差が十分に生じるので、顕著なスパイラルが発生し、捲縮発現性も向上する。
本発明の潜在捲縮性複合繊維トウを構成する成分A及び成分Bは、前記したように水不溶性の熱可塑性樹脂で構成される。潜在捲縮性複合繊維トウの片成分もしくは両成分が水溶性であると水分との接触時に、求めるスパイラル捲縮が発現しない。ここで使用される水不溶性の熱可塑性樹脂とは、前述の条件を満たすようなものであれば特に限定する必要はなく、後述する熱可塑性樹脂の単独重合体、共重合体のいずれであってもよい。また、単独で用いても2種以上混合したものであっても良い。しかし、本発明の効果を阻害しない範囲で水溶性樹脂を混合することを妨げない。
更に、本発明で用いられる熱可塑性樹脂には、本発明の効果を妨げない範囲内で、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、造核剤、エポキシ安定剤、滑剤、抗菌剤、難燃剤、帯電防止剤、顔料、可塑剤、親水剤の他、A、B成分の接着性改良の為に相溶化剤等の添加剤を必要に応じて適宜添加してもよい。
本発明で用いる水不溶性熱可塑性樹脂のメルトマスフローレイト(以下、「MFR」という)は、溶融紡糸可能な範囲、すなわち溶融状態の樹脂を紡糸したとき樹脂が固化するまでの間に切れたり伸びすぎたりしないよう適当な粘性を保つ範囲であればよい。MFRが紡糸に適した範囲になるよう樹脂の物性に合わせて紡糸温度や押出器の圧力等の紡糸条件を変更してもよい。具体的には、樹脂の性質に見合った温度・荷重の下で繊維成形後のMFRが10〜100g/10分の範囲内になることが好ましく、より好ましくは、10〜70g/10分である。繊維成形後のMFRが10〜100g/10分の範囲であれば、並列型断面構造または偏心鞘芯型断面構造を維持しやすく、曳糸性も良好になる。
本発明の潜在捲縮性複合繊維トウの成分Aと成分Bの組み合わせ例としては、式(1)を充足するという条件の下で、例えば成分Aとしてポリエーテル・ポリアミドブロック共重合体、ポリアミドとポリエチレングリコールとのブロック共重合体等の熱可塑性樹脂を挙げることができ、また、成分Bとしてはポリオレフィン系樹脂、ポリエステル樹脂、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系樹脂およびポリアミドアロイ等の熱可塑性樹脂を挙げることができる。中でも、ポリオレフィン系樹脂、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系樹脂およびポリアミドアロイ等が好ましい。
成分Aに使用されるポリアミドとポリエチレングリコールとのブロック共重合体、ポリエーテル・アミドブロック共重合体としては種々のものが使用できるが、ポリエチレングリコールとのブロック共重合体として例えばATOFINA社製のPEBAX(商品名)、ポリエーテル・アミドブロック共重合体として例えばAllied Signal社製のHydrofil(商品名)が販売されており、本発明に利用して好ましい結果を得ることができる。
成分Bに使用されるポリオレフィン系樹脂としては、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、1、2−ポリブタジエン及び1、4−ポリブタジエンの他、エチレン、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、4−メチルペンテン−1等のホモポリオレフィンまたは脂肪族α−オレフィンとの結晶性共重合体である。例えばエチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−1−ブテン三元共重合体等の共重合ポリオレフィンも使用できる。また前記α−オレフィンに他のオレフィンまたは少量の他のエチレン系不飽和モノマー、例えばブタジエン、イソプレン、1、3−ペンタジエン、スチレン及びα−メチルスチレン等のスチレン系不飽和モノマーと共重合されていてもよく、また上記ポリオレフィン樹脂の混合物であってもよい。更に通常のチーグラーナッタ触媒から重合されたこれらポリオレフィンだけでなく、メタロセン触媒から重合されたポリオレフィン及びそれらの共重合体も例示することができる。更に、その他のポリオレフィンとしては、立体規則性ポリスチレンを挙げることができる。
立体規則性ポリスチレンは、13C−NMR法により測定されるタクティシティーとして、連続する複数個の構造単位の存在割合、例えば2個の場合はダイアット、3個の場合はトリアッド、5個の場合はペンダッドによって示すことができるが、本発明で用いてよい該立体規則性ポリスチレンは、通常ペンダッド分率が85%以上、好ましくは95%以上のシンジオタクティシティーを有するポリスチレン、ポリメチルスチレン、ポリエチルスチレン、ポリイソプロピルスチレン等のポリアルキルスチレン、ポリクロロスチレン、ポリブロモスチレン、ポリフルオロスチレン等のポリハロゲン化スチレン、ポリクロロメチルスチレン等のポリハロゲン化アルキルスチレン、ポリメトキシスチレン、ポリエトキシスチレン等のポリアルコキシスチレン、ポリ安息香酸エステルスチレン等であり、これらは単独または混合して使用することができる。更に、これら重合体を構成するモノマー相互の共重合体またはこれらモノマーを主成分とする共重合体も使用できる。
すなわち、前記共重合体は、上述の立体規則性ポリスチレンを構成するモノマーから選択される少なくとも1種のモノマーと、エチレン、プロピレン、ブテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、デセン等のオレフィン系モノマー、ブタジエン、イソプレン等のジエン系モノマー、環状オレフィンモノマー、環状ジエンモノマーまたはメタクリル酸メチル、無水マレイン酸、アクリロニトリル等の極性ビニル系モノマーとのシンジオタクティックスチレン構造を有する共重合体である。これらは、市販の単独重合体及び共重合体を使用することができる。
成分Bに使用されるポリオレフィン系樹脂としては、上述のように種々あるが、特にポリプロピレン、ポリエチレンが好ましい。
上記の他に成分Bに使用されるポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカプロラクタン、ポリ乳酸などが挙げられ、なかでもポリエチレンテレフタレートが、加工性において好ましい。
また、成分Bに使用されるポリアミド系樹脂としては、ナイロン−4、ナイロン−6、ナイロン−46、ナイロン−66、ナイロン−610、ナイロン−11、ナイロン−12、ポリメタキシレンアジパミド(MXD−6)、ポリパラキシレンデカンアミド(PXD−12)、ポリビスシクロヘキシルメタンデカンアミド(PCM−12)などが利用できる。更にこれらのポリアミド樹脂に用いられている単量体を構成単位とするアミドの共重合体およびそのアロイも利用できる。
成分Bに使用されるポリアミド系樹脂としては、上述のように種々あるが、特にナイロン−6、ナイロン−66が好ましい。また、ポリアミドアロイとしては、例えばATOFINA社製ORGALLOY(商品名)が販売されており、本発明に利用して好ましい結果を得ることができる。
成分Aと成分Bの複合比(容積比)は、20:80〜80:20の範囲内であることが好ましく、30:70〜70:30の範囲内であることがより好ましい。両成分の複合比がこの範囲にある場合、曳糸性が良好で、求めるスパイラル捲縮を容易に発現させることができる。
本発明の潜在捲縮性複合繊維トウ及びこれを用いた繊維構造物の製造方法を例示する。
本発明の潜在捲縮性複合繊維トウの製造には通常の溶融複合紡糸機を用いることが一般的で、使用する並列型または偏心鞘芯型複合紡糸装置は、特殊なものでなく、通常のものでよい。得られた未延伸糸は、延伸を行ってもまた行わなくてもよく、熱処理を行っても行わなくてもよく、また、通常の繊維と同様に機械的に捲縮加工してもよい。このようにして得られる本発明の潜在捲縮性複合繊維トウは、フィラメント等種々の形態で用いることができ、水分との接触によりスパイラル捲縮を発現する潜在捲縮性を有している。具体的には、溶融複合紡糸機を用いて、成分Aと成分Bとからなる潜在捲縮性を有する複合繊維トウを紡出し、紡糸に際し、紡糸温度は120〜330℃の範囲で紡糸することが好ましく、引き取り速度は40m/分〜1500m/分程度とするのがよい。延伸は必要に応じて行うか、または行わなくてもよく、多段延伸を行ってもよい。延伸倍率は通常1.2〜9.0倍程度とするのがよく、延伸温度は、通常、複合繊維が融着しない程度の温度で加熱するのがよい。更に前記加工を経た複合繊維トウに対し、必要に応じてスタッフィングボックス等のクリンパーで捲縮を付与する。
本発明の潜在捲縮性複合繊維トウの単糸繊度は0.5〜100dtex/fとする。このような単糸繊度は、紡糸工程での未延伸糸繊度及び延伸倍率などにより調節することができる。また、トウのトータル繊度は、幅の狭い不織布を製造する場合には比較的小さくてよく、幅の広い不織布や目付の大きな不織布を製造する場合には、比較的トータル繊度の高いトウを使用する。このトウトータル繊度は、1万〜100万dtexであれば問題なく使用できる。トータル繊度が1万dtex未満であると幅が数cm程度のものしか得られない。また、トータル繊度が100万dtexを超えたトウは、幅が1m以上ある広幅の不織布や、高目付不織布などとして使用できる。均一な開繊性や高速生産性などの観点から、好ましくは1.2万〜30万dtex、更に好ましくは1.8万〜20万dtexである。
本発明の潜在捲縮性複合繊維トウは、発明の効果を妨げない範囲において、他種繊維と混合し繊維構造物にすることが出来る。他種繊維は、特に限定されない。例えば、木綿、羊毛のような天然繊維、ビスコースレーヨン、酢酸繊維素繊維のような半合成繊維、ポリオレフィン系繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、アクリルニトリル繊維、アクリル系繊維、ポリビニールアルコール繊維のような合成繊維、更にはガラス繊維等の無機物繊維等の一種または二種以上の繊維が適宣に選択して用いられる。
他種繊維の使用量は、潜在捲縮性複合繊維トウとの総量に対して、70質量%以下の割合で混合するのが好ましい。本発明の潜在捲縮性複合繊維の量が30質量%以上であれば、水分接触時に捲縮が発現して不織布が嵩高になるという本発明の効果が有効に発揮される。
本発明の潜在捲縮性複合繊維トウ100%或いは他種繊維と混合した繊維は目的に応じパラレルウェブ、クロスウェブ、ランダムウェブ、トウウェブ等の適当な形態に集束して不織布化できる。
得られた複合繊維トウの開繊装置として、複数対のピンチロールを備えた多段ピンチロール型開繊機、エアブロー型開繊機、コロナ放電装置、超音波装置、ガイドバーやガイドロール装置等、およびこれらの装置を組み合わせた開繊装置が使用できる。とりわけ多段ピンチロール型開繊機、及びこの装置とエアブロー型開繊機を組み合わせた装置が好ましく使用できる。多段ピンチロール型開繊機を用いる場合には、トウの顕在捲縮がほぼ引き伸ばされる程度の延伸比の、約1.2〜2.5倍の延伸比を採用することにより、このましい繊維の配向状態を得ることができ、エアブロー型開繊機を用いる場合には、エアーのブローイングにより、繊維の交絡がある程度解除するブロー条件とする。延伸処理あるいはエアブロー処理により、ウエブは開繊され、低目付で且つ連続繊維が不織布の機械方向に配向されたものとなる。また、公知のスパンボンド法やメルトブロー法によりウエブにしてもよい。得られたウエブは必要に応じてニードルパンチ法、高圧液体流処理等の公知の高次加工工程、熱風または熱ロール等の公知の熱処理工程を経て、使い捨てオムツなどの吸収性物品をはじめとする衛生材料、あるいは吸音材、ワイピング材、フィルター、クッション材、油吸着材等の産業資材など、種々の用途に応じた繊維構造物に成形される。
本発明の潜在捲縮性複合繊維トウは、前期開繊機を用いて開繊したウエブを、更にシート状の不織布とすることができる。開繊されたウエブを不織布とする方法には、熱融着法あるいはバインダー接着法が使用できる。熱接着法としては、熱風型熱処理機、カレンダーロール、エンボスロール、赤外線加熱機、超音波加熱機などの加熱装置を用い、熱可塑性繊維が融着する温度以上に加熱し、繊維の交点の少なくとも一部を融着させて不織布とする。潜在捲縮性を有する連続長繊維の場合にはこの不織布化のための熱処理工程において、潜在捲縮性繊維に捲縮が発現する。この熱処理は、前記開繊処理と連続的に処理しても良く、一旦紙管等に巻取り保存された開繊ウエブを、改めて開反して熱処理してもよい。
バインダー接着法では、スプレー法、浸漬法等の公知の方法でウエブ重量に対し5〜40重量%のバインダーを付着させ、加熱乾燥させることにより繊維の交点の少なくとも一部を接着する。バインダーとしては、アクリル系バインダー、酢酸ビニル系バインダー、ポリウレタン系バインダー、ポリ塩化ビニル系バインダー、エポキシ樹脂系バインダー等の公知のバインダーが使用できる。
本発明の潜在捲縮性複合繊維トウを含むウェブを不織布化する方法は、ニードルパンチング法、高圧液体流処理等の繊維の交絡を利用する方法、或いは接着剤を使用する方法または繊維自身の熱接着による方法、更には接着成分または溶着成分を併用して、その成分により更に強固に一体化することができる。これらの成分としては、熱可塑性樹脂からなる繊維を混綿するとよい。このとき、潜在捲縮性複合繊維を接着して不織布とするために、熱可塑性樹脂からなる繊維が潜在捲縮性複合繊維を構成している熱可塑性樹脂と同種類の熱可塑性樹脂を含む繊維であることが好ましい。また混綿した繊維を熱処理により溶融し、接着加工する場合には、潜在捲縮性複合繊維の低融点樹脂よりも低い温度で溶融する熱可塑性樹脂を接着成分とすることで、潜在捲縮性複合繊維を溶融することなく不織布を成形できる。また接着繊維として複合型の繊維を用いることで不織布の強度を更に高くすることができる。
接着剤使用または繊維自身の熱接着による場合は、例えば接着点が水玉模様を形成し、その面積が不織布面積の15%以下となるように、プリント法で接着剤を塗布するとか、熱ロールでエンボス加工する。接着点の面積が15%以下であれば繊維の捲縮発生が妨げられずに嵩高性の発現が十分となる。接着点の面積の下限は特に限定されないが、不織布の実用上の強度を満たすためには3%以上が好ましい。
また、本発明の潜在捲縮性複合繊維トウは、紡糸延伸後、フィラメント糸条として巻き取り、これを編成または織成して編織物とし、熱処理工程を通して繊維構造物としてもよい。更にカード法、エアレイド法、スパンボンド法、抄紙法等の方法で均一にしたウエブ、織物、編物、不織布、フィルム等からなる他の構造物を、本発明の潜在捲縮性複合繊維からなる前記ウエブまたは繊維構造体に対して種々積層し、熱処理工程を通して繊維構造物としてもよい。
上記熱処理工程では、熱風ドライヤー、サクションバンドドライヤー、ヤンキードライヤー等のドライヤーを用いる方法や、フラットカレンダーロール、エンボスロール等の加圧ロールを用いる方法が使用できる。熱処理温度は、潜在捲縮複合繊維のA・B両成分の融点間の温度(低い融点を持つ成分の方だけが溶融する温度)が好ましく、用いる熱可塑性樹脂の種類にもよるが、60〜165℃の範囲が適当である。また、処理時間は前記ドライヤー等を用いる場合は約5秒以上が、前記加圧ロールを用いる場合は5秒以下が一般的である。
このように本発明の潜在捲縮性複合繊維トウは、使用時に水分との接触によるスパイラル捲縮発現により、良好な伸縮性、嵩高性、風合い等を発現する。また、本発明の潜在捲縮性複合繊維トウを用いた繊維構造物は、梱包、貯蔵、輸送の各段階では捲縮がないので場所を取らず、使用時水分と接触することにより、捲縮が発現し、優れた伸縮性、嵩高性を有する良好な風合いの繊維構造物となる。
これらの繊維構造物は良好な水分保持性を有しており、吸音材、ワイピング材、フィルター、クッション材、油吸着材等の産業資材分野をはじめ、衛生材料分野、医療分野などにも好適に使用することができる。特に、使い捨てオムツ等の吸収性物品に使用した場合は、水分接触前の販売用パックに多くの製品を詰め込むことができ、使用時には尿等との水分接触により嵩が出、多くの水分を保持できるという効果を示す。
以下、本発明を実施例及び比較例によって説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例、比較例における用語と物性の測定方法は以下の通りである。
(MFR)
JIS K 7210、ASTM D638等に準拠して測定した。各種樹脂のMFR測定条件を示す。
ポリエーテル・ポリアミドブロック共重合体:測定温度235℃/公称荷重1kgf
ポリプロピレン:測定温度230℃/公称荷重2.16kgf(JIS K 7210附属書A表1の条件M)
ポリエチレン:測定温度230℃/公称荷重2.16kgf(JIS K 7210附属書A表1の条件D)
ポリアミドアロイ:測定温度235℃/公称荷重5kgf
(融点)
デュポン社製熱分析装置DSC10(商品名)を用い、JIS K 7122に準拠して測定を行った。
(偏心比)
偏心比(E)は、図1に示すごとく複合繊維の中心点(O1)と芯成分の中心点(O2)との距離(d)と複合繊維の半径(R)の値を使用し、式3にて求めた。
E=d/R (式3)
(樹脂及び繊維トウの吸水率)
測定試料を20℃の水に60秒間浸漬後、濾紙(東洋濾紙(株) NO.2濾紙)3枚重の間にはさみ0.5kg/cm2の圧力をかけ水切りを行う。濾紙を新しいものに取替えて、この水切り操作を更に2回繰返した後質量を測定し、式4により吸水率を求めた。
吸水率(質量%)=[(水切り後質量−初期質量)/初期質量]×100 (式4)
(横断面積変化率)
電子顕微鏡にて、複合繊維トウの水分接触前の各成分A及びBの横断面積を測定し、及び水温20℃の水分に5秒間浸漬させ、次いで取り出し、60秒放置した各成分A及びBの横断面積を測定し、式5にて横断面積変化率を求めた。測定は3回実施し、その平均値を取った。
A1:A成分の水分接触前の横断面積
A2:A成分の水分接触後の横断面積
B1:B成分の水分接触前の横断面積
B2:B成分の水分接触後の横断面積
V(%)= (A2/A1)×100 又は
V(%)= (B2/B1)×100 (式5)
(繊維吸湿量変化率)
下記条件下に置いた測定試料の質量を測定し、式2にて求めた。複合繊維トウを25℃、相対湿度65%下で1日放置し(通常条件)、該トウの質量を測定したのち、40℃相対湿度80%下で2時間放置した(吸水条件)。このときの該トウの質量を測定し、通常条件と吸水条件での吸湿量の変化率(%)を式2から求めた。
通常条件:25℃、相対湿度65%下1日放置
吸湿水条件:40℃、相対湿度80%下2時間吸湿
吸湿量変化率=[(吸湿条件下での質量−通常条件下での質量)/通常条件下での質量]×100(%) (式2)
(捲縮数)
水分接触前(初期)及び水温20℃の水分に5秒間浸漬させ60秒間放置した繊維束(10本)を濾紙(東洋濾紙(株) NO.2濾紙)ではさみ余分な水分を除去する。この操作を3回繰返し、合計30本の繊維について、1本あたりの25.4mmにおける山数を数え、最大値と最小値を外した28本の山数の平均値を捲縮数とした。
実施例に記号で示した樹脂は次の通り。(商品名およびグレード番号を記す。)
PX:ポリエーテル・ポリアミドブロック共重合体
ATOFINA社製 PEBAX MV1074
MFR:14g/10min MP:158℃
NP:ポリエチレングリコール・ポリアミドブロック共重合体
Allied Signal社製 Hydrofil CFX−6809
PP:ポリプロピレン
日本ポリプロ(株)製 ノバテックPP SA2E
MFR:14g/10min MP:160℃
PE:ポリエチレン
京葉ポリエチレン(株)製 S6900
MFR:16g/10min MP:132℃
Ny6:ナイロン6
宇部興産(株)製 UBEナイロン6 1011FB
Ny66:ナイロン66
旭化成ケミカルズ(株)製 レオナ FR200
PAA:ポリアミドアロイ
ATOFINA社製 ORGALLOY RS60E10
MFR:13g/10min MP:220
[実施例1]
並列型複合紡糸用口金を取り付けた、2機の押出機を有する複合紡糸装置を使用し、並列型複合繊維トウを製造した。ホッパーの成分A側にPXを投入し、成分B側にNy6を投入して、230℃の紡糸温度で、成分Aと成分Bとの容積比率が50/50の並列型の繊維断面形状となるように複合繊維トウを吐出し、ワインダーによってこれを引き取った。なお、前記引き取り工程において、吐出された複合繊維トウの表面に、界面活性剤としてアルキルフォスフェートカリウム塩を付着させた。次に、ワインダーで巻き取った複合繊維トウ(未延伸糸)を延伸機によって、2.0倍(延伸温度90℃)に延伸した後、スタッフィングボックスに通して機械捲縮を付与させ、捲縮が施された3.3デシテックスのトウを得た。次にトウを20℃の水に浸しスパイラル捲縮を発現させた。得られた繊維トウの水分接触によるスパイラル捲縮の発現を表1に示す。
[実施例2〜9]
実施例1に準拠した製造方法により、表1に示した原料樹脂の組合せ、繊維の断面形状、製造条件で、潜在捲縮性複合繊維トウを製造した。但し、実施例5では、成分Bの紡糸温度を実施例1よりも50℃高く設定して紡糸を行った。また、実施例6及び7では、成分Aが鞘側になり成分Bが芯側になるように偏心鞘芯型複合紡糸装置にて、紡糸した。得られたトウの水分接触によるスパイラル捲縮の発現を表1に示す。
[実施例10]
実施例1で得られた潜在捲縮性複合繊維トウを、一対ずつのピンチロールを3段備え、且つ第三段目のピンチロールの直前にエアーブロー形の開繊補助装置を備えた高速開繊機を用い、延伸比1.5倍、速度230m/minで高速開繊処理しウェブを得た。得られたウエブを熱圧着装置に移送し、エンボスロール温度130℃、フラットロール130℃、線圧50N/mmの条件で熱圧着処理し、目付31g/m2、比容積10cm3/gの長繊維不織布(繊維構造物)を得た。次にこの不織布を20℃の水に浸しスパイラル捲縮を発現させたところ、比容積が25cm3/gまで増加した。
[比較例1〜3]
実施例1に準拠した製造方法により、表2に示した原料樹脂の組合せ、繊維の断面形状、製造条件で、複合繊維トウを製造した。次に得られた各トウを20℃の水に浸し、その挙動を観察した。得られたトウの捲縮数を表2に示す。比較例1〜3で得られたトウは、20℃の水に浸しても大きな変化は確認できなかった。
[比較例4]
比較例3で得られた複合繊維トウを、一対ずつのピンチロールを3段備え、且つ第三段目のピンチロールの直前にエアーブロー形の開繊補助装置を備えた高速開繊機を用い、延伸比1.5倍、速度230m/minで高速開繊処理しウェブを得た。得られたウェブを熱圧着装置に移送し、エンボスロール温度130℃、フラットロール130℃、線圧50N/mmの条件で熱圧着処理し、目付30g/m2、比容積11cm3/gの長繊維不織布(繊維構造物)を得た。次にこの不織布を20℃の水に浸しその挙動を観察したが、大きな変化は確認できなかった。
実施例1〜9で得られたデータを表1に、比較例1〜3で得られたデータを表2に示す。






























Figure 0004784907









Figure 0004784907
表1から明らかなように、本発明の実施例1〜9の潜在捲縮性複合繊維トウは、水分接触後に良好な捲縮発現を示した。また、実施例10で得られた長繊維不織布は、水分との接触により、比容積が増加するという新規な特徴を持った不織布であった。
これに対し、表2から明らかなように、比較例1〜3の複合繊維トウは、水分接触後もその捲縮数の変化に大きな差はなく、比較例4の長繊維不織布は、水分との接触後もその比容積には変化のないものであった。
[実施例11]
実施例1で得られたトウを使用してモップ状の清掃部材を作成した。得られたモップ状清掃部材を水分と接触させて使用したところ、新たな捲縮の発現により繊維集合体部分の嵩が大きくなり埃が捕れやすく、かつ捕れた埃が水分接触により発現した捲縮によって捕集されたまま落下することがなく、清掃部材として非常に有用なものであり、実用性が高いと判断できた。
[比較例5]
比較例1で得られたトウを使用してモップ状の清掃部材を作成した。得られたモップ状清掃部材を使用したところ、水と接触させても新たな捲縮の発現はなく、埃を捕集する能力はあるものの、そのモップ状清掃部材としての性能は、一般的なモップ状清掃部材と比較して同等なものであった。
実施例11で得られたモップ状清掃部材は、使用時の水との接触により新たな捲縮が発現し、モップ状清掃部材として良好な性能を持ち合わせており、実用性に優れているのに対して、比較例5で得られたモップ状清掃部材は、その掃除用具としての性能は一般的なモップ状掃除用具と同等で、特徴のあるものではなかった。
本発明の潜在捲縮性複合繊維トウは、使用時に水分との接触によるスパイラル捲縮を発現し、優れた伸縮性、嵩高性、風合い等を有することが可能である。
また、本発明の潜在捲縮性複合繊維トウを用いた繊維構造物は、梱包、貯蔵、輸送の各物流段階では、嵩による貯蔵場所を取らず、使用時に水分と接触することにより新たな捲縮が発現し、伸縮性、嵩高性を有する良好な風合いの繊維構造物を形成する。なお、これらの繊維構造物は良好な水分保持性を有する。
本発明の潜在捲縮性複合繊維トウの特性を利用して、紙おむつ、生理用品などの衛生材料分野、吸音材、清掃部材、フィルター、クッション材、油吸着材、等の産業資材分野をはじめ、医療分野などにも好適に使用することができる。
本発明の実施例で使用した偏心鞘芯型複合繊維の断面図である。
符号の説明
1:複合繊維の中心点
2:芯成分の中心点
d:O1とO2の距離
R:複合繊維の半径

Claims (11)

  1. 単糸繊度0.5〜100dtex/fの繊維が収束されたトータル繊度1万〜100万dtexのトウであり、前記繊維が、水不溶性熱可塑性樹脂成分Aと水不溶性熱可塑性樹脂成分Bとによる並列型もしくは該成分Aを鞘とする偏心比0.1以上の偏心鞘芯型の複合繊維を含み、該複合繊維が、水温20℃の水分に接触する前と、水温20℃の水に5秒間接触後60秒経過後の、成分Aと成分Bの各々の横断面積変化率が下記関係式(1)を満たす潜在捲縮性複合繊維であり、下記の通常条件下と吸湿条件下とで測定した際の吸湿量の変化率が5%未満であり、水分との接触によりスパイラル捲縮を発現可能なことを特徴とする、潜在捲縮性複合繊維トウ。
    A2/A1 > B2/B1 (式1)
    (A1=成分Aの水分接触前の横断面積
    A2=成分Aの水分接触後の横断面積
    B1=成分Bの水分接触前の横断面積
    B2=成分Bの水分接触後の横断面積)
    吸湿量の変化率=[(吸湿条件下での質量−通常条件下での質量)/通常条件下での質量]×100(%) (式2)
    (通常条件:25℃、相対湿度65%下1日放置
    吸湿条件:40℃、相対湿度80%下2時間吸湿)
  2. 複合繊維において、水温20℃の水分に5秒間接触後、60秒経過後にスパイラル捲縮数が8個/25.4mm以上発現する、請求項1記載の潜在捲縮性複合繊維トウ。
  3. 水温20℃における吸水率が1%以上である、請求項1〜のいずれか1項記載の潜在捲縮性複合繊維トウ。
  4. 水不溶性熱可塑性樹脂成分Aがポリエーテル・ポリアミドブロック共重合体又はポリアミドとポリエチレングリコールとのブロック共重合体である、請求項1〜のいずれか1項記載の潜在捲縮性複合繊維トウ。
  5. 水不溶性熱可塑性樹脂成分Bがポリオレフィン、ポリアミド及びポリアミドアロイから選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜のいずれか1項記載の潜在捲縮性複合繊維トウ。
  6. 異なる2種類の水不溶性熱可塑性樹脂を、一方の樹脂の吸水率と他方の樹脂の吸水率との差が6質量%以上あるように選択し、吸水率が高い方を水不溶性熱可塑性樹脂成分Aとし、吸水率が低い方を水不溶性熱可塑性樹脂成分Bとし、溶融複合紡糸装置へ、該樹脂成分Aを鞘成分として及び該樹脂成分Bを芯成分として、偏心するように導入し、紡糸し、未延伸糸を得て、次いで任意に延伸し、及び任意に熱処理して、偏心比0.1以上の偏心鞘芯型で単糸繊度0.5〜100dtex/fの複合繊維からなるトータル繊度1万〜100万dtexのトウを得ることを含む、請求項1記載の潜在捲縮性複合繊維トウの製造方法。
  7. 異なる2種類の水不溶性熱可塑性樹脂を、一方の樹脂の吸水率と他方の樹脂の吸水率との差が6質量%以上あるように選択し、吸水率が高い方を水不溶性熱可塑性樹脂成分Aとし、吸水率が低い方を水不溶性熱可塑性樹脂成分Bとし、溶融複合紡糸装置へ両樹脂成分を並列的に導入し、紡糸し、未延伸糸を得て、次いで任意に延伸し、及び任意に熱処理して、並列型で単糸繊度0.5〜100dtex/fの複合繊維からなるトータル繊度1万〜100万dtexのトウを得ることを含む、請求項1記載の潜在捲縮性複合繊維トウの製造方法。
  8. 請求項1〜のいずれか1項記載のトウを少なくとも一部に用いた繊維構造物。
  9. 繊維構造物が、トウの繊維接点が熱接合あるいは繊維間が交絡によって固定された不織布、ネット状物、編物及び織物から選ばれる少なくとも一種の布帛で構成された構造である、請求項記載の繊維構造物。
  10. 請求項1〜のいずれか1項記載のトウ又は請求項又は記載の繊維構造物を少なくとも一部に用いた清掃部材。
  11. 請求項10記載の清掃部材を組み込んでなるワイパー。
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