JP4775962B2 - 濾過装置及びバラスト水中の生物捕捉除去装置 - Google Patents

濾過装置及びバラスト水中の生物捕捉除去装置 Download PDF

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Description

本発明は、大量の原水を濾過する濾過装置、特に、船舶のバラストタンクに積み込まれるバラスト水に含まれる生物を効率的に捕捉除去するための装置に関する。
一般に、空荷または積荷が少ない状態の船舶は、プロペラ没水深度の確保、空荷時における安全航行の確保等の必要性から、出港前にバラストタンクに海水がバラスト水として注水される。逆に、港内で積荷をする場合には、バラスト水が海中へ排出される。ところで、環境の異なる荷積み港と荷下し港との間を往復する船舶により、バラスト水の取水および排水が行われると、バラスト海水に含まれる細菌類やプランクトンなどの微生物の相違により、沿岸生態系に悪影響を及ぼすことが懸念される。そこで、2004年2月、船舶のバラスト水管理に関する国際会議において、船舶のバラスト水および沈殿物の規制および管理のための国際条約が採択され、バラスト水の処理が義務付けられることになった。
バラスト水の処理基準として国際海事機構(IMO)が定める基準によれば、船舶から排出されるバラスト水に含まれる50μm以上の生物(主に動物プランクトン)の数が1m3中に10個未満、10μm以上50μm未満の生物(主に植物プランクトン)の数が1mL中に10個未満、コレラ菌の数が100mL中に1cfu未満、大腸菌の数が100mL中に250cfu未満、腸球菌の数が100mL中に100cfu未満、にするように規定されている。
バラスト水の処理技術としては、現在開発中のものが多いが、従来技術として特許文献1そして特許文献2では、バラスト水を排出する際にバラスト水中に含まれる有害プランクトンまたは有害藻類のシストを塩素系殺菌剤あるいは過酸化水素を用いて殺菌する方法が提案されている。
しかしながら、バラスト水として取水される海水に含まれる生物の数は、海水を採取する日時や場所によって大きく異なり、海水1mL中に数個程度から数億個程度まで幅がある。このため、特許文献1、特許文献2の方法では、国際海事機構(IMO)が定める基準の全ての項目を確実に達成することが難しい。特に、比較的大型の動物プランクトンも死滅させるには、殺菌剤を大量に使用しないと効果がないという問題がある。そのため、殺菌剤費用が嵩むという問題や、大量の殺菌剤を貯留する貯槽を設けなければならず、スペースに制約のある船舶には支障があるという問題がある。さらに、殺菌剤を大量に使用すると、残留する殺菌剤がバラスト水とともに海中へ排出されることによる環境へ影響が無視できないという問題がある。
そこで、取水された海水中に殺菌剤を供給する前に、比較的大型のプランクトンを濾過装置により捕捉して除去し、小型のプランクトンと細菌を殺菌剤により死滅させ、殺菌剤使用量を低減することが提案される。
また、バラスト水の積込み時または排水時に、上記海水中の生物処理を行なうということは、船舶への荷下し時または荷積み時にこの処理を行なうことであり、係船時間を短縮するために、短時間で海水の給水または排水を行なう必要があり、濾過装置により生物を捕集する際には短時間で大量の濾過処理が可能な濾過装置が望まれる。特許文献3そして特許文献4では、大量処理が可能なように複数の濾過体を備えて濾過面積を大きくした濾過装置が提案されている。
特許文献3そして特許文献4では、容器内で該容器により支持されている基板上に複数の筒状濾過体が並立された組立体を、濾過体の長手方向で互いに逆向きに二段配置して容器に収め、容器の原液入口から容器内へ流入した原液を上記濾過体の一端開口から該濾過体内へ導入し、周面の濾過壁を透過して得られる濾過液を容器の濾過液出口から取り出すようになっている。
特開平4−322788 特開平5−910 特公昭57−26807 実公昭57−39047
特許文献3および特許文献4による濾過装置では、基板に取り付けられた筒状の濾過体がその長さ方向で上下方向となるように上下2段で配置されているので、濾過体の交換など保守点検の際に、濾過体を基板に取り付けた組立体全体を吊り上げて容器外へ取り出すための吊り代、すなわち空間が必要であるので、保守点検が容易でないという問題があり、さらに船舶の機関室内にこの濾過装置を設置するような、高さ空間に制約のある場合には、その設置に制約が多いという問題がある。
本発明は、かかる状況を鑑み、大量の原水の濾過処理が可能で、保守点検が容易な濾過装置を提供することを目的とし、またバラスト水中の生物を確実に捕捉でき、かつ設置場所の制約のないバラスト水中の生物捕捉除去装置を提供することを目的する。
本願発明者らは上述の課題に鑑み、大量の原水の濾過処理が可能で、保守点検が容易な濾過装置および船舶バラスト水に含まれる水生生物、有害微生物を捕捉除去でき、保守点検が容易であり船内でも設置場所の制約のないバラスト水中の生物捕捉除去装置を提供するべく鋭意研究を行った結果、本発明を完成するに至ったものであり、以下のごとく構成される。
<濾過装置の構成>
本発明に係る濾過装置は、筒状の周壁を濾過壁としその軸線方向一端を開口端そして他端を閉塞端とする複数の濾過体と、板状をなしその板面に直角な中心軸線まわりの周方向複数位置に一方の板面上で上記濾過体を該濾過体の開口端で保持し板厚方向に貫通せる通孔が上記濾過体の内部と連通する位置に形成されている基板と、上記複数の濾過体を基板で保持して成る組立体を収容し上記基板にて支持する容器と、上記基板の他方の板面側に位置して容器内に設けられた逆洗管を備えた逆洗機構とを有し、容器内の空間を基板の一方の板面側の第一室と他方の板面側の第二室とに区分し、上記容器には第二室に連通する原液入口と第一室に連通する濾過液出口が設けられていると共に上記逆洗管に連通する排出管が第二室から容器外へ延出している。
かかる濾過装置において、本発明では、二つの組立体が基板の他方の板面同士を平行で対面せしめるように対称に配設され、二つの組立体の基板同士間に逆洗機構が設けられ、逆洗機構の逆洗管は各組立体に対応して二つ設けられ逆洗機構の駆動部で駆動されて上記中心軸線まわりに回転することによりそれぞれの逆洗管がその回転により対応せる基板の複数の通孔との連通位置を順次移動し、二つの逆洗管は排出管に対する相対回転を許容されつつ該排出管に接続されており、容器は上記中心軸線が水平となる位置で取付部位に取り付けられる被取付部を有し、かつ該容器が上記中心軸線方向の端部に取付け自在に端蓋を有していることを特徴としている。
このような構成の本発明の濾過装置によると、海水等の原液は、原液入口から容器の第二室へ導入され、基板の通孔を経て濾過体の開口部から該濾過体内に入り、該濾過体の周壁に形成された濾過壁を透過して濾過液が第一室に至り、ここから濾過液出口から容器外に取り出される。
一方、逆洗機構の逆洗管が位置している濾過体では、逆洗管が在るために、第二室から該濾過体へは原液が流入できず、逆に、第一室から上記周壁の濾過壁を透過して濾過液が濾過体内へ入り込む。その際、濾過液は濾過壁の内面における付着物を除去する。そして、濾過液は該付着物を伴って逆洗管を経て排出管から容器外へ排出される。逆洗管は中心軸線まわりに回転するので、この逆洗管が位置する濾過体は順次変わって行き、したがって、原液の濾過を行いつつ、常に濾過体を次々逆洗することとなる。このような濾過そして逆洗は、二つの組立体に対して同時に行われる。
次に、保守点検に際しては、上記中心軸線が水平方向となるように被取付部で床面等に設置された容器の上記中心軸線方向端部に設けられた端蓋を取り外して、組立体を水平方向に容器外に取り出し、保守点検後、再び同方向で容器内に収められる。船内では、天井高さが限られているが、水平方向では少なくとも組立体の取出しに十分な空間が得られるので、上記取出しそして収容作業は容易である。したがって、本発明装置では、配管作業そしてその空間を考慮して、容器に設けられる原液入口そして濾過液出口、さらには逆洗用の排出管も水平方向に向いて位置していることが好ましい。
<バラスト水中の生物捕捉除去装置>
本発明に係るバラスト水中の生物捕捉除去装置は、既述の濾過装置を備え、該濾過装置の濾過体における目開きが10〜200μmであることを特徴としている。
濾過装置は、海水中に存在するプランクトン類を除去するために設けられる。濾過体の目開きを10〜200μmとするのは、動物性プランクトンや植物性プランクトンの捕捉率を一定のレベルに保ちつつ、逆洗頻度を少なくして、船舶の寄港地でのバラスト水処理時間を短縮するためである。換言すれば、目開きが200μmより大きいと、動物プランクトンや植物プランクトンの捕捉率が著しく低くなり、他方、目開きが10μmより小さいと、フィルタの目詰まりが短時間で生ずるため、逆洗頻度が多くなり船舶の寄港地でのバラスト水処理時間が長くなり、いずれも好ましくない。特に、目開き20〜50μm程度のフィルタを用いることが、捕捉率および逆洗頻度を最適に設定することができるので、好ましい。
濾過装置の濾過体は、特開2005−211758に開示されているような、細い線材で定間隔に突起を有している該線材(ノッチワイヤという)を筒状枠体に密にコイル状に巻回して隣接ノッチワイヤ間に目開きを形成するノッチワイヤフィルタ、やウェッジワイヤフィルタなど比較的目開きが小さい濾過体を用いることにより、水生生物を効率的に捕捉して除去することができる。
また、本発明に係るバラスト水中の生物捕捉除去装置は、海水を濾過して水生生物を捕捉除去する既述の濾過装置と、該濾過装置内を高温に保持する加熱手段と、を備えたことを特徴とすることによっても得られる。
本発明のバラスト水中の生物捕捉除去装置は、このような構成を備えることにより、海水中のプランクトンなどの生物を捕捉除去でき、バラスト水の処理が終了した後に濾過装置内を高温に保持することにより濾過装置内に残留する生物を死滅させることができ、さらにフジツボなどの水生生物が濾過装置内に付着生育することを防止できる。
さらには、本発明に係るバラスト水中の生物捕捉除去装置は、海水を濾過して水生生物を捕捉除去する既述の濾過装置と、該濾過装置内に淡水を充填する淡水充填手段と、を備えたことを特徴とすることによっても得られる。
このような構成を備えることにより、さらに海水による濾過装置内の部材の腐食を防止できる。
本発明の濾過装置は、基板に複数の濾過体を保持して成る組立体を水平方向で二組配置して容器内に収めて該容器を横型として設置するようにしたので、容器の端蓋を取り外して容器内部空間に対しての上記組立体の取出し作業そして再組込み作業を水平方向に行うことができ、保守点検作業が容易となると共に、船内等の高さ方向に制約のある空間でも、大量の原水の濾過処理を可能とする。さらに、かかる濾過装置を用いるバラスト水中の生物捕捉除去装置はバラスト水中の生物を確実に捕捉でき、かつ船内のように天井高さが低くとも設置場所に制約を受けない。
以下、添付図面にもとづき、本発明の実施の形態を説明する。
<第一実施形態>
[濾過装置]
図1は、本実施形態の濾過装置をその中心軸線を含む面で示す断面図であり、図2は図1におけるI1−II線断面図である。なお、図1,2に示される装置は、床上への実機の据付等における上下方向とは一致しておらず、装置内部の構造を説明するのに好都合な向きで描かれた断面となっている。
本実施形態の濾過装置は、図示のごとく水平方向に延びる中心軸線1をもつ略円筒状の容器2を有し、該容器2内に濾過のための諸部材が収容されている。
容器2は、上記中心軸線1の延びる方向で両端側に位置する端蓋3,4と、この中間にあって端蓋3,4に接続される中間筒部5とを有している。端蓋3,4は環状の接続部材6,7を介して上記中間筒部5と接続され、この接続は、図示せぬボルト等によりなされている。
上記容器2は、図2に見られるように、床等への装置の据付時に略円筒状の容器2の上記中心軸線を水平方向とするような位置に被取付部8が設けられている。図2では、説明の都合上被取付部8が右側に位置するような向きで装置が図示されている。また、容器2には、原液入口9そして濾過液出口10が設けられているが、これについては、後に再度説明する。上記被取付部8は、図2において、この濾過液出口10に対し、容器2の直径方向で反対側に位置している。さらに、図1に見られるように、容器2の一方の端蓋4の中央部には、後述の逆洗機構のための駆動用の減速機付モータ11が取り付けられている。
容器2の内部には、二つの基板12,13とこれらを取外し自在に連結する筒体14により形成される閉内筒体15が配されており、該筒体14は該筒体14の外周面から半径外方に延びる支持部材16を介して容器2の中間筒部5により支持されている。かくして、閉内筒体15は、中心軸線1方向で容器の中央に位置し、半径方向では容器2の中間筒部5と同心をなして位置している。容器2の内部空間は、この閉内筒体15によって、容器2と該閉内筒体15の間に形成される第一室Aと、該閉内筒体15の内部に形成される第二室Bとに区分される。
第一室A内では、複数の筒状の濾過体17そして濾過体18がそれぞれ基板12,13の一方の板面に取り付けられている。該基板12,13には、上記中心軸線1を中心とする複数の同心円上で、図示の例では三つの同心円上で周方向に分布して複数の通孔12A,12B,12Cそして13A,13B,13Cが板厚方向に貫通形成されている。基板12,13は複数の濾過体17,18が取り付けられてそれぞれ組立体を形成し、二つの組立体は同一構成をなし水平方向で基板12,13の他方の板面同士が対面して対称に配置されている。したがって、ここでは、一方の組立体、すなわち、基板12と濾過体17により構成される組立体について説明し、他方の組立体、すなわち、基板13と濾過体18から成る組立体についての説明は省略する。
基板12には、図2に見られるように、中心軸線1を中心とする例えば三つの同心円のそれぞれで周方向複数位置に分布して、板厚方向に貫通せる通孔12A,12B,12Cが形成されていて、第一室Aに面する基板12の一方の板面で、上記通孔12A,12B,12Cのそれぞれの位置に濾過体17が上記板面に対し直角、すなわち、中心軸線1と平行に取り付けられている。また、該基板12は、その中心位置に被承開孔が貫通形成されていて、該被承開孔の内面及び縁部には、滑り特性の良い材料で作られたフランジ付軸受部材12Dが設けられている。
濾過体17は、図1に見られるように、上記中心軸線1に平行に延びる円筒状体をなし、周面が枠体に対して既述のノッチワイヤを上記中心軸線1方向で密にコイル状に巻回されて濾過壁を形成し、基板12に接面する端部は開口端、そして反対側端部は閉塞端をなしている。複数の濾過体17はその閉塞端で支持板19と、該支持板19と基板12とを結ぶ図4に見られるように連結棒20とによりしっかりと保持されている。このような濾過体17に対して、濾過前の原液は第二室Bから上記基板12の通孔12Aを経て濾過体17の開口端から該濾過体17の内部に入り、上記濾過体17の周壁をなす濾過壁を透過して濾過液となって第一室Aに至る。
二つの組立体の基板12と13の間には逆洗機構21が配設されている。該逆洗機構21は、上記中心軸線1上に位置する中央管部22,23と、該中心軸線1方向の異なる二位置で上記中央管部22,23から互いに逆方向で半径方向に延びる逆洗管24,25が設けられている。これらの逆洗管24,25は対応中央管部22,23とそれぞれ内部が連通している。
上記中央管部22,23の基板側端部には軸部26,27が上記中央管部22の両端を閉塞するように取り付けられている。これらの軸部26,27は上記基板12,13をそれらの軸受部材12D,13Dにて回転自在に支持している。図1にて右側の軸部27は右方に延びて被動軸28を形成し、該被動軸28が既述の減速機付モータ11の駆動軸と連結されている。
二つの中央管部22,23は、図3に見られるように、反基板側の端部で変向板29を介して連結されている。該中央管部22,23は変向板29に寄った部分が周方向の一部にて開口部22A,23Aを形成している。上記変向板29は中心軸線1に対して直角な板面をもつ板材から作られており、その外径は上記中央管部22,23の外径に等しいかあるいは若干大径である。
中心軸線1方向で上記開口部22A,23Aの範囲を越える位置には、上記中央管部22,23に環状のフランジ30,31が設けられ、このフランジ30,31によってパッキン32,33を介して外管体34が支持され、ここに半径方向に延びる排出管35が接続されている。上記外管体34の内部は中央管部22,23の開口部22A,23Aと上記排出管35とを連通せしめている。該排出管35は上記閉内筒体15の筒体14と容器2の中間筒部5を貫通して容器2外へ延出している。上記中央管部22,23は上記フランジ30,31と摺接して中心軸線1まわりに回転自在である。
上記逆洗管24,25は、図1そして図4に見られるように、上記中央管部22,23から半径方向に延びている。本実施形態では、釣合いを保つ関係上、この二つの逆洗管24,25は半径方向で逆向きに延びているが、これには限定されず、同方向でも良い。逆洗管24,25には、基板12,13にそれぞれ形成された通孔12A,12B,12Cそして13A,13B,13Cが位置する三つの同心円の各半径に対応する位置に、短筒24A,24B,24Cそして25A,25B,25Cを有していて開口されており、これらの短筒24A,24B,24Cそして25A,25B,25Cの開口端を連結する摺接板36,37が取り付けられている。この摺接板36,37には上記短筒24A,24B,24Cそして25A,25B,25Cの開口に対応して開口が形成されている。上記摺接板36,37は、被動軸28そして軸部27がモータ11からの駆動力を受けて回転するのに伴い、逆洗管24,25が中心軸線1まわりに回転移動する際に、基板12,13の面に摺接しながら移動し、逆洗管24,25の短筒24A,24B,24Cそして25A,25B,25Cが周方向に移動して連通する通孔12A,12B,12Cそして13A,13B,13Cを次々と変えて行く。摺接板36,37は、基板12,13よりも軟らかくかつ基板12,13に対して低摩擦で摺接する材料で作られていることが望まれる。
次に、このような本実施形態の濾過装置の使用要領を説明する。
(1)先ず、図2に見られる被取付部8を濾過装置の下側に位置するようにして船内の床等の据付位置に配し、ここに設置する。このように配置することにより、濾過装置の中心軸線1は水平になり、容器2の端蓋4は該中心軸線1方向の両端に位置するようになる。また、容器2の原液入口9と排出管35は横方向に、濾過液出口10が上方向に向く。
(2)次に、原液、例えば、濾過前の海水を原液入口9から容器2内へ導入する。この原液は、図1,2にて実線矢印で示されるように、第二室Bに入った後、ここから基板12,13の通孔12A,12B,12Cそして13A,13B,13Cを経て濾過体17,18に流入する。さらに、原液は、濾過体17,18の周壁をなす濾過壁を透過して第一室Aへ至る。その際、原液は濾過壁で濾過され、第一室Aに濾過液として入る。この濾過液は濾過液出口10から容器外へ流出する。
(3)上記原液の濾過時に、逆洗機構の被動軸28、したがって軸部27がモータ11からの駆動力を受けて回転しており、二つの逆洗管24,25は、摺接板36,37が基板12,13と摺接しながら、上記中心軸線1まわりに回転している。したがって摺接板36,37は回転移動しながら、逆洗管24,25の短筒24A,24B,24Cそして25A,25B,25Cの開口を周方向で次々と基板12,13の通孔12A,12B,12Cそして13A,13B,13Cと連通せしめて行く。この逆洗管24,25の短筒24A,24B,24Cそして25A,25B,25Cと連通している通孔12A,12B,12Cそして13A,13B,13Cには第二室B内の原液が流入できず、逆に、破線矢印で示されるごとく、第一室A内の濾過液の一部が、逆洗管24,25Bに対応して位置する濾過体17,18の周壁たる濾過壁を透過して濾過体17,18内へ流入する。その際、濾過液は、濾過時に上記濾過体17,18の周壁の内面に付着した濾過残渣を該周壁から剥離、すなわち逆洗してこの濾過残渣と共に逆洗管24,25へ流入する。この付着物を伴う濾過液は中央管部22,23内を流れ、変向板29によって変向されて排出管35を経て容器2外へ排出される。かくして、容器2内では、原液が濾過されつつ、濾過液の一部を用いて、常時、濾過体17,18が順次逆洗されている。
(4)次に、濾過装置の保守点検の際には、水平方向両端に位置する端蓋3,4を外して濾過体17,18を大きく露呈せしめた状態で特定のあるいは全部の濾過体17,18の状況確認あるいは交換等が行われる。また、一括して濾過体17,18を容器外に取り出したいときには、基板12,13と共に組立体として取り出すこともできる。
本実施形態装置は、据付時に、濾過液出口10が容器2の上部に位置しているが、これは、内部構造を理解しやすく図示するためにかかる位置に設けられているようにしたものであり、実機にあっては、例えば、図2において排出管35に近い斜め位置に設けることとすれば、該濾過液出口10に接続される配管が上方に延びることもなくなり、高さ方向に制約される空間でも十分に対応できる。
<第二実施形態>
[バラスト水中の生物捕捉除去装置]
バラスト中のプランクトンや細菌を除去、死滅処理する際に用いるバラスト水中の生物捕捉除去装置を第二実施形態として説明する。この生物捕捉除去装置は、第一実施形態の濾過装置の濾過体における目開きが10〜200μmであるものである。
濾過体の目開きを10〜200μmとするのは、動物性プランクトンや植物性プランクトンの捕捉率を一定のレベルに保ちつつ、逆洗頻度を少なくして、船舶の寄港地でのバラスト水処理時間を短縮するためである。換言すれば、目開きが200μmより大きいと、動物プランクトンや植物プランクトンの捕捉率が著しく低くなり、他方、目開きが10μmより小さいと、フィルタの目詰まりが短時間で生ずるため、逆洗頻度が多くなり船舶の寄港地でのバラスト水処理時間が長くなり、いずれも好ましくない。特に、目開き20〜50μm程度のフィルタを用いることが、捕捉率および逆洗頻度を最適に設定することができるので、好ましい。
濾過装置44の濾過体の具体例としては、既述のノッチワイヤフィルタまたはウェッジワイヤフィルタを用いることが好ましい。
ノッチワイヤフィルタは、既述のごとく、突起を設けたワイヤ(ノッチワイヤ)を枠体へコイル状に密に巻きつけて突起によりワイヤ同士の間隔を保持して濾過通路寸法を10〜200μmにした筒型の濾過体を容器内に保持し、送水と逆洗のためのバルブと配管を設けたものである。このノッチワイヤフィルタの具体例としては、神奈川機器工業株式会社製ノッチワイヤフィルタがある。
ウェッジワイヤフィルタとは、断面が三角形のワイヤを枠体へコイル状に密に巻きつけてワイヤ同士の間隔を調整して濾過通路寸法を10〜200μmにした筒型のエレメントを容器内に保持し、送水と逆洗浄のためのバルブと配管を設けたものである。このウェッジワイヤフィルタの具体一例としては、東洋スクリーン工業株式会社製ウェッジワイヤフィルタがある。
海水を取水して濾過装置に送水するポンプと海水取水配管、生物を捕捉除去処理した処理水をバラストタンクへ送水する処理水配管を濾過装置に接続して、海水中の生物を捕捉除去し、バラストタンクに処理水を送る。
さらに、濾過装置内を高温に保持する加熱手段を備えて、バラスト水中の生物の捕捉除去処理が終了した後に濾過装置内を高温に保持することにより、濾過装置内に残留する生物を死滅させることができ、さらにフジツボなどの水生生物が濾過装置内に付着生育することを防止できる。濾過装置内を80℃以上の高温に保持することが好ましい。
加熱手段としては、濾過装置内に蒸気または高温水を供給する配管を設け、蒸気または高温水は船舶のエンジン排ガス等から熱回収した廃熱を利用して得るようにすることが、運転費用の点で好ましい。
また、濾過装置内に淡水を充填する淡水充填手段を備えて、バラスト水中の生物の捕捉除去処理が終了した後に濾過装置内の海水を淡水に置換し淡水を充填することにより、海水による濾過装置内の部材の腐食を防止できる。このようにすることにより、濾過装置内の部材の材質を、海水に対して高い耐食性を有する高価な材質とすることなく、腐食を防止できるので、濾過装置の材料費用が嵩むことを抑制できる。
淡水充填手段としては、濾過装置内に船内の淡水タンクから淡水を供給する配管とバルブを設ければよい。
<実施例>
〔バラスト水処理装置〕
第一実施形態の濾過装置を備えたバラスト水中の生物捕捉除去装置を第二実施形態として説明した。本実施例では、第二実施形態のバラスト水中の生物捕捉除去装置を用いて、海水を濾過して水生生物を捕捉除去した後、濾過されたバラスト水に殺菌剤を供給して、海水中の生物を除去・死滅処理するバラスト水処理装置を説明する。
本実施例では、海水を濾過して水生生物を捕捉除去した後、濾過されたバラスト水に殺菌剤を供給することにより、プランクトンや細菌を含まないバラスト水を得ることができる。本実施例装置は、粗濾過装置、濾過装置、殺菌装置、殺菌剤分解装置そして拡散装置の各構成要素を備えている。かかる各構成要素の主な機能は以下に説明する通りであるが、各構成要素の機能が有機的に作用して海水中の水生生物の除去効果を高めている。濾過装置において、海水中の動物性プランクトン等の比較的大型の水生生物を捕捉して除去する。殺菌装置で供給される殺菌剤では、海水中の細菌類を死滅させる。このようにして従来方法の方法では達成が難しかったIMOの定めるバラスト水処理基準を、確実に達成することが可能となる。
また、このように、濾過装置により、比較的大型の動物性プランクトンを捕捉して除去するので、単に殺菌剤を注入するだけの場合に比べて、殺菌剤の供給量を減らすことが可能になる。その結果、環境への影響を減らし、また殺菌剤を無害化するために供給する分解剤の供給を不要にあるいは減らすことができる。
殺菌装置にて供給される殺菌剤としては、次亜塩素酸ナトリウム、塩素、二酸化塩素、過酸化水素、オゾン、過酢酸、またはこれらの2種以上の混合物を使用することができる。
また、本発明では上記に記載のバラスト水中の生物捕捉除去装置と殺菌装置に加えて、殺菌装置で殺菌剤が供給された海水に殺菌剤分解剤を供給する殺菌剤分解装置を備えてもよい。
殺菌剤を分解する分解剤を供給する殺菌剤分解装置を備えることにより、残留する殺菌剤を分解してバラスト水を排出する海域への影響を防止することができる。
次亜塩素酸ナトリウム、塩素等の塩素殺菌剤に対して供給される殺菌剤分解剤としては、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム(亜硫酸水素ナトリウム)を用いることができ、過酸化水素に対して供給される殺菌剤分解剤としては、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム(亜硫酸水素ナトリウム)及びカタラーゼ等の酵素を使用することができる。
以下、添付図面の図5にもとづいて、本発明に係るバラスト水中の生物捕捉除去装置と殺菌装置とを有するバラスト水処理装置について、一例を具体的に説明する。
図5はバラスト水の処理装置を示す構成図である。バラスト水処理装置は、図5に示すように、海水を船内に取り込むための海水取水ライン41、該海水取水ライン41によって取水された海水中の粗大物を除去する粗濾過装置42、海水を取り込むため、あるいは後述のバラストタンク49のバラスト水を後述の濾過装置44に送水するためのポンプ43、粗濾過装置42によって粗大物が除去された海水中に存在するプランクトン類を除去する濾過装置44、濾過装置44で濾過された海水に細菌類やプランクトンを殺滅する殺菌剤を供給する殺菌装置45、殺菌剤を添加された濾過水に殺菌剤分解剤を供給する殺菌剤分解装置46、殺菌装置45で殺菌剤を供給されそして殺菌剤分解装置46で殺菌分解剤を供給された濾過水を供給して殺菌剤を海水中に拡散させる拡散装置47、該拡散装置47から排出された処理水を後述のバラストタンク49に送水する処理水送水ライン48、該処理水送水ライン48から送水される処理水または未処理の海水を貯留するバラストタンク49、該バラストタンク49内の処理済みのバラスト水を海に排水するバラスト水排水ライン50、未処理の海水をバラストタンク49に送水する未処理海水送水ライン51、バラストタンク49内の未処理のバラスト水を濾過装置44側に供給する未処理バラスト水供給ライン52、バラストタンク49内の未処理のバラスト水を処理した処理済みのバラスト水を海に排水する処理水排水ライン53、を備えている。
以下、各装置をさらに詳細に説明する。
(1)粗濾過装置
粗濾過装置42は、船舶の船側部に設けられたシーチェスト(海水吸入口)から取水され、ポンプ43によって海水取水ライン41を通して取水される海水中に含まれる大小様々な夾雑物、水生生物のうち10mm程度以上の粗大物を除去するためのものである。
粗濾過装置としては10mm程度の孔を設けた筒型ストレーナ(こし器)、水流中の粗大物を比重差により分離するハイドロサイクロン、回転スクリーンにより粗大物を捕捉し掻揚げ回収する装置等を用いることができる。
(2)濾過装置
濾過装置としては、第一実施形態の濾過装置をバラスト水処理用として用いる。
濾過装置44は粗濾過装置42によって粗大物が除去された海水中に存在するプランクトン類を除去するものであり、濾過壁における目開きが10〜200μmのものを用いる。
目開きを10〜200μmにした理由は、動物性プランクトン、植物性プランクトンの捕捉率を一定のレベルに保ちつつ逆洗頻度を少なくして寄港地でのバラスト水処理時間を短縮するためである。換言すれば、目開きが200μmより大きいと動物プランクトン、植物プランクトンの捕捉率が著しく低くなるし、目開きが10μmより小さいと逆洗頻度が多くなり寄港地でのバラスト水処理時間が長くなるので好ましくない。特に、目開きが20〜50μm程度のものを用いるのが、捕捉率と逆洗頻度とを最適に設定できるので、好ましい。
濾過壁における目開きが20〜50μm程度の濾過装置により、比較的大型の動物性プランクトンと植物性プランクトンをほとんど捕捉して除去するので、殺菌剤によって死滅させる対象は捕捉されなかったプランクトンと細菌となるため、濾過装置を用いずに単に殺菌剤を注入して海水中の全てのプランクトンと細菌を死滅させる方式に比べて、殺菌剤の使用量を大幅に減少させることが可能になる。その結果、殺菌剤費用を低減でき、さらに殺菌剤貯留槽を小さくできるので、船舶への搭載が容易になる。また、残留殺菌剤の環境への影響を減らし、また殺菌剤を無害化するために供給する分解剤の供給を不要にあるいは減らすことができる。
また、濾過装置44は、濾過面積1mあたり1日200m以上の濾過速度が得られることが望ましい。
濾過装置44の濾過体の具体例としては、既述のノッチワイヤフィルタまたはウェッジワイヤフィルタを用いることが好ましい。
ノッチワイヤフィルタは、既述のごとく、突起を設けたワイヤを枠体へコイル状に密に巻きつけて突起によりワイヤ同士の間隔を保持して濾過通路寸法を10〜200μmにした筒型の濾過体である。このノッチワイヤフィルタの具体例としては、神奈川機器工業株式会社製ノッチワイヤフィルタがある。
ウェッジワイヤフィルタとは、断面が三角形のワイヤを枠体へコイル状に密に巻きつけてワイヤ同士の間隔を調整して濾過通路寸法を10〜200μmにした筒型のエレメントである。このウェッジワイヤフィルタの具体一例としては、東洋スクリーン工業株式会社製ウェッジワイヤフィルタがある。
(3)殺菌装置
殺菌装置45は濾過装置44によって濾過され拡散装置47に供給される海水に殺菌剤を供給して細菌類とプランクトンを殺滅する装置である。供給する殺菌剤としては、次亜塩素酸ナトリウム、塩素、二酸化塩素、過酸化水素、オゾン、過酢酸またはこれらの2種以上の混合物が使用できるが、これ以外の殺菌剤を使用することも可能である。
殺菌装置45における殺菌剤注入部として、海水の流路内に複数のノズルを配置し、殺菌剤供給管の殺菌剤注入口は、流路断面の半径方向と周方向のそれぞれに複数設けられることとなっているものが好ましい。
上記のように構成された殺菌装置45においては、殺菌剤は拡散装置47に対して上流側に供給されるので、拡散装置47に達するまでに管内で殺菌剤をある程度拡散させておき、拡散装置47において殺菌剤の拡散、混合を進めて、さらに殺菌剤の細菌類への浸透を促進して殺菌剤の殺滅効果を促進できる。
(4)殺菌剤分解装置
殺菌剤分解装置46は、殺菌剤を添加された海水に殺菌剤分解剤を供給して海水中に残存する殺菌剤を分解することで、無害化する装置である。
本実施形態では、殺菌剤分解装置46を殺菌装置45と拡散装置47との間に設けているため、拡散装置47により殺菌剤分解剤が海水中に急速に拡散される。殺菌剤分解装置46の配置はこれに限らず、拡散装置47に対して下流側に設けてもよい。
供給する殺菌剤分解剤としては価格や取扱いの容易さなどの視点から、カタラーゼ等の酵素、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウムを用いることが望ましいが、特にこれらに限定されるものではない。
(5)拡散装置
拡散装置47は濾過装置44を通過した細菌類やプランクトンに対して殺菌装置45から供給された殺菌剤を海水中に拡散させるものである。
拡散装置47としてベンチュリ管を用いることが好ましい。ベンチュリ管では濾過装置44を通過した細菌類やプランクトンに対して該ベンチュリ管により発生せるキャビテーションにより損傷を与えるか殺滅すると共に殺菌装置45から供給された殺菌剤を海水中に拡散させる効果を有する。以下にベンチュリ管について説明する。
ベンチュリ管は、管路断面積が徐々に小さくなる絞り部、最小断面積部である喉部、徐々に管路断面積が広がる広がり部(ディフューザ部)からなる。喉部での流速の急上昇に伴う静圧の急激な低下によりキャビテーション気泡が発生し、広がり部での流速の低下に伴う圧力上昇により成長したキャビテーション気泡が崩壊する。海水中の細菌類やプランクトンはキャビテーション気泡が崩壊することによる衝撃圧、せん断力、高温、酸化力の強いOHラジカルの作用などにより、損傷を与えられるか破壊され殺滅される。
また、ベンチュリ管によってキャビテーションを発生させて、植物性プランクトン等比較的小型の水生生物に対して損傷を与えるか殺滅すると共に、キャビテーションによって殺菌剤を海水中に急速に拡散させて殺菌剤による細菌類の殺菌作用を促進させる。このようにキャビテーションの拡散作用により殺菌剤の海水中への混合を促進するため、殺菌剤を注入するだけの場合に比べて殺菌剤の供給量を低減でき、殺菌剤として塩素殺菌剤を用いる場合に懸念されるトリハロメタンの発生を抑制するなど、環境への影響を低減できる。また殺菌剤を無害化するための殺菌剤分解剤の供給を不要にするかまたは低減できる。
さらに、複数のベンチュリ管を並列に配設した構造とすることにより、ベンチュリ管装置の小型化、キャビテーション気泡の発生頻度の適正化及び処理効果に対する尺度影響の抑制の効果がある。
拡散装置として、ベンチュリ管以外に海水流路内に攪拌流れを生じさせるスタティックミキサや攪拌翼を回転させる撹拌器を用いてもよい。
次に、以上のように構成された本実施例の動作を説明する。
ポンプ43を稼動することによって、海水取水ライン41から海水が船内に取水される。その際、まず粗濾過装置42によって海水中に存在する大小様々な夾雑物、水生生物のうち10mm程度以上の粗大物が除去される。
粗大物が除去された海水は濾過装置44に供給され、濾過装置44の目開きに応じた大きさの動物性プランクトン、植物性プランクトン等が除去される。
粗濾過装置42及び濾過装置44で捕捉された水生生物等は、粗濾過装置42及び濾過装置44のフィルタ等を逆洗することにより洗い流されて海に戻される。海に戻しても同一の海域なので生態系に悪影響はない。つまり、この例ではバラスト水を積み込む際に処理をしているので、粗濾過装置42及び濾過装置44の逆洗水をそのまま放流できるのである。
濾過装置44で濾過された海水には殺菌装置45から殺菌剤が供給され、さらに、殺菌剤分解装置46から殺菌剤分解剤が供給され、殺菌剤と殺菌剤分解剤が供給された海水は拡散装置47のベンチュリ管に供給される。
ベンチュリ管において、上述した原理により海水中にキャビテーション気泡が発生して成長し、さらに成長したキャビテーション気泡が急激に崩壊することにより、海水中の水生生物に衝撃圧、せん断力、高温、酸化力の強いOHラジカルの作用を及ぼし、水生生物に損傷を与えるか破壊して殺滅する。このとき、ベンチュリ管に導入前の海水に殺菌剤を供給しているので、ベンチュリ管におけるキャビテーションにより殺菌剤の海水中への拡散が促進され細菌類の殺滅効果を増進する。
また、ベンチュリ管に導入前の海水に殺菌剤分解剤も供給しているので、ベンチュリ管におけるキャビテーションにより殺菌剤分解剤の海水中への拡散が促進され残存する殺菌剤の分解効果を増進する。
拡散装置47のベンチュリ管から排出された殺滅処理後の海水は処理水送水ライン48を通じてバラストタンク49に貯留される。もっとも、バラストタンク49に海水を貯留する場合には、殺菌装置46から供給される殺菌剤が適当な時間残存することが好ましい。これは、仮にバラストタンク49内に有害生物が残存したとしても、残存する殺菌剤の効果によって、これらの微生物を殺滅することができるからである。殺菌剤を残存させる濃度は殺菌剤の種類、濃度、およびバラストタンク49の材質や塗装の種類によって適宜に決定し、この決定に基づいて殺菌剤分解装置46による殺菌剤分解剤の供給量を調整する。場合によっては、殺菌剤分解剤を供給しない場合もある。
また、上記の例では、殺菌剤を拡散装置47のベンチュリ管の上流側および/またはベンチュリ管の喉部に供給するが、さらにベンチュリ管の下流側にも供給してもよい。ベンチュリ管の下流側にも供給する場合には、キャビテーションによりプランクトン等に付着している細菌類が剥されるため、ベンチュリ管の下流側にも殺菌剤を供給することで、この剥された細菌類に殺菌剤を作用させることで細菌類の殺滅効果を促進できる。
また、キャビテーションにより外殻に損傷を負いながら死滅しないプランクトンの体内に殺菌剤を浸透させることができ殺菌剤の殺滅効果を促進できると共に、殺菌剤耐性の強い種類に対しても、殺菌剤単独処理と比較して少ない殺菌剤添加量で殺滅することが可能である。
なお、上記の例は海水をバラストタンク49に積み込む際に処理を行う場合であるが、海水をバラストタンクに積み込む際には殺滅処理をしないで、バラストタンク49から排出する際に殺滅処理する場合もある。
この場合は、未処理の海水を未処理海水送水ライン51を通じてバラストタンク49に貯留し、バラストタンク49から排出する際にバラストタンク49内の未処理のバラスト水を未処理バラスト水供給ライン52を通じて、濾過装置44側に供給して、以降は上記と同様の殺滅処理を行い、処理済みのバラスト水を処理水排水ライン53を通じて、海に排水する。もっとも、この場合には、拡散装置47のベンチュリ管の上流側で殺菌剤が添加されたバラスト水を、海に排水することになるので、殺菌剤を完全に無害化する必要がある。そこで、この場合には、殺菌剤分解装置46によって供給する殺菌剤分解剤の量は、前述の処理水をバラストタンク49に供給する場合と違って、残存する殺菌剤が分解されバラスト水を排出する港湾の環境に対して影響のない状態にできる量にすることが必要である。
また、海水をバラストタンク49に積み込む際とバラストタンク49から排出する際との両方でバラスト水中の水生生物の殺滅処理を行うようにしてもよい。その場合にはバラスト水の排出時の殺滅処理は軽度でよい。
以上のように、本実施例においては、濾過装置44で10〜200μm以上の動物性プランクトン、植物性プランクトンを除去し、殺菌剤の供給と拡散装置47のベンチュリ管で殺菌剤を海水中に十分に拡散させることにより細菌類やプランクトンを死滅させるようにし、さらにベンチュリ管で細菌類やプランクトンに損傷を与えるかあるいは死滅させるようにしたので、どのような水質であっても確実かつ安価にIMOが定めるバラスト水基準を満たすバラスト水の処理が実現できる。
また、装置の構成が単純であることから、既存船舶への適用が容易である。
なお、図5に示した例は、バラスト水の無害化処理を取水時または/および排水時に行うことを想定しているが、取水時、排水時のいずれか、あるいは両方のどのタイミングで処理を行うかは、取水する海域に生息する微生物量や船舶の運航条件によって定めることができる。
本発明の第一実施形態としての濾過装置の軸線を通る面での断面図である。 図1におけるII−II断面図である。 図1装置の逆洗機構の一部についての拡大断面図で、(A)は軸線を通る面での断面、(B)は(A)におけるB−B断面を示す。 図1装置の要部について、部材を分離した状態で示す斜視図である。 本発明の実施例としてのバラスト水処理装置の概要構成図である。
符号の説明
1 中心軸線
2 容器
3,4 端蓋
8 被取付部
9 原液入口
10 濾過液出口
11 駆動部(モータ)
12,13 基板
17,18 濾過体
21 逆洗機構
24,25 逆洗管
24A〜24C 通孔
25A〜25C 通孔
35 排出管
A 第一室
B 第二室

Claims (4)

  1. 筒状の周壁を濾過壁としその軸線方向一端を開口端そして他端を閉塞端とする複数の濾過体と、板状をなしその板面に直角な中心軸線まわりの周方向複数位置に一方の板面上で上記濾過体を該濾過体の開口端で保持し板厚方向に貫通せる通孔が上記濾過体の内部と連通する位置に形成されている基板と、上記複数の濾過体を基板で保持して成る組立体を収容し上記基板にて支持する容器と、上記基板の他方の板面側に位置して容器内に設けられた逆洗管を備えた逆洗機構とを有し、容器内の空間を基板の一方の板面側の第一室と他方の板面側の第二室とに区分し、上記容器には第二室に連通する原液入口と第一室に連通する濾過液出口が設けられていると共に上記逆洗管に連通する排出管が第二室から容器外へ延出していることとする濾過装置において、二つの組立体が基板の他方の板面同士を平行で対面せしめるように対称に配設され、二つの組立体の基板同士間に逆洗機構が設けられ、逆洗機構の逆洗管は各組立体に対応して二つ設けられ逆洗機構の駆動部で駆動されて上記中心軸線まわりに回転することによりそれぞれの逆洗管がその回転により対応せる基板の複数の通孔との連通位置を順次移動し、二つの逆洗管は排出管に対する相対回転を許容されつつ該排出管に接続されており、容器は上記中心軸線が水平となる位置で取付部位に取り付けられる被取付部を有し、かつ該容器が上記中心軸線方向の端部に取付け自在に端蓋を有していることを特徴とする濾過装置。
  2. 請求項1に記載の濾過装置を備え、該濾過装置の濾過体の濾過壁における目開きが10〜200μmであることを特徴とするバラスト水中の生物捕捉除去装置。
  3. 請求項1に記載の濾過装置と、該濾過装置の内部を高温に維持する加熱手段とを備えることを特徴とするバラスト水中の生物捕捉除去装置。
  4. 請求項1に記載の濾過装置と、該濾過装置内へ淡水を充填する淡水充填装置とを備えることを特徴とするバラスト水中の生物捕捉除去装置。
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