JP4773643B2 - カバーテープ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体集積回路等、チップ型の電子部品を包装するためのテープ状包装材を構成するカバーテープに関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体集積回路を始めとするチップ型の電子部品は、その製造後、実装工程に提供されるまでの間、汚染を防止すべく包装材にて包装されて保管、輸送される。この電子部品の包装には、自動実装装置による基板への実装工程に対応するように、テープ状の包装材が用いられており、該包装材は、長尺のシートに所定の間隔をおいて複数個の凹部を形成したキャリアテープと該キャリアテープにヒートシールされるカバーテープから構成される。図1に該包装材の一例の構成を示す。図1は、電子部品の包装工程を示す斜視図であり、図中、1はカバーテープ、2はキャリアテープで3のフランジ部と4の凹部とからなる。5はキャリアテープ2のフランジ部に設けたスプロケットであり、キャリアテープ2の搬送に利用する。6はシール部、7は包装された電子部品である。また、図2に図1のA−B断面図を示す。
【0003】
図1、2に示すように、製造した電子部品7をキャリアテープ2の凹部4に収納し、その上をカバーテープ1で覆い、フランジ部3においてカバーテープ1をレール状に加熱融着(ヒートシール)させてシール部6を形成し、固定する。包装後の包装体は順次リールに巻き取り、ロール状で保管、輸送する。
【0004】
上記のようにしてキャリアテープ2とカバーテープ1とで包装された電子部品7を基板に実装する際には、ロール状に巻き取られた包装体を引き出し、上記包装工程とは逆に、キャリアテープ2からカバーテープ1を剥離しながら該電子部品7を取り出して実装に供する。
【0005】
通常、キャリアテープ2としては、テープ状のプラスチックシートにエンボス成形により凹部4を形成したものが用いられる。また、カバーテープ1としては、包装後に内部の電子部品7を視認できるように、透明プラスチックシートに感熱接着層を積層したものが用いられている。図3にカバーテープ1の構成例を模式的に断面図で示す。図中31は基材層、32は中間層、33は接着層であり、例えば、基材層31にはポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムが、中間層32としてはポリエチレン(PE)フィルムが用いられ、接着層33はエチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)やポリスチレン(PS)で形成される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
電子部品包装用のテープ状包装材には、包装後の電子部品が汚染されないように、シール部が十分な接着強度を有していることが要求される。しかしながら、接着強度が強すぎた場合、実装工程においてカバーテープをキャリアテープから剥離する際に、カバーテープが裂けて部分的にキャリアテープ上に残り、電子部品を取り出せなくなるという剥離不良問題が生じていた。
【0007】
そのため、従来はカバーテープの中間層と接着層との接着強度や基材層と中間層との接着強度を適宜弱く調整することで、カバーテープ全体の引き裂き強度を高め、実装工程の剥離操作におけるカバーテープの剥離不良を回避していた。
【0008】
しかしながら、中間層と接着層との接着強度や基材層と中間層との接着強度を再現性良く調整することは、カバーテープの製造工程上容易ではない。また、中間層と接着層との接着強度を弱くすると、カバーテープの剥離後にキャリアテープ上に接着層が残り、キャリアテープの再利用を阻むという問題も生じ、中間層と基材層との接着強度を弱くすると、カバーテープの剥離時に基材層と中間層との界面で剥離が生じ、剥離不良により電子部品を取り出せないという問題を生じやすくなる。
【0009】
さらに、最近の実装工程の高速化に伴い、カバーテープにはより高速での剥離操作に耐える高い引き裂き強度が望まれ、一方で電子部品の汚染防止を図るため、シール部の接着強度の向上も要求されているのが現状である。
【0010】
本発明の課題は、包装後のシール部が十分な接着強度を示し、且つ、実装工程におけるカバーテープの裂けや基材層の剥離などの剥離不良、特に、高速での剥離操作における剥離不良を防止し、キャリアテープに接着層を残さず剥離しうるカバーテープを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、長尺のシートに電子部品を収納する凹部を長尺方向に所定の間隔をおいて複数個設けたキャリアテープの該凹部に電子部品を収納した後、該凹部を覆ってヒートシールされるカバーテープであって、少なくとも基材層と接着層とを積層してなり、基材層が、ジカルボン酸成分が80〜95モル%のテレフタル酸と5〜20モル%のイソフタル酸とからなり、ジオール成分が95モル%以上のエチレングリコールと5モル%以下のジエチレングリコールとからなる共重合ポリエステルからなることを特徴とする。
【0012】
また、本発明のカバーテープにおいては、上記基材層と接着層との間に低密度ポリエチレンからなる中間層を積層することが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明のカバーテープは、特定の組成からなる共重合ポリエステルからなる基材層を用いたことにより、基材層と接着層との接着強度を十分に高くした上で、カバーテープ全体での引き裂き強度の向上を実現したものである。本発明においては、上記基材層と接着層の間に、低密度ポリエチレン(LDPE)からなる中間層を積層することで良好なクッション性を得ることができ、当該中間層の積層においても、該中間層と基材層、及び中間層と接着層との接着強度を十分に高くして高い引き裂き強度のカバーテープを得ることができる。よって、本発明のカバーテープを用いた電子部品の包装時にはシール部においてカバーテープとキャリアテープとを十分な強度で接着して、電子部品の汚染を防止すると同時に、実装工程の剥離操作においては、カバーテープの裂けや、基材層が中間層から剥離して中間層がカバーテープ上に残るといった剥離不良が防止され、さらに、キャリアテープ上に接着層を残すことなくカバーテープを剥離することができる。
【0014】
また、本発明のカバーテープは、製造時に基材層と接着層、或いは、基材層と中間層、及び中間層と接着層との接着強度を適度に弱く調整する必要がないため、引き裂き強度の高いカバーテープを再現性良く製造することができる。
【0015】
本発明のカバーテープの積層構成は、図3に示した基材層31と中間層32と接着層33とからなる3層構成、或いは、基材層31と接着層33とからなる2層構成のいずれかである。
【0016】
本発明のカバーテープの基材層は、ジカルボン酸成分が80〜95モル%のテレフタル酸と5〜20モル%のイソフタル酸とからなり、ジオール成分が95モル%以上のエチレングリコールと5モル%以下のジエチレングリコールからなる共重合ポリエステルからなる。かかる共重合ポリエステルは、透明性が良好で、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸のみを用いたPETに比較して引き裂き強度が高く、よって、該基材層と接着層、或いは該基材層と中間層、中間層と接着層をそれぞれ高い接着強度で積層しても引き裂き強度の高いカバーテープが得られる。
【0017】
本発明に用いられる共重合ポリエステルにおいて、イソフタル酸がジカルボン酸成分中5モル%未満の場合、カバーテープの引き裂き強度の向上効果が得られにくくなり、好ましくない。また、イソフタル酸がジカルボン酸成分中20モル%を超えても、引き裂き強度の向上効果は変わらない。さらに、ジエチレングリコールがジオール成分中5モル%を超える場合には、耐熱性が低下する場合があり、好ましくない。尚、当該共重合ポリエステルに含有されるジエチレングリコールは、共重合成分としてエチレングリコールに添加されたもの以外に、エチレングリコールをジオール成分とするポリエステル重合反応において副生するものを含む。
【0018】
尚、かかる共重合ポリエステルには、透明性や本発明の効果を損ねない範囲で適宜添加剤を添加しても構わない。このような添加剤としては、滑材やカバーテープの帯電性を制御するための導電性微粉末などが挙げられる。
【0019】
本発明においては、上記共重合ポリエステルからなる基材層にLDPEからなる中間層を積層することでヒートシール時の良好なクッション性が得られ、好ましい。
【0020】
さらに、上記基材層或いは中間層に積層する接着層としては、熱融着によりキャリアテープに接着可能な材料であれば特に限定されず、従来カバーテープの接着層として用いられていた、ポリエステル系樹脂、エチレン・酢酸ビニル系樹脂の他、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂を適宜選択して用いることができる。尚、本発明において、中間層を用いない場合には、接着層にクッション性を持たせるようにその素材や厚さを設定することが好ましい。
【0021】
本発明のカバーテープの総厚は、好ましくは30〜100μm程度であり、そのうち、基材層の厚さは10〜50μm、接着層の厚さは1〜50μm、中間層の厚さは10〜50μmの範囲で選択される。
【0022】
本発明のカバーテープの製造方法としては、従来のカバーテープの製造方法をそのまま適用することが可能であり、具体的には、押出ラミネート法(両面、片面)、ドライラミネート法などが挙げられる。
【0023】
本発明のカバーテープと組み合わせて用いられるキャリアテープとしては、従来用いられていたものをそのまま用いることができ、例えば、ポリスチレンやポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリカーボネート、アクリル系樹脂などからなるシートにエンボス成形によって凹部を形成したものや、或いは、紙製のキャリアテープも好ましく用いられる。
【0024】
【実施例】
下記表1に示す層構成のカバーテープを作製し、下記に示す評価方法により引き裂き強度と剥離強度を評価した。その結果を表2に示す。
【0025】
〔基材層〕
実施例1、2:共重合ポリエステル(帝人・デュポン社製「TEFLEX−FT」、イソフタル酸=ジカルボン酸成分中に11モル%、ジエチレングリコール=ジオール成分中に2.4モル%)
比較例1:二軸延伸PET(住友ベークライト社製「Z4111」)
比較例2:二軸延伸PET(東洋紡績社製「T6140」)
比較例3:二軸延伸PET(デンカ社製「ALS−S」)
比較例4:二軸延伸PET(旭化成テクノプラス社製「T232」)
〔中間層〕
LDPE:低密度ポリエチレン(ダウケミカル日本社製「PT1450」)
Ny:ナイロン樹脂
〔接着層〕
実施例1、比較例1、比較例2:アクリル系樹脂
実施例2、比較例2、比較例3:オレフィン系樹脂
【0026】
〔引き裂き強度の評価方法〕
JIS K 7128のトラウザー引裂法に準拠し、各例のカバーテープより長さ150mm、幅50mmのサンプルを切り出し、中央に縦方向にセラミックカッターで長さ75mmのスリットを入れ、通常の引っ張り試験機のロードセルよりも高感度な試験機(PALMEC社製「PFT−50S」)を用い、25℃環境下において引き裂き速度を300mm/分と1000mm/分として引き裂き強度を測定した。
【0027】
〔剥離強度の評価方法〕
幅15mmのサンプルの一端において基材層と中間層とを部分的に剥離し、当該部分より剥離試験機を用いて基材層を中間層から剥離し、両者間の剥離強度を測定した。尚、中間層と接着層間での剥離はいずれのカバーテープもできなかった。
【0028】
【表1】
Figure 0004773643
【0029】
【表2】
Figure 0004773643
【0030】
表2から明らかなように、実施例1、2のカバーテープは低速よりも高速での引き裂き強度が著しく高く、比較例1〜4のカバーテープは高速での引き裂き強度が低速と同等或いは低下するという傾向が示された。個々に比較すると、実施例1と比較例1、2とは基材層の組成或いは層構成以外はほぼ同じ構成であるが、低速、高速のいずれにおいても引き裂き強度は実施例1の方が高く、特に高速においては大幅に改善されている。
【0031】
同様に、実施例2と比較例4とは基材層の組成以外は同じ構成であるが、比較例3に比較して、実施例2は低速、高速のいずれにおいても引き裂き強度が高く、特に高速において大幅に改善されている。また、比較例3は比較例4と同じ層構成であるが、基材層と中間層の接着強度を調整してカバーテープ全体の引き裂き強度を高めたものである。従って、比較例3は、キャリアテープから剥離する際に、基材層と中間層との間で剥離が生じ、キャリアテープに中間層が残る剥離不良を生じ易い。また、低速での引き裂き強度は高いものの、高速では逆に引き裂き強度が低いため、高速での剥離操作には適応しない。
【0032】
即ち、本発明のカバーテープの方が高速での剥離操作に適応していることが明らかであり、また、本発明のカバーテープは製造時に各層間の接着強度を調整する必要がないため、比較例4のカバーテープよりも再現性良く製造することができ、大量生産に好適であるといえる。
【0033】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のカバーテープは、製造工程の変更を加えることなく従来のカバーテープの問題点を解決したものであり、具体的には以下のような効果を有している。
【0034】
(1)引き裂き強度が高いため、実装工程のカバーテープの剥離操作において、引き裂きによる剥離不良が防止される。
【0035】
(2)基材層と接着層、或いは、基材層と中間層、中間層と接着層の各層間の接着強度が高く、実装工程の剥離操作において、基材層が中間層から剥離して、中間層と接着層がキャリアテープ上に残る剥離不良が防止される。また、接着層をキャリアテープ上に残さずに剥離することができ、キャリアテープの再利用が可能となる。さらに、キャリアテープと強く接着させても実装工程の剥離操作において剥離不良が発生しないことから、カバーテープとキャリアテープを強固に接着して電子部品の汚染防止を確実にすることができる。
【0036】
(4)引き裂き強度向上効果が特に高速での引き裂きにおいて高いため、より高速での剥離操作に好ましく用いられる。
【0037】
(5)製造時に各層間の接着強度を調整する必要がないため、製造条件の設定が容易で、再現性が良く、大量生産に適している。
【図面の簡単な説明】
【図1】電子部品包装用のテープ状包装材を用いた電子部品の包装工程を示す模式図である。
【図2】図1に示される包装体の断面模式図である。
【図3】図1に示されるカバーテープの層構成を示す断面模式図である。
【符号の説明】
1 カバーテープ
2 キャリアテープ
3 フランジ部
4 凹部
5 スプロケット
6 ヒートシール部
7 電子部品
31 基材層
32 中間層
33 接着層

Claims (2)

  1. 長尺のシートに電子部品を収納する凹部を長尺方向に所定の間隔をおいて複数個設けてなるキャリアテープの該凹部に電子部品を収納した後、該凹部を覆ってヒートシールされるカバーテープであって、少なくとも基材層と接着層とを積層してなり、基材層が、ジカルボン酸成分が80〜95モル%のテレフタル酸と5〜20モル%のイソフタル酸とからなり、ジオール成分が95モル%以上のエチレングリコールと5モル%以下のジエチレングリコールとからなる共重合ポリエステルからなることを特徴とするカバーテープ。
  2. 上記基材層と接着層との間に低密度ポリエチレンからなる中間層を積層した請求項1に記載のカバーテープ。
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