しかしながら、上記特許文献1の構造によれば、ホルダに装着されたインクカートリッジを抜け不能に保持する手段がないため、画像記録装置を傾ける等したとき、インクカートリッジにおけるインク取り出し孔からインク供給針が外れる等して、当該インクカートリッジ内に外気が侵入し易くなり、その後のインク供給時に、インクチューブを介して記録ヘッド内にインクと共に空気が送られ、画像記録作業時に記録ヘッドからのインク吐出が不正確になる等、記録画像が悪化するという問題があった。
また、前記ホルダの底部には、上記特許文献1に記載のように、インク供給針とほぼ平行状にて、大気連通用の針部(針状突起部)が立設されている。
これは、密閉状のインクカートリッジのインク貯留部からインクが吸引されると、当該インク貯留部が負圧状態(大気圧以下)になり、適切なインク供給動作を継続できなくなるので、インク貯留部はインクカートリッジに形成された大気開放孔を介して大気に開放されるようにすることが行われている。その場合、一般的にはインクカートリッジをホルダに装着するとき、そのインクカートリッジの底面に設けられた大気開放のための凹部等に貼着された封止用フィルムを先に突き破ることにより、インク取り出し孔とインク供給針との接続よりも前にインクカートリッジ内のインク貯留部のインク液面に大気圧を作用させて、インクチューブや記録ヘッド内へのインク供給が円滑に行われるように構成されている。
そのためには、ホルダ内へ、インクカートリッジを挿入するとき、少なくともインクカートリッジの底面がホルダの底面と平行状に挿入でき、少なくとも大気連通用の針部(針状突起部)に対して封止用フィルムが先に接近して、当該封止用フィルムが破られるように、インクカートリッジの挿入の姿勢を規制もしくは案内する必要があるが、そのような手段は、従来技術では考慮されていなかった。
本発明は上記のような問題を解決するためになされたものであって、記録画像の品質を悪化させず、且つインクカートリッジの挿入を適切に行えるようにするインクカートリッジのためのホルダの構造を有する画像記録装置を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、インク貯留部及びそれからインクを取り出すインク流出口とを備えたインクカートリッジと、前記インクカートリッジを着脱可能に収納できるホルダとを備え、前記インクカートリッジを装着した前記ホルダに連結したインクチューブを介して記録部にインクを供給するように構成してなる画像記録装置において、前記ホルダの底部には、前記インクカートリッジの装着により前記インク流出口に連なり前記インクをインクカートリッジから流出させるカートリッジ連結部と、前記ホルダに装着された前記インクカートリッジを抜け不能に保持する係合爪を有するロックアーム体とを備え、前記ロックアーム体には、バネ弾性体からなる付勢手段を係合させ、この付勢手段は、前記ロックアーム体の前記係合爪を付勢し、前記係合爪を前記ホルダに装着された前記インクカートリッジを係合させるように構成され、前記バネ弾性体は第1の端部と第2の端部と中間部とを含み、前記第1の端部は、前記ロックアーム体の係合爪の背面に係止され、前記中間部と前記第2の端部との間に形成された屈曲部が、前記ホルダの基部に設けられた拘束部位に係止され、前記第2の端部が挿入される前記インクカートリッジの外面に対向するように形成されていることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像記録装置において、前記付勢手段は、前記インクカートリッジが前記ホルダに挿入されるとき、前記インクカートリッジの挿入方向への移動につれて、前記係合爪が前記インクカートリッジに係合する方向に自動的に撓むように、前記ロックアーム体を変形させるように構成したことを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の画像記録装置において、前記付勢手段は、前記インクカートリッジの前記ホルダへの脱着に係わらず、前記ロックアーム体をその係合爪がインクカートリッジ挿入方向と交差する方向に弾性変形させていることを特徴とする。
請求項4に記載の発明の画像記録装置は、インク貯留部及びそれからインクを取り出すインク流出口とを備えたインクカートリッジと、前記インクカートリッジを着脱可能に収納できるホルダとを備え、前記インクカートリッジを装着した前記ホルダに連結したインクチューブを介して記録部にインクを供給するように構成してなる画像記録装置であって、前記ホルダの底部には、前記インクカートリッジの装着により前記インク流出口に連なり前記インクをインクカートリッジから流出させるカートリッジ連結部と、前記ホルダに装着された前記インクカートリッジを抜け不能に保持する係合爪を有するロックアーム体とを備え、前記ロックアーム体には、バネ弾性体からなる付勢手段を係合させ、この付勢手段は、前記ロックアーム体の前記係合爪を付勢し、前記係合爪を前記ホルダに装着された前記インクカートリッジを係合させるように構成され、前記バネ弾性体は第1の端部と第2の端部と中間部とを含み、前記中間部と前記第2の端部との間に形成された第1の屈曲部が、前記ホルダの基部に設けられた拘束部位に係止され、前記中間部に形成された第2の屈曲部が、前記ロックアーム体に沿って前記ロックアーム体の係合爪と反対側に設けられた板部材に当接することにより、前記バネ弾性体は前記ロックアーム体を弾性変形させることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の画像記録装置において、前記第2の屈曲部が当接する板部材は、前記ホルダの一端面であることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項4に記載の画像記録装置において、前記第2の屈曲部が当接する板部材は、前記ホルダに取り付けられる枠体の仕切り板であることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項1に記載の画像記録装置において、前記ホルダは、インクの種類に対応した複数のインクカートリッジを装着可能な収納凹所を備えるように一体成形部品にて形成されていることを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の画像記録装置において、前記各収納凹所に隣接して前記ロックアーム体が前記ホルダの底部より立設されていることを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、請求項7に記載の画像記録装置において、前記インクカートリッジの前記ホルダと対向する面には、前記インク流出口と、外部から空気を取り入れる空気流入口とが備えられ、前記ホルダの各収納凹所毎の底面には、前記インク流出口に接続される前記カートリッジ連結部と、前記空気流入口に接続される空気導入部とが設けられていることを特徴とする。
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の画像記録装置において、使用する際に前記画像記録装置が置かれる姿勢において下方に位置し、その姿勢における上方には開口を有する凹状の下ケースと、この下ケース内に配置される中ケースと、をさらに備え、前記ホルダは、前記下ケースと前記中ケースとの間に固定され、前記ホルダまたは前記中ケースには、前記カートリッジ連結部より前記空気導入部に近い位置に、各インクカートリッジを真っ直ぐに対応する収容凹部に挿入するように案内するためのガイドリブが形成されていることを特徴とする。
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の画像記録装置において、前記ホルダまたは前記中ケースには、前記各インクカートリッジの誤挿入防止のための規制部が設けられていることを特徴とする。
請求項12に記載の発明は、請求項7に記載の画像記録装置において、前記ホルダは、インクカートリッジを装着可能な収納凹所を備えるように一体成形部品にて形成され、前記収納凹所に隣接して前記ロックアーム体が前記ホルダの底部より立設されていることを特徴とする。
請求項13に記載の発明は、請求項12に記載の画像記録装置において、前記インクカートリッジの前記ホルダと対向する面には、前記インク流出口と、外部から空気を取り入れる空気流入口とが備えられ、前記ホルダの収納凹所の底面には、前記インク流出口に接続される前記カートリッジ連結部と、前記空気流入口に接続される空気導入部とが設けられていることを特徴とする。
請求項14に記載の発明は、請求項13に記載の画像記録装置において、使用する際に前記画像記録装置が置かれる姿勢において下方に位置し、その姿勢における上方には開口を有する凹状の下ケースと、この下ケース内に配置される中ケースと、をさらに備え、前記ホルダは、前記下ケースと前記中ケースとの間に固定され、前記ホルダまたは前記中ケースには、前記カートリッジ連結部より前記空気導入部に近い位置に、前記インクカートリッジを真っ直ぐに対応する収容凹部に挿入するように案内するためのガイドリブが形成されていることを特徴とする。
請求項15に記載の発明は、請求項14に記載の画像記録装置において、前記ホルダまたは前記中ケースには、前記インクカートリッジの誤挿入防止のための規制部が設けられていることを特徴とする。
請求項1または3の発明によれば、ロックアーム体の係合爪に加えて、バネ弾性体からなる付勢手段による付勢力が作用して、インクカートリッジを抜け不能にする力が増大できる。従って、ロックアーム体の剛性が小さい形態でも、インクカートリッジを強固に固定保持できるので、ホルダの形成が容易且つコンパクトにできる効果を奏する。
また、インクカートリッジが不用意に画像記録装置の本体から抜けたり、傾いてインクカートリッジ内や記録ヘッドに空気が侵入せず、記録画像の品質を悪化させることがないという効果も奏する。
請求項1または4乃至6の発明によれば、前記バネ弾性体は第1の端部と第2の端部と中間部とを含み、前記第1の端部は、前記ロックアーム体の係合爪の背面に係止され、前記中間部と前記第2の端部との間に形成された屈曲部が、前記ホルダの基部に設けられた拘束部位に係止され、前記第2の端部が挿入されるインクカートリッジの底面に対向するように形成されている。従って、バネ弾性体をホルダに対して後に取付けすることができ、組み立て作業が容易になると共に、バネ弾性体の弾性係数や形態を任意に設定することができる。
請求項7、8または12の発明によれば、請求項1に記載の発明による効果に加えて、前記ホルダは、インクの種類に対応した複数のインクカートリッジを装着可能な収納凹所を備えるように一体成形部品にて形成されているものであるから、ホルダとロックアーム体とを合成樹脂製の一体成形部品にて形成でき、且つそのロックアーム体の剛性を高める必要がなく、ロックアーム体を薄い厚さに形成しても不都合がないのである。
請求項9または13の発明によれば、請求項7または12に記載の発明による効果に加えて、前記インクカートリッジの下面には、前記インク流出口と、外部から空気を取り入れる空気流入口とが備えられ、前記ホルダの各収納凹所毎の底面には、前記インク流出口に接続される前記カートリッジ連結部と、前記空気流入口に接続される空気導入部とが設けられているものであるから、インクカートリッジを画像記録装置の本体に対して上方向から着脱でき、インクカートリッジの交換作業が容易になる。
請求項10または14の発明によれば、使用する際に前記画像記録装置が置かれる姿勢において下方に位置し、その姿勢における上方には開口を有する凹状の下ケースと、この下ケース内に配置される中ケースと、をさらに備え、前記ホルダは、前記下ケースと前記中ケースとの間に固定され、前記ホルダまたは前記中ケースには、前記カートリッジ連結部より前記空気導入部に近い位置に、前記インクカートリッジを真っ直ぐに対応する収容凹部に挿入するように案内するためのガイドリブが形成されているので、インクカートリッジを上方から挿入する場合に、その姿勢を正しくなるように誘導でき、インクカートリッジにおけるインク貯留部に外気が侵入するのを確実に防止して、記録画像が悪化するのを防止できる。
請求項11または15の発明によれば、インクカートリッジの挿入の向きが誤っている場合の誤操作(誤挿入)を確実に防止して、画像記録装置の本体の部品の破損等を防止できる。
本発明の実施形態を図1から図17を参照して説明する。
本発明の第1実施形態について、図1から図15を参照して、説明する。 図1は第1実施形態に適用された複合機の前方から見た斜視図、図2は側断面図、図3は 画像読取装置12を外した状態の前方から見た斜視図、図4は上カバー体を外した状態の記録部を後方から見た斜視図、図5は記録部等の平面図、図6は記録部を後方から見た斜視図である。
本実施形態の画像記録装置1は、プリンタ機能、コピー機能、スキャナ機能、ファクシミリ機能を備えた多機能装置(MFD:Multi Function Device )に本発明を適用したものであり、図1に示すように、装置における合成樹脂製の記録装置本体としてのハウジング2の底部には、ハウジング2の前側(図1において左側)の開口部2aから差込み可能な給紙カセット3が配置されている。
本実施形態では、給紙カセット3は、被記録媒体としての例えばA4サイズ、レターサイズ、リーガルサイズ、はがきサイズ等にカットされた用紙Pをその短辺が用紙搬送方向(副走査方向、X軸方向)と直交する方向(図1において紙面と直交する方向、主走査方向、Y軸方向)に延びるようにして複数枚積層(堆積)されて収納できる形態とする(図1参照)。なお、給紙カセット3の前端には、リーガルサイズ等の長い用紙Pの後端部を支持する補助支持部材3aがX軸方向に移動可能に装着されている。図2では、補助支持部材3aが記録装置本体2から外部に突出する位置に配置されている状態を示しているが、給紙カセット3内に納まってしまう(開口部2aからハウジング2の外部へ突出しない)A4サイズ等の用紙Pを用いる場合には、収納部3bに補助支持部材3aを給紙の妨げとならないように収納することができる。
また、給紙カセット3の奥側(図2において右側)には、用紙分離用の土手部8が配置されている。また、ハウジング2側には、上端部が上下方向に回動可能なアーム6aが装着され、このアームの下端に設けられた給紙ローラ6と、土手部8とにより、給紙カセット3に積層(堆積)された被記録媒体である用紙Pを一枚ずつ分離搬送する。分離された用紙Pは上横向きのUターンパス(給送路)9を介して給紙カセット3より後方の上側(高い位置)に設けられた記録部7に給送される。記録部7は、後に詳述するように、プリンタ機能などを実現するためのインクジェット式の記録ヘッド4が搭載された往復動可能なキャリッジ5等からなる。
記録部7にて記録された用紙Pがその記録面を上向きにして排出される排紙部10は、給紙カセット3の上側に形成されており、排紙部10に連通する排紙口10aがハウジング2の前面に向かって開口されている。
ハウジング2の上部には、コピー機能やファクシミリ機能における原稿読取などのための画像読取装置12が配置されている。この画像読取装置12の底壁11が上カバー体30の上方からほぼ隙間なく重畳されるように構成されている。この画像読取装置12は図示しない枢軸部を介してハウジング2の一側端に対して上下開閉回動可能に構成され、さらに、画像読取装置12の上面を覆う原稿カバー体13の後端は画像読取装置12の後端に対して枢軸12aを中心に上下回動可能に装着されている。
ハウジング2の上側には、画像読取装置12の前方に各種操作ボタンや液晶表示部等を備えた操作パネル部14とが設けられており、画像読取装置12と操作パネル部14との平面視投影面積内に、記録部7と排紙部10並びにこの排紙部10の一側に設けられたインク貯留部15が位置するように配置されている。また、補助支持部材3aを収納部3bに収納した状態では、給紙カセット3のX軸方向の長さと、画像読取装置12及び操作パネル部14のX軸方向の長さとはほぼ等しくなっている。従って、この画像記録装置1は平面視略正方形状の略直方体となるので、製品として出荷する梱包時にも梱包が容易となるとともに、梱包用の箱も小型化が可能となる。
画像読取装置12の上面には、原稿カバー体13を上側に開けて原稿を載置することができる載置用ガラス板16が設けられ、その下側に原稿読取り用のイメージスキャナ装置(CIS:Contact Image Sensor) 17が図2の紙面と直交する方向(主走査方向、図3〜図5におけるY軸方向)に往復移動可能に設けられている。
記録部7は、図2、図4及び図5に示すように、金属板製等のメインフレーム21における左右一対の側板21aにて支持され、Y軸方向(主走査方向)に延びる横長の板状のガイド部材22、23と、これら両ガイド部材22,23に跨がって摺動自在に支持(搭載)されて往復移動可能に構成されたキャリッジ5と、記録ヘッド4が搭載されたキャリッジ5を往復移動させるために用紙搬送方向(矢印A方向)の下流側に配置されたガイド部材23の上面にそれと平行状に配置されたタイミングベルト24と、そのタイミングベルト24を駆動するCR(キャジッジ)モータ25(実施形態ではDCモータであるが、ステッピングモータ等他のモータでもよい。)と、記録ヘッド4の下面側にて搬送される用紙Pを支持する板状のプラテン26と、主走査方向に沿って延びるように配置されてキャリッジ5のY軸方向(主走査方向)位置を検知するためのエンコーダストリップ47等を備える。この帯状のエンコーダストリップ47は検査面(Y軸方向に一定間隔で配置されたスリットの形成面)が垂直方向に沿うように配置されている。
また、プラテン26を挟んで搬送上流側にレジストローラ対27が配置されて用紙Pを記録ヘッド4の下面に送られる。プラテン26の下流側には、用紙Pの上面に接する拍車(図示せず)と下面側の排紙ローラ28とが配置され、記録済みの用紙Pが排紙部10に搬送される(図2参照)。
また、搬送される用紙Pの幅(用紙Pの短辺)より外側には、その一端側(実施形態では図5で左側の側板21aに近い部位)にインク受け部(図示せず)が、また、他端側(図5で右側の側板21aに近い部位)にメンテナンスユニット(図示せず)がそれぞれ配置されている。これにより、記録ヘッド4はインク受け部に設けられたフラッシング位置にて記録動作中に定期的にノズルの目詰まり防止のためのインク吐出を行い、インク受け部にてインクを受ける。メンテナンスユニット部分では、キャリッジ5は待機位置であって記録ヘッド4のノズル面のクリーニングを行い、また、色毎にインクを選択的に吸引したり、記録ヘッド4上の図示しないバッファタンク内の気泡を除去するための回復処理等を行う。
また、用紙搬送方向の下流側のガイド部材23の下面からハウジング2の前端の排紙口10aまでの間を排出部10の上方を覆うようにした金属板製の下カバー体29が配置されている(図2及び図4参照)。さらに、この下カバー体29の上側には適宜空間を隔て、且つキャリッジ5及びその往復移動経路の上方を覆うようにした上カバー体30が配置されている(図2及び図3参照)。
後に詳述するインク貯留部15は、ハウジング2(本発明における下ケースに相当する)の上方に向かって開放されており、インク貯留部15における上向き開放箱状のホルダ50は、このハウジング2の底部に形成さた収容凹所2b内に載置固定され(図10参照)、ホルダ50の上端外周が上カバー体30の側方に取付けられる枠体51(本発明における中ケースに相当する)にて囲まれて固定されるように配置されている(図3及び図6参照)。
そして、後に詳述するように、インク貯留部15のホルダ50は、フルカラー記録のための4色のインクを各々収容した平面視の面積が小さく、且つ高さ寸法の高いほぼ矩形箱状のインクカートリッジ19(個別の色、即ち、ブラック(BK)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)用インクのインクカートリッジに対しては符号19a〜19dを付する、図2〜図4参照)を、X軸線方向に沿って一列状に収納でき、上方から着脱可能となるように構成されている。
そして、各インクカートリッジ19(個別には符号19a〜19dで示す)からインクジェット式の記録ヘッド4に複数本(実施形態では4本)のインク供給管(インクチューブ)20(図7参照)を介してインクを供給するように構成されている。なお、4色よりも多数のインク色を使用する場合(6色〜8色等)には、そのインク色の数に応じたインクカートリッジをインク貯留部15に収納可能に構成すれば良いし、インク供給管20もインクカートリッジの数に合わせて増やせばよい。各インク供給管20の先端部はキャリッジ5の基部の連結片34における結合部35にそれぞれ連結されている。
図4及び図5に示すように、複数(実施形態では4本)のインク供給管20の根元部は、インク貯蔵部15の一端部15aの部分にて束ねられて下カバー体29の上面にてその一側端部(図5で右端部)からY軸方向に沿って他端部(図5で左端部)の方向に延設する。このとき、全てのインク供給管20の根元部はほぼ水平な下カバー体29の上面に沿った横一列状に並んでいる。このインク供給管20の少なくとも一部(中途部等)が、下カバー体29の上面に支持されるようになっている。
全てのインク供給管20を、その中途部が下カバー体29における横長の縦仕切り板32の片方の縦面(ほぼ鉛直面)に沿うように捩じり、この縦仕切り板32の片方の縦面と対峙してネジ等で固定した合成樹脂製の縦板状の固定体33との間に、全てのインク供給管20の中途部を縦一列状に配列させて固定(抱持または挟持)する。この固定体33と縦仕切り板32の片方の縦面とで全てのインク供給管20を固定(抱持)した部分が中間固定部となる。なお、この中間固定部は、例えば、下向きU字状もしくは上向きU字状の固定体(図示せず)に全てのインク供給管20の中途部を縦一列状に配列させて固定(抱持もしくは挟持)する構成であっても良い。
そして、キャリッジ5に搭載された記録ヘッド4のノズルから選択的にインク滴を吐出させる指令信号を記録装置本体2側に設けた図示しない制御部から伝送するためのフレキシブルフラットケーブル40が、キャリッジ5がY軸方向(主走査方向)に往復移動する場合のインク供給管20の通過する領域(可動領域、非結束乃至非拘束の領域)に、インク供給管20の延びる方向とほぼ平行状に配置されて、フレキシブルフラットケーブル40の先端部40bがキャリッジ5の連結片の箇所まで延びて連結されている(図4参照)。
そして、インク供給管20における湾曲中途部と、フレキシブルフラットケーブル40における湾曲中途部との凸湾曲方向がキャリッジ5の往復移動方向に対して互いに反対向きに設定されている。換言すると、キャリッジ5の結合部35に対するインク供給管20の延びる方向と、キャリッジ5に対するフレキシブルフラットケーブル40の延びる方向とが互いに離反するように設定されている。また、上下カバー体30、29の間の空間内でフレキシブルフラットケーブル40の中途部40aで上下に反転するように湾曲形成されている(図4参照)。
このように構成することで、インク供給管20とフレキシブルフラットケーブル40とを鉛直方向においてほぼ同一高さ(ほぼ同一水平面内)に配置でき、結果として画像記録装置1全体を薄型化できる。
次に、図3〜図14を参照しながら、インクカートリッジ19及びホルダ50の構成について詳述する。
各インクカートリッジ19は箱形をなすとともに、その内部はインクが充填されるインク室41とされている。図10に示すように、インク室41内にはフロート42が設けられている。フロート42はヒンジ42aを中心として傾動可能とされており、インクの残量(インク上面の高さ)に応じてその姿勢を変える。そのため、フロート42の先端位置をホルダ50に取り付けられたセンサ(図示せず)によって検知することで、インクカートリッジ19内のインクの残量を知ることが出来るようになっている。尚、図10に示すフロート42の位置はインクが空になった状態と対応しており、インクが充填された状態にあっては、フロート42は起立した姿勢となる。
インクカートリッジ19の下部には前記インク室41と連なるインク供給口43と、これと並んで空気タワー52が形成されている。このインク供給口43は下方に開口するとともに、内部には常閉式の第1弁体45を備えたインクパッキン44が収容されている。このインクパッキン44の中央部には第1弁体45によって常閉されるインク流出孔46が設けられている(これらが、本発明のインク流出口に相当する)。このインク流出孔46には、後述するようにホルダ50の底板から上向きに突出しているインク受け入れ部49(これが本発明のインク流出部に相当する)の先端部分が下方から挿入されるようになっている。
空気タワー52はインク室41を上下に貫通する筒状をなす。この空気タワー52の上端側はインク室41の天井壁41aに臨むような高さ寸法とされ、充填初期のインク上面よりも高い位置に設定されている。そのため、インクカートリッジ19が傾いた姿勢になければ、インク室41のインクが空気タワー52内に入り込まない設定としてある。
また、空気タワー52の下部側には空気流入口53が設けられている。空気流入口53は空気タワー52の他の部分に比べて内径が広くとってあり、内部に常閉式の第2弁体55を備えたエアパッキン54が収容されるようになっている。第2弁体55はエアパッキン54に設けられる空気孔56を上下に貫通する棒状の本体部57を備えるとともに、その外周部分には前記空気孔56の開口上面に密着して空気孔56、ひいては空気流入口53を閉止するシール縁58が設けられている。
図10に示すように第2弁体55の本体部57の下端部分は、インクカートリッジ19がホルダ50に装着される前の状態にあっては、インクカートリッジ19の下面から突出した状態にある。また、エアパッキン54の底面には円筒状のリップが設けられており、第2弁体55の下端部分を取り囲むようになっている。
次に、インクカートリッジ19が収容されるホルダ50について説明する。合成樹脂製の射出成形品からなるホルダ50は、底壁64と、長手の側壁61と、この側壁61の両端にて直交する方向に延びる一対の端壁62、63と、これら端壁62、63と平行状の区画壁65とが一体的に備えられて、上面及び一側が開放された箱形に形成されている。図7における手前側の端壁62にはホルダ50が装着されるハウジング2に対してホルダ50を固定するための抜止めリブ69b及び案内部69aを有する係止爪169が形成されている。また、図8に示すように、底壁64のうち右側の縁部は側方に張り出しており(張り出し部64a)、その先端部分にはハウジング2に対する差し込み部641が一体的に形成されている。
図7〜図9に示すように、ホルダ50の内部には3つの区画壁65が設けられ、これにより、ホルダ50内部を4つのカートリッジ収容室68に区画している。実施形態では、カートリッジ収容室68の幅寸法は図7〜図9において左から3室はほぼ同幅とされ、右端の室は他の室に比べていくらか広くとられている。この広いカートリッジ収容室68には、消費量の多いブラック色のインクが貯留されたインクカートリッジ19aが収容される。尚、ホルダ50の底壁64の上面には複数(実施形態では全数)のカートリッジ収容室68に跨がって板状(扁平状)のインク吸収体(図示せず)が敷設される。
また、各区画壁65並びに一方の端壁62には、それ自身弾性を有するロックアーム体67が設けられている。このロックアーム体67は図7〜図9、図11、図12、図14に示すように、端壁62及び各区画壁65の上壁から図示上方に一体的に延設されるとともに、その先端部分には各インクカートリッジ19の摘み部191より下側の段部(係止部)192に対して係止可能な係合爪67aが一体的に形成されており、ホルダ50に装着されたインクカートリッジ19の抜止めを行うものである。その場合、図15に示すように、段部(係止部)192の上面の一部には、凹部193が形成されており、係合爪67aが凹部193に係合及び係合解除するときにクリック感を呈することができるようになっている。
なお、ホルダ50の底壁64にはロック爪67aの外形に倣った開口64bが設けられているが、これは係合爪67aを成形する際の金型の型開き動作を考慮した逃がし孔である。
各カートリッジ収容室68(本発明の収納凹所に相当する)の底壁64には、図7、図8に示すように、インクカートリッジ19内の空気タワー52と対向する側が図示上方に膨出された座面部(空気連結部)69が設けられ、この座面部69の中心部には空気取り入れ孔70(これが本発明の空気導入部に相当する)が穿設されている。この空気取り入れ孔70の上部はその内径が下部側に比べてやや広くとってあり、そこに、第2弁体55の下端部が突き当たるようになっている。そのため、インクカートリッジ19が正規の向きでカートリッジ収容室68に装着されると、空気取り入れ孔70の段差部分に突き当たることで第2弁体55は図示上方に押し上げられ、第2弁体55による空気孔56の閉止が解かれる。
なお、座面部69の高さは、インク吸収体の厚さとその上面に被さる押え板(共に図示せず)の厚さを合算した寸法にほぼ等しく形成されている。
また、底壁64には、各カートリッジ収容室68毎に、インクカートリッジ19のインク供給口43と対向する位置には筒状をなすインク受け入れ部(カートリッジ連結部に相当する)49が一体的に成形されている。このインク受け入れ部49の先端部分の外形寸法はインク流出孔46の内径よりやや大きな寸法設定とされている。一方、インク流出孔46の孔縁には誘い込み用のテーパが設けられている(図10参照)。そのため、インク受け入れ部49をインクパッキン44に対してやや圧入気味に押し込むと、同インク受け入れ部49がインク流出孔46内に進入する。
ホルダ50の底壁64の下面には、各インク受け入れ部49と、張り出し部64aに上向きに突設された筒状の各チューブ連結管71とに連通するインク流路(図示せず)が形成されており、各インクカートリッジ19内のインクがインク供給管20に供給できるように構成されている。なお、前記インク流路は底壁64の下面に凹み形成された下面開放状の溝部の下面側をフイルムにて覆って封止したものである。
次に、各ロックアーム体67によるインクカートリッジ19の強固な弾性的係止手段について説明する。ロックアーム体67は、インクカートリッジ19の本体部分の一側外面と平行状の扁平断面を有する(図7、図8及び図14参照)。そして、このロックアーム体67における係合爪67aより上側には摘み部72が形成され、これを作業者が指で摘んで、インクカートリッジ19の段部(係止部)192から係合爪67aを外して係合解除できるように構成されている。さらに、摘み部72及び係合爪67aの背面側には後述するバネ弾性体73の上端部73aを係止可能とするための係止溝74が形成されている。他方、ホルダ50の底壁64には、ロックアーム体67ひいては区画壁65とは独立した支持板75が、平面視においてロックアーム体67とほぼ直交状にて立設されている。支持板75の外面には、バネ弾性体73の下端部(下屈曲部)の位置を保持し、弾性変形時の反力を受けてバネ弾性体73を拘束するための一対の規制突起76(本発明の拘束部位に相当する)が横向きに突出されている(図7〜図9参照)。
付勢手段としてのバネ弾性体73は、図11、図12、図14に示すように、金属製のバネ棒を所定の形状に屈曲させたものであり、第1実施形態では、上下に長い弾性変形部73bの上端には前述の上端部73aが横下向きにL字状に屈曲形成されている。また、弾性変形部73bの下端(下屈曲部)を介してやや上向きの直線状の作用部73cが連設されている。このバネ弾性体73の上端部73aをロックアーム体67の係止溝74に嵌め入れ、ロックアーム体67の側部に沿わせて上下に長い弾性変形部73bを配置し、この弾性変形部73bを一対の規制突起76の間に配置し、作用部73cがカートリッジ収容部68内に向かうように配設する(図7〜図9の実線参照)。
カートリッジ収容室68内にインクカートリッジ19が配置されていない状態で、ロックアーム体67が直立状になっているときには、このバネ弾性体73の弾性変形部73bは直線状であって、ロックアーム体67に対する弾性付勢力は作用していない、非作用状態である。
上記の構成により、各インクカートリッジ19を垂直状にカートリッジ収容室68内に差し込みの初期段階では、図14に示すように、インクカートリッジ19の一側面(縦面)194でロックアーム体67の係合爪67aを外方向(図14で左方向)に押し退け、ロックアーム体67の自由端側はインクカートリッジ19の一側面193から離間するように弾性変形する。この状態では、バネ弾性体73の作用部73cに何らの外力も作用していないので、弾性変形部73bは直線状である(図14の二点鎖線参照)。
次いで、挿入を続行させて、インクカートリッジ19の下端面でバネ弾性体73の作用部73cに下向きの外力を作用させると、弾性変形部73bの下端部(下屈曲部)には、当該弾性変形部73bの軸線と作用部73cの軸線との夾角が広がろうとする曲げ応力が作用する。弾性変形部73bの下端部は一対の規制突起76により、配置位置が規制されており、且つ弾性変形部73bの上端部73aも係止溝74にて配置位置が規制されている。但し、一対の規制突起76及び係止溝74の両箇所は、材料力学的には梁に対する単純支持点であるから、この両支持点の間の弾性変形部73bはその上下中途部がインクカートリッジ19に接近するような弓形に弾性変形する。しかも、ロックアーム体67の上端側(係合爪67a側)が材料力学的にいう片持ち梁の自由端側であるから、バネ弾性体73に付与される曲げ応力により、ロックアーム体67の係合爪67aがインクカートリッジ19の係止部(段部)192に係合する方向に自動的に撓み、強固に係合状態が保持される。結果としては、インクカートリッジ19の上下をロックアーム体67の係合爪67aと作用部73cとで挟み付けて位置保持していることになる。従って、合成樹脂製のロックアーム体67の剛性を高める必要がなく、ロックアーム体67を薄い厚さに形成しても不都合がないのである。また、バネ弾性体73をホルダ50に対して後に取付けすることができ、組み立て作業が容易になると共に、バネ弾性体73の弾性係数や形態を任意に設定することができる。
逆にインクカートリッジ19を外す場合、前記バネ弾性体73の付勢力に抗して指でロックアーム体67の摘み部72をインクカートリッジ19から離間する方向に押すと、係合爪67aがインクカートリッジ19の係止部(段部)192から外れ係止解除できると共に、バネ弾性体73の作用部73cがインクカートリッジ19の下面を上向きに押し上げるように作用するから、インクカートリッジ19の着脱作業が至極軽快に実行できるのである。
図6、図7及び図8に示すのは、各インクカートリッジ19をホルダ50に対して上方から垂直に真っ直ぐ下降挿入するように案内する手段であり、その一つは、ホルダ50における側壁61の内面及び区画壁65の表面のうち、空気導入部としての空気取り入れ口70に近い側には、各カートリッジ収容室68側に向かって突出する上下長手の第1ガイドリブ80が複数形成されているものである。
他の手段は、ホルダ50の外周上端に隣接して配置固定された平面視ほぼ矩形状の枠体51の内面にて、第1ガイドリブ80と平行状に形成された第2ガイドリブ81である。インクカートリッジ19を、その縦方向の側面をこの両ガイドリブ80、81に摺接させながら挿入すると、第2弁体55の方が座面部69の空気取り入れ孔70に連通し、第1弁体45よりもやや早く開放できる。このような設定とするのは、インクカートリッジ19が未使用状態にあるときには、インク室41の気圧が大気圧に比べて低く設定されているため同時あるいは第1弁体45の方を早く開放してしまうと、インク供給管20を介して記録ヘッド4からインクが吸収されることで、記録ヘッド4のノズル部に形成されたメニスカスが破壊されてしまうからである。そのため、第2弁体55を先に開放させることで、メニスカスの破壊を防止するようにしてある。
なお、前記作用効果をより高めるためには、第1ガイドリブ80は、インク受け入れ部49と空気取り入れ口70の中心を結ぶ線の中点を直交する線よりも空気取り入れ口70に近い側に配置されていることがより好ましい。このように配置することで、インクカートリッジ19がホルダ50に挿入されるとき、インクカートリッジ19は少なくとも空気取り入れ口70に近い側が、第1ガイドリブ80及び第2ガイドリブ81により正しい姿勢を保持されながらホルダ50に挿入されるからである。
そして、インクカートリッジ19がカートリッジ収容室68に装着された状態においては、インク流出孔46内に進入したインク受け入れ部49が第1弁体45を図示上方に押し上げてインク流出孔46を開放させる(図10参照)。これにより、インク供給口43とインク受け入れ部49が繋がり、インク室41内のインクはインク供給口43を介してインク受け入れ部49内へ進入可能となる。尚、この状態にあってはインクパッキン44はインク供給口43の内周とインク受け入れ部49の外周の両面に密着して両間をシールするようになっている。この状態においては図10に示すように、エアパッキン54のリップが座面部69の上面に内向きに屈曲した状態で弾設することで、空気タワー52の内周部分と座面部69との間がシールされるようになっている。
インクカートリッジ19から流出されたインクはホルダ50のインク流路、インク供給管20を介して記録ヘッド4に供給される。また、このインクの流出に伴ってインク室41内の気圧が下がるが、この点に関しては空気流路からインクカートリッジ19内に空気が取り入れ込まれることでインク室41の気圧が大気圧とほぼ等しい圧力に維持される。
なお、図6及び図8に示すように、枠体51の内面には、インクカートリッジ19の誤挿入防止のために、カートリッジ収容室68毎に対応させて平面視ほぼ三角形状の規制突起82(本発明における規制部に相当する)が形成されている。即ち、各インクカートリッジ19の外形の縦側面がほぼ直交して交差する角部のうち、第2弁体55や空気孔56に近い側の角部83は大きく切欠き形成され(図8及び図9参照)、反対に、第1弁体45やインク流出孔46に近い側の角部は小さく切欠き形成されるように設定しておく。これに対応させて、各カートリッジ収容室68の内面のうち、座面部69に近い側の隅部に、一対の規制突起82を設けておくのである。これにより、インクカートリッジ19の挿入の正しい向き(空気孔56は空気取り入れ孔70と対面し、且つインク流出孔46はインク受け入れ部49と対面する向き)のときだけ、当該インクカートリッジ19がホルダ50の底壁64の方向に正しくかつ深く挿入でき、ロックアーム体67にて係止できる。逆の姿勢のときには、規制突起82に邪魔されて、インクカートリッジ19はロックアーム体67にて係止できないことが、ユーザーに直ぐに理解できるのである。なお、枠体51には、各カートリッジ収容室68に対応するように仕切り板84を設けておく(図6参照)。
第2実施形態について、図16および17を参照しながら、説明する。第1実施形態の付勢手段としてのバネ弾性体73を除いて、他の構成は第1実施形態と同じであるので、同じ部材は同じ参照番号で示し、重複する説明は省く。
付勢手段としてのバネ弾性体173は、金属製のバネ棒を、図16に示すように所定の形状に屈曲させたものであり、上端部173aと、上下に長い弾性変形部173bと、これに連結された屈曲した下端部173cとを備える。弾性変形部173bは、屈曲部P1を有する。
図17に示すように、このバネ弾性体173の上端部173aを、ロックアーム体67の係止溝74に嵌め入れ、ロックアーム体67の側部に沿わせて、上下に長い弾性変形部173bを配置し、この弾性変形部173bを一対の規制突起76の間に配置し、屈曲した下端部173cがカートリッジ収容室68内に向かうように配設する。下端部173cは、挿入されるインクカートリッジと干渉しない長さで、ホルダの底面とほぼ平行に延びている。
カートリッジ収容室68内にインクカートリッジ19が配置されているいないに係わらず、弾性変形部173bの屈曲部P1は仕切り板84に当接しており、バネ弾性体173はロックアーム体67の係合爪67aを図17の矢印A方向に付勢し、ロックアーム体67がA方向に弾性変形した状態となっている。なお、弾性変形部173bの屈曲部P1が仕切り板84に当接するバネ当接面84aは、図6に示された仕切り板84の裏面に位置している。また、ホルダ50の端面62に最も近いカートリッジ収容室68においては、屈曲部P1はホルダ50の端面62に当接する。
インクカートリッジ19を垂直状にカートリッジ収容室68内に差し込む初期段階では、インクカートリッジ19の一側面(縦面)194でロックアーム体67の係合爪67aを外方向(図17で左方向)に押し退け、ロックアーム体67の自由端は、バネ弾性体173による付勢力に抗して、インクカートリッジ19の一側面194から離間するように弾性変形する。
次いで、挿入を続行させると、係合爪67aがインクカートリッジ19の係止部(段部)193に係合する。インクカートリッジの上部をロックアーム体67の係合爪67aで押させることで、インクカートリッジを位置保持する。従って、合成樹脂製のロックアーム体67の剛性を高める必要がなく、ロックアーム体67を薄い厚さに形成しても不都合がないのである。また、バネ弾性体73をホルダ50に対して後に取付けすることができ、組み立て作業が容易になると共に、バネ弾性体73の弾性係数や形態を任意に設定することができる。
インクカートリッジ19を外す場合、バネ弾性体173の付勢力に抗して指でロックアーム体67の摘み部72をインクカートリッジ19から離間する方向に押すと、係合爪67aがインクカートリッジ19の係止部(段部)192から外れ、係止解除できる。したがって、インクカートリッジ19の着脱作業が軽快に実行できる。
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
例えば、一対の規制突起82をホルダ50の内面上端側に設けることができる。