JP4776300B2 - ガス流量設定方法およびイオンビーム加工装置 - Google Patents
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Description
ペニング型イオン源はカソードとアノードと磁場発生手段を備えており、そのイオン化室にはガスが導入されるように構成されている。このような構成において、カソードから放出された電子は前記磁場により旋回運動を行い、イオン化室に導入されたガスはその電子の衝突を受けてイオン化される。そして、そのイオン化により発生した陽イオンは、イオン化室の外に加速されて放出される。なお、ペニング型イオン源に関する特許文献として、特開昭53−114661号公報(特許文献1)などが知られている。
さて、より短い時間で電顕試料を作製するにはエッチング速度を上げる必要があり、そのためにはペニング型イオン源から放出されるイオンの量を多くする必要がある。すなわち、イオン源から放出されるイオンビームの電流値Iを大きくする必要がある。このイオンビームの電流値Iは、ガス源からイオン源に供給されるガスの流量Fによって変化する。
そこでオペレータは、被加工試料のイオンビーム加工前に以下の(a)〜(c)の手順で前記ガス流量Fを設定している。なお、そのガス流量Fの設定は、被加工試料がイオンビーム加工装置の加工室にセットされ(試料セット時、加工室は一時的に大気に開放される)、その加工室が排気手段によって所定の真空度P1まで排気されてから行われる。
(a)加工室に用意されている電流測定手段を、イオン源からのイオンビームを測定できる位置に配置する。
(b)イオン源とガス源の間に設けられた流量コントロールバルブを開けると共に、イオン源を動作させる。これにより、ガスがイオン源に供給されて、イオンビームがイオン源から放出される。
(c)前記電流測定手段の測定値(イオンビーム電流値I)が最大値Imaxを示すように、前記流量コントロールバルブの開口度を調節して前記ガス流量Fをfaに設定する。
これに伴い、加工室につながった前記イオン化室の真空度、すなわちガス源から一定のガス(ガス流量fa)が供給されているイオン化室の真空度も、イオンビーム加工中に徐々に高くなる。これを受け、イオン化室のガスの濃度はイオンビーム加工中に徐々に低くなり(ガスが薄くなる)、イオン化室でイオン化されるガスの量は減少していく。この結果、イオン化室で発生するイオンの量は減少していく。
以上のような理由により、イオン源から放出されるイオンビームの電流値Iは、被加工試料のイオンビーム加工中に前記最大値Imaxより小さくなる。また、最悪の場合、イオンビーム加工中に電流値Iがほぼ零になることもある。
(1)前記被加工試料のイオンビーム加工前に、前記ガス流量可変手段を用いて前記ガス流量Fを複数段階f0,…,fa,…,fnに変化させる。そのときの各ガス流量f0,…,fa,…,fnにおける前記イオンビーム電流値Iを、前記電流測定手段を用いて測定する。
(2)上記(1)の測定において、ガス流量fa迄は前記イオンビーム電流値Iが増え続け、ガス流量faを超えると前記イオンビーム電流値Iが減り続けるような測定結果が得られると、最大のイオンビーム電流値Imaxが得られる前記ガス流量faより流量dだけ多いガス流量fa+dを、前記被加工試料のイオンビーム加工時における前記ガス流量Fとして設定する。
従来、被加工試料のイオンビーム加工時におけるガス流量Fは、最大のイオンビーム電流値Imaxが得られるガス流量faに設定されていた。しかし、ガス流量Fをfaに設定したのでは、前記「発明が解決しようとする課題」で述べた問題が発生してしまう。すなわち、イオンビーム加工中にイオン化室15のガスの濃度が低くなり(ガスが薄くなる)、イオンビーム電流IがImaxよりかなり小さくなってしまう。たとえば、イオンビーム加工開始からしばらくしてイオン化室の真空度が最高の真空度Pmaxに達したとき、イオンビーム電流値IがImax×30%程度になってしまうこともある(図3参照)。そして、その後もイオン化室15の真空度がPmaxに維持されると、電流値のかなり低いイオンビームで試料エッチングが長時間行われることになる。これでは、電顕試料を短時間で作製することはできない。
そこで本発明においては、図3のグラフが表示手段22上に表示されると、まずオペレータは、最大のイオンビーム電流値Imaxが得られるガス流量Fはfaであることをそのグラフから確認する。そしてオペレータは、その確認したガス流量faよりも多いガス流量Fであり、かつ、Imax×80%程度のイオンビーム電流値が得られるガス流量Fを図3のグラフ上で確認する。この場合、ガス流量fa+dがそのガス流量Fに相当する(図3参照)。そこでオペレータは、入力手段21上において「ガス流量F=fa+d」の入力を行い、ガス流量fa+dを被加工試料Sのイオンビーム加工時におけるガス流量Fとして設定する。
このようにガス流量Fをfaよりd(d>0)だけ多く設定するのは、イオンビーム加工中にイオン化室15のガスの濃度が低くなる(ガスが薄くなる)ことを見越してのことである。すなわちオペレータは、イオンビーム加工開始からしばらくしてイオン化室15の真空度が最高の真空度Pmaxに達したとき、その真空度Pmaxにおいて最大のイオンビーム電流値Imax’が得られるように、予めdだけ多くガス流量を設定している。このdをどの程度に設定するかは予め実験により求められており、オペレータは、ガス流量をスイープさせ始めたときの前記真空度P1(加工室2の真空度P1)や、加工室2を排気する排気手段3の排気能力などを考慮してdを設定する。
さて、上述したようにオペレータが入力手段21上において「ガス流量F=fa+d」の入力を行うと、ガス流量固定信号fa+dが入力手段21からガス流量制御部19に送られる。ガス流量固定信号fa+dを受けたガス流量制御部19は、流量コントロールバルブ13の開口度を制御し、ガス流量Fをfa+dに設定する。
こうして流量fa+dでイオン化室15に導入されたガスは、前記カソード6,7から放出された電子の衝突を受けてイオン化される。そして、そのイオン化により発生した陽イオンは、前記加速電圧V1が印加された加速電極9で加速されてイオン源5の外に放出される。そこでオペレータは、これまで光軸O上に配置されていた電流測定手段16を光軸O上から退避させる。これにより、イオン源5から放出されたイオンビームIBは被加工試料Sを照射し、被加工試料Sのイオンエッチングが開始される。
このイオンエッチング開始時における加工室2の真空度は、図3に示したグラフを得たときと同程度(前記P1程度)である。そして、ガス流量Fはfa+dに固定されている。このため、被加工試料Sのイオンビーム加工開始時点においては、イオン源5から放出されるイオンビームIBの電流値IはImax×80%程度である(図3参照)。このようにイオンビーム加工開始直後においては、被加工試料SはImaxに近い電流値のイオンビームによってエッチングされる。
そして本発明においては、イオンビーム加工開始からしばらくしてイオン化室15の真空度が最高の真空度Pmaxに達すると、上述したように最大のイオンビーム電流値Imax’が得られる。その後もイオン化室15の真空度がPmaxに維持されると、被加工試料Sはその後ずっと、最大強度のイオンビームでエッチングされる。したがって、本発明においては、電顕試料を短時間で作製することができる。
なお、図1の装置においては、遮蔽材が被加工試料S上に配置され、遮蔽材で覆われなかった試料部分がイオンビームでエッチングされ、観察断面が得られる。
以上、図1のイオンビーム加工装置について説明した。
次に、本発明の他の例を説明する。図4は、本発明のイオンビーム加工装置の一例を示したものである。まず図4の装置構成について説明するが、図1の構成要素と同じものには図1と同じ番号が付けられており、その説明を省略する。
図4において23は中央制御装置(CPU)であり、中央制御装置23はイオン源制御部24とガス流量制御部25とガス流量決定部26を備えている。そして中央制御装置23は、加速電圧電源10と流量コントロールバルブ13と電流測定手段16に電気的に接続されている。さらに中央制御装置23は、キーボードやマウス等の入力手段21と、表示手段(CRT)22に電気的に接続されている。
図3に示したようなグラフが表示手段22上に表示されると、まずオペレータは、最大のイオンビーム電流値Imaxが得られるガス流量Fはfa1(図3のfaに相当)であることをそのグラフから確認する。そしてオペレータは、その確認したガス流量fa1よりも多いガス流量Fであり、かつ、Imax×80%程度のイオンビーム電流値が得られるガス流量Fをそのグラフ上で確認する。この場合、ガス流量fa1+d1(図3のfa+dに相当)がそのガス流量Fに相当する。そこでオペレータは、入力手段21上において「ガス流量F=fa1+d1」の入力を行い、ガス流量fa1+d1を加速電圧V1におけるガス流量Fとして設定する。なお、このようにガス流量Fをfa1よりd1だけ多く設定するのは、前記図1を用いた実施例において説明したように、イオンビーム加工中にイオン化室15のガスの濃度が低くなる(ガスが薄くなる)ことを見越してのことである。
さて、上述したようにオペレータが入力手段21上において「ガス流量F=fa1+d1」の入力を行うと、ガス流量固定信号fa1+d1が入力手段21からガス流量決定部26に送られる。ガス流量固定信号fa1+d1を受けたガス流量決定部26は、現在設定されているイオン源5の加速電圧はV1であることをイオン源制御部24からの参照信号Vacc’から認識すると、その内部メモリ26bに、加速電圧V1に対応させてガス流量fa1+d1を記憶する。
このようにして加速電圧V1に対してガス流量fa1+d1が求められると、次に加速電圧V2が設定され、加速電圧V1のときと同様にしてガス流量fa2+d2が求められる。そのガス流量fa2+d2は加速電圧V2に対応して前記メモリ26bに記憶される。以後同様にして、加速電圧V3,…,Vnに応じて最適なガス流量fa3+d3,…,fan+dnが求められ、その求められたガス流量は加速電圧に対応して前記メモリ26bに記憶される。なお、加速電圧によってガス流量Fとイオンビーム電流値Iの関係が変化し、加速電圧によって図3に示したグラフの形が変化するので、このように加速電圧を変えてガス流量が求められる。
以上のようにして加工前のデータ登録、すなわち加速電圧毎のガス流量の登録が完了すると、オペレータは被加工試料S’を加工室2にセットする。このとき、試料セットのために加工室2は一時的に大気に開放され、被加工試料S’のセットが完了すると加工室2は大気から遮断される。こうして被加工試料S’が加工室2にセットされると、オペレータは排気手段3を動作させる。なお、このとき、電流測定手段16は光軸O上から退避されている。
そしてオペレータは、入力手段21上において「加速電圧Vacc=V3」の入力を行う。この際、オペレータは、被加工試料S’をイオンビーム加工するのに最適な加速電圧V3を入力する。すると、加速電圧信号V3が入力手段21からイオン源制御部24に送られる。
加工開始信号startを受けたガス流量決定部26は、現在設定されているイオン源5の加速電圧はV3であることをイオン源制御部24からの参照信号Vacc’から認識すると、その内部メモリ26bから、加速電圧V3に対応するガス流量データ(fa3+d3)を読み出す。そして、ガス流量決定部26は、その読み出したガス流量データ(fa3+d3)をガス流量制御部25に送る。このガス流量データ(fa3+d3)を受けたガス流量制御部25は、流量コントロールバルブ13の開口度を制御し、ガス流量Fをfa3+d3に設定する。
こうして流量fa3+d3でイオン化室15に導入されたガスは、前記カソード6,7から放出された電子の衝突を受けてイオン化される。そして、そのイオン化により発生した陽イオンは、前記加速電圧V3が印加された加速電極9で加速されてイオン源5の外に放出される。イオン源5から放出されたイオンビームIBは被加工試料S’を照射し、被加工試料S’のイオンエッチングが開始される。
このイオンビーム加工開始直後においては、上述した図1の例と同様、被加工試料S’はImaxに近い電流値のイオンビームによってエッチングされる。そして本実施例においても、イオンビーム加工開始からしばらくしてイオン化室15の真空度が最高の真空度Pmaxに達すると、上述したように最大のイオンビーム電流値Imax’が得られる。そして、その後もイオン化室15の真空度がPmaxに維持されると、被加工試料S’はその後ずっと、最大強度のイオンビームでエッチングされる。したがって、電顕試料を短時間で作製することができる。
本実施例においては、最適なガス流量が加速電圧毎に予め装置に記憶されているので、加速電圧を入力すればそれに対応するガス流量が自動的に設定される。このため、本実施例においては、イオンビーム加工の度にガス流量を求める必要はない。
以上、図4のイオンビーム加工装置について説明した。
次に、本発明の他の例を説明する。図5は、本発明のイオンビーム加工装置の一例を示したものである。まず図5の装置構成について説明するが、図1の構成要素と同じものには図1と同じ番号が付けられており、その説明を省略する。
図5において27は中央制御装置(CPU)であり、中央制御装置27はイオン源制御部28とガス流量制御部29とガス流量決定部30を備えている。そして中央制御装置27は、加速電圧電源10と流量コントロールバルブ13と電流測定手段16に電気的に接続されている。さらに中央制御装置27は、キーボードやマウス等の入力手段21に電気的に接続されている。
また、31は電流測定手段移動機構である。電流測定手段移動機構31は、電流測定手段16を光軸O上に配置、および光軸O上から退避させるためのものである。この電流測定手段移動機構31は中央制御装置27に電気的に接続されている。また、真空計4の出力は中央制御装置27に送られており、中央制御装置27およびガス流量制御部29は加工室2の真空度を常に把握している。
以上、図5の装置構成について説明した。以下、図5の装置において、被加工試料S’をイオンビーム加工して電顕試料を作製する場合の動作説明を行うが、図5の装置は図1の装置をさらに自動化したものである。
そしてガス流量決定部30は、その取得した測定データに基づき、まず、最大のイオンビーム電流値Imaxを求める。次にガス流量決定部30は、そのイオンビーム電流値Imaxに対応するガス流量faを求める。そしてガス流量決定部30は、その求めたガス流量faよりも多いガス流量Fであり、かつ、Imax×80%程度のイオンビーム電流値が得られるガス流量Fを、前記測定データに基づいて求める。この場合、ガス流量fa+dがそのガス流量Fに相当する(図3参照)。そこでガス流量決定部30は、求めたガス流量データ(fa+d)をガス流量制御部29に送る。
このガス流量データ(fa+d)を受けたガス流量制御部29は、流量コントロールバルブ13の開口度を制御し、ガス流量Fをfa+dに設定する。なお、このとき、電流測定手段16は、電流測定手段移動機構31によって光軸O上から退避される。
さて、こうして流量fa+dでイオン化室15に導入されたガスは、前記カソード6,7から放出された電子の衝突を受けてイオン化される。そして、そのイオン化により発生した陽イオンは、前記加速電圧V1が印加された加速電極9で加速されてイオン源5の外に放出される。イオン源5から放出されたイオンビームIBは被加工試料S’を照射し、被加工試料S’のイオンエッチングが開始される。
このイオンビーム加工開始直後においては、上述した図1の例と同様、被加工試料S’はImaxに近い電流値のイオンビームによってエッチングされる。そして本実施例においても、イオンビーム加工開始からしばらくしてイオン化室15の真空度が最高の真空度Pmaxに達すると、上述したように最大のイオンビーム電流値Imax’が得られる。そして、その後もイオン化室15の真空度がPmaxに維持されると、被加工試料S’はその後ずっと、最大強度のイオンビームでエッチングされる。したがって、本実施例においては、電顕試料を容易に短時間で作製することができる。
以上、図5のイオンビーム加工装置について説明した。
次に、本発明の他の例を説明する。図6は、本発明のイオンビーム加工装置の一例を示したものである。まず図6の装置構成について説明するが、図1の構成要素と同じものには図1と同じ番号が付けられており、その説明を省略する。
図6において32は中央制御装置(CPU)であり、中央制御装置32はイオン源制御部33とガス流量制御部34とガス流量決定部35を備えている。そして中央制御装置32は、加速電圧電源10と流量コントロールバルブ13と電流測定手段16に電気的に接続されている。さらに中央制御装置32は、キーボードやマウス等の入力手段21と、電流測定手段移動機構36に電気的に接続されている。また、真空計4の出力は中央制御装置32に送られており、中央制御装置32およびガス流量制御部34は加工室2の真空度を常に把握している。以上、図6の装置構成について説明したが、図6は図4の装置をさらに自動化したものである。
そしてガス流量決定部35は、その取得した測定データに基づき、まず、最大のイオンビーム電流値Imaxを求める。次にガス流量決定部35は、そのイオンビーム電流値Imaxに対応するガス流量fa1(図3のfaに相当)を求める。そしてガス流量決定部35は、その求めたガス流量fa1よりも多いガス流量Fであり、かつ、Imax×80%程度のイオンビーム電流値が得られるガス流量Fを、前記測定データに基づいて求める。この場合、ガス流量fa1+d1(図3のfa+dに相当)がそのガス流量Fに相当する(図3参照)。そこでガス流量決定部35は、現在設定されているイオン源5の加速電圧はV1であることをイオン源制御部33からの参照信号Vacc’から認識すると、その内部メモリ35aに、加速電圧V1に対応させてガス流量fa1+d1を記憶する。
このようにして加速電圧V1に対してガス流量fa1+d1が求められると、次に加速電圧V2が設定され、加速電圧V1のときと同様にしてガス流量fa2+d2が求められる。そのガス流量fa2+d2は加速電圧V2に対応して前記メモリ35aに記憶される。以後同様にして、加速電圧V3,…,Vnに応じて最適なガス流量fa3+d3,…,fan+dnが求められ、その求められたガス流量は加速電圧に対応して前記メモリ35aに記憶される。
以上のようにして加工前のデータ登録、すなわち加速電圧毎のガス流量の登録が完了すると、オペレータは被加工試料S’を加工室2にセットする。このとき、試料セットのために加工室2は一時的に大気に開放され、被加工試料S’のセットが完了すると加工室2は大気から遮断される。こうして被加工試料S’が加工室2にセットされると、オペレータは排気手段3を動作させる。なお、このとき、電流測定手段16は光軸O上から退避されている。
そしてオペレータは、入力手段21上において「加速電圧Vacc=V3」の入力を行う。この際、オペレータは、被加工試料S’をイオンビーム加工するのに最適な加速電圧V3を入力する。すると、加速電圧信号V3が入力手段21からイオン源制御部33に送られる。
加工開始信号startを受けたガス流量決定部35は、現在設定されているイオン源5の加速電圧はV3であることをイオン源制御部33からの参照信号Vacc’から認識すると、その内部メモリ35aから、加速電圧V3に対応するガス流量データ(fa3+d3)を読み出す。そして、ガス流量決定部35は、その読み出したガス流量データ(fa3+d3)をガス流量制御部34に送る。このガス流量データ(fa3+d3)を受けたガス流量制御部34は、加工室2の真空度が前記真空度P1になると、流量コントロールバルブ13の開口度を制御し、ガス流量Fをfa3+d3に設定する。
こうして流量fa3+d3でイオン化室15に導入されたガスは、前記カソード6,7から放出された電子の衝突を受けてイオン化される。そして、そのイオン化により発生した陽イオンは、前記加速電圧V3が印加された加速電極9で加速されてイオン源5の外に放出される。イオン源5から放出されたイオンビームIBは被加工試料S’を照射し、被加工試料S’のイオンエッチングが開始される。
このイオンビーム加工開始直後においては、上述した図1の例と同様、被加工試料S’はImaxに近い電流値のイオンビームによってエッチングされる。そして本実施例においても、イオンビーム加工開始からしばらくしてイオン化室15の真空度が最高の真空度Pmaxに達すると、上述したように最大のイオンビーム電流値Imax’が得られる。そして、その後もイオン化室15の真空度がPmaxに維持されると、被加工試料S’はその後ずっと、最大強度のイオンビームでエッチングされる。したがって、本実施例においては、電顕試料を容易に短時間で作製することができる。
以上、本発明の例を説明したが、本発明は上記例に限定されるものではない。たとえば、上記例では流量dは測定データに基づいてその都度求められたが、流量dを予め決められた固定値dとしても良い。
また、図4と図6の装置において、ガス流量決定部(26,35)のメモリ(26b,35a)に記憶されるデータをあるタイミングで更新するようにしても良い。たとえば、装置使用開始時に各加速電圧における最適なガス流量を測定し、ガス流量決定部(26,35)のメモリ(26b,35a)に記憶されるデータをその装置使用開始時に更新するようにすれば、装置状態が時間と共に変化することに対応できる。したがって、被加工試料を常に短時間でイオンビーム加工することができる。
Claims (4)
- 被加工試料を収容する真空容器と、
前記真空容器の内部を排気する排気手段と、
前記真空容器に接続され、ガス源からのガスをイオン化してイオンビームを放出するイオン源と、
前記ガス源から前記イオン源に供給されるガスの流量Fを変化させるガス流量可変手段と、
前記イオン源から放出されるイオンビームの電流値Iを測定する電流測定手段を備え、
前記被加工試料を前記イオンビームにより加工するようにしたイオンビーム加工装置において、
前記被加工試料のイオンビーム加工時における前記ガス流量Fを、以下の(1)(2)の手順で設定するようにしたことを特徴とするガス流量設定方法
(1)前記被加工試料のイオンビーム加工前に、前記ガス流量可変手段を用いて前記ガス流量Fを複数段階f0,…,fa,…,fnに変化させる。そのときの各ガス流量f0,…,fa,…,fnにおける前記イオンビーム電流値Iを、前記電流測定手段を用いて測定する。
(2)上記(1)の測定において、ガス流量fa迄は前記イオンビーム電流値Iが増え続け、ガス流量faを超えると前記イオンビーム電流値Iが減り続けるような測定結果が得られると、最大のイオンビーム電流値Imaxが得られる前記ガス流量faより流量dだけ多いガス流量fa+dを、前記被加工試料のイオンビーム加工時における前記ガス流量Fとして固定設定する。 - 前記ガス流量fa+dを前記イオン源の加速電圧毎に予め求めておき、
前記被加工試料のイオンビーム加工時、その時に設定されるイオン源の加速電圧に応じて前記ガス流量fa+dを選択して固定設定するようにした
ことを特徴とする請求項1記載のガス流量設定方法。 - 被加工試料を収容する真空容器と、
前記真空容器の内部を排気する排気手段と、
前記真空容器に接続され、ガス源からのガスをイオン化してイオンビームを放出するイオン源と、
前記ガス源から前記イオン源に供給されるガスの流量Fを変化させるガス流量可変手段と、
前記イオン源から放出されるイオンビームの電流値Iを測定する電流測定手段を備え、
前記被加工試料を前記イオンビームにより加工するようにしたイオンビーム加工装置において、
前記被加工試料のイオンビーム加工前に前記ガス流量可変手段を制御して、前記ガス流量Fを複数段階f0,…,fa,…,fnに変化させるガス流量制御部と、
前記ガス流量fa迄は前記イオンビーム電流値Iが増え続け、ガス流量faを超えると前記イオンビーム電流値Iが減り続けるような測定データを前記電流測定手段の出力から取得し、その取得した測定データに基づき、最大のイオンビーム電流Imaxが得られる前記ガス流量faより流量dだけ多いガス流量fa+dを求めるガス流量決定部を更に備え、
前記ガス流量制御部は、前記被加工試料のイオンビーム加工時に前記ガス流量可変手段を制御して、前記ガス流量決定部で求められたガス流量fa+dを前記ガス流量Fとして固定設定する
ことを特徴とするイオンビーム加工装置。 - 前記ガス流量決定部は、前記ガス流量fa+dを前記イオン源の加速電圧毎に予め求めて記憶しており、
前記被加工試料のイオンビーム加工時、その時に設定されるイオン源の加速電圧に対応するガス流量fa+dが前記ガス流量決定部において選択され、
その選択されたガス流量fa+dが前記ガス流量Fとして固定設定される
ことを特徴とする請求項3記載のイオンビーム加工装置。
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