JP4777174B2 - ポジ型レジスト組成物およびレジストパターン形成方法 - Google Patents
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Description
近年、半導体素子や液晶表示素子の製造においては、リソグラフィー技術の進歩により急速に微細化が進んでいる。微細化の手段としては露光光の短波長化が一般的に行われており、具体的には、従来は、g線、i線に代表される紫外線が用いられていたが、現在では、KrFエキシマレーザー(248nm)が導入され、さらに、ArFエキシマレーザー(193nm)が導入され始めている。また、それより短波長のF2エキシマレーザー(157nm)や、EUV(極紫外線)、電子線、X線などについても検討が行われている。
化学増幅型ポジ型レジスト組成物の樹脂成分としては、ポリヒドロキシスチレン(PHS)系樹脂の水酸基を酸解離性溶解抑制基で保護した樹脂や、(メタ)アクリル酸から誘導される構成単位を主鎖に有する樹脂(アクリル系樹脂)のカルボキシ基を酸解離性溶解抑制基で保護した樹脂などが一般的に用いられている。酸解離性溶解抑制基としては、1−エトキシエチル基に代表される鎖状エーテル基やテトラヒドロピラニル基に代表される環状エーテル基等のいわゆるアセタール基;tert−ブチル基に代表される第3級アルキル基;tert−ブトキシカルボニル基に代表される第3級アルコキシカルボニル基等が用いられている(たとえば、特許文献1参照)。
なお、ここで「(メタ)アクリル酸」とは、α位に水素原子が結合したアクリル酸と、α位にメチル基が結合したメタクリル酸の一方あるいは両方を意味する。「(メタ)アクリル酸エステル」とは、α位に水素原子が結合したアクリル酸エステルと、α位にメチル基が結合したメタクリル酸エステルの一方あるいは両方を意味する。「(メタ)アクリレート」とは、α位に水素原子が結合したアクリレートと、α位にメチル基が結合したメタクリレートの一方あるいは両方を意味する。
また、たとえば電子線やEUVによるリソグラフィーでは数十nmの微細なパターン形成を目標としていることから、このようにレジストパターン寸法が小さくなるほど、良好な形状のレジストパターンを形成することが非常に重要となる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、解像性に優れ、良好な形状のレジストパターンを形成できるポジ型レジスト組成物およびレジストパターン形成方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明の第一の態様は、酸の作用によりアルカリ溶解性が増大する樹脂成分(A)と、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)とを含有するポジ型レジスト組成物であって、前記樹脂成分(A)は、ヒドロキシスチレンから誘導される構成単位(a1)と、下記一般式(a2−1)または(a2−2)で表される構成単位(a2)とを含み、かつ前記酸発生剤成分(B)は、下記一般式(b−5)で表されるアニオン部を有する酸発生剤(B1)を含むことを特徴とするポジ型レジスト組成物である。
「アルキル基」は、特に断りがない限り、直鎖、分岐鎖および環状の1価の飽和炭化水素基を包含するものとする。
「アルキレン基」は、特に断りがない限り、直鎖、分岐鎖および環状の2価の飽和炭化水素基を包含するものとする。
「低級アルキル基」は、炭素数1〜5のアルキル基を示すものとする。
「露光」は、放射線の照射全般を含む概念とする。
本発明のポジ型レジスト組成物は、酸の作用によりアルカリ溶解性が増大する樹脂成分(A)(以下、(A)成分という。)と、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)(以下、(B)成分という。)とを含有する。
かかるポジ型レジスト組成物は、露光前はアルカリ不溶性であり、露光により(B)成分から酸が発生すると、該酸が(A)成分に作用してそのアルカリ溶解性を増大させる。
そのため、レジストパターンの形成において、当該ポジ型レジスト組成物を用いて得られるレジスト膜を選択的に露光すると、露光部はアルカリ可溶性へ転じる一方で、未露光部はアルカリ不溶性のまま変化しないため、アルカリ現像を行うことにより、レジストパターンを形成することができる。
本発明において、(A)成分は、ヒドロキシスチレンから誘導される構成単位(a1)と、上記一般式(a2−1)または(a2−2)で表される構成単位(a2)とを含むものである。
構成単位(a1)は、ヒドロキシスチレンから誘導される構成単位である。(A)成分が構成単位(a1)と、後述する構成単位(a2)とを有することにより、本発明の効果(特に解像性)が向上する。また、(A)成分が構成単位(a1)を有することにより、ドライエッチング耐性が向上する。さらに、構成単位(a1)は、原料であるヒドロキシスチレンが容易に入手可能で低価格である等の利点も有する。
ここで、「ヒドロキシスチレン」とは、ヒドロキシスチレン、およびヒドロキシスチレンのα位の水素原子がハロゲン原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基等の他の置換基に置換されたもの、ならびにそれらの誘導体を含む概念とする。
「ヒドロキシスチレンから誘導される構成単位」とは、ヒドロキシスチレンのエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
構成単位(a1)の好適なものとしては、下記一般式(a−1)で表される構成単位が例示できる。
Rの低級アルキル基は、炭素数1〜5のアルキル基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などの直鎖状または分岐状のアルキル基が挙げられ、これらの中でもメチル基が好ましい。
Rのハロゲン化低級アルキル基は、前記低級アルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基であり、なかでもフッ素化低級アルキル基が好ましく、特に、水素原子の全部がフッ素原子で置換された基が好ましい。フッ素化低級アルキル基として、具体的には、トリフルオロメチル基、ヘキサフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ノナフルオロブチル基等が挙げられる。
Rとしては、水素原子または低級アルキル基が好ましく、水素原子またはメチル基が特に好ましい。
水酸基の結合位置は、フェニル基のo−位、m−位、p−位のいずれでもよい。pが1である場合は、容易に入手可能で低価格であることからp−位が好ましい。pが2または3の場合は、任意の置換位置を組み合わせることができる。
R6の低級アルキル基としては、Rの低級アルキル基と同様のものが挙げられる。
R6の置換位置は、qが1である場合はo−位、m−位、p−位のいずれでもよい。qが2の場合は、任意の置換位置を組み合わせることができる。
(A)成分中、構成単位(a1)の割合は、(A)成分を構成する全構成単位の合計に対し、50〜90モル%であることが好ましく、55〜85モル%がより好ましく、60〜80モル%がさらに好ましい。該範囲内であると、適度なアルカリ溶解性が得られるとともに、他の構成単位とのバランスが良好である。
構成単位(a2)は、前記一般式(a2−1)または(a2−2)で表される構成単位である。(A)成分が構成単位(a2)と、前記構成単位(a1)とを有することにより、本発明の効果(特に解像性)が向上する。
以下、一般式(a2−1)で表される構成単位を構成単位(a2−1)と称する。また、一般式(a2−2)で表される構成単位を構成単位(a2−2)と称する。
一般式(a2−1)における式−C(R1)(R2)−O−(CH2)n21−Y1で表される基、および一般式(a2−2)における式−C(R3)(R4)−O−(CH2)n22−Y2で表される基は、いわゆるアセタール型の酸解離性溶解抑制基である。
構成単位(a2−1)および構成単位(a2−2)は、該アセタール型の酸解離性溶解抑制基がカルボニルオキシ基(−C(O)−O−)末端の酸素原子に結合した構造を有する点で共通している。かかる構造においては、露光により(B)成分から酸が発生すると、該酸の作用により、当該酸解離性溶解抑制基と前記カルボニルオキシ基末端の酸素原子との間の結合が切断される。
ここで、本明細書および特許請求の範囲において、「酸解離性」とは、露光時に(B)成分から発生する酸の作用により(A)成分から解離可能であることを意味する。
「溶解抑制基」とは、解離前は(A)成分全体をアルカリ不溶とするアルカリ溶解抑制性を有するとともに、解離後は(A)成分全体をアルカリ可溶性へ変化させる基であることを意味する。
したがって、構成単位(a2)を含む(A)成分は、露光前はアルカリ不溶性であり、露光により前記(B)成分から発生した酸が作用すると、酸解離性溶解抑制基が解離し、これによって(A)成分全体のアルカリ溶解性が増大し、アルカリ不溶性からアルカリ可溶性に変化する。そのため、レジストパターンの形成において、ポジ型レジスト組成物を用いて得られるレジスト膜に対して選択的露光を行うと、露光部はアルカリ可溶性へ転じる一方で、未露光部はアルカリ不溶性のまま変化しないので、アルカリ現像することができる。
R1およびR2は、それぞれ独立して水素原子または低級アルキル基である。R1、R2の低級アルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等の直鎖状または分岐状のアルキル基が挙げられる。これらの中でも、工業上入手しやすい点で、メチル基、エチル基が好ましい。
R1およびR2は、本発明の効果に優れることから、少なくとも一方が水素原子であることが好ましく、両方が水素原子であることがより好ましい。
n21は0〜3の整数であり、0または1であることが好ましく、0であることが最も好ましい。
Y1の低級アルキル基としては、上記Rの低級アルキル基と同様のものが挙げられる。
Y1の脂肪族環式基としては、従来ArFエキシマレーザー用のレジスト用樹脂等において多数提案されている単環又は多環式の脂肪族環式基の中から適宜選択して用いることができる。
ここで、本特許請求の範囲及び明細書において、「脂肪族環式基」とは、芳香族性を持たない単環式基または多環式基であることを示す。
Y1における脂肪族環式基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。
置換基としては、炭素数1〜5の低級アルキル基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化低級アルキル基、親水性基等が挙げられる。親水性基としては、=O、−COOR’(R’はアルキル基)、アルコール性水酸基、−OR’(R’はアルキル基)、イミノ基、アミノ基等が挙げられ、入手が容易であることから、=Oまたはアルコール性水酸基が好ましい。
脂肪族環式基における置換基を除いた基本の環(基本環)の構造は、炭素および水素からなる環(炭化水素環)であってもよく、また、炭化水素環を構成する炭素原子の一部が硫黄原子、酸素原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換された複素環であってもよい。本発明の効果のためには、Y1における基本環が炭化水素環であることが好ましい。
炭化水素環としては、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用等のレジスト用樹脂において、多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができ、具体的には、モノシクロアルカンや、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカン等のポリシクロアルカンが例示できる。モノシクロアルカンとしては、シクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。また、ポリシクロアルカンとしては、アダマンタン、ノルボルナン、ノルボルネン、メチルノルボルナン、エチルノルボルナン、メチルノルボルネン、エチルノルボルネン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。これらの中でも、シクロヘキサン、シクロペンタン、アダマンタン、ノルボルナン、ノルボルネン、メチルノルボルナン、エチルノルボルナン、メチルノルボルネン、エチルノルボルネン、テトラシクロドデカンが工業上好ましく、アダマンタンがさらに好ましい。
前記R,R3,R4,n22,Y2は、それぞれ一般式(a2−1)中のR,R1,R2,n21,Y1と同様のものが挙げられる。
R5は、アルキレン基または2価の脂肪族環式基である。
R5のアルキレン基としては、炭素数1〜4のアルキレン基が好ましい。
R5の脂肪族環式基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5の低級アルキル基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化低級アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
R5の脂肪族環式基の置換基を除いた基本の環の構造は、炭素および水素からなる基(炭化水素基)であることに限定はされないが、炭化水素基であることが好ましい。また、「炭化水素基」は飽和または不飽和のいずれでもよいが、通常は飽和であることが好ましい。R5の脂肪族環式基は、多環式基であることが好ましい。
R5における脂肪族環式基の具体例としては、たとえば、低級アルキル基、フッ素原子またはフッ素化低級アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカンや、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基や、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
Y2の脂肪族環式基としては、特に、下記一般式(y−1)で表される基が好ましい。
一般式(a2−2)で表される構成単位(a2−2)として、具体的には、たとえば下記式(a1−4−1)〜(a1−4−30)で表される構成単位が挙げられる。
(A)成分中、構成単位(a2)の割合は、(A)成分を構成する全構成単位の合計に対し、5〜50モル%が好ましく、10〜40モル%がより好ましく、15〜35モル%がさらに好ましい。該範囲の下限以上であると、ポジ型レジスト組成物とした際にパターンを得ることができ、上限以下であると、他の構成単位とのバランスが良好である。
(A)成分は、前記構成単位(a1)、(a2)のほかに、さらに、スチレンから誘導される構成単位(a4)を有していてもよい。
本発明において、構成単位(a4)は必須ではないが、これを含有させると、現像液に対する溶解性を調整することができる。また、ドライエッチング耐性が向上する。
ここで、「スチレン」とは、スチレンおよびスチレンのα位の水素原子がハロゲン原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基等の他の置換基に置換されたものも含む概念とする。「スチレンから誘導される構成単位」とは、スチレンのエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。スチレンは、フェニル基の水素原子が炭素数1〜5のアルキル基等の置換基で置換されていてもよい。
構成単位(a4)の好適なものとしては、下記一般式(a4−1)で表される構成単位が例示できる。
rは0〜3の整数であり、0または1であることが好ましく、工業上、0であることが特に好ましい。
rが1である場合、R7の置換位置は、フェニル基のo−位、m−位、p−位のいずれでもよく、さらに、rが2または3の場合には、任意の置換位置を組み合わせることができる。
(A)成分が構成単位(a4)を有する場合、(A)成分中の構成単位(a4)の割合は、(A)成分を構成する全構成単位の合計に対し、1〜20モル%が好ましく、3〜15モル%がより好ましく、5〜15モル%がさらに好ましい。該範囲の下限以上であると、構成単位(a4)を有することによる効果が高く、上限以下であると、他の構成単位とのバランスも良好である。
構成単位(a5)としては、上述の構成単位(a1)、(a2)、(a4)に分類されない他の構成単位であれば特に限定するものではなく、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト用樹脂に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。
(A)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
かかる(A)成分としては、特に下記一般式(A−11)に示される2種の構成単位を有する共重合体を含むものが好ましい。
n15は、0が特に好ましい。
また、(A)成分には、上記重合の際に、たとえばHS−CH2−CH2−CH2−C(CF3)2−OHのような連鎖移動剤を併用して用いることにより、末端に−C(CF3)2−OH基を導入してもよい。このように、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基が導入された共重合体は、LWR(ラインワイズラフネス:ラインパターンの線幅が不均一になる現象)の低減に有効である。また、現像欠陥の低減や、LER(ラインエッジラフネス:ライン側壁の不均一な凹凸)の低減に有効である。
また、分散度(Mw/Mn)は、特に限定するものではないが、1.0〜5.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましく、1.2〜2.5が最も好ましい。なお、Mnは数平均分子量を示す。
本発明において、(B)成分は、前記一般式(b−5)で表されるアニオン部を有する酸発生剤(B1)(以下、(B1)成分という。)を含むものである。
該(B1)成分を含むことにより、本発明の効果が向上する。特に、良好な形状のレジストパターンが得られやすくなる。
R7”の置換基としては、炭素数1〜5の低級アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
R7”において、炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。
また、脂肪族炭化水素基は、鎖状(直鎖、分岐鎖)であってもよく、環状であってもよい。
鎖状の炭化水素基としては、直鎖または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、該アルキル基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、炭素数が1〜8であることがより好ましく、3〜8であることがさらに好ましい。
直鎖または分岐鎖状のアルキル基の具体例としては、たとえばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等が挙げられる。これらの中でもメチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−オクチル基が好ましく、n−オクチル基が特に好ましい。
一般式(b−6)で表されるアニオン部(スルホン酸イオン)の具体例としては、たとえばメタンスルホネートイオン、エタンスルホネートイオン、n−プロパンスルホネートイオン、n−ブタンスルホネートイオンまたはn−オクタンスルホネートイオン等が挙げられる。
脂肪族環式基としては、炭素数が3〜12であるものが好ましく、炭素数が4〜10であるものがより好ましい。
脂肪族環式基は、多環式基であってもよく、単環式基であってもよい。単環式基としては、炭素数3〜6のモノシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基が好ましく、たとえばシクロペンチル基、シクロヘキシル基等が例示できる。多環式基としては、炭素数7〜12が好ましく、具体的には、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基等が挙げられる。これらの中でも、多環式基が好ましく、工業上、アダマンチル基、ノルボルニル基、テトラシクロドデカニル基が好ましい。また、これらの脂肪族環式基は、上述したように、置換基を有していてもよく、有していなくてもよい。
脂肪族環式基が結合する鎖状の炭化水素基としては、直鎖または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数1〜5の低級アルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などが挙げられる。なかでも、直鎖状のアルキル基が特に好ましく、工業的にはメチル基またはエチル基が好ましい。
芳香族炭化水素基は、上述したように、置換基を有していてもよく、有していなくてもよい。
前記一般式(b−5)で表されるアニオン部において、R7”が芳香族炭化水素基である場合、たとえば下記一般式(b−7)または(b−8)で表されるアニオン部(スルホン酸イオン)が好適なものとして挙げられる。
R41およびR42の低級アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などが挙げられ、メチル基が特に好ましい。
R41およびR42のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基などが挙げられ、メトキシ基、エトキシ基が特に好ましい。
dおよびeは、それぞれ独立に0〜4の整数であり、好ましくは0〜2であり、最も好ましくは0である。
dおよび/またはeが2以上の整数であって、R41および/またはR42が複数存在する場合、複数のR41および/またはR42は互いに同じであってもよく異なっていてもよい。
R43の低級アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などが挙げられ、メチル基が特に好ましい。
R43のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基などが挙げられ、メトキシ基、エトキシ基が特に好ましい。
fは0〜3の整数であり、好ましくは1または2であり、最も好ましくは1である。
fが2以上の整数であって、R43が複数存在する場合、複数のR43は互いに同じであってもよく異なっていてもよい。
R1”〜R3”のアリール基としては、特に制限はなく、例えば、炭素数6〜20のアリール基であって、該アリール基は、その水素原子の一部または全部がアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等で置換されていてもよく、されていなくてもよい。アリール基としては、安価に合成可能なことから、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。具体的には、たとえばフェニル基、ナフチル基が挙げられる。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいハロゲン原子としては、フッ素原子であることが好ましい。
R1”〜R3”のアルキル基としては、特に制限はなく、例えば炭素数1〜10の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基等が挙げられる。解像性に優れる点から、炭素数1〜5であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ノニル基、デカニル基等が挙げられ、解像性に優れ、また安価に合成可能なことから好ましいものとして、メチル基を挙げることができる。
これらの中で、R1”〜R3”は、それぞれフェニル基またはナフチル基であることが最も好ましい。
R5”〜R6”のアリール基としては、R1”〜R3”のアリール基と同様のものが挙げられる。
R5”〜R6”のアルキル基としては、R1”〜R3”のアルキル基と同様のものが挙げられる。
これらの中で、R5”〜R6”は、すべてフェニル基であることが最も好ましい。
(B1)成分は、1種または2種以上混合して用いることができる。
本発明のポジ型レジスト組成物において、(B)成分全体における(B1)成分の含有量は、40質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが特に好ましく、100質量%であってもよい。最も好ましくは100質量%である。該範囲の下限値以上であることにより、本発明の効果が向上する。特に、良好な形状のレジストパターンが得られやすくなる。
また、本発明のポジ型レジスト組成物において、(B1)成分の含有量は、前記(A)成分の100質量部に対し、1〜30質量部であることが好ましく、2〜15質量部であることが特に好ましく、5〜15質量部であることが最も好ましい。該範囲の下限値以上であることにより、本発明の効果が向上する。特に、良好な形状のレジストパターンが得られやすくなる。一方、上限値以下であることにより、保存安定性がより良好なものとなる。
(B2)成分としては、前記(B1)成分以外であれば特に限定されず、これまで化学増幅型レジスト用の酸発生剤として提案されているものを使用することができる。
そのような(B2)成分としては、これまで、フッ素原子を含有するヨードニウム塩またはフッ素原子を含有するスルホニウム塩などのオニウム塩系酸発生剤;オキシムスルホネート系酸発生剤、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類などのジアゾメタン系酸発生剤、ニトロベンジルスルホネート系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤など多種のものが知られている。
フッ素化アルキル基は、直鎖、分岐鎖若しくは環状のフッ素化アルキル基の水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された基である。
フッ素化アルキル基において、直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。
フッ素化アルキル基において、環状のアルキル基としては、炭素数4〜12であることが好ましく、炭素数5〜10であることがさらに好ましく、炭素数6〜10であることが最も好ましい。
フッ素化アルキル基のフッ素化率(アルキル基中の全水素原子の個数に対する置換したフッ素原子の個数の割合)は、10〜100%が好ましく、50〜100%がより好ましく、水素原子がすべてフッ素原子で置換されたものであることが特に好ましい。フッ素化率が10%以上であると、当該(B2)成分から発生する酸の強度が強くなるので好ましい。
R51としては、直鎖状のフッ素化アルキル基が最も好ましい。
R52において、ハロゲン原子としては、フッ素原子、臭素原子、塩素原子、ヨウ素原子などが挙げられ、フッ素原子が好ましい。
R52において、アルキル基は、直鎖または分岐鎖状であり、その炭素数は、好ましくは1〜5であり、特に好ましくは1〜4であり、さらに好ましくは1〜3である。
R52において、ハロゲン化アルキル基は、アルキル基中の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換された基である。ここでのアルキル基は、前記R52における「アルキル基」と同様のものが挙げられる。
置換するハロゲン原子としては、上記「ハロゲン原子」について説明したものと同様のものが挙げられる。ハロゲン化アルキル基において、水素原子の全個数の50〜100%がハロゲン原子で置換されていることが望ましく、全て置換されていることがより好ましい。
R52において、アルコキシ基としては、直鎖状または分岐鎖状であり、その炭素数は、好ましくは1〜5であり、特に好ましくは1〜4であり、さらに好ましくは1〜3である。
R52としては、これらの中でも水素原子が好ましい。
置換基としては、水酸基、低級アルキル基(直鎖または分岐鎖状であり、その好ましい炭素数は5以下であり、特にメチル基が好ましい。)などを挙げることができる。
R53のアリール基としては、置換基を有しないものがより好ましい。
u”は1〜3の整数であり、2または3であることが好ましく、特に3であることが望ましい。
式(b−2)中、R5”〜R6”は、上述の前記式(b’−2)で例示したR5”〜R6”と同様である。
前記フッ素化アルキル基としては、前記R51の直鎖、分岐鎖または環状のフッ素化アルキル基と同様のものが挙げられる。
R4”としては、直鎖または環状のフッ素化アルキル基であることが好ましく、直鎖のフッ素化アルキル基であることがより好ましく、炭素数1〜4の直鎖のフッ素化アルキル基であることが最も好ましい。
Y”、Z”は、それぞれ独立に、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状または分岐状のアルキル基であり、該アルキル基の炭素数は1〜10であり、好ましくは炭素数1〜7、より好ましくは炭素数1〜3である。
X”のアルキレン基の炭素数またはY”、Z”のアルキル基の炭素数は、上記炭素数の範囲内において、レジスト溶媒への溶解性も良好である等の理由により、小さいほど好ましい。
また、X”のアルキレン基またはY”、Z”のアルキル基において、フッ素原子で置換されている水素原子の数が多いほど、酸の強度が強くなり、また200nm以下の高エネルギー光や電子線に対する透明性が向上するので好ましい。該アルキレン基またはアルキル基中のフッ素原子の割合、すなわちフッ素化率は、好ましくは70〜100%、さらに好ましくは90〜100%であり、最も好ましくは、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキレン基またはパーフルオロアルキル基である。
R31の有機基としては、直鎖、分岐または環状のアルキル基またはアリール基が好ましい。これらのアルキル基、アリール基は置換基を有していても良い。該置換基としては、特に制限はなく、たとえばフッ素原子、炭素数1〜6の直鎖、分岐または環状のアルキル基等が挙げられる。ここで、「置換基を有する」とは、アルキル基またはアリール基の水素原子の一部または全部が置換基で置換されていることを意味する。
アルキル基としては、炭素数1〜20が好ましく、炭素数1〜10がより好ましく、炭素数1〜8がさらに好ましく、炭素数1〜6が特に好ましく、炭素数1〜4が最も好ましい。アルキル基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアルキル基(以下、ハロゲン化アルキル基ということがある)が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味し、完全にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味する。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。すなわち、ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
アリール基は、炭素数4〜20が好ましく、炭素数4〜10がより好ましく、炭素数6〜10が最も好ましい。アリール基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアリール基が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味し、完全にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味する。
R31としては、特に、置換基を有さない炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数1〜4のフッ素化アルキル基が好ましい。
R32としては、特に、シアノ基、置換基を有さない炭素数1〜8のアルキル基、または炭素数1〜8のフッ素化アルキル基が好ましい。
R33としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましい。
R33におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは90%以上フッ素化されていることが好ましい。
R34のアリール基は、炭素数1〜10のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基等の置換基を有していても良い。該置換基におけるアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜8であることが好ましく、炭素数1〜4がさらに好ましい。また、該ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
R35としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましく、部分的にフッ素化されたアルキル基が最も好ましい。
R35におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは90%以上フッ素化されていることが、発生する酸の強度が高まるため好ましい。最も好ましくは、水素原子が100%フッ素置換された完全フッ素化アルキル基である。
R37の2または3価の芳香族炭化水素基としては、上記R34のアリール基からさらに1または2個の水素原子を除いた基が挙げられる。
R38の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基としては、上記R35の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられる。
p”は好ましくは2である。
また、特開平9−208554号公報(段落[0012]〜[0014]の[化18]〜[化19])に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤、国際公開第04/074242号パンフレット(65〜85頁目のExample1〜40)に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤も好適に用いることができる。
また、好適なものとして以下のものを例示することができる。
また、特開平11−035551号公報、特開平11−035552号公報、特開平11−035573号公報に開示されているジアゾメタン系酸発生剤も好適に用いることができる。
また、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類としては、例えば、特開平11−322707号公報に開示されている、1,3−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,4−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ブタン、1,6−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカン、1,2−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)エタン、1,3−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,6−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカンなどを挙げることができる。
(B2)成分としては、上記の酸発生剤を1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のポジ型レジスト組成物は、レジストパターン形状、引き置き経時安定性などを向上させるために、さらに任意の成分として含窒素有機化合物(D)(以下、(D)成分という。)を含有することが好ましい。
この(D)成分は、既に多種多様なものが提案されているので、公知のものから任意に用いればよく、なかでも脂肪族アミン、特に第2級脂肪族アミンや第3級脂肪族アミンが好ましい。ここで、本特許請求の範囲及び明細書における「脂肪族」とは、芳香族に対する相対的な概念であって、芳香族性を持たない基、化合物等を意味するものと定義する。「脂肪族環式基」は、芳香性を持たない単環式基または多環式基であることを示す。脂肪族アミンとは、1つ以上の脂肪族基を有するアミンであり、該脂肪族基は炭素数が1〜12であることが好ましい。
脂肪族アミンとしては、アンモニアNH3の水素原子の少なくとも1つを、炭素数12以下のアルキル基またはヒドロキシアルキル基で置換したアミン(アルキルアミンまたはアルキルアルコールアミン)又は環式アミンが挙げられる。
アルキルアミンおよびアルキルアルコールアミンの具体例としては、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン等のモノアルキルアミン;ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のジアルキルアミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デカニルアミン、トリ−n−ドデシルアミン等のトリアルキルアミン;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジ−n−オクタノールアミン、トリ−n−オクタノールアミン等のアルキルアルコールアミンが挙げられる。これらの中でも、炭素数5〜10のトリアルキルアミンがさらに好ましく、トリ−n−オクチルアミンが最も好ましい。
環式アミンとしては、たとえば、ヘテロ原子として窒素原子を含む複素環化合物が挙げられる。該複素環化合物としては、単環式のもの(脂肪族単環式アミン)であっても多環式のもの(脂肪族多環式アミン)であってもよい。
脂肪族単環式アミンとして、具体的には、ピペリジン、ピペラジン等が挙げられる。
脂肪族多環式アミンとしては、炭素数が6〜10のものが好ましく、具体的には、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、ヘキサメチレンテトラミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられる。
これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明においては、なかでも(D)成分としてアルキルアミンが好ましく、特にトリ−n−オクチルアミンを用いることが好ましい。
(D)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常0.01〜5.0質量部の範囲で用いられる。
本発明のポジ型レジスト組成物には、感度劣化の防止や、レジストパターン形状、引き置き経時安定性等の向上の目的で、任意の成分として、有機カルボン酸、ならびにリンのオキソ酸およびその誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の化合物(E)(以下、(E)成分という。)を含有させることができる。
有機カルボン酸としては、たとえば、酢酸、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸などが好適である。
リンのオキソ酸およびその誘導体としては、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸等が挙げられ、これらのなかでも特にホスホン酸が好ましい。
リンのオキソ酸の誘導体としては、たとえば、上記オキソ酸の水素原子を炭化水素基で置換したエステル等が挙げられ、前記炭化水素基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基等が挙げられる。
リン酸の誘導体としては、リン酸ジ−n−ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステル等のリン酸エステルなどが挙げられる。
ホスホン酸の誘導体としては、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸−ジ−n−ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステル等のホスホン酸エステルなどが挙げられる。
ホスフィン酸の誘導体としては、フェニルホスフィン酸等のホスフィン酸エステルなどが挙げられる。
(E)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(E)成分としては、有機カルボン酸が好ましく、特にサリチル酸が好ましい。
(E)成分は、(A)成分100質量部当り0.01〜5.0質量部の割合で用いられる。
(S)成分としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、従来、化学増幅型レジストの溶剤として公知のものの中から任意のものを1種または2種以上適宜選択して用いることができる。
たとえば、γ−ブチロラクトン等のラクトン類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチル−n−アミルケトン、メチルイソアミルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどの多価アルコール類;エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、またはジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル結合を有する化合物、前記多価アルコール類または前記エステル結合を有する化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等のモノアルキルエーテルまたはモノフェニルエーテル等のエーテル結合を有する化合物等の多価アルコール類の誘導体[これらの中では、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)が好ましい];ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、アミルベンゼン、イソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、シメン、メシチレン等の芳香族系有機溶剤等を挙げることができる。
これらの有機溶剤は単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
なかでも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、ELが好ましい。
また、PGMEAと極性溶剤とを混合した混合溶媒は好ましい。その配合比(質量比)は、PGMEAと極性溶剤との相溶性等を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2の範囲内とすることが好ましい。
より具体的には、極性溶剤としてELを配合する場合は、PGMEA:ELの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2である。また、極性溶剤としてPGMEを配合する場合は、PGMEA:PGMEの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2、さらに好ましくは3:7〜7:3である。
また、(S)成分として、その他には、PGMEA及びELの中から選ばれる少なくとも1種とγ−ブチロラクトンとの混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前者と後者の質量比が好ましくは70:30〜95:5とされる。
(S)成分の使用量は特に限定しないが、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定されるものであるが、一般的にはレジスト組成物の固形分濃度が2〜20質量%、好ましくは5〜15質量%の範囲内となる様に用いられる。
本発明のレジストパターン形成方法は、前記本発明のポジ型レジスト組成物を用いて基板上にレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、および前記レジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程を含む方法である。
本発明のレジストパターン形成方法は、たとえば以下の様にして行うことができる。
すなわち、まずシリコンウェーハのような基板上に、上記ポジ型レジスト組成物をスピンナーなどで塗布し、80〜150℃の温度条件下、プレベーク(ポストアプライベーク(PAB))を40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施し、これに、露光装置などにより、EUV、KrFエキシマレーザー光等を所望のマスクパターンを介して照射するか、またはマスクパターンを介さずに電子線を直接照射(描画)してレジスト膜を選択的に露光する。そして、80〜150℃の温度条件下、PEB(露光後加熱)を40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施す。次いで、これをアルカリ現像液、たとえば0.1〜10質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いて現像処理する。このようにして、レジストパターンを得ることができる。
なお、基板とレジスト組成物の塗布層との間には、有機系または無機系の反射防止膜を設けることもできる。
また、露光に用いる波長は、特に限定されず、ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、F2エキシマレーザー、EUV(極紫外線)、VUV(真空紫外線)、EB(電子線)、X線、軟X線等の放射線を用いて行うことができる。本発明にかかるポジ型レジスト組成物は、KrFエキシマレーザー、EUVまたはEBを用いたリソグラフィーに対して有効であり、EUVに対して特に有効である。
本発明のポジ型レジスト組成物は、アルカリ可溶性の構成単位である構成単位(a1)と、アクリル酸の側鎖部分にアセタール型の酸解離性溶解抑制基を有する構成単位(a2)とを含む(A)成分を含有する。特に、前記構成単位(a2)の有するアセタール型の酸解離性溶解抑制基は、脱保護反応における活性化エネルギーが低く、解離しやすい。そのため、該(A)成分は、露光時に、露光部に存在する酸解離性溶解抑制基の解離する割合(脱保護率)が高く、露光部のアルカリ溶解性が大幅に増大する。
また、本発明のポジ型レジスト組成物は、炭化水素基を含み、比較的疎水性が高いアニオン部を有する(B1)成分(前記一般式(b−5)で表されるアニオン部を有する酸発生剤)を含有する。該(B1)成分は、ノナフルオロブタンスルホネート等の従来のアニオン部に比べ、レジスト膜中に均一に分布しやすいため、露光により発生する酸がレジスト膜中により均一に拡散できると推測される。
したがって、(A)成分と(B1)成分とを含有する本発明のポジ型レジスト組成物によれば、未露光部と露光部とのアルカリ溶解性の差(溶解コントラスト)が、従来のポジ型レジスト組成物を用いた場合と比べて大幅に大きくなり、また、パターン表面の荒れ(ラフネス)等が低減されやすくなることにより、解像性に優れ、良好な形状のレジストパターンを形成できると推測される。
また、本発明のポジ型レジスト組成物は、(B)成分として炭化水素基を含むアニオン部を有する(B1)成分を含有するため、従来に比べて安全性が高められたものである。
下記実施例1〜2および比較例1においては、以下のモノマー(1)〜(2)を公知の滴下重合法により共重合することによって合成された樹脂(A)−1を用いた。
すなわち、窒素導入口、攪拌機、コンデンサーおよび温度計を備えたフラスコに、窒素雰囲気下で、PGMEAを入れ、攪拌しながら湯浴の温度を80℃に上げた。次に、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)と、モノマー(1)/モノマー(2)=3/1(モル比)とを仕込んだ単量体PGMEA溶液を、滴下装置を用い、一定速度で6時間かけてフラスコ中へ滴下し、その後、80℃で1時間保持した。その後、反応溶液を室温に戻した。次いで、得られた反応溶液を、約30倍量のメタノール中に攪拌しながら滴下し、無色の析出物の沈殿を得た。得られた沈殿を濾別し、該沈殿を、重合に使用した単量体に対して約30倍量のメタノール中で洗浄した。そして、この沈殿を濾別し、THFに溶解したのち、該溶解液に80質量%ヒドラジン水溶液を滴下し、25℃で1時間撹拌した。反応終了後、大量の水中に滴下して析出物を得た。該析出物を濾別、洗浄、及び減圧下、50℃で約40時間乾燥することにより、樹脂(A)−1を得た。
表1に示す各成分を混合、溶解してポジ型レジスト組成物を調製した。
(B)−1:下記式(B1−2)で表される化合物。
(B)−2:下記式(B1−1)で表される化合物。
(B)−3:下記式(B)−3で表される化合物。
(E)−1:サリチル酸。
(S)−1:PGMEA/PGME=6/4(質量比)の混合溶剤。
得られたレジスト膜に対し、電子線描画機(日立製、商品名:HL−800D、加速電圧70kV)にて描画を行い、表2に示すPEB温度で90秒間の露光後加熱処理を行い、23℃で2.38質量%TMAH水溶液にて60秒間の現像処理を行い、純水にて15秒間のリンス、振り切り乾燥を行って、ラインアンドスペース(1:1)のレジストパターン(以下、L/Sパターンという。)を形成した。
このとき、ライン幅100nm、ピッチ200nmのL/Sパターンが形成される最適露光量Eop(μC/cm2)を求め、該Eopにおける限界解像度(nm)を求めた。その結果を表2に示す。
Claims (4)
- 酸の作用によりアルカリ溶解性が増大する樹脂成分(A)と、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)とを含有するポジ型レジスト組成物であって、
前記樹脂成分(A)は、ヒドロキシスチレンから誘導される構成単位(a1)と、下記一般式(a2−1)または(a2−2)で表される構成単位(a2)とを含み、かつ
前記酸発生剤成分(B)は、下記一般式(b−5)で表されるアニオン部を有する酸発生剤(B1)を含むことを特徴とするポジ型レジスト組成物。
- 前記酸発生剤(B1)の含有量は、前記樹脂成分(A)の100質量部に対し、1〜30質量部の範囲内である請求項1記載のポジ型レジスト組成物。
- さらに含窒素有機化合物(D)を含有する請求項1または2記載のポジ型レジスト組成物。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載のポジ型レジスト組成物を用いて基板上にレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、および前記レジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程を含むレジストパターン形成方法。
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