JP4780297B2 - 圧電セラミックス素子および携帯機器 - Google Patents

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Description

本発明は、圧電横効果によって撓み変形する圧電セラミックス素子、およびその圧電セラミック素子を用いた携帯機器に関する。
昨今、携帯電話、ノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital assistant)などの携帯機器が盛んに利用されるようになってきている。これらの携帯機器は、ネットワークシステムやソフトウェアの進展とともに、様々な用途に応用され、利用者の利便性が高まっている。これに伴い、携帯機器に搭載される機能部品の種類も、スピーカ、マイクロホン、レシーバ、バイブレータ、カメラ、液晶ディスプレイ、カードメモリ、LSI、赤外線通信モジュールなど、増大する傾向にある。
携帯機器の携帯性や利便性を高めるため、携帯機器自身の小型化・薄型化が求められる一方で、搭載される機能部品の増加が、携帯機器の小型化に対して妨げとなっている。また、携帯機器の落下時における部品同士あるいは部品と筐体との接触による破壊の防止を考慮した部品の配置、スペースの設計の重要性も高まっている。さらには、携帯機器のさらなる普及のために、部品を安価に製作、実装する技術の開発も欠かすことができない。
携帯機器には、電気的な信号に基づいで駆動される様々な可動部品が用いられる。この種の可動部品としては、例えば、携帯電話においては、音響素子、バイブレータ、カメラズーム機構などが挙げられ、液冷式の冷却システムを有するパーソナルコンピュータやPDAにおいては、冷媒循環用のポンプが挙げられる。携帯機器には、そのエネルギー供給源として電池が使用されている。したがって、携帯機器において可動部品を駆動するための駆動源としては、3〜5V程度の低電圧駆動が可能かつ安価であるということから、電磁型の駆動源である、DCモータや、磁力・機械変換機構が用いられている。
しかし、電磁型の駆動源には電磁コイルや永久磁石などが使用されているため、その駆動性能を維持しつつ小型化を図るのに技術的な障壁は高い。例えば、携帯電話では、着信音を発する音響素子として電磁型のスピーカが用いられているが、電磁型スピーカは厚さが3mm程度あり、その更なる小型化・薄型化は、性能低下を招くことから一般的には困難と考えられている。
そこで、上述した可動部品の駆動源として、電磁作用を利用せず、高い電気・機械エネルギー変換効率を有し、かつ小型化・薄型化に有利な圧電セラミックス素子が注目されている。圧電セラミック素子は、直流電圧を印加することで変位し、対象物を動かすことができる。また、圧電セラミック素子は、所望の周波数の交流電圧を印加すると、その周波数で振動し、対象物を振動させることができる。
圧電セラミック素子は、機械的な駆動源として数々の形態が提案され、実用化がなされている。例えば、「超音波エレクトロニクス振動論−基礎と応用−」(富川義朗編著、朝倉書店、1998年2月20日、pp.104−131)には、圧電横効果により屈曲変位する圧電セラミック素子およびその動作の詳細が記載されている。その一例を図1に示す。図1は、従来の圧電セラミック素子の概略斜視図である。図1に示すように、従来の圧電セラミック素子101は、金属材料からなり電圧印加用の電極の一つとして機能する薄板状の恒弾性体102の両面に、分極処理が施されそれぞれ両主面に電極105が形成された2枚の圧電セラミックス板103,104を接着剤で貼り合わせて構成される。また、この圧電セラミック素子101には、各圧電セラミックス板103,104に電圧を印加するために、電極105および恒弾性体102に、合計3本のリード線106が設けられる。このように2枚の圧電セラミックス板103,104を貼り合せた構成の圧電セラミック素子101は、一般にバイモルフ型と呼ばれる。
この圧電セラミック素子101の各圧電セラミック板103,104に、一方が長さ方向に縮み、他方が長さ方向に延びるように極性を工夫して電圧を印加すると、圧電セラミック素子101は、その厚み方向に屈曲変位する。この動作は、圧電セラミック素子101の平面形状が矩形、正方形、円形など、どのような形状であっても同様である。また、この圧電セラミック素子101に交流電圧を印加すると、圧電セラミック素子101は、その厚み方向に振動する。印加する交流電圧の周波数を調整すると、圧電セラミック素子101の寸法や材質等で決まる固有周期において共振現象が観察され、圧電セラミック素子101の振幅は最大になる。
また、上述したように、携帯機器にはエネルギー源として3〜5Vの出力の電池が用いられることが多いが、一般的に圧電セラミック素子は、電磁型の駆動源と比較して動作電圧が高いことが知られている。これを解決するため、圧電セラミックス薄板と電極とを交互に積層して、印加する電界強度を高めることで低電圧駆動を可能とした積層型圧電セラミック振動子が提案されている。例えば、″Mechanical Quality Factor of multiplayer Piezoelectric Ceramic Transducers″(Yasuhiro SASAKI等、Jpn.Appl.Phys.Vol.40(2001)、Part 1,No.5B、pp.3549−3551、May 2001)には、図2に示すように、電極層115と圧電セラミック層113とを交互に積層した圧電セラミック振動子111が開示されている。図2において、圧電セラミック層113を挟んだ相対向する電極層115は、第1の外部電極116により電気的に並列になるように結線されている。また、圧電セラミック振動子111の両主面には第2の外部電極117がほぼ全面に形成されており、ここから電気端子(不図示)を取り出す構造となっている。
しかしながら、屈曲変位動作をする圧電横効果を利用した圧電セラミック素子を実際に携帯機器に適用するには、以下に示すような問題点があった。
第1に、図1に示したようなバイモルフ型の圧電セラミック素子を動作させるためには、少なくとも、圧電セラミック素子の厚み方向両主面からそれぞれ1本ずつ、および恒弾性体から1本、合計3本の電気端子リード線を引き出す必要がある。
携帯機器において、機械的駆動源の動作には、頻繁かつ長時間にわたる安定性が求められるが、電気端子リード線の数が多いと、それだけ断線の危険性が増大する。さらに、圧電セラミック素子を加振させると、電気端子リードからの音響放射により騒音が発生するという問題もある。
また、電気端子リード線が圧電セラミック素子の厚み方向両主面に接続されるため、これら圧電セラミック素子の厚み方向両面に配置された電気端子リード線が障害となる。このことにより、圧電セラミック素子の変位もしくは振動を伝達すべき対象物との接合箇所が限定されるばかりでなく、電気端子リード線の占有空間および圧電セラミック素子の変位動作空間を合わせて確保しなければならず、圧電セラミック素子の小型・薄型という特徴を損なってしまう。さらには、圧電セラミック素子の厚み方向両面に電極が形成されているため、対象物が金属の場合、圧電セラミック素子に印加した電気エネルギーが対象物へ漏洩するため、対象物の腐食などによる信頼性の低下や、対象物を介して携帯機器の筐体などの構造物に電気エネルギーが伝播することによる、人体への影響や他の部品へのノイズ混入が懸念される。
第2に、機械的駆動源を携帯機器に搭載するに際しては、旧来にない小型化および薄型化が求められ、必然的に、圧電セラミック素子を構成する圧電セラミック板(圧電層)および恒弾性体も薄板状とされる。圧電セラミック板の焼成工程において、薄板を焼成すると焼結歪が生じる。その焼結歪は、電極寸法の誤差、圧電材料の特性劣化を生じさせる。さらに、恒弾性体との接合工程において、恒弾性体との接合面に不整合が生じ、その接合ムラのために圧電セラミック素子の信頼性が低下する。そこで、焼結歪を少なくするために、最終的な寸法よりも大きい寸法で圧電セラミック板の前駆体を形成し、これを焼成した後、研削および研磨を行って所望の寸法に仕上げることが行われている。このことにより、圧電セラミック板の製造コストが上昇する。
また、圧電セラミック板は薄板であるため、製造工程でのハンドリングで割れやヒビなどの欠陥を生じ易い。このことは歩留まりの低下を招き、結果的に、製造コストの上昇につながる。
第3に、圧電セラミックス素子を振動させた場合の周波数帯域の問題がある。圧電セラミック素子を使用して所望の周波数の振動を得ることを考える。圧電セラミック素子は、共振周波数において振幅が増大するが、基本共振周波数より低い周波数では振幅が極端に減衰する。すなわち、必要周波数に応じて基本共振周波数の調整ができると利便性が向上する。一例を示すと、圧電セラミック素子をスピーカに応用する場合、可聴帯域の中で300Hz〜1kHzの領域に2つ以上の共振周波数を有すると、低音域の音圧レベルの等音化により、圧電セラミック素子を用いた従来のスピーカでは困難な低音域を忠実に再生する良好な音質のスピーカを実現することができる。
しかしながら、基本共振周波数は、圧電セラミック素子を構成する材料の物性、形状により一意的に決まり、1つの圧電セラミック素子で任意に共振周波数を変化させることは困難である。そのため、2つ以上の共振周波数を持たせるためには、形状の異なる複数の圧電セラミック素子を製造する必要がある。結果的に、このような圧電セラミック素子は製造コストも高くなるので、携帯機器へ適用する機械的駆動源としての実用性は低い。
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであり、その第1の目的は、圧電セラミック素子の小型・薄型という特徴を生かしつつ、動作の信頼性が高くかつ製造が容易な圧電セラミック素子、およびそれを用いた携帯機器等を提供することである。
また、本発明の第2の目的は、上記の目的に加えさらに、基本共振周波数を調整可能な圧電セラミック素子、およびそれを用いた携帯機器等を提供することである。
上記第1の目的を達成するため本発明の圧電セラミック素子は、電圧を印加することによって厚み方向に屈曲変位する圧電セラミック素子であって、一方が伸長し他方が収縮するようにそれぞれ電極層を介して電圧が印加される、それぞれ少なくとも1層の圧電層を有する2つの圧電活性層と、2つの圧電活性層の間に配された中間絶縁層と、2つの圧電活性層を挟んで圧電セラミック素子の厚さ方向両面にそれぞれ配された2つの表面絶縁層と、2つの表面絶縁層のいずれか一方にのみ設けられ、電極層に電気的に接続された電極パッドとを有する。そして、圧電活性層、中間絶縁層および表面絶縁層は、ともに同じ材料から構成され、焼成により一体化されている。
上記のように、2つの圧電活性層を表面絶縁層で挟み、表面絶縁層を圧電セラミック素子の厚さ方向両面に配することで、電極層との電気的な接続を、いずれか一方の表面絶縁層のみに引き回すことができる。その結果、外部との電気的接続用のリード線を圧電セラミック素子の片面からのみ引き出すことができるので、リード線も含めた圧電セラミック素子の小型化・薄型化が達成される。さらに、2つの圧電活性層の間にさらに中間絶縁層を有するので、2つの圧電活性層の圧電効果がより効果的に発揮されるとともに、外部へ引き出すリード線の数を低減することができる。また、圧電活性層、中間絶縁層および表面絶縁層は、ともに同じ材料から構成され、焼成により一体化されているので、各層の接着による接合工程が不要である。これにより、製造工程が簡略化されるとともに、圧電セラミック素子の機械的な破壊に対する信頼性が向上する。
さらに、電極パッドは圧電セラミック素子の片面にのみ設けられているので、圧電セラミック素子の変位を伝達すべき対象物は、圧電セラミック素子の電極パッドが設けられた面と反対側の面全面に接合することができる。従って、圧電セラミック素子の変位が効率よく対象物に伝達される。また、圧電セラミック素子は、各層が焼成により一体化され、焼結歪が極めて低減されているので、圧電セラミック素子と対象物とを接合する際も、研磨等の機械加工が不要であり、容易に接合することができる。加えて、対象物が接合される面は絶縁層であるので、対象物が金属であっても、圧電セラミック素子を接合することができる。従って、本発明の圧電セラミック素子は、設置場所を選ばない。
圧電活性層は、単層の圧電層で構成されていてもよいし、電極層で分離された複数の圧電層で構成されていてもよい。
また、本発明の圧電セラミック素子においては、2つの圧電活性層の分極方向は、一方の圧電活性層と他方の圧電活性層との関係において最も近接した圧電層の分極方向が揃っていることが好ましい。これにより、分極処理時および駆動時の印加電圧を低減することができる。
本発明の圧電セラミック素子は、2つの表面絶縁層の少なくとも一方に弾性体が接合されていてもよい。弾性体の材料、サイズ等を適宜選択することによって、圧電セラミック素子の変位量および基本共振周波数を調整することができる。また、圧電セラミック素子の一部を、固定子を介して弾性体に固定するとともに、圧電セラミック素子を駆動したときの、弾性体の固定子が固定された位置での変位量が圧電セラミック素子の最大変位量よりも小さくなるようすることによっても、圧電セラミック素子の変位量および基本共振周波数を調整することができる。この場合、固定子を、圧電セラミック素子の長手方向の中心位置とは異なる位置に取り付けることで、2つの異なる基本共振周波数を持つ圧電セラミック素子とすることができ、振動周波数の広帯域化が図られる。また、弾性体を箱体とし、この箱体の内側に圧電セラミック素子を取り付ければ、箱体全面を振動させ、箱体全面から音響放射を行う無指向性音響素子が得られる。
本発明の携帯機器は、上記本発明の圧電セラミック素子と、圧電セラミック素子に接合されて圧電セラミック素子の変位が伝達される部品とを有する。また、本発明の携帯機器は、上記本発明の圧電セラミック素子と、圧電セラミック素子に取り付けられた固定子と、固定子に接合された、固定子の変位量が圧電セラミック素子の先端での変位量よりも小さくなるような弾性体とを有し、この弾性体から音響放射を行う。この場合、弾性体は、携帯機器の筐体であることが好ましい。
本発明によれば、圧電セラミック素子の小型・薄型という特徴を生かしつつ、動作の信頼性が高く、かつ製造が容易な圧電セラミック素子を得ることができる。その結果、本発明の圧電セラミック素子は、少ないスペースで設置することができ、しかも動作の信頼性が高いので、携帯機器の機械的変位を伴う部品の駆動源として好適に利用することができる。
また、圧電セラミック素子に直接、あるいは固定子を介して弾性体を接合することで、基本共振周波数を調整することができるので、本発明は、音響素子としても好適に利用することができる。特に、固定子を設けた場合は、固定子の位置を、圧電セラミック素子の中心位置とは異なる位置とすることで、振動周波数の広帯域化を図ることができる。また、弾性体を箱体とし、この箱体の内側に圧電セラミック素子を取り付ければ、箱体全面から音響放射を行う無指向性音響素子とすることができる。
従来の圧電セラミック素子の概略斜視図である。 従来の積層型圧電セラミック素子の概略斜視図である。 本発明の第1の実施形態による圧電セラミック素子の概略斜視図である。 図3のA−A’線断面図である。 図4において所定の圧電層を電極パッドに接続する方法の一例を説明する図である。 図4において所定の圧電層を電極パッドに接続する方法の他の例を説明する図である。 上下の圧電活性層で分極方向が異なる圧電セラミック素子の、分極処理時の電圧印加の様子を模式的に示す図である。 上下の圧電活性層で分極方向が異なる圧電セラミック素子の、駆動時の電圧印加の様子を模式的に示す図である。 中間絶縁層を設けない圧電セラミック素子の、分極方向が揃っている場合の、駆動時の電圧印加の様子を模式的に示す図である。 中間絶縁層を設けない圧電セラミック素子の、分極方向が逆向きの場合の、駆動時の電圧印加の様子を模式的に示す図である。 弾性体に接合した圧電セラミック素子の斜視図である。 本発明の第2の実施形態による、圧電セラミック素子を用いた音響素子の概略斜視図である。 圧電セラミック素子に固定子を設けない場合の変位分布を示す図である。 圧電セラミック素子に固定子を設けた場合の変位分布を示す図である。 本発明を適用した携帯電話の概略斜視図である。 図11Aに示す携帯電話の縦断面図である。 本発明の実施例1で作製した圧電セラミック素子の斜視図である。 図12に示す圧電セラミック素子の層構成を示す斜視図である。 実施例4で作製した音響素子の概略斜視図である。 図14に示す音響素子の無指向性を確認するために行った実験方法を説明する図である。 図15に示す方法で行った実験における、音圧レベルの測定結果を示すグラフである。
(第1の実施形態)
図3を参照すると、本発明の第1の実施形態による圧電セラミック素子1の概略斜視図が示されている。
図3に示す圧電セラミック素子1は、上部圧電活性層5および下部圧電活性層6の2つの圧電活性層を有するバイモルフ型の屈曲素子であり、電極パッド8,9を介して電圧を印加することにより、圧電セラミック素子1の厚み方向に屈曲変位する。印加する電圧が直流電圧であれば、圧電セラミック素子1は一方向に変位し、交流電圧であれば圧電セラミック素子1は振動する。振動は、逆向きへの屈曲変位の周期的繰り返しであるので、以下の説明では、振動と変位を特に区別しない場合、単に「変位」と称すことがある。
図3では、圧電セラミック素子1を構成する各層の構成を分かり易くするために、厚み方向の寸法を大きく描いているが、実際には、圧電セラミック素子1は全体として薄い板状の形状を有している。また、以下の説明では、位置や方向を示すのに「上」、「下」という用語を用いるが、これらは説明の便宜上、図面に示した状態での上下を意味するのであって、圧電セラミック素子1が実際に使用される状態での上下を意味するのではない。
上部圧電活性層5と下部圧電活性層6との間には、中間絶縁層4が設けられている。上部圧電活性層5の中間絶縁層4が設けられた面と反対側の面には上部絶縁層2が設けられるとともに、下部圧電活性層6の、中間絶縁層4が設けられた面と反対側の面には下部絶縁層6が設けられている。上部絶縁層2は圧電セラミック素子1の最上層を構成し、下部絶縁層3は圧電セラミック素子1の最下層を構成する。
上部圧電活性層5は、3つの上部圧電層5aを積層した構成を有する。隣接する2つの上部圧電層5a間、最上位の上部圧電層5aと上部絶縁層2との間、および最下位の上部圧電層5aと中間絶縁層4との間には、それぞれ上部電極層7aが設けられている。同様に、下部圧電活性層6は、3つの下部圧電層6aを積層した構成を有し、隣接する2つの下部圧電層6a間、最上位の下部圧電層6aと中間絶縁層4との間、および最下位の下部圧電層6aと下部絶縁層3との間には、それぞれ下部電極層7bが設けられている。
上述した各層、すなわち上部絶縁層2、上部圧電活性層5、上部電極層7a、中間絶縁層4、下部圧電活性層6、下部電極層7b、および下部絶縁層3は、それぞれ上述の配置になるように積層した後、焼成され一体化される。これら各層は、セラミックコンデンサなどの作製に用いられるグリーンシート法によって形成することができる。
このように、圧電セラミック素子1を構成する各層を積層後に焼成することで、各層を個別に焼成する場合と比較して焼成する対象の厚さおよび重量が大きくなる。その結果、焼成工程における焼結歪は極めて小さいものとなり、焼成後の研削、研磨といった機械加工工程を不要とすることができる。また、各層の一体化は焼成によってなされるため、各層の一体化のための接着による接合工程は不要である。以上のことから、圧電セラミック素子1の製造工程が削減され、圧電セラミック素子1を低コストで製造することができる。しかも、各層の境界部に接着剤による接合部がないため、機械的な破壊に対する信頼性が向上する。
各層は焼成により一体化されるが、上部絶縁層2、上部圧電層5a、中間絶縁層4、下部圧電層6a、および下部絶縁層3は、同じ材料で構成されることが好ましい。これらの層を同じ材料で構成することにより、各層の熱膨張係数が等しく、焼成時の各層の挙動が同じになるので、焼成による一体化をより良好に行うことができる。これらの層の材料として、例えば、ジルコン酸チタン酸鉛系セラミックスを用いることができる。また、同時に焼成される上部電極層7aおよび下部電極層7bとして、銀パラジウム合金を用いれば、均一な焼成が促進され、さらに焼結歪を低減する効果がある。
上部絶縁層2の上面には2つの電極パッド8,9が設けられており、これら電極パッド8,9に、それぞれリード線10,11が電気的に接続されている。電極パッド8は、上部絶縁層2の上面の相対向する縁部に設けられた2つの分極用パッド部8a,8bと、これら分極用パッド部8a,8bを連結し電気的に接続する連結部8cとを有する。もう一方の電極パッド9も同様に、2つの分極用パッド部9a,9bと、連結部9cとを有する。また、圧電セラミック素子1の側面には、それぞれ分極用パッド部8a,8b,9a,9bと電気的に接続され、上部電極層7aおよび下部電極層7bのうち所定の電極層と電気的に接続された、例えば金属箔や金属膜など導電材料で構成された4つの結線部材12が設けられている。
分極用パッド8a,8b,9a,9bは、上述のようにして焼成一体化された圧電セラミック素子前駆体に対して上部圧電層5aおよび下部圧電層6aの分極処理を行う際に、上部電極層7aおよび下部電極層7bを通じて電圧を印加するのに用いられるパッドである。連結部8c,9cは、分極処理を行った後に設けられる。従って、分極処理が完了するまでは、4つの分極用パッド8a,8b,9a,9bは互いに独立している。
結線部材12は、上述のように4つの分極用パッド8a,8b,9a,9bにそれぞれ電気的に接続される。4つの結線部材12のうちの2つは、上部電極層7aまたは下部電極層7bのいずれかに、これらの積層順に交互に接続される。4つの結線部材12のうちの残りの2つは、もう一方の電極層に対して、これらの積層順に交互に接続される。これにより、各分極用パッド8a,8b,9a,9bのうちの2つを、上部圧電層5aまたは下部圧電層6aのいずれか一方を分極するのに用いることができ、各分極用パッド8a,8b,9a,9bのうち残りの2つを、上部圧電層5aまたは下部圧電層6aの他方を分極するのに用いることができる。そして、分極処理完了後、上部圧電層5aの分極に用いた分極用パッドと、下部圧電層6aの分極に用いた分極用パッドとを、分極処理時に逆極性の電位が与えられた分極用パッド同士が接続するように、連結部8c,9cによって電気的に接続し、圧電セラミック素子1が完成する。
本実施形態における、各電極層の結線状況を、図4を参照して説明する。
本実施形態では、分極処理によって、上部圧電層5aおよび下部圧電層6aは、矢印で示すように、中間絶縁層4を間において上下に隣接する上部圧電層5aと下部圧電層6aとで分極方向が揃い、かつ、隣接する圧電層同士で互いに分極方向が逆向きになるように分極されている。すなわち、上部圧電層5aおよび下部圧電層6aは、上部圧電活性層5全体での分極方向と下部圧電活性層6全体での分極方向とが揃うように分極されている。そして分極処理終了後、上部電極層7aおよび下部電極層7bが、図4に示すように、中間絶縁層4の上下にそれぞれ隣接する上部電極層7aと下部電極層7bとが電気的に短絡され、かつ、上部圧電活性層5と下部圧電活性層6とが電気的に並列に結線される。
図4に示したような、上部電極層7aおよび下部電極層7bの所定の電極層だけを電極パッド8,9に結線する手段としては、周知の手段を用いることができる。その幾つかの例を図3に示す。図5Aに示す例では、電極層7を部分電極とし、所定の電極層7が圧電活性層の側端面に露出するパターンで形成する。そして、結線部材12を圧電活性層の側端面に設けることで、所定の電極層7だけが結線される。図5Bに示す例では、電極層7を全面電極とし、圧電活性層の側端面のうち結線しない電極層7の部分を、ガラス等の絶縁体13で被覆する。そして、絶縁体13上を通るように結線部材12を設けることで、所定の電極層7だけが結線される。
以上のように分極および結線することにより、外部に取り出すリード線10,11の数が2本で済み、従来のバイモルフ型屈曲素子と比べて少なくすることができる。これにより、リード線の断線等による動作不良の危険性が少なくなるとともに、圧電セラミック素子1を加振したときのリード線からの音響放射による騒音も減少し、結果的に圧電セラミック素子1の信頼性を向上させることができる。
上部絶縁層2および下部絶縁層3を設けることにより、2つの電極パッド8,9を上部絶縁層2に配置し、下部絶縁層3の下面全面に、圧電セラミック素子1の変位もしくは振動を伝達すべき対象物(不図示)を接合することができる。これにより、圧電セラミック素子1を機器に搭載する際の省スペース化を達成しつつ、圧電セラミック素子1の変位もしくは振動を効率よく伝達することができる。
また、対象物は下部絶縁層3に接合されるので、対象物が金属等の導電性部材であっても、対象物に電気エネルギーが漏洩することはない。従って、対象物の腐食などによる動作の信頼性の低下が防止されるばかりでなく、対象物を介して電気エネルギーが伝播することによる人体への危険性や他の部品へのノイズ混入も防止される。さらに、前述したように、圧電セラミック素子1は、それを構成する各層が焼成により一体化され、焼結歪が大幅に低減されているので、圧電セラミック素子1への対象物の接合も容易に行える。
なお、電極パッド8,9は上部絶縁層2の一部に設けられているので、圧電セラミック素子1の変位もしくは振動を伝達すべき対象物は、電極パッド8,9を避けた位置であれば、上部絶縁層2の上面に接合することもできるし、上部絶縁層2および下部絶縁層3の双方に接合することもできる。ここでは電極パッド8,9を上部絶縁層2に設けた例を示したが、電極パッド8,9は、下部絶縁層3に設けることもできる。
中間絶縁層4は、上部圧電活性層5と下部圧電活性層6との機械的分離機能を有する。圧電セラミック素子1を動作させると、一方の圧電活性層が伸長すると同時に他方の圧電活性層が収縮する。このとき、両者の間に、機械的に中立の状態を保っている中間絶縁層4が存在しているので、上部圧電活性層5および下部圧電活性層6の圧電効果をより効果的に発揮させることができる。また、上部電極層7aおよび下部電極層7bのうち中間絶縁層4の上下面にそれぞれ配された電極層は電気的に短絡されているため、本実施形態における中間絶縁層4は、一般に提案されている圧電縦効果や圧電横効果を用いた圧電セラミックトランスの電気的絶縁層とは異なる作用を持つ。圧電セラミックトランスは、1次側(入力側)および2次側(出力側)にそれぞれ2つずつ端子を有する4端子構造を基本としており、圧電セラミックトランスにおける電気的絶縁層は、1次側と2次側とを電気的に絶縁するものである。
さらに、絶縁層に関し、本実施形態では、上部絶縁層2、下部絶縁層3、および中間絶縁層4の3つの絶縁層を有している。これら絶縁層の厚みを調整することで、圧電セラミック素子1全体の厚みを調整することができ、その結果、焼結歪の調整や圧電セラミック素子1の剛性の調整を行うことができる。圧電セラミック素子1の剛性の調整によって、圧電セラミック素子1の変位量の調整が可能となる。
以上、本実施形態について図3等を参照して説明したが、本実施形態の圧電セラミック素子は、図3等に示した構成に限られるものではなく種々の変更を加えることができる。
例えば、上部圧電活性層5および下部圧電活性層6を、それぞれ複数の圧電層で構成した例を示したが、圧電層は単層であってもよい。また、上部圧電活性層5と下部圧電活性層6とで、圧電層の層数が互いに異なっていてもよい。圧電活性層の変位量は、一般に圧電層の数に依存するので、上部圧電活性層5と下部圧電活性層6で圧電層の数を変えることで、圧電セラミック素子1全体での変位に偏りを持たせることができる。
分極方向について、上述した例では上部圧電活性層5と下部圧電活性層6で分極方向の総和が揃っている例を示したが、本発明においては、分極方向は上下の圧電活性層で揃っている必要はない。また、圧電活性層を構成する圧電層の数が偶数の場合は、圧電活性層全体で見ると各圧電層の分極方向が打ち消されたような状態となるが、このような場合にも本発明は適用可能である。
上下の圧電活性層で分極方向が異なる場合の、分極処理時および駆動時の電圧印加の様子を図6A、6Bに模式的に示す。図6Aは、分極処理時の電圧印加の様子を示し、上部圧電活性層5と下部圧電活性層6で加わる電界の向きが逆向きになるように、4つの分極用パッド部8a,8b,9a,9b(図3参照)を介して直流電圧X[V]を印加する。これにより、上部圧電活性層5および下部圧電活性層6は、矢印で示す向きに分極される。なお、図6A、6Bでは上部圧電活性層5および下部圧電活性層6がそれぞれ単一の圧電層を有しているように示しているが、図6A、6Bは圧電層の数を規定するものではない。圧電活性層が複数の圧電層を有している場合、分極方向を示す矢印は、各圧電層の総和の分極方向を示す。また、各層の境界には電極層が設けられている。これらのことは、以下に示す図7A、7Bにおいても同様である。
分極処理の終了後、分極用パッド部8a,8b,9a,9bを連結部8c,9c(図3参照)によって電気的に接続することによって、図6Bに示すように上部圧電活性層5および下部圧電活性層6を結線する。そして、例えば上部圧電活性層5に分極方向と同じ向きの電界が作用し、下部圧電活性層6に分極方向と逆向きの電界が作用するように、電圧X[V]を印加することによって、上部圧電活性層5が伸長すると同時に、下部圧電活性層6が収縮し、圧電セラミック素子は上向きに屈曲変位する。
ただし、図6A、6Bに示したように上下の圧電活性層5,6で分極方向が逆の場合は、中間絶縁層4にも駆動電圧が印加されてしまう。このことにより、中間絶縁層4の厚みが圧電活性層5,6の厚みより薄いと、中間絶縁層4自身が分極され、変位を打ち消しあうように働く。従って、中間絶縁層4の厚みが制限されるので、上下の圧電活性層5,6の分極方向が揃っていることが好ましい。
中間絶縁層4は、前述したように上部圧電活性層5と下部圧電活性層6との機械的分離機能を有するものであるが、この中間絶縁層4は、必ずしも必要なものではない。
図7A、7Bに、中間絶縁層を設けない圧電セラミック素子の例を示す。図7Aは、上部圧電活性層5と下部圧電活性層6の分極方向が揃っている例である。また、図7Bは、上部圧電活性層5と下部圧電活性層6で分極方向が逆向きの例である。いずれの場合も、上部圧電活性層5と下部圧電活性層6の境界の電極層7は、上部圧電活性層5および下部圧電活性層6に共通に用いられる。
このように、中間絶縁層を設けない場合であっても、上部圧電活性層5および下部圧電活性層6への電気的接続パターンを適宜変更することによって、屈曲変位する圧電セラミック素子を得ることができる。なお、中間絶縁層を設けない場合は、リード線の数が3本となってしまう(すなわち、電極パッドの数および結線部材の数も3つとなる)が、上部絶縁層2および下部絶縁層3を設けている限り、圧電セラミック素子の厚み方向片面だけに電極パッド(不図示)を設け、反対側の面全面に、この圧電セラミック素子の変位または振動を伝達すべき対象物を接合することができ、このことによる前述した効果を達成することができる。
さらに、本実施形態では、圧電セラミック素子1を単体で駆動させるものとして説明したが、圧電セラミック素子1に弾性体を接合することによって、圧電セラミック素子1の変位量および基本共振周波数を調整することもできる。
図8に、弾性体に接合した圧電セラミック素子の斜視図を示す。図8において、圧電セラミック素子1の下面全面に、一端部が固定端15aとなった弾性体15が接合されている。弾性体15は、薄い板状の部材であり、例えばりん青銅で構成することができる。
このように、圧電セラミック素子1に弾性体1を接合することで、弾性体1を接合しないものと比較して、圧電セラミック素子1の変位量を大きくすることができ、また、基本共振周波数を低くすることができる。これら変位量および基本共振周波数は、弾性体15の材料、寸法等に依存し、弾性体15の、圧電セラミック素子1の長手方向に沿った長さについていうと、弾性体15の長さを長くすれば、変位量はより大きくなり、基本共振周波数はより低くなる。しかも、圧電セラミック素子1の変位量、基本共振周波数の調整は、圧電セラミック素子1の寸法を変えずに、弾性体15を変更するだけで、容易かつ安価に行うことができる。
圧電セラミック素子1は、前述したように、焼結歪が低減されているので、圧電セラミック素子1への弾性体15の接合は容易である。また、圧電セラミック素子1の厚み方向両面は絶縁層であるので、電極パッド8,9の設けられていない面、または、電極パッド8,9が設けられている面であっても電極パッド8,9を避けた位置であれば、弾性体1が金属であっても、弾性体1を通じての電気エネルギーの漏洩は生じない。圧電セラミック素子1の変位を伝達すべき対象物は、圧電セラミック素子1の弾性体15が接合されていない面、または弾性体15に接合することができる。
(第2の実施形態)
図8を参照すると、本発明の第2の実施形態による、圧電セラミック素子21を用いた音響素子の概略斜視図が示される。
本実施形態では、圧電セラミック素子21に固定子36を取り付け、この固定子36を弾性体35に固定している。圧電セラミック素子21は、第1の実施形態で述べたものと同様であるので、ここではその詳細な説明は省略する。固定子36は、圧電セラミック素子21の変位挙動を変化させるものであり、圧電セラミック素子21に取り付けられるものであれば、その材料は特に限定されず、樹脂、金属、セラミクス材などを用いることができる。
弾性体35は、圧電セラミック素子21の長手方向端部での厚み方向の変位量よりも、固定子36が取り付けられた位置での厚み方向の変位量が小さくなるように、その材料、形状等が選択される。これにより、圧電セラミック素子21の長手方向端部での上下方向への変位量が、固定子36の上下方向への変位量と比較して大きくなり、固定子36の近傍は相対的に固定端と見なすことができる。
ここで、圧電セラミック素子21の一部を固定した場合の、圧電セラミック素子21の長手方向における、厚み方向への変位について考える。圧電セラミック素子21を固定せずに駆動した場合は、図10Aに示すように、正弦波のほぼ1/2波長分に相当する変位分布が得られる。これに対し、圧電セラミック素子21をその一端Eを固定して駆動すると、図10Bに示すように、ほぼ1/4波長分の変位分布が得られる。両者を比較すると、圧電セラミック素子21の一端を固定すると、固定しないときと比べて、波長は近似的に2倍になり、従って、基本共振周波数は1/2となる。
このことは、図9に示したように圧電セラミック素子21の長手方向中間部を固定した場合でも、固定子36から一方の端Bまでの領域、および固定子36から他方の端Cまでの領域それぞれについて同様にいえる。つまり、圧電セラミック素子21に固定子36を取り付けることで、圧電セラミック素子21の基本共振周波数を低くすることができる。
また、固定子36を圧電セラミック素子21の長手方向中心から離した位置に取り付けることにより、圧電セラミック素子21は、固定子36で固定された位置から一方の端Bまでの長さを有する素子と、固定子36で固定された位置から他方の端Cまでの長さを有する素子との、2つの異なる素子として作用する。従って、このような圧電セラミック素子21は、2つの異なる基本共振周波数を持つことになり、振動周波数の広帯域化が図られる。
圧電セラミック素子21の駆動による機械エネルギーの伝達は、弾性体35を介し、あるいは圧電セラミック素子21から直接、行うことができる。さらには、圧電セラミック素子21を振動させる場合、その振動エネルギーの伝達対象物が携帯機器の筐体すなわち箱形状の弾性体であれば、本発明の圧電セラミック素子21の振動伝達効率が高いことを利用し、固定子36の近傍のみならず、箱形状の筐体全面を振動させることが可能であり、筐体全面から音響放射を行う無指向性の音響素子や筐体全面振動高出力バイブレータを実現することができる。
以上、本発明について2つの実施形態を例に挙げて説明した。以下に、上述した実施形態を適用した携帯機器の一例について説明する。
図11Aおよび図11Bを参照すると、携帯電話40は、機能部品として、電波送受信用のアンテナ41、受話用のレシーバ42a、送話用のマイクロホン42b、電話番号やデータ等を入力するための操作キー44、情報を表示するためのディスプレイ45、着信音等を発するためのスピーカ46、撮像用のカメラ47、この携帯電話全体の動作を制御するための回路が設けられた基板48、およびこれらの電源である電池49などを有している。これら各部品は、筐体43の内部にレイアウトされている。
このように、携帯電話40には種々の機能部品が搭載されるが、筐体43の内部での設置スペースは極めて少ない。少ない設置スペースに多数の機能部品を搭載するためには、機能部品の小型化が不可欠である。中でもスピーカ46は、電磁型のものでは、所望の特性を得るためには小型化および薄型化には限界がある。また、電磁型のスピーカを用いた場合は、筐体43に音孔を形成し、この音孔からの音響放射になるため、指向性を有しかつ音響出力が弱い。
そこで、図11A、11Bに示した携帯電話40では、このスピーカ46に、上述した第1の実施形態で述べた圧電セラミック素子、または第2の実施形態で述べた音響素子を用いている。スピーカ36は、筐体43の内面に直接接合されている。つまり、第1の実施形態の構成を採用したスピーカの場合は、圧電セラミック素子の電極パッドが設けられた面と反対側の面が筐体に接合される。第2の実施形態の構成を採用したスピーカの場合は、固定子が筐体に接合される。いずれの場合も、筐体43は弾性体として機能している。
スピーカ46に本発明による素子を適用することで、小型・薄型でありながらも、筐体43に音孔を設ける必要なく筐体43全面からの音響放射により高い音圧レベルで音を発する無指向性のスピーカを実現することができる。
さらに、本発明による素子は、低製造コスト、低電圧駆動、省スペース、高信頼性の特徴を生かし、スピーカだけでなく、その他にも携帯機器の種々の機械的駆動源として、人に情報着信を知らせる高出力バイブレータ、デジタルスチルカメラのズームやシャッター、レシーバなど、幅広く応用可能であり、その工業的価値は多大である。
以下に、本発明の具体的な実施例について説明する。
実施例1では、図12に示す圧電セラミック素子51を作製した。また、図12に示す圧電セラミック素子51の層構成を図13に示す。
本実施例では、50個の圧電セラミック素子51を作製した。圧電セラミック素子51の作製には、セラミックコンデンサなどの作製に用いられるグリーンシート法を適用した。圧電セラミック素子51の外形寸法は、長さ35mm、幅5mm、厚さ0.532mmとした。また、圧電セラミック素子51の層構成は、上部絶縁層52、単層の圧電層からなる上部圧電活性層55、上部圧電活性層55の厚み方向両面に配された上部電極層57a、中間絶縁層54、単層の圧電層からなる下部圧電活性層56、下部圧電活性層56の厚み方向両面に配された下部電極層56a、および下部絶縁層53とした。上部絶縁層52、中間絶縁層54、および下部絶縁層53の厚みはそれぞれ40μm、上部圧電活性層55および下部圧電活性層56の厚みはそれぞれ200μm、上部電極層57aおよび下部電極層57bの厚みはそれぞれ3μmとした。
上部電極層57aおよび下部電極層57bは、一部のみが圧電セラミック素子51の側面に露出するように、タブを設けた部分電極とした。上部電極層57aおよび下部電極層57bの、タブを除く平面寸法は、長さおよび幅とも、他の各層の長さおよび幅に対して0.6mm小さい寸法とした。
圧電活性層および絶縁層の材料には、ジルコン酸チタン鉛系セラミックスを用い、電極層の材料には銀パラジウム合金(質量比70%:30%)を用いた。
上記の各層を図13に示す順番で重ね、これを焼成により一体化した。焼成は、1100℃で2時間、大気中において行った。焼成後の積層体について、50個の厚み方向の焼結歪を測定したところ、平均で15μmであった。
得られた積層体に対し、その上面および側面の一部に、分極用パッド部と各電極層の結線部材とを兼用する、厚さ8μmの4つのAg電極58a,58b,59a,59bを形成した。そして、このAg電極58a,58b,59a,59bを用いて、上部圧電活性層55と下部圧電活性層56で分極方向が揃うように、分極処理を行った。分極処理後、連結部58cで、Ag電極58aとAg電極58bとを結線するとともに、連結部59cで、Ag電極59aとAg電極59bとを結線し、上部絶縁層52の上面に2つの電極パッド58,59を形成した。連結部58c、59cには、厚さ8μmの銅箔を用いた。電極パッド58,59の形成後、電極パッド58,59に、直径1mm、高さ0.5mmのはんだ部63を介して、直径0.2mmのリード線60,61を接続した。
一方、比較のために、図1に示す構成の圧電セラミック素子を作製した。この圧電セラミック素子を比較例1とする。比較例1の圧電セラミック素子は、以下のように作製した。長さ35mm、幅5mm、厚さ200μmの圧電板を、実施例1と同じ圧電セラミック材料からなるグリーンシートを、大気中において1100℃で2時間、焼成することによって作製した。焼成後の50個の圧電板の焼結歪を測定したところ、平均で150μmであった。この圧電板を、恒弾性体である長さ35mm、幅6.2mm、厚さ120μmのりん青銅板に接着しようとしたところ、圧電板に割れが生じ、接合することができなかった。これにより、実施例1の焼成一体化による、焼結歪低減の効果が確認された。
そこで、比較例2として、焼成後に研削・研磨を行った圧電板を用いた圧電セラミック素子を作製した。比較例2においては、まず、長さ37mm、幅7m、厚さ400μmの圧電板を、実施例1と同じ圧電セラミック材料からなるグリーンシートを、大気中において1100℃で2時間、焼成することによって作製した。焼成後の50個の圧電板の焼結歪を測定したところ、平均で100μmであった。これを、研削・研磨によって、長さ35mm、幅5mm、厚さ200μmの寸法に仕上げ、その両面にAg電極を形成した。
次いで、Ag電極を形成した2枚の圧電板を、長さ35mm、幅6.2mm、厚さ120μmのりん青銅板の両面にエポキシ系接着剤を用いて接合した。りん青銅板に接合された2枚の圧電板に分極処理を施し、各圧電板に、直径1mm、高さ0.5mmのはんだ部を形成し、このはんだ部に直径0.2mmのリード線を接続し、リード線を短絡させた。また、りん青銅板の圧電板の幅方向から延出した部分にも、直径1mm、高さ0.5mmのはんだ部を形成し、このはんだ部に直径0.2mmのリード線を接続した。得られた圧電セラミック素子は、電極パッド、はんだ接合部およびリード線が両面に設けられており、全体の厚みが増加したものとなった。
以上のようにして作製した実施例1および比較例2の圧電セラミック素子の基本共振周波数を測定したところ、いずれも1kHzであった。そこで、実施例1および比較例2の圧電セラミックス素子に周波数1kHz、振幅5Vの交流電圧を1000時間印加して振動試験を行った。サンプル数は、50個ずつとした。
試験開始直後の、圧電セラミック素子の長手方向先端における振動量は、実施例1が100μm、比較例2が80μmであった。振動量は、レーザ測定機を用いて測定した。比較例2の振幅が小さいのは、焼結歪による圧電材料の特性劣化のためであると考えられる。1000時間の振動試験後、実施例1は安定して動作を行うことができたが、比較例2は全て動作しなくなった。比較例2のサンプル50個について検査したところ、約60%に圧電板とりん青銅板との接合における剥離が原因であり、そのうち20%は放電によるものだった。また、残りの30%には、はんだ部における断線、10%にはリード線の断線が、それぞれ動作しなくなった原因であった。
以上から、実施例1は、比較例2と比べ、省スペースに搭載可能であり、また長時間の安定した動作が可能であるといえる。また、実施例1の圧電セラミック素子は、圧電板の研削・研磨工程が不要であるので、製造が容易であり、安価な圧電セラミック素子を実現することができる。
実施例2では、上下の圧電活性層をそれぞれ5層の圧電層で構成し、それに伴い、隣接する圧電層間にも電極層を付加したことを除いて、実施例1と同様にして、50個の圧電セラミック素子を作製した。また、本実施例での圧電層の厚さは40μmとし、圧電セラミック素子全体としての厚さは実施例1とほぼ同じにした。
本実施例では、焼成後の積層体の焼結歪は、平均で10μmであった。実施例1と比較して焼結歪が5μm低減した。これは、圧電活性層の積層化による効果である。
作製した実施例2の圧電セラミック素子の基本共振周波数を測定したところ、実施例1と同様に1kHzであった。そこで、実施例2では、周波数1kHz、振幅1Vの交流電圧を1000時間印加して振動試験を行った。試験開始直後の、圧電セラミック素子の長手方向先端における振幅は100μmであった。すなわち、実施例1と比べて1/5の駆動電圧で、同じ振動量が得られた。また、実施例2も、実施例1と同様に、1000時間経過後も安定して動作した。
実施例3では、圧電セラミック素子に板状の弾性体を接合することによる、変位量および基本共振周波数の変化について評価した。
まず、実施例2で作製したのと同様に圧電セラミック素子を作製した。
次いで、その圧電セラミック素子の、電極パッドが設けられている面と反対側の面に、弾性体としてりん青銅板を接合した。りん青銅板は、幅5mm、厚さ0.1mmで、長さが40mm、45mm、50mmの3種類を用意した。用意したりん青銅板の一端から1mmあけた位置に、図8に示したのと同様に、圧電セラミック素子の長手方向とりん青銅板の長手方向を一致させて、エポキシ系接着剤を用いて圧電セラミック素子を接着した。このようにして圧電セラミック素子にりん青銅板を接合したサンプルを、りん青銅板の種類ごとにそれぞれ50個ずつ作製した。りん青銅板の他端は固定端とした。
圧電セラミック素子は焼結歪が小さいため、りん青銅板の接合に際しては圧電セラミック素子の機械加工は不要であった。また、接合後の検査においても、圧電セラミック素子の割れなどの欠陥は生じなかった。
作製したサンプルの基本共振周波数を測定したところ、りん青銅板の長さに応じて異なった測定結果が得られた。測定結果を表1に示す。
Figure 0004780297
表1より、圧電セラミック素子に接合するりん青銅板の長さが長くなるほど、基本共振周波数が低くなることが解る。
各サンプルに、周波数0.4kHz、振幅1Vの交流電圧を1000時間印加して振動試験を行った。試験開始直後の、圧電セラミック素子の長手方向先端における振動量を表2に示す。
Figure 0004780297
表2より、圧電セラミック素子に接合するりん青銅板の長さが長くなるほど、振動量が大きくなることが解る。また、実施例2の圧電セラミック素子と比較して2倍以上の振動量が得られている。さらに、振動試験中、りん青銅板に電流計を接続して観察したところ、電流の漏洩は観察されなかった、また、圧電セラミック素子は、1000時間経過後も安定して動作した。
実施例4では、圧電セラミック素子に固定子を設けた音響素子の、変位量および基本共振周波数の調整について評価した。以下、本実施例について、図14を参照して説明する。
まず、実施例2で作製したのと同様に圧電セラミック素子71を作製した。
次いで、その圧電セラミック素子71に、ABS樹脂からなる固定子72を、エポキシ系接着剤によって接着した。固定子72は、長さL1が3mm、幅W1が6mm、高さH1が2mmの外形寸法を有し、中央部には、圧電セラミック素子71が貫通する貫通孔が形成されている。圧電セラミック素子71は、この貫通孔に挿入されて支持される。本実施例では、固定子72の位置による特性の変化を評価するために、圧電セラミック素子71の長手方向中心からの固定子72の設置位置を、それぞれ0mm、9mm、14mmとした3つのサンプルを用意した。
各サンプルを、弾性体である擬似筐体73の内部の主面中心位置に1つずつ固定し、圧電セラミック素子71を携帯機器の内部に搭載した状態を擬似的に再現した。擬似筐体73は、長さL2が120mm、幅W2が80mm、高さH2が6mm、肉厚が3mmの、透明なポリカーボネート樹脂で構成した。擬似筐体73を透明材料で構成したのは、圧電セラミック素子71の振動量をレーザ測定機で測定できるようにするためである。サンプルの擬似筐体73への固定は、エポキシ系接着剤によって行った。
以上のようにして得られた各サンプルについて、周波数を変化させながら1Vの交流電圧を圧電セラミック素子71に印加して、圧電セラミック素子71の長手方向先端の基本共振周波数およびその基本共振周波数における振動量、固定子72の共振周波数およびその共振周波数における振動量を測定した。特に、圧電セラミック素子71の中心から9mm離した位置に固定子72を固定したサンプルについては、圧電セラミック素子71の、固定子72から一方の端までの距離と他方の端までの距離が異なるため、距離が大きい方を9mm(A)、距離が小さい方を9mm(B)として、両者について測定した。
また、それと併せて、各共振周波数における実効的音圧レベルを測定した。実効的音圧レベルは、擬似筐体73の圧電セラミック素子71が固定された面の中央において、その面から垂直方向に10cm離した位置にマイクロホンを設置して測定した。
これらの測定結果を表3に示す。
Figure 0004780297
以上の結果より、固定子73を圧電セラミック素子71の中心から9mm離した位置に固定したサンプルでは、1つの圧電セラミック素子71で2つの基本共振周波数が得られていることが解る。また、圧電セラミック素子71の先端での振動量は、固定子72のそれと比較して大きいため、固定子72が固定された位置は近似的に固定端と見なすことができ、その基本共振周波数は実施例2よりも低くなっている。従って、圧電セラミック素子71への固定子72の固定位置、および固定子72に固定する弾性体に応じて共振周波数が変化することが解る。
また、各サンプルとも振動伝達効率が高く、音響素子として十分に利用できる音圧レベルを有していた。特に、固定子72を圧電セラミック素子71の中心から離れた位置に固定したものは、2つの共振周波数を持つため、広帯域のスピーカとしての応用が期待できる。
さらに、擬似筐体73の挙動について観察したところ、圧電セラミック素子71の振動エネルギーは固定子72が固定された箇所から伝播し、擬似筐体73はその全面が固定子72と同様に振動することが観察された。この振動を利用すれば、携帯機器の筐体で無指向性のスピーカを作製することができる。
このことを確認するために、以下のような実験を行った。
図15に示すように、上述したサンプルのうち、固定子を圧電セラミック素子の中心から9mm離れた位置に固定したサンプルSを、擬似筐体73の内部の主面中心位置に固定した。そして、サンプルSに、その基本共振周波数の一つである350Hzの周波数で1Vの交流電圧を印加し、圧電セラミック素子を振動させながら、擬似筐体73をその中心軸回りに回転させて、実効的音圧レベルを測定した。測定用のマイクロホン74は、擬似筐体73の回転中心軸から20cm離れた位置に設置した。音圧レベルの測定結果を図16に示す。
この測定では、擬似筐体73のサンプルSが固定された面がマイクロホン74と相対向する状態を0°とした。図16より、無指向性音響放射の様子が明らかにわかる。この特性は、折り畳み型の携帯電話において、従来の電磁型スピーカを用いた場合は筐体に設けられた温孔が遮蔽されると音響放射が不能となってしまうが、本実験例の場合は筐体全面からの音響放射により、このような問題が解決できる。また、折り畳み時においても音響放射が行えるため、利用者の利便性が向上する。
なお、本実施例においても、圧電セラミック素子71は、実施例1〜3と同様に、1000時間の連続動作後も安定して動作した。

Claims (15)

  1. 電圧を印加することによって厚み方向に屈曲変位する圧電セラミック素子であって、
    一方が伸長し他方が収縮するようにそれぞれ電極層を介して電圧が印加される、それぞれ少なくとも1層の圧電層を有する2つの圧電活性層と、
    前記2つの圧電活性層の間に配された中間絶縁層と、
    前記2つの圧電活性層を挟んで前記圧電セラミック素子の厚さ方向両面にそれぞれ配された2つの表面絶縁層と、
    前記2つの表面絶縁層のいずれか一方にのみ設けられ、前記電極層に電気的に接続された電極パッドとを有し、
    前記圧電活性層、前記中間絶縁層および前記表面絶縁層は、ともに同じ材料から構成され、焼成により一体化されている圧電セラミック素子。
  2. 前記圧電活性層は、前記電極層で分離された複数の圧電層を有する請求項1に記載の圧電セラミック素子。
  3. 前記2つの圧電活性層の分極方向は、一方の圧電活性層と他方の圧電活性層との関係において最も近接した圧電層の分極方向が揃っている請求項に記載の圧電セラミック素子。
  4. 前記電極層のうち前記中間絶縁層を間において隣接する電極層が電気的に短絡され、かつ前記2つの圧電活性層が電気的に並列に接続されている請求項に記載の圧電セラミック素子。
  5. 前記電極パッドは、
    前記圧電層の分極処理時に使用される、前記圧電活性層のうち一方の圧電活性層電圧の電極層に電気的に接続された2つの第1の分極用パッド部、および他方の圧電活性層に電気的に接続された2つの第2の分極用パッド部と、
    前記分極処理後に前記第1の分極用パッドと前記第2の分極用パッドとを連結する連結部とを有する請求項に記載の圧電セラミック素子。
  6. 前記2つの表面絶縁層の少なくとも一方に弾性体が接合されている請求項1に記載の圧電セラミック素子。
  7. 前記2つの表面絶縁層のうち、前記電極パッドが設けられていない表面絶縁層に前記弾性体が接合されている請求項に記載の圧電セラミック素子。
  8. 前記圧電セラミック素子は、その一部が固定子を介して弾性体に固定され、前記圧電セラミック素子を駆動したときの、前記弾性体の前記固定子が固定された位置での変位量が前記圧電セラミック素子の最大変位量よりも小さ請求項1に記載の圧電セラミック素子。
  9. 前記固定子が前記圧電セラミック素子の長手方向中心とは異なる位置に取り付けられている請求項に記載の圧電セラミック素子。
  10. 前記固定子が、前記圧電セラミック素子の長手方向中心および端部と異なる位置に取り付けられている請求項8に記載の圧電セラミック素子。
  11. 前記弾性体は箱体であり、前記圧電セラミック素子が前記箱体の内側に取り付けられている請求項に記載の圧電セラミック素子。
  12. 請求項1に記載の圧電セラミック素子と、
    前記圧電セラミック素子に接合されて前記圧電セラミック素子の変位が伝達される部品とを有する携帯機器。
  13. 請求項1に記載の圧電セラミック素子と、
    前記圧電セラミック素子に取り付けられた固定子と、
    前記固定子に接合された、前記固定子の変位量が前記圧電セラミック素子の先端での変位量よりも小さくなるような弾性体とを有し、
    前記弾性体から音響放射を行う携帯機器。
  14. 前記弾性体は、前記携帯機器の筐体である請求項13に記載の携帯機器。
  15. 前記固定子は、前記圧電セラミック素子の中心位置とは異なる位置に取り付けられている請求項13に記載の携帯機器。
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