JP4780466B2 - Auメッキ処理基板用Sn−Au合金はんだペースト - Google Patents

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Description

この発明は、濡れ性に優れかつボイド発生の少ない、Auメッキ処理基板用Sn−Au合金はんだペーストに関するものである。
一般に、GaAs光素子、GaAs高周波素子、熱伝素子などの半導体素子と基板との接合、微細かつ高気密性が要求されるSAWフィルター、水晶発振子などのパッケージ封止などにはAu−Sn合金はんだペーストが使用されている。このAu−Sn合金はんだペーストに含まれるAu−Sn合金粉末は、Sn:20質量%を含有し、残りがAuおよび不可避不純物からなる組成を有するAu−Sn共晶合金粉末であることが知られており、このAu−Sn共晶合金粉末は、通常、ガスアトマイズして得られることも知られている。このSn:20質量%を含有し、残りがAuおよび不可避不純物からなる組成を有するAu−Sn共晶合金は、共晶点が280℃であって、高融点用途としてよく用いられている。
一方で、より低融点のはんだを必要とする用途もあり、近年、Au:10質量%を含有し、残部がSnおよび不可避不純物からなる組成を有するSn−Au共晶合金が注目され始めている。このAu:10質量%を含有し、残部がSnおよび不可避不純物からなる組成を有するSn−Au共晶合金からなるはんだは、Au含有量が少ないために価格が安く、さらにその共晶点が210℃であって、Sn:20質量%を含有し、残りがAuおよび不可避不純物からなる組成を有するAu−Sn共晶合金よりも融点が70℃も低く、高分子樹脂などの有機系材料からなるパッケージを用いた素子の接合や封止にはその耐熱性を考慮してこの低温のAu:10質量%を含有し、残部がSnおよび不可避不純物からなる組成を有するSn−Au共晶合金からなるはんだを用いることが最適であるとされている。そしてこのAu:10質量%を含有し、残部がSnおよび不可避不純物からなる組成を有するSn−Au共晶合金からなるはんだを使用して接合する方法として、
(イ)Auめっき層とSnめっき層を接合してリフロー処理することにより接合する方法、
(ロ)Au粉末、Sn粉末およびフラックスの混合体からなるペーストを塗布した後リフロー処理することにより接合する方法、
(ハ)Au:10〜40質量%を含有し、残部がSnおよび不可避不純物からなる組成を有するSn−Au共晶合金粉末とおよびフラックスの混合体からなるペーストを塗布した後リフロー処理することにより接合する方法、などがあることが知られている(特許文献1参照)。
特開平6−260579号公報
しかし、前記Au:10質量%を含有し、残りがSnおよび不可避不純物からなる組成を有するSn−Au合金粉末を含むSn−Au合金はんだペーストは濡れ性が十分でなく、さらにこのSn−Au合金はんだペーストを用いて半導体素子と基板などとを接合すると、接合部に多くのボイドが残留し、この接合部に残留した多くのボイドがクラックの起点となって信頼性のあるSn−Au合金はんだの接合部が得られないという欠点があった。
そこで、本発明者らは、濡れ性に優れかつボイド発生の少ないSn−Au合金はんだを得るべく研究を行った。
その結果、Au含有量が10質量%よりも少ないAu:6.5〜9.8質量%を含有し、残りがSnおよび不可避不純物からなる成分組成を有するSn−Au合金粉末をフラックスに混合せしめて得られたSn−Au合金はんだペーストは濡れ性に優れ、さらにこのSn−Au合金はんだペーストを使用してリフロー処理することにより得られた接合部にはボイドの発生が少なくなり、また、下地がAuメッキ処理を施した基板では、リフロー時にその下地のAuをSn−Au合金はんだが食ってしまうため、Au含有量が10質量%より多い場合には、更に濡れが悪くなることがわかり、10質量%以下のAu:6.5〜9.8質量%で顕著な効果が現れるという研究結果が得られたのである。
この発明は、かかる研究結果にもとづいてなされたものであって、
(1)Au:6.5〜9.8質量%を含有し、残りがSnおよび不可避不純物からなる成分組成を有するSn−Au合金はんだ粉末とフラックスとの混合体からなるAuメッキ処理基板用Sn−Au合金はんだペースト、
(2)前記混合体は、フラックス:5〜25質量%含有し、残部がAu:6.5〜9.8質量%を含有し、残りがSnおよび不可避不純物からなる成分組成を有するSn−Au合金はんだ粉末からなる混合体である前記(1)記載のAuメッキ処理基板用Sn−Au合金はんだペースト、に特徴を有するものである。
この発明の濡れ性に優れかつボイド発生の少ないSn−Au合金はんだペーストは下記の方法で作製する。まず、Au:6.5〜9.8質量%を含有し、残りがSnおよび不可避不純物からなる組成を有するSn−Au合金を溶解して得られた溶湯を温度:600℃〜1000℃に保持し、機械撹拌しながらまたは機械撹拌したのちこの撹拌された溶湯を圧力:300〜800kPaで加圧しながら噴射圧力:5000〜8000kPaの圧力で直径:1〜2mmを有する小径ノズルからノズルギャップ:0.3mm以下で不活性ガスを噴射して製造する。
前記撹拌は機械撹拌であることが好ましく、機械撹拌の内でもプロペラ撹拌が一層好ましい。前記機械撹拌に電磁撹拌のような電気的撹拌を併用してもよく、機械撹拌に電磁撹拌を併用することもできる。前記機械撹拌の回転速度は特に限定されるものではないが、60〜100r.p.mで3〜10分間プロペラ撹拌することが好ましい。このようにして得られたSn−Au合金粉末を分級して粒度調整したのち市販のロジン、活性剤、溶剤および増粘剤からなるフラックスとを混合してSn−Au合金はんだペーストを作製する。
この発明のSn−Au合金はんだペーストに含まれるSn−Au合金はんだ粉末のAuの含有量を6.5〜9.8質量%に限定したのは、Auの含有量が6.5質量%未満では、共晶点から大きく外れて融点が高くなり、ペースト溶融中に発生したガスが基板近傍にトラップされてバンプ内部にボイドが残留するので好ましくなく、一方、Auの含有量が9.8質量%を越えると、下地がAuメッキ処理を施した基板ではSn−Au合金が下地のAuを食って、共晶点からずれてしまうため濡れ性が悪くなるので好ましくないからである。
この発明のSn−Au合金はんだペーストは濡れ性に優れかつボイドの発生が少ないことから、従来のSn−Au合金はんだペーストに比べて接合部の信頼性が優れており、半導体装置の不良品発生率も減少してコストを低減することができ、産業上優れた効果をもたらすものである。
Sn−Au合金を高周波溶解炉により溶解し、得られた溶湯を温度:800℃に保持しながら、回転数:800回転で3時間プロペラを回転させて溶湯を機械撹拌したのち、溶湯に表1に示される圧力:500kPaをかけ、高周波溶解炉の底部に設けられたノズルから溶湯を落下させ、同時にノズルの周囲にノズルギャップ:0.2mmとなるように設けられた直径:1.5mmのガスノズルから落下する溶湯に向かってArガスを噴射圧力:6000kPaで噴射させることによりガスアトマイズ粉末を作製し、このガスアトマイズ粉末を篩でふるうことにより平均粒径:10μmを有し、表1に示される成分組成を有するSn−Au合金はんだ粉末A〜Lを作製した。さらに一般のRMAフラックス(三菱マテリアル株式会社製)を用意した。
これら表1に示される成分組成のSn−Au合金はんだ粉末A〜Lにそれぞれ前記三菱マテリアル株式会社製RMAフラックスを表2に示される割合となるように配合し混練して本発明Sn−Au合金はんだペースト1〜10、比較Sn−Au合金はんだペースト1および従来Sn−Au合金はんだペースト1を作製した。
次に、縦:10mm、横:10mm、厚さ:1mmの寸法を有する無酸素銅板を用意し、前記本発明Sn−Au合金はんだペースト1〜10、比較Sn−Au合金はんだペースト1および従来Sn−Au合金はんだペースト1を用いて、下記の評価を行い、その結果を表2に示した。
ボイド評価:
先に用意した無酸素銅板の表面に厚さ:5μmのNiめっきを施したのち、厚さ:1.0μmのAuめっきを施し、めっき板を作製し用意した。このめっき板を基板とし、この基板上に直径:6.5μm、厚さ:1.2mmのマスクを用いて本発明Sn−Au合金はんだペースト1〜10、比較Sn−Au合金はんだペースト1および従来Sn−Au合金はんだペースト1を印刷し、次いで、リフロー処理(プレヒート150℃/60秒+本ヒート260℃/60秒)し、このとき発生した種々のサイズのボイドを透過X線装置および画像処理ソフトを用いて直径:10μm以上の大きさのボイドの数を計測し、それらの結果を表2に示した。
濡れ性評価:
先に用意した縦:10mm、横:10mm、厚さ:1mmの寸法を有する無酸素銅板の片面をアルコールを滴下しながら研磨紙で研磨し、その後アルコールで汚れを洗い流し、室温で乾燥した。その後、この板を150℃の乾燥機で時間酸化処理した。
この酸化処理した無酸素銅板質量を秤量し、その値をW1とし、次に、0.3gの本発明Sn−Au合金はんだペースト1〜10、比較Sn−Au合金はんだペースト1および従来Sn−Au合金はんだペースト1を前記無酸素銅板の上に置いて、無酸素銅板の質量を秤量しその値をW2とし、この0.3gの本発明Sn−Au合金はんだペースト1〜10、比較Sn−Au合金はんだペースト1および従来Sn−Au合金はんだペースト1を載せた無酸素銅板を150℃で60秒保持したのち260℃で60秒保持するリフロー処理を行い、フラックス残渣を洗浄し、洗浄後、再度質量測定を行い、その値をW3とすると、無酸素銅板の上に広がったはんだの質量Wは、W=W2−W1−W3で求められるから、この式によりWを求めた。
次に、フラックス残渣洗浄済みの無酸素銅板の上に広がったはんだの高さH(mm)を求め、さらに、試験で用いたはんだを球と見なしたときの直径をD(mm)、球の体積をVとすると、VはV=4/3π(D/2×10−1で求められ、一方、Vは先に求めたWの値およびはんだの真密度ρの値からV=W/ρで求められ、この二つの式からD求め、このDの値および広がったはんだの高さHの値を用いて、広がり率SR=(D−H)/D×100の式により、広がり率SRを算出し、その結果を表2に示すことにより濡れ性を評価した。
Figure 0004780466

Figure 0004780466
表1〜2に示される結果から、Au:6.5〜9.8質量%を含有する本発明Sn−Au合金はんだペースト1〜10は従来Sn−Au合金はんだペースト1に比べてボイドの発生数が少なく、さらに広がり率が大きいことから濡れ性に優れていることが分かる。しかし、この発明の範囲から外れたAu含有量のSn−Au合金粉末を含む比較Sn−Au合金はんだペースト1はボイドの発生数が十分に少なく、さらに広がり率が不十分であることから濡れ性がやや劣ることが分かる。

Claims (2)

  1. Au:6.5〜9.8質量%を含有し、残りがSnおよび不可避不純物からなる成分組成を有するSn−Au合金はんだ粉末とフラックスとの混合体からなることを特徴とするAuメッキ処理基板用Sn−Au合金はんだペースト。
  2. 前記混合体は、フラックス:5〜25質量%含有し、残部が前記Au:6.5〜9.8質量%を含有し、残りがSnおよび不可避不純物からなる成分組成を有するSn−Au合金はんだ粉末からなる混合体であることを特徴とする請求項1記載のAuメッキ処理基板用Sn−Au合金はんだペースト。
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