JP4191145B2 - ポジ型レジスト組成物およびレジストパターン形成方法 - Google Patents

ポジ型レジスト組成物およびレジストパターン形成方法 Download PDF

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Description

本発明は、ポジ型レジスト組成物およびレジストパターン形成方法に関する。
近年、半導体素子や液晶表示素子の製造においては、リソグラフィー技術の進歩により急速に微細化が進んでいる。微細化の手法としては一般に露光光源の短波長化が行われている。具体的には、従来は、g線、i線に代表される紫外線が用いられていたが、現在では、KrFエキシマレーザー(248nm)が量産の中心となり、さらにArFエキシマレーザー(193nm)が量産で導入され始めている。
このような短波長の光源用のレジストには、微細な寸法のパターンを再現可能な高解像性と、このような短波長の光源に対する感度の高さが求められている。このような条件を満たすレジストの1つとして、ベース樹脂と、露光により酸を発生する酸発生剤(PAG)とを含有する化学増幅型レジストが知られており、化学増幅型レジストには、露光部のアルカリ可溶性が増大するポジ型と、露光部のアルカリ可溶性が低下するネガ型とがある。
化学増幅型ポジ型レジスト組成物に用いるPAGとしてオニウム塩があり、これまで多種多様のものが提案されている。例えば下記特許文献1にはトリフェニルスルホニウム系のオニウム塩からなるPAGが記載されており、中でも、トリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート(TPS−PFBS)等の、フッ素化アルキルスルホン酸イオンをアニオン(酸)とするオニウム塩系酸発生剤が最も一般的に用いられている。
特開2003−167347号公報
ところで、微細な寸法のレジストパターンを実現するうえで、焦点深度幅(DOF)を向上させることは重要であるが、高解像性を達成しつつDOFを向上させることは容易ではない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、高解像性が得られるとともにDOFを向上させることができるポジ型レジスト組成物およびレジストパターンの形成方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
本発明のポジ型レジスト組成物は、酸の作用によりアルカリ可溶性が増大する樹脂成分(A)と、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)とを含むポジ型レジスト組成物であって、
前記(A)成分が、下記一般式(a1−01)で表される構成単位および下記一般式(a1−02)で表される構成単位
Figure 0004191145
[上記式中、Yは脂肪族環式基を表し;nは0または1〜3の整数を表し;mは0または1を表し;Rはそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜5の低級アルキル基、フッ素原子または炭素数1〜5のフッ素化低級アルキル基を表し;R、Rはそれぞれ素原子表す。]
からなる群から選択される少なくとも1種の構成単位(a1)と、ラクトン含有単環または多環式基を有するアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a2)と、前記構成単位(a1)と構成単位(a2)以外の構成単位であって、アクリル酸エステルのエステル部に極性基を含まない脂肪族環式基含有非酸解離性溶解抑制基が結合した構成単位(a3)とを有し、かつ
前記(B)成分が、下記一般式(b−1)
Figure 0004191145
[式中、R11はアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、または水酸基を表し、R12、R13はそれぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基表し、n’は0または1〜3の整数を表す。]
で表されるカチオン部を有するオニウム塩系酸発生剤(B1)を含有することを特徴とする。
また、本発明は、本発明のポジ型レジスト組成物を用いて基板上にレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、及び前記レジスト膜を現像しレジストパターンを形成する工程を含むレジストパターン形成方法を提供する。
本発明によれば、高解像性が得られるとともにDOFを向上させることができるポジ型レジスト組成物およびレジストパターンの形成方法が提供される。
本特許請求の範囲及び明細書における「構成単位」とは、樹脂を構成するモノマー単位(単量体単位)を意味する。
本特許請求の範囲及び明細書における「アクリル酸エステルから誘導される構成単位」とは、アクリル酸エステルのエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「アクリル酸エステルから誘導される構成単位」は、α位の炭素原子に結合する水素原子がハロゲン原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基等の他の置換基に置換された構成単位や、α位の炭素原子に水素原子が結合しているアクリル酸エステルから誘導される構成単位等も含む概念とする。
なお、「アクリル酸エステルから誘導される構成単位」において、「α位(α位の炭素原子)」という場合は、特に断りがない限り、カルボキシ基が結合している炭素原子のことである。
また、「アルキル基」は、特に断りがない限り、直鎖状、環状または分岐鎖状のアルキル基を包含するものとする。
<ポジ型レジスト組成物>
本発明のポジ型レジスト組成物は、前記樹脂成分(A)(以下、(A)成分ということがある)を含有するとともに、放射線の照射(露光)により酸を発生する酸発生剤(以下、(B)成分という)を含有することを特徴とする。
(A)成分は、酸解離性溶解抑制基を有する構成単位(a1)を有するため、露光前はアルカリ不溶性であり、露光により前記(B)成分から発生した酸が作用すると、酸解離性溶解抑制基が解離し、これによって(A)成分全体がアルカリ不溶性からアルカリ可溶性が増大する。したがって、レジストパターンの形成において、レジストに対して選択的露光を行うと、または露光に加えて露光後加熱(PEB)を行うと、露光部はアルカリ可溶性へ転じる一方で、未露光部はアルカリ不溶性のまま変化しないので、アルカリ現像することによりポジ型のレジストパターンが形成できる。
<(A)成分>
[構成単位(a1)]
(A)成分は、前記一般式(a1−01)で表される構成単位および前記一般式(a1−02)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種の構成単位(a1)を有する。
構成単位(a1)は、アクリル酸エステルから誘導される構成単位であって、カルボキシ基に由来するカルボニルオキシ基(−C(O)−O―)の末端の酸素原子に、アセタール基(アルコキシアルキル基)タイプの酸解離性溶解抑制基[−C(R)−O−(CH−Y]が結合している構造を有する。したがって、酸が作用すると該酸解離性溶解抑制基と前記末端の酸素原子との間で結合が切断される。
一般式(a1−01)および(a1−02)において、Rは水素原子、炭素数1〜5の低級アルキル基、フッ素原子または炭素数1〜5のフッ素化低級アルキル基である。
フッ素化低級アルキル基は、アルキル基の一部または全部の水素原子がフッ素原子で置換されたものであって、いずれでもよいが、全部フッ素化されていることが好ましい。
Rとしての低級アルキル基の好ましい例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などが挙げられる。工業的にはメチル基が好ましい。
炭素数1〜5のフッ素化低級アルキル基としては、トリフルオロメチル基、ヘキサフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ノナフルオロブチル基等が好ましく、トリフルオロメチル基であることがより好ましい。
一般式(a1−01)および(a1−02)において、R、Rは、好ましくは少なくとも1つが水素原子であり、より好ましくは共に水素原子である。
nは好ましくは0または1であり、より好ましくは0である。
前記Yは、脂肪族環式基であり、その環骨格上に置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。
ここで、本特許請求の範囲及び明細書における「脂肪族」とは、芳香族に対する相対的な概念であって、芳香族性を持たない基、化合物等を意味するものと定義する。「脂肪族環式基」は、芳香性を持たない単環式基または多環式基であることを示す。
本発明における「脂肪族環式基」の置換基を除いた基本の環の構造は、炭素および水素からなる基(炭化水素基)であることに限定はされないが、炭化水素基であることが好ましい。また、「炭化水素基」は飽和または不飽和のいずれでもよいが、通常は飽和であることが好ましい。好ましくは多環式基である。
このような脂肪族環式基の具体例としては、例えば、モノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。
具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
Yは、特に、アダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基(置換基を有していてもよい)が好ましい。
Yとしての脂肪族環式基がその環骨格上に置換基を有する場合、該置換基は極性基であることが、特にパターン倒れを抑制するうえで好ましい。該極性基の具体例としては水酸基、カルボキシ基、シアノ基、酸素原子(=O)等が挙げられる。中でも酸素原子(=O)が好ましい。
以下に、上記一般式(a1−01)で表される構成単位の具体例を示す。
Figure 0004191145
Figure 0004191145
以下に、上記一般式(a1−02)で表される構成単位の具体例を示す。
Figure 0004191145
Figure 0004191145
Figure 0004191145
構成単位(a1)としては、前記一般式(a1−01)で表される構成単位および前記一般式(a1−02)で表される構成単位からなる群から選択されるいずれか1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
構成単位(a1)に、前記一般式(a1−01)で表される構成単位が含まれていることが解像性の点から好ましい。また(a1)中における前記一般式(a1−01)で表される構成単位の割合が、50モル%以上含まれていることが好ましく、80モル%以上含まれていることがさらに好ましく、100モル%であることが最も好ましい。
(A)成分中における構成単位(a1)の割合は、(A)成分中の全構成単位に対し、10〜80モル%が好ましく、20〜70モル%がより好ましく、25〜50モル%がさらに好ましい。下限値以上とすることによって、レジスト組成物とした際に良好なレジストパターンを得ることができ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
[構成単位(a2)]
(A)成分は、前記構成単位(a1)の他に、ラクトン含有単環または多環式基を有するアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a2)を有することが好ましい。
構成単位(a2)のラクトン含有単環または多環式基は、(A)成分をレジスト膜の形成に用いた場合に、レジスト膜の基板への密着性を高めたり、現像液との親和性を高めたりするうえで有効なものである。
ここで、ラクトン含有単環または多環式基とは、−O−C(O)−構造を含むひとつの環(ラクトン環)を含有する環式基を示す。ラクトン環をひとつの目の環として数え、ラクトン環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。
構成単位(a2)としては、このようなラクトンの構造(−O−C(O)−)と環基とを共に持てば、特に限定されることなく任意のものが使用可能である。
具体的には、ラクトン含有単環式基としては、γ−ブチロラクトンから水素原子1つを除いた基が挙げられる。また、ラクトン含有多環式基としては、ラクトン環を有するビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンから水素原子一つを除いた基が挙げられる。特に、以下のような構造式を有するラクトン含有トリシクロアルカンから水素原子を1つを除いた基が、工業上入手し易いなどの点で有利である。
Figure 0004191145
構成単位(a2)の例として、より具体的には、下記一般式(a2−1)〜(a2−5)で表される構成単位が挙げられる。
Figure 0004191145
[式中、Rは前記と同じであり、R’は水素原子、低級アルキル基、または炭素数1〜5のアルコキシ基であり、mは0または1である。]
一般式(a2−1)〜(a2−5)におけるR’の低級アルキル基としては、前記構成単位(a1)におけるRの低級アルキル基と同じである。
一般式(a2−1)〜(a2−5)中、R’は、工業上入手が容易であること等を考慮すると、水素原子が好ましい。
前記一般式(a2−1)〜(a2−5)の具体的な構成単位を例示する。
Figure 0004191145
Figure 0004191145
Figure 0004191145
Figure 0004191145
Figure 0004191145
構成単位(a2)として、一般式(a2−1)〜(a2−5)から選択される1種以上を用いることが好ましく、一般式(a2−1)〜(a2−3)から選択される1種以上を用いることがより好ましい。中でも、化学式(a2−1−1)、(a2−1−2)、(a2−2−1)、(a2−2−2)、(a2−3−1)、(a2−3−2)、(a2−3−9)及び(a2−3−10)から選択される1種以上を用いることが好ましい。
(A)成分において、構成単位(a2)としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(A)成分に構成単位(a2)を含有させる場合、構成単位(a2)の含有割合は、(A)成分中の全構成単位の合計に対して、10〜80モル%が好ましく、10〜50モル%がより好ましく、25〜50モル%がさらに好ましい。下限値以上とすることにより構成単位(a2)を含有させることによる効果が充分に得られ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
本発明において、(A)成分は、構成単位(a1)および(a2)を有する共重合体であることが、本発明の効果に優れることから好ましい。
[構成単位(a3)]
構成単位(a3)は、前記構成単位(a1)と前記構成単位(a2)以外の構成単位であって、脂肪族環式基含有非酸解離性溶解抑制基を含み、かつ極性基を含まない、アクリル酸エステルから誘導される構成単位である。
脂肪族環式基含有非酸解離性溶解抑制基とは、芳香族性を有しない環式基(脂肪族環式基)を有する基であって、(B)成分から発生した酸によって解離することがない基(非酸解離性溶解抑制基)である。構成単位(a3)としては、例えばアクリル酸エステルのエステル部に当該脂肪族環式基含有非酸解離性溶解抑制基が結合した単位等が挙げられる。
すなわち、構成単位(a3)は、露光前の(A)成分全体のアルカリ溶解性を低減させるとともに、露光後に、(B)成分から発生する酸の作用により解離することなく、前記構成単位(a1)の酸解離性溶解抑制基の解離により(A)成分全体がアルカリ可溶性へと変化した際の(A)成分全体のアルカリ溶解性を、アルカリ不溶とならない範囲で低減する溶解抑制性を有する基を含む構成単位である。したがって、該構成単位(a3)は、露光前後の(A)成分全体の疎水性を高めてアルカリ溶解性を抑制する機能を有する。具体的には、PEB(露光後加熱処理)後の純水リンスに対する接触角を向上(疎水性向上)させることができる構成単位である。
また、構成単位(a3)は、極性基を含まないことが必要である。ここでの極性基とは、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、「アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基」等である。
また、構成単位(a3)は酸解離性溶解抑制基を含まないことが好ましい。
前記構成単位(a3)は、好ましくは下記一般式(a3)
Figure 0004191145
[式中、Rは前記と同じである。Zは、炭素数1〜10のアルキル基を1〜3個有していてもよい、基本環の炭素数が4〜15の脂肪族環式基を表す。]で示される構成単位である。
Zは、基本環(置換基を除いた環構造)の炭素数が4〜15の脂肪族環式基(単環でも多環でもよい)であって、当該脂肪族環式基は、炭素数1〜10のアルキル基を1〜3個有していてもよい。
Zがアルキル基を有する場合、該アルキル基は炭素数1〜10のアルキル基であり、特に直鎖又は分岐状の炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。Zにおいて、当該アルキル基の数は好ましくは0又は1であり、さらに好ましくは0である。
構成単位(a3)は、前記構成単位(a1)、構成単位(a2)とは重複しない。すなわち、構成単位(a1)における特定の酸解離性溶解抑制基、および構成単位(a2)におけるラクトン含有基といった基をいずれも保持しない。
構成単位(a3)において、脂肪族環式基の基本骨格を構成する環式基としては、ArFポジ型レジスト材料として従来から知られている単環又は多環式の脂肪族環式基が使用可能である。
前記単環の脂肪族環式基としては、シクロヘキサン、シクロペンタン等のモノシクロアルカンから1個又は2個以上の水素原子を除いた基等が例示できる。
前記多環の脂肪族環式基としては、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカン等のポリシクロアルカンから1個または2個以上の水素原子を除いた基等が例示でき、具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個または2個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
これらの中でもシクロヘキシル基、シクロペンチル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基が工業上入手しやすい点から好ましい。
下記一般式(a3−1)〜(a3−5)は、構成単位(a3)として好ましい例である。
Figure 0004191145
[式中、Rは前記と同じである。]
これらの中でも、一般式(a3−1)で表される構成単位は、得られるレジストパターンの形状、例えば矩形性が特に良好であるため好ましい。また、パターン倒れ抑制の点から好ましい。
構成単位(a3)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(A)成分に構成単位(a3)を含有させる場合、構成単位(a3)の含有割合は、(A)成分の全構成単位の合計に対して、3〜50モル%が好ましく、5〜35モル%がより好ましく、15〜30モル%が最も好ましい。下限値以上とすることにより本発明の効果に優れ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
[構成単位(a4)]
(A)成分は、前記構成単位(a1)〜(a3)の他に、さらに極性基含有脂肪族炭化水素基を含有するアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a4)を有していてもよい。当該構成単位(a4)を有することにより、(A)成分の親水性が高まり、現像液との親和性が高まって、露光部でのアルカリ溶解性が向上し、解像性の向上に寄与する。
ここでの極性基としては、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、「アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基」等が挙げられ、特に水酸基が好ましい。
脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜10の直鎖状または分岐状の炭化水素基(好ましくはアルキレン基)や、多環式の脂肪族炭化水素基(多環式基)が挙げられる。該多環式基としては、例えばArFエキシマレーザー用レジスト組成物用の樹脂において、多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。
その中でも、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、またはアルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基を含有する脂肪族多環式基を含み、かつアクリル酸エステルから誘導される構成単位がより好ましい。該多環式基としては、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。この様な多環式基は、ArFエキシマレーザー用レジスト組成物用のポリマー(樹脂成分)において、多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。これらの多環式基の中でも、アダマンタンから2個以上の水素原子を除いた基、ノルボルナンから2個以上の水素原子を除いた基、テトラシクロドデカンから2個以上の水素原子を除いた基が工業上好ましい。
構成単位(a4)としては、極性基含有脂肪族炭化水素基における炭化水素基が炭素数1〜10の直鎖状または分岐状の炭化水素基のときは、アクリル酸のヒドロキシエチルエステルから誘導される構成単位が好ましく、該炭化水素基が多環式基のときは、下記式(a4−1)で表される構成単位、(a4−2)で表される構成単位、(a4−3)で表される構成単位が好ましいものとして挙げられる。
Figure 0004191145
(式中、Rは前記に同じであり、jは1〜3の整数であり、kは1〜3の整数であり、t’は1〜3の整数であり、lは1〜5の整数であり、sは1〜3の整数である。)
式(a4−1)中、jは1又は2であることが好ましく、1であることがさらに好ましい。jが2の場合は、水酸基がアダマンチル基の3位と5位に結合しているものが好ましい。jが1の場合は、水酸基がアダマンチル基の3位に結合しているものが好ましい。
jは1であることが好ましく、特に水酸基がアダマンチル基の3位に結合しているものが好ましい。
式(a4−2)中、kは1であることが好ましい。シアノ基はノルボルニル基の5位または6位に結合していることが好ましい。
式(a4−3)中、t’は1であることが好ましい。lは1であることが好ましい。sは1であることが好ましい。これらはアクリル酸のカルボキシ基の末端に2−ノルボルニル基または3−ノルボルニル基が結合していることが好ましい。フッ素化アルキルアルコールはノルボルニル基の5又は6位に結合していることが好ましい。
構成単位(a4)としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(A)成分が構成単位(a4)を有する場合、(A)成分中、構成単位(a4)の含有割合は、当該(A)成分中の全構成単位に対し、5〜50モル%であることが好ましく、さらに好ましくは15〜45モル%、最も好ましくは15〜35モル%がより好ましい。
[他の構成単位]
また、本発明のポジ型フォトレジスト組成物においては、(A)成分として、本発明の効果を損なわない範囲で、前記構成単位(a1)〜(a4)以外の従来化学増幅型のポジ型レジストとして公知のアクリル酸誘導体、メタクリル酸誘導体、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸などのアルカリ可溶性とするためのエチレン性二重結合を有するカルボン酸、アクリル樹脂の製造に用いられる公知のモノマーなどを、必要に応じて適宜組み合わせ、共重合させて用いることもできる。
(A)成分は、例えば各構成単位に係るモノマーを、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)のようなラジカル重合開始剤を用いた公知のラジカル重合等によって重合させることによって得ることができる。
また、(A)成分には、上記重合の際に、たとえばHS−CH−CH−CH−C(CF−OHのような連鎖移動剤を併用して用いることにより、末端に−C(CF−OH基を導入してもよい。このように、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基が導入された共重合体は、現像欠陥の低減やLER(ラインエッジラフネス:ライン側壁の不均一な凹凸)の低減に有効である。
(A)成分の質量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算基準)は、特に限定するものではないが、3000〜50000が好ましく、3000〜30000がより好ましく、5000〜20000が最も好ましい。この範囲の上限よりも小さいと、レジストとして用いるのに充分なレジスト溶剤への溶解性があり、この範囲の下限よりも大きい、耐ドライエッチング性やレジストパターン断面形状が良好である。
また(A)成分の分散度(Mw/Mn)は1.0〜5.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましく、1.0〜2.5が最も好ましい。
<酸発生剤成分(B)>
[(B1)成分]
本発明においては、(B)成分として、前記一般式(b−1)で表されるカチオン部を有するオニウム塩系酸発生剤(B1)が必須成分として用いられる。
前記一般式(b−1)において、R11はアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、または水酸基を表し、n’は0または1〜3の整数を表す。n’が2または3であるとき、該複数のR11は互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。
前記R11としてのアルキル基は、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n‐ブチル基、tert‐ブチル基であることが最も好ましい。
前記R11としてのアルコキシ基は、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記R11としてのハロゲン原子は、フッ素原子であることが好ましい。
前記n’は好ましくは0又は1であり、より好ましくは1である。
前記一般式(b−1)において、R12、R13はそれぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基またはアルキル基を表す。
12、R13としてのアリール基は、特に制限はなく、例えば、炭素数6〜20のアリール基であって、該アリール基は、その水素原子の一部または全部がアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、水酸基等で置換されていてもよく、されていなくてもよい。アリール基としては、安価に合成可能なことから、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。具体的には、たとえばフェニル基、ナフチル基が挙げられる。
前記アリール基の水素原子が置換されている場合の該置換基としてアルキル基は、前記R11としてのアルキル基と同様である。
前記アリール基の水素原子が置換されている場合の該置換基としてのアルコキシ基は、前記R11としてのアルコキシ基と同様である。
前記アリール基の水素原子が置換されている場合の該置換基としてのハロゲン原子は、前記R11としてのハロゲン原子と同様である。
前記R12、R13としてのアルキル基は、特に制限はなく、例えば炭素数1〜10の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基等が挙げられる。解像性に優れる点から、炭素数1〜5であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ノニル基、デカニル基等が挙げられ、解像性に優れ、また安価に合成可能なことから好ましいものとして、メチル基を挙げることができる。
前記R12、R13が両方ともフェニル基であることが最も好ましい。
(B1)成分におけるアニオン部は特に制限されず、オニウム塩系酸発生剤のアニオン部として知られているものを適宜用いることができる。
例えば、一般式「R14SO (R14は、直鎖、分岐または環状のアルキル基またはフッ素化アルキル基を表す。)」で表されるアニオン部、下記一般式(b−3)で表されるアニオン部、下記一般式(b−4)で表されるアニオン部等を用いることができる。
Figure 0004191145
[式中、X”は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素数2〜6のアルキレン基を表し;Y”、Z”は、それぞれ独立に、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜10のアルキル基を表す。]
前記一般式「R14SO 」において、R14は、直鎖、分岐または環状のアルキル基またはフッ素化アルキル基を表す。
前記R14としての直鎖または分岐のアルキル基は、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。
前記R14としての環状のアルキル基は、前記R12、R13として示した環状のアルキル基であって、炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜10であることがさらに好ましく、炭素数6〜10であることが最も好ましい。
前記R14としてのフッ素化アルキル基は、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。また。該フッ化アルキル基のフッ素化率(フッ素化前のアルキル基中の全水素原子数に対する、フッ素化により置換したフッ素原子の数の割合、以下同様。)は、好ましくは10〜100%、さらに好ましくは50〜100%であり、特に水素原子をすべてフッ素原子で置換したものが、酸の強度が強くなるので好ましい。
14としては、直鎖または環状のアルキル基、またはフッ素化アルキル基であることがより好ましい。
前記一般式(b−3)において、X”は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状または分岐状のアルキレン基であり、該アルキレン基の炭素数は2〜6であり、好ましくは炭素数3〜5、最も好ましくは炭素数3である。
前記一般式(b−4)において、Y”、Z”は、それぞれ独立に、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状または分岐状のアルキル基であり、該アルキル基の炭素数は1〜10であり、好ましくは炭素数1〜7、より好ましくは炭素数1〜3である。
X”のアルキレン基の炭素数またはY”、Z”のアルキル基の炭素数は、上記炭素数の範囲内において、レジスト溶媒への溶解性も良好である等の理由により、小さいほど好ましい。
また、X”のアルキレン基またはY”、Z”のアルキル基において、フッ素原子で置換されている水素原子の数が多いほど、酸の強度が強くなるため好ましい。該アルキレン基またはアルキル基のフッ素化率は、好ましくは70〜100%、さらに好ましくは90〜100%であり、最も好ましくは、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキレン基またはパーフルオロアルキル基である。
(B1)成分のアニオン部として、中でも一般式(b−3)で表されるアニオン部が好ましく、X”がパーフルオロアルキレン基であるものがより好ましい。
(B1)成分の好ましい具体例を以下に挙げる。
Figure 0004191145
これらの中でも、前記化学式(b1−07)又は(b1−08)で表される酸発生剤が特に好ましい。
(B1)成分はいずれか1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(B)成分全体における(B1)成分の割合は50質量%以上であることが好ましく、100質量%でもよい。より好ましい範囲は60〜90質量%であり、70〜85質量%が最も好ましい。
[(B2)成分]
(B)成分は、前記(B1)成分に加えて下記一般式(b−2)で表される酸発生剤(B2)を含むことが好ましい。当該(B2)成分は(B1)成分と重複しない。すなわち、(B2)成分のカチオン部は「置換基を有していてもよいナフチル基」を有しない。
Figure 0004191145
[式中、R”は、直鎖、分岐又は環状のアルキル基またはフッ素化アルキル基であり;R”〜R”は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基またはアルキル基を表し、R”〜R”のうち少なくとも1つはアリール基を表す。]
式(b−2)中、R”〜R”はそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアリール基またはアルキル基を表す。ただしR”〜R”がアリール基の場合ナフチル基は除く。
”〜R”のうち、少なくとも1つはアリール基を表す。R”〜R”のうち、2以上がアリール基であることが好ましく、R”〜R”のすべてがアリール基であることが最も好ましい。
”〜R”としてのアリール基は、ナフチル基以外であれば特に制限はなく、例えば、炭素数6〜20のアリール基であって、該アリール基は、その水素原子の一部または全部がアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等で置換されていてもよく、されていなくてもよい。アリール基としては、安価に合成可能なことから、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。具体的には、たとえばフェニル基が挙げられる。
前記アリール基の水素原子の置換基としてのアルキル基は、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n‐ブチル基、tert‐ブチル基であることが最も好ましい。
前記アリール基の水素原子の置換基としてのアルコキシ基は、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記アリール基の水素原子の置換基としてのハロゲン原子は、フッ素原子であることが好ましい。
”〜R”としてのアルキル基は、特に制限はなく、例えば炭素数1〜10の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基等が挙げられる。解像性に優れる点から、炭素数1〜5であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ノニル基、デカニル基等が挙げられ、解像性に優れ、また安価に合成可能なことから好ましいものとして、メチル基を挙げることができる。
これらの中で、R”〜R”がすべてフェニル基であることが最も好ましい。
”は、直鎖、分岐または環状のアルキル基またはフッ素化アルキル基を表す。
前記直鎖または分岐のアルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。
前記環状のアルキル基としては、前記R”で示したような環式基であって、炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜10であることがさらに好ましく、炭素数6〜10であることが最も好ましい。
前記フッ素化アルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。また。該フッ化アルキル基のフッ素化率は、好ましくは10〜100%、さらに好ましくは50〜100%であり、特に水素原子をすべてフッ素原子で置換したものが、酸の強度が強くなるので好ましい。
”としては、直鎖または環状のアルキル基、またはフッ素化アルキル基であることが最も好ましい。
(B2)成分の具体例としては、トリフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、トリ(4−メチルフェニル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、モノフェニルジメチルスルホニウムのトリフルオロンメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、ジフェニルモノメチルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、(4−メチルフェニル)ジフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、(4−メトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、トリ(4−tert−ブチル)フェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネートなどが挙げられる。また、これらのオニウム塩のアニオン部をメタンスルホネート、n−プロパンスルホネート、n−ブタンスルホネート、n−オクタンスルホネートに置き換えたオニウム塩も用いることができる。
(B2)成分はいずれか1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(B2)成分を用いる場合、(B)成分全体における(B2)成分の割合が10〜40質量%であることが好ましく、15〜30質量%がより好ましく、15〜25質量%であることが最も好ましい。
[その他の酸発生剤(B3)]
(B)成分は、さらに、従来化学増幅型のレジスト組成物において使用されている公知の酸発生剤(以下、その他の酸発生剤(B3)ということがある)を含有してもよいが、本発明の効果のためには、(B)成分全体における、(B1)成分と(B2)成分の合計割合が80質量%以上であることが好ましく、100質量%がより好ましい。
その他の酸発生剤(B3)としては、上記オニウム塩系酸発生剤(B1)と(B2)以外のオニウム塩系酸発生剤(例えばヨードニウム塩等)や、オキシムスルホネート系酸発生剤、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類などのジアゾメタン系酸発生剤、ニトロベンジルスルホネート系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤など、これまで知られている酸発生剤を適宜用いることができる。
その他の酸発生剤(B3)は1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のポジ型レジスト組成物における(B)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対し、2〜20質量部が好ましく、5〜15質量部がより好ましく、5〜13質量部であることが最も好ましい。上記範囲内とすることでパターン形成が十分に行われ、良好な特性が得られる。また、均一な溶液が得られ、保存安定性が良好となるため好ましい。
<含窒素有機化合物(D)>
本発明のポジ型レジスト組成物には、レジストパターン形状、引き置き経時安定性などを向上させるために、さらに任意の成分として、含窒素有機化合物(D)を配合させることができる。
この(D)成分は、既に多種多様なものが提案されているので、公知のものから任意に用いればよいが、脂肪族アミン、特に第2級脂肪族アミンや第3級脂肪族アミンが好ましい。
脂肪族アミンとしては、アンモニアNHの水素原子の少なくとも1つを、炭素数12以下のアルキル基またはヒドロキシアルキル基で置換したアミン(アルキルアミンまたはアルキルアルコールアミン)が挙げられる。その具体例としては、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン等のモノアルキルアミン;ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のジアルキルアミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デカニルアミン、トリ−n−ドデシルアミン等のトリアルキルアミン;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジ−n−オクタノールアミン、トリ−n−オクタノールアミン等のアルキルアルコールアミン等が挙げられる。これらの中でも、アルキルアルコールアミン及びトリアルキルアミンが好ましく、アルキルアルコールアミンが最も好ましい。アルキルアルコールアミンの中でもトリエタノールアミンやトリイソプロパノールアミンが最も好ましい。
これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(D)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常0.01〜5.0質量部の範囲で用いられる。
<(E)成分>
また、本発明のポジ型レジスト組成物には、前記(D)成分の配合による感度劣化の防止、またレジストパターン形状、引き置き経時安定性等の向上の目的で、さらに任意の成分として、有機カルボン酸又はリンのオキソ酸若しくはその誘導体(E)(本明細書では(E)成分という)を含有させることができる。なお、(D)成分と(E)成分は併用することもできるし、いずれか1種を用いることもできる。
有機カルボン酸としては、例えば、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸などが好適である。
リンのオキソ酸若しくはその誘導体としては、リン酸、リン酸ジ−n−ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステルなどのリン酸又はそれらのエステルのような誘導体、ホスホン酸、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸−ジ−n−ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステルなどのホスホン酸及びそれらのエステルのような誘導体、ホスフィン酸、フェニルホスフィン酸などのホスフィン酸及びそれらのエステルのような誘導体が挙げられ、これらの中で特にホスホン酸が好ましい。
(E)成分は、(A)成分100質量部当り0.01〜5.0質量部の割合で用いられる。
<有機溶剤>
本発明のポジ型レジスト組成物は、材料を有機溶剤に溶解させて製造することができる。
有機溶剤としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、従来、化学増幅型レジストの溶剤として公知のものの中から任意のものを1種または2種以上適宜選択して用いることができる。
例えば、γ−ブチロラクトン等のラクトン類や、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソアミルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類、エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコール、またはジプロピレングリコールモノアセテートのモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテルまたはモノフェニルエーテルなどの多価アルコール類およびその誘導体や、ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類などを挙げることができる。
これらの有機溶剤は単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
また、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)と極性溶剤とを混合した混合溶媒は好ましい。その配合比(質量比)は、PGMEAと極性溶剤との相溶性等を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2の範囲内とすることが好ましい。
より具体的には、極性溶剤としてELを配合する場合は、PGMEA:ELの質量比が好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2であると好ましい。
また、有機溶剤として、その他には、PGMEA及びELの中から選ばれる少なくとも1種とγ−ブチロラクトンとの混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前者と後者の質量比が好ましくは70:30〜95:5とされる。
有機溶剤の使用量は特に限定しないが、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定されるものであるが、一般的にはレジスト組成物の固形分濃度2〜20質量%、好ましくは5〜15質量%の範囲内となる様に用いられる。
<その他の任意成分>
本発明のポジ型レジスト組成物には、さらに所望により混和性のある添加剤、例えばレジスト膜の性能を改良するための付加的樹脂、塗布性を向上させるための界面活性剤、溶解抑制剤、可塑剤、安定剤、着色剤、ハレーション防止剤、染料などを適宜、添加含有させることができる。
<レジストパターン形成方法>
本発明のレジストパターン形成方法は例えば以下の様にして行うことができる。
すなわち、まずシリコンウェーハのような基板上に、上記ポジ型レジスト組成物をスピンナーなどで塗布し、80〜150℃の温度条件下、プレベークを40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施してレジスト膜を形成する。
次いで該レジスト膜に対して、例えばArF露光装置などにより、ArFエキシマレーザー光を所望のマスクパターンを介して選択的に露光した後、80〜150℃の温度条件下、PEB(露光後加熱)を40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施す。
次いでこれをアルカリ現像液、例えば0.1〜10質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いて現像処理する。必要に応じて現像処理後にポストベークを施してもよい。
このようにして、マスクパターンに忠実なレジストパターンを得ることができる。
なお、基板とレジスト組成物の塗布層との間には、有機系または無機系の反射防止膜を設けることもできる。
露光に用いる波長は、特に限定されず、ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、Fエキシマレーザー、EUV(極紫外線)、VUV(真空紫外線)、EB(電子線)、X線、軟X線などの放射線を用いて行うことができる。特に、本発明にかかるポジ型レジスト組成物は、ArFエキシマレーザーに対して有効である。
本発明のポジ型レジスト組成物によれば、高解像性が得られるとともに、DOFを向上させることができる。また、レジストパターンの倒れ難さ、および露光余裕度も向上させることができる。その理由は明らかでないが、以下のように推測される。
本発明のポジ型レジスト組成物の必須成分である(B1)成分は、カチオン部にナフタレンに由来する置換基を有するため、トリフェニルスルホニウム系のオニウム塩からなる酸発生剤成分に比べて、露光波長帯における光吸収が抑えられ、特に、ArFエキシマレーザーの波長帯域において、光に対する吸収が効果的に抑制される(特にArFエキシマレーザー光に対して透明性が向上する)と推測される。したがって、露光量が同じであれば酸発生剤成分の1モル当たりの酸発生量が抑えられ、また、露光量の変動に対する酸発生量の変動は比較的小さいと考えられる。
また、(A)成分の構成単位(a1)は、アセタール基(アルコキシアルキル基)タイプの酸解離性溶解抑制基を有する。該アセタール基タイプの酸解離性溶解抑制基の脱保護エネルギーは、第3級エステルタイプの酸解離性溶解抑制基に比べて低いため、構成単位(a1)は、酸強度が弱くても、前記酸解離性溶解抑制基を脱離させて、アルカリ可溶性を増大させ、微細パターンを解像することができると推測される。また、良好な解像性を得るための酸発生量の許容範囲は比較的広いと考えられる。
本発明にあっては、かかる(B1)成分と(A)成分とを組み合わせて用いることにより、両者の相乗効果によって高解像性とDOF向上を両立できるなど、上記した複数の良好な特性を同時に達成できると考えられる。
[合成例1](2−アダマンチルオキシメチル)メタクリレートの合成
6.9gのメタクリル酸を200mLのテトラヒドロフランに溶解し、トリエチルアミン8.0gを加えた。室温で攪拌した後、15gの2−アダマンチルクロロメチルエーテルを溶解させたテトラヒドロフラン100mLを滴下した。室温で12時間攪拌した後、析出した塩を濾別した。得られた濾液を溶媒留去し、酢酸エチルに200mLに溶解させた後、純水(100mL×3)で洗浄し、溶媒留去した。氷冷下放置後、白色固体を得た。
得られた化合物1((2−アダマンチルオキシメチル)メタクリレート)は、下記化学式で表される。
赤外吸収スペクトル(IR)、プロトン核磁気共鳴スペクトル(H−NMR)を測定した結果を示す。IR(cm−1):2907、2854(C−H伸縮)、1725(C=O伸縮)、1638(C=C伸縮)H−NMR(CDCl、内部標準:テトラメチルシラン)ppm:1.45〜2.1(m、17H)、3.75(s、1H)、5.45(s、2H)、5.6(s、1H)、6.12(s、1H)
Figure 0004191145
[合成例2]樹脂成分(A1)の合成
前記合成例1で得た(2−アダマンチルオキシメチル)メタクリレートの20.0g、γ−ブチロラクトンメタクリル酸エステル(GBLMA)の13.6g、及びトリシクロデカニルメタクリレートの8.8gを200mlのテトラヒドロフランに溶解し、アゾビスイソブチロニトリル1.64gを加えた。12時間還流した後、反応溶液を1Lのn−ヘプタンに滴下した。析出した樹脂を濾別、減圧乾燥を行い白色な粉体樹脂を得た。この樹脂1の構造式を下記に示す。
樹脂1の質量平均分子量(Mw)は7000、分散度(Mw/Mn)は2.2であった。
また、カーボン13核磁気共鳴スペクトル(13C−NMR)を測定した結果、下記構造式に示す各構成単位の組成比はm:n:l=0.4:0.4:0.2(モル比)であった。
Figure 0004191145
[実施例1]ポジ型レジスト組成物の調製および評価
前記合成例2で合成した樹脂1と、以下に示す酸発生剤1,2、含窒素有機化合物、および溶剤を混合してポジ型レジスト組成物を調製した。
樹脂1:100質量部、
酸発生剤1:6.0質量部、
酸発生剤2:1.6質量部、
含窒素有機化合物としてトリエタノールアミン:0.38質量部、
有機溶剤としてPGMEA:EL=8:2(質量比)の混合溶剤:750質量部。
酸発生剤1は、前記化学式(b1−08)で表される化合物であり、酸発生剤2は(4−メチルフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネートである。
「PGMEA」はプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを表す。「EL」は乳酸エチルを表す。
上記で得たポジ型レジスト組成物を用いてレジストパターンを形成した。
すなわち、まず8インチシリコンウェーハ上に有機系反射防止膜組成物「ARC−29A」(商品名、ブリュワーサイエンス社製)をスピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で215℃、90秒間焼成して乾燥させることにより、膜厚90nmの有機系反射防止膜を形成した。
次いで、上記で得られたポジ型レジスト組成物を、スピンナーを用いて反射防止膜上に塗布し、ホットプレート上で105℃、90秒間プレベーク(PAB)し、乾燥することにより、膜厚180nmのレジスト膜を形成した。
続いて、レジスト膜に対して、ArF露光装置NSR−S306C(ニコン社製;NA(開口数)=0.78,2/3輪帯)により、ArFエキシマレーザー(193nm)を、6%ハーフトーンレクチルを介して選択的に照射し、選択的露光を行った。
この後、105℃、90秒間の条件でPEB処理し、さらに23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液で60秒間パドル現像し、その後20秒間水洗して、振り切り乾燥を行った。さらに、100℃で60秒間加熱して乾燥させて1:1の90nmラインアンドスペースパターン(以下、L/Sパターンという)を形成した。
90nmのL/Sパターンが1:1に形成される際の露光量(感度)をEopとする。
ポジ型レジスト組成物の評価は以下のようにして行った。結果は下記表1に示す。
<DOF>
Eopにおいて、焦点を適宜上下にずらし、90nmのL/Sパターンが±10%の寸法変化率の範囲内で得られる焦点深度(DOF)の範囲をnm単位で求めた。
<LER>
Eopにおいて得られた90nmL/Sパターン(1:1)について、ラインパターン側壁表面が不均一になるラインエッジラフネス(LER)の評価として、LERを示す尺度である3σを求めた。3σは、側長SEM(日立製作所社製,商品名「S−9220」)により、試料のレジストパターンの幅を32箇所測定し、その結果から算出した標準偏差(σ)の3倍値(3σ)である。この3σは、その値が小さいほどラフネスが小さく、均一幅のレジストパターンが得られたことを意味する。測定電圧800V、300Vの2通りで測定を行った。
<露光余裕度>
90nmL/Sパターンを正確に1:1で解像する露光量(感度)(Eop)と、90nmの±10%のL/Sパターンを解像する露光量変動幅(感度の変動幅)から得られた露光余裕度を下記式より算出した。
露光余裕度(%)=〔E(81nm)−E(99nm)〕×100/Eop
式中、E(99nm)は99nmのL/Sパターンを得る際の感度(mJ/cm)、
E(81nm)は81nmのL/Sパターンを得る際の感度(mJ/cm)。
<パターン倒れ>
選択的露光における露光時間を長くしていき、それに伴いパターンの幅が次第に細くなっていったときに、どの時点でパターン倒れが生じるかをSEM(走査電子顕微鏡)により観察した。
[比較例1]
前記実施例1において、酸発生剤1および2に代えてトリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート(TPS−PFBS)を3.5質量部使用し、トリエタノールアミンの配合量を0.35質量部に変更した他は実施例1と同様にして、ポジ型レジスト組成物を調製し、該レジスト組成物を用いてレジストパターンを形成した。
90nmのL/Sパターンが解像した。90nmのL/Sパターンが1:1に形成される際の露光量(感度)をEopとし、実施例1と同様にして特性評価を行った。その結果を下記表1に示す。
Figure 0004191145
これらの結果からわかるように、実施例1と比較例1とは、いずれも解像性が良好であり、LERは実施例1の方がやや優れている。DOFについては、比較例1に比べて実施例1は大きく向上している。また露光余裕度及びパターン倒れについても実施例1の方が優れている。

Claims (4)

  1. 酸の作用によりアルカリ可溶性が増大する樹脂成分(A)と、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)とを含むポジ型レジスト組成物であって、
    前記(A)成分が、下記一般式(a1−01)で表される構成単位および下記一般式(a1−02)で表される構成単位
    Figure 0004191145
    [上記式中、Yは脂肪族環式基を表し;nは0または1〜3の整数を表し;mは0または1を表し;Rはそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜5の低級アルキル基、フッ素原子または炭素数1〜5のフッ素化低級アルキル基を表し;R、Rはそれぞれ素原子表す。]
    からなる群から選択される少なくとも1種の構成単位(a1)と、
    ラクトン含有単環または多環式基を有するアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a2)と、
    前記構成単位(a1)と構成単位(a2)以外の構成単位であって、アクリル酸エステルのエステル部に極性基を含まない脂肪族環式基含有非酸解離性溶解抑制基が結合した構成単位(a3)とを有し、かつ
    前記(B)成分が、下記一般式(b−1)
    Figure 0004191145
    [式中、R11はアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、または水酸基を表し、R12、R13はそれぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基表し、n’は0または1〜3の整数を表す。]
    で表されるカチオン部を有するオニウム塩系酸発生剤(B1)を含有することを特徴とするポジ型レジスト組成物。
  2. 前記(B)成分が、下記一般式(b−2)
    Figure 0004191145
    [式中、R”は、直鎖、分岐又は環状のアルキル基またはフッ素化アルキル基であり;R”〜R”は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基またはアルキル基を表し、R”〜R”のうち少なくとも1つはアリール基を表す。]
    で表され、かつ
    前記(B1)成分以外のオニウム塩系酸発生剤(B2)を含有する請求項1載のポジ型レジスト組成物。
  3. 含窒素有機化合物(D)を含有する請求項1または2記載のポジ型レジスト組成物。
  4. 請求項1〜のいずれか1項に記載のポジ型レジスト組成物を用いて基板上にレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、及び前記レジスト膜を現像しレジストパターンを形成する工程を含むレジストパターン形成方法。
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