JP4776173B2 - 多層フィルム及びそれからなる冷凍食品用袋 - Google Patents
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Description
外食産業向け冷凍食品用袋は、工場から店舗への輸送時には低温に付され、店舗での熱湯による解凍時には高温に付されるため、冷凍食品用袋に用いるフィルム(冷凍食品用袋用フィルム)には低温〜高温という広範囲での強度が要求される。特に、内容物(例えば、ハンバーグ、肉団子等)を封入し袋ごと凍結させた状態で行う輸送時には、袋同士によるぶつかりや擦過によって袋にピンホールや割れが発生して商品価値が損なわれることがあるので、冷凍食品用袋用フィルムには、低温下での高い耐ピンホール性及び耐衝撃性が要求される。
また、内容物が突起部分を持つ食品(例えば、骨付き食品等)である場合は、その突起部分によって冷凍食品用袋に穴が開き内容物が漏洩することがあるので、冷凍食品用袋用フィルムには高い耐突き刺し性も要求される。更に、冷凍食品用袋のヒートシール部分では剥離及び破断が生じて内容物が漏洩することがあるので、冷凍食品用袋用フィルムには高いヒートシール強度も要求される。
しかしながら、前記ドライラミフィルムは、耐衝撃性及び耐ピンホール性が充分ではなく、特に60℃以上の高温雰囲気下及び5℃以下の低温雰囲気下での耐衝撃性及び耐ピンホール性の低下が著しい。そのため、かかるドライラミフィルムから製造される冷凍食品用袋では、低温輸送(−10℃以下)の際にピンホールが発生してしまうという問題があった。
しかしながら、この多層フィルム(特に、最外層のポリアミド系樹脂)は低温雰囲気下(−10℃以下)で弾性率が高くなるため、かかる多層フィルムからなる冷凍食品用袋ではピンホールや割れが発生しやすいという問題があった。
すなわち、本発明は、
(1)外層、中層及び内層を含む多層フィルムであって、該外層が、ASTM D790による曲げ弾性率が200〜2000MPaであるポリプロピレン系樹脂からなり、該中間層が、ASTM D790による曲げ弾性率が50〜100MPaである軟質ポリプロピレン系樹脂からなり、該内層が、ASTM D790による曲げ弾性率が110〜800MPaであるポリエチレン系樹脂又はポリプロピレン系樹脂からなることを特徴とする多層フィルム、及び、
(2)前記多層フィルムからなる冷凍食品用袋
に関するものである。
本発明の多層フィルムは、低温雰囲気との接触面を外側とする層構成において、ポリプロピレン系樹脂からなる外層、軟質ポリプロピレン系樹脂からなる中層及びポリエチレン系樹脂又はポリプロピレン系樹脂からなる内層を含んでいる。
外層、中間層及び内層の各層を構成するポリマーは、ASTM D790による曲げ弾性率値によって区別することができる。すなわち、外層樹脂は200〜2000MPa、中間層樹脂は50〜100MPa、内層樹脂は110〜800MPaの曲げ弾性率を有している。
本発明は特定の理論に拘束されるものではないが、本発明の多層フィルムの低温雰囲気下での高い耐ピンホール性及び耐衝撃性、並びに高いヒートシール強度及び耐突き刺し性は、各層の構成ポリマーのASTM D790による曲げ弾性率を外層>内層>中間層の順となるよう構成することによって得られるものであると考えられる。
以下、各層を構成する樹脂について詳細に説明する。
これらのα−オレフィンうち、共重合性や入手のしやすさの観点から、エチレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1及び4−メチルペンテン−1が好ましい。特にエチレン、ブテン−1が好ましい。
α−オレフィンは、2種類以上を併用してもよい。例えば、α−オレフィンとしてエチレン及びブテン−1を使用する場合、得られるコポリマーは、プロピレン−エチレン−ブテン−1ターポリマーとなる。
必要により、その他の重合性モノマーを併用してもよい。このようなモノマーとしては、例えば、ビニルシクロヘキサンなどのビニルシクロアルカン等を挙げることができる。
プロピレンとα−オレフィンとのコポリマーにおけるα−オレフィンの重合割合は、コポリマーの総質量に対して0.1〜20質量%、好ましくは0.5〜15質量%、特に好ましくは0.5〜10質量%である。
かかるブロックコポリマーに用いるα−オレフィンとしては、例えば、エチレン、ブテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1及びオクテン−1等が挙げられる。
前記ブロックコポリマーのなかでは、ポリエチレン単位を含むエチレン−プロピレンブロックコポリマーが好ましい。
プロピレンとα−オレフィンとのブロックコポリマーにおけるα−オレフィンの割合は、コポリマーの総質量に対して5〜35質量%、好ましくは10〜25質量%、特に好ましくは10〜15質量%である。
外層の厚みは、2〜75μm、好ましくは4〜50μm、特に好ましくは5〜20μmである。
プロピレンとα−オレフィンとのコポリマーにおいて、モノマーとしてのα−オレフィンの炭素数は、2〜20(3を除く)、好ましくは2〜14(3を除く)、特に好ましくは2〜10(3を除く)である。具体的には、エチレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、ノネン−1、デセン−1、4−メチルペンテン−1、4−メチルヘキセン−1及び4,4−ジメチルペンテン−1等を挙げることができる。
これらのα−オレフィンうち、共重合性や入手のしやすさの観点から、エチレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1及び4−メチルペンテン−1が好ましい。特にエチレン、ブテン−1が好ましい。
α−オレフィンは、2種類以上を併用してもよい。例えば、α−オレフィンとしてエチレン及びブテン−1を使用する場合、得られるコポリマーは、プロピレン−エチレン−ブテン−1ターポリマーとなる。
必要により、その他の重合性モノマーを併用してもよい。このようなモノマーとしては、例えば、ビニルシクロヘキサンなどのビニルシクロアルカン等を挙げることができる。
プロピレンとα−オレフィンとのコポリマーにおけるα−オレフィンの重合割合は、コポリマーの総質量に対して0.1〜20質量%、好ましくは0.5〜15質量%、特に好ましくは0.5〜10質量%である。
かかるブロックコポリマーに用いるα−オレフィンとしては、例えば、エチレン、ブテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1及びオクテン−1等が挙げられる。
前記ブロックコポリマーのなかでは、ポリエチレン単位を含むエチレン−プロピレンブロックコポリマーが好ましい。
プロピレンとα−オレフィンとのブロックコポリマーにおけるα−オレフィンの割合は、コポリマーの総質量に対して5〜35質量%、好ましくは10〜25質量%、特に好ましくは10〜15質量%である。
キシレン可溶性成分は、例えば、以下の工程にしたがい測定することができる。
1.測定対象の樹脂2.5gを攪拌しながら135℃のキシレン250mlに溶解する。
2.20分後、溶液を攪拌しながら25℃まで冷却し、ついで30分沈降させる。
3.沈殿をろ過し、ろ液を窒素流下で蒸発させ、残さを恒量に達するまで80℃において真空下で乾燥する。
4.残さを秤量して、キシレン可溶分の質量%を計算によって求める。
中間層に使用する軟質ポリプロピレン系樹脂は、単一種類の軟質ポリプロピレン系樹脂を単独で使用してもよく、複数種類の軟質ポリプロピレン系樹脂をブレンドしたものを使用してもよい。
具体例としてはエチレンホモポリマー、エチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンとのコポリマー及びそれらの混合物が挙げられる。コポリマーに用いるα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン及び1−ドデセン等を挙げることができる。これらのα−オレフィンのうち特に好ましいものは、炭素数3〜8のα−オレフィンである。
高密度ポリエチレンは、公知のチーグラー触媒等を用いて、スラリー法、溶液法又は気相法等の公知のプロセスにより製造することができる。
線状低密度ポリエチレンは、公知の製造方法である溶液法、気相法等により製造することができる。
低密度ポリエチレンは、公知の製造方法である高圧ラジカル重合法、チューブラー法、オートクレーブ法等により製造することができる。
具体例としては、エチレンとα−オレフィンとの共重合体が挙げられる。コポリマーに用いるα−オレフィンとしては、炭素数が3〜20、好ましくは4〜12、特に好ましくは6〜12のα−オレフィンが挙げられ、具体的には、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン及び1−オクテン等が挙げられる。
またα−オレフィンは、2種類以上を併用してもよい。例えば、α−オレフィンとしてプロピレン及びブテン−1を使用する場合、得られるコポリマーは、プロピレン−エチレン−ブテン−1ターポリマーとなる。
超低密度ポリエチレンは、公知の製造方法である溶液法、気相法等により製造することができる。
例えば、付加的な層として接着性樹脂からなる層を用い、これを内層と中間層との間及び外層と中間層との間にそれぞれ設けて、5層構造フィルムとしてもよい。
更に、付加的な層としてEVOH等のガスバリア性樹脂からなる層を用い、これを前記5層構造フィルムの内層と中間層との間及び外層と中間層との間にそれぞれ1層又は2層設けて、7層又は9層構造フィルムとしてもよい。
本発明の多層フィルムにおける外層、中間層及び内層の厚みの割合は、多層フィルムの総厚みに対して、
外層が5〜30%、好ましくは10〜25%、特に好ましくは12〜20%であり、
中間層が30〜90%、好ましくは40〜80%、特に好ましくは50〜75%であり、
内層が5〜30%、好ましくは10〜20%、特に好ましくは12〜20%である。
多層フィルムの総厚みに対して、外層が5〜30%、中間層が30〜90%かつ内層が5〜30%であると、フィルムの柔軟性を維持しつつ、強度が高くすることができるので好ましい。
また、内層及び中間層又は中間層及び外層を多層押出成形で成形した後、押出ラミネーションで外層又は内層を積層して製造することもできる。
更に、内層、中間層及び外層を、多層Tダイ押出成形及び多層インフレーション押出成形等による共押出で一度に積層してもよい。
前記の成形法のうち、インフレーションフィルム成形法は、Tダイフィルム成形法と比較して(1)低い成形温度で成形を行うため酸化防止剤、スリップ剤及びアンチブロッキング剤等の添加量を少なくでき、(2)機械的強度の高い、分子量の大きな樹脂を使用でき、(3)更に成形法の特性上、フィルムの縦及び横方向の分子配向バランスを良くすることができ、高強度かつ低臭のフィルムを成形できるので好ましい。
各ポリマーのメルトテンションは、東洋精機製キャピログラフ(キャピラリー穴径2.095mm、長さ8mm、ピストン降下速度15mm、引き取り速度6.5m/分)を用い、温度230℃で5分間余熱後の溶融ポリマーサンプルについて、滑車を介した検出器よって検出した荷重値として表した。
外層樹脂として「サンアロマー PF433M」(プロピレン−エチレンコポリマー、曲げ弾性率=800〜1000MPa(ASTM D790)、MFR(230℃)=1.8g/10分、密度=0.900g/cm3、メルトテンション=2.5g、キシレン可溶分(25℃)=5質量%)、中間層としてバセル社製「アドフレックス Q100F」(プロピレン−エチレンコポリマーと、エチレン−プロピレンコポリマーゴムとのブレンド、曲げ弾性率(ASTM D790)=60〜85MPa、キシレン可溶分(25℃)=68質量%、MFR(230℃)=0.45g/10分、密度=0.9g/cm3、メルトテンション=6.0g)を使用し、内層樹脂として日本ポリエチレン(株)社製「ハーモレックス NF474R」(エチレンとブテンー1とからなる線状低密度ポリエチレン、曲げ弾性率(ASTM D790)=160MPa、密度=0.921g/cm3、MFR(190℃)=1.0g/10分)を使用して、トミーφ40mm多層インフレーション共押出し成形機を用い、外層/中間層/内層の厚みをそれぞれ11μm/58μm/11μmに調整した3層積層構造の多層フィルム(総厚み80μm)を製造した。
外層樹脂としてバセル社製「アドフレックス Q401F」(プロピレンのホモポリマーと、エチレン−プロピレンコポリマーゴムとのブレンド、曲げ弾性率=200〜300MPa、MFR(230℃)=0.8g/10分、密度=0.9g/cm3、メルトテンション=6.0g)、中間層としてバセル社製「アドフレックス Q100F」(プロピレン−エチレンコポリマーと、エチレン−プロピレンコポリマーゴムとのブレンド、曲げ弾性率(ASTM D790)=60〜85MPa、キシレン可溶分(25℃)=68質量%、MFR(230℃)=0.45g/10分、密度=0.9g/cm3、メルトテンション=6.0g)を使用し、内層樹脂として日本ポリエチレン(株)社製「ハーモレックス NF474R」(エチレンとブテンー1とからなる線状低密度ポリエチレン、曲げ弾性率(ASTM D790)=160MPa、密度=0.921g/cm3、MFR(190℃)=1.0g/10分)を使用して、トミーφ40mm多層インフレーション共押出し成形機を用い、外層/中間層/内層の厚みをそれぞれ11μm/58μm/11μmに調整した3層積層構造の多層フィルム(総厚み80μm)を製造した。
外層樹脂としてサンアロマー(株)社製「サンアロマー PF433M」(プロピレン−エチレンコポリマー、曲げ弾性率=800〜1000MPa(ASTM D790)、MFR(230℃)=1.8g/10分、密度=0.900g/cm3、メルトテンション=2.5g、キシレン可溶分(25℃)=5質量%)、中間層としてバセル社製「アドフレックス Q100F」(プロピレン−エチレンコポリマーと、エチレン−プロピレンコポリマーゴムとのブレンド、曲げ弾性率(ASTM D790)=60〜85MPa、キシレン可溶分(25℃)=68質量%、MFR(230℃)=0.45g/10分、密度=0.9g/cm3、メルトテンション=6.0g)を使用し、内層樹脂としてバセル社製「アドシル 7372XCP」(プロピレン−エチレン−ブテン−1からなるターポリマー、曲げ弾性率(ASTM D790)=550MPa、密度=0.9g/cm3、MFR(230℃)=1.0g/10分)を使用して、トミーφ40mm多層インフレーション共押出し成形機を用い、外層/中間層/内層の厚みをそれぞれ11μm/58μm/11μmに調整した3層積層構造の多層フィルム(総厚み80μm)を製造した。
外層樹脂としてバセル社製「アドフレックス Q401F」(プロピレンのホモポリマーと、エチレン−プロピレンコポリマーゴムとのブレンド、曲げ弾性率=200〜300MPa、MFR(230℃)=0.8g/10分、密度=0.9g/cm3、メルトテンション=6.0g)、中間層としてバセル社製「アドフレックス Q100F」(プロピレン−エチレンコポリマーと、エチレン−プロピレンコポリマーゴムとのブレンド、曲げ弾性率(ASTM D790)=60〜85MPa、キシレン可溶分(25℃)=68質量%、MFR(230℃)=0.45g/10分、密度=0.9g/cm3、メルトテンション=6.0g)を使用し、内層樹脂としてサンアロマー(株)社製「サンアロマー PC380A」(エチレン−プロピレンブロックコポリマー、曲げ弾性率(ASTM D790)=600〜800MPa、密度=0.9g/cm3、MFR(230℃)=1.0g/10分)を使用して、トミーφ40mm多層インフレーション共押出し成形機を用い、外層/中間層/内層の厚みをそれぞれ11μm/58μm/11μmに調整した3層積層構造の多層フィルム(総厚み80μm)を製造した。
外層、中間層及び内層として、いずれも日本ポリエチレン(株)社製「ハーモレックス NF474R」(エチレンとブテンー1とからなる線状低密度ポリエチレン、曲げ弾性率(ASTM D790)=160MPa、密度=0.921g/cm3、MFR(190℃)=1.0g/10分)を用いて、トミーφ40mm多層インフレーション共押出し成形機にて、外層/中間層/内層の厚みをそれぞれ11μm/58μm/11μmに調整した3層積層フィルム(総厚み80μm)を製造した。
外層としての市販の延伸ナイロン(曲げ弾性率(ASTM D790)=1200MPa、厚さ25μm)、中間層としての市販のドライラミネート用接着層(曲げ弾性率=測定不能、5μm)及び内層としての市販のドライラミネート用LLD(曲げ弾性率(ASTM D790)=200MPa)からなる3層積層フィルム(総厚み80μm)を用いた。
外層としての市販の共重合ナイロン(曲げ弾性率(ASTM D790)=400MPa、厚さ25μm)、中間層としての市販の水冷インレ用接着層(曲げ弾性率(ASTM D790)=250MPa、厚さ5μm)及び内層としての市販の水冷インフレ用LLD(曲げ弾性率(ASTM D790)=200MPa)からなる3層積層フィルム(総厚み80μm)を用いた。
実施例及び比較例の多層フィルムを、耐ピンホール性、耐衝撃性(衝撃強度)、ヒートシール強度及び耐突き刺し性について評価した。以下に、各評価方法を説明する。
多層フィルムサンプルを、縦210mm、横300mmの大きさに切り、試験機(ゲルボフレックステスター:テスター産業社製)の円盤に円筒状に取り付け、常温雰囲気下にてねじり角度440度、往復ストローク178mmで1000回揉んだ。その後、フィルムサンプルを平滑なテフロン(登録商標)シートの上に置いた濾紙の上に重ねて置き、エタノール100重量%に対し、フクシン2重量%を溶いた溶液を該フィルムの上から刷毛で塗布し、貫通孔の有無を検査した。試験はn=3で行い、貫通孔の数を平均値をデータとした。
上記測定を、−20℃、−10℃及び常温(23℃)の各温度雰囲気下で行った。結果を表1に示す。
結果を表1に示す。
JIS K7124に準拠し、ダートインパクトA法により測定を行った。
多層フィルムサンプルを縦横200mmの大きさに切り、東洋精器製ダートインパクトテスターのサンプル固定部(内径φ125mm±2mm)に固定した。直径38mm±1mmのアルミニウム製ダートからなる打撃部に、直径30mmで質量間隔30gの真鍮製分銅を必要枚数取り付けた。前記ダートを、試験高さ66cm±1cmに固定した多層フィルムサンプル面中央部へ自然落下させて打撃を加えた。打撃により多層フィルムが破壊しなかった場合は○評価とし、更に分銅を1枚増やした。フィルムが破壊した場合は×評価として分銅を1枚減らした。一度打撃を加えたフィルムは破棄し、再び使用しなかった。この操作を○及び×評価の数がそれぞれ10個になるまで繰り返した。得られたデータから次式によって50%破壊質量(衝撃強度)を求めた。
M50:50%破壊質量(g)
M1:質量水準(i)がゼロのときの試験質量であって、試験片が
破壊することが予想される質量(g)
ΔM:試験質量を上下させるときの質量間隔(g)
i:M1のときをゼロとし、ひとつずつ増減する質量水準
(i=−3、−2、−1、0、1、2、3…)
n1:各水準において破壊した試験片の数
N:破壊した試験片の総数(N=Σn1)
多層フィルムサンプルを幅100mm、長さ150mmの大きさに切り、切断した多層フィルムの内面同士を合わせたものを、テスター産業製ヒートシーラーに取り付けたアルミ製シールバー(上部:幅5mm、長さ300mm、下部:幅5mm、長さ300mm)にて、シールバー温度を150℃とし、圧力0.15MPa、時間1.0秒で加圧した。自然冷却した後、フィルムを長手方向に15mm幅、長さ75mmの短冊状の試験片を3個得た。この試験片を、東洋ボールドウィン社製引張り試験機の掴み具間50mmに取り付け、毎分300mmの速度で引張り、試験片のヒートシール部が剥離又は破断した時の強度(N)および伸度(%)を測定した。結果を表3に示す。
多層フィルムサンプルをフィルムの流れ方向と直角に幅100mmで切り取り、直径30mmのヘイズ測定用のホルダーでしわの入らないように挟んだ。このサンプルに対し、東洋ボールドウィン社製引張り試験機に取り付けた圧縮試験用ロードセルの荷重検出部と一体化された太さ1mm、先端0.5半球の針を、移動速度50mm毎分で突き刺し、サンプルに貫通孔が開くまでの距離(貫通距離)及び最大加重(突き刺し強度)を各サンプル毎に5点測定し、平均値をデータとした。測定温度は23℃であった。結果を表4に示す。
注
a−1:サンアロマー社製「サンアロマー PF433M」
a−2:バセル社製「アドフレックス Q401F」
a−3:日本ポリエチレン社製「ハーモフレックス NF474R」
a−4:市販品延伸ナイロン25μm
a−5:市販品共重合ナイロン25μm
b−1:バセル社製「アドフレックス Q100F」
b−2:市販品接着層(ドライラミネート用)
b−3:市販品接着層(水冷インフレ用)
c−1:バセル社製「アドシル 7372XCP」
c−2:サンアロマー社製「サンアロマー PC380A」
c−3:市販品LLD(ドライラミネート用)
c−4:市販品LLD(水冷インフレ用)
以上より、本発明の多層フィルムは、冷凍食品用袋用フィルムに求められる種々の物性について、従来のフィルムよりも明らかに性能が向上していることが理解される。
Claims (4)
- 外層、中間層及び内層を含む多層フィルムであって、
該外層が、ASTM D790による曲げ弾性率が200〜2000MPaであるポリプロピレン系樹脂からなり、
該中間層が、ASTM D790による曲げ弾性率が50〜100MPaである軟質ポリプロピレン系樹脂からなり、
該内層が、ASTM D790による曲げ弾性率が110〜800MPaであるポリエチレン系樹脂又はポリプロピレン系樹脂からなり、
各層の構成樹脂のASTM D790による曲げ弾性率が、外層>内層>中間層の順となるように構成されており、
前記外層のポリプロピレン系樹脂が、プロピレンと1種以上の炭素数2以上(3を除く)のα−オレフィンとの共重合体であり、
前記中間層の軟質ポリプロピレン系樹脂が、25℃におけるキシレンに可溶性成分を25〜80質量%含む樹脂であり、
前記内層のポリエチレン系樹脂が、高密度ポリエチレン樹脂又はエチレン-α−オレフィン共重合体である
ことを特徴とする多層フィルム。 - 前記外層に使用されるポリプロピレン系樹脂が、プロピレンと、1種以上の炭素数2以上(3を除く)のα−オレフィンとの共重合体であって、230℃におけるメルトフローレートが0.01〜30g/10分であり、230℃におけるメルトテンションが1g〜20gである、請求項1に記載の多層フィルム。
- 冷凍食品用袋用多層フィルムである、請求項1〜2のいずれかに記載の多層フィルム。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の多層フィルムからなる冷凍食品用袋。
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